昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
45 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 滝沢 謙治, 鈴木 真, 片山 通夫
    1985 年 45 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 森 義明
    1985 年 45 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 川澄 正一, 増田 建一, 青木 邦夫, 早川 直義, 森川 文雄, 石井 淳二, 所澤 徹, 原 隆久, 森 倫夫
    1985 年 45 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    低血圧麻酔に関する研究報告は多く, いずれの研究者も低血圧による術中出血量の減少効果を認めてはいるが, 低血圧状態の調節や対象症例のbackground等はまちまちで一定していない.著者らは術者や手術侵襲の程度がほぼ一定しており, 患者のbackgroundにもばらつきの少い乳癌根治手術患者397例を対象に, その中の226例にtrimethaphan (Artonad) の0.1~0.05%溶液の点滴静注による低血圧麻酔を施行し, 171例の非低血圧麻酔症例をcontrolとして術中出血量, 尿量, 手術時間, 麻酔時間, その他生体への影響につき比較検討した.麻酔は全例にdroperidol 0.25mg/kgとPentazocine 1~1.2mg/kg, thiopental 100~150mgを用いて導入, 維持はG-O-F (F: 0.2~0.5%) を用いたmodifiedNLAで, 低血圧群はtrimethaphan投与により収縮期圧を90mmHgに調節した時点で手術を開始し, 執刀後術野に出血の認められる血圧レベルまで一且戻した後に, 再び術野から出血しなくまるまで血圧を下降させて, そのレベルで維持し, 手術終了前にtrimethaphanの投与を中止して血圧を正常に戻し, 術野における止血の完全な事を確認後に閉創して手術を終る様にした.その結果術野から出血しなくなる低血圧状態の収縮期圧はほぼ80~100mmHgの範囲であった.低血圧麻酔による術中出血量減少効果並びに手術時間の短縮は顕著で, 術中出血量は (低血圧群: 約214ml, 非低血圧群: 約628ml) 非低血圧群のほぼ1/3に減少し, 手術時間も (低血圧群: 約130分, 非低血圧群: 約142分) 低血圧群で約10分余の短縮を認めた.術中尿量は (低血圧群: 1.9ml/min., 非低血圧群: 2.8ml/min.) 低血圧群で有意な減少を認めるが無尿等の病的状態は術中術後を通して認められず, 術後腎機能障害も認めなかった.低血圧状態の持続時間は根治的乳房切断術では約73分, 拡大根治的乳房切断術では約94分と当然術式の相違による時間差を認めるが, trimethaphanの分時投与量は根治的乳房切断術で約2.6mg/min., 拡大根治的乳房切断術で約2.3mg/min, と有意差を認めなかった.以上の結果からtrimethaphanを用いた低血圧麻酔はその点滴静注を注意深く上手く行なえば, 低血圧状態の調節は容易で, 収縮期圧を80~100mmHgに調節しても生体への悪影響は少なく, 出血量減少, 手術操作の簡便化と手術時間の短縮が得られる事から, その有用性は立証出来たが, 低血圧状態の安全域等に関する安全性については今後更に追究する.
  • ―Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase (ANAE) 染色による検索―
    杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 梶山 浩, 滝本 雅文, 九島 巳樹, 渡辺 秀義, 飯田 善樹
    1985 年 45 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    比較的珍しい良性のリンパ節疾患と皮膚腫瘍についてANAE染色によるT-cel1とPlasma cell Seriesの変動を病巣のスタンプ標本を用いて検索した.1例の吸収不全症候群においてはT-cellが高率であったが, これはB-cellの減少に伴う相対的増加であった.1例の好酸球性肉芽腫では軽度のT-cellの増加がみられた.2例のCastlemanリンパ腫, 海綿状血管腫, 異物肉芽腫, リンパ管造影後のリンパ節, PVP沈着症及びPseudolymphomaでは特記すべき所見はえられなかった.系統的疾患であるアミロイドーシスやMast cell reticulosisではT-cell及びPlasma cell Seriesとも若干の減少がみられた.長期にわたる局所の免疫反応において, 時にはリンパ球の芽球化に伴う悪性化が報告されており, たとえ良性疾患といえども細胞化学的検索により, 悪性化の早期発見が必要とされる.
  • 杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 梶山 浩, 滝本 雅文, 九島 巳樹, 渡辺 秀義, 飯田 善樹, 鶴田 幸男, 近藤 和男, 夏川 ...
    1985 年 45 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    いずれも組織像が複雑な多種の細胞構成からなる3疾患 (Hodgkin病の混合細胞型19例, リンパ形質細胞性リンパ腫の多型細胞型5例及びIBL 11例) につきANAE染色を用い, T-cellとPlasma cell Seriesの変動を算定し, 鑑別診断となりうる変化を検索した.二つの量的差異が得られた.1) T-cellのRest PopulationはIBLで他の二疾患にくらべ低値を示した.2) Hodgkin病におけるPlasma cell Seriesは他の二疾患にくらべかなり減少していた.上記のごとく二つの量的差は認められたが症例による量的変動もかなりあり, 鑑別診断となりうる絶対的な指標は得られなかった.このような複雑な組織像を示す疾患群の鑑別にはいろいろな診断法の併用が必要なことを改めて痛感した.
  • Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase 染色による検索
    杉山 喜彦, 塩川 章, 太田 秀一, 梶山 浩, 滝本 雅文, 九島 巳樹, 飯田 善樹, 鶴田 幸男, 近藤 和男, 夏川 周介
    1985 年 45 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    11例のIBLと18例の形質細胞の浸潤が著明であった慢性非特異性リンパ節炎とのT-cell rest populationの差をANAE染色によるリンパ節スタンプ標本で検索した.両疾患とも形質細胞やImmunoblast等のPlasma cell Seriesの平均値においてはほぼ類似の値を示したが, T.cell rest populationではIBLにおいて推計学的に有意の減少が認められた (P=0.1) .ANAE活性の減少は種々のneoplastic processやSuppressor T cellが優勢な病変において報告されている.今回の報告はIBLのneoplasticな所見の一局面を示唆しているものと思われる.ANAE; Alpha-Naphthyl-Acetate-Esterase IBL; Immunoblastic Lymphadenopathy
  • 杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 善樹, 鶴田 幸男, 近藤 和男, 夏川 ...
    1985 年 45 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    リンパ節スタンプ標本のAlpha-Naphthyl-Acetate-Esterase (ANAE) 染色を用い, Hodgkin病の予後良好の組織像とされているLymphocyte PredominanceとNodular Sclerosis16例を第一群, 予後不良とされるMixed CellularityとLymphocyte Depletion21例を第二群とし, そのT-cell RestとPlasma cell Seriesの量的差異を比較した.リンパ球のBlastic transitionにより活性が減弱するANAE染色のDroplet Reaction Productsは予後良好の群ではかなり保たれており, 不良群では減少が認められた.Plasma cell Seriesにおいては両群とも大差はなかった.つまり予後良好の群ではリンパ球のBlastic hyperplasiaが不良群に比較して, その程度が弱い状態あるいはReactiveな性格が一部残存している状態が示唆された.
  • 杉山 喜彦, 太田 秀一, 塩川 章, 九島 巳樹, 梶山 浩, 滝本 雅文, 渡辺 秀義, 飯田 善樹
    1985 年 45 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫のうちaleukemicなものにつき末稍血リンパ球のANAE活性を検索した.対照例としてリンパ節の組織診断が慢性非特異性リンパ節炎である26例の末稍血を用いた.Hodgkin病においてはT-cell及びPlasmacytoid cellとも対照例と量的な差はみられなかった.組織学的にPlasma cellへの分化傾向を伴うImmunoblastic Lymphoma, Immunocytoma及びFCC由来の悪性リンパ腫においては末稍血のPlasmacytoid cellの相対的増加が認められた.T-cell typeのlymphoblastic Lymphomaは対照例と大差なく, Burkitt typeのリンパ腫, CLL及びT-zone LymphomaはT-cell及びPlasmacytoid cellとも減少傾向がみられた.概して複雑な細胞構成を示すHodgkin病においては末梢血と病巣部のリンパ球の所見は密接な関連を示さないが, monotonousな組織像を示すnon-Hodgkin Lymphoma, 特にplasma cellへの分化傾向を伴う疾患では, 数的なリンパ球の増加がない状態でも末梢血にPlasmacytoid cellが出現しやすい傾向が示唆された.
  • ―各種治療法と骨頭変形の検討ならびに切除大腿骨頭靱帯の検索―
    宮岡 英世
    1985 年 45 巻 1 号 p. 43-59
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和45年以降12年間に観血的治療を要した先天性股関節脱臼60例63関節を対象として各種療法と骨頭変形について, 臨床的並びに手術所見の検討を行ない, また手術時摘出採取した切除大腿骨頭靱帯の組織学的並びに走査電顕的検索を行い次の様な結果を得た.臨床的には, (1) 手術症例の当科初診時年齢の平均は12.3カ月であり, 早期発見, 早期治療の最近の原則に比べ遅れている症例が多かった. (2) 手術症例では, 臼蓋の形は扁平急峻型及び凸型で80%近くを占めた. (3) 手術症例の約3分の1に開排制限を認めず, 開排制限の有無のみで脱臼の有無を判定することは難かしい. (4) 先天股脱の観血的整復術のみでは求心位が得られず, 補正手術を追加したものが24%あり比較的多かった.手術前の治療法と大腿骨頭変形との関係をみると, 無処置例を含めて各治療群とも, 何らかのかたちで大腿骨頭靱帯が関与すると思われる変形を認めた.ギプス固定群では, 外からの機械的刺激による著明な骨頭変形を認めることが多く, 荷重による変形も無視出来なかった.切除した大腿骨頭靱帯の組織学的並びに走査電顕による検索では, (1) 大腿骨頭靱帯は骨頭側をZone I, 中間部をZone II, 臼底付着部をZone IIIに大別出来て, その病理的特徴よりZone Iは類軟骨の変化が主体で, Zone IIは結合織の変化, Zone IIIは血管系の変化が主体であった. (2) 先天股脱の治療法及び年齢などにより組織学的変化がみられるが, その主体は結合織の部分で, これらに血管系の変化が各Zoneに及ぶもの, 一部のもの, ほとんど認められないものに大別出来た. (3) R.B群, O.H.T群では, その組織像は, 無処置群と差を認めず大腿骨頭変形への関与も少なかった.大腿骨頭靱帯の走査電顕像では, 大腿骨頭靱帯は波状構造を有しており, 股関節の運動範囲に適した構造であった.又靱帯内に血管を有しており, これらは幼若な大腿骨頭の栄養に関与している事実が明らかにされた.組織学的に変性した靱帯は, その線維構造は失なわれており, これらが可逆性の変化とは思われず, これらが存在することは, 幼若な発育過程にある大腿骨頭軟骨に影響をあたえると考えられる.これらから先天股脱の骨頭靱帯は, 治療法年齢, 荷重, 機械的刺激により影響され, 骨頭変形にも関与するので, これに影響をさほどあたえないR.B法や, O.H.Tが先天股脱の治療法として良い方法である.
  • ―ヒトとサルの上肢機能の比較―
    寺谷 俊雄, 伊藤 純治, 伊藤 良作, 猪口 清一郎, 松山 容子
    1985 年 45 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    霊長類上肢機能の発達を形態学的に解析する為に, 上肢筋の相対重量及び筋線維構成をヒトを中心にサルと比較検討した.材料は55歳の成人男性 (60kg) の右上肢筋で, 筋重量は湿重量により.筋線維の計測はツエロイジン包埋, H・E染色の組織標本によった.結果は次の通りである.1) 上腕三頭筋については筋重量, 筋腹横断面積, 筋線維総数において他の上肢筋よりも著しく優っており, ヒトではサルに比べて他筋との差も大で, ヒトにおいて著明に発達することが認められた.その各頭については, ヒトでは内側頭は筋線維総数は最多で, 筋線維の太さは小のグループにはいり, 長頭は筋線維総数は最少であったにもかかわらず, 筋線維の太さおよび断面積では最大であり, このことは内側頭による第1次の伸展から長頭による完全な強い伸展への連けいを伴い, 人に特有な投擲運動の表現に基づくものと考えた.2) これに対してサルでは長頭が断面積および筋線維総数において上肢筋中最高であったが内側頭は断面積及び筋線維総数とも3頭中最低で, ヒトよりも劣り, 筋線維の太さのみがヒトにやや優る程度であった.これは上腕二頭筋のサルにおける優勢と相まって, 肩関節と肘関節を連動したサルの懸垂運動の表現に基づくものと考えた.3) ヒトにおいては上腕筋が上腕二頭筋よりも発達したが, これは真の肘関節屈曲筋として, 上腕三頭筋内側頭の発達に拮抗するものと考えた.4) 深指屈筋と浅指屈筋は筋重量, 筋腹横断面積及び筋線維総数において前述の上腕の筋に次いでいた.この両筋については, 前者は筋線維の太さでは上肢筋の中で大のグループにはいったが, 後者はむしろ筋線維の太さ小で, 1mm2中の筋線維数は多い方のグループにはいった.又, 相対的に, 前者はサルで, 後者はヒトで発達する傾向が見られた.すなわち, 前者のサルにおける優位はサルのhanging movementにおける末節の強い屈曲に, 後者のヒトにおける優位はknuckle makingとその中節屈曲時における微妙な手の運動にそれぞれ関与することが考えられた.5) 回外筋と腕橈骨筋については, 前者は筋腹横断面積および筋線維総数においては浅指屈筋に匹敵し, サルとの比較ではヒトの方が優っていた.これに対して, 腕橈骨筋は筋重量, 筋腹横断面積および筋線維総数において, サルの方がヒトよりも相対的に優っていた.すなわち, ヒトの方が回内, 回外運動の分化が発達していると考えることが出来た.6) 総指伸筋をはじめとした前腕の伸筋群はヒトでは筋線維の太さは大で, サルに比べて他筋よりもその差が著明であった.このことは指の伸展においてヒトが優ることと一致した.
  • 武井 牧子, 武田 健, 紺野 邦夫
    1985 年 45 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    樹立培養されている2系統のヒト骨髄性白血病細胞 (急性骨髄性白血病由来: ML-1, 急性前骨髄球性白血病由来: HL-60) に対するヒトインターフェロン (以下IFN) の細胞分化誘導作用について検討した.IFN-α, -βは両系の細胞に分化誘導能をもたなかったが高度に精製したnatural IFN-γは, HL-60を機能的にも形態的にもmacrophage様の細胞に分化誘導した.一方, ML1に対してはFcreceptor活性を若干誘導したが, IFN-α, -β同様著明な分化誘導作用を示さなかった.又, HL-60に於けるIFN-γ単独での分化誘導作用はrecombinant IFN-γを用いても確認され, 抗IFN-γmonoclonal抗体によりnatura1, recombinant IFN-γ共にその分化誘導作用が中和消失されることからも裏づけられた.一方, IFN-γに抵抗性を示すML-1の系ではIFN-γをligandとしたaffnity chromatographyでIFN-γをとり除いて調製した画分LCM (-IFN-γ) のもつ分化誘導作用をIFN-γが増強することが明らかとなり, IFN-γが細胞系により分化誘導能と他の分化誘導因子の作用増強効果をもつことが判明した.更に, LCM (-IFN-γ) が両系の細胞に対して分化誘導能をもつことと, LCM中のIFN-γを抗IFN-γ monoclonal抗体により中和した検体にも両系の細胞に対し分化誘導能が認められることから, LCM中にはIFN-γ以外の分化誘導因子が存在することも明らかとなった.
  • 岩波 正陽
    1985 年 45 巻 1 号 p. 77-84
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂患者が生来持っている内因的顎顔面発育異常の他に, 手術侵襲という外因的因子による顔面骨への影響を考え直してみる目的で, ラット鋤骨部後方1/2への実験を進めた結果, 矢状方向左右への偏位に関しては鋤骨及びその粘骨膜の切除のみの切除とが同様の影響を与え, また鋤骨のみの切除が最も左右への偏位が少なかった.また前方発育抑制はすべての群で認められなかった.さらに対照群として鋤骨部前方1/2への侵襲も行ったが, 左右への偏位及び前方発育抑制は認められなかった.以上の結果は, 鋤骨部への手術侵襲で顔面骨への影響を調べる場合, ラットは実験材料として必ずしも適当でないという事も同時に示唆された.
  • II下腹部断面の体構成につい
    室田 英明
    1985 年 45 巻 1 号 p. 85-96
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    X線コンピューター断層撮影法によって下腹部断面の皮下脂肪層, 筋層, 骨組織層, 腹腔の断面積および皮下脂肪の厚さの観察を行い, 性, 年齢による変化を検討した.研究対象は日本人成人69例 (男子: 26.女子: 43) と未成年女子4例 (10歳未満: 2, 10歳代: 2) で, 下腹部断面は第5腰椎および第1仙椎の各棘突起高における上下2断面の撮影を行い, 両断面について前正中線部, 乳頭線部, 側線部, 殿線部, 腰線部及び後正中線部の6部位における皮下脂肪厚の計測を行った.結果は次の通りである.1.成人下腹部における上, 下両部断面の断面積については, 上下両部とも一定年齢まで加齢的に増大するが, 男性では高齢で急減し, 一方, 女性では男性に比べて高齢における減少傾向が少なかった.2.各組織層断面積については, 上, 下両部とも腹腔断面が最も大であったが, 以下, 上部断面では脂肪層, 筋層, 骨層の順に大であり, 脂肪層は女性が, 腹腔と筋層は男性がそれぞれ他よりも優っていた.一方, 下部断面では男性では筋層が, 女性では脂肪層がそれぞれ腹腔についでいた.3.各組織層断面を年齢別に比較すると, 一般に各年代とも腹腔, 脂肪層, 筋層, 骨の順に大であったが, 上部断面について見ると男性では20歳代のみは筋層が脂肪層に優っていた.また, 加齢的に腹腔と脂肪層は増加, 筋層と骨層は減少する傾向が見られたが, 女性では加齢的に腹腔は70歳代迄, 脂肪層は50歳代までそれぞれ増加し, 骨層と筋層は40歳代, 50歳代で減少する傾向が見られた.下部断面については, 老齢者において男性では腹腔と脂肪層は減少, 女性では腹腔は増加, 脂肪層は減少する傾向が見られた.4.6部位における皮下脂肪厚については, 上部断面では男女とも殿線部, 腰線部の順に厚く, 以下前正中線部, 乳頭線部が相等しくしてこれらに次ぎ, 前正中線部から殿線部の問は常に女性が男性に優る傾向を示した.これに対して下部断面では男女とも殿線部が最も厚く, 男性では腰線部が, 女性では側線部がこれに次いだ.年齢的には上部断面では殿線部と腰線部が男性では30歳代で, 女性では40歳代でそれぞれ著明に増加し, 下部断面では殿線部が男性では30歳代で急増, 女性では50歳代まで加齢的に増加, それぞれ老年では減少した.5.女性の未成年者については, 断面積は10歳未満では総断面積は上, 下両断面とも成人の7割程度であったが, 各組織層断面も大凡同じ割合であった.10歳代でも上, 下両断面とも総断面積は成人よりも僅かに劣ったが, 各組織層断面積は成人の平均とほぼ等しく, 腹腔断面のみが小であった.下部断面では成人に比べ脂肪層と筋層は優り, 腹腔および骨層は小の傾向がみられた.皮下脂肪厚については, 上, 下両断面とも10歳未満では一般に成人よりも劣ったが, 後正中線部のみは優り, 10歳代では乳頭線部を除くすべての部位で成人よりも優る傾向がみられた.
  • 松宮 輝彦, 白石 武昌
    1985 年 45 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    糸状菌 (Aspergillus melleus) の産生する分子量約30, 000の白色結晶性粉末の微アルカリ性蛋白分解酵素 (Semi-Akaline-proteinase, Seaprose-S, SAP) のCarrageenan (CRG) 局所投与によるラットの実験的坐骨神経周囲状 (exprimental sciatic endoperineuritis) に対する作用を検討した.SAPは経口投与したが蛋白分解酵素活性を持続させる目的でCa CO3 100mg/kg (p.o.) の前処置を行った.またCRGの起炎効果を検討するための抗生物質のcefamezin (CEZ) の単独投与及びSAP併用群を設けた.結果は, 0.05% CRG投与の起炎効果 (神経組織周囲のリンパ球を主とした細胞浸潤, 神経線維内膜及び神経鞘膜の脆弱化や神経末梢及び血管の変化等の所見を認める坐骨神経線維内膜周囲炎像を呈していた) に対してSAP 100mg/kg (p.o.) 群は約70%程の「抑制」を示した.抗生物質CEZと併用の場合のSAPのCRGに対する作用は, 作用機序が不明のままであるが, ほとんどの例で「完全抑制」を示し, CRGに直接起因する坐骨神経周囲炎は認められなくなった.従って, このSAPの抗炎症効果の臨床的応用の期待が高まった.
  • 小笹 潔, 宮坂 圭一, 伊藤 真一, 小松 隆, 後閑 武彦, 武中 泰樹, 神垣 郁夫, 石川 昌澄, 藤沢 守男, 蓮沼 節, 小見山 ...
    1985 年 45 巻 1 号 p. 103-109
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    進行食道癌で放射線治療をした49症例中, X線, 内視鏡像の経過が追えた治療効果判定可能な19症例を用い, 食道癌取扱い規約委員を中心として効果判定の統一化が進められている.「食道がん化学療法及び放射線治療の直接効果判定基準 (案) 」と形態学的変化の関連性, 計測上の問題点などについて検討した.奏効度と形態学的変化をみると, CR症例 (3例) では, 周堤の消失, 中心陥凹の消失, PR症例 (8例) では, ほとんどの場合, 周堤の消失している状態で中心陥凹の平坦化が特徴的な所見であった.MI症例 (2例) では, 周堤の平低化, 中心陥凹の平坦化が特徴であり, 周堤の消失の有無がPRとの差と考えられた.このことから, 形態学的変化と, 効果判定基準案の奏効度とは, ほぼ一致しているといえる.計測上, 一方向測定, 二方向測定の間に評価上の問題があるかどうかをみた.その結果, CRはともかく, 二方向測定可能なPR, MRの8例中3例で奏効度に差異がみられた.従って, 二方向測定不可能な場合は奏効度と相関する周堤, 中心陥凹の形態学的変化を取り入れた方がよいと考えられた.
  • 根岸 雅夫, 福島 俊之, 田畑 穣, 佐藤 秀紀, 関根 富佐夫, 大野 功, 小林 和夫, 井出 宏嗣, 高橋 昭三
    1985 年 45 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    25年前, シリコン注入法による豊胸術を受けた53歳の女性が, 原因不明の発熱をともなった多発性関節炎を発症した.著明な炎症パラメーターの亢進に加えて多彩な免疫異常を有したが, 該当する膠原病は認められず, 前医より投与されていたステロイドホルモンの漸減にともない症状が悪化したため, 両側乳房内異物を摘出した.術後3カ月して臨床症状と検査成績に改善が認められ, さらに術後6カ月よりcyclophosphamide 50mgを併用投与したところCRPは陰性化, 発熱および関節症状は完全寛解を示した, 本症例では, 注入されていたシリコンが本症発症にアジュバント効果など何らかの役割をはたしていた可能性が考えられた.
  • 九島 巳樹, 渡辺 秀義, 梶山 浩, 塩川 章, 田代 浩二, 橋村 尚彦, 石束 嘉男, 杉本 孝
    1985 年 45 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 1985/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    比較的まれな卵巣未熟奇形腫 (Immature teratoma) の3症例を報告する.発症年齢は19歳~32歳で, 3症例とも妊娠分娩歴はない.手術時, すべての症例に大綱または腹膜へ転移巣を認めており, 臨床期はStage IIIに相当する.検査成績では術前に1症例のみで, 血清AFPの測定がなされ, 高値であった.術後は3症例とも血清AFPは正常範囲内であった.腫瘍の肉眼的所見は2例が充実性一部嚢胞性で, 1例が全く充実性であった.組織学的には前2者がGrade 1, 後者がGrade3に相当した.原発腫瘍の神経成分はいずれも24.3%~38.6%と多く認められた.予後は術後1年5カ月から2年の範囲で3症例ともに健在で, 再発は認められていない.
feedback
Top