日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
Print ISSN : 0288-6200
ISSN-L : 0288-6200
43 巻, 4 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
会告
一般
原著
  • 安武 いずみ, 渡辺 あずさ, 山住 彩織, 竹中 由衣, 余川 陽子, 沢辺 優木子, 玉城 善史郎, 渡邊 彰二
    原稿種別: 原著
    2023 年 43 巻 4 号 p. 209-212
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/12/22
    ジャーナル フリー HTML

    皮膚レーザー治療において眼球保護具の装着は必須だが,小児の治療では安静が得られずその固定は困難である.貼付型眼球保護具(METRASアイパッチ,メトラス社)は,眼球周囲に密着するため,小児患者の眼球保護に有用と思われるが,過去同製品の小児における使用報告はなく,検討を行った.有効な回答が得られた貼付群109例,非貼付群59例のうち,貼付群の4例で発赤や発疹の訴えがあった.発生率に両群間で有意差はなく,いずれも軽症であった.貼付型眼球保護具は皮膚が脆弱な小児にも安全に使用でき,またディスポーザブルで消毒作業の負担が軽減され,診療効率の向上にも寄与すると思われる.

症例報告
耳鼻咽喉科領域における最新のレーザーの進歩
総説
  • 神崎 晶
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 218-220
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/12/29
    ジャーナル フリー HTML

    1)聴覚は,音波の伝導を利用しており,その振動を測定するツールが必要である.保険適用はないものの,レーザードップラーを用いることで中耳や内耳への振動をリアルタイムに計測することが可能であり,手術法の開発に有効である.海外でもご遺体を中心に解析が多く報告がされている.2)レーザー治療として,鼓膜切開,アブミ骨手術などの中耳手術において,耳小骨に振動を与えずに,蒸散,焼灼することが可能である.

  • 尹 泰貴, 朝子 幹也, 岩井 大
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/11/12
    ジャーナル フリー HTML

    アレルギー性鼻炎は,本邦では有病率が50%に迫る疾患であり,大きな社会問題となっている.治療法としては,抗アレルギー剤を主とした薬物療法が第一選択として挙げられるが,治療効果が不十分な症例に対しては手術加療が選択される.その中でも,CO2レーザーを使用した下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術は低侵襲であり,患者への負担も少ないことから選択されやすい手術方法である.今回,下鼻甲介レーザー焼灼術の実際を,症例提示を含め報告する.

  • 千年 俊一
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 226-230
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/11/12
    ジャーナル フリー HTML

    世界的な人口の高齢化に伴い嚥下障害患者は増加傾向にある.嚥下障害のうち食道入口部機能不全に対する最も効果的な治療に外科療法の一つである輪状咽頭筋切断術がある.近年の輪状咽頭筋切断術では,従来の頸部外切開法に比べ,より低侵襲なアプローチ法として内視鏡下輪状咽頭筋切断術(endoscopic cricopharyngeal myotomy: ECPM)が普及してきた.CO2レーザーを使用したECPMは,食道入口部を開大させ嚥下時の食物通過を容易にすることのできる経口的手技である.本稿では,ECPMにおけるCO2レーザーの特徴とマイクロマニピュレーターを使用したその手技について概説する.

  • 水足 邦雄
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー HTML

    爆傷による被害は,近年地域紛争の増加にともない戦場における兵士の受傷(イラク,シリアなど)が問題となっているだけでなく,小型爆弾を用いたテロリズムに増加(ボストン,マドリードなど)により一般市民にも影響が及んでいる.爆傷による衝撃波の影響は全身に及ぶが,特に空気と接する組織である耳は最も高頻度に障害を受ける臓器である.特に,軽症の頭部外傷にもかかわらず様々な症状(耳鳴・難聴・不眠・不安・鬱など)を呈する患者が多数報告されており問題となっているが,その病態はほとんど明らかになっていない.そこで我々は,レーザーにより誘起した衝撃波を内耳へ照射することで,爆傷による内耳障害を再現するラットモデルを作成し,その病態解明を行ってきた.本モデルは,他の爆薬や圧縮空気を用いた爆傷モデルと比べて,その再現性・安全性・簡便性において優れ,また鼓膜穿孔が起こらないため内耳障害特異的な評価が可能である.その結果,爆傷による内耳障害はエネルギー依存性に強くなることが明らかとなった.特に,聴毛の形態異常が生じるエネルギーが負荷されると,有毛細胞脱落がなくとも聴力域値上昇が生じ,感音難聴を呈することが明らかとなった.一方で,シナプスリボンやらせん神経節に減少がみられる程度のエネルギーでは,一過性の聴力域値上昇を認めるのみであった.このような一過性域値上昇は臨床においても爆傷受傷後にしばしばみられるが,このような症例では耳鳴が残存することが多いことが知られている.このような軽度の聴覚障害に伴う耳鳴は,本研究でみられるようなシナプスリボンやらせん神経節の減少によって引き起こされる,いわゆるhidden hearing lossが関わっていることが強く示唆された.

高知大学医学部光線医療センターから発信する光線医療の魅力
総説
  • 小倉 俊一郎, 中山 沢, 山本 新九郎, 福原 秀雄, 花﨑 和弘, 井上 啓史
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 238-248
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/11/29
    ジャーナル フリー HTML

    5-アミノレブリン酸(ALA)は生体内で合成されるアミノ酸の一種であり,ポルフィリンやヘムの前駆体である.がん患者にALAを経口投与した場合,腫瘍特異的なプロトポルフィリンIX(PpIX)の蓄積が認められる.ポルフィリンが蛍光物質であること,さらには可視光照射下において活性酸素種を発生させることを利用して,がんの光線力学診断(ALA-PDD)や光線力学療法(ALA-PDT)へ応用されている.休眠がん細胞は,腫瘍内の微小環境などの影響によって,細胞増殖が抑制されたがん細胞である.周囲の環境変化により再増殖をするうえ,化学療法や放射線療法に対して抵抗性を持つため,がんの再発と密接な関わりがあると考えられている.本研究では,ヒト前立腺がん由来細胞株PC-3を用いて,細胞密度に着目したin vitroにおける休眠がん細胞モデルを構築した.また,休眠がん細胞モデルにおけるALA添加後のPpIX蓄積およびPDT感受性の評価を行い,休眠がん細胞のALA-PDTに対する感受性が高いことを示した.さらに,休眠がん細胞モデルに対してマイクロアレイ解析を行うことにより,休眠状態への移行に付随して脂質代謝が亢進することを明らかにした.Acyl-CoA synthetase(ACSs)の抑制剤(triacsin-C)を添加することによって,PpIX蓄積が減少し,ALA-PDTに対する感受性が低下した.以上のことから,休眠状態への移行に付随するALA-PDTの殺細胞効果の亢進は,脂質代謝の亢進と相関するものであることが判明した.

  • 川西 裕, 福田 仁, 上羽 哲也
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/12/10
    ジャーナル フリー HTML

    5-アミノレブリン酸(5-aminolevulic acid: 5-ALA)を用いた光線力学診断(photodynamic diagnosis: PDD)は,代謝産物であるprotoporphyrin IX(PpIX)が腫瘍細胞に選択的に蓄積することで,腫瘍細胞の存在を簡単かつリアルタイムに示すことができるため,悪性神経膠腫の摘出術において非常に有用である.タラポルフィンナトリウムと半導体レーザーを用いた光線力学療法(photodynamic therapy: PDT)は,浸潤した機能的脳領域に対する細胞選択的で侵襲性の低い治療法であり,悪性脳腫瘍の新規治療として期待されている.脳腫瘍の外科治療において行われる,光線力学診断,光線力学療法について概説する.

  • 中島 英貴
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 254-258
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/09/16
    ジャーナル フリー HTML

    皮膚病に対する光線医療はPUVA療法,ナローバンドUVB 療法,エキシマライト,エキシマレーザーがあり,白斑・乾癬・サルコイドーシス・皮膚リンパ腫における局所治療の中心である.さらに色素性病変に対するアレキサンドライトレーザー,血管病変に対する色素レーザーは外見の改善とともに心理的治療効果が大きく患者のQOL 改善に寄与している.

  • 並川 努, 井上 啓史, 佐藤 隆幸, 花﨑 和弘
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 259-263
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/09/22
    ジャーナル フリー HTML

    5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光線力学診断(PDD)は視覚的に腫瘍の局在を明瞭にすることが可能で,インドシアニングリーン(ICG)蛍光法は,肉眼では見ることのできない生体深部情報を非侵襲的に観察することができる.鏡視下手術を含めた消化器外科領域の様々な診療においてこれらの光線医療技術を併用することで,安全な低侵襲手術実施への貢献,診断精度および治療成績の向上が可能であり,さらなる普及が期待される.

乳児血管腫の治療最前線
総説
  • 三石 剛, 宮田 和法, 島村 明里, 豊澤 優衣, 宇佐美 圭恵, 黒田 早恵, 佐藤 有子, 濱田 洋通
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 265-274
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー HTML

    東京女子医大八千代医療センター及びさいたま赤十字病院で診療した乳児血管腫(infantile hemangioma: IH)207例中,頭部・顔面IHの79例に対して波長595 nmのパルス幅可変式色素レーザー照射あるいは薬物治療としてプロプラノロール内服治療,その併用である‘ハイブリッド療法’を生命予後を脅かす部位や機能障害を残す部位のハイリスクIH症例らに対して治療を行なった.また頭部・顔面以外の重篤な後遺症を残さないIHで経過観察を行なった症例と何らかの治療を行なった頭部・顔面IH症例の12週間後,24週間後の改善を5項目のrating scaleで評価し,統計学的に比較検討した結果,治療群では24週間後には経過観察群と比較してIHの改善に有意な差が認められた.従って重篤な後遺症を残さないためにも頭部・顔面IHに対しては積極的にレーザー治療,薬物治療を取り組むべきであると考えられた.

  • 神人 正寿
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 275-278
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/04/23
    ジャーナル フリー HTML

    本邦でも乳児血管腫に対してプロプラノロールが使用可能となり,それまで治療に難渋してきた生命や機能を脅かす病変,多発・広範囲の病変,増殖が急激な病変,皮下型の病変,潰瘍を形成する病変などに対する治療選択肢が広がった.一方,生後5.5~7.5週でもっとも急速に増大し,5ヶ月までにピーク時の80%の大きさに達するとされる本腫瘍に対し,プロプラノロール治療介入のタイミングに関してはいまだ臨床現場において完全には意見が定まっていない.

    本稿では乳児血管腫に対するプロプラノロール治療の考え方とそのタイミングについて,最新の議論を紹介したい.

  • 野村 正, 武田 玲伊子, 寺師 浩人
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 279-284
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/11/04
    ジャーナル フリー HTML

    体表における乳児血管腫退縮後の後遺症は,毛細血管拡張症,線維脂肪組織の残存,皮膚萎縮や余剰皮膚,瘢痕が挙げられ,比較的高率に生じる.毛細血管拡張症に対してはパルス可変式色素レーザーが有効である.線維脂肪組織の残存,皮膚萎縮や余剰皮膚や瘢痕については外科的治療が必要である.患者の負担軽減のために,いかに後遺症を減少させるかという課題に関しては,今後さらなる研究が必要である.

  • 馬場 直子
    原稿種別: 総説
    2023 年 43 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 2023/01/15
    公開日: 2023/01/15
    [早期公開] 公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー HTML

    乳児血管腫は自然退縮をきたすが,消失は不完全で,経過中の合併症や後遺症が多いことが問題となる.従来治療はステロイド内服または局注,レーザー治療,圧迫療法などが行われてきたがいずれも効果の満足度は高くなかった.2008年にプロプラノロール治療効果が報告されて以降,プロプラノロール内服治療が乳児血管腫の第一選択肢となってきた.一方,色素レーザー治療は腫瘤の早期縮小効果は少ないが,皮膚表面の血管を破壊し退色効果が得られるため,隆起の少ない局面型や,プロプラノロールが副作用や合併症のために内服できない場合など,現在も頻繁に選択されている.さらに,プロプラノロール内服とレーザー治療の併用も多くの施設で行われており,特に巨大な重症例や,露出部にあり整容的問題が大きい場合などには相乗効果を期待して併用されている.当科での治療経験を供覧しながら乳児血管腫治療の変遷を振り返り,プロプラノロール・レーザー併用療法の適応と意義,今後の課題について考える.

がん治療における術中蛍光イメージングの発展
総説
原著
総説
feedback
Top