生体医工学
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Annual56 巻, Abstract 号
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  • 松本 成史, 竹内 康人
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S91
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    体腔内で得た生体情報を体外にて受信せんとする場合、計測現場との間の非接触的な伝送また給電や励起が本質的課題となる。現場の装置の究極的な簡素化、小型化、無給電化、長寿命化には、装置をパッシブテレメトリ系とし、現場には能動素子を含む電子回路システムを置かないという方式が、大きな制約を持ちつつも本質的な解決策であり得る事は公知の如くである。著者らは体腔内における静圧および音響信号のテレメトリのため封じ切りカプセル内に1次電池、2次電池、体液を用いた現場発電、電磁結合や光照射による動作電力の給電などを採用する事を検討し、また試みて来た。また完全にパッシブな往復電磁結合による計測原理も試みた。が、いずれも一長一短があり臨床応用に向けたシステム設計の着手には至っていない。本研究においては現場の装置をパッシブとして励起(電力の給電ではない)を光パルスまたは超音波パルスで行い、応答の受信を電磁結合で行うという方式を試み、他の方式にはない特徴あるシステム設計の可能性および知見を得たので報告する。すなわち、励起と応答の受信とはエネルギー伝達方式が異なるので、送受分離の問題は発生しない。この方式によりパッシブ体腔内圧センサを構成し、モデル実験による検証を行い、実用化への見通しを得た。

  • 大畠 知之, 石橋 孝一郎, 孫 光鎬
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S92
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     近年健康に対する関心が高まるにつれ、連続血圧モニタリングの重要性が高まっている。先行研究ではカフレスの連続血圧推定の方法としてPPT(pulse transit time)を用いた方法が多く研究されている。しかしPTTを取得するためにはPPG (photoplethysmography)やECG(electrocardiogram)を体の多箇所に設置するため、連続測定を行うには不向きである。また、現在体の1点のみで血圧推定を行う連続血圧計は高価であり、普及のためにはローコストであることが求められる。これより本研究ではPPG及びドップラーレーダを用いて体の1箇所のみ、または非接触で連続血圧推定を行う方法を研究した。 我々は心拍1周期の時間と収縮期血圧に関係があると考え、回帰分析を行った。心拍1周期の時間はPPG及びドップラーレーダを用いて取得した。得られた回帰式は個人差を含んでいたため、個人個人の安静時の心拍1周期の時間と収縮期血圧をパラメータとして使用することで、個人差を含まない回帰式を得た。この回帰式を用いて推定した血圧とリファレンスの血圧を比較したところ、共に相関係数0.9と十分高い値が得られた。ドップラーレーダを用いた非接触血圧測定の可能性も得られた。

  • 武内 裕香, 浜崎 亜富, 松田 瑞史
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S93
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    尿酸値は良好にもかかわらず痛風関節炎を発症することがあり,治療効果の判定や治療期間の判断のために尿酸ナトリウム結晶の存在を同定する方法が望まれている。我々は尿酸ナトリウム結晶が,永久磁石程度の静磁場下で「磁場配向」することを明らかにしており,結晶の懸濁液に光を照射すると,磁場のON-OFFで光強度が変化することを報告した。この現象を,体内の尿酸ナトリウム結晶を「体外から」「高感度かつ迅速に」検出するデバイスに応用するため,1.関節液を想定した高粘性液中での結晶の磁場中挙動 2.偏光子を用いた検出感度の向上について検討した。まず,結晶は実際の痛風患者から採取された結晶と同サイズに調整し,粘度約1200 cP (水の1200倍)の液中に分散させた。これを500 mTの電磁石中で光強度を観測できるin-situ 分光光度測定装置を用い,磁場印加時の透過光強度の時間変化を測定した。磁場印加により徐々に光強度は増加し,その後,光強度は安定した。磁場を切ると光強度は緩やかに減衰した。次に電磁石内に落射型偏光顕微鏡を設置し磁場印加時の結晶挙動を観察したところ,当初は明瞭に観察されていた結晶が,磁場印加による結晶の配向で消光する様子が確認された。以上から,生体内と同レベルの高粘性液中で結晶は磁場応答を示し,さらにシステム内に偏光子を組み込むことで検出感度の向上が確認された。

  • 土屋 大, 土肥 徹次
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    近年,MRIは医療の現場だけでなく,植物や小動物などの内部構造の画像化に応用されている.これに対して我々は,アフリカツメガエルの卵母細胞などの生体変化の観測をMRIに応用する試みをはじめている.このような微小試料を観測するためには,分解能の向上が求められている.MRI画像の分解能の向上させるためには,計測感度の向上,勾配磁場強度の向上が必要である.そこで本研究では,試料保存可能な受信コイル,勾配磁場マイクロコイル,位置調節機構により構成される微小試料観測システムを提案する.受信コイルは3Dプリンタで試作した試料保存用冶具上に,銅線を用いてソレノイドを形成することで試作した.これにより,微小な試料を受信コイルの中心に配置することができ,高感度な画像計測が可能である.勾配磁場マイクロコイルはフレキシブルコイルと3次元冶具を組み合わせることで,コイルを小型化でき,勾配磁場効率の向上が可能である.また,3次元部品を組み合わせた位置調節機構を用いることで,勾配磁場マイクロコイルの狭い内部にある受信コイルの位置を調節することができる.受信コイルを用いて植物油のMRI画像計測を行った.計測画像より算出したSNRは61.5であり,MRI画像化のための十分のSNRを持っているといえる.また,勾配磁場マイクロコイルの勾配磁場効率は約57.8 mT/m/Aであった.以上より,画素サイズ50×50 μ m2のMRI画像計測を実現した.

  • 桑波田 晃弘, 金子 美樹, 隣 真一, 斎藤 逸郎, 日下部 守昭, 関野 正樹
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S95
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     がん患者のセンチネルリンパ節生検において,磁気ナノ粒子を用いた手法は,現在の標準手法である放射性同位体を用いた手法にとって代わることが可能な新手法であり,センチネルリンパ節へのがん転移の存在を評価するための低侵襲の手法である.センチネルリンパ節生検では,複数のリンパ節(様々なサイズ:3ー20 mm,様々な磁気ナノ粒子分布)が摘出される.磁気ナノ粒子を最も多く含む第1のセンチネルリンパ節(がんが転移する可能性が最も高いリンパ節)を決定することは転移診断において有用であり,分布およびサイズに依存しない正確な定量化が必要である.本研究では,リンパ節内の磁気ナノ粒子の量(鉄量)をそれらの依存性なしに定量化できる装置を開発した. 本装置の検出限界は,0.28 マイクログラム(SN比5)であり,ダイナミックレンジは0.28 マイクログラム―2.8 ミリグラムである.リンパ節のサイズや,リンパ節内の磁気ナノ粒子分布に依存しない検出を達成するために,AC磁場とDC磁場の比率を最適化した.現在,10%の誤差の範囲内で,様々な磁気ナノ粒子分布を有する3―20mmの大きさのサンプル内の鉄量を定量化可能である.今後は,臨床試験において,本機器の有用性を証明する予定である.

  • Mirjam C. L. Peek, Kohei Saeki, Kaichi Ohashi, Taeseong Woo, Shinichi ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S96-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    The magnetic technique consisting of a magnetic tracer and a handheld magnetometer, is a promising alternative technique for sentinel lymph node biopsy (SLNB) and was shown to be non-inferior to the standard technique in terms of identification rates. In this study, injection characteristics (iron volume, dilution, time of injection and massaging) were evaluated to optimise magnetic tracer uptake in the sentinel lymph nodes (SLN) of a rat model. 202 successful SLNBs were performed. Iron uptake in the SLN is proportional (10% utilisation rate) to the amount of iron injected up to 1000 ug, showing a plateau uptake of 100 ug. Linear regression showed that time had a higher impact than dilution, on the SLN iron uptake. Massaging showed no significant change on iron uptake. The magnetic technique should be optimised for humans and a randomised controlled trial is required comparing the magnetic with the standard technique to change clinical practice.

  • Oiendrila Bhowmik Debnath, Miki Kaneko, Akhihiro Kuwahata, Chikaki Shi ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S96-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    Breast conserving surgery is a common surgery to treat localized breast cancer. Once the tissue is removed, it is sent to get an X-ray to check the margin. This process requires such set-up and radiology expert to do so. This research work proposes a method to detect the hook-wire by using a magnetometer. The magnetometer with a permanent magnet and hall sensor inside (Masaki Sekino et al, 2018) can be used to detect the location of the hook-wire having magnetic property. Normally this hook-wire makes different angels inside the tissue and considering the possibilities of different angles made by hook-wire, the calculation is done to detect the location of the hook-wire by this magnetometer which can detect magnetic particles in three-dimensional direction (Kuwahata et.al, 2017). Experimental data shows the magnetic sensitivity to be maximum when the asymmetry part faces the probe. Real surgery conditions would be considered in further experiments.

  • Mirjam C.L. Peek, Sasha Usiskin, Taeseong Woo, Kaichi Ohashi, Kohei Sa ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S97
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    The magnetic technique was developed for lesion localisation and sentinel lymph node biopsy in breast cancer. A search for alternative techniques, due to susceptibility artefacts on breast MRI created by residual magnetic tracer led to the development and evaluation of four magnetic markers (with solid, barrel, spring and butterfly shapes). Different characteristics were evaluated: (a) marker detectability and repeatability, (b) marker migration, (c) MRI artefacts at 1.5T, 3.0T and 7.0T MRI and (d) biocompatibility of the marker. Sensitivity experiments demonstrated a lateral and anterior detection of 12.5-16.8 mm and 12.8-16.0 mm, respectively. Marker migration was not detected in a magnetic field up to 7.0T. On MRI, in all three dimensions, the smallest artefacts were seen with the butterfly marker. No leaching was found up to seven days after marker injection. The magnetic markers have promising characteristics for lesion localisation and a feasibility trial is required to determine proof of principle.

  • 山田 奨人, 江夏 怜, 山本 恭輔, 大村 慶太, 加藤 理加, 田村 秀朗, 長谷川 武生, 橋本 修一, 橋本 佳苗, 千原 伸也, ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S98
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    【目的】術中機能モニタリング(以下IOM)は術後の神経系の合併症の防止,低減を目的に施行されているが,外部雑音に影響されやすい.対極板は接触監視モニタで接触状態を常に監視しているが,これが外部雑音となりIOMに影響するかは報告されていない.

    今回,対極板の違いにより発生する低周波雑音がIOMに与える影響を検討した.【方法】健常人8人を対象とした.対極板の種類は導電型,容量結合型を用い,被験者の大腿部に設置した.IOMの記録電極は被検者の内側広筋,大腿直筋を被験筋とし対極板を挟むように留置した.対極板をつけない状態で被験筋からbaselineを取得後に導電型,容量結合型ともに1分程度測定した.結果から周波数スペクトルを作成し,1-200Hz程度を低周波雑音としてbaselineと比較した.

    検討項目は被験筋に対しての導電型,容量結合型の平均雑音とした.【結果】内側広筋での容量結合型,導電型の平均雑音は53.9±3.16dB,48.0±1.03dBと容量結合型で高値であった(p<0.05).

    同様に大腿直筋においても容量結合型,導電型の平均雑音は63.2±1.73dB,56.5±1.51dBと容量結合型で高値であった(p<0.05).【考察】本検討では導電型が容量結合型よりも有用なIOMを施行できることが示唆された.適切な対極板を選択することは外部雑音を減らし,より正確にIOMを施行できると考えられた.

  • 清 来夢, 横関 滉平, 根武谷 吾, 氏平 政伸
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S99
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    生体組織や細胞を移植に用いる際や凍結保存する場合においてそれらの生存状態を把握するためには,薄い切片の作成や色素染色などを行うことが一般的である.しかし,現行の方法では細胞に損傷を与え,しかも,リアルタイムでの細胞生存評価を行うことが困難である.そこで本研究では新たな細胞の生存評価法として,非侵襲的かつリアルタイムで測定可能な電気インピーダンスの周波数特性を適用できないかと考えた.内径22 mmのチャンバ内の中央に150 μm間隔で設置された8×8個の微小電極(50×50 μm)をコラーゲンで覆い,その上でラット心臓横紋筋細胞を培養した.加熱によりチャンバ内の細胞を死滅させ,加熱前と加熱後における細胞インピーダンスの周波数特性を測定した.この時,電流は10 μA,周波数は10 kHzから100 kHzとし,経時的に周波数を変化させた.その後,細胞をトリパンブルー染色し死滅を確認した.その結果,低周波数では高インピーダンス,高周波数では低インピーダンスを示した.更に,加熱前よりも加熱後の方が低周波数でインピーダンスが低下した.これは細胞膜の完全性が失われることで細胞膜のコンデンサとしての性質喪失したことを意味する.これにより,低周波数では細胞内に電流が流れやすくなったと考えられた.以上より,細胞の生存評価法としてインピーダンス計測の周波数特性が利用できることが示唆された.

  • 清水 久恵, 印牧 美紀, 渡邉 翔太郎, 有澤 準二, 清水 孝一
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S100
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    我々は, ELF(0-300Hz)電界の人体影響評価のため,電界曝露に伴うヒトの血流変化について検討を行ってきた.これまで,電界曝露直後に凝集・連鎖赤血球の割合が増加する傾向が確認された.そこで,この現象の機序解明のため,生理的変化の影響を受けないin vitroで実験的検討を行った. 当初は,顕微鏡下で視野の両端水平面に銅板電極を配置し,電界曝露時の赤血球を観測した.しかしこの方法では,電極を視野幅(数mm)以上離す必要があり,高電界の印加は難しかった.これに対し,平板上の透明電極をスライドガラス代わりに用いれば,試料厚み方向に電界印加が可能となる.血液試料は数十μm厚みのため,高電界の印加も比較的容易である.実験では,ITO(酸化インジウムスズ)電極を使用し,10名の被験者から採取した赤血球の凝集性を観測した.これにより,ヒト電界曝露実験で血流変化の見られた電界値(100 kV/m)での観測が実現された.まず,電界以外すべて同条件とした擬似曝露実験を行い,30分間の観測時間にわたり赤血球の分離状態に変化のないことを確かめた.次に,観測開始10分後から20分後の期間,電界曝露を行い赤血球の状態を調べた.その結果,電界曝露に伴い,凝集赤血球の割合が増加する現象が認められた(p<0.01-0.05).また,電界強度に対する用量反応性も確認された.これらの結果は,電界曝露に伴う血流変化が,生理的変化だけでなく血液性状の物理的変化にも起因する可能性を示唆するものと考えられる.

  • 高橋 優輔, 橋本 成広, 日野 遥, 田村 卓也
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S101
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    誘電泳動は細胞選別に応用できる可能性がある。本研究では、生体外において、微小流路を流動する細胞の微小電極先端付近における誘電泳動運動を観察することを目的とした。フォトリソグラフィー技術によって、ポリジメチルシロキサン製の平行壁面間流路(高さ0.05mm)の両端に沿って、チタン製の表面電極を作成した。一端の電極は三角形状、もう一方の端には基準電極を設けた。電極間に、0.01 ms周期の正弦波、パルス波、または矩形波を印加した。流量をシリンジポンプで制御しながら、C2C12(C3Hマウスの交線筋由来マウス筋芽細胞株)の懸濁液を流路に注入した。実験の結果、電極付近の筋芽細胞の動きは、微小流路に沿った流れの間、電極に印加された電気刺激に応じて変化し、その動きは電極の先端角に依存することがわかった。

  • 緒方 元気, 浅井 開, 佐野 大和, 高井 まどか, 楠原 洋之, 栄長 泰明, 日比野 浩
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S102
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    体に投与された薬物は全身に行き渡るが、その濃度はそれぞれの臓器の内部で時空間的に不均一に増減する。それに伴い、薬物標的となる細胞集団の活動も刻々と変化していく。これら "局所"の薬物動態とその作用の推移を同時に知ることは、薬効や毒性の仕組みを理解する上で重要であるが、従来法では困難である。そこで本研究では、新たな薬物モニタリングシステムを開発した。この系は、先端素材の「導電性ダイヤモンド」を用いた針状の薬物センサと、細胞の電気現象を捉えるガラス微小電極を搭載する。初めに、モデル薬物としてブメタニドを使用した。この利尿薬は、聴覚に必須な内耳の電位環境を破綻し、難聴を惹起する。薬物センサとガラス微小電極を共に内耳体液空間へ挿入した。薬物濃度は5秒に一度の頻度で測定した。ブメタニドを静注したところ、迅速なブメタニドの濃度上昇と、それに少し遅延した内耳電位の降下が観察された。次に、二本のセンサを脳に配置し抗てんかん薬ラモトリギンを試した。薬をラットに静注すると、その濃度は緩徐に上昇した。神経活動を示す電場電位は、薬物濃度の上昇開始とともに強く抑制された。この効果は、50分に渡り持続した。抗がん剤ドキソルビシンも、内耳で同様に追尾された。この際に内耳電位は殆ど変わらなかった。本研究で創出した局所生体計測基盤は、多彩な薬物や臓器に適用可能であり、次世代の創薬や治療法の展開に大きく貢献する。

  • ASAKI HATTORI, NAOKI SUZUKI, SEIKO OOTAKI, MAKOTO HASHIZUME
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S103
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    We are developing a 4D human body model in which all the internal structures operate while deforming in real-time without "anatomical contradiction", by using a whole-body 3D human model (including internal structures such as major organs, skeleton, vascular system, etc.) reconstructed from MRI data and driven by the motion captured data of the participant.Regarding the evaluation of model deformation, the upper limb and the lower limb were targeted, and the measurement was performed using MRI. However, it is difficult for MRI currently used clinically to measure a certain volume as measured by MDCT of volume data at high speed. Therefore, we developed a device in which the participant could repeat the motion in a stable manner in the gantry to obtain a 4D dataset.We report here our examinations about deformation methods and the possibilities for their clinical applications of the human body model under development.

  • 橋本 雄大, 中尾 恵, 上田 順宏, 畠中 利英, 今井 裕一郎, 桐田 忠昭, 松田 哲也
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S104
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    本稿では、下顎再建術におけるセグメント数の決定に重要な特徴抽出法を提案する。 これまで再建計画を自動生成する研究は行われているが,推定の機序は不明確であった. 推定に加えて臨床で蓄積されてきた手術手技との関連が明らかになれば,医学の発展に貢献できる.本研究では,下顎骨再建においてセグメント数を決定する際に重要となる特徴量を抽出した.提案する手法は,過去の症例データを用いてスパースモデリングでセグメント数の推定を行い,それに必要な特徴量を抽出するというものである.その結果,前部下顎角,右下顎角と右切断面との距離,左オトガイ結節と右切断面との距離の3つが特に重要であることがわかった.

  • 五十嵐 達也, 藤崎 和弘, 笹川 和彦, 森脇 健司
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S105
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    医療やスポーツの分野において熟練動作の計測と解析評価の試みが数多く行われている.特に医療分野のカテーテル手技のような繊細な指先動作の取得・解析には,手指の運動軌跡や姿勢計測が重要である.また,手持ちの道具に作用する把持力やつまみ力(ピンチ力)の計測も重要であるが,指先などにセンサを仕込み直接計測することは,操作者に違和感を与え,実際の動作を取得できなくなる課題がある.そこで,筋電図を利用した間接的な計測手法が広く用いられている.現在,筋電図に依らない筋活動推定手法としてForce myography(FMG)が提案されている.これは筋収縮に伴う身体部位の局所的な隆起に着目したもので,四肢に巻いた圧力センサアレイ等の応答から筋活動を推定するものである. 本研究ではFMGに基づいた前腕部筋活動の計測・解析システムを開発し,ピンチ力推定に応用した.較正実験として16個の圧力センサからなるFMGデバイスを前腕に巻き付け,ロードセルに対して徐々にピンチ力を負荷,除荷する動作を繰り返し行った.FMGとロードセルから得られた値には高い相関が見られ,FMGを用いたピンチ力の定量評価の可能性を示した.この関係を利用し,実際にカテーテル操作時に作用するピンチ力の経時変化を測定し,送り操作の特徴を評価した.

  • 小栗 淳生, 矢代 大祐, 弓場井 一裕, 駒田 諭, 武田 湖太郎
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S106
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    脳卒中の後遺症として筋緊張の亢進を招く痙縮が知られている。痙縮の治療には痙縮トルクの正確な計測が必要なため、足関節の痙縮トルクを自動計測する装置の開発が進められている。しかしながら、従来の装置は足関節周りの痙縮トルク、弾性トルク、粘性トルク、慣性トルクの分離に成功していない。これらのトルクの分離は治療方針を決めるのに必要不可欠である。そこで本論文では足関節トルクと足関節角度を計測する装置を開発し、手始めに弾性トルクと関節角度の関係を定式化した。従来モデルは前脛骨筋の弾性モデルを含まないのに対して、提案モデルは前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋の弾性モデルを含む。

  • 福永 道彦
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S107
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    人工膝関節の設計評価は,患者に適用される前の段階においては,シミュレータや屍体膝を用いた実験や,シミュレーションによって実施される.これらの方法は,いずれも関節荷重や接触点位置に関する仮定を必要とするが,それらは単純モデルによって推定されたものであり,関節面形状を考慮できるものではなかった.そこで我々は,膝関節の力学解析を行える三次元モデルを作成した.本モデルの特長は,(1) 関節荷重ではなく筋力によって駆動されること,(2) 大腿膝蓋関節と大腿脛骨関節の両方を含むこと,(3) 自由曲面の接触条件を含むこと,(4) 力学的平衡条件をもとに筋力を計算すること,(5) 膝深屈曲動作を対象とするため,大腿下腿接触をはじめとした筋や骨の干渉を考慮していること,である.本モデルは,膝屈曲角度と外力を入力することによって,筋力,関節姿勢,接触点位置,接触力を出力する.本モデルを使用して,脛骨コンポーネントの内旋設置が大腿膝蓋関節に合併症を引き起こす現象の再現を試みた.屈曲角度30度から,膝深屈曲に至る140度までで計算したところ,全屈曲範囲において,脛骨の内旋設置が大腿膝蓋関節の内側接触力を増大させることが確認できた.本モデルは,新型人工膝関節の形状設計を,装置も試作も倫理審査も必要とせずに評価できることから,特に膝深屈曲への要求が強いアジア・アラブ市場に独創的な新機構を提案する助けになると期待できる.

  • YOHSUKE HAYAMA, SHUJI SHIMIZU, TORU KAWATA, MASARU SUGIMACHI
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    In univentricular Fontan circulations, morphological variations of systemic ventricles make it difficult to evaluate the negative impact of asynchronous contraction and widened QRS duration on hemodynamics. A computational simulation of Fontan circulation was performed using a time-varying elastance chamber model combined with a three-element Windkessel vascular model. Systemic ventricles were divided into two ventricular compartments (Vnt1, Vnt2) by ventricular septal defects, which had various ratios of end-diastolic volumes (EDV1/EDV2, α). We introduced contraction delay between Vnt1 and Vnt2 (Tdys) and simulated hemodynamic changes. Compared with the ventricles with α > 1, those with α < 1 exhibited significantly decreased cardiac output as Tdys increased. These deteriorations were characterized by the increased reverse flow from Vnt2 to Vnt1 during mid-systole. Delayed contraction in more distensible compartment can exacerbate mechanical dyssynchrony with the dilation of less distensible compartment in mid-systole, which contributes to the pathogenesis of heart failure in the univentricular heart.

  • 森下 孝臣, 伊井 仁志, 和田 成生
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S109
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    近年、左室駆出率が保たれているにもかかわらず、心不全症状を呈する心不全(HFpEF)患者が増加し、注目されている。HFpEFは収縮不全に先んじて起こり、心不全症例の多数を占めており予後も良好とはいえない。成因ついては明らかにはなっておらず、種々の議論がある。心臓超音波による研究では、心筋肥大と収縮時の心筋歪みの低下が認められている。しかし、収縮時歪みが低下しているにもかかわらず、同様の左室駆出率を有するということは一見奇異に感じ、どのような条件でそのことが達成されているかは明らかではない。そこで、初期の心筋形状、特に心筋の厚みに注目し、圧肉円筒心筋モデルを用いて、心筋初期形状の左室内径および心筋厚みを変化させ、それぞれの左室駆出率50%を達成する、心筋収縮力を算出した。圧肉円筒心筋モデルは内直径を40~50mm,心筋厚を8~16mm,高さ10mmとし、計算は微圧縮、心筋線維に沿った異方的な弾性力と心筋収縮力、およびニュートン粘性を考慮した。結果、内径が大きいほど、また心筋が厚いほど、左室収縮率50%を達成する最大心筋収縮力は、高く必要であった。それにもかかわらず、心筋が厚いほど収縮時平均円周方向グリーン歪みは小さくなった。これは、一見同様の仕事をしているように感じられるHFpEF心筋であるが、心筋肥大のため、正常心筋より大きな心筋収縮力を必要としていることを示唆する。

  • 小川 恵美悠, 相吉 英太郎, 荒井 恒憲
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S110
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    光増感反応を応用した頻脈性不整脈アブレーション治療における治療安定性の評価を目指し、培養心筋細胞の電気伝導路において光増感反応による電気伝導遮断を説明する数理モデルを構築した。発表者らが提案するアブレーション治療では、光感受性薬剤投与後から光照射までを短い時間に設定した細胞外光増感反応により、不整脈治療に必要な数分オーダーの即時的な電気伝導遮断効果を得る構想である。電気伝導が遮断されるまでの時間を明らかにするために、線状培養した心筋電気伝導路の中央部で放射照度を3-12 mW/cm2に変化させて光増感反応を起こした。上流と下流における細胞内カルシウムイオン濃度の同期性を相互相関係数により評価し、電気伝導遮断までの時間を計測した。心筋細胞を伝導・脆弱・遮断の3つの状態に変化する3区画モデルと仮定し、計測結果と一致するように各区画間の速度定数を共役勾配法により最適化した。脆弱状態の細胞は、修復により電気伝導が再開通し、不整脈の再発リスクにつながると考えられる。最適化された速度定数を用いて脆弱および遮断状態の細胞割合の経時変化を推定した結果、放射照度3 mW/cm2の場合に光照射開始から約800s以降において、脆弱状態の細胞割合が十分低下することがわかった。構築された数理モデルを用い、治療安定性を推定できる可能性が示唆された。

  • 川島 圭太郎, 谷田部 純弥, 柴田 仁太郎, 山崎 正俊, 本荘 晴朗, 荒船 龍彦
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S111
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    心室頻拍や心室細動の成因は,渦巻き状の興奮波が異常に旋回し続けるスパイラルリエントリ(Spiral Wave Reentry :SWR)である.近年,ヒツジ摘出心の左心房内に内視鏡を挿入し,左心房の活動電位光学シグナルを2台の高速カメラを用いた光学計測法にて,心内膜と心外膜を同時計測した研究が報告されている.その結果,SWRの旋回中心であるI型フィラメントは,心筋壁厚が急激に変わる部位に定在化することが示唆されている. しかし心室においては解剖学的構造が複雑であり,計測シグナルは高い分解能が要求されるため,活動電位光学シグナルの同時計測は十分に行われていない. そこで本研究は,2台の高速カメラを用いて活動電位光学シグナルの同時計測を可能なシステムを開発し, 心室中隔の心筋壁厚が急激に変わる部位とSWRの旋回中心であるI型フィラメントの相互関係を定量的に示す解析手法の確立を目的とした. ウサギ摘出Langendorff灌流心を切り開き,膜電位感受性色素で染色後,開発した灌流型Tissue Bathに設置した.蛍光シグナルを2台の高速度カメラで心室中隔の右室側と左室側の同時計測を行った.計測画像から,解剖学的構造とSWRの旋回中心であるI型フィラメントの相互関係を定量的に示す位相解析手法を考案したので報告する.

  • KUNICHIKA TSUMOTO, YASUTAKA KURATA, KAZUHARU FURUTANI, YOSHIHISA KURAC ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S112
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    Although it is believed that excessive action potential (AP) prolongation leads to the development of early afterdepolarizations (EADs), the triggering mechanism of EAD-induced ventricular arrhythmias is not yet fully understood. Combining computer simulations with numerical computations based on dynamical system theory, we have investigated dynamical stability changes of AP observed in a paced human ventricular myocyte model with decreasing and/or increasing the rapid component of delayed rectifying K+ current (IKr) and the slow component of delayed rectifying K+ current (IKs). We found that upon reducing IKr, EAD emergence resulted from the dynamical stability change in AP. Furthermore, reducing the repolarization currents evoked multi-stable dynamics including AP with EADs depending on initial ion circumstances within the myocyte. This multi-stability in cardiac AP dynamics might be responsible for the EAD-induced arrhythmias with decreases in the repolarization currents.

  • 原田 一平, 山越 健弘, 任田 崇吾, 松村 健太
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S113
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    カフレスでの血圧測定は脈波伝播時間方式が主流になっている.しかし,従来手法では,計測機器が大きいため気軽に計測できない.また,頻繁なキャリブレーションを必要とするなどの不便な点も多い.そこで我々は,精神生理学的アプローチを用い,スマートフォン(iPhone)本体のみで測定可能な2つの生理指標(心拍数と,αアドレナリン作動性交感神経活動の指標である修正基準化脈波容積)のみを独立変数として用いる新たな血圧推定手法を提唱した.本研究では,この手法の精度検証を行うことを目的とする.精度検証実験では,安静時3分間および暗算課題実施時3分間に提案手法と標準的なカフ振動法による同時測定を行った.被験者は13 名(女性:6 名,男性:7 名,平均年齢20.6 歳)で,カフ振動法による右上腕血圧の測定は90秒毎に計4回実施した.iPhoneによる測定は左手第2指から連続で行った。分析の結果,提案手法とカフ振動法との相関は,平均血圧で r = .73,最高血圧で r = .73,最低血圧で r = .72,であった.これらの結果は,iPhoneのみの使用に関わらず,提案手法が脈波伝播時間方式と遜色ない精度で血圧を推定できることを示唆している.今後は,暗算課題以外の課題遂行中や,日常生活中の計測など,様々な状況で精度検証する必要がある.

  • 萬納寺 洋士, 朔 啓太, 西川 拓也, 遠山 岳詩, 鎌田 和宏, 岸 拓弥, 筒井 裕之, 砂川 賢二
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S114
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    目的:心血管病は人類最大の死因であり、その克服にはリスクの正確な評価が不可欠である。圧反射機能は心血管病の重要なリスク規定因子であるが、その機能を非侵襲に推定する方法は存在しない。血圧への外乱は動脈圧反射(開ループゲイン、G)により1/(1+G)に圧縮され、圧縮された血圧変動として測定される。従って、動脈圧反射が有効に作用する周波数帯域と作用しない帯域での血圧変動のパワースペクトル密度(PSD)の比較から原理的にGの推定が可能である。本研究の目的は連続動脈圧波形のPSDからGの推定可能性(動物実験)と高齢者に認められるGの低下の検出が可能かどうか(臨床試験)を検討することである。方法(動物実験)外科的に動脈圧反射機能を段階的に障害したラットを用い(N=21)、連続動脈圧波形からGを推定し、直接法による真値と比較した。(臨床試験)非侵襲連続血圧波形測定装置による30分の血圧記録のPSDを用い、Gを推定し(若年者13名、高齢者12名)、年齢との関連を検証した。結果(動物実験)PSDから推定したGは真値を精度よく推定した(R2=0.87)。(臨床試験)高齢者(85.8±3.8才)は若年者 (28.7±6.2才)と比較し、Gは著しく低下していた(2.54±1.06 vs. 0.66±0.65, p<0.001)。結論:連続動脈圧波形の周波数解析により、精度よく動脈圧反射機能は推定できた。非侵襲連続動脈圧測定デバイスにより循環器疾患のリスクの層別化が実現できる可能性がある。

  • 鎌田 和宏, 朔 啓太, 萬納寺 洋士, 岸 拓弥, 遠山 岳詩, 西川 拓也, 吉田 賢明, 阿部 潔和, 砂川 賢二, 筒井 裕之
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S115
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    背景:有人宇宙飛行が日常化する中で、微小重力環境からの重力環境に帰還した際に頻発する起立性低血圧は未解決であり、その克服は今後の宇宙開発において極めて重要である。その機序として自律神経障害が示唆されているが、血圧維持に最も重要な交感神経制御機構である動脈圧反射への微小重力の影響の詳細は明らかでない。本研究は、微小重力環境後の動脈圧反射開ループ特性を解析することで血圧調節異常メカニズムを検証した。方法:Sprague-Dawleyラットを用い、hindlimb unloading (HU, N=7)を行うことで微小重力環境を模擬した。2週間のHU後、麻酔下に頸動脈洞を体循環から分離し、頸動脈洞圧 (CSP)-交感神経活動(SNA)関係(中枢弓)およびSNA-動脈圧(AP)関係(末梢弓)を求め、対照群(N=3)と比較した。結果:HU群中枢弓はresetting(再設定)をおこし、ゲインが最大になるCSPは上昇し、低CSPに対しての不応性を示した。一方、HU群末梢弓も再設定をおこし、その傾きは低下した。その結果、動作点におけるCSP-AP関係(動脈圧反射ゲイン)はHU群において著明に低下した (0.21±0.14 vs. 1.33±0.23, p<0.01)。結論:長時間の微小重力環境への暴露は中枢弓、末梢弓双方を再設定し、動作点の動脈圧反射ゲインを著しく低下させる。圧反射のゲイン低下は血圧調節失調に直結することから、本機序は、地球帰還後の起立性低血圧の一因となっていることが示唆された。

  • Zhaoyin Tian, Koshirou Kido, Ming Huang, Naoaki Ono, Altaf-Ul-Amin Md. ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S116-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    A prudent investigation of the features space of electrocardiogram (ECG) will propel the performance of machine learning algorithms in arrhythmias detection. features in the morphological and temporal domain are sometimes blurry in a noisy signal, which is very common in wearable devices. In this study, we assume that for one ECG waveform (one cardiac cycle), its statistical features and its relation with preceding and following ECG waveforms, which are represented by R-R interval, can give us enough physiological/pathological information to isolate the arrhythmias from heartbeats of normal sinus rhythm. The atrial fibrillation, the ventricular bigeminy, and ventricular trigeminy waveforms are extracted from MIT-BIH arrhythmia database and long-term atrial fibrillation database to take into account the inter-individual difference. self-organizing map and bagging tree ensemble are used to analyze and classify the heartbeats.

  • SHIN INADA, NITARO SHIBATA, TAKASHI ASHIHARA, TAKANORI IKEDA, KAZUO NA ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S116-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    Atrioventricular (AV) node is one of the cardiac conduction system of the heart. The AV node is the only electrical conduction pathway between the atria and ventricles. Therefore, the AV node acts as important roles in cardiac function. However, the detailed mechanisms of the AV node have not been understood. The purposes of this study are to construct a three-dimensional anatomical model of the AV node and to simulate electrical excitation conduction and arrhythmias in the AV node. The anatomical model constructed in this study includes the right atrium, three AV node regions and right ventricle. Action potential models to calculate electrical activity were included into the anatomical model. Using our model, electrical excitation conduction from the right atrium to the bundle of His via the AV node properly and reentrant beat in the AV node. Our model is useful to analyze function of the AV node.

  • 坂田 琴実, 廣瀬 玖実, 加瀬田 裕斗, 渋井 豊仁, 若林 哲, 小林 邦久, 八名 和夫
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S117
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    本稿では,加速度脈波にもとづく血管年齢推定で問題となる波形選択,波形ごとのパラメータ(極値)検出,血管年齢推定式の改善について新たな手法および推定式を提案する.現代病の1つとして動脈硬化があげられ,厚生労働省の調べによると,日本人の四大死因に含まれる心疾患と脳血管疾患の原因の1つとされている.動脈硬化は自覚症状がない上に測定の機会が少なく,手遅れになってしまうことからサイレントキラーのひとつと言われている.このような背景から,日常的な動脈硬化度(血管年齢)の測定が求められる.今回波形選択では,解析者による判別の個人差を防ぐため,目視による部分選択から全波形を用いて自動で適応的に波形を選択するアルゴリズムを考案した.波形ごとのパラメータ検出では,緩やかな変化点だけでなく目視では確認できない変化点を検出するため,多次微分法を用いた新たな手法を考案し,その正当性を検証した.推定式では先行研究と同様に,誤差の大きい若年層と高齢層を除き,主成分回帰分析により直線型の推定式を算出した.解析データは男女3歳から87歳の計552名を対象とした.その結果,新たな解析である多次微分法を用いることで,従来法では解析不可な波形に対しても,年齢推定が可能となった.また独自に算出した推定式を用いることで,従来の血管年齢推定式による結果から大幅に誤差を縮めることができ,推定式の改善が見られた.

  • 西川 拓也, 朔 啓太, 鵜池 清, 砂川 玄哉, 遠山 岳詩, 岸 拓弥, 上村 和紀, 砂川 賢二, 筒井 裕之
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S118
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    背景:心房間シャントは心不全患者の左房圧を減少させるデバイス治療として近年注目されているが、その血行動態への影響や効果を術前に正確に予測することは困難であった。我々は循環平衡理論を用いることにより、心房間シャントの血行動態への影響を予測した。

    理論的考察:循環平衡理論では血行動態は心拍出量曲線と静脈韓流平面で決定する。心房間シャントは心拍出量曲線・静脈還流平面を変えないことから、シャントの心房間圧流量関係を循環平衡理論に組み込むことにより、血行動態を予測した。

    方法:5匹の雑種犬を用いて、左房と右房を遠心ポンプで接続することにより心房間シャントを再現した。シャント流量を変更し、予測値と実測値を比較した。容量負荷(10ml/kg)を行い、同様のプロトコールを繰り返した。

    結果:体血流量(r2=0.93, SEE 12.3 ml/min/kg)、肺血流量(r2=0.93, SEE 11.7 ml/min/kg)、左房圧(r2=0.81, SEE 0.72 mmHg)、右房圧(r2=0.86, SEE 0.59 mmHg)は容量負荷前後のいずれにおいても精度よく予測できた。

    結論:循環平衡理論を用いて心房間シャントの血行動態影響を予測できた。本手法を用いた血行動態予測は心不全患者における心房間シャント作成の患者選択・血行動態管理に有用である。

  • 神ノ田 奈央, 小川 恵美悠, 荒井 恒憲
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S119
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    発表者らは、動脈硬化性狭窄の新しい治療デバイスとして短時間加熱型バルーンPhoto-Thermo Dynamic Balloon (PTDB) を提案している。PTDBは血管壁を短時間加温することで、コラーゲンの可逆熱変性を利用して軟化させ、機械的損傷を生じずに血管拡張を行う。これまでのin vivo実験で、血管拡張後に中膜の平滑筋細胞が長期間伸展固定されることが明らかになったが、この状態が細胞障害となるなら活性の亢進に伴い遊走を生じ、再狭窄の危険がある。本研究では、PTDBの慢性期治療効果の検討のため、平滑筋細胞に加温と伸展を同時に負荷した際の細胞の活性度評価を行うことを目的とした。ストレッチチャンバーにブタ大動脈由来の平滑筋細胞を培養して増殖停止状態にした。チャンバーを伸展系に設置し、50℃または60℃で15 s加温したあと自動ステージを用いて0.7 mm/sで0-50%に伸展して37℃に冷却した。伸展固定後96時間の細胞活性をWST-8アッセイにより呼吸活性として評価した。その結果、60℃加温では伸展率に関わらず活性度が低下した。一方、50℃加温では活性度の低下の程度が少なく、伸展率に対して不安定であった。これまでの報告では、平滑筋細胞に伸展固定のみを負荷すると活性度は有意に上昇することが明らかになっている。60℃加温での活性度の低下は臨床研究事例と矛盾がない。よって、平滑筋細胞を60℃に加温することが再狭窄抑制に重要であると考えられる。

  • 玉利 勇賢, 根武谷 吾, 熊谷 寛
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    透析治療中、透析患者は急激な血圧低下によりショック状態に陥ることがある。それを予防するため、現場ではカフ式血圧計を用いて30分に1回程度の血圧測定を行っているが測定間隔が長く、その危険な兆候を十分に検出できない場合が多い。さらに、カフ式血圧計による腕の圧迫は患者に不快感や痛みを与える場合が多い。そこで、本研究ではカフによる圧迫がなく連続的に血圧が測定できる血圧測定法の検討を行った。測定原理は、胸部に微弱な電流を流して断層画像を得る電気インピーダンスCT (EIT : Electrical Impedance Tomography)を用いて大動脈における一定区間の脈波伝搬速度 (PWV : Pulse Wave Velocity)を求めて血圧を推定する。PWVは、心臓から血液が駆出される際に発生する圧力波が大動脈を伝搬する速度のことであり、本研究ではPWV計測の前段階として、インピーダンスデータを用いて脈波伝搬時間(PAT:Pulse Arrival Time)と血圧との相関性を検証した。健常成人1名(著者)に対して、EITと心電図を同時測定してPATを算出し、PATと血圧との相関性を検討したところ、相関係数0.70が得られた。この結果から、EITによる連続血圧測定が可能であることが示唆された。

  • 片井 拓弥, 安田 育武, 木村 允俊, 山下 智己, 小野木 真哉, 望月 剛, 桝田 晃司, 枝元 良広, 絵野沢 伸
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S121
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    本研究では,異なる方向から撮像した複数の超音波ボリュームの血管分岐部を対応付けし,血管網間で分岐点情報を補完することで血管網を拡張し,広範囲の血管網情報を再構築することを目的とする.

    超音波診断装置Philips iU22を用いて取得した目標血管網のボリュームを3次元細線化処理によりグラフ化する.複数のグラフ間で分岐点のマッチングを行うことで共通分岐点を取得し,さらに隣接したボリュームの共通分岐点を用いて空間レジストレーションを行い,ボリューム間の同次変換行列を算出する.これから同一の座標系に複数の血管網構造を配置し,片方の血管網にしか存在しない分岐点をもう一方の血管網に追加することで血管網情報の空間的拡張を行う.導出された血管網構造を,グラフ理論を用いて連結性を評価した.

    異なる方向から撮像したブタ肝臓の超音波ボリュームを本手法により拡張した.CTで撮像した血管網との比較を行い,共通する分岐点を23点確認し,その分岐点間経路長より,本手法を用いて血管網情報を拡張できる可能性を確認した.また同手法を人体肝臓にも適用し,評価を行った.

  • 長倉 俊明, 岩津 星吾, 阪本 翔大, 平川 侃, 木戸 倫子, 石井 豊恵
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S122
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    (はじめに)生体は体重の60%が水分で、それが存在する生体組織は細胞内液や細胞外液をあらゆる方法で制御している。そして、その構造と組成から特有の周波数特性を持っている。また生体は生命維持に必要なものを外部から取り入れ、不要なものを排出する。その移動は主に濾過や拡散と循環のように化学的であり物理的でもある。いくつかの疾病はその仕組みが破綻する。すなわちその変化を捉えることは診断治療に有意義である。(目的)電気インピーダンス法を用いて、生体の情報を計測し、診断に利用し治療も検討する。(方法)低周波から高周波によって、生体のインピーダンスは大きく変化する。さらに生体の物理的変形や化学的組成変化によっても変化する。これを捉えて診断と治療を行う。(結果)生体を構成する体液、皮膚、皮下組織や筋肉などの周波数特性のデータベースを蓄積した。これによりそれを利用した浮腫の増悪や尿計測などを行うだけではなく、心不全や腎不全への応用アプリケーションを作成することができ、治療指針を示すことができた。(まとめ)生体の情報を計測獲得だけではなく、生体へ情報を送信することで治療にも応用を検討することも可能になった。

  • 藤田 壌, 清野 健
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S123
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    近年,心電図波形の解析用途は,臨床検査だけでなく,スポーツや日常の健康管理のための心拍数計測など大きく広がっている.計測機器についても,医療用心電計だけでなく,下着内側に取り付けられた導電繊維,導電シートを電極として用いるウェアラブル心拍計が開発・販売されている.ウェアラブル心拍計により計測される心電図波形は,電極の特性や位置によって変化し,皮膚との接触不良よりノイズが混入しやすいため,幅広い計測状態に対応できるノイズ除去法や心拍数の検出法が求められている.そのような解析法の実現のため,本研究では多重スケールSavitzky-Golay (S-G)微分フィルタを用いた心電図波形の解析法を検討した.S-G平滑フィルタは,デジタル信号に対して多項式を最小二乗フィッティングし,それをスライドすることで信号を平滑化するFIRフィルタである.さらに,S-G微分フィルタでは,フィッティングされた多項式の微分係数がえられる.S-G微分フィルタはFIRフィルタとして表現可能であるため,畳み込み演算でその計算が与えられる.本研究では,畳み込み演算をさらに高速化するアルゴリズムを開発して用いた.また,S-Gフィルタを適用するスケール (ウィンドウ幅)を変化させ,多重スケールで分析した.講演では多重スケールS-G微分フィルタを用いた心電図波形の特徴量の検出法について紹介し,その有用性について議論する.

  • 田川 統基, 藤江 建朗, 中村 英夫
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    近年、心拍計測を脈波で測定するウェアラブル機器が増えてきている.それにともない多くの研究により脈波による心拍変動解析での心臓自律神経系活動計測を試みられている.脈波は心電図と違い,血管の弾性や血液の粘性による変動要因が含まれている.本研究の目的は,安静時の立位,座位,仰臥位の各姿勢における心電図R波と脈波ピークとの間での差異がどの程度異なるかについて詳細に検討することとする.被験者は健常男子を対象とし,各体位における心電図と脈波の同時記録を5分間行った.各体位による心電図,脈波での心拍数の値は,一致を示した.各体位における心電図R波と脈波極大ピークとの差異変動についての評価,及び心拍変動解析の一種であるTone-Entropy法を実際にR波と脈波極大ピーク時系列データに適用しどの程度精度が変動するか評価した.各体位で精度に差異がみられ,心臓自律神経系活動の総体を示すEntropyでは,立位と座位時の結果に統計的有意な差が見られた((ex.)p<0.05).仰臥位では統計的な有意な差は見られなかった.以上の結果より,脈波を用いた心臓自律神経系活動推定では体位についての変動要因も考慮する必要があると示唆された.

  • 石井 耕平
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S125
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    付け爪型脈波計は付け爪の要領で、爪に固定する新たなウェアラブルセンサである。在宅医療における遠隔モニタリングデバイスや日常的な個人の健康管理ツールとしての実用化を目指している。爪には汗腺、感覚神経がないため、付け爪型脈波計は使用時に不快な装着感がない。また、付け爪の要領で固定することにより数週間にわたる強固な固定を確保できる。さらに、人体には20枚の爪があることから、複数のデバイスを異なる爪に取り付けることで、多点同時計測が可能である。本研究では多点同時計測に着目した。手と足の爪では心臓からの距離が異なり、脈波伝搬時間に差が生まれる。手と足の爪に脈波計を取り付けることで、この脈波伝搬時間の差を計測できる。その値を基に脈波伝搬速度の算出することで、血圧推定や動脈硬化の評価への応用が期待できる。本研究では手と足の爪に取り付けた小型脈波計測回路により脈波の多点計測を行った。この結果を基に脈波伝搬速度を算出した。また、一点での計測と、多点での計測による脈波の連続性の違いについて検討した。

  • 植田 隼平, 藤田 壌, 西田 直樹, 藤尾 宜範, 林 洋行, 田口 晶彦, 川瀬 善一郎, 真田 知世, 金井 博幸, 野村 泰伸, 清 ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S126
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    近年,国内の企業において従業員の健康を経営資源ととらえ,社員の健康維持や改善のための取組や投資を積極的に行う「健康経営」の重要性が認識されるようになった.少子高齢化の日本では,人手不足,後継者不足,年金制度維持のための定年引上げなどの影響により,労働人口の高齢化が急速に進むことが予想されるため,企業の維持・成長のための経営戦略として健康経営を実践する必要がある.我々は,労働者,特に生産現場労働者の健康管理への応用を目指し,ウェアラブル生体センサを用いた体調評価指標を開発した.我々のアプローチでは,ウェアラブル生体センサとして衣料型デバイスを用い,労働中の加速度と心拍数を同時に計測する.これまで,心拍変動を用いた自律神経機能の評価や,心拍数あるいは加速度センサを用いた運動強度の評価については多くの研究成果があるが,日常発生する体調不良を客観的に評価する方法については十分に確立していない.我々は,建設・運送会社約12社に協力いただき,2017年5月から9月の期間にて延べ約7000人の労働者の就業中の心拍数と加速度をモニタリングするとともに,就業前後の主観的体調に関するアンケートを実施した.これらのデータ分析に基づき,加速度と心拍数情報を組み合わせた新たな指標を構成し,この指標が労働者の主観的体調と相関することが見いだされた.講演では,生産現場における生体指標の有用性について議論する.

  • 川口 孝泰
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S127
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     看護の専門的な営みにおける重要な役割は、患者の生体情報や生活環境を正確に収集し、医師やコメディカルとの情報共有をはかることにある。看護師のこの営みは、医療の質を決定するほどの重要な営みである。とくに看護観察技術の基本中の基本として、バイタルサイン(生命兆候の計測)があげられる。今日の生体工学および情報技術の進化によって、バイタルサインの計測から把握できる生体情報の範囲は大きく変わりつつある。講演者は、看護学(看護師)、教育学(教育学士)、建築学(修士)、人間工学(博士)を学んだため、それらを融合した研究を行ってきた。 本講演では、これまで講演者が取り組んできた、「工学+医学+看護学」の融合研究として取り組んできた研究の一部を紹介する。

  • 吹田 憲治, 奥村 敏, 石川 義弘
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S134
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    交感神経系の慢性的な活性化は、心筋細胞への傷害ならびに心筋細胞のリモデリングをもたらし、心房細動(Atrial Fibrillation: AF)や心室性不整脈を含む臨床的に重要な不整脈を引き起こす。β-アドレナリン受容体(β-AR)アンタゴニスト(β-遮断薬)によるβ-ARシグナル伝達の薬理学的阻害は、心不全、AFおよび心室性不整脈の治療に広く利用されている。しかしながら、β遮断薬の導入においては、心機能の悪化が副作用として問題となる。β-ARシグナル伝達の標的酵素であるアデニル酸シクラーゼ(Adenylyl Cyclase: AC)は、組織分布および生化学的特性が異なる複数のアイソフォームを発現する。我々は以前に、コンピュータベースの薬剤スクリーニングシステムにより、抗ヘルペスウイルス剤であるビダラビンを心臓型ACサブタイプの選択的な阻害剤として見出した。続いて、交感神経の過剰亢進により誘発されるAFおよび心室性不整脈の動物モデルを用い、ビダラビンの薬理効果を検討した。ビダラビンおよびメトプロロール(β遮断薬)は、AF持続時間を短縮し、交感神経活性化により誘発される心室性不整脈の発生率を低下させた。両薬剤で同程度の抗不整脈作用を示した投与量において、ビダラビンのみが心機能に有意な影響を与えなかった。これらの知見は、心臓型ACの選択的阻害が不整脈の予防および/または治療に有用であり得ることを示唆している。

  • KEITA SAKU, Takahiro Arimura, Kishi Takuya, Suanagawa Kenji
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S135-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    Background: Unlike ordinary diuretics, Tolvaptan minimally affects hemodynamics. We examined the impact of Tolvaptan on stressed blood volume (SBV) by circulatory equilibrium framework. Methods: In anesthetized mongrel dogs, we administered Tolvaptan (3mg/kg, N=5) or Furosemide (0.8mg/kg, N=5) intravenously. We estimated SBV from the circulatory equilibrium using the venous return surface: SBV=(CO+19.61*PRA+3.49*PLA) / (0.129*body weight); CO, cardiac output; PRA, right atrial pressure; PLA, left atrial pressure. We measured urinary volume (UV), arterial pressure (AP) and SBV simultaneously until 1 hour after the drug administration, and compared those of Tolvaptan with Furosemide. Results: Both Tolvaptan and Furosemide increased UV. In contrast, Tolvaptan decreased SBV and thus AP much less than Furosemide (p<0.05). Conclusion: Tolvaptan induces diuresis and preserves stressed blood volume, thereby stabilizes hemodynamics. Understanding hemodynamics by using circulatory equilibrium framework contributes to the safe management of patients with cardiovascular diseases.

  • YAMAMOTO HIROMI, Toru Kawada, Toshiaki Shishido, Shunichi Miyazaki, Ma ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S135-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    Open-loop systems analysis is useful to understand sympathetic arterial pressure control by dividing the arterial baroreflex system into neural arc and peripheral arc subsystems. We have investigated the effects on sympathetic nerve activity (SNA) of cardiovascular agents using the open-loop systems analysis.Regarding dihydropyridine Ca2+ channel blockers (DCCB), both cilnidipine (a second-generation DCCB) and azelnidipine (a third-generation DCCB) were expected to suppress SNA. However, these drugs did not suppress SNA, as in the case with nifedipine (a first-generation DCCB). Regarding beta blockers, two of most commonly prescribed beta blockers, metoprolol and carvedilol were compared. These drugs did not acutely affect the neural arc. Carvedilol, but not metoprolol, decreased arterial pressure, suggesting that carvedilol exerted peripheral vasodilation via its alpha blocking action.The open-loop systems analysis enables quantitative descriptions of the drug effects on baroreflex neural and peripheral arcs.

  • 上村 和紀
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S136
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    重症心不全や敗血症性ショックなどの重症循環不全を呈する患者の循環管理において、強心剤や利尿薬などの循環治療薬を適切に投与し、血圧・心拍出量・左右心房圧を好適に保つことが生命維持に不可欠である。しかし、その循環管理では、血圧などを持続的に観察し、薬剤投与量を患者ごとに、あるいは一人の患者においても病態に応じて頻回に調節しなければならない。これは医療者にとり過大な負担になっていた。また高齢化に伴いこのような循環不全患者は激増しているが、治療にあたる専門医は全医師の10%にも満たず、すべての患者が専門的治療を受けることは困難な状況にある。我々は、このような問題を克服し、いつでもどこでも適切に重症循環不全の血行動態を管理することのできる、循環治療薬投与のコンピュータ自動制御システムを開発してきた。我々のシステムは循環系の包括モデルに基づき、病態により異常となった心臓や血管の特性を、薬剤を使って制御することで血行動態を安定化させる。今回の発表では、これまで我々が開発してきたシステムについて概説する。

  • 生田 幸士, 木村 雄亮
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S137-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    筆者らの研究室では、最近、Point of care testing と言われる家庭やジャングルなど病院外で患者自身で簡単に早期疾患検知を可能とする新概念マイクロデバイスの開発に成功した。具体的にはqRT-PCRを用いるマイクロRNA 解析デバイスの開発と肝がんのマイクロRNA 検出に成功。もう1 件は、LAMP によるデングウイルスのRNA 発現解析である。いずれも手のひらサイズにマイクロリアクタ、検出装置などを同梱しておおり、実用化に近いレベルに到達した。

  • 早見 武人
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S137-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    眼筋の運動によって行われる眼球の回転,瞳孔の開閉,水晶体の伸縮は様々な自律神経活動を反映しており,その計測によって得られる反応は脳の活動を知るための有力な手がかりとなり得る.計測値は通常,脳からの指令そのものを反映しているものとみなして解釈され,構造物の力学的な性質は十分無視できるものとして取り扱う.しかし脳の働きを厳密に理解するためにはこの点についても考慮する必要がある.動画像に含まれる構造物の力学的性質の影響を見積もるための実験例を紹介し,この問題に対する画像処理の可能性と限界について考える.

  • 山田 憲嗣, 吉本 佳世, 小玉 伽那
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S137-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    著者らは、先進フォトニクスを利用し、在宅で使用可能な小型で低侵襲なデバイスの開発を行ってきた。本稿では、フォトニクス結晶を利用した簡易服薬管理システムやLED を利用した光音響システムによる早期褥瘡対策について述べる。簡易服薬管理システムはシルメル試験紙などのように紙ベース基板にナノ構造を施したフォトニクス結晶を配置し、ナノ構造に滞留した涙液中の薬物成分を表面増強ラマン散乱法により解析する簡便な装置である。また、LED を利用した光音響装置は従来のレーザーを利用した装置と比較し、携帯が可能であり安全面でも優位である。本装置を用いて、初期の褥瘡発生部位の検証を行ったので報告する。

  • 藤枝 俊宣
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    再生医工学・ロボティクス・情報通信の進展により、21世紀の医療では生体-人工物の統合が実現しつつあり、細胞治療・ブレインマシンインターフェース・テーラーメイド医療などの革新的な医療技術が提唱されている。これらの先進技術を実社会で安心・安全に利用するためには、生体特有の化学的・物理的・機械的性質に馴染む生体-材料界面の設計が重要となる。このような背景のもと、我々のグループでは数十~数百ナノメートルの膜厚に対して、数平方センチメートル以上の面積を持つ自己支持性高分子ナノ薄膜(ナノシート)を調製し、ナノシートの超薄構造に基づく柔軟性と接着性を明らかにしてきた。また、この接着特性を創傷保護材に応用することで、粘着剤を用いることなく生体組織表面に貼付可能なバイオマテリアル(ナノ絆創膏)を構築した。本研究では、インプランタブルデバイスに向けて、電子素子(例:導電配線, 電極, ICチップ, LEDチップ)を生体内部にシームレスに導入するためのナノシートの開発を目的とした。具体的には、柔軟性と接着性を有するナノシートと印刷技術(グラビアコーティング・インクジェット)を融合させることで、導電配線や電子素子を印刷・担持可能な「プリンテッドナノ薄膜」を創製した。さらに、このようなナノシートからなるインプランタブルデバイスを用いて、脳内の神経活動電位の計測や局所的な光照射による光線力学療法を試みたので報告する。

  • 桐野 泉, 青笹 李文, 山本 順司, 上本 伸二, 四ノ宮 成祥, 守本 祐司
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S139
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    光線力学療法(PDT)の進化系であるメトロノミックPDT(mPDT)は、光増感剤を持続投与しながら微弱光を長時間かけて照射することで、腫瘍特異的に穏やかな細胞死(アポトーシス)を惹起することが特徴である。微弱光で機能するため、埋め込み型電子デバイスによる深部内臓癌への光線力学治療という全く新しい治療技術への展開も期待されるが、現在までに、安定した抗腫瘍効果の報告はほとんどない。そこで演者らはマウス腫瘍モデルを用いてmPDTの抗腫瘍効果について調べた。まず、マウス背部に2つの皮内腫瘍を作成し、片方の腫瘍にmPDTを施行した。他方の腫瘍を遠隔転移腫瘍と見立て、両方のサイズ推移を観察した。波長630nm, 照射強度0.1-0.15 mW/cm2で、24時間、120時間、192時間(96時間×2回)のmPDTをそれぞれ行ったところ、光照射を受けた腫瘍、受けていない(非照射)腫瘍ともに腫瘍増大が抑制され、その抑制効果は光照射時間が長いほど強かった。組織学的 にはmPDT後の腫瘍にはアポトーシスを起こした癌細胞と共にT細胞浸潤、免疫学的細胞死を示唆するDAMPsの誘導を認めた。本研究により、mPDTは直接的(局所的)な腫瘍増殖抑制効果のみならず、遠隔腫瘍の増殖を抑制できることが明らかとなった。このことはmPDTが全身の抗腫瘍免疫を賦活化する可能性を示唆しており、今後、転移進行癌への応用が期待できる。

  • 横田 知之, 染谷 隆夫
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S140
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    近年、フレキシブルエレクトロニクスはデバイス自身の柔らかさといった特徴のため、生体・医療向けデバイスへの応用が注目されている。フレキシブルエレクトロニクスの柔軟さは、デバイス自身の厚さを薄膜化することで劇的に向上することが知られている。我々は、この特徴に注目し、デバイス自身の厚さを数マイクロメートルまで薄膜化することで、超柔軟な有機エレクトロニクスや有機光デバイスの作製に成功した。作製した有機エレクトロニクスは、わずか5 nmの薄膜の絶縁膜を有しており、2Vという低電圧での駆動に成功した。この絶縁膜には、アルミ酸化膜と自己組織化単分子膜を用いており、非常に高い歩留りでデバイスの作製を行うことができる。さらに、1μmの薄膜基板に有機発光素子(OLED)と有機受光素子(OPD)の作製に成功した。作製したデバイスは、封止膜を含めて厚さが3μmであり、皮膚の表皮の厚さより1ケタ程度薄膜なものとなっている。これらのデバイスは非常に薄膜であるため、皮膚に直接貼り付けることが可能で、ディスプレイやセンサとして用いることができる。さらに、OLEDとOPDを集積化することで、血中酸素濃度を作製することにも成功した。

  • 澤山 淳, 竹内 昌治
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S141
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     インスリン分泌異常により高血糖状態が続く糖尿病は、深刻な合併症を引き起こすことが知られており、血糖値を正常領域に維持し合併症の発症を予防することが患者のQOL向上に繋がる。そのため、複雑に変化する血糖値をモニタリングする連続グルコース計測システム(CGM)の開発が期待されている。市販のCGMは、グルコースオキシターゼを用いた酵素電極方式を採用しており、酵素作製時のバッチ間での活性のバラツキや、時間経過による酵素活性の低下などその特性に限界があり、較正やアルゴリズムによって補正する必要がある。そのため、近年では酵素電極を使わない方式のグルコースセンサーの開発が行われている。 我々はグルコース認識部位としてのジボロン酸と蛍光団としてアントラセン誘導体を有するグルコース応答性蛍光色素を生体適合性のPEGゲル中に固定化したグルコースセンサーを開発した。グルコースセンサーはグルコース濃度に応じて蛍光強度が可逆的に変化する。また、異物反応を抑制するPEGゲルに固定化されているため、ECMや線維芽細胞などによるグルコースセンサーのカプセル化を抑制できた。グルコースセンサーを搭載した埋込型の蛍光測定装置をラットの皮下に埋植し、連続グルコースモニタリングを実施したところ、長期間に渡って複雑に変化する生体内の血糖値に追随し蛍光強度が変化し、生体内のグルコース濃度の連続モニタリングに成功した。

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