C型慢性肝炎の治療を目的としてインターフェロン (IFN) 療法が行われており, IFNの治療効果とC型肝炎ウイルス (HCV) の遺伝子型および血中HCV RNA量の関連が指摘されている.C型慢性肝炎患者でIFN投与が終了した85例についてその治療効果を検討し, さらに66例についてHCV遺伝子型とHCVRNA量を測定し検討した.HCVの遺伝子型はOkamotoらの変法により解析し, HCV RNA量はCompetitive RT-PCR法により測定した.IFN療法の効果判定は, 厚生省難治性の肝炎調査研究班の基準に準拠し, 著効, 有効および無効とした.対象は, 組織学的, さらに血清学的にC型慢性肝炎と診断された85例うち男54例, 女31例であり, 平均年齢は, 51歳である.24週間のIFN投与終了直後の著効率は28%であり, 最終効果判定時期である開始後72週では25%であった.また無効率は, それぞれ51%, 45%であった.IFN療法開始前の肝組織病変については各測定時期において著効例の80%以上は組織病変の進展の低いchronic persistent hepatitis (CPH) とchronic aggressive hepatitis (CAH) 2A例であり, 無効例の53~58%は組織病変の進展したCAH2B例であった.しかし, なお35~44%はCAH2A例であった.HCV遺伝子型との関連では, 投与開始後24週の各遺伝子型における著効率は, II型の18%に対し, III型では53%と高率であった.またH型では経過とともに肝炎が再燃し, 無効例が多くなり48週では著効例が認められなかったIII, 皿型では治療効果が持続し, 投与開始後48週でも著効率は55%であった.HCV RNA量が10
5copies/50μl血清以上の症例が64%認められ, これらにおける24週での著効率は32%, 48週では著効例が認められなかった.一方これよりHCV RNA量が少ない例での治療効果は良好で, 著効率は投与開始後24週で68%, 48週で88%と高率であった.IFN投与開始後24週のHCV RNAの消失率は, 全体では47%であったが, III型 (77%) ではII型 (32%) より高率に消失した.さらにHCV RNA量の多い例のHCV RNAの消失率は33%であったが, 少ない例では62%とIFNの抗ウイルス効果が著明であった.HCV RNA量の測定はIFN療法開始前にその効果を予測する指標として, HCVの遺伝子型の解析とともに現在のところ有用である.C型慢性肝炎に対するIFN療法の効果として, 検討例での著効率は20~30%であった.また投与開始前の肝組織病変の進展の低い例にIFNの治療効果が得られる傾向は認められたが, 有意な関連性は認められなかった.HCVとIFN療法の治療効果との関連ではHCV遺伝子型がIII型の例の著効率が最も高く, 一方II型では投与開始後48週では著効例が認められなかった.血中HCV RNA量の少ない例では, 著効率が高く肝炎の再燃も少なく良好な長期予後が得られた.
抄録全体を表示