微小浸潤癌例に対するレーザーならびに高周波ループによる保存療法の治療成績につき検討した. 新分類によるIa
1のうち癒合浸潤, 脈管侵襲のない135例を今回の検討対象とした.
切除標本の辺縁に異形成以上の病変を認めた場合を断端陽性として浸潤深度別に検討したところ, 0.5mm未満では23% (26例中6例), 0.5mm~11mmで34% (32例中11例), 1mm~1.5mmで25% (24例中6例) に対して, 1.5mm~21mmで52% (25例中13例), 2mm~3mmで43% (28例中12例)と, 1.5mm以上では陽性例が増える傾向にあった (P<0.05). 全体での切除断端陽性は35.5% (135例中48例) であった.
観察期間中における一回の円錐切除術のみにて治療が完結していた頻度 (初回治癒率) はレーザーでは95.4% (87例中83例), ループでは95.8% (48例中46例), 計95.6% (135例中129例) であった. 両者の初回治癒率の間に有意差を認めていない. 切除断端陽性の48例のうち術後経過で遺残と診断されたものは4例で, 切除断端陰性の87例中では遺残を認めなかった. 切除断端における病変の有無と遺残の間には有意差を認めた (P<0.05). 切除断端陽性例中1年以上の経過後に再発したのは1例, 陰性例での再発は1例で, 切除断端の病変の有無と再発の間には有意差を認めなかった, Kitasato University. 手術時間はループ例が平均4分, レーザー例が平均26分であった. 出血量では何れにおいても30ml前後であった. 術後経過中に, 大きな出血など副障害は認められなかった. レーザー治療16例とループでの8例は術後に妊娠し, それぞれの11例と4例で分娩を達成していた.
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