昭和医学会雑誌
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48 巻, 6 号
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  • (特に長期観察例に関して)
    柴田 実, 住野 泰清, 佐藤 源一郎, 定本 貴明, 岡田 正, 上野 幸久, 中野 博子
    1988 年 48 巻 6 号 p. 665-671
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    長期間観察しえた自己免疫性肝炎13例を対象として, 臨床症状, 予後および初診時と最終観察時における肝機能検査成績 (T-Bil, GOT, γ-Gl, IgG, Ch-E, HPT, ESR, ICG-R15) の変動を比較検討した.対象者の初診時の年齢は18歳~64歳 (平均43.7歳) であり, 全例女性であった.これらの約半数は肝外臓器症状を示さず, 合併症状を有するものでも関節痛や発熱程度のものがほとんどであった.また, ステロイド投与中に肺膿瘍で死亡した1例を除き全例が生存し, 軽度の肝機能障害に留まるものが大半であり, 検査成績で有意に悪化した項目はなかった.以上より本邦の自己免疫性肝炎は肝病変の活動性が弱く進行性に乏しく予後の良いものが多いと考えられた.
  • ―施灸部位の血管透過性の変化―
    會澤 重勝, 岡崎 雅子, 坂本 浩二, 吉浜 勲
    1988 年 48 巻 6 号 p. 673-680
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    施灸刺激の皮膚局所に及ぼす影響を検討するため艾重量1, 2, 5mgの艾柱を用いマウス腹部に施灸を行い, 皮膚血管の変化および血管透過性について基礎的実験を行った.その結果, 施灸の熱刺激に対する即時的反応として施灸部直下の血管は収縮し, 施灸部周囲の血管は拡張した.ついで施灸局所の血管透過性の亢進が色素漏出面積の増大およびcarbon漏出により確認され, 同時に施灸部周囲に存在する肥満細胞の脱顆粒が艾柱重量に比例して増大した.色素漏出に対するhi-stamine拮抗薬の影響を抽出法でみると, diphenhydramineで色素漏出が抑制され, histamineH1受容体の関与が示唆された.Carbonによる漏出部位を電子顕微鏡により検索した結果, 2mg, 1壮施灸30分後では内皮細胞間の開口は認められず, 内皮細胞内通過の可能性が考えられた.以上施灸による皮膚および筋の血行動態および血管透過性の変化から施灸刺激は皮膚上に熱刺激を与え, 微小な火傷を作り生体防御機構である炎症反応を惹起させるものと推察された.
  • 五百蔵 一男
    1988 年 48 巻 6 号 p. 681-692
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    骨格筋の機能と筋線維構成の関係を明らかにする研究の一環として, 後頭下筋につき, その横断面積, 断面の筋線維総数, 1mm2中の筋線維数, 筋線維の太さ, 密度等を算出し, 他と比較した.材料は学生実習用の10%ホルマリン水注入屍11体 (男性6, 女性5, 平均年齢73.2歳) から得られた大後頭直筋, 小後頭直筋, 上頭斜筋, 下頭斜筋の4筋でセロイジン包埋, HE染色標本によった.結果は次のごとくである.1) 筋腹横断面積および断面の筋線維総数は男女とも下頭斜筋, 大後頭直筋, 上頭斜筋, 小後頭直筋の順に大で多かった.男女別には断面積では男性の方が女性よりも優る傾向が見られたが, 線維数では一般に性差はなく下頭斜筋のみに男性優位の傾向が見られたに過ぎなかった.2) 1mm2中の筋線維数は, 男女平均で下頭斜筋が最も多く, 上頭斜筋がこれに次ぎ, 以下, 大, 小後頭直筋はほぼ等しく, 頭斜筋が後頭直筋よりも多い傾向がみられた.他筋に比べて, 4筋とも外腹斜筋, 腹横筋等よりも少なく, 中間的な筋群に属した.3) 筋線維の太さは, 小後頭直筋が最も大, 大後頭直筋がこれに次ぎ, 上, 下頭斜筋が相等しくて最も小で頭の固定に働く筋が頭の回旋に働く筋よりも大であった.他と比較すると, 4筋とも僧帽筋中間部よりも遥かに小, 大腰筋よりも大であり, 一般に骨問の一定位の保持に働く筋に最も近かった.4) 筋線維の密度は, 下頭斜筋と小後頭直筋, 上頭斜筋と大後頭直筋がそれぞれ相等しく, 前者が後者よりも優っていたが, 女性では4筋とも相等しくて差がなく, 上頭斜筋と大後頭直筋では女性の方が男性よりも密度が高かった.4筋とも外腹斜筋, 内腹斜筋, 腹横筋, 腸骨筋よりも低く, 身体支持筋の特徴を示していた.5) 組織所見では, 筋線維の大小不同は小後頭直筋に, 萎縮は上頭斜筋と下頭斜筋にそれぞれ多く, 結合組織性の筋周膜増加は大後頭直筋と下頭斜筋で男性に多い傾向がみられた.6) 筋線維の太さの分布型から見て, 大後頭直筋と小後頭直筋は頂点の低い分布型が多く, 上頭斜筋と下頭斜筋は逆に高い分布型が多く, 後者の方が萎縮傾向が強く小型に均一化していると考えられた.
  • 岡田 哲朗, 足立 満, 岡田 陽子, 水野 雅夫, 丸山 繁, 高橋 昭三, 前田 昌子, 辻 章夫
    1988 年 48 巻 6 号 p. 693-698
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    26名の気管支喘息患者で, 室内塵又はAspergillus fumigatusによる抗原吸入誘発試験を行い, 血中ケミカルメディエーターの変化について検討した.抗原吸入誘発試験における気管支反応型を無反応群 (N群) 6例, 即時型気管支反応 (IAR) のみを示した群 (1群) 8例とIARおよび遅発型気管支反応 (LAR) を示した二相性気管支反応群 (D群) 12例の3群に分け, 同時に血中ケミカルメディエーターである血漿histamine (H) , 血漿leucotriene C1 (LTC4) および血漿thromboxane A2 (TXA2) の代謝産物であるthromboxane B2 (TXB2) の2則定を抗原吸入前および吸入後8時間まで経時的に行った.血漿Hは3群ともに抗原吸入前後で有意な変動を認めなかった.血漿LTC4は1群では前値1.55±0.24μg/mlよりIAR出現時2.14±0.23, μg/mlと有意に上昇し (P<0.05) , D群においても前値1.30±0.12μg/mlよりIAR出現時1.77±0.11μg/mlと有意に上昇した (P<0.01) .IAR出現時のLTC4の上昇率と肺機能PEFRおよびV25の低下率との間にそれぞれP<0.01 (r=0.5987) P<0.05 (r=0.4807) と正の相関を認めた.血漿TXB2はI群とD群のIAR出現時およびD群の3時間で上昇傾向を認めた.LTC4はIAR惹起に重要なケミカルメデTエーターであり, TXA2はIARおよびLAR惹起ともに関与していると示唆された.
  • 宇佐美 信乃, 茂木 好則, 阿部 琢己, 桑沢 二郎, 水島 秀勝, 土居 浩, 泉山 仁, 池田 尚人, 田所 康之, 松本 清, 松井 ...
    1988 年 48 巻 6 号 p. 699-705
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性, 易出血性の15×10×8cm大の巨大耳下腺癌に対し, 昭和63年1月8日と1月13日にAdriamycin (ADM) を用いた脳血管内手術を施行し80~90%の腫瘍壊死, 脱落をみた.しかし, 2月1日突然耳下腺癌浸潤による右頸動脈への穿孔破裂が原因で大量出血をきたした.緊急止血が必要であったが右鎖骨下まで浸潤した広範囲頸部腫瘍塊を切除し頸動脈の結紮は困難と, また人工血管置換もほぼ不可能と断定し施行できなかった.このため生体接着剤Isobutyl-2-cyano-acrylate (IBCA) とLipiodo1のMixture (今回はIBCA: 1.0に対しLipiodol: 0.7を混合した70%IBCA&Lipiodol Mixtureとした) を用いた脳血管内手術法を施行した.方法はSeldinger法にてまず7Fr.balloon付catbeterを右総頸動脈まで挿入しballoonをinflate後, 破裂穿孔部より更に5Fr.catheterを挿入しここより約1.5mlの70%IBCA & LipiodolMixtureを注入し総頸動脈から破裂穿孔部まで重合硬化させた.わずかなleakageを認め, 次に7Fr. balloon付catheterより, balloonをinflateし血流を遮断した状態で再度0.2ml程流入し完全に止血し得た.本症例のごとく大血管の破裂には緊急処置が必要で, 腫瘍の浸潤が強く頸動脈結紮も困難な症例に対し即効性重合剤のIBCAは有効な栓塞物質になり得ると思われる.目的の血管部位のみを栓塞でき末梢を閉塞しないため今後このような症例には新しい治療法として十分効果を期待できるものと考えここに報告した.
  • 宇佐美 信乃, 野中 誠, 阿部 琢己, 桑沢 二郎, 水島 秀勝, 土居 浩, 池田 尚人, 田所 康之, 泉山 仁, 松本 清, 松井 ...
    1988 年 48 巻 6 号 p. 707-712
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性, 放射線治療 (第1回目は昭和61年11月20日より1.8Gy×35回, 計63Gy, 第2回目は昭和62年3月10日より1.8Gy×15回, 計27Gyで総計90Gy) , 抗疵剤治療 (昭和62年7月3日より右浅側頭動脈より逆行性にcatheterizationし, Pepleomycin 5mg/day×6日間を1クールとして2クール計60mg) , 温熱療法 (昭和62年12月16日より43℃×30分間を2日間施行) と種々の治療を受け, これが誘因となり右下顎部に潰瘍形成を伴い同部より昭和63年2月5日大量出血をきたした症例を経験した.このため緊急止血が必要であり圧迫止血や電気メスによる凝固止血を試みたが出血部の組織が種々の治療により脆弱となっており止血困難であった。腫瘍の栄養血管も含む外頸動脈の結紮術は潰瘍部の悪化をきたす可能性があると考え, 同日, 牛真皮より抽出した不溶性吸収性collagenによる脳血管内手術法を施行した.5Fr.catheterをfacial arteryとlingual arteryの分枝部まで誘導し, リンゴ汁状の懸濁化したcollagenを造影剤と混ぜこのcatheterより数回注入しfacial arteryとlingual artenyを栓塞した.2月15日再度大量出血をきたし, 緊急の右頸動脈撮影にて前回の栓塞したfacial arteryよりさらに中枢側より出血源を確認した。今度は約500crm (indiameter) のparticleにしたPolyvinyl alcohol (PVA) を用い再度脳血管内手術を施行した.止血後再出血を予防するため少量のIsobutyl-2-cyanoacrylate (IBCA) と油性造影剤Lipiodolのmixture (IBCA: Lipiodol=1: 0.7) を用いて栓塞を追加した.本症例のごとく, 腫瘍の浸潤のみならず種々の治療を受け脆弱化した組織血管よりの出血に対し, 外よりの止血 (圧迫止血や電気メス等による凝固止血) では止血困難で再出血をきたし易いが, しかし血管内よりの止血 (脳血管内手術) は確実であり有効と思われる.腫瘍の栄養血管をIBCAのような即効性生体接着剤により直接栓塞すると潰瘍や壊死を形成し易くする.そこで不溶性吸収性collagenや非吸収性PVAを用い栓塞する方法は直径約200~250μmの血管までを栓塞し透視下に数回に分けて栓塞でき安全にかつ, 潰瘍の悪化, 壊死形成を生じない栓塞物質と思われた.今後このような症例に対し, collagen, PVAやIBCA & Lipiodol Mixtureによる脳血管内手術法は十分効果を期待できるものと考えここに報告した。
  • 高橋 亨正, 植村 和幸, 諸星 利男, 神田 実喜男, 矢内原 功
    1988 年 48 巻 6 号 p. 713-718
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    妊娠に合併して認められたMyxoid leiomyosarcomaを経験したので, 病理形態的検索を加え発表した.患者は38歳既婚女性.妊娠13週にて来院, 腹部エコーにて巨大な腫瘍を発見, 漿膜下子宮筋腫の診断のもとに摘出術を行った.腫瘍は全体に粘液産生が著しく, 長紡垂型の平滑筋原性腫瘍細胞が疎に配列する.軽度の核分裂像が充実性の平滑筋腫様部分に散見 (1~4/10HPF) されたが, 疎な部分ではこれを欠く.経過は順調で妊娠40週, 帝切にて正常児を出産.同時に腫瘍摘出創周囲組織を郭清したが, 光顕的, 電顕的に再発像が確認された.現在, 本腫瘍に関する報告は文献上10例を越すに留っており, 今後の臨床的病理形態学的検索の積み重ねの必要性が示唆された.
  • ―免疫組織化学的検索および文献的考察―
    田中 房江, 副島 和彦, 神田 実喜男, 松村 堅二, 舟波 誠
    1988 年 48 巻 6 号 p. 719-725
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肺癌肉腫の2症例を経験した.第1例は84歳男性の剖検症例で, 右肺の癌肉腫は高分化型扁平上皮癌と紡錘細胞肉腫から構成され, 扁平上皮癌は腫瘤の辺縁に, 紡錘細胞肉腫は中央に存在し, 遠隔転移巣の組織型は扁平上皮癌であった.第2例は58歳男性の生検症例で, 右肺の腫瘍は低分化型腺癌と紡錘細胞肉腫から成っており, 双方が胸膜・胸壁に浸潤していた.また, この2例について免疫組織化学染色 (keratin, vimentin, epithelial membrane antigen, secretory component, α1-antitrypsin, neuron specific enerase, PE10) を施行したが, keratinは癌の部位で陽性を, 肉腫の部位で陰性を, 肉腫の一部では弱陽性を呈し, 癌と肉腫が同一成分から発生した可能性がうかがえた.今回の2症例を含めた肺癌肉腫の報告例を検討してみると, 性別は男性63例 (85.1%) 女性11例 (14.9%) と男性に多く, 年齢は最高84歳, 最低35歳, 平均62.4歳で男女とも60歳代に多い.転移巣の組織型は癌を示すもの9例, 肉腫を示すもの3例, 双方ともみられるもの6例と癌を呈するものが多かった.
  • 賀嶋 俊隆, 井上 恒一, 野元 成郎, 森保 幸治, 高場 利博, 大田 宏
    1988 年 48 巻 6 号 p. 727-732
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年動脈硬化性疾患の増加および平均寿命の延長に伴い, 腹部大動脈瘤の手術症例が増加してきている.しかし手術適応となると, high risk症例では手術が中止されるcaseも少なくないように思われる.現在, 手術手技および術前・術中・術後管理の著しい進歩により, 待期的手術死亡率は5%以下とほぼ安全な手術となってきている.しかしhigh risk患者では10%前後の死亡率であり, 破裂例の死亡率は高く60%以上の報告も多い.今回, 破裂・腎不全・肺気腫・高齢のhigh risk腹部大動脈瘤4例に対し手術を行い, 1例は死亡, 2例で術後イレウス, 硬膜下水腫を合併した症例を経験したので報告した.
  • 平泉 裕, 藤巻 悦夫, 原 徹也
    1988 年 48 巻 6 号 p. 733-739
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    解離性大動脈瘤患者に術中脊髄誘発電位によるモニタリングを行い, 麻酔, 体温, 血液灌流量の変動が脊髄機能に与える影響を実際に観察することができた.患者は33歳男性で, 胸背部痛のため入院.以前解離性大動脈瘤でBentallの手術と, 両総頸動脈間バイパスおよび右鎖骨下動脈吻合術の手術を受けている.CTでは上行大動脈から下行大動脈気管支分岐部まで動脈瘤破裂による拡大がみられ, 人工血管による胸部大動脈全置換術が行われることになった.脊髄誘発電位は, 硬膜外電極をC5/6, T12/L1に設置し, DISA1500筋電計を用いて上行性と下行性の電位を記録した.コントロールの上行性電位はN1, N2からなり, 下行性電位は幅の広い1峰性をしめした.手術中はFF bypassの灌流量が20%に減少したときN1の振幅が26%に減少し, 17分後に元の灌流量に戻したところ92%に同復, また完全に灌流をストップすると5分後に波形が消失し, 15分後に灌流を再開したところ波形の振幅は95%に回復した.一方, 体温が10℃下した時点でN2消失とN1の振幅増大現象及び潜時の遅延がおこった.動脈性吻合のため術後の阻血性脊髄麻痺の危険性は少ないといわれているが, 現実には胸髄の主動脈数が少ないこととAdamkiewicz arteryの入る髄節に個人差があることから, 胸部大動脈をクランプするレベルや胸部大動脈を置換する範囲により脊髄の動脈吻合系に異常を生じ脊髄阻血を発生する可能性が十分有ると考える.しかし, 今回の結果から少なくとも15分位の血流遮断は可逆性を残していると思われた.脊髄モニタリングによる阻血性脊髄麻痺の予防には, 第1に脊髄のAdamkiewicz arteryに対する依存度を確認するため胸部大動脈のテストクランプを試みる方法, 第2に胸部大動脈を広範囲に置換するときは人工血管に肋間動脈を吻合する方法などが考えられた.
  • 臼井 充郎, 浅川 義夫, 田中 滋城, 柳沢 美光, 佐野 元春, 舩冨 等, 田口 進, 八田 善夫, 諸星 利男, 神田 実喜男
    1988 年 48 巻 6 号 p. 741-745
    発行日: 1988/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ワイル病は, 近年減少傾向にあるが, 発見, 治療が遅れると致命的となる場合がある.本症は, 野鼠の糞尿に接する機会の多い農業従事者, 調理師に発症することが多い.今回, われわれは調理師に発症し, 発見, 治療が遅れたため, すでに腎不全を合併し, 抗生物質投与と共に血漿交換療法を施行し, 症状の急速な改善を認めた症例を経験した.ワイル病の進展は, レプトスピラによる有毒性物質によって惹起されるものと考えられており, 本症のごとく治療の時間を逸した症例に対し, その物質除去を目的とした血漿交換が, 著効を示す治療法であることが示された.腹腔鏡所見, 肝生検の結果と共に文献的考察を加え, 報告する.
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