ウィスター系雄性シロネズミを生後60日より, 2週間の習熟後, 60日間分速20mのスピードでトレッドミル走を負荷させた後, 運動負荷群, 無負荷群の両者について, 血管内にゲラチン加墨リンゲル液の灌流を行った.腓腹筋を主とした下肢筋群の微細血管分布について検索した.1.腓腹筋の縦断標本について, 単位幅当りの毛細血管数を計測すると, 負荷群では, 無負荷群に比し50%の数の増加が認められた.2.腓腹筋の連続横断切片について, 負荷群, 無負荷群両者の毛細血管数および筋線維数を計測比較では, 毛細血管数 (C) /筋線維数 (F) , すなわちC: F ratioは負荷群1.63, 無負荷群では1.28であり両者間に有意な差が認められた.3.毛細血管量の増加機序を, 電顕所見より考察した.墨リンゲル液中墨粒子は, 毛細血管が著しく拡張した状態でも, 内皮細胞壁より血管外に流出せず, 上澄のごく微少な墨粒子を含む色素液のみtight junctionを通じて, 毛細血管外に移行した.この血管外にみられる液流を囲んで, 線維細胞, 弾性線維および膠原線維による網工が形成され, 血管新生となるもののようである.
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