一般健康者と患者の神経質傾向の相違比較についての結果を要約すれば,
1) 神経質傾向は全体をとおして患者群が高く, emotionよりはhealthにおおくみられる.すなわち, 男H=4, E=3, 女H=5, E=3となる (50%以下の項目数の集計) .これに対し, 一般健康者群は, 男H=2, E=0, 女H=2, E=0 (60%以下の項目数の集計) となり, 両者間に差がみられた.
2) 40%以下の反応率を示すもの18問で, H=7, E=11で, ここではemotionに関するもの全体平均と比較しhealthよりもおおい.
3) 20代, 30代女子患者に問題がおおく, 健康者群では, 女子よりも男子に, 患者群は男子よりも女子に問題が集中している (前者は10代, 60代以降に, 後者は20代, 30代に神経質傾向が高い) .
4) 問題別から, 頻数のおおい項目は, 「身体のあちらこちらが痛い」, 「朝起きたときでも疲れたように感ずる」, 「なにか考えて眠れないことがある」, 「ときどき胃が痛む」の順でhealthに関するものがおおく, これは一般健康者群にもいえる.
5) 患者群に集中的にみられる問題は, 「長い間不愉快だつたことがらを忘れることができない」, 「たびたび頭痛がする」, 「なんとなくいらいらする」, 「なにか原因のわからないことについて気にして心配する」などで, この場合H=1に対しE=3となる.
6) 患者群で, 神経質的徴候を比較的おおく示す時期は, 男女ともに20代, 30代, 40代であり, 心身ともに不安と葛藤を含む時期ともいえる.
7) いちがいに, 胃腸病は心理的な病気であつて, 神経質傾向が強いとまではいえないが, 少なくとも研究前に設定した「悩みや不安のあるものは胃腸が弱く, また, おかされ易い」という仮説は, ほぼ実証される.
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