生体医工学
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55Annual 巻 , 3AM-Abstract 号
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抄録
  • 鈴木 航太, 鈴木 達也, 小野 弓絵
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 137
    公開日: 2017/09/13
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    中側頭回は視聴覚情報の統合を担っていると考えられており、音楽に合わせて指示されたステップを行う視聴覚統合運動タスク(ダンスゲーム)遂行時におけるステップの時間的正確性(スコア)と中側頭回活動の持続性には正の相関がみられる。本研究は中側頭回の易活動性がダンスゲームの上達過程に与える影響を調べるために、左中側頭回の活動を経頭蓋直流刺激(tDCS)により亢進、抑制したときの運動の時間的正確性の変化を計測した。18人の若年成人に対し、anode、cathode、shamの電気刺激をランダムな順番で異なる3実験日において適用し、tDCS刺激前1回と刺激後3回の繰り返し施行におけるスコアを比較した。被験者全体では、測定回数による主効果のみ有意であり、電気刺激の種類との交互作用はみられなかった。楽器あるいはタスクと同様のリズムゲームの経験により分類すると、経験者はanode刺激、未経験者はcathode刺激において繰り返し施行後のスコアが刺激前に比べて有意に増加した。電気刺激の効果が視聴覚と運動の統合を必要とする訓練の経験量の違いによって異なって現れたことから、ダンスゲーム課題遂行における中側頭回の役割は訓練によって可塑的に変化していることが示唆された。

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  • 中村 和浩, 佐々木 一益, 武藤 達士, 石川 達哉
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 138
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    ミューオピオイド受容体欠損(MOP-KO)マウスについて、MRIを用いた脳部位体積評価を用いることで、中脳中心灰白質(PAG)の体積が野生型マウスに比べて増加していることが示されている。PAGは、自律神経や感覚性の入力を受け、痛覚抑制作用など自律神経系活動の発現に関与するとされている部位であり、こうした変化が、MOP-KOマウスの運動行動にどういった影響があるかについて、オープンフィールドテストで測定することにした。実験には野生型マウス12匹、MOP-KOマウス12匹を用いた。それぞれのマウスについて自家製のビデオ測定・解析装置を用いて、10分間の行動を記録し、その運動量を解析した。その結果、移動速度は野生型マウスが145.1±26.7 mm/secに対し、MOP-KOマウスは107.0±27.5 mm/secであり、有意に移動速度が低下していた。また、移動速度の変動係数を求めたところ、野生型マウスの0.39±0.06に対し、MOP-KOマウスは0.40±0.04であり、野生型マウスと、MOP-KOマウスの間で、移動速度のばらつきに違いがあるとはいえなかった。これらの結果から、MOP-KOマウスでは、PAG体積増加などを反映した痛覚過敏反応に伴い、移動速度が低下しているものと推察される。

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  • 片山 統裕, 中澤 邑支朗, 町田 祉永, 中尾 光之
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 139
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    移動運動中のげっ歯類の海馬では5-12Hzの振動的脳波(シータ活動)が観察される。海馬シータ活動は空間ナビゲーション中の動物の位置の符号化に重要な役割を果たす.シータ活動の周波数と振幅は動物の移動速度と相関することが報告されている.しかし,それらの正確な時間的関係は明らかにされていない.この関係を調べるために,バーチャル回廊を自発走行中のマウスから海馬脳波を記録した.バーチャル空間においても移動運動時に海馬シータ活動が発生し,その周波数および振幅が移動速度との間に正の相関があることが確認された.相互相関解析の結果,海馬シータ活動が動物の移動速度に対し約200ms先行して前に変化することを明らかにした.視覚フィードバックの操作がシータ活動に与える影響は明瞭ではなかった.これらの結果から,海馬シータ活動は直近の動物の行動を予測しているか,あるいは誘引していることが示唆される.

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  • 尾崎 一平, 佐藤 泰司, 太田 宏之, 西井 清雅, 堀内 俊克, 樫谷 賢士, 四宮 成祥, 斎藤 大蔵, 守本 祐司
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 140
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    爆風による脳損傷のうち、軽傷例の病態を理解するには、微小で変化に乏しい脳損傷部位を同定できる技術が必要となる。微小脳損傷が生じると、微小血管損傷により、炎症反応の躍起および、顆粒球の漏出が生じると考えられる。そこで、本研究では、軽度脳損傷の評価のための、好中球発現マウスの脳透明化による生体蛍光イメージング手法を確立する。【方法】Myelomonocytic cellのLysozyme M領域にEGFP遺伝子を導入し作製した蛍光好中球発現マウスに衝撃波を負荷した。その後、マウスの灌流固定を行ったのちに全脳を取り出して、1.5 mm厚の矢状面スライスを作製した。その後、CUBIC法による脳スライスの透明化処理を行い、蛍光顕微鏡を用いて好中球イメージングを行った。【結果】予備的検討によって、脳損傷を与えられたマウス脳における好中球蛍光イメージングの3D画像を構築することに成功しており、損傷部位では、好中球密度の上昇が濃淡のイメージとして可視化された。【結論】遊走好中球のイメージングから微小脳損傷を正確かつ定量的に理解することが可能となる。今後、本手法を用いて、微小脳損傷の経時的推移を追跡することによって、中枢神経系疾患および頭部外傷における脳損傷の継時的推移および、それに対する治療薬や予防薬の効果の可視化ができるようになることが期待される。

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  • 須藤 直紀, 深山 理, 阿部 裕輔, 満渕 邦彦
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 141
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究ではラットモデルを用いるBMI実験系において、実験効率向上のためにラットの歩行頻度を変化させることを想定し、ラットの歩行動作に対して自動的に報酬刺激を提示するシステムを構築した。ラット脳の外側視床下部に刺激用電極を留置し、また実験中にはラット頭上にLEDを配置した。実験フィールド上方のカメラでLED位置を取得し、これをラットの位置座標として歩行状態の判定を行った。実験は15分を1区間として1回に4または6区間を連続して行い、区間ごとに歩行に対する電気刺激報酬の有無を交互に切り替えた。4匹のラットについて各2回の実験を行った。歩行に対して電気刺激が与えられる区間において、ラットが一か所に留まり続ける時間が減少し、歩行頻度が上昇する傾向が見られた。個体によっては、電気刺激を得るのに十分な程度に頭部のみを動かす行動が見られた。刺激終了後の行動にその他の変化や異常は見られなかった。電気刺激報酬により元々の行動様式を阻害することなく、特定の行動をとる頻度を一時的に変化させられる可能性が示唆された。特定の行動中における神経活動計測の効率向上や、BMIシステムへの適応の促進に利用できると考えられる。

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  • 鈴木 柚子, 船瀬 新王, 内匠 逸
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 142
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    我々はこれまでSSVEPのパワーがヒトの目の解像度に関係する可能性について論じた.そこで次の段階としてヒトの目の解像度とSSVEPの関係を解明することを目指している.しかし,ヒトの目の解像度を非侵襲計測にて明確にすることは難しい.そこで本研究では金魚に着目し,金魚の目の解像度とSSVEPの性質を明らかにすることを目指す.本稿ではヒトと金魚における脳と目の構造について比較し,比較実験を検討する.ヒトは視覚野で,金魚は視蓋で視覚情報処理を行う.またヒトと金魚の視野において,色や輝度の判別を行う視細胞が存在するという類似点がある.相違点は以下の3つが挙げられる.1)ヒトは両眼視野なのに対して金魚は片眼視野である.2)ヒトの網膜には中心窩が存在するのに対して金魚には存在しない.3)ヒトは視神経の約半分が交差するのに対して金魚は完全に交差する.相違点に対して以下のような条件で実験を行うことで比較実験が行えると考える.1)ヒトは片眼,金魚は両眼で実験を行う.2)ヒトと金魚の周辺視野に対して視覚刺激を与える.3)左右の脳への伝達情報が視交叉を経由しても同等となるように視覚刺激を与える.また,比較実験に対する検討として,ヒトの左右の視野と金魚の左右の目に対して異なる周波数の視覚刺激を与え,ヒトも金魚も左右の脳で異なる周波数のSSVEPが検出されるか検証を行う.

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  • 遠山 尚人, 脇田 健哉, 船瀬 新王, 内匠 逸
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 143
    公開日: 2017/09/13
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    近年,脳波を医療に利用することを目的とした研究が進んでいる.我々は,検診への利用が期待される視覚誘発電位の一つであるSteady-State Visual Evoked Potential(SSVEP)に着目する.一般的に脳波には個人差が大きいという欠点があるが,SSVEPの個人差は比較的小さい.本研究では,チェッカーボードの白と黒を反転させることによりヒトに視覚刺激を与え,誘発されるSSVEPの性質を解明することを目的とする.本稿では,チェッカーボードの一辺の長さと格子数を変更した際の脳波を計測した.被験者の眼前60cmにディスプレイを配置し,チェッカーボードの白と黒を90秒間反転させ,視覚刺激を与える.実験は1日1セットで二日行う.チェッカーボードの反転周波数は15Hzとし,計測した脳波をフーリエ変換した際の,15HzのパワーをSSVEPのパワーとする.チェッカーボードの一辺の長さは1.125cmから5.625cmの5種類を,格子数は3×3から10×10の8種類を,計40種類のチェッカーボードを使用する.チェッカーボードの一辺の長さが同一の場合のSSVEPのパワーを格子数に対して比較した場合,被験者ごとにパワーの変動に傾向があるという結果を得た.また,SSVEPのパワーの変動傾向の再現性を確認した.

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  • 森田 竜生, 菊地 圭, 渡邉 高志, 村上 克徳, 久家 直巳
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 144
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    片麻痺者は下垂足によりぶん回し歩行などの代償的な歩行動作となることが多い.代償動作は左右の対称性が悪く,健常者のような効率的な歩行動作ではないため,日常生活で実用的な歩行速度や連続歩行能力を獲得できない可能性がある.そこで,片麻痺者に対称的な歩行パターンを学習させるための方法として,免荷装置を用いた訓練が臨床に取り入れられており,一般的にはトレッドミルを併用した免荷トレッドミルトレーニングとして知られている.本研究では,片麻痺者に免荷式リフトを適用することによるストライド時間やストライド中の立脚期と遊脚期の割合における左右差の変化を,慣性センサを用いて定量的に評価することを目的とした.しかし,下垂足傾向の強い片麻痺者においては,免荷を適用してもすり足歩行となる場合があり,適切な評価を行えない可能性がある.そこで本報告では,片麻痺者が免荷式リフトを使用して歩行する場合に,FESによる下垂足矯正の有無が歩行に与える変化を慣性センサにより評価した.その結果,下垂足矯正が無い場合にすり足歩行の割合が非常に高い患者で,下垂足矯正によりすり足歩行の割合が低下し,正常な動作での歩行割合が増大したのと同時に,歩行パターンの左右差が低減する結果が得られた.この方法は,歩行パターンの改善と正常な歩行動作の獲得を同時に実現することに有効であると考えられる.

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  • 赤池 尚也, 渡邉 高志
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 145
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    国内で開発された市販の足こぎ車椅子は,運動機能障害者や高齢者のための移動手段に加え,廃用症候群の防止,転倒の危険性が少ないといった利点があり,下肢のリハビリテーションに有効であることも報告されている.我々の研究グループでは,足こぎ車椅子と機能的電気刺激(FES)を組み合わせ,対麻痺者のリハビリテーションシステムの開発を進めている.その中で,足こぎ車椅子のFES走行の安定性を確保するためにファジィ制御器による閉ループ制御を検討しているが,筋の応答遅れや非線形性による制御精度の低下が問題となる.そこで本研究では,フィードバック誤差学習(FEL)法のFES制御への適用を検討している.本報告では,足こぎ車椅子走行のFES制御に用いているファジィ制御器について,FEL法への適用可能性を検討するため,膝関節1自由度運動におけるモデルシミュレーションを行った.その際,非線形性と大きな時間遅れを含む筋の電気刺激応答モデルを用いた.その結果,筋の応答遅れが大きな影響を及ぼす速い運動で学習が適切に行われない場合が確認された.そのため,既存のファジイ制御器を改良し,比例制御に相当する機能を追加した結果,適切に学習が進行し,学習の前後で制御誤差を減少させることが可能であることを確認した.

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  • 有我 祥子, 曲谷 一成
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 146
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    我々はEMGを利用した前腕部電動義手の制御について研究している.先行研究では,48ch電極の筋電位解析システム(以下,EMGシステム)を用い,モンテカルロ法による計測電極位置の選定と正準判別法によるEMGパターン認識を組み合わせた手法で動作認識実験を行ったところ,高い認識率を得ることができた.また,前腕部の適正な位置に電極を配置することが出来れば,4チャンネルの電極によるセンシングで制御が可能であることがわかった.そこで本研究では,先行研究で確立した手法を採用したウェアラブルEMG解析システムを開発することを目的とし,48chEMGシステムで選定された電極位置に4chEMGシステムでセンシングした場合でも,従来の研究と同様の認識率が得られるのかを確認した.前腕部の基本6動作を対象に,被験者4名に動作識別実験を行ったところ,意識的にEMGパターンが発現できるように事前に訓練していた2名では,認識率平均95%以上の高い認識率を得た.対して,訓練をしていない2名はそれに比べて約20%以上低い結果となった.次に,訓練と認識率の関連に着目し,訓練をしたことのない被験者6名に5日間連続で動作認識実験を行ったところ,3名で経過日数の増加による認識率の上昇を認め,残り3名ではほぼ横ばいの変化であった.以上より,訓練による制御への“慣れ”が高い認識率を得るには重要だが,“慣れ”を修得する時間は個人差が顕著であることがわかった.

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  • 加藤 雄斗, 鈴木 健嗣
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 147
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    全世界に前腕切断者は300万人いるとされ、その多くは日常生活動作に制限があるなどが生活の質を低下させている。人が筋肉を動かす際に発する電位信号を,電極を利用して計測し手先を開閉させる筋電義手は、その機能性や重量、操作性の観点から十分とは言えないのが現状である。従来の筋電義手では電極に乾式の金属を使用しているため、柔らかい皮膚に常に密着させておくことが難しいこと、さらに信号を取得するための電極を設置する適切な位置が不明である点が課題となっている。そこで本研究では、対人親和性を考慮した上で、導電性を有する布を電極として使用し、それを多数配置することで柔軟に皮膚形状に対応するとともに,多数の電極から最適位置を選択する機能を追加した電極を提案する。さらに、これを筋電義手用のソケットに一体化させることで、筋電義手の装着と同時に精度の良い計測を可能とする電極を簡便に装着することができる。本稿では、導電性の布を用いたバンド状のアレイ電極を製作し,これを用いて前腕の把持動作の検出が可能であるか検証した。実験結果より、バンドの設置位置によらず、把持動作を行った時点でいずれかの電極において信号のピーク点を計測可能であることから、動作検出が可能であることがわかった。これにより導電性布によるアレイ電極が義手の制御に応用できる可能性が示唆された。

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  • 鈴木 真, 河村 剛光, 青木 和浩
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 148
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    ディスプレイ技術の進歩により、壁や天井、床など身の回りのどこにでも、好きなように映像を表示可能な環境が整いつつある。こうしたディスプレイ技術は公共の場所や商業施設などでガイダンスや広告などが目的で利用されているのが現状だが、将来的にはより多くの施設や一般家庭内にも普及すると予想できる。そこで本研究では、このような映像表示技術、特に壁面ディスプレイが一般に普及した時に、医療福祉分野においては健康づくりのための運動支援プログラムの提供が有効ではないかと考えた。プレイヤー身体の動作を検出しフィードバックすることで、楽しみながら運動できるようにする考えは従来からあり、ウェアラブルデバイスやスマートフォン、安価なヘッドマウントディスプレイの普及などにより様々な試みがなされているが、身体と同じサイズ、位置関係で表示できる壁面ディスプレイは、これらとはまた違ったユーザエクスペリエンスを提供することができる。具体的には壁面ディスプレイに表示された仮想のオブジェクトと、プレイヤーが直にインタラクションできるものを目指している。本報では、プレイヤー身体動作の検出にKinectを用い、超短焦点プロジェクタで構築した壁面ディスプレイと組み合わせた実験的プログラムによる、四肢の筋電図と加速度の計測結果を報告する。

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  • 杉原 新, 戸田 英樹, 松本 竹史
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 149
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究では,理学療法士が行う足首の背屈ストレッチング施術の技術を理学的に分析することで自動化・機械化の為の基礎実験を行う事を目的とする.介護現場で必須ともいえる足首の拘縮予防ストレッチング施術の機械化は,足首の拘縮状態を生み出し寝たきりを抑制するためには必須なものであるが,装置のコンパクト化・軽量化・単純化を含め,体重近くの力を足首に加える必要性から現在まで思うように進んで居ない.理学療法士の足首への施術は、患者の足裏を押し込む際に患者の足を下に押さえつけるのではなく,足が背屈運動と同時に上方向に浮くような押し込みを行う.本研究では,この特別な施術を,足裏への押し込みの回転軸,くるぶし,股関節,母指球の位置関係を表した幾何モデルを用いて,PCを利用した簡単な数値解析を行った.この解析の結果から,足裏への押し込みがなされたとき,足首の背屈と同時にくるぶしの位置が引き上げられ,足全体が股関節を軸に持ち上がる仕組みと条件を計算することが出来る事がわかった.加えて,PCによる数値解析の結果を受け,ステンレス鋼とDCモータを用いて実機を制作し,背屈時に足裏およびアキレス腱にどのような力が掛かるかの計測を行った.本研究の結果は,足首関節へ大きな力を加える必要がある装置を作成する際に基礎設計を行う上で有用になるだろう.

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  • 久利 彩子, 竹内 直子, 鈴木 順一, 吉田 正樹
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 150
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    立位で床に接地しない足趾は浮き趾と呼ばれている。この浮き趾は、問題視されている。筆者らは、足趾の動きの制限が無いにもかかわらず、両足立位で接地しない足趾を、仮性浮き趾(pseudo-floating toe:PFT)と定義した。PFTが不安定な立位時に使われているか、確認が必要である。本研究の目的は、PFTが不安定な立位で使われているか、明らかにすることである。対象者は、女性17名(PFT無し12名、PFT有り5名)とした。対象者に、測定板上で、両手を腰にあてた右片脚立位を保持させた。右片脚立位中の右第5趾の荷重を、測定板に埋設したセンサーで測定した。右第5趾がPFTである対象者全員において、PFTは、片脚立位中に床を押していた。PFTは、不安定立位で使われていた。

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  • 竹内 直子, 久利 彩子, 吉田 正樹
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 151
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    立位安定性を評価するためには、安定状態と不安定状態との差異を客観的に表すことが必要である。本研究では、片脚立位において不安定状態を示した時点の直前と直後における足圧中心(center of pressure : COP)位置について比較調査した。本研究の目的は、片脚立位において安定状態と不安定状態との差異を表すために有用な客観的指標を明らかにすることである。対象者に両手を腰に当てた閉眼片脚立位を保持させ、重心動揺計で足圧中心のデータを取得した。手が腰から離れた時点を不安定時点(UP)と定めた。COP位置の左右方向座標それぞれについて、平均位置からの偏差の絶対値(adXi)を算出した。前後方向座標についても同様に行い、adYiを算出した。adXi、adYiそれぞれについて、UP前とUP後との違いを調べた。片脚立位において安定状態と不安定状態との差異を表す有用な指標は、前後方向のCOP位置偏差であった。

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  • 工藤 真由子, 佐川 貢一, 木立 るり子
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 152
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究では,健常若年者および健常高齢者の二重課題歩行時における重複歩距離の時間変化をモデル化し,そのステップ応答の挙動から,課題実施直後の重複歩距離の変化の様子を調査する。これまでの研究から,二重課題回答中の重複歩距離は,回答後に比べて有意に小さくなることが分かっている。重複歩距離の計測には爪先装着型慣性センサを使用し,モデルの構築にはARXモデル (Autoregressive exogenous model)を使用した。その際,入力には二重課題歩行時の時系列データを,出力には重複歩距離の時系列データを使用した。被験者は,健常若年者11名,健常高齢者は地域の健康増進プロジェクトに参加した約90名である。健常高齢者の歩行距離は50[m]であり,都道府県名などの想起問題を与えた。健常若年者の歩行距離は100[m]であり,想起問題より難しい課題を与えた。健常若年者と健常高齢者について導出したARXモデルのステップ応答を求めた結果,課題を与えた直後に重複歩距離は極小値に達し,その後わずかに長くなる応答が多かった。また,極小値が現れることなく,滑らかに減少する応答も数例確認された。課題を与えてから重複歩距離の極小値に至るまでの時間は,健常若年者(n=8)が2.81±1.00[s],健常高齢者(n=23)は2.46±1.04[s]であったが,有意差は確認されなかった。このことから,歩行中に考え事を始めると,約2.5[s]経過後に重複歩距離が極小値に到達するということが示唆された。

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  • 朝倉 響子, 曲谷 一成
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 153
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    我々は筋電義手使用者へ向けて物体を把持した時の力を使用者へフィードバックするシステムの開発を行っている。非侵襲で筋電義手を使用する場合、使用者は自身がどれくらいの力で物体を把持しているのかがわからない。だが日常生活のなかでは物体を把持するとき、それぞれの物体に合う適当な力で把持する必要がある。そのため把持した時の力を使用者へフィードバックし、筋電義手で物体を把持した時の力をフィードバックするシステムを開発した。このシステムはカフを使ってフィードバックし、カフの空気圧で腕を締め付ける事で把持した力を表現する。だがカフ内の空気圧を把持力に合わせて制御することができなかった。そのためリザーバタンクと負圧タンクを用意し、過度特性の改善を試みた。その結果、立ち上がり立下りがとてもよくなり、先行研究での問題点になった過度特性の改善に繋がった。だが、タンクからの空気漏れが激しく、電磁弁の開閉もマイコンによる制御でカフ内の空気圧を安定させようとするため激しい。よってシステムの改善を図ったので報告する。

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  • 河村 太樹, 東江 由起夫, 大塚 博, 大西 謙吾
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 154
    公開日: 2017/09/13
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    片麻痺患者のリハビリテーションで使用される短下肢装具の一つにシューホーン型短下肢装具がある.この装具は,装着時の適合性を高めるため,陽性モデルと呼ばれる患肢の形状を基に作られた石膏モデルに修正を行う.修正は義肢装具士の手作業で行われているため,作製には時間がかかり,装具の適合性も義肢装具士の経験に左右される.本研究では義肢装具士の技量によらず短期間で適合性の高い装具の製作が可能な短下肢装具設計支援システムの開発を目的とした.本年度は,短下肢装具の製作工程の定量化を行うため,修正前後の陽性モデルを3Dスキャナーにて測定し,得た点群データを比較評価した.矢状面への投影した下腿のつま先,第一中足骨頭,内果,下腿上端の各点をスプライン補間する曲線を下腿モデルの中央に描き,この曲線に垂直な断面上の点群データを求める.さらにこの点群データを極座標形式に変換してスプライン近似した曲線群を用いて形状を評価した.断面積の差を算出することによって修正前後の修正量の評価が可能となった.また,陽性モデルに描かれた短下肢装具生成に用いるトリムラインの各断面上の位置を確認することが可能となった.今後はトリム位置の定量的評価を行い,装具形状生成手法の考案を行う予定である.

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  • 高野 裕介, 中川 桂一, 藤本 大地, 大井 まゆ, 月原 弘之, 小林 英津子, 出田 眞一郎, 溝渕 知司, 佐久間 一郎
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 156
    公開日: 2017/09/13
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    気道確保の手法の一つである気管挿管では、喉頭鏡を用いて声門を目視しながら気管挿管を行っているが、極度肥満や小顎症といった疾患や症候により声門の直視が難しい症例が存在する。近年ではビデオ喉頭鏡なども用いられているが、口腔内に出血が見られる場合に、レンズに血液が付着することで視野が塞がれてしまうことから視覚に頼らない気管挿管デバイスが必要である。本デバイスでは、風量センサを用いることで、呼吸時の気道内の空気の流れから気管の方向を推定して、気管挿管を行えるデバイスを目指している。本発表では、デバイスの試作を行い、モデルを用いた気管の方向の推定について評価検討したので報告する。

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  • 吉元 俊輔, 桑谷 達之, 黒田 嘉宏, 大城 理
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 157
    公開日: 2017/09/13
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    呼吸量や酸素摂取量などの呼吸機能に関する指標の連続的な計測は,疾病の予測や運動能力の評価に有用である.近年では,呼吸活動への影響が小さい計測手法として呼吸による胸部の運動に着目した呼吸計測手法が提案されているが,計測の安定性や外乱への耐性に課題があった.本研究では,胸部の運動を電磁誘導により検出する手法を提案し,機械的な外乱の影響が少ない呼吸機能計測を実現する.具体的には,胸部腹背側に装着したコイル間で電磁誘導を生じさせ,誘導起電力の大きさを回帰分析することで呼吸量を推定する.さらに,呼吸量の時系列信号を解析することにより,呼吸回数や酸素摂取量などの呼吸機能指標の算出を可能にする.提案システムの計測性能を評価するため,提案システムと較正されたスパイロメータを用いて呼吸量を同時に記録した.実験では,計測感度を最大化する磁場信号の周波数を選択し,800 kHzの磁場信号により呼吸信号を検出するシステムを構築した.被験者実験の結果,提案システムによる推定誤差は最大呼吸量の15 %であることが示された.さらに,提案システムと較正された酸素濃度計を用いて酸素摂取量の推定に必要なパラメータを決定することで呼吸量から酸素摂取量を推定可能であることが確認された.

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  • 北岡 裕子, 玄山 宗到, 平田 陽彦, 木島 貴志, 田淵 寛人, 星野 朋子
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 158
    公開日: 2017/09/13
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    【背景】呼吸周期中は、呼吸筋の活動によって胸腔内圧が変動し、それに伴い、気流量、肺容積、肺胞内圧、そして呼吸インピーダンスが変動する。また、心拍によって心臓周囲の気道が圧迫され、インピーダンス値に影響を与える。したがって、呼吸インピーダンスを詳細に解析するためには、胸腔内圧の変動と心拍変動を同時に知る必要がある。【方法】健常ボランティア8名に対し、異なる呼吸モード(陰圧呼気と陽圧呼気)で、モストグラフ(チェスト社)と指尖容積脈波を同時記録し、気流量、R5、X5と容積脈波の時系列データを得た。【結果】R5とX5のスパイク状の変動が心拍に概ね一致していることが全例で確認された。MostGraphの計測時間間隔が0.25秒であるため、直接的な心拍のふぃつたリングは不可能だったが、吸気呼気ごとのデータをそれぞれの持続時間についてアフィン変換し、呼吸周期平均化時系列データを算出したところ、心拍の影響を概ね除去することができた。陰圧呼気モードの際は、呼気中に容積脈波の波高が増加し、X5が低下した。反対に、陽圧呼気モードの際は、容積脈波の波高が減少し、X5が増加した。陰圧呼気モードに限り、X5の呼吸周期変動から呼吸コンプライアンスを推算できた。さらに、R5の気流量依存性と肺気量位依存性、呼気時X5の気流量依存性と気流量補正値を組み合わせることで、閉塞性換気障害の細分類が可能であることを、阪大病院の過去症例の解析で確かめた。

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  • 湯浅 佑亮, 高橋 佳奈子, 鈴木 健嗣
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 159
    公開日: 2017/09/13
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    本研究では, 喘息患者を対象とした経過観察のために呼吸を計測する胸部装着型デバイスを提案する. 適切な経過観察や診断には症状が現れている時間の呼吸の情報が有用である. 喘息の症状は発作性であり, 症状が在宅時などの日常生活環境で現れることは多いため, 正確に医師に重症度を示すことは困難である. 従来, 在宅時の計測機器として用いられているピークフローメーターによる記録は断続的で, 発作時に計測している保証はないため, 連続した計測が望まれる. そこで提案デバイスは日常生活中の呼吸を連続的, 経時的に計測する. 呼気相を中心に現れる喘息症状の同定を目的として呼吸相ごとの計測を基本とすることが提案デバイスの最大の特徴であり, 本稿ではこの実現可能性を中心に示す. 提案デバイスは柔軟素材で成形されており, 呼吸音と胸郭運動を計測する. 呼吸音は喘鳴を始めとした呼吸情報の取得可能性を含むが, 非実験環境下において呼吸相を弁別することが困難であると考えられるため, 胸郭運動を同時利用する. 柔軟素材で成形されているため, センサ自体が呼吸によって変形し, 胸郭運動の計測が可能となる. 評価実験では提案デバイスの特性評価及び実用可能性を検証する. 結果から, 装着部位や流量による信号の変化が確認でき, 呼吸相が正しく弁別できる区間が見られた. これより, 提案デバイスによって呼吸性の信号が取得でき, さらに呼吸相が弁別できる可能性が示唆される.

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  • 高澤 美菜, 中村 嘉彦, 三上 剛, 米澤 一也
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 160
    公開日: 2017/09/13
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    本研究では,睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)診断のために頭部MRIからの舌領域自動抽出を行う手法を提案する.この手法では,頭部MRIから舌周辺をトリミングした画像を用いて5つの特徴量を算出し,SVM (Support Vector Machine)を用いて識別境界を構築する.識別を行いたい頭部MRIの特徴量と構築した識別境界を用いて舌領域かその他の領域かという識別を行う.その結果,すべての特徴量で5枚の頭部MRIを識別した精度の平均は約55.7%であり,もっとも精度が高い精度は約74.08%であった.今後,精度を向上させるために,特徴量を組み合わせて識別を行い,また,他の有効な特徴量を探していく.

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  • 川尻 智樹, 手塚 太郎
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 161
    公開日: 2017/09/13
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    本研究ではConvolutional Neural NetworkやResidual Networkのような深層学習の中のディープニューラルネットワークを用いて,癌化する可能性がある,もしくはその可能性はない肺腫瘍の分類を行う。特にResidual Networkの層数を減らした際の効果を調べることに注目する。CT画像に写る肺腫瘍を,Convolutional Neural NetworkやResidual Networkを基に,異なった層数やパラメータを持った構造のニューラルネットワークモデルで学習することで得られた結果を比較評価した。

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  • ダグダンプレブ スミヤクハンド, 光鎬 孫, 重人 阿部, 岳巳 松井
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 162
    公開日: 2017/09/13
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    2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を機に,世界中の空港では赤外線サーモグラフィによる発熱チェックシステムが導入された.しかし,感染の疑いのある渡航者も解熱剤服用時には検出が困難であり,サーモグラフィの有用性を疑問視する報告までも散見される.これらの検疫における課題を克服するために,本研究では,現在空港検疫で使用されている赤外線・CMOSカメラを用いて,非接触でバイタルサインである呼吸数・心拍数・体温を測定し,画像処理により感染症をスクリーニングするシステムの開発を提案する.その有用性を検証するため,2015年高坂クリニックのインフルエンザ患者16名と対象群の22名の健常者に対してスクリーニングを行った.本システムの精度は,感度87.5%,特異度91.7%であった.

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  • 北岡 裕子
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 163
    公開日: 2017/09/13
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    現在臨床使用されている人工肺には、心臓手術の際に使用される人工心肺と重症呼吸不全の際に用いられる膜型人工肺があるが、どちらも体外型で、移植肺と同じように胸郭内に埋め込む人工肺は全く開発されていない。その理由は、肺胞の構造が微細かつ複雑に過ぎるためと考えられる。演者は第55回本総会で肺胞系における気流血流ガス拡散シミュレーションを発表し、ヒトの酸素需要を賄うのに「テニスコート1面分」の表面積は不要であること、肺胞系の微細構造は弾性復元力を獲得するために必要であることを明らかにした。生体の弾力線維よりも強力な弾性をもつ人工材料を用いれば、実際の肺胞のサイズの20倍程度であっても、安静時の酸素需要を賄うガス交換を達成できる。また、20倍大の人工肺胞であれば、現在体外型人工肺で用いられている中空糸のサイズで肺胞壁内の血流が維持できる。3Dプリンターを用いて作成した人工肺を患者の胸郭に埋め込む方法として、患者の気管支、肺動静脈と人工肺の気管支、肺動静脈を接合させる。そうすると、患者の心拍動により肺循環が成立する。また、人工肺の表面を、患者の胸壁胸膜と密着させると、患者の呼吸運動に追随して人工肺が膨張収縮し、接合した気管支を通して空気が出入りする。つまり、外部からの動力なしで、換気と肺循環が成立する。永続的な埋め込み型人工肺の開発は、医工学研究者が挑戦すべき重要課題と考えられる。

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  • 八木 雅和, 谷口 達典, 山田 憲嗣
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 164
    公開日: 2017/09/13
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    医療・ヘルスケア機器イノベーションを実現する人材を育成するために、東北大学、東京大学、大阪大学が連携し、スタンフォード大学と提携して、2015年にジャパン・バイオデザインが設立された。そして、既に著しい成果を挙げているスタンフォード バイオデザイン プログラムをもとに4大学で開発し、実践集中型人材育成プログラム ジャパン・バイオデザイン フェローシッププログラムを2015年から共同で日本において実施している。本プログラムは、10ヶ月間で医療現場の問題・ニーズを探索・評価・定義し、解決策を創出して、最終的な事業化を目指すものである。昨年7月に第1期生が修了し、現在、第2期生がプロジェクトを推進中である。本講演では、まず、ジャパン・バイオデザインとは何なのか?これまでどのような活動を行ってきたのか、について報告する。そして、今後どのように展開するのかについて情報共有し議論する。また、このような中で、大阪大学での具体的な活動・成果、そして、将来展望について情報共有・議論する。

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  • 原 陽介, 中川 敦寛, 香取 幸夫, 出江 紳一, 永富 良一, 瀧 宏文, 川村 文彦
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 165
    公開日: 2017/09/13
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     ジャパン・バイオデザインプログラムはスタンフォード大学で開発された医療機器イノベーションを牽引する人材を育てる教育プログラムの日本版である。バイオデザインは医療現場の観察から始まり、よく特徴付けられたニーズからコンセプトや事業化を練り上げていくアプローチに特徴があり、米国のフェロー経験者からは30を超える数多くのスタートアップが誕生し、多くの製品が患者に届けられた実績を持っている。 一方で日本ではプログラムが開始されてまだ2年ということもあり、アメリカの制度に基づいたノウハウを日本にどう適合するのか、また日本の医療機器開発のエコシステムの中でどのように活用できるのかまだ未知の点が多く、今後の議論を要する。 私は現在その第2期(2016~17年)東北フェローとして活動を行っているが、本プログラムは医療機器開発に関係する体系化された知識を得られるだけでなく、実践的なプロジェクトベースの活動により短期間で実際に事業化に資するニーズ・コンセプトを作成することができると考えている。本演題では実際のフェローとしての活動内容と進捗状況を紹介し、それを元にプログラムの現状と展望を論じていく。

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  • 中川 敦寛, 瀧 宏文, 永富 良一, 出江 紳一, 冨永 悌二
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 166
    公開日: 2017/09/13
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    最近、ニーズに基づいた医療機器開発、の重要性が強調されているが、わが国の事情を鑑みると、ニーズを踏まえたうえでシーズとフィットさせることが望ましいと思われる。多業種が協働してニーズを探索し、技術開発から事業モデル構築までを行う、ニーズとシーズとフィットさせる場(東北大学病院ベッドサイドソリューションプログラム:ASU)、事業化に資するニーズの見極めの方法、コンセプト創出と事業計画作成を行うための方法(バイオデザイン)の両者を両輪とした取り組みを概説する。とくにエンジニア、医療従事者ともに、双方に任せきりにするのではなく、自身も理解しておくべきポイントあることを強調したい。

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  • 前田 祐二郎, 小野 稔
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 167
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    2015年に発足したジャパン・バイオデザインも第2期フェローシップの修了が近づいている。東京大学ジャパン・バイオデザインのこれまでの成果をアップデートする。加えて、2016年にアジア・パシフィックのバイオデザインが中心となって創設したBME-IDEA APAC (Biomedical Engineering Innovation, Design and Entrepreneurship Alliance Asia-Pacific)の活動を中心とした、ジャパン・バイオデザインのアクティビティの中でも特に国際連携に関して発表する。

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  • 岡本 英治, 有村 響子, 三田村 好矩
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 168
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    チタンメッシュは現存する唯一の金属製細胞足場材料で,骨組織のみならず結合組織との親和性が高く,すでにEvaHeartに使用されており,我々は体内―体外間人体通信システムの体内側電極としての応用を研究している.チタンメッシュを人工心臓の部品として使用する場合,一面が塞がれた状態で使用する.そこで,一面が塞がれたチタンメッシュの組織誘導特性を調べたので報告する.方法:用いたチタンメッシュは,線径50μm,平均空隙の大きさ200um,空隙率87%で直径5mm,厚み1.5mmのチタンメッシュで,一面を塞いだこのチタンメッシュをラット皮下に埋込み,4週目と12週目に取り出し,顕微鏡下に観察した.結果:一面が塞がれたチタンメッシュは,最初に結合組織は侵入するが毛細血管が周辺部にしか存在せず,時間の経過とともに結合組織が薄くなる.拡散方程式により酸素拡散距離を計算すると毛細血管を中心に半径約500μmとなった.チタンメッシュを電極として証することを想定し,4MHzで7mAの通信電流を12週間,ラット皮下に埋込んだ一面を塞いだチタンメッシュに印加したが毛細血管分布に変わりはなかった.結論;チタンメッシュの一面を塞ぎ使用する場合,チタンメッシュの厚みに配慮が必要であるが,チタンメッシュは胸腔内に設置する人工心臓や電子機器への応用が期待できる材料である.

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  • 井上 雄介, 川瀬 由季乃, 田代 彩夏, 斎藤 逸郎, 磯山 隆, 石井 耕平, 原 伸太郎, 圦本 晃海, 白石 泰之, 山田 昭博, ...
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 169
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    生体を補助する人工心臓においては材料と生体の境界における血栓形成が課題であり、重篤な脳血管障害を引き起こす可能性があるために解決すべき重要な問題となっている。我々は、人工材料に生体組織を誘導することで生体が本来持つ抗血栓性と人工材料が持つ機械的強度を併せ持つ新たな材料を開発することを起草し、この材料を用いて機械と生体との境界をシームレスに接続問題の解決を試みた。本発表では補助人工心臓用の脱血カニューレをハイブリッド材料で作製し、材料と心臓との癒合と、材料表面の血栓形成について観察を行った。生体組織を誘導する人工材料の足場にはポリエステルを用いた。足場を成形用の樹脂型に内挿した上で生体の皮下に植え込み、生体組織を誘導した。免疫拒絶反応を抑制することを目的として摘出後に1%SDS溶液を用いて脱細胞処理を施し、ハイブリッド材料を得た。ハイブリッド材料を用いて作製した脱血カニューレと、東京大学が開発した補助人工心臓とをヤギに適用し3ヶ月の長期慢性動物実験を4例実施した。心臓とハイブリッド材料は心臓ときれいに癒合し、材料表面にも血栓は形成しなかった。実験終了後の組織学評価では、ハイブリッド材料にレシピエント細胞が再生し、最表面には血管内皮細胞が観察され、作製した材料の有用性が示された。

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  • 関根 一光, 裵 志英, 浜田 賢一
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 170
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    Titanium(Ti) is widely used for various implantable metallic materials depending on their high biocompatibility. We also have studied Ti scaffold for applying inflow and outflow's cannula and blood contacting surroundings of VAD. To promote early new ingrowth of vascular intima, our concept is focusing on the structural improvement by the micro powder sintering, and the chemical modification of Ti surface by the hydrophilic urethane treatment. For evaluating those structural advantages to relate to the promotion of neointima, the porosity, the mechanical strengths and the tissue invasions, were studied. And also for checking the advantages with respect to the chemical modification of Ti, the hydrophilicity, the microscopic and the optical chemical analyses were conducted for our specimens. Those results indicated that by combining the advantages of the structural customizing and the chemical modifications, the composite Ti would be proposed as the promotive scaffold.

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  • 山根 隆志, 足立 和貴
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 171
    公開日: 2017/09/13
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    1.目的 小児用人工心臓では1~2L/min、血液浄化では0.05~0.2L/minといった低流量で血液ポンプが使用される。しかし現在の溶血評価指数は、ASTM-F1841で定義されるNIH=回路内遊離Hb総量*100L/試験時間/流量しかない。しかも流量は5±0.25L/minに限定されている。もしもこの定義のまま低流量域に拡張適用すると、血漿の色は変わらないにもかかわらず、NIH値は低流量域で双曲線状に高値を示すことになり、流量補正にならない。2.方法 体外循環に臨床使用されているメラ遠心ポンプを、200mmHg(2800rpm)一定で駆動し、回路に満たしたウシ血の流量を1~6L/minまで30分毎に変化させ、回路全体の血漿遊離Hb総量の変化率ΔTFHBを記録した。またポンプ血流量を4L/min一定に維持し、ポンプ回転数を1400~3000rpmまで30分毎に変化させて、ΔTFHBを記録した。3.結果 流量変化・一定回転数の試験では、遊離Hb変化率ΔTFHBは、全く流量に正の相関を示さなかった。むしろ回転数変化・一定流量の試験ではΔTFHBは回転数に正の相関を示した。4.結論 溶血指標は流量で除することなく、ΔTFHBそのままを使用するのが適切であること、あえて正規化するには流量よりも、ΔTFHBを回転数で除するほうが回転血液ポンプの製品比較に実用的であること、が分かった。

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  • Tetsuya Yano, Eiji Okamoto, Yoshinori Mitamura
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 172
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    近年,人工心臓血液ポンプの設計における数値流体解析(CFD)の利用が普及してきている.血液ポンプ開発におけるCFD利用のメリットとしては,設計点および非設計点におけるポンプ内部の流動を詳細に把握でき,水力特性を予測できること,また,溶血や血栓形成の予測に繋がるせん断応力や壁面せん断応力の分布等のデータが得られることが挙げられる.米国食品医薬品局(FDA)では,研究,開発段階においてCFDを利用した医療機器についての認証プロセスを加速するために,CFD利用に関するガイドラインの策定にあたっており,医療機器開発分野でのCFDの利用は今後ますます広がると予想される.本講では,現在開発中の右心補助用小型軸流血液ポンプの設計におけるCFD利用の実際について紹介する.

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  • 斎藤 逸郎
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 173
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    経皮的エネルギー伝送(TETS)は皮膚貫通部のない人工心臓の駆動エネルギーの供給方式として従来より研究がなされている。多くのTETSは体内外コイルとして平板コイルを皮膚を挿んで対峙させて用いるが、体表面で平坦な部分は少ないためコイルを小型化して埋め込んでいるおり、位置ずれによる効率低下やコイル端が湾曲部にかかることによる圧迫壊死などの問題が指摘されている。 これに対して我々は、コイルを湾曲部に沿って埋められるようにすべく、フレキシブル基板を用いてコイルを作製し柔軟性をもつコイルを開発した。これによりコイルの面積を大きくしても圧迫を防ぐことができ、位置ずれによる伝送効率低下を防ぐとととに、そもそも位置ずれを起こしにくい場所への埋込を実現した。さらにコイルの伝送に磁気共鳴を用いることで、伝送効率のさらなる向上を目指した。 現在まで動物実験によるエネルギー伝送に成功しており、システムの故障などにより断続的であるものの、一ヶ月間のエネルギー伝送を実現している。その間、DC-DC最大伝送効率は80%を記録しており、効率も高いシステムが実現できている。 現在、磁気共鳴現象を使用してさらなる効率向上を図るため、伝送周波数の自動調整システムを開発している。現在までにシミュレーションによりコイル間の結合率が10%程度まで低下してもAC-AC効率は80%近くを維持できることを確認している。 今後二つの技術を組み合わせて、柔軟性が高い高効率なTETSを開発する予定である。

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  • 三浦 英和
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 174
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    開発した遠心血液ポンプはインペラに埋設された永久磁石を直接駆動するダイレクトドライブ方式とした。回転部は中心に設置された新しい構造の転がり軸受により支持される。この転がり軸受は血栓生成を防ぐため、保持具の無い開放構造とした。水を差動流体として、ポンプとしての動作を確認できたが血液適合性について更なる検証が必要である。

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  • 迫田 大輔, 小阪 亮, 西田 正浩, 丸山 修
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 175
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    現在、埋込型補助人工心臓による10年生存も達成されており、人工心臓用連続流血液ポンプの耐久性及び血液適合性は素晴らしく向上したといえる。しかしポンプ内の現象を詳細に観測する手法は無く、それ故に内部の現象がブラックボックスのまま今日まで使用されてきた。我々はこれまでに、可視及び近赤外光を使用した血液ポンプ内の血液凝固イメージングや、ポンプ内血球細胞レベル流動イメージング法を開発し、血液ポンプ内の血液適合性をリアルタイムに評価できることになった。開発した人工心臓内の可視化と計測技術の紹介と、これらを活かした、これまでに無い未来の人工心臓開発の展望について議論したい。

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  • 三宅 太文, 小林 洋, 藤江 正克, 菅野 重樹
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 176
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    高齢者の心身機能低下の悪循環を防止するために,つまずきの予防が重要である.つまずきにくい歩容を学習させるためには,歩行訓練中につまずきにくい歩容で能動的に歩行するように促すことが必要である.能動的な歩行を促す手法として,歩行周期全体ではなく,短期的にアシストするように歩行訓練ロボットを制御する手法が有効である.一方で,短期的な介入でつまずきにくい歩容生成を可能とするためのロボットの介入手法は明らかになっていない.そこで,本研究の目的は,短期的にロボットが介入することでつまずきにくい歩容を生成できる介入タイミングの導出である.遊脚期の筋発揮が最大となるのが遊脚初期であることから,遊脚初期における介入が遊脚期全体のつま先高さに影響を持つという仮説を立てた.下肢関節の中で,特に下肢関節間の中心に存在する膝関節は,股関節と足関節の動きと連動し,遊脚期全体のつま先高さ増加への寄与が高い.従って,膝関節の屈曲動作に着目し,膝関節への屈曲トルクの印加タイミングの違いによるつま先高さ変化の違いを調べた.トルクの印加時間と大きさは一定とし,タイミングのみを変化させることで,つまずきを回避できるトルク印加タイミングを導出した.若年健常者5名で実験を行った結果,つま先離床する遊脚初期において歩行訓練ロボットが膝関節へ屈曲トルクを印加することで,つまずきが生じやすいフェーズにおけるつま先高さを増加できた.

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  • 菊池 宏太郎, 三浦 智, Parque Victor, 宮下 朋之
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 177
    公開日: 2017/09/13
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    前腕義手を懸垂する上腕カフにおいて,マジックテープやバックル式ベルト等が締止構造として用いられている.しかしながら操作が煩雑であり,ベルトの一部を引張って締め付けるため圧力分布が不均一になり,褥瘡となる可能性がある.この問題に対して,半径方向に全体的に締め付けることによる圧力分散の改善を考えた.巨視的なポアソン比が負の構造をリング状にすることにより,軸方向への圧縮という単純な動作によって,半径方向への全体的な締め付けが可能となり,圧力分散の改善が期待できる.本研究においては,上腕カフへの適用を想定し,最適化設計したポアソン比が負のコンプライアントメカニズムによる締止構造の,従来の締止構造に対する圧力分散の優位性を検証した.最適化の初期形状として,寒野氏が提案した二種類の構造を基に,リング構造に円筒軸方向に強制変位を加え,構造中央部の半径方向変位を最大化する寸法最適化を行った.リング構造の収縮実験を行い,レーザ変位計で構造中央部の半径方向変位を測定し,最適化結果と実験値の整合性を確認した.次に,円柱の上腕モデルに対して締め付けた時の内圧を圧力センサにより測定し,圧力分散について変動係数を用いて従来の締止方式と比較した.これにより,周方向の圧力分散に関して,コンプライアントメカニズムによる締止構造によって優位性が得られることを確認した.

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  • Gen Sakaeda, Takanobu Mastubara, Hiroyuki Ishii, Atsuo Takanishi
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 178
    公開日: 2017/09/13
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    歯磨きには, 口腔内を清潔に保ち, 口腔の2大疾患とされるう蝕や歯周病を予防する効果があり, 心臓病のリスク低減にもつながるとされ, 健康を維持する上で非常に重要な日常行為である.一方で,独力では歯磨きが行えず,介助を必要とする障害者や高齢者も多く存在する.介護現場では,介助職員への口腔清掃の技術指導が不十分で,清掃効果は個人差が大きいという課題が存在する.さらに,口腔清掃の際に,介助者および障害者や高齢者の身体への負担も大きい.そこで,本研究では,歯磨きを自動で行う自動歯磨きロボットの開発を目的としている.本ロボットは独自に製作した偏心カム機構により,ブラッシングを行うための直線反復運動を再現し,湾曲スライドガイド機構を用いて,歯列に対して水平方向へのブラッシングを可能にした.また,使用中に誤嚥を防ぐための安全システムの構築を行った.

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  • 佐々木 宏時, 小松崎 俊彦, 田村 昌也, 松本 勲, 野川 雅道, 内藤 尚, 田中 志信
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 179
    公開日: 2017/09/13
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    体腔鏡下手術は低侵襲な手術方法であり,術後のQOL向上を期待できる事から,開腹・開胸手術に代わり近年急速に普及しつつある.しかしこれらに用いられる手術器具は大部分が直管部で構成され,可動範囲の制限や器具同士の干渉,死角の発生などの問題がある.これらを解決するために種々の多関節マニピュレータが開発されてきたが,機構が複雑でシステム全体が大がかりで実用化には至っていない. そこで本研究では,簡易構造で任意の関節を自由に屈曲可能な体腔鏡手術支援用多関節マニピュレータの具現化を最終目標とし,関節部に外部磁場により剛性を変化させることができる「磁気粘弾性エラストマ:MRE」を利用したマニピュレータを新たに考案し,昨年はその構造概要や磁気回路シミュレーション結果,MREの特性等について報告した.今回は上記解析結果に基づいたプロトタイプのマニピュレータを作製し,磁場強度が関節部弾性率に及ぼす影響を検討した.その結果,吸引磁場と反発磁場で弾性率の違いが生じる事,及び磁場制御により関節の屈曲角度を調整可能であることを確認した.今後はMREの特性改善,具体的には磁場強度変化に対する硬度増加率のさらなる向上を図ると共に,磁界制御により弾性率が数十倍変化することが確認されているせん断方向の特性を利用可能な構造を考案・試作し,性能の確認等を行っていく予定である.

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  • 山本 詩子, 中尾 恵, 大関 真之, 松田 哲也
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 180
    公開日: 2017/09/13
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    外科手術において部分的に観測された臓器の変形情報から、臓器全体の変形を推定することで手術ナビゲーションなどに役立てることが期待されている。本研究では、内視鏡手術時に臓器を鉗子で把持し力を加えて変形させる状況を想定し、非線形有限要素法によりシミュレーションした3次元弾性体の変形推定を行った。弾性体の変形を計算する一般的な手法として有限要素法がよく用いられるが、有限要素法による変形計算では弾性率など弾性体の力学的特性や、作用点の位置と引っ張る力などの境界条件が既知である必要がある。また、ニューラルネットワークを用いた変形を学習するアプローチではそれらの情報が既知である必要は無いものの、学習に時間を要し、推定結果が学習の初期値に依存するという問題がある。それに対し、本研究ではカーネル法を利用した回帰を用いてデータに基づいた変位の推定を行った。カーネル法を利用することにより、学習時間を抑え初期値に寄らない変形推定が可能となった。実験データには初期形状が既知の条件下で、作用点に加える力の方向を変えて変形した3次元メッシュ構造の弾性体を非線形有限要素法で時間をかけて高精度に計算して取得したものを用いた。実際の弾性体変形では部分的な範囲でしか観測ができずまた変位をトラッキングできる部分は限られているため、非常に少ないメッシュ頂点のみを既知の観測点としてその変位を入力とし、全頂点の変位を推定した。

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  • 黒田 嘉宏, 田村 裕樹, 間下 以大, 浦西 友樹, 清川 清, 吉田 健志, 松田 公志, 大城 理, 竹村 治雄
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 181
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    光の特性により,光の生体組織への侵入深度は周波数に依存する.狭帯域画像は侵入深度に応じた様々なテクスチャ画像を提供し組織の追跡に有用である可能性があるが,従来は病変の可視化に用いられてきた.本研究では,狭帯域画像を用いて外科手術支援のためのロバストで密な臓器変形の追跡手法の開発を目的とした.祖から密に適用するために,異なる波長の狭帯域画像から構成される多層のテンプレートマッチング手法を提案した.光の波長と画像の空間周波数の関係を調査し,関係性を認めた.また,鳥の肝臓を用いた実験によりマッチングおよび追跡の正確性を評価した.その結果,単一の波長を用いた場合に比べて提案手法がより正確なマッチングを可能とし,また追跡における提案手法の特性について考察を行った.

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  • 小野木 真哉, 中楯 龍, 岩佐 勉, 荒田 純平, 小栗 晋, 池田 哲夫, 橋爪 誠
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 182
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection, ESD)は早期胃癌・大腸癌・食道癌に対する極めて有効かつ低侵襲な根治術である.これは,鉗子口より電気メスを出し,スコープ操作(上下左右の屈曲,捩り,押し・引き)によって腫瘍の全周切開と剥離を行う術式である.しかし,スコープ操作で切開・剥離を行うことから,安全かつ短時間で処置を完了するためには相当の訓練が必要であり,欧米では日常的な選択肢として普及していない.そこで,片手で直感的な操作を実現するため,市販の内視鏡を取り付けてマスター・スレイブ化するロボットを開発した.システムはダイヤル部を取り付けるホルダーと患者挿入部付近の軟性部を把持・押し引きする内視鏡把持部,上下左右と捩りが可能なジョイスティック型ハンドルをリニアガイド上に設置した4自由度の入力が可能なマスターコントローラで構成される.ホルダーと内視鏡の取り付けには,機種・メーカーによるダイヤル部の形状の差異を吸収するためのカプラーを2枚の各ダイヤルに取り付けることとした.開発したロボットの精度評価として,マスターを用いずにソフトウェア上で各自由度に対して正弦波の信号を入力し,電磁気式位置計測装置を用いて内視鏡先端部の動きを計測した.実験の結果,200msec程度の遅れで,上下,左右,捩り,押し引きの各操作が可能であることが確認された.

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  • 河合 俊和, 大津 湧, 西川 敦, 西澤 祐吏, 中村 達雄
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 183
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    内視鏡下手術の支援に向け,執刀医が両手に術具を持った状態で5軸鉗子ロボットの直感的な操作が可能となる,手指で操作するon-off手元インタフェースの研究を進めている.手術に集中しつつ鉗子ロボットを操作するには,より簡便なスイッチ操作が必要である.すなわち,1本の指で5軸を操作することが求められる.そこで,示指で軸の選択と操作を行うインタフェースを考えた.本研究では,示指で軸操作/選択する5軸on-off手元インタフェースを提案する.鉗子を保持した左手の示指1本で軸操作と軸選択の2個のデバイスを操作する方法を考案し,5種類の操作デバイスを候補にして,可変式・バネ固定式・クリップ固定式の各インタフェース装置形状を検討し,鉗子長軸に対する手前と奥のスイッチ取り付け面を検討した.専門医による予備実験を経て,クリップで装着する鉗子長軸の奥面に配置したタクタイルスイッチで軸選択し,2自由度アナログスティックまたは1自由度トグルスイッチで軸操作するインタフェースを設計試作した. これまでに開発した手元操作インタフェースを含めたタスク実験を行った.本試作機に対しては実験参加者の所要時間がトグルスイッチ式で198±21s,アナログスティック式で153±12sであることから,後者の有意差を確認した.また,これまでに開発したインタフェースと比較して所要時間に有意差はないこと,安心感,疲労感,操作性が優れていることを確認した.

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  • 田中 健也, 佐藤 杏莉, 吉田 侑冬, 中尾 光之, 片山 統裕
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 185
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    深い睡眠中に大脳で観察される徐波活動が記憶の定着に関与していることが多くの研究で示唆されている.最近ヒトにおいて,睡眠中の自発性徐波活動に同期したパルス的聴覚刺激を与えることにより,徐波活動が増強されるとともに睡眠前に学習した宣言的記憶の定着成績が向上するとの報告がなされている.しかし,刺激のタイミング依存性については明らかになっていない.本研究では, この性質を調べるために,徐波の任意の位相で聴覚刺激を与えることができる実験システムを開発した.本システムは,脳波の徐波活動をテンプレートマッチング法によりリアルタイム検出するマイコンと,聴覚刺激を発生するDSPで構成される.睡眠時のマウスから記録した大脳皮質脳波波形を試験信号として本システムに入力して評価実験を行った結果,設計どおりに機能することが確認された.今後は, 本システムを用いた動物実験により,徐波活動の聴覚刺激位相依存性について研究を進める予定である.

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  • 立神 早季子, 石光 俊介, 添田 喜治, 中川 誠司
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 186
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    能動騒音制御が騒音以外の聴感印象に与える影響を、騒音と騒音以外の音の両者が混在する状況で、心理計測および脳磁界計測で観察した。騒音を低減する前の音と、ANCによって騒音低減した音を、音楽毎に5種類作成し、刺激音とした。心理計測において、スペクトル重心が最も低い音楽の場合にANCよる悪影響が見られた。結果は、信号自体の中の反復特徴を表す20-50Hz範囲のMEGのACFの有効持続時間τeが、嗜好刺激の提示の間により長くなったことを示している。

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  • 矢野 肇, 滝口 哲也, 有木 康雄, 神谷 勝, 中川 誠司
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 187
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    近年,脳活動計測に基づく印象評価の方法が提案されており,脳活動指標を用いた印象評価は心理的バイアスの低減や,意識下の印象をも評価できる可能性が期待されている.本稿では,エアコン音の涼しさ,および好ましさといった聴感印象を対象として,エアコン音聴取時の脳活動からそれらの印象を予測するモデルを構築した.まず,刺激音としてエアコン音に時間変動を付与した刺激音を複数作成し,これらの刺激音聴取時の脳磁界を計測した.被験者には刺激音を2つずつ対にして呈示し,刺激対に対する涼しさ,および好ましさの比較判断も同時に記録した.次に,計測された脳磁界から時間-周波数特徴を抽出した後,非負値テンソル因子分解を用いて脳領域,時間ごとの周波数律動を表現する低次元の脳活動特徴量を抽出した.脳活動特徴量と刺激対に対する比較判断から,エアコン音の涼しさ,および好ましさの尺度値を予測するモデルを,回帰モデルおよびサポートベクターマシン(SVM)に基づくモデルを用いて,被験者ごとに構築した.構築したモデルの性能を一対比較判断予測の正解率によって評価した結果,SVMに基づくモデルのほうが回帰モデルよりも高い予測精度を示し,このモデルが予測モデルを用いた脳活動からの聴感印象の予測に有用であることが示された.

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  • 吉川 翔太, 田中 慶太, 内川 義則
    55Annual 巻 (2017) 3AM-Abstract 号 p. 188
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究は視覚刺激に伴う情動を定量的に評価するために聴性定常応答(ASSR)を用いて、その関連性について検討することを目的としている。情動刺激として国際的に多く使用されるInternational Affective Picture Systemを用いた。刺激画像は覚醒価に制限を設けず、情動価で評価された3分類のNegative(不快)、Neutral(中性)、Positive(快)画像をそれぞれ80枚使用した。ASSRの誘発には、チャープ音(100Hz-10kHz)、音圧55dB、刺激頻度40回/sを両耳呈示した。実験に際して、1ブロック3秒(Rest 1秒(コントロール画像と無音)、刺激時間2秒(刺激画像とチャープ音同時呈示))を240回繰り返し、刺激画像はランダムに呈示した。EEG計測は国際電極配置法に基づき、磁気シールドルーム内で行った(被験者7名)。各情動価間に対する40Hz成分を比較するために解析を行った。解析部位にはCzを使用した。信号処理ではASSRデータを各情動価の枚数(80枚)で加算平均を行い、デジタルBPF(38-42Hz)を介し、包絡線の抽出にヒルベルト変換を用い、刺激区間(2s)で平均した。その結果ASSR平均値は、中性より不快の方が有意に大きな振幅が得られた(n=7、p<0.05)。ASSR振幅が中性及び不快画像間において定量的評価の指標となる可能性を示唆する。

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