日本レーザー医学会誌
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21 巻, 1 号
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  • 内村 智生, 會沢 勝夫, 長江 恒幸, 谷 大輔, 石丸 新
    2000 年 21 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    光感受性物質Mono-L-aspartyl chlorin e6 (NP e6) を用いた光線力学的治療による血管手術後の再狭窄抑制に関する基礎的実験を行った.
    ウサギを用いて動脈傷害モデル, 動脈硬化モデルを作成し, NP e6の静脈内投与後の血中濃度, 血管組織内濃度を経時的に測定した. さらに蛍光画像を撮影しNP e6の存在部位を特定した.
    血管組織内NP e6濃度は両モデル群とも投与開始30分が最も高値となり, 蛍光画像にて動脈傷害モデルでは中膜に, 動脈硬化モデルでは内膜肥厚部にNP e6が取り込まれた. さらに, 動脈硬化モデルに血管傷害を加えた部位ではNP e6が中膜へも取り込まれるのを確認できた.
    以上より, 新生内膜増殖の原因となる傷害血管中膜平滑筋細胞の光線学的破壊が可能となり, 血管形成術後再狭窄の抑制に有用であることが証明された.
  • 宮本 裕一, 西坂 剛
    2000 年 21 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    Photodynamic therapy (PDT) は, レーザー光による感光色素の励起に基づく光化学反応を利用した悪性腫瘍の治療法である. 従来, 励起光源にはアルゴンイオンレーザー励起色素レーザーなどの連続波レーザーが用いられてきたが, 近年, いつくかのパルス波レーザーが利用されるようになった. パルス波レーザー光励起PDTの治療効果は, 繰り返し周波数パルス幅そしてパルスエネルギーなどのパラメータによって大きく異なる. 本稿では, 各種のパルス波レーザー光励起PDTの細胞傷害効果, およびその治療効果への関与が考えられる諸因子を概説する。
  • 蔵本 博行
    2000 年 21 巻 1 号 p. 17-18
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 林 卓宏, 鈴木 孝浩, 千田 学, 工藤 隆一
    2000 年 21 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    子宮頸部病変に対するレーザー治療の当科における適応は, 挙児希望で,(1) 脈管侵襲の無い微小浸潤癌,(2) 上皮内癌, および (3)コルポスコピー下での狙い組織診で高度異型成であっても, 細胞診で上皮内癌以上の病変が強く疑われる症例としている, 妊娠中の円錐切除術の適応は, 妊娠初期・中期において細胞診で微小浸潤癌が疑われるが, 生検組織診で上皮内癌以下の場合には診断的意義も含めた円錐切除術を施行し, 微小浸潤癌の場合は治療的円錐切除術を施行している. また, 最高病変が上皮内癌であっても, 病巣が広く, 治療を希望する症例の場合も円錐切除術を施行している. 円錐切除術時の注意点としては, 非妊婦の場合, 術後頸管狭窄防止のため, 深さは2cmを超えない切除を心掛けている. 一方, 妊娠症例に対しては, 頸管縫縮術を追加した治療的レーザー円錐切除術を積極的に行っている.
  • 吉岡 知巳, 小川 正樹, 大山 則昭, 高橋 道, 太田 博孝, 田中 俊誠
    2000 年 21 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    当科において, レーザー円錐切除術が施行された子宮頸部の初期扁平上皮病変を有する妊婦 (n=13) の臨床成績について報告する. 12症例において, レーザー円錐切除術は妊婦4~5ヶ月に施行された. 術中の出血量は非妊婦に比べ有意に多かったが, 輸血を必要とした症例はなかった. 術後, 1例は妊婦23週において, 絨毛膜羊膜炎のため死産した. 妊婦34週および35週において早産した症例もあったが, 残りの症例はいずれも満期生産であった. 初回の円錐切除術から6年後に再発した1例は認められたが, 妊婦中に行うレーザー円錐切除術は安全で有用な手術手技であると考えられた.
  • 赤平 純一, 佐藤 信二, 矢嶋 聰
    2000 年 21 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    尖圭コンジローマに対する治療の一つとしての, レーザー療法の実際について概説した, レーザーは炭酸ガスレーザーを用い, バイオハザード防止のガウンを装着し, 局所麻酔下に切除・蒸散する, レーザー療法は外来で簡便に行うことができるが, 若干の侵襲があるため, 経過観察, 外用薬療法が奏効しない場合や, 病変が大きい場合に用いるべきである, また患者に対しては, 再発率が少なくないこと, 瘢痕が残る可能性があることなどをinformed consentする必要がある.
  • 泉 貴文, 金井 督之, 新井 正秀, 久嶋 則行, 源田 辰雄, 蔵本 博行
    2000 年 21 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    子宮頸部腫瘍に対するレーザー蒸散法, 円錐切除法の施術方法および治療成績について, われわれの経験を報告する. 使用機器はCO2レーザーに加えNd-YAGレーザー (Molectron Model 8000), KTP/YAG Laser Surgical System等である. 蒸散法において, 初回治療成績 (レーザーのみの一回の治療で治癒した例の割合を初回治療成績とした) は軽度異形成43例, 中等度異形成132例, 高度異形成136例, 上皮内癌109例のうちそれぞれ93%, 92%, 94%, 91%であった. 一方円錐切除法での初回治療成績は軽度異形成26例, 中等度異形成73例, 高度異形成112例, 上皮内癌174例のうちそれぞれ92%, 99%, 97%, 94%であった. また微小浸潤癌で円錐切除法を行った87例での初回治療成績は95%であった. 蒸散法で26例, 円錐切除法を行った上皮内癌および微小浸潤癌で23例が妊娠した.
    子宮頸部腫瘍に対する保存的治療にレーザー療法は至適な治療と判断された.
  • 福地 剛, 岩田 卓, 山下 博, 久布白 兼行, 塚崎 克己, 野澤 志朗
    2000 年 21 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    CO2レーザーやNd: YAGレーザーは, 止血を伴った優れた軟組織の蒸散効果により, 産婦人科の分野でも子宮頸部初期癌の治療において広く利用されている. 近年, 子宮頸癌のなかでも初期病変の占める割合が増加傾向にあり, また, 出産年齢の高齢化と相まって, 妊孕性温存を目的とした子宮温存手術の必要性が高まってきている. 1989年より我々は子宮頸部初期病変に対してレーザー療法を行ってきた. その適応基準として, 原則的には中等度異形成および高度異形成についてはCO2レーザー蒸散術を, 上皮内癌とI a 1期の微小浸潤癌についてはNd: YAGレーザー円錐切除術を行っている. 本稿では, 我々の行っているレーザー治療の実地手技のポイントを解説し, その成績および妊娠合併症例の治療について報告する.
  • 水谷 靖司, 児玉 順一, 平松 祐司, 工藤 尚文
    2000 年 21 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    子宮癌検診の普及による初期頸癌の増加, 高年齢出産による頸癌合併妊婦の増加,晩婚婦人の妊孕能温存へのニーズなどにより, 子宮温存を考慮し円錐切除術を選択すべき子宮頸部異形成や初期癌の症例が増加してきている, 円錐切除術は小手術ではあるが, 出血や術後頚管狭窄に留意し, また治療目的で施行する場合には遺残に関しても考慮しなければならず, 各施設において手技や使用機器などにいろいろ工夫している. 当科では1990年より円錐切除術にNd: YAGレーザーを導入し, 現在は全例にKTP/YAGレーザーを使用し, 合併症や治療成績とも良好な結果を得ている.今回, 当科で施行しているレーザー円錐切除術のコツならびに成績につき文献的考察を交えて報告する.
  • -レーザー蒸散法,レーザー円錐切除術-
    柳光 寛仁, 藤脇 律人, 秦 幸吉, 高橋 健太郎, 宮崎 康二
    2000 年 21 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)に対する治療として, レーザー蒸散法と円錐切除はこの10年間で大きく進展し, 一般臨床にその地位を確立してきた. レーザー手術手技とHPV感染に基づくCINの発症といった事項の詳細な知識の蓄積が, この発展に寄与している. 一方で結婚の高年齢化, 若年者の発症増加に伴う子宮温存の必要性は, 臨床医としてレーザー手術の知識と施行する能力の取得の必要性を押し進めている. さらに, 多くの臨床医が妊娠合併CIN例に対するレーザー手術の有用性を述べてきている. 我々はこの報告で妊娠例を含んでCIN症例に対するレーザー手術の当科での実際を, 特に適応, 手技, 管理に重点を置き報告する. これまで300例以上の症例に対してCO2, レーザー手術を施行し, 初回手術による治癒率は90%以上であった. 子宮摘出施行せず経過観察した症例の内, 再燃例は全例2回目のレーザー手術により治癒させることが出来た. このことはレーザー手術の有効性と安全性を示している. また, 我々が経験した妊娠合併子宮頸部上皮内腺癌 (AIS) についてもコメントする.
  • 横山 正俊, 岩坂 剛, 杉森 甫
    2000 年 21 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    我々は, 子宮頚部初期病変に対して主に外来で, CO2, レーザー円錐切除術を施行している. これまでに359例の CO2 レーザー円錐切除術中232例を外来で施行した. 242例の子宮温存症例中, 9例に再発を認めたが(初回治療成績:96.2%), そのほとんどはレーザー蒸散術でコントロール可能であった. 術中の出血は少量であり, 術後のコルポ診不適例や頚管狭窄も少なかった. しかしながら, 外来施行例に術後出血が多い傾向があり, 自宅での安静を守らせる必要があると思われた. また, 妊娠中であっても適応を微小浸潤癌以上の症例に限定し, 慎重に施行すれば問題なく行えた. 術後の妊娠に関しては, PROMに注意する必要があった.
  • 和田 幸久
    2000 年 21 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    酸素は, 生体が正常な機能を営むためのエネルギー代謝において, 絶え間なく供給されるべき不可欠な要素であり, わずかな供給停止でさえも生体に重篤な障害を引き起こす. 発達段階にある脆弱な新生児では正常な酸素供給が特に重要であることは, 新生児死因の約50%が循環器, 呼吸器障害により占められていることからもわかる. とりわけ脳は酸素を多く消費する臓器であり, 脳での酸素欠乏は取り返しのつかない後遺症をあとに残す恐れがある. 脳に酸素が十分に供給されるかどうかを非侵襲で画像化する装置が切望され, 光CTの開発を工業技術院の産業科学技術開発制度に基づき, 新エネルギー・作業技術総合開発機構 (NEDO) からの委託により平成4年度から実施し, 平成11年3月に終了した. この開発した装置を用いることにより健常人の頭部においてタスクを与えた時の酸素化・脱酸素化状態の画像化に成功し, 脳機能マッピングへの可能性が見えてきた. その原理, および今後の展望について述べる.
  • 2000 年 21 巻 1 号 p. 93-94
    発行日: 2000年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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