当院通院中の気管支喘息患者に対し, 環境整備におけるDaniScan
の有用性を検討した.ダニに対するRAST陽性であった9例 (男性5例, 女性4例, 平均年齢42.3歳) の喘息患者に対し, ダニスキャン値RAST値, HRT値, 及び陽性症状との関連について検討した.次にパンフレットを用いた環境整備指導を行い, 2年後の同季節に, 喘息症状, 治療内容の変化, ダニに対するRAST値HRT値, ダニスキャン値の変化を調査し, 追跡可能であった6例に対し臨床的検討を行った.統計解析にあたり, 相関係数はFisher検定を用い, 2群間の解析にはWilcoxon検定を用い, p<0.05を有意な相関あり, p<0.10を相関傾向ありと判断した.ダニスキャン陽性群では, RAST値, HRT値は高値を示し, 症状発現に関連すると考えられた.DaniScan
は簡便かつ正確に家庭内ダニアレルゲン曝露の程度を測定でき, 臨床上有用なキットと考えられた.さらに環境整備によりRAST値, HRT値の平均値の低下を認め, 症状改善と悪化防止につながったが, 症例数が少ないことを考慮すると, RAST値, HRT値の有意な低下は得られず, 環境整備においてDaniScan
を用いた指導の有効性については評価できなかった.今後症例数を積み重ねて, 追試を行う必要があると考えられた.
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