教室ではMまたはL領域に存在するcかつsT1 (SM) , NO胃癌に対して, D1+β郭清を伴う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 (以下LADG, D1+β) を施行しているので報告する.過去のSM胃癌開腹手術例では, 分化型, 未分化型ともに腫瘍径の増大によりリンパ節転移率に有意差を認め, 分化型<40mm, 未分化型<20mmでは分化型30mmの1例のみに2群転移を認めたが再発は認めなかった.以上より, LADG, D1+βの適応を1.cおよびsT1 (SM) , 分化型の15mm以上40mm未満, 2.cおよびsT1 (SM) , 未分化型の20mm未満としている.手術手技は, 体位を開脚位とし, トロッカーは5本挿入して臍下より腹腔鏡を挿入する.No.7, 8a, 9リンパ節の郭清は総肝動脈をテーピングして行う.すべての郭清を腹腔鏡下に施行後, 5cmの小切開創より胃を切除, B-I法手縫い吻合で再建する.治療成績 (n=10) を開腹手術例 (n=31) と比較すると, 平均手術時間は有意に長く, 平均出血量は有意に少なく, 平均リンパ節郭清個数は有意に多かった.現状では適応を限定し施行しているが, 今後さらなる適応の拡大も予想される.
抄録全体を表示