日本レーザー医学会誌
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40 巻, 1 号
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会告
第38回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
総説
  • 小川 恵美悠, 相吉 英太郎, 荒井 恒憲, 大谷 圭志, 臼田 実男, 前原 幸夫, 今井 健太郎, 工藤 勇人, 小野 祥太郎, 池田 ...
    原稿種別: 第38回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
    2019 年40 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/03/30
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    我々は光線力学的治療におけるタラポルフィンナトリウム静注後の皮膚光線過敏症発症リスクを定量評価することを目指し,in silico薬物動態モデルを構築することでヒト皮膚組織中薬剤濃度変化の推定を行なった.光感受性薬剤として臨床応用されているタラポルフィンナトリウムは,投与後2週間500ルクス以下の室内で過ごす遮光が定められている.遮光期間は入院を規定するものではないが,現実には2週間の入院観察を行うことが多い.患者の負担および医療コストを削減するために,退院時期決定および在宅管理に関する科学的エビデンスの構築が必要である.本研究では,皮膚光線過敏症発症リスクの高い時間帯を明らかにし,組織内濃度上昇の前に退院,遮光が必要な期間を自宅で過ごすことで入院期間を短縮することを提案し,がん患者のQuality of Life(QOL)改善を目指す.我々は経皮的薬剤蛍光計測システムを用いて,東京医科大学病院および日本医科大学付属病院において皮膚組織中薬剤蛍光計測の臨床研究を実施した.タラポルフィンナトリウムのSoret帯吸収を青色LED(波長409 ± 16 nm)で励起し,タラポルフィンナトリウム蛍光を計測することで皮膚組織中薬剤濃度を評価した.本研究では臨床結果を説明する薬物動態モデルの構築により連続的に皮膚組織中薬剤濃度を推定し,皮膚光線過敏症発症リスクの高い時間帯を明らかにした.

一般
原著
口腔領域の組織の治癒再生におけるレーザー・LED 応用の現状
総説
食道癌に対するPDT
原著
  • 天沼 裕介, 堀松 高博, 大橋 真也, 玉置 将司, 武藤 学
    原稿種別: 原著
    2019 年40 巻1 号 p. 57-61
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/02/23
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    化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残・再発食道癌に対するタラポルフィンナトリウム(レザフィリン®)および半導体レーザを用いた光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)が2015年10月に薬事承認され保険収載された.当院では薬事承認後の2015年10月から2018年6月までに初回のレザフィリンPDTを28例に施行し,局所完全奏効率(L-CR率)は53.6%(15/28例)であった.特にPDT前の超音波内視鏡検査で深達度T1bと診断した症例でのL-CR率は60%(12/20例)であった.1例に食道気管支瘻が発生した.レザフィリンPDTは化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残・再発食道癌に対するサルベージ治療の選択肢として有用であると考えられる.

総説
  • 玉置 将司, 大橋 真也, 廣橋 研志郎, 吉岡 正博, 天沼 裕介, 武藤 学
    原稿種別: 総説
    2019 年40 巻1 号 p. 62-66
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/02/22
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    光感受性物質タラポルフィンナトリウム(レザフィリン®)を用いた光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)(以下,タラポルフィンナトリウムPDT)は,その高い腫瘍集積性や,使用するPDレーザ®(波長664 nm)の良好な組織透過性によりすぐれた治療効果が報告されている.タラポルフィンナトリウムPDTは既に保険収載されている早期肺癌,原発性悪性脳腫瘍に続き,化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残・再発食道癌に対する有用性が示され2015年10月に保険収載された.PDTの最大の問題点は光感受性物質投与後に太陽光など高照度の光に曝露されると皮膚に紅斑,水疱,色素沈着等の光線過敏症をきたすことである.タラポルフィンナトリウムは従来使用されてきたポルフィマーナトリウム(フォトフリン®)と比較し,より光線過敏症の発生頻度が低く,推奨される遮光管理期間も大幅に短縮されている(2週間vs 1カ月間).しかしタラポルフィンナトリウムによる光線過敏症の合併症はこれまでの臨床試験においても少なからず(0–14.8%)報告されており,光線過敏症への対策は必須である.本稿ではタラポルフィンナトリウムPDT施行後の光線過敏症対策に関し,当院における遮光管理や光線過敏性試験の具体例を呈示し概説する.

  • 荒井 恒憲, 小川 恵美悠, 臼田 実男, 大谷 圭志, 前原 幸夫
    原稿種別: 総説
    2019 年40 巻1 号 p. 67-71
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/03/05
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    レザフィリンによる光線力学的療法(Photodynamic Therapy: PDT)は2015年に局所遺残再発食道癌における新たな選択として,早期肺がん,悪性脳腫瘍に続き保険収載となった.PDTにおいては,皮膚に残留した光感受性薬剤によって生じる光線過敏症とその対策が今もって課題である.光線過敏症リスクを回避するためにレザフィリンの場合2週間の遮光期間が規定されているが薬剤の代謝には個人差があり,この期間は代謝の遅い患者に安全である様に定められたものである.この遮光期間は入院を意味するものではないが,実際には入院観察が行われることが多い.このため代謝の速い患者においては,冗長な入院を強いている可能性がある.そこで我々は皮膚に残留したレザフィリン量を蛍光計測により定量的かつ経時的に計測可能なモニタリングシステムを開発した.現状の定性的な日焼け症の判定方法は薬剤の添付文書に定められたものでありその改定はハードルが高いが,定量的な評価の実現は,患者のQOL改善および医療コスト削減の両方のメリットを生むものであるから,推し進めて行くべきであると考えている.

  • 山本 佳宣, 三村 卓也, 櫛田 早絵子
    原稿種別: 総説
    2019 年40 巻1 号 p. 72-76
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/02/16
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    レザフィリンPDT(photodynamic therapy)は,光感受性物質であるレザフィリンと半導体レーザーを組み合わせた治療である.皮膚光線過敏症を予防するため,レザフィリン投与後は一定の遮光期間が必要である.またPDT後2ヶ月間は,症状および内視鏡所見の注意深い観察も必要である.本稿では,レザフィリンPDTのこれら患者管理について概説する.

原著
  • 東野 晃治, 福田 弘武, 嶋本 有策, 河野 光泰, 中川 健太郎, 大森 正泰, 松野 健司, 岩上 裕吉, 井上 俊太郎, 岩坪 太郎 ...
    原稿種別: 原著
    2019 年40 巻1 号 p. 77-81
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/03/05
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    2005年9月から2018年4月までに当院で食道癌に対して光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)を行った症例のうち,PDT後遺残再発食道癌に対して再PDTを行った16症例を対象に検討を行った.これらの症例は全て(化学)放射線療法後再発例であった.初回PDT前の病変深達度は,T1(12例),T2(4例)であった.初回PDT後,T1症例7例は一旦完全奏功となった後に再発し,T1症例5例とT2症例4例は癌が遺残した.再PDT前の病変深達度は,T1(12例),T2(4例)で,再PDTによる局所完全奏功率は,T1(75%),T2(0%)で全体では56.3%であった.有害事象として拡張術を要する食道狭窄を37.5%(6/16)に認めた.以上より,PDT後の遺残再発病変でも,T1病変では再PDTにより完全奏功が期待できると考える.

泌尿器癌における光線力学技術
原著
総説
  • 中井 靖, 藤本 清秀
    原稿種別: 総説
    2019 年40 巻1 号 p. 87-92
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2019/04/25
    [早期公開] 公開日: 2019/02/28
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    前立腺癌に対する光線力学技術は,光線力学的療法(Photodynamic therapy: PDT)と光線力学的診断(Photodynamic diagnosis: PDD)に分けられる.PDTは,癌細胞へ特異的に取り込まれる光増感物質に対して治療を行うcellular-targeted photochemotherapyから,血管内の光増感物質に光を照射し,血流を遮断することで抗腫瘍効果を示すvascular-targeted photochemotherapyに移行しており,WST-11を用いた第III相試験で前立腺癌のfocal therapyとしての有効性が示され,臨床応用が期待されている.診断においては,5-アミノレブリン酸を用いた試みが行われているが,さらなる症例の蓄積が必要な段階である.本総説では,前立腺癌に対する光線力学技術について述べる.

原著
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