光線力学的診断 (PDD) および治療 (PDT) に兼用できるメタルハライドランプを開発した. メタルハライドランプの開発においては, 水銀ガスと金属ハロゲン化物, すなわちヨウ化ナトリウム (Naランプ), ヨウ化リチウム (Liランプ), ヨウ化カリウム (Kランプ), ヨウ化ルビジウム (Rbランプ) あるいはヨウ化ナトリウムとヨウ化リチウムの混合物 (Na-Liランプ) とをバルブ中に封入した. これらのランプの放射スペクトルを測定したところ, いずれのランプにおいても405, 436, 546および577nmに水銀由来の放射ピークが認められた. また, Naランプは610および612nmに, Liランプは674nmに, KおよびRbランプは780nmに, Na-Liランプは612および674nmに, 封入した金属元素に基づく特長的な放射ピークを有することが明らかとなった. これらの放射スペクトルと, PDTに用いられている各種光増感剤の最適励起波長とを比較したところ, NaおよびNa-Liランプは, それぞれHematoporphyrinおよび5-Aminolevulinic acid (ALA) に, またLiランプはN-Aspartyl chlorine e6およびATX-S10の励起に有効であることが明らかとなった. また, これらのランプを用いてファイバ型および直射型光源装置を開発した. いずれの光源装置もフィルタを用いることにより, PDD用としての400nm付近の放射ピークとPDT用としての600-700nmの放射スペクトルとに, 容易に切り替えることができた. さらに, メタルハライドランプを取り付けたファイバ型光源装置を用いて,
in vitroにおけるEL-4に対するPDT効果を確認した. その結果, Na-Liランプが最も高いPDT効果を示した. また, Na-Liランプを備えたファイバ型あるいは薩射型光源装置を用いて, 日光角化症および尋常性ざ瘡に対して臨床試験を行ったところ, いずれの症例に対しても高い治療効果を有することが確認された.
抄録全体を表示