婦人科良性疾患計98例に対し, 腹腔鏡手術を施行した。レーザー機器としてはNd: YAG, KTP/YAG, Ho: YAGレーザーを, 高周波電気メスとしてはモノポーラー, バイポーラー, アルゴン・ビームコアギュレーターを, さらにハーモニック・スカルペルを使用した。卵巣腫瘍に対しては, 嚢腫肉容吸引・洗滌術, エタノール固定術, 内腔焼灼術, 嚢腫核出術 (腹腔内および外), さらに付属器切除術を施行した。癒着に対しては, 剥離術および仙骨子宮靱帯切断術を施行した。子宮筋腫, 子宮腺筋症, 子宮頚部上皮内癌, さらに癒着を伴った子宮下垂には腹腔鏡下子宮全摘術 (LAVH) を行った。
術後, 子宮内膜症性嚢胞を伴ったものにおいて, 69.2%(18/26) は術前の50%以上の月経痛の改善を, さらに11.5%(3/26) は月経痛を全く認めなかった。子宮内膜症性嚢胞の再発は, 42.3%(11/26) に認められた。外性子宮内膜症例のみにおいて, 71.4%(15/21) は50%以上の月経痛の改善を, さらに23.8%(5/21) は全く消失した。骨盤内感染症と月経困難症例において, 57.1%(4/7) は50%以上の月経痛の改善を, さらに28.6%(2/7) は全く消失した。卵巣嚢腫例において, 嚢腫の再発は5.9%(1/l7) に認められた。LAVH例においては, すべて順調だった。術中および術後の副作用は軽微で, レーザー使用例と他のものとの差異は認められなかった。
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