経頭蓋カラードプライメージング法を用いて, 非侵襲的に徐脈性不整脈患者でのVVIペースメーカー (PM) の設定心拍数毎の中大脳動脈血流速度および心血行動態の変化を検討した.対象は, 体外式PM (VVI) を挿入した徐脈性不整脈患者5例である.方法は, 体外式PMの設定心拍数を7分毎に段階的にペーシング前から60/min, 80/min, 100/minまで増加させる.設定心拍数毎に経頭蓋カラードプライメージング法により中大脳動脈カラードプラ像を描出, パルスドプラ法にて血流波形を記録し, 最高 (Vmax) , 最低 (Vmin) , 平均血流速度 (Vmean) を測定した.ドプラ心エコー図法で1回拍出量と心拍出量を算出し対比した.Vmaxは, ペーシング前では0.9±0.3m/secであったが, 設定心拍数60/minでは1.2±0.3m/sec, 80/minでは1.0±0.3m/sec, 100/minでは0.9±0.3m/secとなり, 設定心拍数60/minで最高値を示した.Vminも, ペーシング前では0.3±0.1m/secであったが, 設定心拍数60/minでは0.5±0.1m/sec, 80/minでは0.4±0.1m/sec, 100/minでは0.4±0.1m/secと, 設定心拍数60/minで最高値を示した.Vmeanも, ペーシング前では0.5±0.1m/secであり, 60/minでは0.7±0.2m/sec, 80/minでは0.6±0.1m/sec, 100/minでは0.6±0.1m/secと設定心拍数60/minで最高値を示した.1回拍出量は, ペーシング前では101.1±27.3mlであったが, 設定心拍数60/minでは119.1±20.4ml, 80/minでは110.7±18.0ml, 100/minでは104.3±19.7mlと設定心拍数60/minで最高値を認めた.しかし, 心拍出量は, ペーシング前では4.0±1.11/minであったが, 設定心拍数60/minでは7.1±1.21/min, 80/minでは8.9±1.91/min, 100/minでは10.4±2.01/minと心拍数の増加とともに有意に増大した (p<0.05~p<0.01) .経頭蓋カラードプライメージング法を併用することにより患者個人の至適PM心拍数の設定が可能であると考えられた.
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