昭和医学会雑誌
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54 巻, 4-5 号
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  • 片桐 敬
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 221-232
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Acute myocardial infarction (AMI) has been one of the most cardinal causes of death in Japan in recent years and its treatment is very important. AMI is diagnosed by peculiar chest pain, characteristic electrocardiographic changes, such as ST elevation and appearance of abnormal Q waves, and sequential elevation of serum enzyme activities. Usually a definite diagnosis of AMI is made by based on the presence of at least two of these three findings. Patients should be admitted to the coronary care unit (CCU) as soon as possible after the onset of AMI to be treated intensively on the first several days, followed by rehabilitation course in the general ward. The shortterm mortality rate of AMI in the 1960's was about 25% ; the main causes of death were fatal ventricular arrhythmias and congestive heart failure. The prognosis of AMI has gradually improved by the introduction of vasodilator therapy, newer cardiotonic catecholamines and intraaortic balloon pumping. The mortality rate is now approximately 13% due to the addition of coronary intervention treatment. The main causes of death are severe congestive heart failure, including cardiogenic shock, and rupture of the heart ; treatment of cardiac rupture is the most important subject to be addressed. The long-term prognosis is also improving with the development of active rehabilitation with exercise loading and new drugs.
  • 青木 明, 小貫 誠, 井上 徹也, 三木谷 孝誠, 臼井 一郎, 歌橋 和哉, 南部 かおり, 水野 幸一, 石井 誠, 米山 啓一郎, ...
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 233-242
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎の治療を目的としてインターフェロン (IFN) 療法が行われており, IFNの治療効果とC型肝炎ウイルス (HCV) の遺伝子型および血中HCV RNA量の関連が指摘されている.C型慢性肝炎患者でIFN投与が終了した85例についてその治療効果を検討し, さらに66例についてHCV遺伝子型とHCVRNA量を測定し検討した.HCVの遺伝子型はOkamotoらの変法により解析し, HCV RNA量はCompetitive RT-PCR法により測定した.IFN療法の効果判定は, 厚生省難治性の肝炎調査研究班の基準に準拠し, 著効, 有効および無効とした.対象は, 組織学的, さらに血清学的にC型慢性肝炎と診断された85例うち男54例, 女31例であり, 平均年齢は, 51歳である.24週間のIFN投与終了直後の著効率は28%であり, 最終効果判定時期である開始後72週では25%であった.また無効率は, それぞれ51%, 45%であった.IFN療法開始前の肝組織病変については各測定時期において著効例の80%以上は組織病変の進展の低いchronic persistent hepatitis (CPH) とchronic aggressive hepatitis (CAH) 2A例であり, 無効例の53~58%は組織病変の進展したCAH2B例であった.しかし, なお35~44%はCAH2A例であった.HCV遺伝子型との関連では, 投与開始後24週の各遺伝子型における著効率は, II型の18%に対し, III型では53%と高率であった.またH型では経過とともに肝炎が再燃し, 無効例が多くなり48週では著効例が認められなかったIII, 皿型では治療効果が持続し, 投与開始後48週でも著効率は55%であった.HCV RNA量が105copies/50μl血清以上の症例が64%認められ, これらにおける24週での著効率は32%, 48週では著効例が認められなかった.一方これよりHCV RNA量が少ない例での治療効果は良好で, 著効率は投与開始後24週で68%, 48週で88%と高率であった.IFN投与開始後24週のHCV RNAの消失率は, 全体では47%であったが, III型 (77%) ではII型 (32%) より高率に消失した.さらにHCV RNA量の多い例のHCV RNAの消失率は33%であったが, 少ない例では62%とIFNの抗ウイルス効果が著明であった.HCV RNA量の測定はIFN療法開始前にその効果を予測する指標として, HCVの遺伝子型の解析とともに現在のところ有用である.C型慢性肝炎に対するIFN療法の効果として, 検討例での著効率は20~30%であった.また投与開始前の肝組織病変の進展の低い例にIFNの治療効果が得られる傾向は認められたが, 有意な関連性は認められなかった.HCVとIFN療法の治療効果との関連ではHCV遺伝子型がIII型の例の著効率が最も高く, 一方II型では投与開始後48週では著効例が認められなかった.血中HCV RNA量の少ない例では, 著効率が高く肝炎の再燃も少なく良好な長期予後が得られた.
  • 浦田 武義, 高木 康, 五味 邦英, 高橋 春男, 小出 良平
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 243-248
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和大学病院眼科を受診した169名の白内障患者の血清脂質成分を分析し, 白内障と血清脂質代謝の関係を検討した.白内障は特定の基礎疾患が限定できない老人性白内障と糖尿病を合併している糖尿病性白内障とに分類し, 年齢と性をある程度マッチングした健常対照群および糖尿病性網膜症群を比較対照とした.老人性糖尿病群では総コレステロールが216.3±39.6mg/dlで, 糖尿病性白内障群の204.6±46.4, 健常対照群の205.0±41.0mg/d1と比較して高値傾向ではあるが, 統計学的有意差は認められなかった.これは中性脂肪, リン脂質, HDL-コレステロールでも同様で, 有意差は認められなかった.また, 動脈硬化の独立指標とされるリポ蛋白 (a) (Lp (a) ) はバラツキが大きく, 老人性白内障で21.9±18.8mg/dlであるのに対して健常対照群が22.0±12.9mg/dlとこれも有意差は認められなかった.老人性白内障群を加齢により分類すると, どの血清脂質成分も加齢とともに高値となる傾向があるものの有意差は認められなかった.ただし, 総コレステロール/HDL-コレステロール比は61~70歳の4.34±1.20, 71~80歳の4.42±1.27と比較して81歳以上では3.71±0.95と低値であった.また, 新しく改良を加えたPAGE後にコレステロール染色を行う方法でのリボ蛋白コレステロールを分別測定する方法は, Lp (a) の増加を確認できた.そして, 老人性白内障では40~80歳までは加齢とともにHDL分画コレステロールが減少してLDL分画コレステロールが増加するが, 81歳以上ではHDL分画コレステロールが上昇し, LDL分画コレステロールが減少する変動が確認された.
  • ―深腓骨神経―
    柳澤 健, 後藤 昇, 木村 忠直, 田中 淳司
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 249-254
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    実習用解剖体21例 (男性, 41~89歳) の深腓骨神経のLuxol fast blue-periodic acid Schiff-hematoxylin染色切片を作製し, 描画装置付顕微鏡と画像解析装置を組み合わせて, 加齢変化による組織学的な影響を形態計測学的に検討した.単位面積内の軸索数, 軸索周長, 軸索面積を計測した結果, 次の所見を得た. (1) 軸索数, 軸索面積, 軸索総和面積, 軸索周長, 軸索総和周長の各年代層での平均値は, 40歳代から80歳代の間で加齢に伴いすべての項目で減少した. (2) 年齢に対する軸索数, 軸索平均面積, 軸索平均周長の相関関係はいずれも負の高い相関を示した.上記の結果を形態学, 末梢神経伝導速度, 神経活動電位の振幅などの先行研究と対比して考察した.単位面積内の軸索数および面積はいずれも加齢と共に漸減したことから, 軸索の形態学的変化は加齢に伴う末梢神経線維の数の減少と細径化を反映していることが示唆された.
  • 栗島 秀行, 能美 雅才, 古屋 実, 高木 智史, 中山 貞男
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 255-261
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    果糖誘導性ラット高脂血症に対する発酵オリゴ酢 (オリゴ酢) , 4.5%酢酸, グルコース酢と20%イソマルトオリゴ糖 (オリゴ糖) の影響を検討した.高果糖食 (HFD) 飼育下に被検液1.0, 2.5ml/kgを2週間経口投与した.酢酸はHFD飼育による血清のトリグリセライド (TG) , 遊離コレステロール (FC) の増加を抑制した.グルコース酢, オリゴ酢とオリゴ糖は総コレステロール (TC) , FC, TGの増加を抑制した.血清リポタンパクにおいて, HFD飼育による高密度リポタンパク (HDL) の亜分画であるHDL1の増加はすべての被検液で抑制された.酢酸はHDL2とHDL3の増加を示した.オリゴ酢とオリゴ糖ではそれぞれHDL2, HDL3の増加を示した.グルコース酢, オリゴ酢とオリゴ糖では超低密度リポタンパク (VLDL) の低下を認めた.すべての被検液で肝臓の遊離脂肪酸増加抑制とTG減少を認めた.HFD飼育による血清脂質増加に対するグルコース酢, オリゴ酢とオリゴ糖の抑制作用は高用量 (2.5ml/kg) で弱められた.グルコース酢, オリゴ酢とオリゴ糖の1.0ml/kgによる血清TC, エステルコレステロール, リン脂質の増加抑制作用は酢酸のそれに比べて強く, オリゴ酢とオリゴ糖ではVLDL低下も明らかであったことから, これらのHFD高脂血症に対する抑制作用は酢酸よりも強いものと思われる.グルコース酢とオリゴ糖の相加的作用増強はみられなかったものの, オリゴ酢はHFD飼育による血清脂質増加を抑制し, リポタンパク異常を改善することが明らかとなった.
  • ―脂質過酸化と種々抗酸化酵素に及ぼすX線全身照射の影響―
    本谷 廣栄
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 262-266
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    マウス脳を用いて, X線全身照射後の過酸化脂質 (TBA-RS) 及び過酸化脂質のうち生体膜の主成分を占める不飽和脂肪酸 (phosphatidyl choline hydroperoxides: PC-00H, phosphatidyl ethanolamine hydroperoxides: PE-OOH) の変化を検討した.更に過酸化脂質生成の主要因となる活性酸素の消去酵素として細胞内に存在する抗酸化酵素のうち特に重要なsuperoxide dismutase (SOD) やglutathione peroxidase (GSH-Px) の変化もあわせて検討した.2.0~10.0Gyの各線量における全身照射後4日目では, 有意ではないが脳内TBA-RSは減少傾向を示した.8.0Gy全身照射後の脳内TBA-RSの経時的変化の検討においては, 2~9日目の問で減少傾向がみられ, 特に7日目では有意な減少が認められた.さらに8.0Gy全身照射後の脳内PC-00H, PE-OOHの経時的変化の検討では両者とも減少傾向がみられた.一方, 抗酸化酵素ではミトコンドリア内のMn-SOD, GSH-Pxは照射により変化しなかったが, 細胞液内のCu, Zn-SODとGSH-Pxは照射後有意な上昇を示した (p<0.025) .以上のことから脳は通常の臓器のように放射線照射後過酸化脂質は増加せず, 逆に減少傾向を示し, その要因としては細胞液中の抗酸化酵素の作用が強いことが示唆され, 脳の放射線防護機構の一つであると考えられた.
  • ―放射線全身照射後の肝脂質過酸化に及ぼす影響―
    浮洲 龍太郎
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 267-272
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    In vivoの実験で放射線防護効果の認められたジピリダモール (ペルサンチン) の防護効果の機序を調べるため, マウスを用いX線及び60Co-γ線全身照射後の肝の過酸化脂質の変動とそれにおよぼすジピリダモールの影響を検討した.全身照射7日後では6~10Gyの各線量照射により, 肝内の過酸化脂質は照射線量に依存して有意に増加した.上記実験及び30日後の50%致死率のデータ1) から最適と考えられた8Gyの全身照射によりX線及び60Co-γ線照射2日後から9日後にかけて肝内過酸化脂質は上昇傾向を示した.特に4日後から9日後にかけては経時的な増加を示した.これらの変化はX線と60Co-γ線の間に差は見られず, 両線源の生物学的効果は同等であった.全身照射後の肝の過酸化脂質の増加はジピリダモール照射前の腹腔内投与により有意に抑制された.以上のことから抗酸化作用がジピリダモールの放射線防護効果の重要な要因である可能性が示唆された.
  • 123I-IMP-SPECT所見を中心に―
    市川 博雄, 神田 実喜男, 福井 俊哉, 杉田 幸二郎
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 273-283
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症 (以下 ALS) では歴史的にみても痴呆が認められないとされてきたが, 近年, 痴呆状態を伴うことがあることが確認されてきた.今回著者らは, ALSにおける痴呆症状の有無, ALS病型, 重症度などの臨床像を検討するとともに, single photon emission computed tomography (以下 SPECT) を中心とした画像所見とも比較し, ALSにおける画像所見の特徴と臨床症状との関連について検討した.対象は当科で観察したALS23例であり, 痴呆を伴うALS (ALS-D) は5例であった.ALS-D例の痴呆症状は自発語の減少, 意欲の低下などの発動性の低下と脱抑制的な行動異常や人格変化が主体を占めていた.ALS-D例のX線CTでは前頭葉を中心とした脳萎縮を認め, SPECTでは, 前頭葉全体のび慢性の取り込み低下が特徴的であった.一方, 痴呆を伴わないALS例 (ALS-N) のSPECT所見では, まだら状の不均一な取り込み低下がみられたが, 前頭葉全体のび慢性の取り込み低下を示す症例はなく, 長期経過観察でもALS-Dに移行する例は認められず, SPECT所見とALS例の罹病期間, 重症度との相関はみられなかった.また正常対照群に比較して, ALS-D, ALS-N群とも運動感覚野の取り込みが有意に低値であり, さらに有意な左右差も認められ, 左側が低値を示す例が多かったが, 上位運動ニューロン徴候の有無や臨床症状の左右差との間に相関は認められなかった.ALSにおける痴呆症状は前頭葉性の痴呆であり, ALSの長期経過においてあるいは重症例にみられるALSの末期症状ではなく, 痴呆群がALSの特殊な型である可能性が考えられた.さらに, ALS-D例の早期診断とALS-N例との鑑別におけるSPECTの有用性が強く示唆された.
  • 根岸 雅夫
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 284-287
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    男性の高齢発症の慢性関節リウマチ (RA) 患者が, 種々の抗リウマチ剤に抵抗性をしめした.この患者にメトトレキサート (MTX) を5mg/週投与したところ, 投与1カ月後頃より著効をしめし, 併用投与されていたステロイド剤は減量中止された.投与10カ月後, 37.8℃の発熱とともに乾性咳嗽と労作時呼吸困難が出現した.胸部X線では両側上中肺野を中心に輪状粒状影が認められ, 著明な低酸素血症が認められた.リウマチの活動性が低下している時期に発症したことからMTXによって誘起された間質性肺炎と診断し, 原因薬剤の中止とステロイドパルス療法を含むステロイド療法および酸素支持療法によって回復した.
  • 鈴木 恵史, 新井 一成, 新井 浩士, 上地 一平, 横川 京児, 福島 元彦, 石井 博, 伊藤 洋二, 河村 正敏, 草野 満夫
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 288-293
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移症例の動注リザーバー留置部合併症の適切な処置により, 再動注でき, 化学療法が奏効した2症例を経験した.症例1: 直腸癌肝転移例.前方切除, 肝部分切除, 肝動注カテーテル挿入を施行.リザーバー周囲に血腫形成.リザーバーを除去後, カテーテルを体外誘導し, 再動注開始.残肝転移巣は縮小し, 36カ月生存.症例2: 上行結腸癌肝転移例.右半結腸切除, 肝動注カテーテル挿入を施行.リザーバー周囲に膿瘍形成.リザーバーを除去後, 前者と同様処置にて再動注可能となり, 転移巣は縮小し, 25カ月生存.リザーバー留置部合併症は稀ではなく, 病態に応じた迅速・適切な処置にて, 良好な結果を得るものと思われ報告した.
  • ―診断ならびに術式決定に対する胸腔鏡の応用―
    門倉 光隆, 小沢 敦, 谷尾 昇, 高場 利博, 野口 久, 中島 宏昭
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 294-297
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    月経に伴い反復して発症する自然気胸の1手術例を経験した.症例は34歳, 女性 (経産婦) .これまで4回の気胸を発症し, うち3回は明らかに月経開始とほぼ同時に発症していた.手術は胸腔鏡による検索を先行し, 美容的観点からも病巣処理に適した最小限の開胸を行なった.肺胸膜面に異常は無く, 横隔膜腱様部に欠損孔を多数認めたため, 同部を含めた横隔膜部分切除を行なった.月経随伴性気胸の原因について定説は無く, ホルモン療法あるいは外科療法の選択についても意見の分かれるところであるが, 副作用や有効率の問題からみて, 現時点では外科療法が確実な治療方法と考えられた.
  • 石野 徳子, 大音 清香, 五十嵐 千枝, 石橋 悦子, 岩松 みつ子, 市川 光子, 粕谷 久美子, 神原 武子, 塚口 たき江, 斉田 ...
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 298-302
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 三木 洋幸, 三木谷 孝誠, 西田 均, 三田村 圭二, 谷尾 昇, 高場 利博, 水間 正澄, 岡田 奈緒美, 豊島 修, 北川 寛直, ...
    1994 年 54 巻 4-5 号 p. 303-306
    発行日: 1994/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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