日本レーザー医学会誌
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26 巻, 1 号
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原著論文
  • 小原 聖勇, 林 琢也, 松山 智一, 中村 伸吾, 石原 美弥, 尾關 雄一, 松井 岳巳, 高瀬 凡平, 前原 正明, 菊地 眞, 石原 ...
    2005 年 26 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
    我々はキトサンにラクトースとアジド基を導入することにより,短時間の紫外線照射により軟ゴム状ゲルに変化する光硬化性キトサンゲルを調製し,外科手術補助用生体接着剤として,閉塞性創傷被覆材としての特性を確認してきた.この光硬化性キトサンに増殖因子であるFGF-2,あるいは抗癌剤であるパクリタキセルを含有した局所薬剤担体として,またEMR時の粘膜下充填剤としての特性を検討した.FGF-2含有光硬化性キトサンゲルは糖尿病マウスの難治性創傷において,創傷治癒促進効果を認めた.ラットを用いたEMRに関する検討では,光硬化性キトサンゲルを粘膜下に注入することにより,確実な粘膜の隆起を得られ,出血量の減少を認めた.3LLを用いた腫瘍マウスにおける検討では,パクリタキセル含有光硬化性キトサンゲルの腫瘍局所投与により,有意な腫瘍増殖抑制を認めた.光硬化性キトサンゲルは薬剤担体として応用が可能であり,またEMR時の粘膜下充填剤としての可能性が示唆された.また,レーザー光の使用により,光硬化性キトサンゲルの狭小部への応用範囲が広がるものと思われた.
特集「再生医療の実現に貢献するレーザー・光技術」
  • 石原 美弥
    2005 年 26 巻 1 号 p. 19
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
  • 菊地 眞
    2005 年 26 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
    最近バイオフォトニクス/レーザー医学においては、新領域として発展する分子生物学,組織工学さらにはナノテクノロジーへの関心が高まっている.これらの新たな技術を取り入れることにより,革新的で高性能な臨床用レーザー技術の登場が期待される.
  • 有馬 祐介, 岩田 博夫
    2005 年 26 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
    人工材料表面への細胞の接着は医療やバイオテクノロジーへの応用において重要である.材料への細胞の挙動を理解するために,様々な官能基を有するアルカンチオールの自己組織化単分子膜(SAM)をモデル表面として用い,SAMへのタンパク吸着の解析を表面プラズモン共鳴(SPR)法で,細胞接着過程の観察を全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を用いて行った.材料が体液と接触すると,即座にタンパク質が材料表面に吸着し,続いて細胞接着が起こる.このため,吸着タンパクの量,組成,配向などが細胞接着に大きく影響を与える.SAM,SPR,TIRFMの3つの手法は,細胞-表面間相互作用の研究に有用であると思われる.
  • 細川 陽一郎, 松本 由多加, 山戸 俊幸, 林 克明, 大本 剛, 王 勇, 佐藤 節哉, 増原 宏
    2005 年 26 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
    我々は,顕微鏡に高強度レーザーを導入し,単一細胞のレーザートラッピングとレーザー加工を複合的に行えるシステム(バイオサイバー)を開発し,商品化に至った.顕微鏡には細胞の捕捉と加工を行なうために1064 nmの近赤外レーザーと355 nmの紫外レーザーが導入されており,それぞれの集光点の位置はコンピューターにより自動もしくは半自動で操作できるようになっている.このシステムを用いることにより,細胞と同程度の大きさでほぼ同等の屈折率を持つポリマー微小球を数分以内に5つ整列させることができた.また1064 nmの近赤外レーザーを走査することにより,この配列を維持することにも成功した.さらに,顕微鏡下に配置された微小電極間にレーザートラッピングにより卵細胞と体細胞を想定したポリマー微粒子を配列し,交流電場と直流電場を印可することにより細胞融合できることも示した.この方法により,電場印可のみで行なうよりも効率的な細胞融合が行える.次に,355 nmの紫外レーザーで不必要な細胞を破壊することにより,細胞選別を行なった.ガルバノミラーと電動ステージを駆使することにより,直径1 mmの試料容器中の細胞を2時間以内で選別できることを示した.これらの結果を基に,本装置が提供するバイオ技術の新しい可能性について総括する.
  • 石原 美弥, 佐藤 正人, 金城 永俊, 三谷 玄弥, 佐藤 俊一, 持田 讓治, 菊地 眞
    2005 年 26 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/07
    ジャーナル フリー
    再生医療において治療前診断,再生組織の品質管理,術中モニター,術後経過観察を一貫して評価できる非侵襲的評価・計測技術は必要不可欠な技術要素である.我々は非侵襲的力学特性評価法である光音響法を提案し,生体ファントムを用いて,光音響波の緩和時間が伝搬する組織固有の粘性と弾性の比に一致することを示した.今回,我々は光音響法がレーザーを導光する光ファイバーと高分子圧電素子からなる音響波のセンサーを同軸に配置したin vivoでも使用可能な反射型プローブを開発した.また,組織工学的手法を用いて作製した再生軟骨を対象にした光音響法実験では,培養期間の変化に伴う細胞外マトリックスの構築を反映した粘弾性特性を評価可能であった.関節軟骨全層欠損モデルに対する軟骨再生医療施行時の光音響法実験では,本法がin vitroでもin vivoでも有効に測定できる方法であることが実証でき,再生医療の評価法として有用な候補の一つであることが示された.
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