日本レーザー医学会誌
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38 巻, 2 号
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受賞論文
  • 君塚 善文, 柏木 哲
    2017 年38 巻2 号 p. 69-74
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    ワクチンは感染症予防において最も有効な予防方法である1,2.人類はその恩恵を受け,多くの人命が潜在的な死から救われてきた.しかし,人類の活動域が拡大し,移動の速度があがるにつれて既存の感染性疾患のみならず,再興・新興感染症など新たな脅威が次々と人類へ迫っているが,それに対抗する効果的なワクチンの開発は追いついていないのが現状である.その一因として既存のワクチンは副作用への懸念から病原体成分が削り取られ,免疫誘導性は低下していることが挙げられる3-7.その結果,現在のワクチンの効果は十分ではない.人類はワクチンに革新的な発想に基づく改良を加える必要に迫られている.

    特定の条件の光をワクチン接種部位に前もって照射することで,ワクチン効果を増強する免疫賦活化剤(アジュバント)として利用できることは,1970 年代冷戦下のソビエト連邦の軍事施設で密かに研究されてきた.光という物理的作用が免疫の調整をはじめとする生理的作用に変換される機序の全容は未だに明らかではなく,今後の研究の展開が期待される.今回は本技術の臨床応用に向けた我々の取り組みを紹介したい.

臨床各科で使う炭酸ガスレーザー
  • 山田 裕道
    2017 年38 巻2 号 p. 75
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
  • 滝澤 利明
    2017 年38 巻2 号 p. 76-81
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    我が国における炭酸ガスレーザーメス実用機開発の研究は高度に出血性の脳腫瘍の無血的除去を目指して始まった.既存の実験機で動物実験を行い,炭酸ガスレーザーはその目的を達成するのに必要な医学生物学的特性を十分に持っていることを確認した後,手術室で十分に使える実用機の開発を行った.動物実験用の試作1 号機から始めて,臨床用試作2 号機を作成し,更にその欠点をことごとく改めることにより最終的な実用機を完成した.このMEDILASER-S MODEL MEL-442 は1980 年4 月22 日に厚生省の製造承認を受け,国産初のレーザーメスとなった.

  • 松浦 祐司
    2017 年38 巻2 号 p. 82-86
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    中空光ファイバーは,ガラス細線で構成された通常のガラス光ファイバーとは異なり,細管状の構造をしており,その中空部を光が伝送する.つまり,赤外光を吸収しない空気を光が伝搬するため,ガラスの材料吸収が問題となりガラス光ファイバーでは伝送が不可能なCO2 レーザーなどの中赤外光を伝送することが可能である.一般的な中空光ファイバーはガラス細管を母材としており,その内面に金属膜および中赤外光に対して透明なポリマー薄膜などを設けることにより,薄膜内での光の干渉を利用して反射率を増加させ,特定の波長域に対して中空光ファイバーの伝送効率を向上させることが可能である.ガラス細管内面への金属膜形成には一般的な無電解メッキが用いられ,金属成膜後にポリマー溶液を細管内に流入・乾燥させることにより,内面にポリマー薄膜を形成する.CO2 レーザー光用中空光ファイバーの透過率は内径0.7 mm,長さ1 m の直線状ファイバーの場合,90% 以上であり,ファイバーを曲げることにより若干透過率が低下するものの,実用システムとしてはほぼ問題なく高効率伝送が可能である.

  • 山田 裕道
    2017 年38 巻2 号 p. 87-91
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    レーザー機器全体からみると炭酸ガスレーザーは気体レーザーであり,遠赤外線レーザーであり,高出力レーザーであり,連続照射レーザー兼パルスレーザーであり,安全規格ではクラス4 レーザーに分類される.この炭酸ガスレーザー自体をさらに照射様式別,診療科別,厚生労働省の認可別につき細分化して,12 種の機器を紹介した.

  • 宮田 信之, 和田 浩卓, 杉山 樹里, 岡田 栄一
    2017 年38 巻2 号 p. 92-96
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    炭酸ガスレーザーの進化により,眼科でもその使用が徐々に普及してきている.眼科では,眼瞼下垂症,眼瞼内反症,眼瞼周囲の皮膚腫瘍切除など白内障や緑内障などの内眼手術ではなく,外眼部を中心に使用されている.眼球では角膜への誤照射により強い乱視がでる可能性がある.しかし,角膜保護シールドを併用し角膜に十分に注意して照射することで結膜弛緩症や結膜腫瘍にも使用されはじめている.眼科ではどのような疾患に炭酸ガスレーザーが使用されているか実際の症例の術前,術中,術後を提示し解説する.炭酸ガスレーザーを使用した手術は従来のメスとバイポーラによる手術に比べ,出血が少なく手術時間も大幅に短縮され,鮮明な術野のもと確実な手術ができる.

    今後,眼科でも急速に普及していくものと思われる.

  • 鈴木 康弘
    2017 年38 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    レーザー治療は,耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域に限らず,幅広い診療科で用いられている治療法であると思われる.今回,耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域で用いられている炭酸ガスレーザー治療について,部位別・疾患別に,滲出性中耳炎,耳硬化症,アレルギー性鼻炎,咽頭喉頭表在癌などを解説した.耳鼻咽喉科・頭頸部外科に馴染みのない先生方にも,ご理解いただければ幸いである.

  • 三宅 清彦, 田部 宏, 馬屋原 健司, 田中 忠夫, 坂本 優
    2017 年38 巻2 号 p. 102-105
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    婦人科領域における炭酸ガスレーザーを使用した蒸散術(以下 レーザー蒸散術)は主に子宮腟部びらん,子宮頸部異形成上皮,上皮内癌,尖圭コンジローマ,バルトリン腺嚢胞などに施術され適応範囲は広い.レーザー蒸散術は,患者に対する侵襲および合併症が軽度であることから一般外来治療としても普及した治療法となっている.今回,自験例も含めた子宮頸部異形成に対するレーザー蒸散術を中心に述べる.

  • 岡田 昌義
    2017 年38 巻2 号 p. 106-113
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    現在,虚血性心疾患に対しては,内科的に経皮的冠動脈形成術,ステント内挿術や外科的に冠動脈バイパス手術が行われている.ところが,冠動脈が全体に細すぎると,このような手技が不可能なことがある.このような末期的虚血性心疾患の場合には,左室の表面から心筋内貫通孔を開けて,虚血性心筋部を動脈血で循環することによって心筋の虚血をよみがえらせるのではないかと考えた.これが, いわゆる,心筋内血管形成術(Transmyocardial laser revascularization, TMLR)である.1985 年11 月12 日に臨床例で本法単独の世界初の成功例を得た.

    次いで,CO2 レーザーを用いる血管吻合である.細い血管吻合には,異物反応を起こす縫合糸を可及的少なくするのが良いのではないかと考えた.その出力は,20-40 mW,照射時間6-12 sec/mm が最も良い条件であった.また,吻合部の耐圧試験や抗張力試験などでも十分に吻合部の強度があることが判明し,臨床例に応用した.吻合部は,冠動脈部をはじめ,下肢の動静脈に多数応用され,好結果を得た.

  • 中島 京樹
    2017 年38 巻2 号 p. 114-119
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    現在歯科領域で承認をされている炭酸ガスレーザーは,波長10,600 nm のみである.このレーザーの口腔病変への応用として,膿瘍切開,慢性歯冠周囲炎,メラニン色素沈着歯肉,小帯切除,腫瘍切除,歯科Implant 植立後の2 次手術,萌出困難歯の歯肉開窓,口内炎への応用,歯肉弁切除,歯肉蒸散形態形成,不良肉芽組織の蒸散,炎症性浮腫組織の蒸散,歯の知覚過敏症治療などがある.本稿ではこれらのうちから,いくつかを紹介する.

  • 渡邊 正俊
    2017 年38 巻2 号 p. 120-123
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    近年,技術の進歩により小型で操作性に富んだレーザー装置が開発され,一般の動物病院にも普及するようになった.また,クオリティー・オブ・ライフの向上を目指した低侵襲治療という考えが重視され,中でも過剰な出血や熱反応の少ない炭酸ガスレーザー手術が主流を占めるようになった.本稿では,獣医学領域における炭酸ガスレーザーについて,小動物ならではの選択的手術である抜爪術について症例を交え解説する.

  • 遠藤 英樹
    2017 年38 巻2 号 p. 124-129
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    炭酸ガスレーザーは組織切開能に優れ,切開面の熱変性および出血が少なく,創傷治癒が早い特性を有する.皮膚科形成外科領域では脂漏性角化症,軟線維腫,色素性母斑などといった皮膚腫瘍の治療に多用されている.シングルパルス,リピートパルス,連続波に加えスーパーパルス,ウルトラパルス,スキャンモード機能が付いた機器もあり出力・パルス幅・スポットサイズを巧く調節して治療することが出来る.各種モードが設定可能な炭酸ガスレーザー機器が,患者や疾患の性状に合わせて調節できることはとても有用である.

  • 大城 貴史, 大城 俊夫, 佐々木 克己, 崎尾 怜子
    2017 年38 巻2 号 p. 130-135
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    2004 年以降,各種フラクショナルレーザー治療機器が開発され,皮膚科・形成外科領域においてフラクショナルレーザーリサーフェシングは必要な治療手技になってきている.フラクショナル炭酸ガスレーザーは各種瘢痕治療や老化に伴う皮膚に対する治療として臨床使用されてきている.本稿では,フラクショナル炭酸ガスレーザーの臨床使用について,機器性能,適応,治療の実際,合併症について解説する.

歯周治療におけるレーザー応用の現状
  • 青木 章
    2017 年38 巻2 号 p. 136
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー
  • 福田 光男, 箕浦 伸吾, 今田 奨, 眞岡 淳之, 赤堀 康, 多湖 準, 三輪 晃資, 青木 恒宏 , 渡辺 智久, 丁 群展, 三谷 ...
    2017 年38 巻2 号 p. 137-144
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    日本人の高齢化が進むにつれ,高齢者が基礎疾患をかかえ服用薬が増加するため,非侵襲的かつ非外科的な歯周治療法の重要性が増してきている.

    歯周治療の目的は歯周病の主因子である歯周ポケット内のバイオフィルムを除去することにある.従来のスケーラーを用いた非外科的な歯周治療法の欠点は,歯周ポケット底部への到達度が十分ではないことである.レーザーファイバーは,従来の器具(スケーラー)よりポケット底部への到達性が優れているため,バイオフィルムの除去効果が期待される.一方,レーザーでは,熱の発生という問題点がある.

    そこでここでは,レーザー治療が従来の歯周治療に比べ優れている点およびレーザー使用にける考慮すべき点などについて述べることとする.

  • 沼部 幸博, 村樫 悦子
    2017 年38 巻2 号 p. 145-152
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    Nd:YAG レーザーは,近赤外線領域である1,064 nm のレーザー波長を有し,そのレーザー光は水に吸収されない特性から組織中の水分に影響されることなく組織深部へ到達する,すなわち組織透過型のレーザー機器である.Nd:YAG レーザーは照射出力,時間および距離などの照射条件の違いにより,照射される組織に与える影響が異なり,この特徴を生かすことで様々な治療とその効果が報告されている.そこで本稿では,Nd:YAG レーザー照射による歯周組織を構成する細胞への生物学的効果について,いくつかの学術論文を引用して概説する.

  • 吉田 格
    2017 年38 巻2 号 p. 153-157
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    歯科領域で頻用される半導体レーザーは,波長810 nm のものである.その波長特性は水分に影響されず,色の濃い物質に吸収され温熱効果を発現することである.理論的には生体に照射すると表層を透過し深部にまで達する.しかしチップ先端で生じる連続する乱反射により,チップ自体も高熱を発する.したがって組織がファイバーと接触すると,レーザーが組織に吸収され発熱する以前にチップの熱が先に組織に伝導し,切開や蒸散が発現する.装置は小型・軽量・省電力で,石英ファイバーにて導光されるのが一般的である.軟組織切開に頻用され,特に歯肉の細かい整形性に優れる.また低出力時においては治癒促進や疼痛緩和作用が発現する.以上を踏まえ,本稿では歯周治療における半導体レーザーの現状と可能性について考察する.

  • 小松 康高, 両角 俊哉, 吉江 弘正
    2017 年38 巻2 号 p. 158-166
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    昨今,歯周炎は全身疾患との関連性が注目され,歯周組織局所の軽微な慢性炎症とその後の一過性の菌血症が原因として考えられている.菌血症は,歯周治療を含む様々な歯科処置において発生している.これまで必要に応じて抗菌薬の予防投与などがなされてきたが,その効果は完全ではなく,長期投与による耐性菌や菌交代現象など副作用の問題もあった.Er:YAG レーザーは水への吸収特性が極めて高く,軟組織のみでなく硬組織への応用が可能で,幅広く歯周治療に応用されている.本稿では,Er:YAG レーザーの歯周治療への応用と菌血症予防の可能性について解説する.

  • 青木 章, 水谷 幸嗣, 谷口 陽一, 小牧 基浩, 江尻 健一郎, 三上 理沙子, 和泉 雄一
    2017 年38 巻2 号 p. 167-178
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    近年,歯周治療においては,新しい治療手段として各種のレーザーの臨床応用が進んでいる.Er:YAG レーザーは,熱による組織ダメージが少なく,創傷治癒を妨げずに軟組織と硬組織の蒸散が可能であるため,歯周治療に最適なレーザーである.これまでEr:YAG レーザーの歯周ポケット治療への応用では,従来法に対して有意に高い効果があるとする報告がいくつか認められるが,レーザーの照射法や照射条件の相違により,その評価は一定していない.本総説では,これまでに報告された臨床研究をレビューすると共に,従来の術式にEr:YAG レーザーを複合的に併用する私たちの新たな術式を紹介する.

  • 吉野 敏明
    2017 年38 巻2 号 p. 179-185
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    現在,歯科領域でも最も困難な再生療法の症例として,3 度の根分岐部病変が存在する.近年,歯科用内視鏡が開発され,分岐部にデンタルミラーを使うことなく,直視で観察しながら治療することが可能となった.この内視鏡にEr:YAG レーザーを併用し,健全なセメント質を温存しながら根面処理が可能であり,より予知性の高い根面組織の再生が可能となった.本術式にて,3 度の分岐部病変の再生療法を行い,良好な結果を得たので報告する.

  • 大浦 教一, 原田 秀逸
    2017 年38 巻2 号 p. 186-191
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2017/10/10
    ジャーナル フリー

    CO2 レーザーは波長10.6 μm の組織表面吸収型レーザーで歯科医療用として優れた特性を備えているが,歯周治療において歯石除去や歯・骨蒸散という硬組織への直接的照射には応用されにくいとされていた.しかし,遠赤外線効果によって線維芽細胞を活性化しコラーゲンの合成促進により創傷治癒を促進する.また,細胞増殖因子としても働き,毛細血管の活性化細胞増殖因子の産生を亢進する.CO2 レーザーを歯周治療に応用することにより,消炎・鎮痛,創傷治癒,歯周組織再生を促進させることが期待される.本稿では,厚生労働省に2016 年に認可された高出力CO2 レーザー応用の症例を含め,歯周治療へのCO2 レーザー応用の有効性を議論する.

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