日本レーザー医学会誌
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17 巻, 4 号
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  • -Nd: YAGレーザーと半導体レーザーの比較-
    小林 久晃, 荒井 恒憲, 山岸 幸子, 林 琢也, 吉田 純, 菊地 眞, 小林 充尚
    1996 年 17 巻 4 号 p. 1-6
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    臍帯穿刺後の持続性出血を予防する目的で, Nd: YAGレーザーと半導体レーザーによる穿刺部位のレーザー止血の可能性を検討した。
    正常妊婦11例から得られた臍帯を10cm長に切断し, 臍帯静脈に差圧計を用いた流量計を接続して漏れ流量を測定できるようにしたモデルを作製した。このモデルに生理的食塩水または同食塩水にインドシアニングリーン(ICG)を0.1mg/mlで溶解して近赤外領域の吸収を高めた溶液を20mmHgで加圧充填し, 以下の穿刺実験を行った。
    この臍帯モデルを20gauge針で穿刺した後, 波長1064nmのNd: YAGレーザー(6W;40s)と波長792nmの半導体レーザー(5W; 10s)を穿刺部位に照射して, 照射前後の漏れ流量を測定した。両レーザーとも生理的食塩水加圧充填状態では有効な熱変性はおこらず, 漏れ流量に変化はなかったが, 生理的食塩水にICGを溶解した溶液を充填すると穿刺孔に熱変性がおこり, Nd: YAGレーザーでは照射前に6.11±1.34ml/minあった漏れ流量が0.737±0.540ml/min (n=5) に, 半導体レーザーでも5,66±1,09ml/minが1.48±1.33ml/min(n=6)へ, ともに有意に減少した(t検定にて両者ともにP<0.001)。
    以上より, 臍帯組織そのものには両レーザーとも十分な吸収はないが, 吸収の大きい血液が存在するin vivoでは十分に止血効果が期待できるものと考えられた。
  • -他の機器との比較検討-
    脇田 邦夫, 金井 督之, 新井 正秀, 蔵本 博行, 西島 正博
    1996 年 17 巻 4 号 p. 7-12
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    婦人科良性疾患計98例に対し, 腹腔鏡手術を施行した。レーザー機器としてはNd: YAG, KTP/YAG, Ho: YAGレーザーを, 高周波電気メスとしてはモノポーラー, バイポーラー, アルゴン・ビームコアギュレーターを, さらにハーモニック・スカルペルを使用した。卵巣腫瘍に対しては, 嚢腫肉容吸引・洗滌術, エタノール固定術, 内腔焼灼術, 嚢腫核出術 (腹腔内および外), さらに付属器切除術を施行した。癒着に対しては, 剥離術および仙骨子宮靱帯切断術を施行した。子宮筋腫, 子宮腺筋症, 子宮頚部上皮内癌, さらに癒着を伴った子宮下垂には腹腔鏡下子宮全摘術 (LAVH) を行った。
    術後, 子宮内膜症性嚢胞を伴ったものにおいて, 69.2%(18/26) は術前の50%以上の月経痛の改善を, さらに11.5%(3/26) は月経痛を全く認めなかった。子宮内膜症性嚢胞の再発は, 42.3%(11/26) に認められた。外性子宮内膜症例のみにおいて, 71.4%(15/21) は50%以上の月経痛の改善を, さらに23.8%(5/21) は全く消失した。骨盤内感染症と月経困難症例において, 57.1%(4/7) は50%以上の月経痛の改善を, さらに28.6%(2/7) は全く消失した。卵巣嚢腫例において, 嚢腫の再発は5.9%(1/l7) に認められた。LAVH例においては, すべて順調だった。術中および術後の副作用は軽微で, レーザー使用例と他のものとの差異は認められなかった。
  • 堤 治
    1996 年 17 巻 4 号 p. 13-19
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    婦人科領域の手術中70-80%は腹腔鏡下手術は腹腔鏡下手術で実施されている。KTPレーザーは開腹を回避し患者への侵襲を少なくminimally invasive surgeryにおいても有用性が大で, 子宮内膜症, 子宮筋腫, 卵巣嚢腫, 子宮外妊娠, 多嚢腫性卵巣など多くの婦人科疾患へ適応される。特にレーザーの応用は癒着剥離等が多い子宮内膜症治療においては腹膜病変の燒灼, チョコレート嚢腫の核出術, 根治術の子宮全摘術ともに応用され, 開腹手術と比較して単に開腹を回避するだけでなく出血量を減少させる等の点からも良好な成績を挙げている。卵巣嚢腫核出術や子宮筋腫核出術などの保存手術でも有用性が認められる。したがって今後さらにレーザーを用いた腹腔鏡下手術がその役割を高めていくと考えられる。
  • 長田 尚夫
    1996 年 17 巻 4 号 p. 21-25
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    婦人科で用いられているレーザーメスには, CO2レーザー, Nd-YAGレーザーならびにKTP/YAGレーザーなどがありそれぞれ特徴がある。CO2レーザーは, focused beamでの切開効果とdefocused beamでの止血効果を混用して癒着剥離術や止血に用いられる。しかし照射野が血液で覆われていたり、止血巾の場合には止血効果は得られない欠点がある。Nd-YAGレーザーは, 水の吸光度も少なく止血部を洗浄しながらレーザー操作が可能であり電気メスと同様の感覚で使用できることが特徴である。またKTP/YAGレーザーは, KTPとYAGレーザーの二つの波長を供えた装置で, KTPレーザーの特性とYAGレーザーの特性を使用目的によって両波長を任意に切り替えて使用できる利点がある。また細径プローべによって腹腔内にレーザー光を誘導できることから腹腔鏡下手術に最適である。その他の特徴として煙の少ない, 水の吸光度も少ないことから止血部を洗浄しながらレーザー操作が可能である, バックストッパーや特殊なチップが不用などがある。
    レーザー光の特徴は, 切離面の組織障害の厚さが数100μ程度で極めて軽徴であることから組織損傷も軽徴であるが欠点として切開深達度がレーザーの出力, 照射時間, メス移動速度などに相関することから, レーザーメスを一定の速度で移動させる必要がある。移動速度が遅くなるとその部分の切開深達度が深くなり危険でも。レーザー光は, その媒質によって特性が大きく異なるため, その特性を十分に利用することによって応用範囲は想像を越える可能性がある。このような“光の刃”の危険性, 長所, 短所を熟知し臨床に利用することによってレーザー手術の意義があると考える。ここでは婦人科手術の中でCO2レーザー, YAGレーザーならびにKTP/YAGレーザーの骨盤内病変に対する腹腔鏡下手術についてのべる。
  • 森田 峰人
    1996 年 17 巻 4 号 p. 27-31
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    現在,婦人科領域における腹膣鏡下レーザー手術の適応と考えられる疾患には,子宮内膜症,子宮外妊娠,卵巣嚢腫,子富筋腫などがある。今回,子宮病変に対する腹腔鏡下手術へのレーザー応用として,子宮筋腫核出術における有用性について検討した。
    1991年1月より1995年6月まで4年6ヵ月の間に東邦大学大森病院において腹腔鏡下に子宮筋腫を核出した33例を対象として筋腫核の大きさ,手術所要時間,術後入院日数の検討を行った。手術施行患者の年齢は,25才から42才,平均年齢32.9才で,摘出した筋腫核は合計51個であった。摘出した筋腫核の大きさは最小10mmから最大85mmまでで,平均は31.5mmであり,20~40mm程度の筋腫核が最も多く摘出された。腹腔鏡下手術の所要時間は最短で32分,最長で210分であり,平均104.6分を要した。術後平均入院日数は3.1日であり,ほとんどの症例(85%)は術後3日目以内に退院が可能であった。
    腹腔鏡下の筋腫核出術は,筋腫核の大きさも十分な大きさまで対応が可能であり,手術時間や入院日数の面からみても,非常に有用な治療法であると考えられる。
  • 橋本 大定
    1996 年 17 巻 4 号 p. 33-38
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下のMinimally invasive surgeryにレーザーを応用して肝癌を治療するために,我々はいくつかの問題を解決してきた。まず第1に,レーザー球状蒸散凝固法(Spherical Laser Coagulation Therapy)を創案し,肝内で球状の蒸散凝固層を形成させることに成功した。次に.皮下鋼線腹壁吊り上げ法を応用して,気腹法では不可能な,レーザー球状蒸散凝固時に発生する大量の高温ガスの迅速な処理を可能にした。また,膿腔内に挿入する、肝臓表面の凹凸に追従して自在に動き鮮明な画像を抽出する細径のフレキシブル超音波プローブの開発により,肝臓の広い範囲に渡り超音波観察が可能になった。さらに,屈曲可能なオジギ鉗子を応用し,先端に屈曲機構(オジギ機構)を持たせたレーザービーム方向変換鉗子をはじめとする各種の機器開発とともに,Area lifting & Sliding windowなどの術式の工夫を進めてきた。工学部との共同研究になる3次元再構成法を応用した危険度マッピングは,レーザー穿刺治療の安全性のために有用である。
  • 永井 祐吾, 谷村 弘, 白井 康嗣, 椿原 秀明, 寺下 史朗
    1996 年 17 巻 4 号 p. 39-45
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    光化学療法に伴う光線過敏症を軽減させ,腹部外科領域への応用を可能とするため,光感受性物質(PHE)をw/o/w型エマルション化して,腫瘍周囲に局所投与の後,YAG-OPOレーザーを照射する方法を考案し,その実験結果を紹介した。
    W/o/w型PHEエマルションを,PHEとして通常の1/4量を腫瘍周辺に局所投与することで,血液および腹腔内蔵器のPHE濃度を高めることなく,投与1時間後より24時間までの長期間にわたり,高い腫瘍内濃度が維持できた。
    また,w/o/w型PHEエマルションを局所投与24時間後,腫瘍にYAG-OPOレーザー照射することにより,著しい腫瘍破壊効果を認めた。
    以上より,w/o/w型PHEエマルションの局所投与により,光線過敏症の少ない光化学療法も可能であることが実験的に証明でき,今後,腹部外科領域での有用性が示唆された。
  • 1996 年 17 巻 4 号 p. 47-49
    発行日: 1996年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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