昭和大学病院における多剤耐性緑膿菌(MDRP: multidrug resistant
Pseudomonas aeruginosa),extended spectrum β lactamase(ESBL)産生
Escherichia coli,ESBL産生
Klebsiella pneumoniae, ESBL産生
Klebsiella oxytoca 2006~2010年度の分離頻度,および2010年度の多剤耐性
Acinetobacter baumanniiの分離状況を報告する.MDRPは分離された緑膿菌の0.5~6%,毎月1~5株であった.ESBL産生
E. coliは,分離された
E. coliのうち10~20%を占め,毎月10~40株検出された.ESBL産生
E. coliは第三世代cephalosporin薬耐性
E. coliのほとんどを占めた.
K. pneumoniaeは総数の10~20%が第三世代cephalosporin薬耐性株であり,その約半数の毎月2~4株がESBL産生
K. pneumoniaeであった.
K. oxytocaの第三世代cephalosporin耐性株は総数の10~20%の2~6株であり,ESBL産生株はほとんどなかった.MDRPとESBL産生菌の分離は,2006から2010年度で大きく変動することはなかった.2010年度の
A. baumanniiは毎月10~20株が分離され,3系統耐性株は,4患者の6部位から検出された.この中で,MDRAの定義であるImipenem, Amikacin, Ciprofloxacin耐性株は1患者から検出された.残りの3患者由来の3系統耐性
A. baumanniiはいずれもMeropenem, Gemtamicin, Ciprofloxacinに耐性であり,ImipenemとAmikacinには感受性であった.薬剤耐性菌の感染拡大の防止のためには,的確な報告が必要であり,今後耐性遺伝子解析を含めた感度の高い検査法の導入が必要となる.
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