昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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63 巻, 2 号
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  • 若山 吉弘
    2003 年 63 巻 2 号 p. 111-112
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 自見 隆弘, 若山 吉弘
    2003 年 63 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 澁谷 誠二, 若山 吉弘
    2003 年 63 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 原 一, 若山 吉弘
    2003 年 63 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 井上 昌彦, 若山 吉弘
    2003 年 63 巻 2 号 p. 128-129
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 本江 朝美, 星山 佳治, 川口 毅
    2003 年 63 巻 2 号 p. 130-141
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    SOC (Sense of Coherence) は, 1970年代後半に医療社会学者のAntonovskyによって体系化された健康生成論の中核概念で, 自分の内外で生じる環境刺激は予測と説明が可能で, その刺激がもたらす要求に対応するための資源はいつでも得られ, そうした要求は心身を投入しかかわるに値するという確信からなる生活世界規模の志向性である.本研究は, 看護教育における基礎段階の体験学習 (学内演習・臨地実習) に対する学生の意識や行動とSOCの強さや変化との関係を明らかにし, 教育内容を検討する一助とすることを目的とした.対象は, S短期大学看護学科1年次学生86名とし, 基礎看護学の学内演習と臨地実習が設定されている1年後期開始時と終了時の2回にわたって, 自記式質問紙による縦断的調査を実施した.その結果, SOC変化群別に体験前SOCの高・中・低の3群間の意識と行動の得点差を多重比較したところ, SOC減少群では, 体験前の「実習に期待している」「ナースになりたい」「看護過程を理解している」などの看護師になるための学習意欲や期待感に, 高群と低群間に有意差が認められた.しかし微増群や著増群では「自分はナースに向いていると思う」と「自分自身に満足している」以外は有意差を認められなかった.また, 体験前SOC群別の意識と行動の平均得点は, SOCが高い程「ストレス感」が少なく, 「ストレス対処行動」や「ポジティブ思考」, 「達成感」, 「予測と期待感」が有意に高かった.さらに, 体験後のSOCに関連する意識と行動因子を特定するために重回帰分析を行った結果, 体験学習後のSOCは, 「ストレス対処行動」や「ポジティブ思考」が, 体験学習前後のSOC変化には, 「ポジティブ行動」が, いずれも正の有意な関連を示した.これらより, SOCは看護実践能力に寄与すると考えられ, 看護教育の基礎段階におけるSOC形成にむけての教育の意義を認めた.またSOC形成には, 体験学習に関する意識と行動のなかでも, 特にポジティブ行動が関与している可能性が示唆された.
  • 山藤 賢
    2003 年 63 巻 2 号 p. 142-153
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    大腿骨頸部骨折のため, 人工骨頭置換術の適応となり摘出された21例, 21骨頭を用い, 大腿骨頸部骨折における骨形態計測分析の新しい評価法として, 摘出された骨頭をその骨折部近傍において, 頸部軸に垂直に割を加え, 中央, 上方, 下方, 前方, 後方の5ケ所より, ブロック片を作製.海綿骨微細構造, 皮質骨幅, 骨密度について測定した.頸部内側骨折群 (南澤分類で典型型10例, 三日月型3例, 混合型3例) と大腿骨頸部外側骨折群 (5例) とを比較することにより, その発生機序の違い, 脆弱性等について考察した.骨構造評価の方法として, 従来の硬組織標本による骨形態計測法と異なり, 非侵襲的な計測が可能なmicro-CTを用い, 骨密度の測定には, PQcTを使用した.結果は, 頸部内側骨折典型型群では, 外側骨折群と比較して, 海綿骨領域において, 骨量では, 有意差は認められなかったものの中央, 上方, 後方で減少傾向にあり, 骨梁幅, 骨量数, 骨梁間隙においては, 骨梁幅の上方, 後方で有意な低値を示した.皮質骨幅は, 上方, 後方で減少傾向があり, 特に上方では有意な低下を示した.骨密度は, 上方で有意な低値を示したが, 下方, 前方, 後方では逆に外側骨折群の方が低値であった.三日月型, 混合型においては, 有意差の認められたのは, 骨密度での, 三日月型の中央での低値だけであった.これまでにも, 大腿骨頸部内側骨折の摘出骨頭の骨質に関する報告は散見されるが, 前額断面等での二次元的な評価が多く, 部位別に外側骨折と比較した報告例は, 我々が渉猟し得た限りでは見当たらない.本研究の結果からは, 諸家の報告にある, 外側骨折群の方が内側骨折群よりも骨密度が低値であるという報告と照らし合わせると, 外側骨折が骨密度の低下に直接外力が加わって発生すると推測されるのに対し, 内側骨折典型型においては, 皮質骨上方の菲薄化を伴って, 海綿骨部の上方, 後方に脆弱部が存在し, 一種の疲労骨折的な要素により, 骨折が引き起こされると推測された.
  • 成井 研治, 井上 真理, 水谷 佳世, 岩崎 順弥, 田中 大介, 竹内 敏雄, 飯倉 洋治, 梅田 陽, 高橋 晴美
    2003 年 63 巻 2 号 p. 154-162
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    早産児にみられる原発性無呼吸発作に対する治療として, キサンチン誘導体の投与が行われている.早産児では肝でのcytochrome P450 1A2 (以下CYPIA2とする) の活性低下のため, テオフィリン (以下THPとする) の排泄やその代謝は成人や年長児と異なることが知られているが, THPのモニタリングは限られた血液での血中濃度を測ることでしかなされていないのが現状である.そこで, 児より排泄された尿に着目した.無呼吸発作のためTHPを使用し定常状態に至った児20名 (24検体) の尿中のTHPおよびその主たる代謝産物量を測定し, またその際の血中濃度を求め, さらに以下の計算式から, THPの全身クリアランス (以下CLとする) , 排泄「腎クリアランス」 (以下CLRとする) およびそれらの差である代謝「肝クリアランス」 (以下CLHとする) を求め日齢, 修正週数, 尿量との相関について検討を行った.◇全身クリアランスCL (ml/kg/min) = (投与量 (μg/kg) /投与間隔 (min) ) /血中THP濃度 (μg/ml) ◇腎クリアランスCLR (ml/kg/min) =尿中THP濃度 (μG/ml) ×尿量 (ml/kg) /投与間隔/ (min) /血中THP濃度 (μg/ml) その結果, 生後2ヵ月までの早産児においてはTHPのCLおよびCLRの上昇は, 修正週数よりはむしろ日齢の増加と相関することが確認された.
  • 杉原 桂, 上野 幸三, 養父 佐知子, 高橋 円, 満川 香織, Karen Thursday SAMSON, 陳 〓華, 飯倉 洋治
    2003 年 63 巻 2 号 p. 163-173
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    食物アレルギーの中には肝障害をきたす症例が存在することが知られている.一方で漢方薬は新しいアレルギー疾患治療薬として活躍が期待できる.我々は柴胡清肝湯を治療薬として用い, 食物アレルギーモデルマウスにおこる肝臓や小腸の障害と柴胡清肝湯の治療効果, 作用機序について検討を行った.実験方法としてNc/JicマウスをOVAによって感作させた.マウスは非感作群と, OVA感作群に生理食塩水を投与した無治療の感作群, OVA感作群に対し柴胡清肝湯の少量投与群と大量投与群の4群に分けた.それぞれの対照群に対して血清AST, 血清ALTの測定, サイトカインの検討としてIL-4, IL-6, TNF-α, CD4の陽性細胞数の測定, 病理組織学的検討, 画像解析について分析した.その結果, 血清AST, 血清ALTの値は感作群で有意に上昇し, 柴胡清肝湯治療群では有意に低下していた.病理組織では感作群で巣状壊死像, 炎症細胞の浸潤が特徴的に認められた.小腸の病理組織をみると, 感作群では絨毛内に強い浮腫性の変化を認めた.サイトカインの検討ではIL-4, IL-6, TNF-α, CD4陽性細胞数いずれも感作群で増加しており, 柴胡清肝湯治療群で減少していた.画像解析の検討では多核の発現頻度を検討したがこれも感作群で有意に多く, 柴胡清肝湯治療群で有意に抑制されていた.以上の結果より, 食物アレルギーモデルマウスでは肝障害が発生しており, 柴胡清肝湯が肝臓でのアレルギー反応を抑制しうることが示された.
  • 池田 純
    2003 年 63 巻 2 号 p. 174-182
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    特発性手根管症候群は上肢における絞扼性末梢神経障害であり, 日常外来診療で経験する頻度が高い疾患である.しかし, その成因については諸家の様々な報告があるが一定の見解を得ていない.本研究の目的は, 近年補助診断のひとつとして有用視されているMRI画像を用いて, その特徴を定量評価することにより特発性手根管症候群の成因を推察することである.なお, 病理学的側面からも考察を加えた.当科で特発性手根管症候群と診断され, 造影MRIが撮像できた26例31手を研究対象とした.全例女性で, 右17手, 左4手, 両側5例で平均年齢64.5歳であった.MRI画像は造影剤を使用し, T1強調axial像を評価した. (1) 手根管, (2) 正中神経, (3) 屈筋腱および腱周囲滑膜 (以下屈筋腱群) それぞれの横断面積, また (4) 正中神経横断面積および (5) 屈筋腱群横断面積それぞれが手根管横断面積に占める割合, (6) 横手根靱帯の厚さの6項目をMRI本体の画像解析ソフトで計測した.その際, 神経学的重症度から軽症群と重症群の2群に大きく分けて正常群4例と比較し, MRI画像との相関性を調査した.統計学的評価にはt-検定を用いた.手術に至った9症例で, 切徐した横手根靱帯にH-E染色, AZAN染色, 免疫組織化学染色を行い参考とした.これらの結果, MRI画像上正常群に比較して, 軽症群では全ての項目で有意な変化を認めなかったのに対し, 重症群では (3) 屈筋腱群横断面積 (平均110.52±25.49mm2: 正常群86.55±9.97mm2) , (5) 手根管横断面積に占める屈筋腱群横断面積 (平均51.59±8.86%; 正常群40.53±2.36%) , (6) 横手根靱帯の厚さ (平均3.32±0.48mm; 正常群2.46±0.42mm) に関して有意に増大を認めた.特に, (3) 屈筋腱群の横断面積増大は神経学的重症度と強い相関性を認めた.重症群における本結果より, MRI画像からみた特発性手根管症候群の成因は腱鞘炎にともなう腱周囲滑膜の浮腫が関与すると考えられた.病理学的にも手術に及んだ全例が重症型であったが, 靱帯線維の配列に乱れを生じ, その線維間に新生線維を確認し, MRI画像から考察した仮説に矛盾しない結果が得られた.つまり, 腱周囲滑膜の浮腫が手根管内の慢性的な高圧環境を生じ, 横手根靱帯に二次的変化を生ずるという経過が考えられた.さらに今回画像の特徴から1: 腱鞘浮腫型, 2: 横手根靭帯肥厚型, 3: 混合型, 4: 分類不能型という4群への分類を試みた.本分類は特発性手根管症候群における病期の違いを描出する一面があり, 臨床上有効な分類と思われる.
  • 杉山 彰英, 岡松 孝男, 八塚 正四, 五味 明, 鈴木 淳一, 深澤 基児
    2003 年 63 巻 2 号 p. 183-192
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    短腸症候群 (以下本症) 患児に対し, より生理的な早期経腸栄養管理を可能とするため, ラット本症モデルを使用し, 半消化態経腸栄養剤およびprobioticsの有効な投与法について検討した.ラット本症モデルを使用し, 術後各種飼料を経口投与した.実験1: 経腸栄養剤投与群をA群 (n=12) , 普通固形飼料投与群をB群 (n=12) とし, 術後1週目および術後4週目に栄養学的評価, 便性評価を行った.経腸栄養剤は半消化態栄養剤を用い, 低濃度より開始し, 徐々に維持量に到達させた.実験2: probioticsを併用した経腸栄養剤投与群をC群 (n=12) とし, A群 (n=12) に対し実験1と同様に比較検討した.実験1: A群はB群に対し, 術後1週目に有意に体重減少が少なく (p=0.018) , 血清総蛋白が有意に高値であった (p=0.034) .アミノ酸分析ではTyrosineがB群に対し有意に高値であった (p=0.039) .脂肪酸分画ではジホモγリノレン酸, エイコサペンタエン酸, ドコサヘキサエン酸がB群に対し有意に低値であった.便性状については術後4週目ではB群に対し有意に軟らかかった (p=0.033) .実験2: C群はA群に対し, 術後4週目に血清総コレステロールが有意に高値であった (p=0.034) .脂肪酸分画はω3系の脂肪酸であるエイコサペンタエン酸, ドコサヘキサエン酸が有意に高値であった (p=0.015, p=0.043) .便性状についてはC群はA群に対し, 有意に硬かった (p=0.018) .半消化態栄養剤は, より生理的な経腸栄養剤であるが, 従来, 本症術後早期には使用が避けられてきた.しかし, 近年の製剤の進歩により, 適切な濃度で投与すれば本症術後早期から安全に投与でき, 栄養学的にも普通固形飼料と同等もしくはそれ以上の効果が認められた.維持期における高濃度投与中には軟便が持続する傾向が認められたがprobioticsを併用することで便性は改善された.さらにprobioticsは消化吸収能の改善も促進する可能性が示唆された.
  • 竹村 栄毅
    2003 年 63 巻 2 号 p. 193-210
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌は他の頭頸部悪性腫瘍とは異なり, 病理学的にも多彩な腫瘍を生じる臓器であり, その大多数を占める分化癌は発育が緩慢で予後良好とされている.しかし一方ではオカルト癌に代表されるように早期にリンパ節転移を起こす症例や被膜外に広く浸潤し, 気管など周囲臓器の切除を余儀なくされる症例もあり, 非常に興味深い腫瘍である.我々はp53, Ki-67, C-erb B2, E-cadherin, β-cateninを測定し, 臨床学的パラメーターとの相関を検討し, これらを総合することで, 甲状腺癌の興味深い生物学的動態との関係を調べるとともに, 甲状腺癌の予後因子になりうるものか考察した.その結果, T分類, すなわち腫瘍の増大, 伸展と広範囲へのリンパ節転移に対するp53とKi-67, またはその同時発現が影響することが立証された.また, オカルト癌ではp53の発現とともにE-cadherin異常の関与も示唆された.しかし, いずれの因子も生存率には関係が無いという結果であった.これは, 甲状腺癌は遠隔転移以外の部位はほとんどが手術治療が可能であり, 腫瘍が大きくても, 頸部リンパ節転移を認めても外科的に摘出し救命し得るため, 生存率という数字には反映されなかったものと思われた.しかし少なくともp53あるいはKi-67の発現例では経過観察中において注意が必要であると警告する予見因子になりうるものと考えられた.
  • 永瀬 大, 松井 和夫, 竹村 栄毅, 窪田 哲昭
    2003 年 63 巻 2 号 p. 211-221
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    癒着を伴った真珠腫性中耳炎の新鮮例, 鼓膜の癒着を伴った再手術例に対し, 再癒着を防止するために鼓膜癒着部の中耳粘膜欠損部に下鼻甲介粘膜を移植した.段階手術を行った症例で下鼻甲介粘膜を移植した部位の中耳粘膜組織を光学および電子顕微鏡にて観察した.また移植前の下鼻甲介粘膜, 非癒着部の中耳粘膜と比較し組織形態学的に検討した.段階手術を施行した29例全例に対して第二次手術時に鼻粘膜移植部位の組織を一部採取した.採取組織が極小のため検査できなかった5例を除いた残り24例に対し病理組織学的検査を行なった.その結果, 組織片の表面組織は, 多列線毛円柱上皮12例, 線毛立方上皮3例, 円柱上皮2例, 立方上皮4例, 結合組織3例で24例中21例 (87%) は上皮組織であり, その内15例 (63%) に線毛を認めた.また, 採取した組織に腺組織を含む割合は, 24例中13例 (54%) であつた.検討の結果, 24例中18例 (75%) が変性の程度は様々であるが, 鼻粘膜が生着したと考えられた.また3例は生着し周囲の中耳粘膜に同化したのか, もしくは脱落して周囲の中耳粘膜により修復されたのかを判断するのは困難であり, 残り3例は結合組織であった.再癒着を認めた症例の中耳組織はいずれも結合組織であり, 上皮を認めた症例は全例再癒着は認められなかった.以上より線毛機能を有する下鼻甲介粘膜を移植し生着することは, 線毛による自浄作用や粘膜を通しての正常なガス代謝を促し, 鼓膜腔の含気化を維持でき術後形成鼓膜の再癒着防止に有効であったと考えられた.
  • 華岡 肇, 窪田 哲昭, 門倉 義幸
    2003 年 63 巻 2 号 p. 222-230
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    頸部気管広範囲切除後の気管再建に我々はコラーゲン製人工気管を開発し良好な結果を得ている.この材質はbiomaterialともいうべきもので, 本来生体結合織中に存在するコラーゲンによるもので, 人工的に作製過程で免疫性, 異物性を除去すれば生体内に移植可能と思われ, いずれ生体内で結合織と置換され自らは消失するものである.このコラーゲン人工気管の第一の特徴は, 再建気管内腔面に粘膜が再生することで痰の喀出が可能となることを意図している点である.今回そのコラーゲン板の吸収, 置換とともに, 気管線毛上皮の再生状態を動物実験において経時的に検討した.体重約4kgの成熟家兎を用い気管を露出したのち, 5×10mmの大きさに気管軟骨を粘膜まで含めた全層切除して気管開窓を行った.この気管欠損部にコラーゲン板をパッチし縫合固定した.移植後経時的に, 再建部を摘出し, 病理組織学的, 電子顕微鏡的にコラーゲン板の状態, 粘膜上皮の形態変化を検討した.コラーゲン板は, 移植後4週間より徐々にコラーゲン線維が溶解吸収され結合織に置換されはじめ, 12週後にはほぼ置換された.一方気管内腔はまず膠原線維が気管切除端よりコラーゲン板上に延び, その元となる線維芽細胞とともに基底膜, 基底細胞が形成され, 基底層に続いて粘膜上皮が延び, 摘出4週後には本来の正常な線毛上皮が再生される様子が観察された.我々の作成したコラーゲン板は気管再建時, 内腔面には線毛円柱上皮が再生するため気管孔を閉鎖しても痰の喀出が可能であり, 人工気管として有効な方法になりうるものと思われた.
  • 西村 有希, 倉田 知光, 岩瀬 万里子, 内田 直樹, 中西 孝子, 荒井 裕一朗, 内田 英二, 安原 一, 村上 秀友, 岡崎 雅子, ...
    2003 年 63 巻 2 号 p. 231-233
    発行日: 2003/04/28
    公開日: 2010/09/09
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