生体医工学
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55Annual 巻 , 3PM-Abstract 号
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抄録
  • 西條 芳文
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 192
    公開日: 2017/09/13
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    東北大学医工学研究科は日本初の医工学に特化した独立大学院として2008年に設置された。東北大学には大正年代のマグノスコープ(電子聴診器)に始まる医工連携の歴史があり、現在でも多くの医工学に関する研究が繰り広げられている。本セッションでは、厨川常元・医工学研究科長よりご挨拶を申し上げ、次いで初代研究科長の佐藤正明・東北大学学際科学フロンティア研究所・所長より設置経緯についてご紹介する。さらに、ジャパンバイオデザインに先駆けて医工学研究科で実施している国際的アントレプレナー育成のための教育プログラムについてご紹介する。これは、主に工学部卒業の医工学研究科の修士学生を大学病院に派遣し、臨床ニーズを探索、定量化し、医療機器による課題解決を図るアイディアを討議するものである。さらに、医工学研究科医療機器創生開発センターにて、医療機器アイディアを実現し、動物実験などに耐えうるレベルのプロトタイプを作製し、外国にてプロモーションを行うプログラムである。2015年はオランダのデルフト工科大学とエラスムスメディカルセンター、2016年は台湾の國立台湾大学、國立成功大学と共同で医療機器フォーラムを開催し、2017年には本家スタンフォード大学にてその成果を発表した。本セッションでは、今年の実習内容から心臓血管外科領域、耳鼻咽喉科領域、消化器内科領域のテーマについて発表する。

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  • 笠貫 宏
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 194
    公開日: 2017/09/13
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    レギュラトリーサイエンス(RS)の概念は、1987年、内山充氏によって提唱され、規制政策に科学的根拠を与える“行政科学”の側面以外に既存の基礎科学や応用科学とは異なる“評価科学”の側面を持つことが指摘された。我々は「医療RSを健康医療に関わる先進的科学技術と人・社会の調和・調整を図り、真の人類の利益・幸福をもたらすための評価・予測・意思決定科学。」と定義している。科学は不確実性を伴うため、科学的データの評価により、科学的合理性を判断し、さらに社会的妥当性を判断し、社会的合意を求めて決断(意思決定)する。換言すれば、多次元の分析が必要(multidisciplinarity)であり、自然科学と社会科学における多数の学問領域が協力する研究活動(学の融合、transdisciplinarity)であり、かつ既存の学問領域の境界領域に形成する新たな学問分野(学際、interdisciplinarity)である。その学問体系化とその実現に向けての評価法・解析法など方法論の確立は緒に着いたところである ここでは、医療機器の承認時におけるベネフィット・リスク評価について議論されるであろう。

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  • 池田 浩治
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 195
    公開日: 2017/09/13
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    レギュラトリーサイエンスという用語が使われるようになり数年経つが、全体像の認識が十分されていないため、レギュラトリーサイエンスの目的である人と社会への貢献がどのようになされているか理解が進まないことが多い。このことがレギュラトリーサイエンスの重要性の認識を低くしている要因の一つと考えられる。今回は医療機器開発におけるレギュラトリーサイエンスの重要性を共有し、レギュラトリーサイエンスの全体像の理解を深めたいと思う。

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  • Ryota Kitawaki, Mitsuo Umezu, Kiyotaka Iwasaki, Kyojiro Nambu, Hiroshi ...
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 196
    公開日: 2017/09/13
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    【目的】医療機器においてソフトウェアは広く使われるようになっている。一方、米国における医療機器リコールの原因の上位をソフトウェア設計が占めるなど、医療機器ソフトウェアには安全面に課題がある。本研究の目的は、医療機器ソフトウェアにおける安全対策を分析することである。

    【方法】日米欧3極の法規制・ガイダンスから、現状の医療機器ソフトウェアに対する安全対策を抽出し(A)、産業分野に依存しないソフトウェアの安全対策を「ソフトウェアエンジニアリング知識体系ガイド(SWEBOK)」・「ソフトウェア品質知識体系(SQuBOK)」から抽出した(B)。Bを基準にAを3点スコアリングで評価した。(Bにおける安全対策がAにおいて十分言及(3点)、ある程度言及(2点)、言及無し(1点))

    【結果】法規制・ガイダンス等から28件の安全対策を抽出した。また、SWEBOKから26項目、SQuBOKから16項目を安全対策として抽出した。スコアリングの結果は、対SWEBOKで1.4点、対SQuBOKで1.5点であった。

    【考察】スコアリングの結果は、リスクマネジメントやソフトウェアライフサイクルプロセスの面では比較的充実しているが、具体的セーフティ技法は不足しており、全体として医療機器ソフトウェアにおける安全対策に不足の面があることを示唆している。

    【結論】医療機器におけるソフトウェアの安全対策を他産業におけるそれと比較分析し、現状の課題を示した。

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  • Ryoji Otsu
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 197
    公開日: 2017/09/13
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    患者のベッドから転落は,WHOも最大のインシデントと報告している大きな課題である.転落を無くす努力は,各国で行われているが,減少していない.そこで,我々はベッド上の患者の行動をバイタルセンサ同様に常時測定し,様々な患者行動の中から転落に結びつく行動を三次元で検出する臨床研究を行った.患者行動を常時測定することで,転落の予兆検出することがでした.また,これまで看護師の感覚による患者の行動の変化を三次元で可視化することで,定量的にとらえることができるようになった.これらより,患者のベッドからの転落事故を未然に防げるようになるとともに,患者の行動変化をグラフなどで示せるため,看護におけるevidence-based medicineを実施するための1つのデータとなりうる可能性がある.

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  • 佐々木 啓一
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 198
    公開日: 2017/09/13
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    演者は歯科のなかでも最も医用材料・機器を頻用する補綴歯科・歯科インプラントを専門とし、以前から材料や医療技術に関わる研究に従事してきた。しかし自らが主体となって予算獲得し、材料・機器開発、承認申請に直接、関わるようになったのは、それほど古くはなく、平成22年度補正予算で経産省から出された課題解決型医療機器開発プログラムに申請・採択された時からである。以来、いくつかの開発プロジェクトを主導し、2つの製品は上市に至り、現在もある機器の医師主導型検証的治験を実施中である。これらの経験を通して、今、医療機器開発はPMDAとの協働作業であると強く感じている。企業との連携はもちろんのこと、公的予算がなければ、市場規模の小さな、また販売数が限られる医療機器開発には進まない。しかしそれ以上に、これまでにない原理・技術に基づく新規医療機器の承認に至るうえでのPMDAからの助言が重要となる。新規ということは、私どもが提示する技術の安全性・有効性の評価基準は未だないことを意味している。PMDAに新規技術を理解していただき、そのうえで開発側とPMDAが協働して、新たな合理的な評価方法ならびに評価基準を作り出していくことが必要であり、この点が医薬品ともっとも大きく異なるところである。今回の講演では、具体的事例を通して、上記について解説を加える。

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  • 田中 信行, 高原 順子, 粟津 茜, 春園 嘉英, 那須 博光, 田中 陽
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 199
    公開日: 2017/09/13
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    本研究では、組織工学分野における細胞組織の品質評価を目的として、培養細胞組織の非接触濡れ性評価システムの研究開発を実施している。本発表では、システムの概要および培養細胞組織への応用について紹介する。

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  • 馮 忠剛, 小沢田 正, 中村 孝夫, 佐藤 大介, 梅津 光生
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 200
    公開日: 2017/09/13
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    間葉系細胞を播種したコラーゲンゲルは自発的に収縮する。この現象により作成された細胞-コラーゲンゲルは生体組織のモデルとして創傷治癒過程の研究や再生組織の構築などに広く利用されている。本研究では細胞-コラーゲン相互作用の観点からこの組織モデルにおける組織力学の基本的なメカニズムを探る。その結果:細胞-コラーゲンゲルの能動的な収縮過程において、単一線維芽細胞の出す牽引力は収縮しているコラーゲンゲルの弾性率に対して二相性を表し、その最大牽引力におけるコラーゲンゲルの弾性率は生体軟組織の弾性率と一致する。また、細胞-コラーゲンゲルの受動的な耐荷重過程で呈した多様な非線形特性はコラーゲン原線維のネットワーク特性に起因する。

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  • 菊地 鉄太郎, 松浦 勝久, 清水 達也
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 201
    公開日: 2017/09/13
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    人工多能性幹細胞(iPS細胞)から心筋細胞への分化誘導法が確立しつつあることに伴い、iPS細胞由来心筋細胞を用いた医薬品候補物質の評価やin vitro病態モデル構築の実現可能性が高まっている。本研究では細胞シート積層化技術を用いてiPS細胞由来心筋細胞から心筋組織を構築することで、単体の細胞では難しい力学的な評価が可能な系の構築を行った。ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後、薬剤耐性遺伝子を利用して純化を行った。心筋細胞を温度応答性培養皿に播種し、心筋細胞シートを作成した。細胞シート積層化技術により、心筋細胞シートを別途作製したヒト真皮線維芽細胞シートへ積層化した。積層化した細胞シートを低温処理により回収し、穴をあけたフィルムへ穴を覆うように再接着させた。専用のチャンバーへ移し、フィルムへ圧力を掛けることで、穴を覆った部分の細胞シートをドーム状に膨らませ、心筋細胞の自立拍動に伴う圧力の変動を計測した。ドーム状心筋組織は0.1~1 mmHg程度のベース圧力を負荷することで膨らませることができた。加圧チャンバーを外気に対して開放した状態では心筋組織の収縮は目視で観察できたが、自立拍動による圧力変動は計測できなかった。一方、加圧チャンバーを密閉した状態では心筋組織の収縮はほとんどなかったが、自立拍動による圧力変動が計測できた。圧力変動はベース圧力により変化したが、心筋細胞シート1層では最大0.3 mmHgであった。

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  • 坂口 勝久, 戸部 友輔, 中園 一紀, 清水 達也, 梅津 光生
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 202
    公開日: 2017/09/13
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    単離された心筋細胞から拍動する立体的な心筋組織への構築は新たな再生医療や薬剤スクリーニングへの応用として注目されている。本研究では、温度に応答して細胞脱着可能な培養皿を用いて細胞をシート状に形成し、その細胞シートを積層化することによって心筋組織の構築・移植を試みている。現在、細胞シートは角膜、心臓、食道等の損傷に対する細胞治療として臨床応用まで到達している。細胞シート治療を更なる効果向上を目指すため、短時間で多層(5~15層)に積層し、移植後の血管新生を促進させる方法を考案した。具体的な手法として、極めて微量の生体接着剤(フィブリン)を塗布し、さらに力学的な負荷を与えて、積層時間を数分間に大幅加速する手法である。これにより、従来手法では細胞シートを積層するのに約1時間を要していたところを5分以内の積層が可能となった。積層時間の大幅な短縮により再生立体組織を移植可能となるため簡便かつ安定的に組織を提供でき、また細胞同士の接着が脆弱で積層できなかった細胞種(肝細胞、内皮細胞)が積層可能で今までに無かった細胞種の組み合わせによる新しい細胞シート治療が提供できる。本発表では、短時間に組織構築する手法、構築した心筋組織の移植結果を報告する。

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  • 田中 龍一郎, 坂口 勝久, 清水 達也, 梅津 信二郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 203
    公開日: 2017/09/13
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    細胞組織の構造を任意的に制御可能になることは、より生体組織に近い機能を持った人工的な細胞組織の作製が可能になるが、バイオ3Dプリンタはこれを実現可能な技術として期待されている。そこで本研究では、静電力によってインクを吐出するマイクロバイオ3Dプリンタの開発を行った。マイクロバイオ3Dプリンタは次の様な装置構成である。プリントの対象となる面はXYZステージに取り付けられ、シリンジは着弾面に対して垂直に設置される。シリンジの先端にノズルが装着され、プリントするインクはシリンジ内に充填される。高電圧電源装置からシリンジ内のインクに電圧が印加され、電荷を持ったインクがノズル先端から、アース接続されている着弾面に向かって引っ張られるように吐出される。XYZステージがPC制御によって動くことで、任意の形状にプリントすることが可能である。静電力によってインクを吐出するので、高粘性の液体を高精度に吐出することが可能である。バイオマテリアルは粘性の高い液体が多く、さらに、細胞組織の構造をより精密にコントロールするためには数十マイクロオーダーのプリント精度が求められるが、従来のプリント方式では吐出困難である。いっぽうで、本研究で開発したマイクロバイオ3Dプリンタは高精度にバイオマテリアルをプリントすることが可能である。マイクロ3Dプリンタを用いて高精度なバイオマテリアルゲルパターニング技術を開発したので、ここに報告する。

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  • 高橋 治子, 松永 行子
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 204
    公開日: 2017/09/13
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    ヒト培養細胞を用いた医薬品の有効性・安全性試験を可能とする新規評価系が求められており、この解決方法として近年注目されているのがorgan-on-a-chipとよばれるin vitro組織モデルである。その名のとおり、微小な臓器や組織がスライドグラスなどのチップ上に集積されたものを指し、マイクロ加工技術により、複雑で動的な生体の微小環境、構造および機能を再現する試みがなされている。我々のグループでは、マイクロニードル法によりコラーゲンゲル内に形成した微小血管デバイスを作製し、血管が関与する「疾患のみえる化」について研究を展開している。このような微小血管モデルは、血管内皮増殖因子(VEGF)を加えると血管新生挙動を示し、また、炎症物質に対して、血管のバリア機能を変化させるなど、生体で起こる血管の状態を再現することができる。生体外モデルの利点は、その疾患現象に関わる細胞や物理的・化学的因子を任意に配置・変化させ、生体の中でのブラックボックスを細胞レベルで可視化できる点である。本発表では、微小血管組織の構築とイメージング技術との組み合わせによる、血管透過性および血管新生評価系について紹介する。

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  • 楊 小鳳, 孫 光鎬, 石橋 孝一郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 205
    公開日: 2017/09/13
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    ドップラーレーダーを用いた呼吸・心拍数の非接触測定は、患者への負担が極めて低く、無意識、非拘束であることから、在宅健康モニタリングの分野で注目されている。本研究では、ドップラーレーダーから計測された1呼吸サイクル(約5秒)以内に呼吸・心拍数を算出するピーク検出アルゴリズムを提案する。まず、呼吸および心拍信号を分離するためにアナログバンドパスフィルタを設計した。分離された1呼吸サイクルから呼吸数を算出し、同時にその呼吸サイクルに含まれる心拍信号をピーク検出法により心拍数を算出した。レファレンスの心電図と呼吸バンド比較した結果、ドップラーレーダーから計測された心拍数(0.92)と呼吸数(0.99)ともに高い相関を示した。

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  • 渋井 豊仁, 相原 光希, 渡邊 英一, 市川 智英, 八名 和夫
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 206
    公開日: 2017/09/13
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    本稿では,ホルター心電計のデータを基に, ビッグデータ解析を見据えた心疾患リスク指標としてT波オルタナンス(TWA)とT波変動(TAV)を自動解析する手法を提案する.現在,日本において,年間約7万6千人の人が心臓突然死により死亡しており,年々増加傾向にある. このような状況にあって,心疾患リスクを評価することは重要であり, 多くの研究がある. さらに,ウェアラブル端末の普及に伴い,日常的に心拍データを取得し,クラウドに送信をし,自動でリスク評価をすることが可能となりつつある. しかし, ノイズや不整脈の処理が技師や医師による経験的に行われているため,評価が左右してしまうなどの問題点がある.そこで本稿は,351人の心電図を基に,効率的な自動アーチファクト処理を相関係数,RMSを用いて行った.その後,新たなリスク指標としてTWAP,TAVPを用いた. 心臓血管死を含む発症後の死亡,左室駆出率を比較する要因とし,比較及び検定を行った.その結果, 左室駆出率40%以上の患者と左室駆出率40%未満の患者において,TAVPに有意差(p < 0.05)が見られた.また, 心臓血管死を含む発症後の死亡の患者において,TAVP,TWAP共に有意傾向(p < 0.1)が見られた.本手法はリアルタイムで計測した心電図データをクラウド上でリスク評価することを可能とし,将来のユビキタスヘルスケア分野に役立つと考えられる.

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  • 吉田 久, 小仲 沙季, 足立 敏, 平野 喜久夫, 杉村 和重, 上島 一夫, 黒田 知宏, 吉田 正樹, 佐道 俊幸, 小林 浩
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 207
    公開日: 2017/09/13
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    近年、妊婦の高齢化などに伴い合併症妊娠が増加している。胎児の健康状態を把握するためには胎児心拍数を定常的にモニタする必要がある。筆者らはこれまでに妊婦腹壁上の生体電位から胎児心電位を計測し、自宅で簡便に胎児心拍数を測定するための方法を開発してきているが、母体腹壁上で観測される胎児心電位は非常に微弱であるため、胎児心電位を常に検出することは容易ではない。胎児心電位の検出率を向上させるためには、妊婦腹壁上に現れる胎児心電位分布に合わせて、電極位置を適正化することなどが考えられるが、妊婦腹壁上に現れる胎児心電位分布について詳細に検討した研究事例は筆者の知る限りない。本報告では、胎児心電位抽出の為の独立成分分析法の逆過程を辿ることにより、妊婦腹壁上における胎児心電位推定法を提案する。実際に妊婦腹壁上の生体電位から提案方法を用いて分布推定を実施した結果、母体腹壁上に現れる胎児心電R波の振幅は4μVから16μV程度であり、被験者毎にその分布は異なることが明らかになった。また、試作した西陣織 e-Textile腹帯を装着し、母体腹壁上の生体信号計測も実施した。電極部に2種類の異なる西陣織の布電極を使用し、保水性の違いによる評価を行うとともに、装着時の快適性も考慮した改良版e-Textile腹帯の装着試験も実施した。なお、本研究は総務省SCOPEの支援によるものである。

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  • Hiroyuki Mino
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 208
    公開日: 2017/09/13
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    The objective of this research was to investigate how the spike trains in response to sinusoidally rate-modulated electric stimuli would be characterized in an auditory nerve fiber model using computer simulations.

    In this study, in order to understand the properties of the spike trains in response to sinusoidally rate-modulated pulsatile stimuli, the post-stimulus time histogram of the spike trains was generated, and then the parameters of the intensity function in inhomogeneous Poisson process of von Mises type were estimated on the basis of the maximum likelihood method.

    The results of computer simulations suggest that the parameters estimated from the spike trains in response to rate-modulated pulsatile electric stimuli are agreed well with those observed in animal experiments.

    In conclusion, the rate-modulated pulsatile stimuli may be expected to play a key role in the better design of cochlear implant (CI) and further in restoring auditory functions for CI users.

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  • Junichi Hori, Shingo Otsuka
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 209
    公開日: 2017/09/13
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    Steady-state visual evoked potential (SSVEP) is widely used to design a brain-computer interface (BCI). If the user wants to enter the command at any time, it is necessary to extract user's attentional behavior for visual stimulus. In this study, we aimed to improve the performance of SSVEP-based BCI by classifying user's state into gazing or resting. The canonical correlation analysis was used to extract the features of SSVEP. Three-class discrimination of non-gaze and two kinds of gaze was performed by two-stage Fisher linear discriminators. Feature space was evaluated by within-class variance between-class variance ratio. Experiments were conducted using a wireless EEG system by changing the frequency combination of visual stimuli. The results showed that the separation performance was improved by setting the stimulation frequency and its harmonics to avoid 10 Hz which is the center of the alpha band, resulting in high accuracy of 88.3%.

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  • 百瀬 桂子
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 210
    公開日: 2017/09/13
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    視対象の動きを捉える運動視は,自身の身体運動の検出にも関わり,重要な機能である.この運動視知覚に関する研究の歴史は長く,心理物理学測定によるアプローチに加えて,視覚電気生理や脳機能イメージングによる神経メカニズムの解明なども多く試みられている.著者らは,知覚される動きの方向(運動方向)を,簡易かつ他覚的に検出できる方法として,Ales & Norcia (2009) が提案したSteady-state型視覚誘発電位(SSVEP)波形の位相に着目する方法について,運動錯視を対象に検証をしてきた(Momose, Yakovleva, & Norcia, 2014, Momose & Arimitsu, 2016).本報告では,コントラスト反転を伴って移動する視覚刺激で知覚される反転運動(reverse-phi)と運動残効のSSVEPの位相特性の結果をまとめ,他覚的検出法としてのSSVEPの有用性について検討する.

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  • 清野 健, 野村 泰伸, 山本 義春, 早野 順一郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 211
    公開日: 2017/09/13
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    現在,Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository(ALLSTAR)研究において,日本国内で計測された30万例超の24時間心拍変動データが分析されている.本演題では,ALLSTAR研究のデータを用い,ビッグデータのような大標本化によりはじめて見えてくる心拍変動の集団特性を紹介する.そのような集団特性の一例は,心拍変動指標の分布が正規分布とワイブル分布の混合分布で良く近似できるということである.我々は,尤度最大化を基準とした修正EMアルゴリズムを用い,正規-ワイブル混合分布を観測データの分布にあてはめる方法を開発した.心拍変動の特性を定量化するために,時間領域指標,周波数領域指標,非線形指標など,多くのものが提案されているが,ほとんどの指標に対して,正規-ワイブル混合分布は良い近似を与えた.このような分布に関する知見は,各指標の基準範囲の推定などへの応用が期待できる.講演では,異なる心拍変動指標の間にみられる非線形な関係性などについても紹介する.

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  • 吉田 豊, 湯田 恵美, 古川 由己, 早野 順一郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 212
    公開日: 2017/09/13
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    心拍数(HR)変動の分析は、HR変動の減少が有害な臨床事象のリスク増加であることを実証している。これは、遅い変動の増加が有害事象の早期警告信号であることを示す臨界減速の概念と明らかに矛盾する。本稿では、自己回帰(AR)モデル分析を用いて、HR変動のランダム成分を定量化する方法を提案する。正弦波変動とランダムノイズからなるシミュレーションデータを解析すると、AR残差の全分散に対する相対的な分散は、ランダム成分の相対量を反映することが明らかになった。この方法を0歳から100歳までの3604人の被験者の実際のHR時系列データに適用すると、HR変動のランダム成分の割合は人生の始めと終わりに増加することがわかった。我々は、洞調律を有する心不全患者において、ランダム成分の割合が著しく増加していることも見出した。

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  • 中村 亨
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 213
    公開日: 2017/09/13
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    活動量(加速度)計を搭載したウェアラブルデバイスが日常生活に浸透してきており、今後も大きな普及が見込まれる。それに伴い、膨大な日常生活の活動ログの蓄積が現実となってきている。身体活動量は、ヘルスケア分野との親和性が高いため、活動‘ビッグデータ’の利活用が模索されている。実際、Allostatic State Mapping by Ambulatory ECG Repository研究(ALLSTAR)では、24時間ホルター心電図計に搭載された体幹加速度データの数万件規模のデータベースが構築され、その解析を進めている。一方、活動量計測の簡便さと連続性などから、計測対象者の数の意味での‘ビッグ’(強横断)に加え、個人の活動ログを長期連続記録するという時間軸の意味での‘ビッグ’(強縦断)データの取得も可能になってきた。本発表では、強縦断、強横断身体活動データの健康・医療分野での利活用、特に疾患発症・病態遷移のリスク検知に着目した研究成果について報告する。

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  • 伊吹 友佑, 竹尾 淳, 加藤 昇平, 矢口 隆明, 岩田 彰, 早野 順一郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 214
    公開日: 2017/09/13
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    現在日本では高齢化率の増加に伴い,介護を必要とする高齢者(要介護認定者)の数も増加している.多くの高齢者は自宅での介護を希望しており、介護施設ではなく在宅医療介護の需要の今後ますます増加すると思われる。在宅医療介護には急変への対応が遅れるという課題がある.その対策として患者を無拘束でモニタリングして得られるバイタルサイン指標から急変やその予兆を検出し,医療・介護担当者が何時,何処にいても知ることのできるシステム開発が望まれる。我々は、多点感圧センサシートによる高齢者の呼吸状態モニタリングに関する研究を行っているが、今回、ローレンツプロットを呼吸信号の解析に適用し、呼吸状態をモニタリングする手法について検討した。

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  • 下川 丈明, 石井 稔浩, 高橋 陽一郎, 菅原 悟, 佐藤 雅昭, 山下 宙人
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 215
    公開日: 2017/09/13
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    拡散光トモグラフィ(DOT)とは近赤外分光計測(NIRS)を発展させた手法であり、身体拘束の少ない状況下・簡便なシステムで、脳機能イメージングをはじめとした生体内部の機能的イメージングを3次元的かつ高精度に行うことができる[1]。ただし、このような拡散光トモグラフィを行うためには高密度なNIRS計測が必要となり、実験に負担がかかるという問題があった。このような問題を解決するため、近年我々は多方向光源と多方向検出器を用いた新しい光計測システムの開発を進めている。光源と検出器の多方向化による取得情報の増加によって、従来と同等密度のNIRS計測であっても拡散光トモグラフィが可能となるという結果を、現在までに模擬生体を用いた実験により得ている[2]。[1] A. T. Eggebrecht et al., “Mapping distributed brain function and networks with diffuse optical tomography,” Nat. Photonics 8, 448-454 (2014).[2] T. Shimokawa et al., “Diffuse optical tomography using multi-directional sources and detectors,” Biomed. Opt. Express 7, 2623-2640 (2016).

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  • 山田 亨, 梅山 伸二, 鴨志田 敦史
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 216
    公開日: 2017/09/13
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    多チャンネルfNIRS計測においてチャンネル間で計測雑音の大きさが非常に異なることは、1) 計測雑音の大きなチャンネルでのS/N比を低下させ、2)PCA,ICAなど多チャンネルデータ全体を用いる解析に著しい悪影響を及ぼし、さらに、3)チャンネル間統計比較を原理的に不可能にする、などの諸問題の原因となっている。我々は今までに、こうした計測雑音の生成機序をモデル化し、プローブ装着不良を効率よく検出する手法を開発した (Umeyama, 2013)。今回は、各チャンネルの雑音分散を制御し、チャンネル間でこれを平準化するための体系的手法について報告する。 fNIRSの計測雑音は主に検出雑音に由来し、その見かけの大きさは当該チャンネルの観測光量に依存して決まる。我々は照射光路及び検出光路にそれぞれ光減衰器を設けることによって観測光量を制御できる多チャンネルfNIRS装置を試作した。毛髪ファントムを用いて、チャンネル毎に計測雑音が異なる状況を人為的作り出し、光減衰器の体系的制御を行う前後でのチャンネル間の計測雑音の差異を比較した。その結果、光減衰器の制御によってチャンネル間の計測雑音は平準化できることが原理的に検証された。さらなる高度化によって将来的にプローブ装着時の毛髪掻き分け作業を不要とするfNIRSシステムの実現を目指す。

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  • 佐藤 豊, 村山 優太, 胡 莉珍, 門脇 傑, 宇川 義一, 酒谷 薫
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 217
    公開日: 2017/09/13
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    時間分解近赤外分光法(Time Resolved Near Infrared Spectroscopy: TNIRS)は、ピコ秒の近赤外光と光拡散方程式を用いて安静時ヘモグロビン(Hb)濃度を計測できる利点がある。TNIRSは、脳機能研究、くも膜下出血後の血管攣縮の検出、Hb濃度の全頭マッピング等に応用されてきたが、大脳皮質に解剖学的異常を有していない症例が大部分である。本研究では、画像診断にて大脳皮質に脳梗塞を有する症例のHb濃度及び光路長を計測し、大脳皮質の解剖学的異常がNIRS計測に与える影響について検討した。対象は福島県立医大神経内科に入院した脳梗塞患者5名(男性2名、女性3名、年齢59.8 ±27.0歳)である。測定プローブを国際脳波10-20法に基づき様々な位置に設置して計測したHb濃度と光路長(760, 800, 830nm)を病側と正常側で比較した。正常側の脱酸素化Hb濃度は病側よりも有意に高値を示したが(p=5.7×10-5)、酸素飽和度は病側よりも有意に低値であった(p=2.5×10-4)。酸素化Hb濃度及び総Hb濃度は有意差を認めなかった。一方、光路長(760, 800, 830nm)は全ての波長で正常側が有意に低値を示した。本研究結果は、NIRSは大脳皮質に解剖学的異常がある場合は大脳皮質のHb濃度を正確に計測していない可能性を示唆している。

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  • 小室 有輝, 佐藤 豊, 姜 琳琳, 唐 尊一, 胡 莉珍, 酒谷 薫
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 218
    公開日: 2017/09/13
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    近赤外分光法には、連続光と変形Beer-Lambert則を用いる近赤外分光法(Continuous wave near infrared spectroscopy, CW-NIRS)と極短パルス光と光拡散方程式を用いる時間分解式近赤外分光法(Time resolved NIRS; TR-NIRS)がある。両者とも神経活動時の脳血流変化を計測するが、同一条件で計測された脳機能を比較した報告は極めて少ない。本研究では、CW-NIRSとTR-NIRSを用いて前頭前野の暗算課題時のヘモグロビン(Hb)濃度変化(≒神経活動)を計測し、左右優位性をLaterality Index(LI)を用いて評価し、両者の相関関係を検討した。対象は正常成人(21.9±1.2歳の男性14名、女性1名)で、CW-NIRS(HOT-1000、日立製)とTR-NIRS(TRS-20、浜松ホトニクス製)を使用して暗算課題(4桁の引き算)遂行中の総Hb濃度(tHb)変化を計測し、LIを算出した。CW-NIRSとTR-NIRSによるLIの間には統計学的に有意な正相関(r=0.76, p<0.01)が認められた。以上の結果は、CW-NIRSとTR-NIRSは測定原理が異なっても前頭前野の神経活動の左右優位性を同様に評価できる可能性が示唆された。

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  • 和宇慶 真, 小濱 剛, 吉田 久
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 219
    公開日: 2017/09/13
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    脳活動を非侵襲的に計測する手法としてfNIRSが広く利用されている。これは脳神経活動により発生する酸素消費を、近赤外光を用いて血中ヘモグロビン濃度の変化として観測するものである。しかしながら、fNIRS観測信号には生理学的要因によるものや、身体の動きに伴う全身性の血流量変化が含まれる。本研究ではこれらの問題に対し、Yamadaらの分離モデルを用いて観測信号を機能成分と全身成分に分離した。また、先行研究では機能成分の係数をグローバルな値として-0.6に固定していたが、計測部位によって有意な差があったため、全ての係数を数値計算により動的に決定した。このモデルを用いて観測信号を分離した結果、被験者の動きによる大きな血流量変化が全身成分として分離され、機能成分のベースラインが安定した。また、機能成分の係数を固定した場合に比べ、全ての観測信号において相互情報量が小さくなった。この結果は、計測領域やタスクによって最適な係数が異なる可能性があるため、検討の余地があると考えられる。

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  • 小林 葵, 岡本 亮太, 小濱 剛, 吉田 久
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 220
    公開日: 2017/09/13
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    高齢化が進む現代社会において,認知機能を含む脳機能の低下による身体の虚弱や認知症患者の増加が社会問題になっており,脳機能の簡便な検査手法の確立が望まれている.fMRIなどの脳機能計測装置は導入や維持にコストがかかり,地方の小規模施設では設置が難しいために,小型かつ安価な近赤外分光分析法(fNIRS)による脳機能計測装置が注目を集めている.しかしながら,fNIRSは,fMRIに比べて空間解像度が低く,また,体動によって生じるわずかな皮膚血流の変動がアーチファクトになる等の原理上の欠点があるために,実験手法や解析手法に制限がある.そこで本研究では,fNIRS計測による認知機能の定量的評価手法の確立を目的として,体動によるアーチファクトを軽減するために事象関連デザイン実験を用い,Posnerタスクにより注意の移動を課した際のfNIRS信号の解析を行った.その結果,注意を向けた領域以外の場所に提示されたターゲットに対する割り込み処理を与えた際に,側頭頭頂接合部付近において賦活が生じることが明らかとなり,fMRIを用いた研究報告と一致することが示された.一方,キュー指標が多重の意味を持つような条件においては,割り込みの効果が低減されることが示唆された.これらのことから,事象関連デザイン実験におけるfNIRS計測信号から,注意のような高次脳機能が評価可能であることが示された.

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  • 黄 銘, 吉村 拓巳, 田村 俊世, 硯川 潤, 高嶋 淳, 緒方 徹, 井上 剛伸
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 221
    公開日: 2017/09/13
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    脊髄損傷者(以下、脊損者)は自律神経に損傷があるため、一般的な発汗や血行などの体温調節手段はうまく機能せず、体温調節障害を持つ場合が多い。こうした原因で脊損者に対して適切な体温モニタリングは必要である。口内温、鼓膜温の計測は連続的な体温モニタリングには不向きであるので、本研究は、双熱流法に基づいたウェアラブル深部体温計(以下深部体温計)を開発し脊損者の体温モニタリングへの応用を念頭に置き、実証実験により精度検証を行った。本実験では、三人の対象者(脊損者、男子、年齢:38、22、29歳)を募集し、以下の実験プロトコルを実施した。プロトコルは深部体温計を装着した後の安静状態(5分)、車いすマラソンのトレーニング(以下、WCM、15分)、休憩(15分)、WCM(15分)、休憩(30分)、WCM(15分)、休憩(15分)によって構成された。深部体温計はトレーニングに影響しないように背部に貼り付けた。対照とした医用深部体温計(コアテンンプCM-210、テルモ)は背部及び前額部に装着し、比較した。その結果、深部体温計はコアテンプの計測値によく追従し、平均相関は0.94、平均誤差は0.1°C以下となった。深部体温計は専用のAndroid アプリによって体温の変化をリアルタイムに反映できるので、脊損者の体温モニタリングには適切な手段になると考える。

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  • 大矢 哲也, 野本 洋平, 小山 裕徳, 川澄 正史
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 222
    公開日: 2017/09/13
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    重度の筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)患者は,次第に運動神経が麻痺し運動機能を著しく制限される.ALS患者が他者とコミュニケーションを図るためには残存機能を活かしたコミュニケーションツールが必要である.コミュニケーションツールには視線入力や接点スイッチを利用した走査入力方式などがある.視線入力はユーザの視線を捉え文字入力を行う.従来の透明文字盤を用いたコミュニケーションと比較し介護者の負担を軽減することが可能である.また,接点スイッチを用いた走査入力方式は,対象の文字が選択されている時にスイッチを操作することで文字が確定される.近年では,視線入力と接点スイッチ操作を組み合わせた文字入力の検討が行われている.スイッチの操作に割り当てられるものとして,文字の決定や削除機能などがある.そこで,スイッチを組み合わせる場合,どのような機能を割り当てるか検討する必要がある.そこで本研究では視線入力とスイッチ操作による文字入力の検討を行った.

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  • 高橋 佳奈子, 松田 壮一郎, 鈴木 健嗣
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 223
    公開日: 2017/09/13
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    本研究では,低拘束な衣服型心電位計測デバイスを用いた社会的行動に伴う小児の心拍変動解析を目的とする.自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders, ASD)を有する小児(以下,ASD児)の多くは自身の情動表出に困難を示すため,療育者によるASD児の情動状態認知に困難が生じている.人の情動状態は,客観的に観察可能な行動や表情などの身体的反応のほかに自律神経活動の変化によっても捉えられ,自律神経活動は心拍変動解析によって推定可能である.そこで,ASD児に対して生活環境において適応可能な心電位計測デバイスとして,袖に伸縮性素材を有する小児用衣服を用いた着用型デバイスを提案する.開発したデバイスは,袖部の伸縮性素材によって布電極を皮膚に密着させ,双極誘導により心電位信号を取得する.生活環境において計測した心電位信号は体動アーチファクトを多く含むため,心拍変動解析は解析区間を15秒とした時系列解析によって行い,R波検出に基づく信頼区間判定により信頼度の向上を図る.本稿ではまず,成人を対象とした性能評価実験を通して,副交感神経活動指標の一つであるRMSSDの導出精度を示す.さらに,療育活動中のASD児を対象とした実証実験を通し,開発したデバイスをASD児が容易に着用可能であり,療育活動中における自律神経活動の状態変化を推定可能であることを示す.

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  • 眞田 慎, 岡田 志麻
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 224
    公開日: 2017/09/13
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    現在の日本において,聴覚・言語障害者が360,000人であるのに対して手話通訳士は3,406人となっており,聴覚障害者に比べて手話通訳士の人数が少なくなっている.この状況は,聴覚障害者と健聴者間の円滑なコミュニケーションを困難にし,聴覚障害者の積極的な社会参加を妨げる要因の一つとなっている.この問題を解決する手段として,本研究ではKinect v2を用いた手話通訳士を介さないリアルタイム手話通訳システムの開発を行った.また,手話動作の認識において動作者の表情が重要なパラメータとなることから,本システムでは腕の動きと手の形,表情の3つの状態を認識し,それぞれArms Motions,Hand States,Facial Expressionsパラメータとして動作データの取得を行う.さらに,取得した各パラメータデータの組み合わせから手話動作を特定し,通訳結果をモニター上にテキストで表示する.本研究では,各パラメータ認識手法の検証実験と通訳システムの実証実験を行った.検証実験の結果において,Arms Motionsで100%,Hand Statesで86%,Facial Expressionsで88%の認識精度が得られた.また,実証実験の結果において,3つのパラメータ認識手法を組み合わせた手話通訳システムを用いた手話単語の通訳に成功した.以上により,本システムの手話通訳における有効性が示された.

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  • ヌルシャイラ アズマン, 鈴木 航太, 鈴木 達也, 小野 弓絵, 國枝 福朗, 枝中 祐樹, 中田 誠大, 渡邊 和子
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 225
    公開日: 2017/09/13
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    生活自立の地域高齢者9名に対しダンスビデオゲーム(DVG)の継続的な訓練を行い、DVGの認知機能への影響を検討した。被験者は、週2回、1回20分のDVG訓練を2015年に約3か月間行い,6か月間の休止期間を挟んだのち、2016年にふたたび6週間行った。期間中、6週間ごとに被験者の認知機能(MoCA-Jスコア)とDVGにおける運動の時間的正確性(パフォーマンス)、ならびにDVGをプレイしている時の前頭葉の活動を評価した。被験者のうち、特に軽度認知障害(MCI)をもつグループの認知機能とDVGのパフォーマンスに訓練による改善効果が見られた。また、3か月のDVG訓練でいったん改善したMoCA-Jスコアは休止期間の直後でも同程度に保たれていた。前頭葉の活動については、DVGの訓練の初めでは増大し、DVGの訓練を継続するにつれて減少した。以上の結果は、DVGがMCIの高齢者の認知機能を維持するための介入として有効であり、DVGをプレイしている時の前頭葉の活動からDVG訓練における適切な難易度の設定が可能となることを示している。

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  • 吉澤 誠, 杉田 典大, 阿部 誠, 田中 明, 本間 経康, 山家 智之
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 226
    公開日: 2017/09/13
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     ICTを用いた遠隔医療は,日本の被災地ばかりでなく世界中の過疎地のような十分でない医療環境を改善するために非常に有用である.しかし,特別で高価なセンサや装置を必要とする遠隔医療は普通の家庭には普及していない.このような状況において,ごく普通のビデオカメラで撮影した身体表面の映像の緑色成分から得られる映像脈波は,遠隔的な健康管理ばかりでなく,他の広い用途にまで応用できるため,非常に画期的である.東北大学は,文部科学省革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)において,「日常的な人間ドック」をテーマとして参画し,その中で上述のような非接触センサ「魔法の鏡」を開発している.「魔法の鏡」は通常のビデオカメラによって身体の複数個所の映像脈波を計測し,血行状態を動画像として現画像に重畳するとともに,心拍数情報ばかりでなく,それぞれの間の脈波伝搬時間差をリアルタイムに得ることができる.脈波伝搬時間差は,呼吸停止や筋肉負荷時の連続的な血圧変動に応じて変化する.このため,ビデオカメラさえあれば,例えば入浴時や大便時における急激な血圧変化を非接触・遠隔的にモニタでき,溺死や脳卒中の予防のために使用できる可能性がある.本発表では,心理計測やスマホへの展開など,IoTによる健康管理の一つとしての広範な応用例について議論する.

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  • 岩崎 淳也, 酒井 正夫
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 227
    公開日: 2017/09/13
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    ビッグデータ技術や人工知能(AI)の発展により,医療機関が保有する膨大な患者の医療データを,適切な診断・治療や新治療法発明などに役立てることが期待されている.しかし,各医療機関がバラバラに保有している医療データを集約して活用するシステムを,従来のような中央集約型の集中管理方式で構築することは容易ではない.その蓄積データ量は膨大であり,保全には高いセキュリティ水準が要求される.また,個々のデータのセキュリティ設定はその種類や権利関係により様々であるため複雑なアクセス制御が求められる.このような大規模で複雑なシステムを中央集約型の集中管理方式で構築する場合,その導入と運用のコストと手間は莫大なものとなると予想される.一方,自律分散方式で構築する場合は,スモールスタートと段階的スケールアウトにより導入のコストと手間の抑制が期待できる.また,権限を個々のノードに委任することで,ノード毎に複雑なアクセス制御も容易である.従来,自律分散型システムは,システム全体の信頼性維持が困難と考えられていたが,ブロックチェーン技術が発明され,それを採用したBitcoinなどの仮想通貨の成功により,自律分散型システムの信頼性が再評価され,仮想通貨以外の多様な分野への応用が期待されている.本発表では,医療機関間のデータ連携を実現するブロックチェーン技術を活用した自律分散型システムの実現方法について議論する.

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  • 本間 経康, 張 暁勇, 鈴木 真太郎, 魚住 洋佑, 市地 慶, 柳垣 聡, 高根 侑美, 川住 祐介, 石橋 忠司, 吉澤 誠
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 228
    公開日: 2017/09/13
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    本発表では、深層学習(deep learning)などの機械学習を用いて、専門医レベルに近い革新的な高性能診断支援を実現するような、新時代の計算機支援診断(computer-aided diagnosis, CAD)システムの開発について紹介する。従来のCAD開発の壁の一つに、診断論理設計の困難さが挙げられるが、深層学習ではこの問題を回避可能な、すなわち診断に有用な画像特徴量抽出やそれらをどのように診断に用いるかなどを明示的に与えることなく、大量のデータを与えるだけで適切な診断論理を学習的に自動獲得する新しいCADシステムの実現が可能になると期待されている。また、そのような機械学習に必須な医療ビッグデータが、これまで集権的組織の大規模資源が必要だった問題を解決するための、より柔軟な繋がりを持つ自律分散型の新しいシステムの枠組みを提案し、その技術的課題について考察する。

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  • 松田 直毅, 小田原 あおい, 鈴木 郁郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 229
    公開日: 2017/09/13
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    神経伝達物質の放出異常が原因の神経疾患は多く、ヒト由来神経細胞を用いた神経疾患メカニズムの解明や創薬への応用が期待されている.しかしながら,培養細胞から放出される極少量の神経伝達物質をリアルタイムに計測できる技術はほとんど無い.そこで本研究では、代表的な神経伝達物質であるドーパミン(DA)に着目し、細胞外で非侵襲かつリアルタイムにドーパミン放出を計測できるカーボンナノチューブ(CNT)平面微小電極アレイ(MEA)チップの開発を目的とした。電解めっき法を用いて、50μm2の微小電極が64個並んだCNT-MEAチップを作製した.作製条件に依存したCNT-MEAチップのDA検出感度測定を電気化学計測法にて行い、その後、ヒトiPSC由来ドーパミン(DA)ニューロンを培養し、DA放出のリアルタイム検出を試みた.開発した微小電極を用いて電気化学計測した結果、酸化電位0.25Vで酸化ピーク電流が観察され、10nM以下の微量のドーパミンの濃度相関が検出された。チップ上にヒトiPSC由来DAニューロンを1か月以上培養し、クロノアンペロメトリー法で自発活動を計測したところ、DA放出をリアルタムに検出することに成功した。CNT-MEA基板の開発により、ヒトiPS細胞由来ニューロンのドーパミン放出をリアルタイムに検出できたことから、ヒトiPS細胞由来ニューロンの神経伝達物質の放出を指標とした神経疾患の解明研究や薬効評価への応用が期待できる.

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  • 松田 清香, 渡邊 寛輝, 田中 莉沙子, 山下 諒祐, 森 晃, 和多田 雅哉, 平田 孝道, 小林 千尋
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 230
    公開日: 2017/09/13
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    プラズマは,材料加工分野などの様々な分野で応用されている。医療分野でも,血液凝固や滅菌・殺菌といった応用が進められている。近年,医療分野において大気圧低温プラズマを用いた生体への影響の研究が行われている。大気圧低温プラズマを用いた実験で血管新生を伴う熱傷治癒促進作用などの複数の作用が確認された。血管が集中している生体臓器である脳に生じる脳障害は,抜本的な治療法がないことが多い。数ある脳障害の中で,血管を介して供給される血液が途絶えることにより起きる低酸素脳症(HIE: Hypoxic Ischemic Encephalopathy)がある。HIEとは,脳血流の低下により脳の一部が壊死し脳機能に障害が起こることをいう。プラズマ吸入による実験では,SpO2の増加作用及び脳内の血流動態の変化が確認された。脳内の血流動態の変化及びプラズマの血管新生促進作用により脳内の虚血状態が改善され脳機能の保持・回復が期待できる。プラズマ吸入によるHIEの機能回復の検討を行うためにHIEモデルラットの作製が行われた。今後プラズマによる治療効果の検討を行う上で処置による脳内の血管系の変化の理解・解明が必要となる。そこで,本研究ではHIE発症機序解明を目的とした造影CTにおける造影剤導入方法の検討を行った。造影剤導入方法の検討を行った結果,生存下で脳血管の造影が可能であると示唆される結果が得られた。本稿では造影CTにおける,造影剤導入方法について検討する。

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  • 小田原 あおい, 飯田 拓也, 松田 直毅, 鈴木 郁郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 231
    公開日: 2017/09/13
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    感覚ニューロンは化学物質,温度などの感覚情報(痛み)を感受するニューロンである。ヒトiPS細胞由来感覚神経細胞の開発により、近年、化学物質のヒト毒性評価の標本としての応用が期待されている。本研究では、ヒトiPS細胞由来感覚ニューロンの電気生理学的な痛み応答評価系の構築を目指し、平面微小電極アレイ(MEA)による感覚ニューロンの化学物質に対する電気活動変化の検出および解析法の構築を目的とした。ヒトiPS細胞由来感覚ニューロンを平面微小電極アレイ上に播種し、培養6週目に、カプサイシン、メントール、AIT、温度変化などの刺激に対する電気活動を計測した。各種化学物質に対する応答が観察され、電気活動パターンは大きく4つに分類されること、および化学物質の種類に依存して活動電位の発生時間等が異なることがわかった。また、各ニューロンは全ての刺激物質に反応するわけではなく、特定の化学物質に反応することがわかり、3化合物に対して27種類の反応パターンに分類された。また、温度上昇に対して発火頻度が上昇し、43℃にピークの発火頻度に達した。更に、電気生理学的な応答を裏付けするNav1.7, TRPV1, TRPA1などの各種受容体の発現も確認された。平面微小電極アレイを用いたヒトiPS細胞由来感覚ニューロンの電気活動計測は、電気生理学的応答を高時間分解能で調べることでき、痛み応答の評価系として有用であることが示唆された。

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  • 岡本 湧, 佐々木 陽良, 小田原 あおい, 鈴木 郁郎
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 232
    公開日: 2017/09/13
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    生体組織環境を再現するための三次元培養法である細胞のカプセル化培養技術はオイルによって界面を作製する手法やアルギン酸とCa2+の反応を使用した手法がほとんどである。これらの手法では、オイルが細胞にダメージを与えてしまうことやアルギン酸内で長期培養できる細胞種が限られていることが課題であった。本研究では、オイルフリーでコラーゲン内に細胞を内包するCell ball技術を開発した。コラーゲンカプセル内にラットおよびヒトiPS細胞由来ニューロンを内包し、神経ネットワークを構築したNeuron ballの作製に成功し、シナプス機能および電気生理学的な機能を確認した。次に、脳腫瘍モデルに着目し、ヒトグリオーマ細胞を内包したところ、2次元培養では見られない腫瘍形成がカプセル内で観察された。更に、アストロサイトを共培養したところ、グリオーマ細胞単独の場合に比べて、有意にがん増殖能が高まることがわかった。これらの結果は、がん微小環境モデルをゲルボール内に構成的に構築できる可能性を示唆している。フローサイトメトリー解析法と組み合わせることで、ハイスループット薬効試験法などへの応用が期待できる。

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  • 坪子 侑佑, 白石 泰之, 山家 智之
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 233
    公開日: 2017/09/13
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    小児先天性心疾患に用いられる延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製肺動脈弁付導管が広く用いられるようになっている。ePTFE弁は、扇状のePTFE製弁葉と、同じくePTFE製導管から構成され、弁基部の導管壁面には生体のValsalva洞の構造を模したbulging sinusが設けられている。本研究では、ePTFE弁のさらなる性能向上を目的として右心の低圧環境下での弁葉挙動を詳細に観察・評価可能な新たな弁葉挙動試験系の構築を行った。リニアアクチュエータ、弁葉固定導管部、リザーバからなる加振試験系を構築し、弁葉形状評価のため0.1 mm厚のePTFEシートより形状の異なる2種の弁葉モデルを作製した。アクチュエータの加振は変位量、速度、加速度を任意に調整することができ、リザーバ底面に設置した高速度ビデオカメラによって加振時の弁葉挙動を取得した。構築した加振試験系を用いて2種の弁葉モデルでの挙動観察が行えた。弁尖部形状は閉鎖時の弁尖接合の状態を改善させる有効なパラメータである可能性が示唆され、本研究の展開によりePTFE弁の形状最適化が行いうる。

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  • 西田 正浩, 後藤 大輝, 迫田 大輔, 小阪 亮, 丸山 修, 百武 徹, 山本 好宏, 桑名 克之, 山根 隆志
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 234
    公開日: 2017/09/13
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    ピボット軸受をもつ回転式血液ポンプの開発において3Dプリンタ成形を効果的に用いることを目的として,3Dプリンタ成形で作製したモデルと金型射出成形で作製したモデル(製品)の表面粗さ、圧力流量特性および溶血特性を比較した。3Dプリンタモデルについては、弾性率の異なる成形材料についても比較した。その結果、表面粗さは、3Dプリンタモデルではおよそ0.4μm、製品ではおよそ0.02μmと異なるにもかかわらず、圧力流量特性はほぼ一致した.また、流量4 L/min、揚程100、200、300 mmHgの条件で、3Dプリンタモデルの溶血量は製品の1.4、3、19倍であったが、弾性率の大きい3Dプリンタモデルの溶血量は製品の1.5、2.2、3.9倍であり、3Dプリンタモデルとしたときの溶血量の増加は緩和された。溶血量の増加は、3Dプリンタモデルにより作製したインペラが、高回転による変形のために軸受部においてケーシングに接近したことが原因であり、弾性率を大きくすることで、その接近を多少回避したためであると考えられた。したがって、ピボット軸受をもつ回転式血液ポンプの開発において、3Dプリンタは初期駆動や圧力流量特性を確認するために作製するための有力なツールであり、溶血特性を確認するためには材料による微小隙間を伴う軸受部の変形に注意しなければならないが、材料を固くすることでその変化を緩和し、製品に近づけた評価ができることがわかった。

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  • 山田 昭博, 岡島 淳之介, 井上 雄介, 平 恭紀, 池田 純平, 弓場 充, 白石 泰之, 坪子 佑侑, 荒川 友哉, 山家 智之
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 235
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    先天性心疾患治療でのFontan循環の血行動態改善を目的として心外導管外部からサポートする超小型小児用肺循環補助デバイスの開発を進めている。アクチュエータは、直径100μmの形状記憶合金で、70℃の通電加熱によって最大7%収縮する。体内埋め込み時のアクチュエータ駆動によるデバイスの発熱が課題であり、デバイスの安定した運用のために熱応答の解明と排熱機構の開発が不可欠である。そこで、本研究では、デバイスの伝熱特性の解明により、ヒートパイプを応用したアクチュエータでの発熱を大血管へと排熱する冷却システムを開発するため、デバイス伝熱応答の検討および排熱機構の基本設計を行った。 現在開発中のプロタイプ補助装置を、病態モデル動物実験により生体内での駆動試験を行い、デバイス駆動時の発熱の影響を計測した。得られた結果から、デバイスに必要な冷却温度差について検討し、ヒートパイプ排熱機構の基本設計を行った。 生体内でのデバイス駆動試験の結果より、最大発熱部で45℃までの熱上昇がみられた一方で、人工血管と接する部位で温度上昇は抑えられた。デバイス本体での最大温度と体温の温度差から、ヒートパイプ設計のための封入気体の選定と封入圧を検討した。 小児用肺循環補助デバイスのためのヒートパイプ冷却装置の基礎検討を行った。今後は、血管排熱部、デバイス吸熱部を有する冷却機構を試作し、実機試験系で性能評価を進める。

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  • 弓場 充, 中潟 寛, 白石 泰之, 井上 雄介, 山田 昭博, 坪子 侑佑, 山家 智之
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 236
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は高血圧患者の腎神経表面温度を抑制可能な埋込型腎神経冷却デバイスの改良である。我々は埋込型腎神経冷却デバイスのコンセプトを実現するためにペルチェ素子とヒートパイプを組み合わせた設計を行った。埋込型デバイスはa) 3.94mmの厚さと3.2mm×3.2mmの冷却面を有するペルチェ素子、b) 6mmの直径と250mmの長さを有するヒートパイプとを機械的及び熱的にペルチェ素子の放熱面に接合して作製した。また、我々はペルチェ素子の供給電力における温度変化をサーモカメラで観測し作製した冷却デバイスの冷却性能を調べた。結果として、冷却面温度はヒートパイプを用いることで制御可能な温度を示すことが示唆された。

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  • 菊地 大輔, 小石 まどか, 李 建平, 丸山 修, 武居 昌宏
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 237
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    血栓の有無は循環器系の疾患はもちろん、循環器デバイスの設計・開発においても重要な判断基準となる。血栓の存在により誘電率が変化することが知られているが、本研究では電気計測により血栓検出の可能性を探る。実験ではヘパリン処理された循環流路内にクエン酸ナトリウムにより抗凝固されたブタ血液を循環させながら,凝固薬として2%塩化カルシウム液を投与し血栓形成を促進した。同時に電気インピーダンスを計測し、Cole-Cole解析により各時間の緩和周波数を求めた。また、電気計測に伴い、ACT(Activated Clotting Time)、Fbg(Fibrinogen量)、血栓量を計測した。結果として緩和周波数は初め増加し、ピークを迎えた後減少した。同時に計測していたACTの値は時間とともに減少し、緩和周波数がピークを迎えた時点で基準値を下回った。このことから、血栓形成過程において緩和周波数のピークの前後で異なる物理現象が生じていると考えられる。またFbg、血栓量から流動中での血栓形成が電気インピーダンスに与える影響を明らかにした。血栓形成過程において緩和周波数と血栓量の関係を明らかにすることで、血栓検出として応用できる可能性を示すことができた。

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  • 信太 宗也, 増澤 徹, 長 真啓
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 238
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    我々は循環補助治療のために血液適合性の高い磁気浮上血液ポンプを開発している.磁気浮上遠心血液ポンプでは,インペラはその周囲の非平衡圧力場により径方向に変位する可能性がある.その変位によりインペラとケーシング間のクリアランスが狭くなると,そこで血液への高せん断負荷が発生し,溶血の危険性が高まると共にポンプ性能も変化する可能性がある.従って,磁気浮上ポンプではインペラの変位を考慮した流路設計を行う必要がある.本研究では,数値流体解析を用いて,浮上インペラの位置が偏心した場合のポンプ水力性能や圧力不平衡力,せん断応力分布とポンプケーシングジオメトリの関係を調べた.ケーシングジオメトリとしては,ダブルボリュートを用い,舌部位置やクリアランスを変更した影響を調べた.その結果,インペラが径方向に変位した場合,径方向圧不平衡力は著しく増大し,それはダブルボリュートによっても抑制できないことが分かった.一方,適切なケーシングジオメトリを採用することで,インペラ変位がポンプの水力性能やせん断応力分布に与える影響を低減することも分かった.例えば,クリアランスを1 mmから2 mmに拡大することにより,インペラ変位による水力性能低下は比較的少なく抑えられる.以上より,クリアランス等のケーシングジオメトリを考慮することで,ポンプの水力性能と血液適合性のトレードオフ設計を有利に行える可能性が示された.

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  • 井上 聖也, 田中 明, 井芹 史明
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 239
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    心拍変動には呼吸情報が含まれていることが知られており,ホルター心電図から得られる心拍変動から睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが可能である.しかし,心房細動(Af)患者においては,心拍数が不規則に変化することから,心拍変動からの呼吸情報の検出精度が低下するという問題がある.そこで本研究では,心房細動患者を対象として,ホルター心電図から基線変動に含まれる呼吸成分を特異スペクトル解析(SSA)によって抽出する方法を提案し,得られた信号から呼吸再開点の検出を行うことを試みた.Af患者から取得した心電図信号に対して,SSAによって信号分解を行い,呼吸成分を含むチャンネルを選択し再構成することによって呼吸信号の抽出を行った.得られた呼吸信号から無呼吸の検出を行い,バンドパスフィルタを用いて抽出された呼吸成分との比較および心拍変動を用いた無呼吸状態の推定方法との比較を行った.その結果,感度及び陽性的中率のいずれにおいても高い値での検出が可能であることが示された.特に陽性的中率においては他の抽出法に比べ高い値を示しており,提案手法の有効性が示唆された.しかし,低呼吸状態において検出精度が低下するため,実用化に向けて改善が必要であることも明らかとなった.

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  • 山田 佑也, 田中 明, 吉澤 誠
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 240
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    脈波伝播時間は血圧や末梢血管の調節機能の情報を含み,糖尿病などの自律神経疾患患者の自律神経機能を評価する際に用いられることがある.近年,顔や掌など皮下に多くの細動脈や毛細血管が走行している部位のカメラ映像から皮膚の色の時間変化を解析することによって脈波を抽出し心拍数や脈波伝播時間などの生理指標が得られる手法が提案されている.しかし,背中や腕,足といった顔や掌に比べて細動脈や毛細血管が少ない部位では皮下の血液容積の変化を抽出することが困難である.そこで,本研究ではこれまで脈波を抽出することが困難であった部位であっても安定的に脈波を抽出することを目指し,信号分離法である特異スペクトル解析を用いて脈波成分とノイズを分離し脈波成分のみを抽出する方法を提案した.その結果,従来の周波数フィルタでの抽出法と比較して提案手法では従来の接触式のセンサから得られた指尖脈波との相関係数がおよそ15%程度有意に上昇し,比較的脈波の抽出が困難な部位からであっても接触式センサに近い脈波を抽出することができた.

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  • 植田 隼平, 有馬 慎之介, 藤尾 宜範, 勝圓 進, 金井 博幸, 清野 健, 野村 泰伸
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 241
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    近年,日常の健康管理や運動効果の評価を目的として,心拍計測用ウェアが開発され,販売されるようになっている.しかし,ウェア内部に取り付けられた電極には粘着性がないため,体位や運動の状態によって,皮膚との接触が不十分になり,心電位を計測できない状況が発生することがある.したがって,安定した計測を実現するため,ウェアのさらなる改良が必要である.そこで,本研究では心拍計測用ウェアの性能を定量的に評価する方法を検討した.ここでは,心拍計測用ウェアと,ウェア電極に比べ計測結果に含まれるノイズが小さい粘着式電極パッドの2通りの方法で心電図を同時計測した.粘着式電極パッドで計測された心電図R波の位置を正しいものとみなし,心拍計測用ウェアで計測された心電図を評価した.計測結果の評価では,1拍ごとのR波振幅に対するノイズ比を計算したR波振幅対ノイズ比と,安静状態の心電図から算出した同期加算波形に対する平均2乗偏差の2通りの指標を新たに定義した.これらの指標の有用性を検証するため,試作段階の心拍計測用ウェアを用い,腕の上下運動,および,荷物の運搬の条件で心電図を計測した.これらの条件において,我々が導入した指標は,心電図計測におけるノイズレベルを定量的に評価できた.今後,これらの指標を用いることで,心拍計測用ウェア性能の定量的評価が可能になり,改善のための問題点の整理に役立つことが期待できる.

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  • 渡部 真, 鵜川 成美, 齊藤 直, 新関 久一
    55Annual 巻 (2017) 3PM-Abstract 号 p. 242
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、心理ストレスを評価するウェアラブルデバイスを開発し、個人のヘルスケアへと寄与することである。心理ストレスの指標として、副交感神経活動の指標である呼吸性不整脈(RSA)がある。しかし,RSAは呼吸周波数の影響を強く受け,定量的な評価は難しい。先行研究により、RSAと呼吸リズム間の位相コヒーレンス(&lambda)は呼吸周波数の影響を受けにくく,心拍変動から推定した心理的ストレス指標と相関することが実証されている。この知見をウェアラブルデバイスに応用するため,本研究では脈波のみを用いて計測可能か検討を行った。健常成人9名を対象に,座位姿勢において指尖脈波、心電図、呼吸流速を3分間計測した。beat-by-beatで計測した脈波間隔からband-pass filterによりRSAを抽出した。また,脈波の呼吸性振幅変調から呼吸リズムを推定した。ヒルベルト変換を用いてRSAと呼吸の解析信号を求め,瞬時位相差から&lambdaを10秒窓で計算し,心電図と実測呼吸波形を用いて求めた&lambdaと精度を比較した。両手法の&lambdaの相関係数はr = 0.62,Bland-Altman plotでは系統誤差は見られず,平均二乗誤差は0.14であった。脈波のみの計測からストレス指標の導出は可能と思われた。

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