日本レーザー医学会誌
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24 巻, 2 号
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  • 田村 悦代, 高橋 幸太郎, 北原 哲, 小倉 雅實
    2003 年 24 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,波長532nmのKTP/532TMレーザーを用いた低出力非接触照射よる組織内変化と熱伝導式によって得られた組織内温度分布とを比較検討することによって, 血管腫に対する治療について考察することである. 0.5%ペントバルビタールによる腹腔麻酔下にウサギの肝臓を露出させ, KTP/532TMレーザーを2W, 0.5-4.0秒間, レーザービームから肝臓表面までの距離を5.0, 7.5, 10.0mmの3種類で, 非接触照射した. その組織変化をパラフィン切片を作製し, 熱伝導式によって得られた温度分布と対比して検討した.
    ビームから照射表面までの距離が5.0mmでは, 組織表面からの凝固深度は, 照射時間0.5秒では0.15mm, 1秒では0.5mm, 2秒では0.75mm, 4秒では1.05mmであった.
    これらの凝固深度の測定値を熱伝導方程式に算入した結果, 照射条件を, レーザービームから組織表面までの距離を2.5mmとした場合は, 深さ1mmまで60℃になるのは, 約2秒間の照射が必要であった.
    従来行われてきた血管腫に対するレーザーを用いた非接触照射による凝固治療では, 凝固層は照射部位の表面に止まり, 内部に腫瘍が残存している可能性がある. したがって, 粘膜損傷による照射後瘢痕を回避し, 腫瘍残存や早期再発を予防するためには, 凝固治療を複数回くりかえすなどの方法を考慮すべきである。
  • 伊藤 利昭, 岡崎 茂俊, 河野 栄治, 平野 達
    2003 年 24 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    光線力学的療法 (PDT) の効率は, 光照射により発生する一重項酸素と密度に関係している. 我々は, 一重項酸素が発生する近赤外領域の微弱発光を検出することにより, 一重項酸素を直接定量できる装置を開発し, S/Nの良い発光スペクトルを短時間の積算で得ることができた. この装置を用いて次世代のPDT薬剤として期待されるATX-S10の測定を行いPhotofrinの場合と比較した. その結果, ATX-S10は同一重量濃度の溶液系においてPhotofrinと比較して20倍以上も一重項酸素発生能が高いことが示された. また吸収スペクトルの測定により, ATX-S10はヒト血清タンパクと強い相互作用を示すことが示された. このような強い相互作用をしている条件下で, 一重項酸素発生効率が高くなる至適励起波長を決定することができた.
  • 岡田 昌義
    2003 年 24 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    心臓血管外科の領域における進歩には近年めざましいものがある. この遠隔成績をみると, 最終的には細い血管の血行再建術における長期の開存率を向上させることが, 最大の関心事であるといえる。この目標に向かって, 著者は, まず血管吻合に使用する縫合糸を可及的少なくするのが得策ではないかと考え, レーザーの応用に着目した.
    まず, 基礎的研究でCO2レーザーが組織への侵襲が軽微であることを確認し, CO2エネルギーと血管壁との反応様式を詳細に検討した. その結果, 血管吻合に適切なレーザーの条件は, 出力20-40mW, 照射時間は6-12sec/mmであることが確認された. この条件をもとに側々・,端側, 端々吻合を行うことが可能であることを立証した. その他, このレーザー血管吻合部の強度試験や組織学的検討においても, 予想外に強固に癒合している事実が確認された. このような良好な基礎的研究が得られた後に, 実地臨床面にも応用したが, とくに直径4mm以下の細い血管の血行再建術には, レーザーの適応があるものと結論された. さらに, 本法における今後の動向についても考察を加えた.
  • 2003 年 24 巻 2 号 p. 93-94
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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