昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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46 巻 , 1 号
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  • 安井 昭, 石井 淳一, 平福 一郎
    1986 年 46 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 森 義明
    1986 年 46 巻 1 号 p. 9-11
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 宇佐美 博幸
    1986 年 46 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    注射薬における発熱性物質 (エンドトキシン) による汚染実態および除去に関する検討を行ない以下の成績を得た.1) 発色合成基質法により注射用蒸留水の54%, 生理食塩液の44%からエンドトキシンを検出した.2ng/ml (1EU/ml) 以上の濃度を示した3例はウサギ発熱試験においても陽性を示した.2) 輪液製剤の90%からエンドトキシンを検出した.輪液製剤において高濃度汚染を示した製造業者の注射蒸留水からはやはり高い濃度のエンドトキシンが検出され, 注射用蒸留水が輪液製剤の汚染原因の一つとなっていることが示唆された.3) アミノ酸輪液製剤にE.coli O111: B4およびE.coliO55: B5由来のエンドトキシンを10ng/ml濃度に添加し, 非アスベスト性荷電膜にて処理すると, エンドトキシンは98%以上除去されたが, L-アスパラギン酸, L-スレオニン, L-セリン, L-メチオニン, L-イソロイシン, L-ロイシン, L-フェニルアラニン, 塩酸リジン, L-ヒスチジン, L-トリプトファン, L-プロリンの各アミノ酸成分はほぼ100%の回収率を示し, 本膜処理法は輪液製剤のエンドトキシンの選択的除去法として有用と思われた.4) 乾熱処理の効果に関して, 示差熱分析を行なった結果, E.coli O55: B5, S.typhosaおよびS.marcescens由来のエンドトキシンはいずれも210℃以上で分解することが示された.赤外吸収スペクトルの変化より, エンドトキシンの乾熱処理による失活現像はLipid Aの熱分解によることが示唆された.5) 注射薬の汚染濃度レベルにおよぼす高圧蒸気滅菌処理の効果を検討した.E.coli O111: B4由来のエンドトキシンの2ng/ml (1EU/ml) 溶液は121℃で失活傾向を示したが, 生理食塩水においては更に速やかな失活傾向を示した.エンドトキシンは固体状態では耐熱性を示すが, 希薄溶液では熱に不安定であると考えられた.6) 着色妨害物質が共存する場合のエンドトキシン定量法として発色合成基質一高速液クロ法を新に関発した.本法を用いれば, 種々の着色物質液中のエンドトキシンを定量できることが明かになった.
  • 永井 大介, 長谷川 賢一
    1986 年 46 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    中枢性聴覚障害は, その障害部位により種々の特異的異常現象を示す.しかし, 聴覚中枢経路が極めて複雑であるが故に, 未だその原因は明確にされていない.そこで聴覚刺激反応時間を測定し, 時間的要因より聴覚中枢経路の機能の解明を試みた.即ち, 正常者と脳血管障害による片麻痺患者の聴覚刺激反応時間を測定し, その対照として視覚刺激反応時間をも測定して聴覚中枢機能について考察した.検査対象は, 熱海綜合病院に入院している脳血管障害による左・右片麻痺患者 (各25名) , 及び生理的加齢変化以外の難聴のない正常者 (20名) とした.検査方法は, 全身反応装置 (八神理化器製, Y.B.1000) を改良し, 与えられた聴・視覚刺激を感受したら被験者は直ちにスイッチを押す (Tapping) 方法を用いた.刺激反応時間測定は7回行い, 最高値と最低値を除く5回の平均値を算出し, これを反応時間とした.Tappingは, 利き手, 非利き手による反応時間差がないことを確認した上で, 片麻痺群では健側手を用いて行った.正常群, 左・右片麻痺群における聴覚・視覚刺激反応時間を測定した結果は次の如くであった.正常者について1) 聴覚刺激反応時間は両耳聴にて293msecであり, 左・右片耳聴の323~326msecよりも短い.2) 視覚刺激反応時間は両眼視, 左・右単眼視で差はなく, 277~279mesecである.3) 視覚・聴覚刺激反応時間には有意差は認められない.片麻痺患者について1) 正常者群に比べ, 視覚・聴覚刺激反応時間は, 全ての項目で100~150msec有意に延長している.2) 聴覚・視覚刺激反応時間にて左右差は殆ど認められないが右片麻痺群の聴覚刺激反応時間では右耳聴が左耳聴に比べて有意に延長している.3) 聴覚・視覚薊激反応時間には有意差は殆ど認められないが, 右片麻痺群の右耳聴と右眼視の間には有意差を認める.以上のことから, 脳血管障害による片麻痺群においては, 正常者群に比べて聴覚・視覚ともほぼ同様の反応時間の延長を認める.このことは, 片麻痺群では刺激に対する認知時間, 感覚・運動両中枢での伝達時間, 運動領での指示・組立時間の延長に起因すると考えられる.しかし, 右片麻痺群の右耳聴の反応時間が左耳聴よりも明らかに延長し, また視覚刺激反応時間における同群の右眼視よりも延長していた.これより右片麻痺群の右耳聴の反応時間の延長は四丘体から左側頭葉聴覚領へ到る部位での伝達障害によることが最も考えられる.
  • 菱田 不美, 羅 昌平, 大久保 欣一, 武重 千冬
    1986 年 46 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの足三里の経穴部に相当する前脛骨筋の低頻度刺激では鎮痛が出現するが, 非経穴部の腹筋の刺激では鎮痛は出現しない.しかし視床正中中心核外側部 (L-CM) や視床下部後部の一部 (I-PH) を局所破壊すると非経穴部の刺激でも鎮痛が出現するようになるので, これらの部位は非経穴部刺激による鎮痛に対して鎮痛抑制系として働くことが明らかにされている.また経穴部刺激による鎮痛は中脳中心灰白質背側部 (D-PAG) の局所破壊で, また非経穴部の刺激による鎮痛は中脳中心灰白質の外側部 (L-PAG) の局所破壊で出現しなくなることも明らかにされているので, これらの現象を経穴部, 非経穴部の刺激でD-PAGやL-PAGに現われる誘発電位で検索し, さらに鎮痛抑制系からの抑制機序も誘発電位で検討した.D-PAGからは経穴部の刺激でのみ, L-PAGからは経穴部, 非経穴部両者の刺激で誘発電位が出現した.経穴部刺激でD-PAGに誘発電位をひきおこす閾値は, L-PAGのそれにくらべて有意 (p<0.05) に低く, LPAGに誘発電位を出現させる経穴部刺激閾値は非経穴部刺激にくらべて有意 (p<0.001) に低かった.L-PAGの誘発電位は鎮痛抑制系のLCMや1-PHに連続的に刺激を与えると, 刺激の期間中抑制された.ただし, この抑制はL-PAGの誘発電位の記録電極がL-PAGの吻側部にある時で, 尾側部にある時は抑制されなかったので鎮痛抑制系からの抑制はL-PAGに加わっていることが明らかとなった.L-CMやI-PHからは経穴部, 非経穴部の刺激で誘発電位が出現し, 刺激閾値は非経穴部刺激の方が経穴部刺激にくらべて有意 (p<0.01) に低かった.1-PHの刺激によるL-PAGの誘発電位の抑制はL-CMが破壊されている時には出現しなかったので, 鎮痛抑制系の中枢経路は経穴部, 非経穴部を出てI-PHに到り, LCMを通ってL-PAGに到っていることが判明した.経穴部, 非経穴部に1Hzの刺激を連続して与えていると, L-PAGの誘発電位は次第に減少し, 刺激開始後十数分で完全に出現しなくなった.一方, 経穴部の刺激で現われるD-PAGの誘発電位にはこのような抑制はみられなかった.L-PAGの誘発電位の経時的な抑制は, L-CMを局所破壊しておくと出現しなくなった.以上のような結果から, 経穴部, 非経穴部の刺激ではLPAGを通る経路と鎮痛抑制系とが同時に活動し, 刺激を重ねているとL-PAGには誘発電位が出現しなくなるが, 経穴部の刺激のみで出現するD-PAGの誘発電位は抑制されないので, 経穴部の刺激でのみ鎮痛が出現し, 非経穴部の刺激では鎮痛が出現しないことになる.したがって経穴部と非経穴部は中枢経路で区分できることが誘発電位の上からも明らかとなった.
  • 菱田 不美, 田中 正明, 米良 孝志, ヤウヒ ヤコブ, 武重 千冬
    1986 年 46 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    D-フェニールアラニン (DPA) には針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) とそれと同程度の鎮痛を現わす0.5mg/kgモルヒネの腹腔内投与によって現われる鎮痛 (モルヒネ鎮痛) の有効性の個体差をなくす作用と, 鎮痛抑制系の作用に拮抗する作用とがあるが, これらの二つの作用が単独で現われる実験条件を設定して, DPAの作用を分離して検索した.鎮痛抑制系である視床正中中心核外側部 (L-CM) や視床下部後部 (I-PH) を局所破壊すると, 経穴の刺激で新たな鎮痛が出現するが, この鎮痛は, 針鎮痛がナロキソンで拮抗されるのに反し, デキサメサゾンで拮抗される鎮痛とナロキソンで括抗される鎮痛とから成立っている.有効性の個体差はナロキソンで拮抗される鎮痛にあるので, ナロキソンで拮抗される鎮痛のみに対するDPAの作用を検するために, この鎮痛の発現路である中脳中心灰臼質外側部 (L-PAG) を局所破壊して, DPAの鎮痛抑制系に対する作用を排除して, DPAの作用を検した.すなわち, ラットの尾逃避反応で検した針鎮痛とモルヒネ鎮痛との相関関係が, L-PAGを破壊した後も影響をうけないことを確認した後にDPAを作用すると, モルヒネ鎮痛にみられた有効性の個体差は消失し, いずれの動物においても同程度の鎮痛が出現した.
    経穴の前脛骨筋や非経穴の腹筋を刺激してL-PGAに出現する誘発電位は, L-CMや1-PHの電気刺激で抑制されるが, この抑制はDPA250mg/kgを前投与しておくと出現しなくなった.この作用は数時間持続した.また, 経穴や非経穴に1Hzの電気刺激を与えると, 鎮痛抑制系の活動によって, L-PAGの誘発電位は逐次抑制され, 約10分後には出現しなくなるが, この状態でDPAを作用すると誘発電位は再び出現する様になった.以上の結果から, DPAにはナロキソンで拮抗される鎮痛に存在する有効性の個体差を消失させる作用と, 鎮痛抑制系に拮抗する作用があることが, 両者が別々に現われる実験条件を設定して確認された.
  • 田中 正明, 村居 真琴, 大久保 欣一, ヤウヒ ヤコブ, 武重 千冬
    1986 年 46 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    低頻度の経穴の刺激によって出現する針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) は, ナロキソンで拮抗されるので, その発現には内因性モルヒネ様物質が関与すると考えられるが, 如何なる内因性モルヒネ様物質が, 何処で作用するのかは明らかではない.幾多の内因性モルヒネ様物質のうちβ-エンドルフィンの針鎮痛への関与の有無と, その作用部位の検索とを行った.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛みの閾値とし, その増加率を鎮痛とすると, 脳室内に投与した抗β-エルドンフィン血清で前脛骨筋を経穴として発現させた針鎮痛及びこれと同程度の鎮痛が発現する0.5mg/kg腹腔内投与のモルヒネ鎮痛は, ともにその出現が阻止された.針, モルヒネ鎮痛はともに下垂体の除去で出現が阻止され, 経穴から下垂体に到る中枢経路を針鎮痛の求心路, 下垂体から遊離される物質によって活動して痛覚の遮断にあつかる下行性痛覚抑制系を針鎮痛の遠心路とすると, 求心路の刺激による鎮痛はナロキソンで拮抗されるが, 遠心路の刺激による鎮痛はナロキソンでは拮抗されないので, 内因性モルヒネ様物質は求心路の何処かに関与すると考えられる.そこで求心路と同定されている中脳中心灰白質背側部及び下垂体に到る直前の求心路にあたる視床下部前部の刺激による鎮痛に対する抗β-エンドルフィン血清の作用を検した.何れの部位の刺激による鎮痛も脳室内に投与した抗β-エンドルフィン血清で出現が阻止された, 下垂体と連絡する視索上核や正中隆起の電気刺激では鎮痛が出現しなかった.以上の結果から幾多の内因性モルヒネ様物質のうちβ-エンドルフィドが針鎮痛の発現に関与することが明らかとなった.しかしその作用点については少くとも視床下部前部から下垂体に到る部位に存在することが示唆されたが, その詳細な部位は明らかにすることは出来なかった.
  • 佐藤 孝雄, 米良 孝志, 安倍 緑, 武重 千冬
    1986 年 46 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) は最終的にはセロトニン系, ノルアドレナリン系の下行性抑制系によって出現することが, 本教室の研究で明らかにされているが, これら両系の起始核は, 針鎮痛をひき起こす刺激で下垂体から遊離される物質によって直接活動するわけではない.視床下部弓状核 (A-RN) のドーパミニンニューロンが, これら両系より上位の下行性抑制系として働くことが従来の研究で明らかとなったが, 弓状核とこれらの両系の起始核との関係は明らかでない.本研究は視床下部腹内側核 (HVM) がARNと両系の起始核との問に介在することを明らかにした.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛みの閾値として, ARNを刺激すると鎮痛が出現するが, この鎮痛はHVMの電気破壊で出現しなくなった.HVMの直上部, 外側部の破壊はこの鎮痛に影響しなかった.HVMからはARNの電気刺激で誘発電位が出現した.HVMの電気刺激で鎮痛が出現したが, この鎮痛はARNの刺激による鎮痛と全く同じ様に, 刺激の期間中にのみ出現し, 針鎮痛にみられる有効性の個体差は示さないで, どの動物でも同じ様に出現し, 下垂体の除去, ナロキソン (1mg/kg腹腔内投与) の影響をうけず下行性抑制系の鎮痛の性質を示した.しかし, ARNの刺激による鎮痛とは異なって, ドーパミン拮抗剤のピモジドでは拮抗されなかった.HVMの刺激による鎮痛は, 中脳中心灰白質腹側部 (V-PAG) の電気破壊, またはセロトニンの拮抗剤で部分的に拮抗された.HVMの刺激によってV-PAGからは誘発電位が出現した.以上の結果からHVMはARNとV-PAGの間に介在して下行性抑制として働くことが明らかとなった.HVMからV-PAGに到る部位の伝達物質及びノルアドレナリン系の下行性抑制系との関係はまだ明らかではない.
  • ヤウヒ ヤコブ, 佐藤 孝雄, 久光 正, 武重 千冬
    1986 年 46 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    大縫線核 (RM) 附近には針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) 発現の下垂体に到る求心路と, 下垂体以下の遠心路にあたる下行性抑制路とが混在する事をすでに報じたが, この現象を巨大神経細胞網様核 (NRGC) や傍巨大神経細胞網様核 (NRPG) の刺激による鎮痛及びNRGC, NRPG及びRMにモルヒネを微量注入して現われる鎮痛で検討した.すなわち, 求心路と遠心路の刺激による鎮痛は, その性質を異にし, かつ針鎮痛には有効性の個体差があり, ラットを針鎮痛有効群と無効群に区分して当該部を刺激すると, 無効群では遠心路の活動による鎮痛のみが, 有効群では遠心路と求心路の活動による鎮痛が出現したので, 求心路の鎮痛はさらに上位の求心路の破壊で鎮痛の出現が阻止されるか否かで同定し, また遠心路の鎮痛は下行性抑制系の遮断剤で鎮痛が阻止されるか否かで同定した.NRGC及びNRPGの刺激で現われる鎮痛は, 針鎮痛の有効群と無効群では鎮痛の様相が異なる.前者では刺激終了後も鎮痛が暫くの間残り, 後者では刺激の期間中にのみ鎮痛が出現する.NRGCやNRPGより上位の針鎮痛発現の求心路にあたる中脳中心灰白質背側部 (D-PAG) を局所破壊すると, 有効群の鎮痛は無効群の鎮痛と同じ様になり, 刺激の期間中にのみ出現し, 無効群の鎮痛は全く影響を受けなかった.残存した鎮痛は脊髄クモ膜下腔にノルアドレナリンの拮抗剤フェントラミン20μ9/10μlを投与すると出現が阻止された.NRGCとNRPGに0.5μg/μlのモルヒネを微量投与すると, NRGCでは有効群にのみ鎮痛が出現し, 無効群では出現しなかった.有効群に出現した鎮痛はD-PAGの局所破壊で出現しなくなった.これに反し, NRPGでは有効群, 無効群で全く同じ様な鎮痛が出現した.NRGCに2μgのモルヒネを投与すると, 有効群では投与直後に増大する鎮痛が, 無効群では遅れて出現する鎮痛が出現し, D-PAGを破壊すると, 有効群の鎮痛は無効群と同じになり, 残存した鎮痛, 無効群の鎮痛はクモ膜下腔に投与した40μgのフェトラミンで出現が阻止された.RMに5μgのモルヒネを投与したが, 鎮痛は全く出現しなかったが, グルタメート60nM/1μlの投与で鎮痛が出現した.RMやNRGCからは経穴部の刺激で誘発電位が出現した.以上の結果から, NRGCやNRPGの電気刺激では針鎮痛の求心路, 遠心路が活動するが, モルヒネの微量注入では, NRGCでは求心路, NRPGでは遠心路のみが活動し, これらの部位にはそれぞれの求心路・遠心路に局在するオピエート・レセプターが存在することが明らかとなった.
  • 新井田 修, 片岡 徹, 河村 一敏, 河村 正敏
    1986 年 46 巻 1 号 p. 75-88
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    胃癌切除後の予後は3年生存率, 5年生存率を検討すればおおよその傾向は把握することが可能である.しかしながら, その詳細に関しては, 5年経過後にも再発がしばしばみられることから10年生存率での検討が妥当と考えられる.今回, 進行髄症例において髄切除後の予後を左右すると考えられる因子, すなわち年齢, 性, 胃癌の肉眼所見としては占居部位, 肉眼型, 大きさ (長径) , また組織所見としては深達度, 組織型, リンパ管侵襲, 静脈侵襲, リンパ節転移, INF, 間質量, 組織学的stageの13因子について, 各因子別に累積10年生存率を算出するとともに, 10年生存例と術後5年未満の再発死亡例とを比較し, 10年生存例の臨床病理学的特徴について検討した.教室における過約26年間 (1956.3~1981.12) の初発胃癌症例1, 098例中, 単発癌治癒切除症例は740例であり, うち進行胃癌症例527例を今回の検討の対象とした.年齢は17~82歳 (平均年齢: 55.7歳) , 男女比は1.5: 1であった.これらの症例のうち10年生存例は99例 (以下10生群) , 5年未満の再発死亡例は193例 (以下再発群) であった.検討の結果, 10生群と再発群との比較ならびに10生率においてともに有意差のみられた因子は, 占居部位, 肉眼型, 深達度, 静脈侵襲, リンパ節転移, INF, 問質量の7因子であった.すなわち, 10生群の臨床病理学的特徴としては, 占居部位M, 肉眼型1.5型, 深達度pm, v (-) , n (-) , INFα, 間質量medullary typeの症例が多いと結論された.また, stageでは10生群にstage I・II, 再発群にIII・IVが多く, 10生率においてもstage I 79.7%, II 48.2%, III24.3%, IV 15.3%であり, stageが進むに従って予後が低下し, 現行のstage分類は遠隔成績をよく反映させていた.さらに, stageを構成する因子以外で脈管侵襲にかぎって10生群と再発群を比較して, 脈管侵襲の各stageへの影響を検討した.その結果, lyでは期待したほど各stageともその影響は少なく, 差異はみられなかったが, vはstage Iでこそ差はないが, II, IVでは再発群にv (+) の症例が多く (p<0.05) , IIIでも再発群にv (+) の症例が多い傾向が認められた.したがって, stage II以上では静脈侵襲の有無は予後に大きな影響を与えることになり, stageを構成する因子以外では10年生存を得るための重要な因子であると考えられる.なお, stage IVの治癒切除例が66例あり, 10年生存例を7例経験した.これら7例中, 肉眼型1, 2型の限局犁が6例であり, 限局型の場合にはS3であっても合併切除により予後の向上が期待できるものと考えられる.また, 4例はn3のみでstage IVとされたが, すべてにR3手術が施行されており, 諸家の報告15もみられるように, 症例の状況を十分に把握, 理解したうえで積極的, 徹底したリンパ節郭清を行っことが長期生存を得るためには必要であると考えられた.
  • 副島 和彦, 杉内 孝謙, 松本 亨, 細田 周二, 佐藤 信
    1986 年 46 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肝臓及び膵臓の線維化量を数量化する目的で4μのパラフィン切片のアリニン青単染色標本を使用し, 顕微鏡にCCDカメラを取り付け撮影を行い, 画像解析システムによりコンピュータ処理を行った.肝針生検材料は被膜を除く全面積を測定し (5~18mm2) , 剖検材料では無作為に選択した3視野 (合計102.3mm2) を測定したが, 標本の小さい胎児では可能な限り大きく測定し, 膵においては頭部及び尾部の2カ所について検索した.それら標本上での弾性線維を除く平均線維性結合織量±標準偏差値 (Mean±SD) は正常肝で3.36±1.51% (n=14) , 慢性肝炎では7.23±3.44% (n=40) , 肝硬変症では29.87±6.37% (n=5) であった.正常膵は胎齢15週の胎児から87歳までの60症例の平均では頭部で4.39±1.56%, 尾部で4.10±1.56%で, 頭部に多く見られたが, 優位差は認められなかった.発育及び年齢との関係では, 1歳未満では頭部3.98±1.78%, 尾部3.19±1.46%で, 80歳代では各々7.41±3.30%, 6.47±3.06%と, 年齢の上昇に伴い頭部・尾部共に増加傾向を認めた.慢性膵炎症例では23.89±16.57% (n=5) であった.パラフィン切片の厚さにおける検討では, 2μでは膠原線維及び銀好性線維の連続性に欠ける部の出現を認め, 又4~6μでは線維性結合織量には差がないが, 実質細胞におけるアニリン青の共染が問題となり, 4μパラフィン切片が適当であった.
  • 副島 和彦, 菊池 良知, 松本 享, 矢野 直樹, 三枝 利徳, 神田 実喜男, 河原 弘規
    1986 年 46 巻 1 号 p. 95-102
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性肝炎・肝硬変の肝線維化率と肝表面肉眼分類の関連性について, 腹腔鏡下で肝生検を施行した87症例及び肝硬変5剖検症例を検索した.肝表面肉眼所見は凹凸不整状態の程度により1~IIIbまでの6段階に分類し, 肝線維化率はコンピュータ画像解析装置により肝線維性結合織面積%を測定した.肝線維性結合織面積%は急性肝炎及び脂肪肝4.25±2.53% (n=7) , 慢性肝炎7.23±3.44% (n=40) , 肝硬変13.61±5.41% (n=40) で, 肝表面肉眼分類の各群における症例数, 年齢及び線維性結合織面積%はそれぞれ, 分類1-6症例, 39.1±11.7歳, 2.70±1.05%; 分類IIa-21症例, 39.0±12.9歳, 6.20±2.37%; 分類IIb-16症例, 50.3±13.3歳, 9.95±4.08%; 分類IIc-18症例, 51.3±10.7歳, 10.41±5.97%; 分類IIIa-16症例, 53.3±9.7歳, 14.46±6.01%; 分類IIIb-10症例, 57.2±10.8歳, 13.92±3.10%であった.正常肝の線維性結合織面積%との比較では, 分類II及びIIIの全にておいて優位差 (p<0.001) をもって増加していた.肝表面肉眼分類の各群間の比較では, IとIIa及びIIb間で優位差 (それぞれp<0.001, p<0.01) を認めた.HB (s) Ag陽性症例においては, IIIb症例の線維性結合織面積%は全症例の平均値より著明に増加していた.一部の症例では線維性結合織面積%と肝表面肉眼分類と不一致を認めたが, 肝表面の凹凸不整による肝表面肉眼分類は肝線維性結合織面積%をよく反映し, 且つ肝表面の凹凸不整, 結節形成の進行程度, 進行速度を加味すれば, 慢性肝炎の肝硬変への移行など, 診断及び予後判定に役立つと考えられた.
  • 塚原 哲夫, 扇内 幹夫, 服部 憲明, 永嶋 和男, 藤巻 悦夫, 山上 繁雄, 知野 公明
    1986 年 46 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年超音波検査は, 急速に臨床各分野に普及し, 高い臨床評価をうけるようになった.我々も, 軟部腫瘤5例に対して, 超音波検査を使用したので, 検討を加えた.症例は, 18歳女性右前腕部滑膜肉腫, 18歳男性右大腿部round cell sarcoma, 36歳女性左前腕ガングリオン, 13歳男性血反病Aによる右前腕部血腫, 52歳男性右大腿部血腫である.2例の悪性腫瘍は, 被膜の有無, 充実性か嚢胞性かの鑑別, 腫瘍の部位診断という点では, 超音波検査は有効だが, 浸潤の有無, 腫瘍の種類などの詳細な検査までは困難であった.血腫に対する超音波診断法は, 非常に有効であり, 特に血友病では経時的な変化を見る上で有用である.超音波診断法は, 整形外科領域においては, アーティファクトの問題や, 骨が超音波伝播に不都合であるなどの欠点があるが, 苦痛なく, 操作が容易, 安価であるなどの利点も多く, 有効な診断法と思われる.
  • 野元 成郎, 片岡 徹, 廣本 雅之, 趙 成坤, 角田 明良, 加藤 貞明, 桜井 俊宏, 河村 正敏, 幡谷 潔, 小林 建一, 新井 ...
    1986 年 46 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    注腸造影検査において大腸以外の他臓器悪性腫瘍により異常所見のみられた症例について検討し, 他臓器悪性腫瘍における注腸造影検査の意義について考察した.教室の過去6年間 (1976-1981) における注腸造影検査施行例1, 515症例中12例 (0.8%) に大腸以外の他臓器悪性腫瘍により造影写真上異常所見がみられた.12例の原発巣では胃癌が5例と最も多く, 次いで卵巣癌3例, 膵頭部癌, 子宮癌, 骨肉腫, 後腹膜悪性腫瘍各1例であった.造影写真上で異常所見のみられた大腸の部位では横行結腸が7例と最も多く, 次いでS状結腸4例, 直腸1例であった.横行結腸に異常所見が多くみられた背景としては, 原発巣に胃癌が多く, 解剖学的位置関係がその理由と考えられた.胃癌では横行結腸に壁硬化, 短縮, 伸展不良などが多く, 卵巣癌ではS状結腸に圧排, 壁不整, 狭窄などがみられた.注腸造影所見は大腸以外の他臓器悪性腫瘍においても原発巣不明の場合に所見の特徴から原発巣特定の糸口になりうる.また, 初発症例では大腸への進展状況から合併切除の必要性や手術の根治性を, 再発症例においては再切除の可能性や腸管の通過障害部位ならびにその改善のため腸管吻合部位を知り, 患者の愁訴を除き, 延命効果の期待できる外科手術に踏み切るに際しての重要な情報を提供してくれる.大腸以外の他臓器悪性腫瘍においても注腸造影検査は有用な検査法であり, 多方向透視撮影台の導入により検査時の苦痛も比較的少なく, 状況把握のため積極的に行う必要がある.
  • 門馬 和子, 城内 陽子, 大庭 忠弘, 野崎 重之, 真木 登喜世
    1986 年 46 巻 1 号 p. 115-117
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    45歳女, 68歳男, 29歳男, 36歳女.水銀体温計破損後に間擦部位を中心として全身に発疹を生じた.発症の条件, 特徴的な発疹の分布と性状, マーキュロクロムによる接触皮膚炎の既往, 貼布試験の検査成績から, 水銀蒸気吸入により発症したsystemic eczematous contact-type dermatitisと診断した.1例は貼布試験によって発疹の再発をみた点, 興味ある症例と思われた.
  • 廣本 雅之, 片岡 徹, 趙 成坤, 村上 雅彦, 松田 哲郎, 加藤 貞明, 桜井 俊宏, 鈴木 博, 新井田 修, 河村 正敏, 幡谷 ...
    1986 年 46 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 1986/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    原発性胃癌の組織型は, 大部分が胃癌取扱い規約での一般型, いわゆる腺癌性胃癌であり, 特殊型に分類されている中の扁平上皮癌はきわめてまれである.今回, 胃原発の扁平上皮癌を1例経験したので, その概要の報告とともに若干の文献的考察を加えた.症例は63歳の男性, 主訴は右背部痛と胸部重圧感精査の結果, 胃体部小彎側を中心の胃癌 (生検では高分化型管状腺癌と扁平上皮癌の混在が認められた) と判明し, 開腹した.手術所見では, 肝左葉への直接浸潤性転移が認められ, P0H0S3N2 Stage IVであり, 肝左葉部分合併切除, 2群までのリンパ節郭清 (R2) を伴う胃全摘除術 (Roux Y法) を行った.胃切除標本の検索では, 胃体中部から一部幽門部にかけ (MC) , 小彎側を中心とする9×8cmのBorrmann II型胃癌であり, 割面では限局型, 組織学的には病巣のごく一部にわずかの高分化型管状腺癌を認めるものの, 大部分 (90%以上) は高分化型扁平上皮癌であり, sei, INFβ, 1y2, v2, n1, 2 (+) , ow (-) aw (-) , stage IVであった.胃原発の扁平上皮癌, 腺扁平上皮癌の組織発生についての定説的なものはなく, 異所性迷入扁平上皮由来, 胃粘膜の扁平上皮化生由来, 未分化基底細胞由来, 腺癌細胞の扁平上皮化生などの説がみられる.本症例では, 1つの腺的内に腺癌と扁平上皮癌の2つの組織像が併存した像がみられ, これは腺癌が扁平上皮癌に移行したと考えられる所見であり, また病巣周辺を含めて癌化する以前の扁平上皮化生および異所性迷入扁平上皮を認めなかったことから判断し, 組織発生論からみれば腺癌細胞の扁平上皮化生により発生した扁平上皮癌であると推測された.
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