昭和医学会雑誌
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56 巻, 5 号
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  • 奥山 和男
    1996 年 56 巻 5 号 p. 485-496
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―その有効性と安全性について―
    千代田 和美, 小林 洋一, 宮田 彰, 中川 陽之, 丹野 郁, 蔵野 康造, 菊嶋 修示, 馬場 隆男, 片桐 敬
    1996 年 56 巻 5 号 p. 497-502
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    房室結節リエントリー性頻拍 (AVNRT) に対する高周波カテーテル焼灼術の安全性, 有効性について検討した. (対象)連続31症例のAVNRT (男性12例, 平均54±14歳) .このうち遅伝導路を順行し, 速伝導路を逆行するslow fast型が24例であった. (方法) 右鼡径部から高位右房, His束電位記録部位, 右室心尖部にそれぞれ7F, 4極電極カテーテルを留置した.左鎖骨下静脈から冠状静脈洞 (CS) 内に12極電極カテーテルを留置した.焼灼カテーテルは7F, 先端電極長4mm, 4極電極カテーテルを用い, HBE-CS入口部 (CSos) 間の三尖弁輪上に留置した.焼灼部位はいわゆる遅伝導路電位 (SP電位) 記録部位もしくは遅伝導路を逆行する最早期心房興奮部位とした.以上の方法で焼灼が十分なされない場合, CSosからHBEにむかい段階的焼灼術をおこなった. (結果) 31例全例でAVNRTは誘発不能となった.しかし, 1例に一週性III度房室ブロックを, 1例にI度房室ブロックを, 1例に再発が見られた.房室ブロック例を除く29症例は, 焼灼術前後で心房-His束間隔, 順行性の房室結節有効不応期に有意差は認められなかった. (総括) AVNRTに対するRF-Abは, 再発率も少なく有効な治療方法である.焼灼も比較的安全に施行しうるが, 一部の症例ではリエントリー回路の解剖学的位置に多様性が認められた.こうした症例に対しては房室ブロックの合併の危険があり, リエントリー回路の同定が焼灼にあたり重要と思われた.
  • 石川 正, 大〓 進
    1996 年 56 巻 5 号 p. 503-510
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日常生活で口唇の大小や形を評価する際, 顔面に対する面積比や口唇自体の厚さ, 上下口唇の面積比などを感覚的に判断している場合が多い.口唇の形態の検討は, 口唇高径, 口裂幅, 赤唇縁のなす角度などがあるが, 面積に対応するような研究はこれまで報告がみられない.そこで著者は, 18~46歳の日本人健康女性107名 (平均年齢22.34±4.48歳) の安静時顔面規格写真を撮影後, 画像解析装置を使用し, つぎの項目を測定した.1) 顔面の周長と面積, 2) 上下口唇赤唇部の周長と面積, 3) 上口唇赤唇部の周長と面積, 4) 下口唇赤唇部の周長と面積, 5) 上下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 6) 上口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 7) 下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合, 8) 上口唇と下口唇赤唇部の面積比率.さらに, これら測定値をもとに形態的特徴を表す真円率 (あるいは円形率) を求め, 検討を加えた.その結果, 上下口唇赤唇部の顔面に対する面積の割合は, 平均3.08±0.54%であった.また, 上口唇赤唇部ならびに下口唇赤唇部を別々に検討した結果, 面積の割合ならびに口唇全体に対する比率はいずれも下口唇赤唇部が上口唇赤唇部より高く, 見た目の印象と一致する結果となった.真円率では, 顔面, 上下口唇赤唇部, 下口唇赤唇部ならびに上口唇赤唇部の順に数値が下がっており, 形態学的に正円から離れたものになっている.口唇においては, 真円率の値が低い場合, 細長く薄い印象を与えるのに対し, 高値の場合には逆にふっくらとし柔らかい印象を与えると考えられた.このように真円率により口唇の厚みならびに形態を細かく分類することが可能である.
  • 佐藤 弘之, 田角 勝, 飯倉 洋治, 木内 祐二
    1996 年 56 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新生児期の低酸素状態における脳内のアミノ酸動態を検討する目的で, 低酸素負荷下時の新生仔ラット線条体細胞外液中のアミノ酸濃度を測定した.7日齢の雄性新生仔ラットを用い, 8%酸素負荷, 5%酸素負荷, 両頸動脈結紮による脳虚血後8%酸素負荷を120分間行った.線条体細胞外液中のアミノ酸 (アスパラギン酸, グルタミン酸, グルタミン, タウリン, アラニン) はマイクロダイアリシス法を用いて回収した後HPLC螢光測定システムで測定した.いずれの低酸素負荷によっても120分の負荷では, アスパラギン酸, グルタミン酸, グルタミンは対照に比して有意な変化を認めなかったが, アラニンはいずれの負荷直後よりも経時的な上昇を示した.また, タウリンは5%酸素負荷で上昇した.以上の結果は, 新生仔ラットでは成熟ラットに比較し, 低酸素負荷に対して脳内興奮性アミノ酸神経の放出反応が著しく弱いことを示しており, このことが, 新生児で成人に比較して低酸素に対する脳の抵抗性が強い原因の一つであると示唆される.
  • 中尾 健太郎, 渋澤 三喜, 角田 明良, 平塚 研之, 神山 剛一, 長山 裕之, 高田 学, 横山 登, 吉沢 太人, 丸森 健司, 張 ...
    1996 年 56 巻 5 号 p. 517-521
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    大腸絨毛腺腫21例について臨床病理学的検討およびProliferating cell nuclear antigen (以下PCNA) 標識率について検討した.平均年齢は67.2±10.9歳と比較的高齢で男性に多く, 占居部位はS状結腸に多く, 全体の52.4%を占めた.腫瘍長径が増加するにつれてその腫瘍が腫瘍内癌である傾向がみられた.腫瘍内癌を呈するものの壁深達度は61.9%がm, smであった.PCNA標識率では腫瘍内癌を呈するものでは, 癌部と絨毛腺管部の間に有意の差を認めた.しかし腫瘍内癌を呈するものと呈さないものの間で絨毛部のPCNA標識率を比較したところ, 差を認めなかった.今回の検討でPCNA陽性細胞が絨毛腺腫内の癌化を起こしている部位に多くみられ, しかも腫瘍内で巣状に分布していることが示唆された.大腸内視鏡検査での生検時に, 必ずしも癌部を生検できるとは限らず, 絨毛腺腫と思われる場合には数多くの生検を必要とし, 腫瘍径などの要因を加味しながら検討していく必要性があると思われた.
  • ―Double-blind, Crossover, Placebo-diazepam Clinical Trial による評価―
    穗坂 路男, 星山 佳治
    1996 年 56 巻 5 号 p. 522-529
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    在宅酸素療法home oxygen therapy (H.O.T.) 患者のquality of life (Q.O.L.) を改善する目的で, diazepamを投与し, その効果をdouble-blind, crossover, Placebo-diazepam clinical tria1によって評価した.調査対象は, H.O.T.導入後3カ月をすぎ, 呼吸不全状態の安定期にあるI型呼吸不全の患者とし, diazepam及びplacebo 0.1~0.2mg/kgを1カ月毎に計4カ月間double blindで投与した.あらかじめ, 性格特性, 人格特性等を心理テストにて把握するとともに, 様々な身体的, 精神的検査を, 各1カ月の前後にそれぞれ行った.その結果, diazepam投与の前後において, 呼吸機能の有意な変化は認められなかったが, 呼吸困難感は有意に改善した.また, 患者の抑うつや不安感に関しては, Placebo投与群では増悪傾向が見られたにもかかわらず, diazepam投与群においては改善傾向が認められた.同様に, Q.O.L.評価においてもplacebo投与群では増悪傾向がみられたにもかかわらず, diazepam投与群は改善傾向が認められた.また, placebo投与群では身体的機能障害と精神的機能障害ともに増悪傾向が見られたのに対し, diazepam投与群では身体的機能障害は増悪傾向がみられたが, 精神的機能障害は改善の傾向が認められた.また, diazepamを投与した結果, 呼吸困難感が改善した患者群と不変増悪の患者群の2群の間で, 判別分析を行った結果では, 呼吸困難感が強く, MMPIの1ie scaleおよびY-G性格検査のthinking extroversionの高い患者ほど, diazepam投与による呼吸困難感軽減の効果が現れやすいことが示唆された.
  • 高橋 裕秀, 若山 吉弘
    1996 年 56 巻 5 号 p. 530-534
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    種々の代償機構が働くため, 中脳黒質細胞が正常の15-50%以下, 線条体のドパミンが10-30%以下にならないとパーキンソン病 (パ病) の運動障害は明確にならないと言われている.我々は, このパ病の潜状期間中に, 本人のみが気付く自覚症状があるとすれば, それはどのようなものなのか, アンケートによって調べた.その結果, 54例中17例に何等かの発症前の自覚症状がみられた.その多くは, パ病の発症の数カ月一数年前から, 初発症状が出現した側と同側の上肢または下肢に存在した.その内容は“だるさ”“しびれ”“重い感じ”“字がうまく書けない”などであった.1例は30年以上前から継続的に, 他の1例では12年前に一過性に前駆自覚症状と思われる症状があり, 症例によっては, 潜伏期が10年以上にもおよぶ可能性が考えられた.近年, PETやSPECTによって黒質線条体系ドパミンニューロンのシナプス前終末の機能画像化が可能になってきた.このような画像検査法と他の検査法との組み合わせによって, 将来パ病の早期診断が可能になることが予想される.その際には, 臨床的にパ病の前駆自覚症状を的確に把握することはさらに重要になると思われる.
  • 池田 東美明, 真部 淳, 世良田 和幸, 外丸 輝明
    1996 年 56 巻 5 号 p. 535-537
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    特発性三叉神経痛の診断で他科よりペインクリニックに紹介される患者は多いが, 時に鑑別を必要とする場合がある.顔面の痛みは特発性三叉神経痛を初めとして, 悪性腫瘍による痛み, 三叉神経以外の舌咽神経や頸神経から波及する痛みや, それらのいずれにも属さない顔面の痛みなどがある.特に悪性腫瘍による痛みかどうか診断するため十分な問診と診察が重要でCTやMRIなどの画像診断が必要なことも多い.今回, 特発性三叉神経痛の診断にて, 他科より紹介された非定型顔面痛に対して, 眼窩下神経ブロックと星状神経ブロックにより症状が軽快した症例を経験した.
  • ―診療のPitfall―
    花川 一郎, 池田 尚人, 川俣 光, 岩田 隆信, 松本 清
    1996 年 56 巻 5 号 p. 538-541
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は慢性硬膜下血腫の手術の既往のある89歳の男性.意識障害を主訴に当院に紹介入院をしたが, 入院1週間前にすでに頭痛を訴えていた.初診時の意識はJapan coma scaleにて10であり, 右不全片麻痺を認めた.単純CTにて左慢性硬膜下血腫を認め, 左シルビウス裂の描出は不明瞭であった.病歴を再検討した結果, クモ膜下出血を疑い, 腰椎穿刺にて, 血性髄液を確認しクモ膜下出血と確定診断した.家族とよく話し合った上で血管撮影及び手術は施行せずに保存的療法を施行した.入院4病日目に意識レベルの低下を認めたためCTを撮影したところ再破裂によるクモ膜下出血の増大を認め, 翌日永眠された.近年高齢化がすすみ, 高齢者の破裂動脈瘤に遭遇する機会が増えている.高齢者の診療に際し, 十分な家族背景を把握したうえでのアプローチが重要であり, 既往歴に惑うことなく患者の最も重要な病態を見落とさずに診療を行うことが必要であると考えられた。
  • 小松 信男, 新井 一成, 河村 正敏, 石井 博, 福島 元彦, 星野 光典, 丸岡 義史, 中村 明央, 草野 満夫, 金子 衝仁
    1996 年 56 巻 5 号 p. 542-546
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性.1991年8月, 心窩部痛を主訴に近医より紹介受診.胃内視鏡検査では胃前庭部後壁にbridging foldを伴う隆起性病変がみられた.中心部は潰瘍形成し, 粘膜下腫瘍様形態を呈した胃癌を疑い生検を行うもGroup Iであった.1カ月後, 2カ月後, さらに6カ月後の内視鏡検査では隆起の平低下と, 潰瘍の縮小が認められた.1994年6月, 粘膜下腫瘍様病変が2個癒合した様な形態を呈し, 生検の結果Group Vであった.7月20日幽門側胃切除術施行.病理所見は間質に線維の増性がみられる低分化腺癌で, 深達度mp, ly0, v1, n (-) であった.3年間にわたり興味深い形態変化を呈した粘膜下腫瘍様形態の胃癌を経験したので報告する.
  • 薬物療法とPL法―医薬品との因果関係―
    1996 年 56 巻 5 号 p. 547-550
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 総合討論
    1996 年 56 巻 5 号 p. 551-560
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 一正, 鈴木 雅隆, 後藤 昇, 鈴木 雅隆, 鈴木 一正, 柴田 昌和, 後藤 昇, 江川 宏寿, 石井 博, 福島 元彦, 久保田 ...
    1996 年 56 巻 5 号 p. 561-565
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 大久保 圭子, 水間 正澄, 森 義明, 新妻 晶, 笠井 史人, 水間 正澄, 森 義明, 町田 健, 藤森 聡, 大原 一規, 小沢 敦 ...
    1996 年 56 巻 5 号 p. 566-568
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/11/19
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