昭和医学会雑誌
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58 巻, 2 号
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  • 正木 基文
    1998 年 58 巻 2 号 p. 95-97
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 阪本 桂造, 藤巻 悦夫
    1998 年 58 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症の治療に当たっては, 高代謝回転型の骨粗鬆症か低代謝回転型の骨粗鬆症かを見極めた上で, 高代謝回転型の骨粗鬆症には骨吸収抑制剤であるカルシトニンやエストロゲン, ビスフォスフォネート, イプリフラボン, カルシウム製剤などを用いる.一方低代謝回転型の骨粗鬆症の場合は, 骨形成調節剤であるビタミンD, ビタミンK, 蛋白同化ホルモンなどが使われる.またカルシウムの摂取量不足の改善も重要である.骨粗鬆症の治療は薬剤ばかりではなく日々われわれが受けている重力や体重がメカニカルストレスとして骨にプラスに働いており, このメカニカルストレスを利用した運動療法や大腿骨頸部骨密度の改善と大腿骨頸部骨折予防の試みであるダイナミックフラミンゴ療法を紹介した.これらの療法は毎日繰り返し持続する必要がある.
  • 宮浦 千里
    1998 年 58 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 武重 直敏, 藤巻 悦夫, 島田 和幸, 後藤 昇
    1998 年 58 巻 2 号 p. 106-115
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    胸鎖関節について日本人解剖体を用いてそれらの形状について観察した.10%ホルマリン液に保存された日本人成人体110体220関節を用いて胸骨柄上縁の形態を6型, 関節の適合性について4型, 関節の深さについて2型に分類した.次に前胸鎖靭帯・後胸鎖靭帯・鎖骨間靭帯について観察を行った.そして60体120関節を用いて関節円板の形態を4型に分類した.胸骨柄上縁の形態分類についてはconcave typeの出現頻度が全体の半数を占める結果となった.男女別にみると男女ともにconcave typeが最多であり, それに続いて男性ではOssa suprasternalia typeが, 女性ではwavetypeが多く存在した.関節の適合性についての分類では全体の約70%が関節窩に鎖骨の3/4以上が入り込み安定性が認められた.男女別, 左右別ともに3/4分割の比率が多く存在したが男性の1/5, 女性の2/5は2/4分割以下の不適合性を示し明らかに性差がみられた.関節の深さについての分類ではShallow typeがほぼ2/3を占めているという結果を得た.靭帯の観察では前胸鎖靭帯に比べ後胸鎖靭帯の走行は不明瞭な状態であり, 肉眼的には前胸鎖靭帯と後胸鎖靭帯の付着幅はほぼ同程度を示していた.しかし, 後胸鎖靭帯の線維のほうが付着部に関しては, より密で堅固に発達していた.そして鎖骨間靭帯は両鎖骨近位の後上方をより前者二つの靭帯よりもより強固に横走していた.関節円板の形態分類ではI型がほぼ半数近くにみられた.性差では, 未発達なIV型が女性の1/3にみられた.円板の形状が左右同型のもの40体, 左右異なるものは20体であった.胸骨柄上縁の形態分類と関節の適合性についての分類と関節の深さについての分類を比較すると, 関節適合性はあまり良くなく, 骨性形態は不安定であると考える.また胸上骨は関節の安定性に関与していると考える.また, その頻度は17.0%に確認した.関節円板は全例に存在しており関節の安定性を獲得するためには強靭な靭帯とともに関節円板を介して関節の適合性を得ていると考えられる.関節の後方の支持性を考えると臨床的にも前方脱臼のほうが後方脱臼より頻度が高いことと一致し, 胸鎖関節の後方には気管および大血管が存在するので, この部位の安定性はより重要であると考える.
  • 福井 正宏
    1998 年 58 巻 2 号 p. 116-125
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    変形性膝関節症 (OA) が自然発症するC57ブラックマウスを用いた研究は国内でもいくつかの発表があるがいずれも病理組織学的な検討に限られたものであり, 臨床的な見地をも含んだ総合的な所見を検討した報告はない.今回, 生後6, 12, 24カ月のOA自然発症型C57ブラックマウス (以下OAマウス) と, 対照群として生後6, 12, 22カ月のC57ブラックマウス (contro1マウス) を対比させながら膝関節のOA変化を初期から末期に至るまでの進展過程を観察し, X線学的, マクロ的, 病理組織学的所見からなる総合的検索を基に詳細な検討を行った.その結果, 他の報告と比べてOAマウスはOA発症頻度は高く, OA重症度も進行していた.軟X線所見では, contro1マウスに比べOAマウスは月齢の進行に伴い関節裂隙の狭小化, 軟骨下骨の硬化像, 骨棘形成が高頻度に認められた.マイクロ顕微鏡視下におけるIndianinkによる関節軟骨面の評価では, OAマウスにおいて, 初期よりびまん性に僅かに軟骨表面の染色が認められ, 24カ月齢において全軟骨層が欠損して骨が露出し象牙化が認められた.病理組織学的には, contro1マウスに比べOAマウスは, OA進行に伴いcellcloningやclusterformationが認められ, 6カ月齢で表層から中間層のglycosaminoglycansが減少し, 12カ月齢以後では全層において減少していた.コラーゲン線維も全層において減少および変性が認められ, OAにおける合成能低下ならびに軟骨変性と考えられた.今回の実験で, OA自然発症型C57ブラックマウスは, 関節裂隙の狭小化, 軟骨下骨の硬化像, 骨棘形成および初期より関節軟骨の粗造化, 剥離, 脱落があり, 深層に及ぶコラーゲン変性を認め, 他の報告に比べヒトOAとの類似性が高かった.ケラタン硫酸については議論が分かれるところであるが, 今後の検討を要する.以上の結果より自然発症型変形性関節症モデルとしてのC57ブラックマウスは, 個体の小ささによる実験手技の難度は高いもののヒトOA変化と類似点が多いことが検証され, 変形性関節症の自然発症機序の研究における実験モデルとして非常に有用であると考えられる.
  • 本望 潤
    1998 年 58 巻 2 号 p. 126-134
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    腱組織における骨化の発生機構を解析するために, 腱細胞の分化に及ぼすrecombinant human bone morphogenetic protein-2 (rhBMP-2) の作用をin vitroとin vivoの実験系で検討した.rhBMP-2非存在下で培養したラット長趾屈筋腱細胞は, アルカリフォスファターゼ (ALP) 活性が非常に低く, 上皮小体ホルモン (PTH) 依存性のcAMP産生能とオステオカルシン産生能を有していなかった.一方, これらの細胞をrhBMP-2存在下で6日間培養するとALP活性が有意に上昇し, PTH依存性cAMP産生能も誘導された.しかし, オステオカルシンの産生は誘導されなかった.rhBMP-2をラット長趾屈筋腱内に直接移植すると, 移植2週後には腱内に軟骨組織及び骨様組織の形成がみられ, 移植4週後では軟骨組織と明らかな骨形成が誘導された.以上の結果より, rhBMP-2は腱細胞を骨芽細胞と軟骨細胞へ分化させる作用を有することが明らかとなった.また, 本研究の結果より, ヒト腱組織の骨化の発生機構にもBMPが関与している可能性が示唆された.
  • 船橋 健二郎, 直江 道夫, 小川 良雄, 石崎 良太郎, 中神 義三, 吉田 英機, 坂上 宏, 竹田 稔
    1998 年 58 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ホルモン抵抗性ヒト前立腺癌株, DU145, PC3を用いて各種抗癌化学療法剤と温熱療法の併用効果について検討を試みた.2種類の細胞に対し化学療法剤Pirarubicin hydrochloride (THP) , Carboquone (CQ) , Cis-diamminedichloroplatinum (CDDP) , 5-Fluorouracil (5-FU) , Peplomycin sulfate (PLM) , Etoposideの43℃加温条件下にての併用効果をMTT assay法により検討した.DU145に対してはCQ, CDDP, 5-FU, PLM, Etoposideが併用相加効果を認め, PC3に対してはCQ, CDDP, 5-FUが相加効果を認めた.また2種類の前立腺癌細胞のapoptosisを化学療法剤 (CDDP, CQ, THP) を用いて検討を試みた結果, DU145のみがCQによりアガロースゲル上DNA断片化を認め, apoptosisが誘導されたと考えられた.さらに温熱の影響をみるため, 37℃, 43℃加温条件下でのapoptosisの誘導されるCQの濃度を検討した.DU145は43℃に加温されることにより50μ9/ml濃度のCQでアガロースゲル上断片化を認めたが, 37℃下では100μg/ml以上の濃度で断片化を認めた.同様の条件にて, May-Giemsa染色法を用いて形態学的に観察したところ, 43℃加温群は形態変化をおこした細胞の数が増加した.我々の実験ではCQの細胞核への直接障害がDU145に起き, 加温によりこの直接障害が強まったことが示唆された.抗癌化学療法剤と温熱療法の併用が, ホルモン抵抗性前立腺癌であるDU145に対してapoptosisを誘導し殺細胞効果を増強したと考えられた.
  • ―第2報食物アレルギーと腸管, 肝臓に関する研究―
    吉田 英生, 坂本 泰寿, 飯倉 洋治
    1998 年 58 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    食物アレルギーの肝臓に対する影響を検討するため, ovalbumin (OVA) で感作したラットに, OVAを経消化管負荷し, 負荷前, 負荷後30分, 1時間, 3時間, 6時間と経時的に腸管, 及び肝臓を摘出しトルイジンブルー染色標本を作製し, トルイジンブルー染色で染まる肥満細胞数を測定した.肥満細胞数は腸管では, OVA負荷後30分から有意に減少し, 負荷後1時間を減少のピークとし負荷後6時間で有意に増加した.肝臓では, OVA負荷後1時間までに肥満細胞数に有意差は無く, 腸管に遅れOVA負荷後3時間から肥満細胞数が有意に減少した.肥満細胞数の減少は, OVAによる抗原刺激により肥満細胞が脱顆粒したためと考えられ, 腸管で生じた即時型反応が腸管の透過性を変化させた結果, 抗原物質の吸収がおこり, 腸管に引き続き肝臓の肥満細胞においても脱顆粒が生じたと考えられた.これらの結果より, 食物アレルギーにおいて, 肝臓もアレルギーの反応の場となることが示唆された.
  • ―新生仔ラットの脳内興奮性アミノ酸と一酸化窒素 (NO) の動態―
    田崎 いずみ, 古荘 純一, 田角 勝
    1998 年 58 巻 2 号 p. 150-159
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新生児期における低酸素性虚血性脳障害を検討する目的で7日齢および14日齢のSD系新生仔ラットの線条体にシアン化ナトリウム (NaCN) を投与しマイクロダイアリシス法を用いて細胞外液中のアミノ酸および一酸化窒素 (NO) の代謝産物である二酸化窒素 (NO2) , 三酸化窒素 (NO3) を測定した.コントロール群のアミノ酸の値は14日齢のラットが7日齢に比較し2~3倍高値を示した.またシアン化ナトリウム負荷により7日齢, 14日齢とも前値の2~3倍の上昇を認めた.一方, NO2, NO3はコントロール群では14日齢のラットは7日齢に比較し1.5~2倍の高値を示した.そしてシアン化ナトリウム負荷によりNO2, NO3は7日齢, 14日齢とも増加し, その増加量は7日齢に比較し14日齢の方が顕著であった.低酸素に対する反応性は幼若なラットほど乏しく, より幼若なラットほど低酸素に強いと推測された.
  • 大塚 靖, 保阪 善昭, 木内 達也
    1998 年 58 巻 2 号 p. 160-168
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    耳介の先天異常や外傷に対しての形成術・再建術を行う場合, 指標として正常耳介の形態を熟知することが必要である.耳介一側頭角または耳輪外縁と側頭面の最短距離によって表わされる耳介の聳立度はとくに立ち耳や埋没耳などの手術においても術前・術後の評価法として重要である.今までも耳介の聳立度に関する実測による報告はいくつか見られるが, その計測方法に画一的なものはなく検者によって誤差が生じ易いと考える.耳介に異常のない日本人20歳から88歳までの計128人の頭部CT画像を利用して両側耳介 (256耳介) の聳立度を測定するとともに, 性差と年齢群間による差の有無を比較検討した.使用したCT装置はジーメンス (Siemens) 社製Somatom plusで, スライス面は眼窩上縁外耳孔線 (OMline) を基準線として, 眼窩上縁外耳孔線より1cm上方 (OM+1cm) , 2cm上方 (OM+2cm) の計3つの断面とし, 耳甲介頭蓋角, 耳介頭蓋角および対耳輪から耳輪にかけての傾きを調査するため新たに耳甲介舟状窩角を加えた3要素の角度を画像解析ソフトを利用し計測した.性差は耳甲介頭蓋角, 耳甲介舟状窩角, 耳介頭蓋角のすべての平均値で男性が女性より大きかったが, 統計学的に有意の差は認められなかった.年齢差では, 全年齢とそれぞれの角度との相関関係は弱い傾向にあったが, 年齢群間では差が認められた.
  • 花澤 司, 長塚 正晃, 千葉 博, 齋藤 裕, 矢内原 巧, 竹田 稔
    1998 年 58 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    従来から性ステロイドは骨量と骨格の維持に重要であることが指摘されており, さらに骨芽細胞の増殖と分化に積極的に関与していることが知られている.今回我々は, 卵巣摘除 (OVX) により体重変化の少ないとされる生後1年以上の成熟雌モルモットをOVXし, 2週後からestradiol (E2: 4μg/100g body weight) , もしくはdihydrotestosterone (DHT; 40μg/100g body weight) を1週間隔で計3回投与し, 性ステロイドの血中IGF-Iとその結合蛋白であるIGFBP-3, および腰椎骨密度 (BMD) におよぼす影響について検討した.血中IGF-I濃度はRIA法で, 血中IGFBP-3濃度はIRMA法で測定した.腰椎骨密度 (L1-L4) はdual energy x-ray absorptiometry (DEXA法) を用いた.モルモットの体重変化については, 実験開始前後に明らかな増減はなく各群に有意な差は認めなかった.血中IGF-I値に関しては, OVX群は偽手術を行ったsham群の約56%にまで有意 (p<0.05) に低下した.E2投与 (OVX+E2群) によりOVX群と同程度の低値を示したが, DHT投与 (OVX+DHT群) によりsham群と同等のレベルにまで回復した.IGFBP-3値についても有意差はないものの, IGF-Iと同様の傾向を示した.骨密度に関しては, OVXによりsham群に比し, 有意 (p<0.05) に減少したが, E2およびDHT投与によりsham群と同程度のレベルに維持された.ヒトの更年期から老年期における血中IGF-I値は加齢とともに減少し, エストロゲン補充によりその値は上昇することが知られており, 今回の成績と異なる.雌にアンドロゲンを投与した報告は少ないが, 今回, エストロゲンに変換されず, 生物学的活性のもっとも強いアンドロゲンであるDHT投与群において体重, 血中IGF-I値がsham群に比し増加していることから, DHTにはIGF-Iを上昇させる作用があることが示された.骨密度に関してもOVX+DHT群はOVX+E2群と同程度にまで維持されたことより, アンドロゲンも雌モルモットに対して骨密度を増加させる作用を有することが初めて示された.また, モルモットとヒトではエストロゲン欠乏とその補充投与でBMD値と血中IGF-I値に異なった変動を示し, さらにアンドロゲン補充と異なった変動を示したことから, エストロゲンとアンドロゲンはIGF-I産生とBMDの維持に異なった調節作用を有することが示唆された.
  • ―有色家兎および高眼圧症患者を対象として―
    植田 俊彦, 福田 紹平, 高橋 春男, 代田 幸彦, 荻野 大, 小出 良平, 植田 孝子, 高野 裕, 荒井 裕一朗, 内田 英二, 安 ...
    1998 年 58 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    消炎作用を有する小柴胡湯と利水作用を有する五苓散の合成処方である柴苓湯の緑内障治療に対する効果について検討を行った.即ち, 柴苓湯の有色家兎眼圧に対する影響および高眼圧症患者に対する効果について検討した.有色家兎においては1%柴苓湯含有飼料投与群ではコントロール群で生じた眼圧上昇は投与開始2日後 (p<0.05) には有意に抑制され, その傾向は実験最終日28日後まで継続した.また, 高眼圧症と診断され, 0.5%timolo1 (β-blocker) 点眼では眼圧コントロール不十分と判断された患者30名を対象として眼圧に及ぼす柴苓湯の併用作用を検討した.0.5%timolol1日2回点眼を24週間施行した後, 0.5%timolo1と柴苓湯1日9g (内服) の24週間併用投与を行い, 眼圧を測定した.30名のうち9名は軽度な副作用の出現または本人の意志により投与を中止した.柴苓湯投与開始日の平均眼圧は21.4mmHgであり, 投与2週から24週後まで有意な眼圧の低下 (p<0.01) を認め, その効果は眼圧の高い群 (22mmHg以上) ほど強い降下効果が認められた.以上より, 柴苓湯は有色家兎正常眼圧および高眼圧症患者に対し眼圧降下作用のあることが認められ, また, その効果は眼圧が高い程有効であることが示唆された.
  • 木南 豊
    1998 年 58 巻 2 号 p. 181-194
    発行日: 1998/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    診断の指標として開発されてきたMMPIは, その原版においても, 弁別率は中程度であり, 現在はむしろ, 患者の心理特性の臨床記述のッールとして使われている.近年, 日本版MMPIが改訳され, 新たに標準化されたが, 精神科患者を対象とした研究はおこなわれていない.精神科患者216名 (女性117名) と対照群87名 (女性48名) に, 新日本版MMPIを実施し, 患者のプロフィールパタン, 各妥当性・基礎臨床尺度, 及び各項目の疾病ごとの出現率および患者の特性との関連を検討した.患者の全体的特性を表すプロフィールパタン (Gull wing, Conversion Vなど) と部分的特性を表す特殊項目 (Graysonの危機項目, 希死念慮項目, 家庭・家族問題項目) に精神科治療上の弁別的情報がみいだされた.
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