四肢の微小循環を捌定する目氏で, 体内に静注された色素の濃度変化を持続的に測定するためのレーザーダイオード (以下LDと略す) 色素計を試作した。従来のランプ型色素計と比較し, 測定精度が良好であることが判明し, 臨床応用を試みた。測定装置は光源として784nmの光を出すAIGaAsレーザーダィオード, 940nmの光を出すGaAs発光ダィオードを用いた。受光素子として指向性±10°のSiフォトトランジスタを使用した。Transdqcerで信号を検出し, パルス電源, 信号検出回路, 増幅器からなる主装置およびA/D変換器を介してマイコンに表示, floppy disc駆動装置でデータを表示, またデータを蓄積した。記録はX-TレコーダーまたはX-Yプロッタ-で画記した。測定対象は末梢循環障害患者16例を破験者とした。診断はビュルガー病, 閉塞性動脈硬化症, 下肢リンパ浮腫で, 男10例, 女6例, 平均年令51歳であった。測定方法は室漏23.2℃の恒橸室内に10分以上安静臥位にさせた。測定部位 (下腿, 足背) に2つのtransducer (一つはLD型, 他はランプ型) を隣接して装着し, これを夫々の色素計に連結した。前腕静脈よりインドシアニングリーンを静注し, 5分間色素曲線を反覆記録した。患側と健側, Ca
2+拮抗薬静注前後, 一定期聞加療前後の循環状態を比較検討した。LD色素計とランプ型色素計と比較検討した結果前者は後者に比し光源のスペクトル巾が狭く, 指向性があり, 分解能が高く, 出力が小さく, 熱の影響がなく, 受光部の感度が高い利点があった。また色素曲線の再現性がすぐれていた。末梢循環障害の程度は主幹動脈の閉塞の部位と範囲とは必ずしも一致せず, 色素曲線であらわされる単位時間中の色素濃度の程度と希釈速度に左右されていた。薬剤, および外科手術などの治療前後の所見から末梢循環障害の改善評価に有用な測定方法であることが判明した。
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