昭和医学会雑誌
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72 巻 , 5 号
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特別寄稿
原著
  • 岡部 俊孝, 山本 明和, 山下 賢之介, 荏原 誠太郎, 斎藤 重男, 星本 剛一, 薬師寺 忠幸, 磯村 直栄, 荒木 浩, 小原 千明 ...
    2012 年 72 巻 5 号 p. 539-546
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    背景:虚血性心疾患の危険因子として血液中のエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic Acid:EPA),アラキドン酸(Arachidonic Acid:AA)の比であるEPA/AA比の低値が知られているが,その短期間における変動に関しての研究はほとんど報告されていない.目的:安定狭心症患者においてEPA/AA比の適切な測定時期を明確にするため,EPA/AA比が短期間での変動や日内変動を示すかを検証した.方法:冠動脈造影検査にて冠動脈に血行再建の必要性を認めた75%以上狭窄の病変を1つ以上有する安定狭心症38症例を対象とした.EPA/AA比の測定は以下に示す通りの3ポイントで測定した.(1)入院時EPA/AA比 初回経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous coronary intervention:PCI)施行のための入院日の夕食後に随時採血として測定した.(2)PCI当日早朝EPA/AA比 PCI当日の早朝空腹時採血であり,前日から12時間以上の絶食期間をもうけて測定した.(3)PCI翌朝EPA/AA比 PCI翌朝の早朝空腹時採血であり,12時間以上の絶食期間をもうけて測定した.結果:平均年齢は68.7±9.7歳であった.73.7%が男性であり,高血圧症が73.7%,脂質代謝異常症は71.1%,糖尿病症例は31.6%に合併していた.入院時EPA/AA比,PCI当日早朝EPA/AA比,PCI翌朝EPA/AA比はそれぞれ0.47±0.34,0.46±0.34,0.44±0.31であった.3群間に有意差を認めた(P < 0.01).結語:EPA/AA比は短期間で変動する可能性がある.そのため,より正確に虚血性心疾患の危険因子として評価する際には測定時期を統一する必要が示された.
  • 森 智昭, 金井 英倫, 寺崎 雅子, 門田 哲弥, 嶋根 俊和, 三邉 武幸
    2012 年 72 巻 5 号 p. 547-552
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    背景:IgA腎症は慢性糸球体腎炎のうち,糸球体メサンギウム細胞・基質の増殖性変化と,メサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物を認める疾患である.近年IgA腎症患者に口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法を行う扁摘パルス療法の有効性が注目されている.またIgA腎症患者の口蓋扁桃では,慢性扁桃炎患者の口蓋扁桃と比較して病理組織学的に異なった特徴を示すとされている.対象,方法:昭和大学藤が丘病院腎臓内科で2007年から2008年にIgA腎症と診断され,口蓋扁桃摘出術を施行した49例の口蓋扁桃の病理組織学的特徴について検討した.結果:IgA腎症患者の口蓋扁桃では,リンパ濾胞の大きさが大小様々で境界が不明瞭となる,濾胞間領域も不規則に拡大,上皮では上皮間に形質細胞系細胞が増加・充満するといった特徴を各項目で半数以上の症例で認められた.結論:IgA腎症患者の口蓋扁桃には特徴的所見を高率に認めた.これらの特徴とIgA腎症の病態との関連は明らかではなく,今後の検討課題と考えられる.
  • 飯塚 弘文
    2012 年 72 巻 5 号 p. 553-559
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    内径5mm以下の人工血管は早期の血栓形成などにより狭窄や閉塞が生じやすく,長期開存は期待できない.人工血管の開存に関連する因子として,管粘弾性の重要性が指摘されているが,圧脈波伝播と管粘弾性の関係についてはあまり研究されていない.今回,人工血管(expanded polytetorafuluoroethylene(ePTFE))を用いたin vitroの閉鎖回路において,圧脈波伝播による粘弾性の変化を評価した.閉鎖回路の一部を35cmの人工血管(ePTFE 5mm,10mm)で置換し,拍動型ポンプで毎分60回の拍動を加えた.管粘弾性は管内圧に依存するため,人工血管入口部での平均内圧は100mmHgに規定した.各伝播距離(入口部,10cm,20cm,30cm)における,断面積変化および管内圧変化を,レーザー変位計および先端トランスデューサー圧センサを用いて経時的に測定した.血管弾性(distensibility)は内圧変化と血管断面積変化より評価した.粘性(viscosity)は内圧変化と,断面積変化率から描出されるhysteresis loop内の面積から評価した.内径10mmの人工血管弾性は入口部では9.1 × 10-5mmHg-1,伝播距離10cmでは5.6 × 10-5mmHg-1,20cmでは4.0 × 10-5mmHg-1,30cmでは3.5 × 10-5mmHg-1と低下した.内径5mm の人工血管弾性は入口部では2.8 × 10-5mmHg-1,10cmでは2.6 × 10-5mmHg-1,20cmでは1.9 × 10-5mmHg-1,30cmでは1.1 × 10-5mmHg-1と低下した.内径10mmの人工血管粘性は入口部では2.6mmHg,伝播距離30cmでは0.81mmHgと低下し,内径5mmの人工血管粘性では入口部では0.49mmHg,伝播距離30cmでは0.26mmHgと低下した.また,レーザー変位計による人工血管の伝播速度は20~40m/sであり,伝播速度に内径による差は認めなかった.人工血管の弾性および粘性は,小さな内径の方がより低かった.また,伝播距離30cmでは弾性も粘性も1/3にまで低下していた.人工血管では動脈の弾性特徴であるクッション効果,Windkessel効果が小さく,伝播により更に低下するために開存性が低下している可能性が示唆された.今回の結果は今後人工血管の力学的特性と長期開存との関連性の解明に寄与すると思われた.
  • 原田 健司, 斎藤 光次, 平林 幸大, 村上 悠人, 山岡 桂太, 諸星 利男, 国村 利明, 山野 優子, 渥美 敬
    2012 年 72 巻 5 号 p. 560-566
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    大腿骨頭壊死の原因は諸説あるが,大腿骨頭壊死への栄養動脈の循環障害の可能性を大とする説が多い.これまでに選択的動脈造影により大腿骨頭周辺から骨頭内の血管病変について検索がなされてきたが,末梢の微小血管までの報告は少ない1).今回われわれは,大腿骨頭壊死後の修復血管進入部周囲やMRI T1強調画像における帯状低信号領域(以下band部)における血管形態の組織学的評価を行った.MRIは骨頭壊死の早期発見2)や壊死組織範囲の決定に有効であり,MRIにおけるband像は組織学的には細胞性修復反応や血管に富む肉芽組織や修復反応を示している.Band部で囲まれた領域には骨梁の壊死と骨髄の無反応性の壊死が認められ,band部の末梢側は正常組織とされている3).対象は大腿骨頭壊死症に対して人工股関節置換術を施行した際に摘出した28骨頭で男性21例・女性7例,平均年齢46.9歳(27~66歳),Stage 3A:6例・Stage 3B:16例・Stage 4:6例であった.摘出された大腿骨頭はホルマリン固定後に,K-CXで脱灰ののちに冠状断でパラフィン切片を作製しヘマトキシリンエオジン染色後に光学顕微鏡で観察した.光学顕微鏡画像をOLYMPUS AX 80で取り込こんだ後,WinROOF V5.01を用いて血管径と血管数を測定した.観察部位は(1)band部・(2)band部の外側遠位部・(3)band部の外側近位部・(4)正常部の4箇所とした.結果は血管径についてはband部とband部の外側遠位で,Stage 4はStage 3と比較して有意に血管径が小さかった.血管数についてはband部とband部の外側遠位は,正常部とband部の外側近位と比較して有意に血管数が多い結果となった.これらの結果について以下のように考察した.骨頭壊死後の修復血管の進入は骨頭外側から起こり,修復血管の増生を反映してband部の外側遠位部とband部で血管数が多くなると考えた.またStage 4は荷重ストレスに曝される期間が長く,今回観察した病理所見ではStage 4はStage 3と比較して線維化が強く組織球等の炎症細胞浸潤が強い傾向があった.荷重ストレスにより進入が頓挫した修復血管の周囲で,時間経過により間質の線維組織の増生が起こり血管は相対的に小さくなると考えた.つまり修復血管の消退する過程を反映して,Stage 4のband部とband部の外側遠位において血管径が小さくなると考えた.
  • 石原 里美, 本間 まゆみ, 佐々木 陽介, 塩沢 英輔, 野呂瀬 朋子, 矢持 淑子, 瀧本 雅文
    2012 年 72 巻 5 号 p. 567-573
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)は,「胚中心を構成するB細胞,すなわち中型のcentrocyteと大型のcentroblastを正常対応細胞とする腫瘍で,通常は明瞭な腫瘍性胚中心様構造が1個以上存在するもの」と定義されている.FLでは腫瘍細胞中のcentroblastの割合によりGradingが行われ,Gradeによって生命予後や再発率に差が出ることが示されている.細胞周期の進行は,ユビキチン–プロテアソーム経路による厳密なタンパク質分解により調節されており,ユビキチンリガーゼの一種であるS-phase kinase-associated protein 2(Skp2)の過剰発現は細胞周期回転を促進し,腫瘍の発生や増殖速度と関連があるとされている.今回われわれは,FLにおける細胞周期関連タンパク質の発現およびGradeとの関連を免疫組織化学的に検討した.対象は昭和大学病院でFLと診断された70症例で,Grade 1は15例,Grade 2は30例,Grade 3Aは20例,Grade 3Bは5例であった.70例のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を用いて,Skp2,p27,Ki-67の免疫組織化学的染色を行った.Skp2,p27,Ki-67それぞれについて,陽性率の最も高い部分をhot spotとし,hot spot内の腫瘍細胞500個中の陽性細胞数の割合を算出し,FLにおける細胞周期関連タンパク質の発現およびGradeとの関連を検討した.Skp2とp27,およびp27とKi-67の発現にはそれぞれ負の相関を認めた.Skp2とKi-67の発現には正の相関を認めた.Grade別の検討では,Gradeがあがるにしたがい,Skp2,Ki-67の発現率は有意に増加し,p27の発現率は有意に減少していた.FLの細胞増殖性の指標としてSkp2,p27,Ki-67の免疫組織化学的染色は有用な手段と考えられた.また,Skp2もKi-67と同様に細胞増殖マーカーのひとつとなり,Skp2の高発現はFLの悪性度の指標となり得る可能性が示唆された.
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