最近臨床応用が開始されたインパルスオシレーションシステム(IOS)は,安静呼吸時に極めて短時間インパルスを与えるだけで末梢気道病変を検出するとともに,肺実質や胸郭など部位別の気道抵抗などが評価できる.しかし,本法における評価には明確な基準が存在しないという問題がある.そこでその評価を簡便にする事を目的とし,測定項目の1つである共振周波数(Resonant frequency:Fres)についての検討を行った.スパイロメトリにて,%肺活量≧80%かつ1秒率≧70%であった420症例(20歳から89歳)を対象とした.対象を喫煙の有無と性別により非喫煙男性群,非喫煙女性群,喫煙男性群,喫煙女性群の4群に分けた.全対象にIOSを行いFresによる評価を行った.各群の症例数はそれぞれ105例ずつとした.Fresの値において各群間に有意差は認めなかった.次いでFresと年齢,身長,1秒量,肺活量,PEFR(Peak expiratory flow rate),MMEF(Maximum mid-expiratory flow rate)およびV25/Ht(肺活量の25%の気量位における気速/身長)などとの相関関係を検討した.Fresと年齢,1秒量および肺活量との間に得られたR
2は各群において0.2以上あり,相関性が見られた.一方,FresとPEFRや身長との間に得られた一次式のR
2は0.2以下であり,相関関係は弱かった.FresとMMEFおよびV
25/Htから算出されたR
2は喫煙女性群でのみ0.2を超えたが,他の3群では低値となり,各群間における差が大きかった.IOSの利点として,安静呼吸時においても短時間に測定できることが挙げられる.そのため小児,高齢者および術前患者など従来の呼吸機能検査が困難な患者への応用が期待される.しかし,現時点ではまだ日本人における予測値も検証段階であり,今後はFresを含め,より一層のデータ蓄積が必要と思われる.
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