生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
Annual56 巻 , Abstract 号
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  • 日本生体医工学会編集委員会
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. I1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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  • 日本生体医工学会
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. P2-P117
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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  • 伊福部 達
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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  • Keith E. Cook
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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  • 筒井 宣政
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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  • 宮本 大誠
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S4-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)では、日本発の革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出に向け、主に大学、研究機関、ベンチャー企業を対象として、医薬品・医療機器・再生医療等製品等の開発製品候補選定の最終段階から、主に臨床開発初期(POC(Proof of Concept)試験(前期第2相試験程度)まで)に至るまでに必要な試験・治験計画策定等に関しての指導・助言を行うため、平成29年4月1日より「レギュラトリーサイエンス総合相談(RS総合相談)」及び「レギュラトリーサイエンス戦略相談(RS戦略相談)」を実施している(平成29年3月16日付け「薬機発第0316001号「薬事戦略相談に関する実施要綱の一部改正等について」参照)。RS戦略相談及びRS総合相談は、機構における相談事業の一層の充実を図るため、平成23年7月より行ってきた薬事戦略相談を改称し実施している相談である。今般、講演の機会をいただいことから、相談対象となる大学、研究機関やベンチャー企業からの、より一層のご活用いただくことを念頭に、審査マネジメント部 イノベーション実用化支援・戦略相談課が担当している本相談事業の内容を紹介するとともに、相談申込から面談までを円滑に進めるための手続き、資料整備等に資する留意点を含めご案内する予定である。

  • 石井 健介
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S4-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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     医療機器にかかる技術革新が飛躍的に進んでいる。新しい製品の特性に応じた規制の枠組みを速やかに構築し、実用化への道筋を作っていくこと、更にその道筋を使った成功事例を打ち出していくことが重要である。

    医療上の必要性の高い医療機器をより迅速に患者に届けるためにはどうすべきか。日本の様々な異業種の優れたシーズと医療ニーズがマッチし、アカデミアやベンチャー企業等が生み出した医療機器を世界に展開するにはどうすべきか。今、医療機器開発は様々な課題を解決していくための制度や政策が、立案・施行されはじめている。(1)イノベーション実用化支援体制の強化、(2)先駆け審査指定制度、(3)革新的医療機器条件付き早期承認制度などは、まさにその中心となる政策と思われる。

    (1)は、アカデミアやベンチャー企業が有する画期的な医療機器のシーズの実用化に向けた開発戦略相談の充実である。(2)は、開発状況等から有用と思われる医療機器について他国に先駆けて我が国に申請する意思がある場合に、PMDA内の専門の審査パートナー(コンシェルジュ)をつけ、開発の進捗管理等を含む相談等の伴走をすることによって、審査期間の短縮を図るものである。(3)は、医療機器のライフサイクルを踏まえ、市販前・市販後の規制バランスの最適化を図り、医療上の必要性の高い医療機器の承認の早期化を図るものである。

    今、医療機器の実用化の推進に向けた様々な政策が着実に進んでいる。

  • 讃岐 徹治
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    痙攣性発声障害は、喉頭に器質的異常や運動麻痺を認めない発声障害の一つで、発声時に内喉頭筋の不随意的、断続的な痙攣による発声障害をきたす疾患であり、国内外ともに内転型痙攣性発声障害に対する根本的な治療はない。チタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術2型は、発声時に不随意的、断続的に強く内喉頭筋が内転することで声門が過閉鎖し症状が発現することに着目し、発声時に声門が強く内転しても声帯が強く閉まらないように甲状軟骨を正中に切開し、両側甲状披裂筋の付着部を甲状軟骨ごと外側に広げて固定する手術術式であり、京都大学名誉教授一色信彦先生により報告された。チタンブリッジは、世界に先駆けて開発された新規原理の医療機器で、本邦独自の医療技術である。本治療は、その有効性により患者のQOL向上に寄与し、標準治療になりうるものと考え、2014年より難治性疾患等克服研究事業でチタンブリッジの実用化に向けた研究「内転型痙攣性発声障害に対するチタンブリッジを用いた甲状軟骨形成術2型の効果に関する研究 」を開始した。チタンブリッジは、厚生労働省の先駆け審査制度指定品目医療機器第一号に2016年2月10日付けで指定を受け、翌年12月15日に先駆け指定品目の中ではじめて薬事承認された。我々がこれまで進めてきた医師主導治験による高度管理医療機器開発と先駆け審査指定後の開発について述べる。

  • 内田 毅彦
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    日本は技術力、品質管理能力、さらには医療水準が高いことから、医療機器開発に関するポテンシャルは高い。ところが、現状貿易赤字が数千億円に登り、世界的な医療機器企業も少ない。アカデミアや中小企業に良いシーズはあるが、事業化フェーズを乗り越えられず、多くはいわゆる「死の谷」に落ちてしまうといわれている。その理由の1つに薬機に関わる問題が指摘されている。薬機戦略などが適切でないと死の谷が超えられないという点である。医療機器開発には様々な過程がある。アイデア→プロトタイピング→ベンチトップテスト→動物実験→臨床研究(治験)→薬機承認→(保険償還)→販売などである。そしてこのプロセスのどれか1つがうまくいかなくても成功事例にはなりえない。とりわけ薬機戦略については、規制に対する正しい理解に加え、非臨床試験や治験のデザイン、さらには品質保証と、要するに医療機器開発のおよそ全てについてを含有しなくてはならないことから、極めて重要であり、かつ負荷が大きいといえる。この薬機に係る問題を踏まえ、医療機器開発がどうすれば成功につながるのか。医療機器開発を実施するスタートアップ企業の経験から演者の視点を述べる。

  • 浦壁 昌広
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    コンタクトレンズは、日本では1千7百万人から9千万人が使用する最も普及し身近な医療機器であり、日本は米国に続く、世界第二位の巨大マーケットである。年間の卸売総額は2,200億円前後に上り、今も成長中である。 コンタクトレンズが日本に出現して約60年。当初から国内には優良なコンタクトレンズメーカーが多数あったにも関わらず、90年代の使い捨てコンタクトレンズの出現とともに、市場のメインプレーヤーは外資系企業へと代わり、日本のコンタクトレンズ市場は圧倒的輸入超過が継続している。更に、使い捨てコンタクトの出現は事業自体を投資先行型の装置産業へと変換しビジネスモデルの大きな変革をもたらした。最近は、高齢化社会の中での顧客ニーズ多様化や、世界での近視の爆発的な増加の中で、新たなフェーズの到来が予想される。日本企業が何故使い捨てに出遅れたのかを明かにしつつ、圧倒的な企業規模の差がある中で、日本の中堅企業であるシードが巻き返しを図るための近年の事業展開を事例として紹介し、コンタクトレンズ産業の技術革新の歴史、その方向性を決める因子、多様化しながらも変化する消費者ニーズ、コンタクトレンズに期待される新な機能などを探って参りたい。

  • 梅津 光生, 岩崎 清隆, 松橋 祐輝, 坪子 侑佑, 村垣 善浩, 伊関 洋, 笠貫 宏
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    医薬品や医療機器の実用化には、綿密な前臨床試験、臨床研究・治験などが義務づけられ、動物や人間で安全性と有効性をしっかり確認することが求められている。しかし、急激な医療技術の進歩に評価試験の方法論が十分対応できていないことに加えて、最大の問題は、産官学、そして患者と、多岐にわたる利害関係者間での価値判断の基準を調整することの難しさにある。この問題に総合的な視点で取り組み、生命医科学や医療工学の基礎に基づく先進医療のガイドライン策定から、専門人材育成にまで取り組むために、2015年、早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス(RS)研究所を創設した。一方、文部科学省の大学設置基準等の省令改正を受けて、早稲田大学と東京女子医科大学は、先進医療技術の急速な進歩を背景に、医療レギュラトリーサイエンス(RS)の博士人材育成を目指した共同大学院(共同先端生命医科学専攻)の設置申請を行い、我国初の認可を受けた。当該専攻は1学年定員10名の博士課程のみの専攻で、2010年に開講した。定員充足率は100%を超え、今までに42名に対し博士号が授与されている。本専攻の博士学位取得者のアンケート結果によれば、RS専門家としての自覚のもと、産官学や国際展開の協議の場、製品開発・臨床研究の実施の機会が増加しているという。また、医療業界の人脈の広がりにより、本専攻卒業生を中核としたネットワーク(早稲田RS研究所)の発展を推進している。

  • 山崎 健二, 本村 禎, 小林 信治, 岩崎 清隆, 梅津 光生
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    EVAHEARTは拍動効果を持ち補助能力が高いこと、せん断応力が小さく血液障害が少ないこと、長期信頼性が高くデバイス血栓症が少ない等の利点を持つ。EVAHEAR2ではレーザー溶接によるケーシング肉厚の菲薄化、高効率化による駆動モータの小型化によりポンプ重量420g→262gと大幅な小型軽量化が実現した。同時に耐久性を維持しつつ駆動ケーブルを断面積比で36.7% 細径化した。またメカニカルシール摺動面の表面修飾により潤滑状態が改善し、回転抵抗は格段に安定化しアラーム問題も解決できた。EVAHEART2は2017年11月に薬事承認された。脳血管障害の克服に関しては、チップレスカニューラを開発し承認申請を行った。wedge thrombusの原因となるカニューラチップ周辺の血流鬱滞や片当りを完全に回避可能な新機構である。EVAHEART2+チップレスカニューラの組合せにより合併症がより少ないDT時代に相応しいデバイスが誕生するものと期待される。海外展開について:中国に関しては、EVAHEARTが2015年型式試験開始・「革新医療機器」に認定、2017年中国FDAに臨床治験申請、2018年1月より臨床治験が開始された。米国に関しては、EVAHEART 2 + チップレスカニューレでの治験が2018年2月FDAより開始許可が得られ、順次6施設でfeasibility study が開始される予定である。

  • 高橋 彩来, 方 眞美, 白土 治己, 小西 明英, 中村 泰子, 峯田 浩司
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S10-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    Harmonization By Doing(HBD)活動は、2003年より日米の官・学・民の協力により進められてきた活動であり、日米国際共同治験の実施による医療機器開発促進を目的とし、日米間の医療機器規制の整合を図る上で生じる問題点及びその解決策に関する実践に基づいた議論を行ってきた。すなわち、それまでは困難とされてきた国際共同治験を、心血管疾患を対象とする医療機器について、実際に行うことで、日米の医療機器規制には類似性があり、国際共同治験の実施により、日米の承認取得に必要とされる臨床データを効率的に取得することが可能であることが示された。また日米の臨床試験の規制や質も同等であることも示され、心臓血管系疾患を対象とする医療機器のグローバル開発促進やデバイスラグ解消に多大な貢献をしてきた。2016年からは、HBD活動の一環として、小児用医療機器に注目した「Harmonization By Doing for children(HBD for children)」がスタートした。このWGでは、開発が遅れがちな小児医療機器の早期申請、承認に向け活動している。このセッションにおいては、HBD活動内容、審査経験、早期開発促進に向けた取り組み等について紹介を行うとともに、現在得られている成果について報告する。

  • 池野 文昭
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S10-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    レギュラトリーサイエンスという言葉は、まだまだ、世界的に普及しているとは言えない。例えその言葉が使用されていてもその定義は、様々である。

    しかし、言葉の違いがあれど、我々が提唱する「レギュラトリーサイエンス」は、社会にとって、人間にとって非常に重要なものである。現在、医療機器に関しても国境を超え、流通している現状、また、今後、AI やIoT に代表される医療機器ソフトウエアーに至っては、いとも簡単に国境を超えることができる。その意味から、レギュラトリーサイエンスが今後重要になってくる。そして、共通認識の元、いかに、国際展開していくかが、鍵である。

  • 岩﨑 清隆, 松橋 祐輝, 坪子 祐介, 朱 暁冬, 笠貫 宏, 梅津 光生
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    先進的医療機器や有効な治療技術が適正な開発費で開発され、患者に迅速に届けられることが日本のみならず世界で期待されている。医療機器開発においては、期待される効果の評価と合わせ、患者適用時のリスクを抽出し、評価、低減していくことが重要となる。開発する医療機器の性能を最大化させ、リスクを低減するためには、患者の解剖や背景、使用法の影響を良く検討する必要がある。First inHuman 等の先進的治療機器であるほど、承認取得のための治験は、患者の症例選択、症例数、評価期間等の点で限定的にならざるを得ない。そこで、我々は、先進的医療機器の開発を迅速化し、また、世界に先駆けて日本の患者に届ける環境を創るために、安全性と有効性の評価、そして意思決定の根拠となる、これまでにない実臨床を踏まえた非臨床試験法の開発に挑戦し、全国の医療施設と未来の医療を創造する医工学研究に取り組んでいる。また、国内外の医療機器企業等とプロジェクトを推進し、市販前には、デバイスの開発、承認申請の根拠となる実臨床を踏まえた先進的非臨床評価、また、市販後には、明日の医療に役立つ効果的な使用法の提示や、課題の迅速究明、改良の迅速化に寄与する医工学研究を推進している。合わせて、先進的医療機器の評価指標に関わるガイダンスの策定や、JIS、そしてISO 規格策定にも取り組み、先進的非臨床評価のグローバル社会への実装を推進している。

  • 城戸 輝仁
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    臨床研究医(診療をメインに研究活動も行う臨床医)は、診療を通じて大小様々な新たな知見に日々遭遇している。それらの中から将来の診療に役立つと思われる知見は、学会発表を通じて議論し、その後、論文にまとめて報告されることが一般的である。学会発表が先行するのは研究の先進性がアピールできるからであり、論文を最終報告とするのは知財獲得では学術的な評価指標にならないことが多いからである。ほとんどの臨床研究医は、学会発表・論文化された内容がその後の研究開発や商品化にどう活かされるかには興味を示してこなかった。しかし、画像解析技術などは、研究者個人の端末で行えるだけでは、実際にその技術を必要とする多くの患者に届けることは難しく、現代では産学連携による普及活動が重要である。これまでも企業主導での商品開発(企業側のアイデアを臨床医が評価する形式)は数多く実践されてきたが、医師主導研究からの商品化は余り行われてこなかった。背景には臨床研究医の知財リテラシーの低さがあるといえる。我々の教室でも循環器イメージング解析を中心とした数多くの研究開発が行われてきたが、知財の確保ができていないことにより、多くの問題が生じていた。本講演で我々の経験をお示しする事でこれからの産学連携のあり方について議論するきっかけになればと期待する。

  • 大山 真吾
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    研究者の自立において、その研究成果(アイデア)を特許として保護し、企業との交渉・契約において活用し、収入を得ることは、自らの研究の自由を確保する上で大切なことである。なぜなら自由に使える、使途の縛られない資金こそが、自由な研究の出発点だからである。しかしながら、契約交渉などの行為は研究者が最も苦手とするところであり、多くの時間が割かれる。そのため、平成10年の「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」(TLO法)が制定されて、仲介者としての技術移転機関(TLO)が誕生した。TLOは研究者の苦手とするところを補完し、研究者はさらに新しいアイデアを生み出す…そういった理想が20年前に謳われ、現在、一部で成功事例は見られるが、未だ多くが実現できていない。なぜか。原因はさまざまだが、その一つとして考えられるのが、特許を出願することに主眼を置き、特許を使う(活用する)ことに対して十分な知識がなかったことだと考える。そこで特許出願と付随する契約交渉などの注意点を紹介し、皆様と特許の活用について考えてみたい。

  • 石原 謙
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S14
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     研究者は自ら「研究成果が世の中に貢献できるのだからそれだけで良い。」「好きなことをしているのだから貧乏でも仕方がない」とか「研究の喜びは何にも替えがたいものだから貧乏でも良い」などと自らの経済音痴の言い訳をしがちである。 こういう研究者の態度は日本の経済と産業の発展を損なっている。医学部であれ工学部であれ、研究者がお金に無頓着であることは大きな問題を生じているのだ。伊藤忠から、センチュリーメディカルそしてジョンソンエンドジョンソンを渡り歩いて素晴らしい業績を残し、医療機器開発に一家言をもつ名経営者の松本晃氏は言う。「米の研究者はお金を儲けて自らの喜びに変えることを是として一生懸命売れる研究をするが、日本の研究者はお金に無頓着なので結果的に商品にできるシビアな研究をしていない。企業からみると信頼できない。」至言であり、耳が痛い。 自らの経済的権利の放棄は、美談ではなく、期待しているご家族を切ない思いにさせる。さらには同僚・後輩への犯罪でもある。「優秀なあの先輩でも、この待遇で貧乏なんだから僕など仕方がない。」と思わせるからだ。 数学的アルゴリズムさえ特許になり得る時代である。知財を経済的にも活用できない研究者は、その組織やコミュニティまで滅ぼしかねないことを強く自覚しよう。今、大学こそが、知財活用のできる研究者を求めている。お金が嫌いなら、稼いだあとに寄付をすれば良いではないか。

  • 松本 健郎
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S15
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    力学刺激を生化学応答に変えるメカノトランスダクションの機構のひとつとして,組織に加わる負荷が細胞を変形させ,それが核を変形させ,核の変形がクロマチンの配置を変化させ,これによりmRNAへの転写が影響を受けることが考えられている.そこで我々は高血圧に伴う血管壁肥厚メカニズムの解明を目指し,血管組織の変形が細胞,更には核をどのように変形させるのか調べている.まず,正常家兎胸大動脈薄切組織の円周方向引張時の微視的変形を計測し,弾性板は蛇行が解消してから伸び始めること,様々な方向を向いていた平滑筋細胞核が回転して引張方向(円周方向)に揃ってくることなどを確認した.また,細胞核の変形が組織の変形に比べて40-50%程度小さいことを見出した.更に無負荷状態で血管を培養することにより,壁内の平滑筋細胞核が6日後には一旦,細く小さくなった後に9日後には大きく円形に変化した細胞が現れてくること,核内部のクロマチンも核膜付近に集中した状態から,細く小さい細胞では核内に均質に拡がった状態になり,大きく円形に変化した細胞では核内部に凝集塊が現れ,培養細胞類似の形態に変化することなどを見出した.平滑筋細胞核の変形は組織の変形と異なること,細胞核の形態は力学刺激に応じて変化することが示された.

  • 杉田 修啓, 加藤 雅也, 中村 匡徳
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    大動脈は,エラスチンやコラーゲンなどの比較的弾性率の高い物質や,比較的弾性率の低い平滑筋細胞成分から成る.脈圧により円周方向に繰返し伸び縮みし,大動脈内部で主に円周方向に配向する平滑筋細胞にもこの刺激が負荷されている.この刺激への応答を調べるため,in vitroで薄いシリコーン膜上に血管平滑筋細胞を播種して単軸引張負荷する試験が行われてきた.しかし,平滑筋細胞は,弾性率の異なる物質が不均質に分布する複合材料内で3次元的に存在しており,実際にどのような変形が平滑筋細胞に負荷されるのかは不明である.そこで,内圧負荷時の大動脈組織の変形量を3次元的かつ細胞スケールで計測することとした.マウス大動脈の弾性板の自家蛍光を多光子顕微鏡で観察することとし,弾性板各層の一部にマーカを付与して大動脈壁局所の3次元ひずみを計測した.その結果,想定されてきた様に,加圧により円周方向の垂直ひずみが生じ,軸方向ひずみはほぼ0であった.しかし,興味深いことに,円周-半径方向面内にせん断ひずみが生じた.このような変形は,生理的な脈圧による変形で得られており,組織内平滑筋細胞の通常の力学環境は単純な単軸引張ではなく,複雑であることが示された.

  • 長山 和亮
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    血管平滑筋細胞は力に応答する代表的な細胞であり,高血圧などで過剰な力に曝されると, 細胞の生化学的・力学的特性に変化が生じる.このような細胞の力学応答は血管の疾患発生にも深く関与すると考えられている.近年では,細胞内の細胞骨格の力が核に伝わることで細胞機能が調整されるといった「核のメカノトランスダクション」の可能性が提唱されてきているが,主に平面培養系の細胞が対象とされてきている.このような平面培養環境では,細胞の向きや形状の極性が失われ,増殖・運動性が高い合成型細胞へ脱分化してしまう.一方で,実際の血管組織内では細胞が血管径に沿って一律に配列し,その高い収縮性により血管径を的確に調節している.力に対する血管細胞の応答メカニズムを明らかにする上で,細胞の配列や細胞同士の結合といったin vivoの力学環境を考慮した培養・実験・解析系の構築が欠かすことができない.そこで本研究では,生体由来材料であるコラーゲンのみを用いて微細な溝を持つ基質を形成し,微細溝に沿って細胞を効率良く配向・組織化する手法を確立した.そして,このような細胞の配列・組織化が血管平滑筋機能にどのような影響を与えるのか,核に作用する力の観点から実験的に考察した.

  • 山本 憲隆, 前嶋 風輝
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    腱は階層構造をとっており,線維束,線維,原線維の順に細くなり,最終的にコラーゲン分子に至る.損傷した腱が治癒することは良く知られており,治癒過程の解明に関する研究は動物実験などの生体内での実験により盛んに行われてきた.しかし,原線維レベルでの生体外での研究は行われていない.本研究では,ラット尾腱より摘出したコラーゲン原線維の端部をコラーゲン溶液を用いて接続し,その引張試験を行い,原線維の修復について検討した.実験には,ラットの尾腱を用いた.尾腱の線維束を蒸留水と共に試験管に入れ,試験管ミキサーで攪拌した.原線維が分離し,綿状になった試料をスライドガラス上に取り出し展開した.スライドガラス上の2本の原線維の端部を近づけて,この部分に酸抽出I型コラーゲン溶液と再構成用緩衝液をマイクロインジェクターを用いて滴下し,37℃で30分間反応させた.引張試験は倒立顕微鏡のステージ上で,暗視野下で行った.ステージ上に固定したマイクロマニピュレータに取り付けたマイクロ針を用いて,修復した原線維を取り上げ,原線維の両端をマイクロ針に巻きつけた.その後,生理食塩水中で,一方の針は静止させたままで,もう一方の針は原線維が破断するまで移動させた.試験中,原線維はマイクロ針の先端に固定されてすべりが生じることはなく,修復部で破断した.修復された原線維の最大荷重は正常な原線維の最大荷重の約30%であった.

  • 東藤 正浩, 北山 美咲
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    変形性関節症(Osteoarthritis: OA)は,労働やスポーツ,外傷などによる過剰な力学的負荷が原因で発症する関節軟骨の退行性疾患である.高齢化が進む中で,この病態を十分に把握し,適切な診断を行うことが求められている.ラマン分光法は,光と分子振動の相互効果を利用した成分解析手法である.水分の影響を受けにくく,有機・無機両成分の成分解析を非侵襲的に解析できるという特徴をもつ.これより,ラマン分光法は生体組織の計測に有用である.そこで本研究では,コラーゲン,プロテオグリカンなどの高分子化合物から構成される関節軟骨の力学特性評価法として,ラマン分光法を用いた.このラマン分光法により,ブタ膝蓋骨から採取した関節軟骨試験片にラマンスペクトル解析を行い,力学的負荷に対する膝関節軟骨のラマンスペクトル応答について調査した.ラマンシフトのピーク位置がproline, phenylalanine, amide Iおよびhydroxyprolineにおいて正の方向に変化する傾向が見られた.本結果より,軟骨を構成する成分についてラマンシフト変化の傾向を確認でき,軟骨組織の力学的評価法としての有効性を確認することができた.

  • 佐伯 壮一, 古川 大介, 中村 卓, 池淵 充彦, 中村 博亮, 新実 信夫, 塚原 義人
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
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    再生医療分野では基礎研究のみに留まらず,臨床適用に向い急速な発展を続けている.その中で,軟骨や皮膚などの自家培養組織は既に認可され臨床適用が進んでいる.しかし,その力学特性について詳細な検討を行った報告は極めて少ない.本研究では,前十字靭帯切除術により,初期OAを発生させた家兎モデルを用い,ex vivoにて動物実験を行う.軟骨組織に強制変位加振を与え,組織内部の粘断性特性をマイクロ断層可視化する動的粘弾性Optical Coherence Straingraphy (OCSA)を適用し,初期OA軟骨の力学特性マイクロ断層評価法としての妥当性について検証する.その結果,粘弾性特性を反映する強制変位加振との位相差断層分布を算出し,位相差の空間分布から軟骨組織のコラーゲン配勾特性などの力学特性の空間依存性を評価するとともに,正常軟骨と初期OA軟骨の位相差空間勾配の比較により,粘性係数の破綻を検出することがわかった.これより,動的粘弾性OCSAによる軟骨組織の力学特性マイクロ断層評価法として妥当性を示した.

  • 藤崎 和弘, 齋藤 直也, 森脇 健司, 笹川 和彦
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    骨組織はアパタイトとコラーゲンからなる複合構造であり,組織の剛性はアパタイト含有量とアパタイト結晶の形態に強く依存する.骨組織からアパタイトを除去(脱灰)すると,マクロな弾性率は低下するが,コラーゲンのみの構造となることから柔軟で壊れにくい組織となる.これまで我々は,切り欠きを付与した牛大腿皮質骨試験片において,応力集中部の脱灰処理が衝撃破壊強度の改善に有効であることを示してきた.一方,骨組織へのアパタイト供給の観点から,電圧印加を利用した骨組織へのミネラル誘引技術を提案しており,アパタイト合成液中での通電により,皮質骨表面にリン酸カルシウムの結晶体を生成することに成功している.生体骨組織内のアパタイト量を自由に調整できれば,骨格系に作用する力学環境に合わせて組織の剛性と柔軟性を制御する積極的な骨折予防技術を提案できる.本研究では,骨梁構造からなる海綿骨に注目し,脱灰と結晶生成が組織の力学特性に与える影響を調査した.実験には牛大腿骨から成形した海綿骨試験片を用い,骨髄除去後に表層部のみの脱灰処理を行った.この脱灰処理により海綿骨試験片の弾性率は低下した.また,試験片をアパタイト合成液中で通電することで,脱灰の有無に関わらず内部の骨梁に結晶の生成が確認された.結晶生成量は通電時間に伴って増加していくが,表層部での形成が主であり,マクロな力学特性への寄与は小さかった.

  • プラムディタ ジョナス アディティヤ, 鈴木 一成, 齋藤 侑樹, 田邊 裕治
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    足指の骨折傷害は硬い物体との衝突や移動物体による押しつぶしなどの衝撃荷重により発生する.足指骨折を防止する対策を講じるために,外力による足指の傷害耐性を把握する必要があるが,足指のような小直径長骨の骨折に関する実験データは少ないのが現状である.そこで,本研究は落錘式衝撃試験機を用いてブタ足部の圧縮試験を行い,衝撃荷重に対する足指の力学的応答および骨折特性を明らかにするとともに,骨折リスクを評価する手法を新たに提案することを目的とした.ブタ足部は,骨部の構造および幾何形状がヒトに似ていることから試験片として選定した.試験は,衝突速度1.7 m/s~2.6 m/sの条件の下で37個のサンプルに対して実施した.骨折時の荷重等を正確に求めるために,中手骨にAEセンサを固定し,試験中に計測した信号を解析することにより,骨折の発生タイミングを特定した.試験機の加速度計,変位計および荷重計により計測した応答から骨折時の荷重,力積およびエネルギーを算出し,これらを統計的に分析することにより骨折の発生可能性を表すリスク曲線を構築した.このリスク曲線より,発生確率が50%となる荷重,力積およびエネルギーを骨折の発生閾値として提案することができると考えられる.また,過去に報告された準静的試験や動的試験の結果との比較を行い,衝突速度約3.0 m/sまでの範囲内においてほぼ同程度の荷重値で骨折が発生することがわかった.

  • 藏田 耕作, 岩田 季久, 田中 康嗣, 金澤 知之進, 後藤 昌史, 高松 洋
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S23
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    腱板の腱-骨付着部では,コラーゲン線維が豊富な腱,線維軟骨,石灰化線維軟骨,骨の4つの組織が4層の階層構造をなして接合している.しかし,加齢や過負荷によって付着部が一度断裂すると,再建手術を行っても腱-骨移行部の機械的特性の低下によって再断裂を生じやすいことが指摘されている.再建手術後の強度低下には,腱-骨付着部の組織構造の違いが関与していることが予想されるが,詳細が分かっていない.そこで本研究では,ラット健常肩および再建肩の腱-骨付着部をレーザーラマン顕微鏡によって計測し,骨ミネラル分布やコラーゲン構造の変化を明らかにすることを目的とした.ラット棘上筋腱を上腕骨から切離した後に腱板再建手術を行った実験群と健常な対照群に対して,ダイヤモンドカッターを用いて上腕骨軸と平行方向に薄切した試料を作製した.骨領域から腱領域に向かってレーザーラマン顕微鏡を用いてラマンスペクトルを取得して比較したところ,再建手術後は骨部分のリモデリングが亢進するとともに骨ミネラル成分の沈着が増加することが明らかになった.また,骨,腱-骨移行部,腱のいずれの領域においてもコラーゲン架橋率の増加が認められた.これらの構造変化が腱板再建手術後の再断裂の発生に関与していると思われた.

  • 坂本 信, 杉田 魁人, 森清 友亮, 風間 清子, 小林 公一, 田邊 裕治
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    ヒト母指の運動自由度は,指節間(Interphalangeal : IP)関節,中手指節(Metacarpophalangeal : MCP)関節,大菱形中手(Trapeziometacarpal : TMC)関節の3つの関節により得られ,他指に比して高い自由度を有している.母指関節の接触運動力学的特性を調べることは,関節の複雑な機能を明らかにすることにつながり,疾病の診断等において重要である.そこで本研究では,in vivoにおける母指IP関節およびMCP関節の接触運動挙動を検討するために,MRIを用いて被験者7名の右母指についてNeutral, Lateral pinch,Graspの3肢位における接触面積と関節軟骨接触領域分布について明らかにした.その結果,IP関節接触面積は,Neutral(屈曲角度: 15.0 ± 7.6°),Lateral pinch(屈曲角度: 37.4 ± 9.3°),Grasp(屈曲角度: 63.4 ± 10.6°)において,それぞれ36.6 ± 16.7 mm2,45.3 ± 18.4 mm2,48.9 ± 20.8 mm2であった.また,MCP関節接触面積は,それぞれNeutral(屈曲角度: 7.5 ± 3.8°)で51.4 ± 21.7 mm2,Lateral pinch(屈曲角度: 9.0 ± 10.6°)で50.9 ± 23.6 mm2,Grasp(屈曲角度: 36.6 ± 11.9°)で48.3 ± 23.0 mm2であった.また,接触領域分布の変化から対象肢位間においては,IP 関節は滑りを主体とした運動であり,MCP関節はLateral pinchからGraspで主に転がり運動であることが確認できた.

  • 小林 公一, 風間 清子, 坂本 信
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    橈骨手根関節は背屈,掌屈,橈屈,尺屈といった二軸性の運動とそれらを連続して行う分回し運動を可能とし,橈骨遠位端と月状骨,橈骨遠位端と舟状骨の軟骨が互いに接触する.変形性関節症などの軟骨変性を伴う疾患の発生や進行機序を解明するためには,これら軟骨の接触挙動を評価することが重要である.そこで本研究では,イメージマッチングにより橈骨手根関節の軟骨接触挙動を生体内で評価することを目的とした.健常被検者4人の右手関節と対象とした.橈骨,月状骨および舟状骨の三次元骨形状モデルと軟骨形状モデルをCTスキャンとMRIスキャンデータを基にそれぞれ構築した.2方向X線により掌屈位,背屈位,撓屈位,尺屈位,中立位を撮影し,三次元骨形状モデルとのイメージマッチングにより橈骨,月状骨,舟状骨の三次元位置を決定した.イメージマッチング後の軟骨モデルにおいて,モデル同士が重なっている部分を接触面積と定義し,さらにその重心から接触点を求めた.接触面積は背屈位と尺屈位において橈骨月状骨関節で最大となり,掌側位,中立位および尺側位において橈骨舟状骨関節で最大となった.また接触点は,橈骨月状骨関節において橈尺方向に最大6.4 mm,背掌方向に最大3.7 mm移動した.同様に橈骨舟状骨関節において橈尺方向に最大1.5 mm,背掌方向に最大3.6 mm移動した.以上の結果より,橈骨手根関節の接触挙動は関節肢位の変化に依存することが分かった.

  • 川村 勇樹, 今井 大貴, 谷藤 祐紀, 山本 衛
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    変形性関節症の治療法として,骨関節症患者の股関節を人工的に作製された関節で置き換える外科手術である人工股関節形成術が実施されている.しかし,人工股関節には脱臼などの課題が残されている.そこで我々は,人工股関節の脱臼を対象とし,構造的に脱臼を防止する機構に焦点を当てた.関節脱臼を防止する構造において,人工股関節の引抜き力を推定することが重要である.本研究では,脱臼防止機構付き人工股関節に対して,有限要素解析を実施することで,適切な引抜き力となる関節構造を設計する際の指標を得ることを目的とする.提案する人工股関節は,寛骨臼カップが半球線を越えて人工骨頭を包み込む構造によって,脱臼を妨げる引抜き力を得る.人工股関節のCADモデルを作成して,人工骨頭の半球線を越える部分(インセット部)の高さの影響を検討するとともに,引張試験によって得られた実験値と解析値を比較した.インセット部の高さを変化させた解析の結果,インセット部を高くすることで,引抜き力を増加させることが示された.また,実際に引張試験を行った結果と比較した場合,解析によって実験結果を再現することができた.従って,引抜き力を設定するうえで,インセット部の高さが最も注意深く決定すべきパラメータであり,インセット部の高さが引抜き力へ及ぼす影響を加味することで,最適な引抜き力を有する人工股関節の形状を決定することができると推察される.

  • 白石 泰之, 山家 智之
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S27-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    東北大学での非臨床試験推進センターでは、平成29年の施設竣工後より共同利用・共同研究の拠点としての動物実験施設を含む非臨床医療機器開発研究のための実験研究の場として運用を開始した。現在、開発研究領域でのME技術の高度化と分散化が進んでいる。また、評価科学的手法はさまざまに発達する状況のなかで、臨床での安全性に対する要求はさらに高まりつつある。新たに設立されたセンターでは、これらのニーズと臨床応用への迅速実用化に必要な科学的根拠を高い信頼性をもって提示する。治療診断用ME機器の教育研究のための機能と国際標準での実用化をサポートする組織を構築しつつある。

  • 田中 明
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S27-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    福島県は医療機器受託生産金額,医療用機械器具の部品等生産金額において,国内でも上位(平成26年は1位)であるほか,県内には福島県立医科大学をはじめ,日本大学工学部や福島大学共生システム理工学類,会津大学において医療・福祉機器関連の教育や研究開発が行われている.県ではこのような特徴を活かして,産学官の連携による医療機器関連分野の集積を図るため,東日本大震災からの復興を期して策定した重点プロジェクトの一つに「医療関連産業の集積」を位置付け,様々な事業を展開している.平成29年度からは「次世代医療産業集積プロジェクト」がスタートし,研究開発推進,企業支援・地域活性化,医工連携・人材育成,販売促進・海外展開,拠点運営強化をアクションプランとして進めている.特に,人材育成では,県内企業の社員だけでなく,大学学部生や高等専門学生,大学院生を対象としたコースが設けられており,単なる技術的な内容だけなくビジネスモデルや法規についてのセミナーが行われ,成果を挙げている.また,拠点運営強化については,平成28年度に開所した,「ふくしま医療機器開発支援センター」や「医療―産業トランスレーショナルリサーチセンター」を核とした,医療機器開発支援体制,創薬研究開発支援体制の強化が進められている.以上のように福島県では,県を挙げた医療機器開発支援の取り組みが行われている.

  • 廣浦 学, 向井 純平, 正木 涼子, 富永 祐太, 増田 利明
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S28
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    医療技術の進歩や医療機器の高度化に伴い、医療安全の充実と医療職の方々の課題解決能力・スキルの向上がますます重視されている。弊社ではこの現状に対処すべく医療従事者向けの専門的研修施設を2014年10月に開設した。また、高度化された医療現場においては、自社製品が関与できる範囲はごく狭い範囲に限られ、医療全体の中での自社製品の立ち位置・役割を認識する場とし、更にユーザーである医療従事者と共に考え、試行し様々な技術的課題解決に対する実践の場として、ユーザー目線での製品開発に繋げて行く環境を提供したいと考えている。研修施設には最新の医療機器を完備した手術室やX線シネアンギオ室を備えており、弊ユーザーの意見を製品開発に反映させることが可能である。更に看護系研修では模擬病室と各種医療研修用シミュレータを備えており、医療職の方々への多様な課題解決型研修や最新医療技術習得に役立つ場を提供している。実務で役立つ研修を実践して頂き、その先には患者様に安心で安全な医療を提供できる研修施設であることを目指している。

  • 西田 正浩, 後藤 大輝, 迫田 大輔, 小阪 亮, 丸山 修, 百武 徹, 山本 好宏, 桑名 克之, 山根 隆志
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    モノピボット遠心血液ポンプのインペラの流路の出口角と断面積に着目し,それらがポンプの血液適合性に与える影響を数値流体力学解析により検討した.まず出口角の異なるインペラのモデルを比較し,次に流路の本数または断面積が異なるインペラのモデルを比較した.数値流体力学解析には,有限体積法に基づく市販の3次元流体解析ソフトを用いた.作動流体は,血液をニュートン流体に近似し,比重1.05,粘度3 cPとした.乱流モデルにはk - εモデルを用い,スライディングメッシュ法による非定常解析を行った.解析条件は,ポンプ入口流量とインペラの回転数を変数とし,体外循環を想定した条件に注目し,血液適合性を示す,ポンプ内の血液の損傷係数とピボット周りの壁せん断応力5 Pa以下のよどみ部の表面積を算出した.その結果,まず出口角が小さくなると,流路出口付近の高せん断域が解消されるため,ポンプ内の血液の損傷係数は低下した.ところが,洗浄孔流量が減少するため,ピボット周りのよどみ部の表面積は増加し,抗血栓性の低下が予測された.次に流路の本数または断面積が増えると,流路内の流速が減少し,流路出口付近の高せん断域が解消されるため,ポンプ内の血液の損傷係数は低下した.また,洗浄孔流量が増加するため,ピボット周りのよどみ部の表面積は減少し,抗血栓性の向上が予想された.ただし,その抗血栓性は裏羽根の数にも依存した.

  • 谷口 達典
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S30-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
  • 吉本 佳世, 山田 憲嗣, 横山 萌恵, 小玉 伽那, 高橋 秀也
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S30-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
  • 長倉 俊明, 岡崎 利彦, 木戸 倫子, 石井 豊恵, 山田 憲嗣
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S31
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    (はじめに)これまで医用工学の研究は様々な分野で、それぞれのアプローチがあった。一方で、看護技術も当然発達してきており、医用工学とは別個に発展したが、共同で発展するアプローチもあるべきである。(目的)しかしながら、我々はこの10年以上看護系を含むコメディカルとの仕事や研究もあったが、その際に問題点も多く、これらをを分析した。これは学力・技量が違っているということ以上に、視点が違うことが多かった。これらの情報は今後の医学領域と看護領域の技術発展にお互いが有益だと考える。(分析方法)研究テーマとして医学と看護が互いに関心を持つような生体組織液の変化を治療に利用する技術開発では、制御に関する情報共有は困難を極めた。また生体と電気現象については、かなりかみ砕いても伝わらなかった。特に生体のインピーダンスについては困難を極めた。研究内容を紹介しながら、我々の思い込みに原因があることや、伝わりにくい分野や内容について分析・検討した。(まとめ)双方に関心がある分野でも、情報の共有には注意を要する。但し、視点が違うことは悪いことではなく、思わぬ指摘を受けることもある。お互いが理解できるような工夫、お互いの苦手分野を知ることは、両分野を発展させるためにも重要な項目と考える。

  • 黒田 知宏
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S32-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    2017年5月に「個人情報保護法」が改正され、これに伴い多くの関連法規が改訂された。この一連の改訂の中で「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」も改訂されている。生体医工学分野で行われる研究の多くは、本倫理指針の指定する「医学系研究」に当たることから、生体医工学研究者は改訂後の新指針にしたがった研究となるよう、研究の進め方を修正する必要が生じる。本教育講演では、倫理指針の改定に伴って、どのように研究の進め方を変えねばならないのかについて解説する。

  • 福岡 豊, 横澤 宏一, 木村 裕一
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S32-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    論文は研究成果を研究者コミュニティに発信するための重要な手段である。論文の信頼性や可読性を高めるために、第三者による審査が行われる。いわゆる査読である。査読で掲載に値する(アクセプト)と判断されるためには、研究の結果に加えて、読みやすさや客観性などのいくつかのポイントがある。このポイントを押さえるか否かで、執筆からアクセプトまでにかかる時間が大きく異なる。また、投稿に際しては、守らなければならないルールがいくつかある。このルールが守られていない場合、掲載不可(リジェクト)と判断されることになる。本教育講演では、若手研究者を対象として論文執筆のポイントと投稿のルールについて解説する。

  • 金森 宗一郎, 前田 英次郎, 村瀬 晃平, 松本 健郎
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S33
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    培養基板面の3D形状が細胞挙動に影響を与えることが知られているが,すり鉢様の円錐内面が細胞挙動に与える影響は調べられていない.我々は,骨単位内部の骨芽細胞の接着面がすり鉢様形状であると考えられていることなどから,この形状が細胞にとって何らかの意味があるのではないかと考え,培養基板上のすり鉢様形状が細胞に与える影響を調べた.すり鉢様形状を有する培養基板はPDMSを成型することで作製した.細胞接着を促進するため,すり鉢様形状の部分のみにフィブロネクチンをコーティングした.間葉系細胞としてマウス頭頂骨由来骨芽細胞様細胞MC3T3-E1,上皮細胞としてマウス血管内皮腫様細胞株F-2を使用した.これらの細胞の核を染色し,30分毎に24時間撮影した.核の移動速度を算出し,円周方向成分と半径方向成分に分解した.頂角が大きい時,細胞は主に円周方向に移動したが,頂角が小さくなると半径方向への移動が優位になった.細胞種による差はなかった.しかし,細胞が頂角を感知しているとは考えにくい.そこで,すり鉢様形状の曲率が細胞挙動に影響を与えていると考え,細胞遊走に対する局所の曲率半径の影響を調べた.ここで,曲率半径として母線に垂直な断面における曲率半径を用いた.細胞移動速度は曲率半径との間に有意な相関を示した.この結果から,すり鉢様形状の局所の曲率半径が細胞遊走に影響を与える可能性が示唆された.

  • 前田 英次郎, 松本 健郎
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    腱に過度な負荷が繰り返し作用すると,過負荷による腱コラーゲン線維の破断や腱細胞によるコラーゲン分解,およびそれを促進する炎症性反応が現れる.腱細胞の周囲力学環境が変化すると,主に細胞骨格で発揮される細胞張力が変化し,機能変化が惹起されることが知られている.我々は,適度な細胞張力は腱細胞炎症性反応の抑制に効果があるかどうか,新たな治療法として応用可能かどうかを調べている.本研究ではウサギアキレス腱から採取した腱細胞に炎症性サイトカインInterleukin-1b(IL-1b)刺激を与えた際の応答と細胞張力の関係を検討した.半径3 umの微小列柱を六方格子状に配置したPDMS製マイクロピラー基板を作製し,ピラー高さを4または8 umとすることでピラー剛性を変化させ,基板上で培養される細胞の細胞張力を操作した.これらのマイクロピラー基板に播種した腱細胞に対し0, 1, 10または100 pMのIL-1bを培養液に添加して3日間培養した後の細胞形態ならびにコラーゲン分解酵素(MMP-1)遺伝子発現解析を行った.また,ガラス基板で培養実験を行った腱細胞を対照群とした.その結果,IL-1b刺激による細胞形態の変化は観察されたが細胞張力との明確な関係は認められなかった.コラーゲン分解酵素遺伝子発現では同一IL-1b濃度刺激に対して低剛性基板上の腱細胞での発現量増加の傾向が認められた.

  • 糸山 廣章, 藤田 恭平, 樋口 俊介, 濱田 文花, 小松 由佳, 小沢田 正, 馮 忠剛, 佐藤 大介, 中村 孝夫, 白石 泰之, 梅 ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】心臓疾患の再生医療では幹細胞から分化された各サブタイプ心筋細胞(心室筋、心房筋、ペースメーカー)が必要となり、足場素材の生化学・物理的性質が幹細胞分化に影響を与えると知られている。本研究では力学特性を調整した山羊心室組織ECM Hydrogel (vECMゲル)を足場としたときのヒトiPS細胞のサブタイプ心筋細胞への分化を検討する。【方法】vECMゲルをEDAC溶液で架橋処理し、vECM濃度-EDAC濃度の7.5mg/ml-10mM、12.5mg/ml-30mM、12.5mg/ml-100mM、15.0mg/ml-50mMのゲルを作成した。それぞれのゲルの力学特性は瞬時弾性率18.9±4.4、111.4±60.2、99.0±30.8、569.8±353.7、応力弛緩係数43.4±32.5、15.2±3.2、18.4±3.6、15.4±11.2である。Matrigel 上にヒトiPS細胞を単層で培養・分化誘導し、分化15日目の細胞をvECMゲル上に再播種し5日間のLactateによる純化を経て30日間培養した。分化した心筋細胞に対して心室筋細胞にはMLC2v、心房筋細胞にはMLC2a、ペースメーカー細胞にはHCN4のマーカー遺伝子を用いてReal-time PCRによりサブタイプ心筋細胞への分化を評価した。【結果】MLC2v は瞬時弾性率が最も低く応力弛緩係数が遅い7.5mg/ml-10mM上、MLC2aは中程度の瞬時弾性率と応力弛緩係数を有する12.5mg/ml-100mM上で最も高い発現を示した。HCN4では実験範囲内の足場力学特性が顕著な影響を及ぼさなかった。

  • 木戸秋 悟, 森山 幸祐, 久保木 タッサニーヤー, 澤田 留美, 辻 ゆきえ, 江端 宏之, 佐々木 沙織, 山本 安希, 田中 和紗, ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    間葉系幹細胞(MSC)の系統偏向は培養力学場の強度と経験時間を履歴に影響を受けるため、その品質保証においては幹細胞性を偏向させない培養力学場設計が重要となる。我々はハイドロゲル表面に導入した硬・軟領域間でMSCを非定住に運動させることで、力学場履歴の蓄積を回避し特定の分化系統への偏向をブロックする標準状態培養系の構築を試みてきた。今回、硬・軟それぞれの領域の弾性率絶対値の厳密な定義、及び各領域でのMSCの滞在時間の厳密な均等化のために、以下の二点の設計を行った。1)YAP/TAZおよびRUNX2の核移行弾性率閾値が10kPa付近にあることを決定し、非定住運動の過程でこれらの転写副因子の核内外の移行を繰り返させるため、軟領域を3kPa、硬領域を30kPaとした。2) 曲率半径50μm以下の硬軟凸境界で生じる軟領域への負のDurotaxisを活用して、完全非定住運動を確保するパターニングゲル(Pゲル)を設計した。作製したPゲル上でMSCを4日間培養後、遺伝子マイクロアレイ解析を行なったところ、特にがん抑制遺伝子の一種であるAPCの発現が強く亢進していた。APCはWntシグナリングとアクチン骨格の発達制御の双方に関与することが知られており、細胞増殖・分化応答と運動力学とを繋ぐ新たなメカノトランスデューサーとしての可能性が示唆された。

  • 坂口 勝久, 清水 達也, 梅津 光生
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S37
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    単離細胞から3次元組織への構築は再生医療や薬剤スクリーニングの極めて有用なツールとして注目を浴びている。本研究は温度に応答して細胞脱着可能な培養皿を用いて細胞塊をシート状に形成し、その細胞シートを積層化することによって3次元的な生体組織の構築を試みている。しかしながら、単に細胞シートを重ねるだけでは高密度の細胞塊であるために酸素・栄養素の供給や老廃物の除去が困難である。そこで、血管付き細胞シートを灌流可能な微小流路付きゲル上で培養し、細胞シート内血管と微小流路を結合させることで、培養液灌流可能な血管網付き心筋組織の作製ができないかを検討した。本実験ではヒト線維芽細胞、ヒト血管内皮細胞を共培養した細胞シートを使用し、血管ネットワークを有する細胞シートを積層化した。コラーゲンゲルの微小流路に培養液を7日間灌流して培養した結果、細胞シートおよびコラーゲンゲル内の血管内皮細胞が浸潤・管腔化してネットワークが統合し、灌流できる血管網に発達した。さらに、心筋細胞シートを追加積層行うことで厚さ0.5mmの立体心筋組織の構築を可能にした。この結果から、灌流可能な血管網を導入することで細胞からの立体組織を創出できることを示すことができた。

  • 野村 保友, 大和 滉, 飯田 達人, 神 隆
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    第二近赤外領域(1-1.5 μm)は生体組織の自家蛍光がほとんどないことから外来色素に対して大変有効である。そのため機能性蛍光プローブがいくつか提案されているが、診断への応用を考えて様々な抗体を第二近赤外光で蛍光ラベルすることが多い。そこで新たな用途としてこの第二近赤外領域の蛍光を用いて、生体電気活動を高い空間分解能で解析することを目指している。第二近赤外領域の候補蛍光色素の中から膜電位感受性を持つものを探索するための安定した実験系が求められている。生体組織を構成する細胞の興奮性には脱分極が数百ms持続する心筋タイプと数msと速い応答を示す神経や骨格筋タイプがある。各タイプに対応した新規蛍光プローブ探索用機能性組織について紹介したい。心筋初代培養やiPS心筋では新規量子ドットの特性評価を進めている。また応答の速いタイプとして細胞として骨格筋由来株化細胞の可能性に注目している。これを機能的に分化させた機能評価向けの蛍光実験系を検討している。最近、骨格筋由来C2C12が筋芽細胞から筋管細胞への形態的な分化に続いて、数時間の電気刺激がサルコメア形成を促し電気刺激に対する応答性を獲得できることが報告された。機能的な筋管細胞組織へ効率的に分化する条件や評価法を検討した。分化誘導3週間後にはパルス幅0.8-10 ms、刺激周波数1-9 Hzの電気刺激に対して安定して収縮した。分光計測についても紹介したい。

  • 佐藤 大介, 大鳥 真紀, 馮 忠剛, 楠 正隆, 中村 孝夫
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S39
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    再生医療における心疾患へのアプローチ法としてin vitro心筋再生組織が注目されているにもかかわらず、再生組織の発生応力はin vivo心筋に比べて著しく小さいことが指摘されている。生体内で合成できない多価不飽和脂肪酸(PUFA)は生理活性を有し、心筋を含む多様な組織の機能調節に極めて重要であるが、細胞培養に用いられる培地は水溶性であって、脂質はほとんど含まれていない。これまでに我々は、ラット胎児由来培養心筋細胞のPUFA含有量が、新生児心筋組織のそれと比較して著しく低いこと、および培地へのPUFA単独添加が、心筋細胞の拍動収縮能を向上させることを明らかにした。本研究では、先行研究で拍動収縮率が向上したドコサヘキサエン酸(DHA)及びアラキドン酸(AA)を同時添加したときの、それぞれの添加濃度と拍動収縮能の関連性について検討した。その結果、DHA 10 μM + AA 10 μMまたは20 μMを培地に添加すると、4日後の拍動収縮率が無添加培養細胞に対してそれぞれ有意に高値(P<0.05)となった一方で、拍動数には影響を及ぼさなかった。またこれらのパラメータの積としての単位時間あたりの積算収縮率は、DHA 10 μM + AA 20 μM添加時に、無添加培養細胞に対して有意に高値(P<0.05)であった。これらの結果は、これらPUFAの添加が培養心筋細胞の拍動収縮能の改善に重要である可能性を示唆している。

  • 宮城 泰雄, ローレイン チュー, リチャード バイゼル, ミリカ ラディシック, レンケ リ, 新田 隆
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S40
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    【背景】これまでの心筋再生医療の細胞移植は、細胞注入が中心であったが、移植された細胞の多くは、細胞死などにより移植部位では生存できない。適切な細胞周囲環境(細胞外マトリックスextracellular matrix: ECM)が必要である。近年、このECMの役割を代用できるバイオマテリアルの研究が盛んで、多くの分野で臨床応用されている。バイオマテリアル上に血管新生を誘起させる事は、細胞移植の問題解決の一つとなり得る。【方法】collagen ECMに血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)を共重合させ、VEGF collagen graftを作製した。in vitro, in vivoの実験系で血管増殖、移植細胞生存について検討した。(Control群: VEGF-、VEGF群: VEGF+)【結果】graftからVEGFのslow releaseを確認した。in vitroでは、VEGF群で collagen graft内での培養細胞数と乳酸産生の有意な増加を認めた。また、in vivo では、ラット右心室にVEGF collagen graft移植をしている。VEGF 群において、移植graft内の血管数の有意な増加を認めた。また、graft内のmyofibroblast tissue (α-SMA positive cell) を比較した所、VEGF 群において、有意な増加を認めた。さらにこのgraftに骨髄細胞を移植した所、VEGF 群での細胞生存率は、control群に比較して有意に高かった。【結語】VEGFコラーゲンECMは、graft内の血管新生を誘導し、細胞生存に適した細胞環境を作り得ることが示唆された。

  • 野口 侑太, 中川 敦寛, 楠 哲也, 中西 史, 横沢 友樹, 山下 慎一, 佐藤 由加, 遠藤 俊毅, 遠藤 英徳, 新妻 邦泰, 飯久 ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    (目的)ピエゾ駆動式パルスウォータージェットメスは細血管、神経温存下の組織切開が可能で、最大限の病原摘出と術後の機能温存の両立を支援する手術用治療器として開発を進めている。脳での臨床試験で有効性、安全性が示される一方で、肝臓や腎臓など破断応力値の大きな臓器では、切開深達度均一性の向上が課題となっている。本研究の目的は、切開深達度均一性の向上を目指すものである。(方法)パルスウォータージェットメスから模擬モデル(新田ゼラチン Lot No.BC12192)に射出(入射角度 0 度、吸引圧 20 MPa、流量は出力に応じて最適化された値)し、模擬モデルを一定速度で移動させ、ジェット出力、ノズル径、ノズル数、単位長さ当たりのジェット数、ノズル-照射物間距離、照射物破断応力値、切開深達度の均一性の関係を検討した。切開深達度均一性は十点平均粗さを用いて評価した。高速度カメラを用いて切除の可視化も行った。(結果)切開深達度均一性は、ジェット出力、ノズル径、単位長さ当たりのジェット数、ノズル-照射物間距離、照射物破断応力値により統計学的有意な切開深達度均一性の減少がみられた。(結論)今後、切開方法の改良と非臨床試験での検証を要するが、手術用治療器としての切開深達度均一性の向上につながる知見が得られた。

  • 楠 哲也, 中川 敦寛, 野口 侑太, 中西 史, 横沢 友樹, 山下 慎一, 佐藤 由加, 遠藤 俊毅, 遠藤 英徳, 新妻 邦泰, 飯久 ...
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S42
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    目的ピエゾ駆動方式パルスウォータージェットメスは細血管、神経温存下の組織切開可能で、最大限の病変摘出と術後機能温存の両立を支援する手術用治療器である。これまで開頭・開腹手術を前提とし、ステンレス製ノズルを用いて流体工学的検討、非臨床・臨床試験を実施。最大の特徴の組織選択性から、軟性内視鏡下への応用に向け、導入で起こり得る流体動態を動的環境下(0.5mm/sで模擬モデルを移動させ、切開を評価)での模擬モデル実験(破断強度が腎臓と同じゼラチン)での解明を目的とした。軟性内視鏡導入の為に従来のハンドピース先端にPEEK製カテーテルを接続、ジェットの駆動電圧(30-45V)、カテーテルの長(65-195 cm)、径(外径1.6mmに対し内径0.5-1 mm)、曲げ角(半径1.5-15 cm、角度0-120 度)とジェット速度、切除深度の関係を計測。ジェット速度を高速度カメラ(IDTジャパン製NX4S2)を用いて測定。本実験で測定したジェット速度は15-25m/sで開頭で使用したジェット速度(15m/s)と同等以上であった。結果カテーテル長に依存して、パルスジェット速度とゼラチン切除深度は減少。また、電圧に応じてジェット速度の最大値の存在を示唆する一方、一定以下の内径では、速度上昇は頭打ちになる現象を観察。カテーテルの曲げ角による明らかなジェット速度への影響は認めなかった。結論軟性内視鏡下でも脳組織を切開できる可能性とジェットの流体動態に関する知見を得ることができた。

  • 中川 敦寛
    2018 年 Annual56 巻 Abstract 号 p. S43
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    目的ピエゾ方式によるパルスウォータージェットメスは細血管、神経温存下の組織切開が可能で、最大限の病変摘出と術後の機能温存の両立を支援する手術用治療器として産学連携体制で開発を進めている。臨床研究として脳神経外科・脊髄外科領域で臨床応用を開始したので、有用性、安全性を含めて報告する。方法 東北大学病院倫理委員会の承認を得て、2013年10月から東北大学病院において臨床試験を開始し、ピエゾ方式パルスウォータージェットメスの有効性、安全性を評価した。結果2014年3月までに悪性神経膠腫5例、髄膜腫6例、てんかん(脳梁離断)1例、脊髄腫瘍5例、脳血管障害1例で使用した。いずれの症例においても本治療器の使用による合併症は認められなかった。200μm程度の細動脈の温存下に腫瘍の摘出が可能であったが、腫瘍が一定の硬さを有する場合の切開、破砕能力に関しては今後の課題を残した。結論今後、治験実施に向け、さらに有効性を高め、既存の手術用治療器との差別化を図るための検討を要するものの、安全に細動脈温存下に病変を切開可能である可能性が示された。

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