昭和大学第2内科に入院した過去10年間の白血病患者48名について臨床的に分析検討した.
年度別患者数は1963年から増加し, 年齢別分布では20歳~24歳にpeakがあった.病型分類では急性白血病70.8%で最も多く, 次いで慢性骨髄性白血病の27.2%であつた.
初発症状および主訴は全身倦怠感, 発熱, 出血が急性白血病, 慢性骨髄性白血病とも多く, 慢性骨髄性白血病ではこの他に腹部腫瘤, 腹部膨満感などが特徴的であつた.
臨床所見では慢性骨髄白血病で大きな脾腫を約半数の患者に触知したが, 全く触知しなかった症例も全体の1/3を占めていた.
血液所見では急性白血病で著明な貧血, 血小板数の著しい減少, 出血時間延長およびRumpe-Leede氏現象の強陽性を示す症例が多かつたが, 慢性骨髄性白血病では中等度の貧血で, 一般に急性白血病より軽度の所見を示した.
白血球数は急性白血病では1×10
4以下の症例が58.9%で, 慢性骨髄白血病では10×10
4~20×10
4の症例が多かった.
急性白血病症例の25.1%が91%以上の末梢中えの白血病細胞の出現率を示したが, 22%の症例は10%以下の出現率であった.慢性骨髄性白血病では69.2%の症例が31~60%の出現率を示した.
急性白血病の骨髄の白血病細胞は11%~91%以上にわたり広く分布していた.
急性白血病の白血球数, 未梢血の白血病細胞, 骨髄の白血病細胞および生存期間の間にはあまり相関性を認めなかつたが, 白血球数が多く, 未梢血, 骨髄ともに白血病細胞の多い症例では生存期間の短縮が認められた.
急性白血病の最近10年間の50%生存期間は4.5カ月最近5年間では5.5カ月であつた.治療法により比較するとSH単独3.3カ月, 6MP.SH併用5.6カ月, 6MP.SH.その他併用8.2カ月であったが, もつと症例を増して検討する必要がある.
急性白血病の初診時血清ceruloplasminの高値を示す症例は比較的生存期間が長く, 40mg/dl以上を示す症例では50%生存期間が9.6カ月と延長していた.また死亡末期にはどの症例もceruloplasminの低下が認められ急性白血病の治療においてceruloplasminを測定することの意義について述べた.
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