日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
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37 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
一般
最近の歯科におけるレーザーの応用
  • 加藤 純二
    2016 年 37 巻 1 号 p. 36
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 聡, 興地 隆史
    2016 年 37 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー

    根尖性歯周炎とは歯の根管を感染経路とした炎症性疾患であり,歯内治療とは根管内の感染源を除去し,再感染を防止する治療である.歯内治療における歯科用レーザーの応用について当分野では1985年より基礎研究を行ってきた.特にEr:YAG レーザーは硬組織切削が可能であり,周囲組織への熱的影響は少なく,殺菌効果も期待できるため,歯内治療において有用と考えられる.本稿では歯内治療の問題点を概説したのち,当分野で近年得られた歯科用レーザーの歯内治療への応用に関する基礎的あるいは臨床的研究成果を紹介する.

  • 谷口 陽一, 青木 章, 水谷 幸嗣, 和泉 雄一
    2016 年 37 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー

    歯周治療においてEr:YAG レーザーは軟組織以外にも硬組織や石灰化物の蒸散が可能であることから日常の歯科臨床に効果的に用いられている.歯周基本治療において,Er:YAG レーザーは,セメント質を保存しながらスケーリング・ルートプレーニングを効果的に行なうことが可能である.また,歯周外科治療への応用においても炎症性肉芽組織を効果的かつ安全に掻爬できることが示されている.最近,我々は既存の方法では再生困難であった骨欠損形態における歯周組織再生治療への応用として,Er:YAG レーザーによる骨欠損部の掻爬と移植骨面における血餅形成作用を用いた新たな術式を開発し,非常に良好な骨再生を確認している.本稿では,文献に基づきEr:YAG レーザーの歯周治療における効果と最近の臨床応用について紹介および解説する.

  • 古森 孝英, 榎本 由依, 北山 美登里, 小守 紗也華, 松本 耕祐, 木本 明, 竹内 純一郎, 鈴木 泰明
    2016 年 37 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー

    レーザーは口腔外科領域で広く用いられている.炭酸ガスレーザーは優れた切開・止血能を利用して,軟組織疾患の治療に用いられ良好な結果が得られている.Nd:YAG レーザーやKTP レーザーは色素依存性や深部到達性を利用して,血管奇形(血管腫)の光凝固法に用いられている.本稿では,これらの口腔外科領域でのレーザー応用の現状を,症例を呈示して紹介する.

  • 宮﨑 英隆, 伊藤 佑里子, 大城 貴史, 加藤 純二, Romeo Umberto, 野村 正, 牧口 貴哉, 小川 将, 渡辺 久, 横 ...
    2016 年 37 巻 1 号 p. 58-65
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー

    近年,大きく深部におよぶ血管病変の治療は,レーザーを用いた組織内光凝固法によって大きな成果があげられ,期待がよせられている.本法はファイバーを通じてレーザーのエネルギーを直接深部の病変に送り込む方法である.これまでに群馬大学医学部附属病院歯科口腔・顎顔面外科では33 名の口腔血管病変に対してNd:YAG レーザーを用いた組織内光凝固法を行った.当初の治療スケジュールを完遂した28名は治療後にいずれも十分な病変の退縮と整容的,機能的にも満足な結果が得られた.組織の腫脹による気道閉塞や重度の感染などの重篤な合併症は認められなかった.レーザーを用いた組織内光凝固法は,血管病変の低侵襲かつ効果的な治療法として考えられた.

  • 清水 典佳
    2016 年 37 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
    ジャーナル フリー

    歯科矯正治療は,不正咬合患者の顎や歯を再構築し,口腔や顔面の正常な機能,形態や審美性を回復する治療であるが,治療のディメリットもある.我々は歯科矯正治療のディメリットを改善するために,低出力レーザー照射の生体に対する光刺激作用を矯正治療に応用した一連の研究を行ってきた.その結果,低出力レーザー照射は上顎正中口蓋縫合急速拡大時の縫合部骨形成促進作用や,実験的歯の移動の移動促進作用があり,また,矯正用アンカースクリュー植立時には,周囲の骨形成促進作用を介してスクリュー安定性を向上した.また低出力レーザー照射の骨形成促進作用機序を検討した結果,レーザー光照射によりIGF-1やBMP のような骨形成関連因子の発現亢進を介して骨形成を活性化することがわかった.

    一方,高出力レーザーの応用では,加熱膨張性マイクロカプセルを混入した接着材で矯正用ブラケットを牛歯に接着し,CO2 レーザーでブラケットを加熱後撤去し,接着強さを測定した.5 または6 s の過熱で,非照射群に比べ0.4(4.6 MPa)-0.48(5.5 MPa)倍の接着強さに減少した.また,歯髄腔内の温度上昇も6 s 照射で平均4.3℃であり,障害を起こす温度以下であった.これらの結果から,加熱膨張性マイクロカプセルを混入した接着材とCO2 レーザーを併用することは,セラミックブラケット撤去時にエナメル質の損傷や歯痛を軽減できる安全で有効な方法であることが示唆された.

    このように低および高出力レーザーを矯正臨床に応用することで,矯正治療期間の短縮やより良質の矯正治療を提供できる可能性があると考えられる.

  • 柿本 和俊
    2016 年 37 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
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    現在,多くの歯科技工用のレーザー加工装置が市販されて,補綴装置の製作に利用されている.最も利用されているのは溶接技術である.レーザー溶接は,作業時間が短く,共金溶接が可能で,熱影響部が非常に狭く補綴装置の製作に有利である.一方で,溶接変形,割れやポロシティーの発生への注意が必要である.また,新しい製作技術であるレーザー積層造型法も注目されている.今後も補綴装置製作へのレーザーの応用法が開発されると考えられる.

  • 山﨑 崇秀, 菊井 徹哉, 横瀬 敏志
    2016 年 37 巻 1 号 p. 80-86
    発行日: 2016/04/15
    公開日: 2017/09/06
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    骨の治癒時間を短縮することは,インプラントや歯周治療などにおいて重要である.近年では,超音波およびマイクロ波などの物理的刺激が,骨の治癒を促進させることや骨再生のための強力な治療機器となることが実証されている.さらに,レーザー照射においても骨形成を刺激することが報告されている.しかしながら,レーザー照射により変化した骨の組織学的考察を報告する研究は多くない.本研究の目的は,半導体レーザー(波長910 nm)を照射し,ラット脛骨の治癒における組織学的変化を調べることである.レーザー照射は,出力を0 J,40 J,80 J,および120 J とし,ラット脛骨骨欠損部位にレーザー照射を行い,実験群を2 群に分けた.実験群1 は,各エネルギーで照射を14 日目まで毎日行い,実験群2 は21 日間の実験期間中に120 J の出力で照射を7 日目まで継続し,その後は照射を行わなかった.脛骨は3,7,14,21 日目で摘出し,連続切片とした.骨形成の骨形態計測は,H-E 染色およびカルセイン標識切片上で実施した. 実験1 において,7 日目の骨形成はレーザー照射により刺激され,さらにその効果はレーザーのエネルギーに依存していた.しかし14 日目では,骨量はレーザーのエネルギーに反比例して減少していた. 実験2 において, 7 日目までレーザーの照射(120 J)を行った脛骨は,骨修復の促進が観察され,レーザー照射された脛骨における骨形成量は,14 日目の対照群と比較して有意に多かった.しかしながら,21 日目になると,レーザー照射群と対照群間における脛骨の骨量に差はみられなかった.これらの結果より,半導体レーザー照射は骨修復過程の初期段階において骨形成を強く誘導し,そして照射エネルギーに依存していることが示唆された.しかし,骨組織への長期間の過度なレーザー照射は骨の修復過程を妨げた.半導体レーザーが骨再生に利用可能であるが,レーザーの照射時間と照射エネルギーに対する考慮が重要であると考えられる.

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