昭和医学会雑誌
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70 巻 , 5 号
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最終講義
原著
  • 安倍 弥生, 蓮見 俊彰, 保阪 善昭
    2010 年 70 巻 5 号 p. 391-398
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    眼球陥凹は眼窩壁単独骨折や頬骨骨折の一症状であり,整容的に大きな問題となるため,積極的に手術的加療を行う.術後長期の経過観察を行うと,さらに陥凹する症例が多いため,手術時に健側に比べ,やや過矯正にしていたが,それでも再陥凹する症例が少なくないと感じている.そこで今回,術直後もしくは受傷直後と,1年後での眼球位置をCT画像を用いて計測し,その傾向を検討した.眼窩壁単独骨折,頬骨骨折を受傷した16例のうち,手術(受傷)後1年で,眼球が陥凹したのは12例,突出したのは4例であり,平均で1.38mm陥凹していた.術後陥凹の主な原因として,受傷時の出血や浮腫に加え,手術時の操作に起因した眼窩内軟部組織の萎縮,瘢痕化が考えられた.今回の結果を踏まえ,今後,眼球陥凹に対する手術時には,より過矯正気味に再建する必要があると考える.
  • 有泉 裕嗣, 塩沢 英輔, 本間 まゆみ, 矢持 淑子, 瀧本 雅文, 太田 秀一, 服部 憲路, 前田 崇, 中嶋 秀人詞, 齋藤 文護, ...
    2010 年 70 巻 5 号 p. 399-411
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    昭和大学病院でT細胞およびNK細胞(T/NK細胞)腫瘍と病理診断された107例をWHO分類第4版に基づき再診断し,造血器腫瘍取扱い規約に基づいた臨床的評価で後方視的に臨床病理学的に解析した.組織型別の頻度は,peripheral T-cell lymphoma,not otherwise specified(PTCL,NOS)25例(23.4%),adult T-cell leukaemia/lymphoma(ATLL)19例(17.8%),extranodal NK/T cell lymphoma,nasal type(ENKTL)17例(15.9%),angioimmunoblastic T-cell lymphoma(AITL)10例(9.3%),primary cutaneous CD30 positive T-cell lymphoproliferative disorders(C-CD30 + LPD)9例(8.4%),T lymphoblastic leukaemia/lymphoma(T-ALL/LBL)8例(7.5%),mycosis fungoides(MF)8例(7.5%),anaplastic large cell lymphoma,ALK negative(ALCL,ALK-)4例(3.7%),その他の組織型は7例であった.生存期間中央値は34.8か月で5年生存率は41%だった.C-CD30 + LPDはATLL,AITLに対し有意に予後良好だった.初診時の可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)1300U/mL以上の症例は有意に全生存率が低く(P = 0.02),ATLL症例を除いた解析でもsIL-2R高値例は予後不良であった(P = 0.02).初診時sIL-2R値はENKTL,C-CD30 + LPD,ALCL,ALK-,MF,T-ALL/LBLでは低値である傾向があった.また,初診時に血清鉄が施設基準値下限(男性50μg/dL;女性35μg/dL)未満かつ総鉄結合能(TIBC)が250μg/dL未満の鉄利用障害を伴う症例は有意に全生存率が低かった(P = 0.02).鉄利用障害とT/NK細胞腫瘍の予後との関連に関する報告はこれまでになく,多数例の検証で,鉄代謝を因子に含めたT/NK細胞腫瘍の予後予測モデルの解析が必要である.
  • 小川 玄洋, 井上 紳, 松山 高明, 牧野 睦月, 太田 秀一, 酒井 哲郎, 斉藤 司, 小林 洋一
    2010 年 70 巻 5 号 p. 412-417
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    有症状の薬剤抵抗性難治性心房細動の治療に拡大肺静脈隔離術が施行されているが,有効なアブレーションラインの作成には左心房の解剖学的知識が必要である.肺静脈開口部とその周囲に存在する解剖学的障壁について剖検心で検討した.対象は頻脈性不整脈の既往がなく高血圧性心疾患のほか主たる異常のない23症例,平均年齢63歳.右上肺静脈―卵円孔,右下肺静脈―卵円孔,卵円孔―僧帽弁輪,左上肺静脈―左心耳,左心耳―僧帽弁輪,左下肺静脈―僧帽弁輪,左上肺静脈―左下肺静脈間の距離を測定した.肺静脈を取り囲む左心房の障壁では左上肺静脈―左心耳間が平均8.4mmと最も狭く,最大–最小で4倍の開きがあった.心重量と各障壁間距離に相関は見られなかった.アブレーションラインの決定には個体差の把握や左房の解剖学的理解が有用であると考えられた.
症例報告
  • 後藤 哲宏, 大中 徹, 吉武 理, 中尾 健太郎
    2010 年 70 巻 5 号 p. 418-423
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    症例は86歳女性.主訴は嘔吐.上部消化管内視鏡検査で,胃体下部大弯側と胃底部大弯側に周堤をともなう潰瘍性病変を認め,さらに胃体中部小弯側に平坦隆起型病変を認めた.生検結果で胃体小弯部の病変からGroup5の低分化型腺癌を指摘.胃体下部,胃底部大弯側からの生検結果は壊死組織の評価であった.同時性多発胃癌(多発進行胃癌と早期胃癌)と診断し,胃全摘術を施行した.病理組織診断では,胃体中部小弯病変はType 0-IIa + IIcの早期胃癌の診断で,胃体下部と胃底部大弯側病変は胃悪性リンパ腫の診断であった.術前胃悪性リンパ腫の診断はできなかったが,非常に稀である早期胃癌と胃悪性リンパ腫の合併の1例を経験した.
  • 松宮 敏恵, 依田 光正, 小野 玄, 川手 信行, 水間 正澄
    2010 年 70 巻 5 号 p. 424-429
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    62歳女性.両下腿の筋肉痛,全身筋力低下.を訴え受診.精査の結果皮膚筋炎と診断されX年5月入院となった.内科治療開始後画像所見で右卵巣周囲および腹腔内に腫瘤を多数認め卵巣癌疑いで婦人科転科後開腹術施行したところ右卵管癌と診断され腫瘍摘出術施行された.術後免疫抑制療法,抗癌治療にて卵管癌再発は認めずX + 1年1月退院した.入院の翌日リハビリテーション(以下リハ)依頼があった.四肢体幹の重度筋力低下および嚥下障害を合併していた.ベッド上でもリハ開始と共に定期的な嚥下機能評価と摂食機能療法を行いつつ,嚥下機能改善に伴い食事形態を上げていった.10月には常食摂取可能レベルとなり,誤嚥性肺炎発症の合併も防ぐことができた.屋内外で監視見守りでT字杖歩行にて退院した.皮膚筋炎は比較的稀な疾患であるが,悪性腫瘍を併発する頻度は一般集団に比べ高い.また皮膚筋炎の嚥下障害の発生頻度も2~12%と少なくはなく,誤嚥性肺炎が原因となり死亡する例も多く報告されている.悪性腫瘍随伴性の皮膚筋炎のリハでは,悪性腫瘍の病状,治療経過に応じた四肢体幹の筋力強化と共に嚥下障害に対するアプローチが非常に重要であると考えられる.
  • 塩沢 英輔, 矢持 淑子, 猿田 祐輔, 梅村 宜弘, 小林 愛宙, 松原 英司, 野呂瀬 準, 瀧本 雅文, 塩川 章, 太田 秀一, 安 ...
    2010 年 70 巻 5 号 p. 430-436
    発行日: 2010/10/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    沖縄出身,関東地方在住のHTLV-1 carrierに発症した播種性糞線虫症の剖検例を経験した.イレウスを初発症状とし,重篤な肺炎症状,敗血症性ショックを併発し,喀痰培養およびイレウス管排液から糞線虫Strongyloides stercoralisが同定され診断が確定した.剖検では重篤な肺炎像とともに,十二指腸壁組織内に虫体を認めた.非浸淫地における糞線虫症は稀で,糞線虫の合併感染が多いHTLV-1 carrierに非特異的な消化器症状を呈する症例においては,糞線虫症の積極的な鑑別が必要であると考えられた.
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