昭和医学会雑誌
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55 巻, 1 号
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  • ―ある精神科医の場合―
    伊東 昇太
    1995 年 55 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―全身照射後の脾臟中脂質過酸化におよぼす影響―
    大槻 紀子
    1995 年 55 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    マウスにおいて放射線防護効果を持つジピリダモールについて, 放射線の影響が現れやすい脾臓を用いて検討した.放射線照射により発生するフリーラジカルに起因する脂質過酸化物として脾臓中チオバルビーツル酸反応物質量 (TBARS) を測定した結果, 9Gy照射により2から10日後まで経時的, 直線的な増加を認め, 照射4日後には6から10Gyまで線量に依存した増加を認めた.また, 照射1時間前ジピリダモール処置により9Gy照射4日後には脾臓中TBARSは有意な減少を認めた (照射群5.15±0.97nmole/mg protein, ジピリダモール処置群3.76±0.35nmole/mg protein, p<0.01) .しかし, 照射後のジピリダモール処置ではTBARSの増加抑制効果は認められなかった.マウス脾臓重量は, 放射線6Gy照射により減少し, 線量に依存した減少傾向が認められた.照射2日後にコントロール群 (125.8±16.8mg) に比較して急激な減少 (40.2±1.8mg) を認め, 経時的に除々に減少傾向を示した.ジピリダモール照射1時間前処置群は照射2日後において重量の減少が認められたものの (58.4±3.5mg) , 非処置群と比較するとその程度は少なかった.以上の結果より, ジピリダモールの放射線防護効果の一因として脾臓におけるラジカル消去作用, さらに脾臓細胞におけるアポトーシスの初期段階での関与が示唆された.
  • 松崎 明廣, 小澤 優樹, 上田 宏昭, 江波戸 修一, 川村 喜太郎, 安藤 浩巳, 長谷川 雅一, 山田 斉, 後藤 英道, 片桐 敬
    1995 年 55 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の心電図経過で陰性T波が一度消失して再び出現する現象, すなわち, T波の反復性変化の臨床的意義につき検討した.対象は, 発症後24時間以内に当科CCUに収容された初回貫壁性前壁心筋梗塞で, 心室内伝導障害例, 明らかな心外膜炎合併例, 急性期再発作例を除外した38例 (平均年齢63.0±12.1歳) である.発症後2週間以内の心電図変化より, T波の反復性変化の認められた19例 (A群) と認められなかった19例 (B群) に分け, 経時的に記録した断層心エコー図所見, 心臓カテーテル検査所見, 慢性期運動耐容能などを対比検討した.心電図上の梗塞部位, 入院時Killip分類および血行動態指標には両群間で差を認めなかった, 梗塞前狭心症として不安定狭心症, 特にnew onset typeの狭心症を有する例がA群で有意に多く (p<0.05) , 梗塞後狭心症もA群で有意に多く認められた (p<0.05) .発作後4時間未満で異常Q波が出現した例はA群92.3%, B群53.3%とA群で有意に高率であった (p<0.05) .急性期の冠動脈造影所見で責任冠動脈の残存狭窄度はA群87.5±20.1%, B群68.1±29.6%とA群で有意に高度で (p<0.05) , 造影遅延を伴う例はA群で, 側副血行路を有する例はB群で多い傾向を認めた.経時的に記録した断層心エコー図所見で左室壁菲薄化の有無に差はなかったが, 菲薄化の時期はA群2.7±1.7日で, B群7.1±5.3日に比し有意に早期で (p<0.01) , 左室拡張末期径もA群でB群に比し早期から増大が認められた.慢性期の運動負荷試験による運動持続時間はA群で短い傾向を認めた.以上より, 急性心筋梗塞に認められるT波の反復性変化は, 急性期の責任冠動脈血流の程度, 発症早期の左室壁菲薄化と左室内腔の拡大などの心筋梗塞形成過程の差異によるものと思われた.
  • ―各シーケンス, および造影MRIによる乳癌の描出能を中心に―
    廣瀬 正典
    1995 年 55 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    乳腺疾患の画像診断はエコー・マンモグラフィー (MMG) で行われ, 高い診断能が得られているが, 最近ではMRIも使用されるようになってきている.我々は, MRIを乳腺疾患の診断に使用するため, MRIによる腫瘤の描出率, および乳癌症例については, 腋窩リンパ節転移の描出を含め, 多発結節, 筋浸潤などの病変の広がりをどの程度MRIで描出できるかを検討した.対象は, MRIを施行し, 組織診断のなされた乳腺疾患93病変 (乳癌85病変, 他疾患8例) , 年齢21から86歳, 平均53.7歳である.GE社製SIGNA1.5Tを使用し, 単純MRIで, T1強調, T2強調, IR-prep法, DE-prep法, GRASS法, FMPIR法, およびGd-DTPA 0.1mmol/kgをもちいて, 造影ダイナミック撮影を施行し, 腫瘤の描出率を検討した.乳癌症例では手術標本の病理所見と画像所見を比較検討した.乳癌症例については, 罹患側腋窩についてもT1強調で撮影し, 腫大リンパ節の描出と, 転移の有無について検討した.また, 乳癌12例で3D撮影による立体表示も試みた.単純MRIによる乳癌の描出率は70から80%で, それぞれのシーケンスによる差はほとんど見られず, エコー, MMGより描出率は劣る.しかし, T2強調では充実腺管癌は低信号を呈することが多く, 組織型の推定に有用性が示唆された.一方, 造影MRIではエコー95.1% (78/82) に匹敵する96.3% (78/81) の描出率が得られ, 描出できなかったのは3例のみである.また, 造影MRIは, 多発結節や娘結節の描出にも優れ, エコー66.7%, MMG 40.0%より優れた描出率86.7% (13/15) が得られた.大胸筋浸潤3例でも全例で, 浸潤筋肉部位が造影され, 容易に診断できた.Gd-DTPAを7~8分かけて静注しながら3D撮影することにより立体画像が得られ, 腫瘍の位置や形, 娘結節や筋浸潤の有無がより明瞭に把握できるようになった.腋窩リンパ節は, 脂肪の高信号内に低信号腫瘤として描出されるため, 描出率が高く, 敏感度は91.1%と高いが, 描出されたリンパ節すべてに転移があるわけではなく, 特異度は56.5%と低い.大きさ1cm以上で複数のリンパ節が描出された場合は転移陽性が多い傾向にあった.造影MRI, 特に3D撮影による立体画像は, 腫瘍のみならず, 多発結節や筋浸潤の描出に優れ, 乳癌のステージングや, 術式決定に有用と思われた.
  • ―加齢および胆道系結石症例の変化について―
    佐藤 正邦, 副島 和彦, 神田 實喜男, 永山 剛久
    1995 年 55 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    平滑筋のみでなく筋線維束間の膠原線維等を含めたOddi筋層について, 加齢および胆道系結石症例における変化を検討した.検討には剖検例150例より得られた十二指腸乳頭部を用いた.Oddi筋層には加齢により膠原線維・弾性線維の増生, 粘液腺組織の増生などが認められた.一方高齢者では, Oddi筋は一部で肥大・増生を起こし, 筋走行方向は管腔長軸に垂直に近づいて輪状に似た走行に変化していた.加齢によりOddi筋層のコンプライアンスは低下し, それに対してOddi筋は括約力を増強するための代償性変化を示したと考えられた.膠原線維・弾性線維の増生が高度になるとOddi筋層は硬化して胆汁鬱滞の原因となる.しかし胆汁鬱滞があるにも関わらず乳頭部をゾンデが容易に通過する症例 (乳頭不全型) が報告されており, この場合の内腔拡張には粘液腺の高度な増生の関与が考えられた.胆道系結石症例で認められた変化は一般症例の加齢による変化と同様であったが, 膠原線維と弾性線維の増生について統計学的に有意差を認めた.年齢的な結石有症率の変化との比較より, 筋線維東間の膠原線維の増生は40~50歳代の増加に, 弾性線維の増生は高齢での有症率増加に関係が深いと考えられた.これら加齢および胆道系結石症例に認められた変化は, 従来より言われているように慢性炎症と関連することが最も考えられた.
  • ―X線全身照射後の脂質過酸化に及ぼす影響―
    清野 哲孝
    1995 年 55 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    若年マウスの肝で認められたジピリダモール (ペルサンチン) の防護効果を加齢マウスにおいても検討した.2カ月齢から16カ月までの加齢マウスを用い, 8Gy X線全身照射後の肝, 脾, 脳の過酸化脂質及びその主成分である不飽和脂肪酸の変動とそれにおよぼすジピリダモールの影響を検討した.マウスの肝, 脾, 脳内の過酸化脂質は加齢に伴い上昇傾向を示した.この上昇した過酸化脂質は8Gy X線全身照射7日後の肝, 脾では有意に上昇したが, 脳では全く変動がみられなかった.各月齢における加齢マウス全身照射後の肝, 脾の過酸化脂質の増加はジピリダモール照射前の腹腔内投与により有意に抑制された.以上のことから加齢マウスにおいてもジピリダモールの放射線防護効果が示され, その重要な要因としてはジピリダモールの抗過酸化作用であることが示唆された.
  • ―腹腔内および皮下投与の比較―
    井上 徹也, 田中 滋城, 舩冨 等, 三田村 圭二, 岡本 謙一
    1995 年 55 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ブラジキニン受容体拮抗物質 (H-D-Arg-Arg-Pro-Hyp-Gly-Thi-Ser-D-Tic-Oic-Arg-OH・nCH3COOH) の実験急性膵炎に対する予防効果を種々の投与量と, 投与経路について比較検討した.ラットセルレイン膵炎において血中ブラジキニンの増加が認められ, 急性膵炎実験モデルにおけるブラジキニンの関与が確認された.ブラジキニン受容体拮抗物質の前投与により, 膵湿重量の増量, 血中アミラーゼ, プロリルハイドロキシラーゼの上昇が抑制され, 組織学的に, 膵浮腫, 空胞形成の軽減がみられた.また, 膵湿重量あたりのDNA量の増加が認められた.さらに, 腹腔内投与より皮下投与で予防効果がすぐれていた.しかし, いずれの投与経路においても, 今回用いた投与量では明らかな用量依存性は認められなかった.ラットセルレイン膵炎の病態にブラジキニンが関与しており, ブラジキニン受容体拮抗物質投与により膵炎の増悪が抑制されることより, ブラジキニン受容体拮抗物質は急性膵炎の発症および増悪に対する予防効果が期待できる.また, 急性膵炎にともなう全身障害の一つの指標としての血中プロリルハイドロキシラーゼの上昇が, ブラジキニン受容体拮抗物質投与により抑制され, 本剤は膵に対すると同様に, 全身障害の発症および増悪にも予防効果が期待できるものと考えられた.
  • 三木谷 美和, 大野 淳, 深道 修一, 植田 俊彦, 小出 良平, 木内 祐二, 小口 勝司, 植田 孝子, 内田 英二, 安原 一, 久 ...
    1995 年 55 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    有色家兎を用い, 中枢性眼圧降下作用を示す交感神経α2-受容体の性質を検討した.第三脳室内にそれぞれ0.001-0.1%クロニジンと0.0001-0.1%アプラクロニジンを投与した.濃度に応じて眼圧降下作用を認めた.またα2-阻害薬, 0.1%ヨヒンビンまたは0.1%ラウオルシンを前投与し, その30分後に0.01%クロニジンまたは0.01%アプラクロニジンを投与した.ヨヒンビンはクロニジン, アプラクロニジン共に眼圧降下作用を抑制した.ラウオルシンはアプラクロニジンの眼圧降下作用を抑制したが, クロニジンの作用は比較的抑制しなかった.大脳皮質の受容体結合置換実験では, ヨヒンビンを置換するのにIC50がクロニジン85.4nMでアプラクロニジン83.1nMで, 差は認めなかった.それに対してラウオルシンを置換するのにIC50がクロニジンは200.0nM, アプラクロニジンは447.7nMと差が認められた.in vivo, in vitroともにヨヒンビンとラウオルシンの作用に差が認められたことより, 中枢のα2-受容体刺激による眼圧降下作用はアプラクロニジンとクロニジンのいずれにおいても認められるものの, 受容体サブタイプとの親和性において異なる可能性が示唆された.
  • 三木谷 孝誠, 田中 滋城, 竹内 義明, 吉田 仁, 野津 史彦, 中野 幾太, 三田村 圭二
    1995 年 55 巻 1 号 p. 66-75
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラット小腸粘膜より上皮細胞を分離し, 各種の刺激物質を用いてCholecystokinin (CCK) 分泌機序の基礎的検討を行った.免疫組織化学および螢光染色によりCCK分泌細胞の存在を確認した.CCK分泌刺激物質L-phenylalanine, Phorbol ester, Dibutyryl cyclic AMP, Bombesin (BBS) およびCCK releasing peptide (CCKRP) によってCCK分泌は亢進した.L-phenylalanineとBBSによるCCK分泌は細胞外液中のカルシウムイオンに依存していた.CCK分泌亢進には細胞内のイノシトールリン脂質の代謝回転の亢進や, 刺激物質に対する受容体のcyclic AMPを介した関与が示唆された.BBSによる分泌亢進がStaurosporineとW-7により抑制されることからBBS刺激はプロテインキナーゼCおよびカルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼに依存している事が示唆された.CCK-RP刺激により, 著明なCCK分泌亢進が認められた.単離小腸上皮細胞は, CCK分泌機序の解析に有用であった.
  • 南部 かおり, 千住 晋, 臼井 一郎, 仲又 進, 高山 秀明, 新村 和平, 石井 誠, 舩冨 等, 小貫 誠, 三田村 圭二
    1995 年 55 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は35歳, 妊娠37週の初妊婦.発熱と上腹部痛を主訴に当科入院.入院時血液検査で, 総コレステロール (T-Chol) 909mg/dl, 中性脂肪 (TG) 5040mg/dl, β-リポプロテイン1791mg/dl, 血清アミラーゼ691IU/l, 尿中アミラーゼ11027IU/l, 白血球16700/μlと異常値を呈した.腹部CT検査では浮腫性膵炎の所見を認め, V型高脂血症と中等症の急性膵炎と診断した.急速遂娩を行い治療を開始したところ, T-Chol, TG, β-リポプロテインはいずれも低下し, 急性膵炎も速やかに改善した.当初LPL活性は低下していたが, 妊娠の中断によって次第に上昇した.本症例では, 妊娠の経過中赤血球数は不変であるにもかかわらず, ヘモグロビン値が36週より急激に上昇し, 高脂血症による見かけ上の変化と推定された.これらの所見から, 妊娠に高脂血症と膵炎を併発した稀な1例と考えられた.
  • 遠藤 恒宏, 河井 博明, 正慶 修, 山崎 武志, 千葉 俊哉, 加藤 敬, 松川 正明, 栗原 稔
    1995 年 55 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性.黄疸, 発熱を主訴に来院.入院時の検査所見, 腹部超音波検査などにより閉塞性黄疸が疑われ, 内視鏡的逆行性胆道造影 (以下ERC) および経皮経肝的胆道造影 (以下PTC) を施行したところ, 肝内外胆管は著明に拡張し内部に充満する多発結石を認め肝内結石症の診断となる.内視鏡的治療は困難であることが予想されたが, 本人の強い希望もあり経皮経肝的胆道鏡 (以下PTCS) 下に電気水圧砕石術 (EHL) を施行し, 引き続いてバスケットカテーテルを併用することにより良好な砕石結果が得られ, さらに内視鏡的乳頭切開術を追加することにより残存する結石を除去し得た.退院後6カ月間の外来経過観察で胆道系酵素は正常化し, ERCにて胆管の拡張はみられるものの遺残結石を認めず経過良好である.EHLはLITHOTORONEL21を用いた.EHLは各種胆石破砕法の中でも砕石力や柔軟性に優れているため, 大きな結石や奥に嵌頓したような結石に対しても非常に有効である.さらに他の各種手技を組み合わせていくことにより内視鏡的切石術の適応範囲も広がるものと思われる.
  • 臼井 一郎, 秋田 泰, 小川 正純, 岩永 昌彦, 手塚 貴志, 野津 史彦, 新村 和平, 吉川 望海, 三田村 圭二
    1995 年 55 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は39歳, 男性.上腹部痛を主訴に受診.精査のため施行した大腸X線検査および大腸内視鏡検査にて, S状結腸・下行結腸移行部に表面平滑, 立ち上がりなだらかな約2cm径の大腸粘膜下腫瘍を認めた.大腸超音波内視鏡検査 (以下EUS) では, 腫瘤は正常な大腸壁粘膜に被われた粘膜下腫瘍であり, 内部は超音波検査上, 高エコーの薄い隔壁を持つ嚢胞性病変として描出された.これらの所見より大腸リンパ管腫を考え, 内視鏡的切除術 (ポリペクトミー) を行った.切除後, 病理組織学的に血管の拡張・増生, および粘膜深層に嚢胞性に拡張した多数のリンパ管を認め, 大腸リンパ管腫と確定診断された.大腸リンパ管腫は比較的稀な疾患であり, 本症例は, EUSにて診断され, 内視鏡的切除術にて効果的に治療された.
  • 鹿山 富生, 菅原 裕樹, 廣瀬 秀史, 塚原 哲夫, 藤巻 悦夫
    1995 年 55 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は28歳, 男性.左踵部の疼痛を自覚してから4年の経過をへて当科を受診.局所の腫脹とともに足根管症候群の病態を呈しており, また臨床検査上, 悪性腫瘍が疑われたため手術施行.腫瘍は足底腱膜より発生し外側足底神経を圧迫するように存在した.迅速診断で悪性であったため下腿以下で切断した.病理学的にClear cell sarcomaと診断された.術後6年の現在, 再発や転移もみられず経過は順調である.Clear cell sarcomaはその経過が長いのが特徴で, 死亡率も高い.治療法は確立されていないが, 当科では術前CYVADACT療法により腫瘍が縮小し, 術前化学療法が有効であった一例を経験したので化学療法を中心に文献的考察を加え報告した.
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