廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の280件中1~50を表示しています
A1  ごみ発生・排出抑制
  • 李 鎔一, 矢野 順也, 浅利 美鈴, 酒井 伸一
    セッションID: A1-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    家庭系広告媒体由来廃棄物の排出実態把握と発生抑制策の検討を目的として、京都市において家庭系ごみと回収古紙を対象とした広告媒体の細組成分類調査を行った。広告媒体の内訳では折込み広告の割合が最も多く、家庭系ごみで41%、回収古紙で57%を占めた。フロー推定によると京都市における広告媒体由来廃棄物の発生量は55~59千t/年と推計され、そのうち78~83%が古紙回収されているという結果となった。発生抑制可能性の検討では、広告の受け手の発生抑制策としてDMの受取拒否など4つ、出し手の発生抑制策として軽量化など2つの方策による発生抑制可能量を概算した。その結果、受け手の取組により16%、出し手の取組により11%、双方の取組により24%(京都市ベースで14,000t/年、26g/人・日相当、全国ベースで98万t/年)の発生抑制可能性があると概算された。
  • 山川 肇
    セッションID: A1-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     本研究では、広告物の2Rの現状と2R行動のさらなる受容可能性を把握するため、インターネット調査を実施し、以下の結果を得た。 ・DMの発生抑制行動は8割以上の人がまったく実施しておらず改善余地が大きい。明細書の郵送は約2割の人がほぼすべて断っているが、まったく断っていない人も約5割ある。ポスティング広告物に対する「チラシ投入禁止」のステッカーを貼っている人は5%と少ない。 ・不要なDMの受け取り数は平均週3.1通/人、クレジットカード等の明細書の受取数は月平均3.3通/人となった。ただしやや過大評価の可能性もある。 ・DM、明細書の発生抑制行動を8割以上実施してもよい人は現状より2割多く、DM約7億通、明細書約2.6億通の発生抑制が可能と推定された。街頭チラシの選択的受け取りも約2割増加の可能性があり、ポスティングに対するお断りステッカーの実施については、3割強の増加が見込める。
  • 佐々木 由佳, 橋本 征二, 森口 祐一
    セッションID: A1-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    加工食品・調理済み食品のうち、カップラーメン・スナック・弁当・菓子パンを対象に、容器包装の実態調査を行った。実態調査の結果から、それぞれの食品において機能単位あたりの容器包装重量を求めた。本調査では容器包装を「素材」「構造」「付属品」に分類し、それぞれが機能単位あたりの容器包装重量にどのように影響しているのかの考察を行い、今後の加工食品等容器包装の発生抑制の可能性について検討を行った。 調査の結果、素材については紙と比較してプラスチックの機能単位あたりの容器包装重量が小さくなった。構造については、カップラーメンやスナックでは紙容器を層構造または軽量化すること、弁当では本体容器だけでなくフタの軽量化をすること、菓子パンについては余分なトレーをなくすことが容器包装の発生抑制に有効であると考えられる。また、余分な付属品の削減も考慮すべきである。
  • 齋藤 友宣, 井奥 沙織, 山川 肇
    セッションID: A1-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    本稿では,容器包装に関する2Rの取組として販売時容器包装に着目し,これまで関東地方を中心に進められてきた肉の袋入り販が関西地方の一地域である京都でも消費者に受容されるかについて考察した。加えて,販売事業者の容器包装資材購入データから,トレイ等の使用実態の把握を試みた。その結果,1) 肉の袋売りについて事業者は、袋詰め作業の手間や、見た目、衛生面での懸念を持っているが,2) 実際の売れ行きもよく,袋売りを継続していることから前向きになっていること,また3) 消費者への意識調査でも6~8割程度は「トレイ不要」と考えており,4) トレイ商品との比較販売実験では、袋売りの売上は4割程度あり、消費者に一定程度受容されることがわかった。さらに容器包装資材購入データの分析から,肉の袋売り以外にも、プラスチック製の蓋をラップに転換するなど、販売包装の削減余地は少なくないことが考えられる。
  • 武田 雄志, 尾崎 弘憲
    セッションID: A1-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    感染性産業廃棄物の排出量は、感染性産業廃棄物の適正処理の推進を行う上での基礎データといえるが、全国規模での調査データが見当たらないのが現状である。  そこで本考察では、都道府県産業廃棄物実態調査結果から感染性産業廃棄物および特別管理産業廃棄物の排出量のデータを収集し、全国規模での感染性産業廃棄物排出量の推計と病院および診療所の排出原単位による推計を行った。  その結果、都道府県産業廃棄物実態調査結果に基づく方法からは36±4万トン/年、病院および診療所の排出原単位に基づく方法からは32万トン/年の値を推計することができた。また、感染性産業廃棄物排出量は特別管理産業廃棄物排出量の1割を占めることも把握できた。  今後の課題は推計精度の向上である。全都道府県での感染性産業廃棄物および特別管理産業廃棄物排出量の公表、設定値の精査により、推計精度の向上が期待できる。
  • 岡野 多門, 安東 重樹, 安本 幹
    セッションID: A1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    鳥取県の複数の砂浜で2004年から漂着ライターを調査し,印刷文字から総数27,968個の27%から排出由来地域を同定した。日本,朝鮮半島,中国・台湾由来ライターの個数比は約6:11:10で,同時調査のペットボトルでは約6:2:1であった。この著しい相違は日本に比べて印刷文字入りライターの消費率が高いためであり,由来地域別漂着量の比較は文字入りライターの消費率の近い地域に限ることが重要である。その結果,韓国の日本海側に比べて黄海側からの日本海への流入が少なく,日本海に流入できる日本の南西限界が長崎県付近である事が分かった。また鳥取由来ライターを県の東部,中部,西部の3地域由来に分けると, 67-88%が同じ地域内の調査海浜に漂着していた。この結果は,河口から流出したライターが直線的な海岸地形でも,沿岸域にとどまる傾向の強いことを示す。この現象とライターの詳細地情報から,狭い地域からのごみ排出量の比較や,ごみ流出防止策の実効性を評価することが可能である。
  • 半田 拓也, 柴田 悠吾, 吉永 亜未, 福岡 雅子
    セッションID: P1-A1-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    多くのファストフード店舗で,店内飲食の場合だけでも使い捨て容器の使用を抑制することにより,事業系の容器包装ごみを減量することが可能と考える。そこで,使い捨て容器使用店舗,リユース容器使用店舗にタイプ分けし,店内飲食で排出されるごみの実態をごみ組成調査によって定量的に把握した。その結果,容器包装ごみの割合は,リユース容器使用店舗の方が,使い捨て容器使用店舗と比べて,重量で約16%,容積では約29%小さくなっていた。  減量を推進する対象として,1点当たりの重量が大きく,かつ,排出個数が多いものから優先して対応すれば効果が大きい。そこで,商品区分別に容器包装重量と排出点数を見た結果,コップ類の減量対策を講じることが望ましいことがわかった。それには,タンブラーやマグカップの持参など,消費者が取り組める対策も考えられる。
  • 横山 道子, 山本 和夫, 新井 充, 渡邉 壽夫, 佐藤 貴文, 小長谷 忠春, 遠藤 住子, 山田 和枝, 柴田 陽子
    セッションID: P2-A1-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    東京大学では15年前から「発生源で徹底した分別をおこない、ごみ排出量の減量化と再資源化」を目指してきました。構成員一人ひとりがライフスタイルを変え、これまで「ごみ」として処分していた不用なものを分けることにより再資源化(Recycle)するシステムにのせています。大学から排出される生活系廃棄物の総リサイクル率は、再分別なしで全排出量のおよそ60%になり、排出者自身がごみと資源を分別してから排出するシステムは「ごみ減量」に有効であることが明確になりました。又、さらにごみ減量を進めるために、かねてより課題であった構内で大量に発生する落ち葉の資源化に着手。社会連携の実績を生かし、大学の構成員と市民パワーが一体化した活動により落ち葉の堆肥化を実現しました。さらに出来た腐葉土を 使用する人達とつながり、落ち葉の循環サイクルを構築する取り組みを報告しています。
  • 茂木 敏, 山崎 幸一, 辰市 祐久, 荒井 康裕, 小泉 明
    セッションID: P2-A1-9
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    小型電子機器等に含有される希少金属等の資源循環を目的として、東京都内においても様々な取り組みが始まりつつある。希少金属等の資源循環システムを構築するためには、廃棄物中の資源量を見積もる必要があり、希少金属等の分析事例はいくつかの報告がされているが、実際の不燃ごみ等を分析した事例は少ないため、都内の不燃ごみ中に含まれる小型電子機器等について分析を行った。分析手法については、標準化の動きが見られるが、自治体等において資源循環施策の計画・実施を行う際には、リサイクル先の選定等に必要なレベルで、より安価な分析方法が求められるため、エネルギー分散型蛍光_X_線分析(以下EDXという。)を用い簡易定量分析を試みたので、その結果を報告する。
  • 晴山 渉, 佐藤 直, 中澤 廣, 鳴海 貴之, 宮澤 誠, 夏井 正悟, 関本 勇生
    セッションID: P2-A1-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     本研究では、小都市における生活系ごみ中の生ごみと木くず類の自家処理の実態を調べるために、岩手県久慈市内の世帯にごみの重量調査とハガキアンケート調査を行った。生活系ごみの重量調査は、15~20世帯にクッキングスケールとアンケート票を調査世帯に配布し、季節ごとに2週間、発生したごみの重量を指定分類ごとに測定して、アンケート票に重量とその排出先を記入してもらった。ハガキアンケート調査は、500世帯に自家処理に関する質問(自家処理の有無、住居形態、自家処理方法など)を配布し、各世帯から回答用のハガキを返信してもらった。その結果、岩手県久慈市において、生活系ごみとして発生した生ごみの約35%、木くず類の約65%が自家処理されていることが分かった。また、自家処理を行ってる世帯は約55%であり、その自家処理方法のほとんどがコンポスト化容器を用いた堆肥化が行われていた。
A2  経済的手法・リサイクル評価
  • 河井 紘輔, 大迫 政浩, 山田 正人
    セッションID: A2-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    ベトナム国ハノイ市の都市部では家庭及び事業者においてこれまで有価物の分別排出が活発に実施されてきたが,近年では有価物を廃棄する家庭も存在する。ハノイ市中心4地区において200世帯及び200事業者へのヒアリング調査を実施し,有価物の分別排出の傾向と要因を明らかとすることを目的とした。家庭よりも事業者の方が有価物を積極的に分別排出している傾向がみられた。事業者が家庭よりも有価物を分別排出する傾向にあったのは有価物の売却及び廃棄物の減量の両方の動機が働いているためで,廃棄物の収集手数料が従量制であることが要因として考えられた。また,家庭で廃棄物の減量の動機が働かないのは廃棄物の手数料が定額制であることが要因として考えられるが,さらに高収入の家庭では有価物を分別排出する動機が薄れてきていて,今後は家庭系廃棄物の排出原単位が増加する可能性があることが示唆された。
  • 呂  美杰
    セッションID: A2-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    ごみ処理方式について衛生埋立型から焼却発電型へ大きく舵を切った大連市における生活ごみ処理の現状と課題を整理し、改善策を検討した。同市では都市化の進展と市民生活水準の向上により都市生活ごみが増え、最終処分場の逼迫に直面している。ごみ処理経費の削減と環境負荷の低減のためには、生活ごみの発生抑制と資源化の推進が重要な課題である。こうした課題への対応策として、本報告では二つの提案を行った。第一に、2段階リサイクル政策の導入による行政の積極的な資源化施策の推進が必要である。第二に、従量制の有料化を導入することにより、費用負担公平化と発生抑制を推進する必要性も高い。
  • 小出 秀雄
    セッションID: A2-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     使用済みの財をごみとして排出する際に減量する消費者と、そのごみを引き取って適正処理(あるいは再資源化)する生産者の経済理論モデルの一例を示し、引取料金の符号に関わらず連続する需給曲線を導出する。そして、バッズをグッズ化する方向性の要因を3つ挙げ、それぞれの性質を分析する。
  • 前 奈緒子, 勝見 武, 乾 徹, 前 一廣
    セッションID: A2-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     化学産業等において低炭素化を促進するには,廃棄物や廃熱のリサイクル利用が重要となる。リサイクルを的確に行うには,これまでは費用を払って処分の対象であった廃棄物の価値や廃熱の価値を技術と連動させて評価する方法の開発が不可欠である。本研究では,有機物系廃棄物と廃熱に対して変換技術に連動した図解価値評価法を提案する。提案法は年平均CO2排出量当りの製品製造コストと年平均使用炭素1kg当りのエンタルピーの関係を示したダイアグラム上で作図していくものである。簡単な例として,有機廃棄物と廃熱を水素などの有価なエネルギーに変換する場合を想定して,必要な投入熱量をもとに廃棄物,廃熱の変換ピンチラインを作図するという,提案法の概略を示す。さらに,提案法の応用例として,廃棄物・廃熱の価値に対する選択技術の差異,リサイクルの可否判定などについても検討し,本法の有効性を示す。
  • 西島 亜佐子, 中谷 隼, 山本 和夫, 中島 典之
    セッションID: A2-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    本研究では、容リプラのリサイクルについて、従来型リサイクルである材料リサイクルやコークス炉化学原料化・高炉還元・ガス化、焼却発電に、材料リサイクルの残渣のリサイクルや店頭回収を利用したプラスチックトレーのリサイクルを組合せた際の環境負荷とコストを評価した。その結果、従来型リサイクルである材料リサイクルに残渣リサイクルを組合せた際は、環境負荷は削減できるがコストは増加すること、また従来型リサイクルにプラスチックトレーリサイクルを組合せた際は、ガス化以外では環境負荷とコストを共に削減できることが示された。
  • 沼田 大輔
    セッションID: P2-A2-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     全国の多くの大学生活協同組合(以下、大学生協)では、リサイクルしやすい弁当容器が使用されているが、リサイクルをおこなうためには使用済みの弁当容器が回収される必要がある。しかし、これらの使用済み弁当容器の回収方法の実態は十分に把握・整理されていない。本報告では、様々な大学生協のヒアリング・現場見学から、これらの使用済み弁当容器の回収方法の実態を分類することで、それらの特徴を整理する。
  • 鈴木 慎也, 立藤 綾子, 松藤 康司
    セッションID: P1-A2-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    ステーション収集地点の利用実態を把握するため,「ごみ搬出行動負荷量(単位:[kg・m/(世帯・週)])」という指標を導入し,各世帯のごみ搬出に伴う行動負荷の実態を,その“搬出重量”と“搬出距離”との積により,明らかにした.その結果,道路移動距離が50(m)程度を超えると,小さめの容量のごみ袋を確保し,搬出日毎にこまめに搬出を行ったり,1回の搬出日でも往復して搬出するなど,通常とは異なるごみ搬出行動をとる可能性が示された.道路事情によりステーション収集とならざるを得ない世帯の最大値は1,076.1[kg・m/(世帯・週)]と,許容値を大きく超える高い値を示した.高齢者のみ居住する世帯においても,高い搬出行動負荷量が示された.
A3  住民意識・環境教育
  • 岸川 洋紀, 嶋口 茉由加
    セッションID: A3-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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     近年,多くの分野で3R活動の推進が行われており,衣料分野においても様々な取り組みが行われている。衣料品のリユース活動にあたるのは古着の回収と販売であるが,実際に衣料品の購買活動を行う主体である消費者の古着に対する意識については多くの調査がなされているとは言い難い。そこで,本研究では古着に対する消費者の意識や購買行動について調べることにより,今後の衣料分野におけるリユース活動を促進していくための資料とすることを目的とした。  消費者の古着の購入や処分方法について調べた結果,消費者にとって古着は,あくまでファッションの選択肢の1つであり,現状において古着の流通はリユース活動としては捉えられていないことが示された。しかしながら,広報活動において衣料品の回収が促進される可能性も認められたため,今後は消費者に資源循環の面から古着の回収や購入をアピールしていくことが重要であると考えられる。
  • 桜井 健太, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: A3-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    本研究では、循環指標の取組指標の中で、ごみ問題に関するアンケート調査をインターネット調査と郵送調査の2つの手法によって実施した。調査結果について、インターネット調査の回答分布を郵送調査の回答分布に近づけることを目的とし、傾向スコア法による補正を行った。そして、使用する共変量の違いによる補正結果の差を分析した。 補正結果から共変量の組み合わせによって、補正結果に差が生じることが確認できた。特に、「年齢」、「性別」の2項目を共変量として使用することで補正が上手く行えることがわかった。その他の共変量項目については、「インターネット利用頻度」を除き、共変量の組み合わせ次第では、「年齢」、「性別」とともに使用することで、補正がさらに上手く行えることがわかった。
  • 阿部 晃士, 篠木 幹子
    セッションID: A3-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    ごみ分別などの環境配慮行動を促進するうえでは、環境への意識を高めること必要であり、その点で様々な環境教育の取り組みに対する期待が大きい。それでは、われわれの環境意識にはどのような次元があり、それぞれに対して環境教育はどのような効果を与えるのだろうか。2011年11月に、ごみ問題や環境教育への熱心な取り組みで知られる熊本県水俣市の中学校で、生徒と保護者を対象とする意識調査を行い、データを分析した。その結果、環境配慮行動を促進するうえでは、環境問題への一般的な関心を高めることだけではなく、環境中心主義的な態度を育てることが重要であることが示唆された。また、環境教育の効果という点では、学校での環境学習が一定の効果を持つこと、家庭の取り組みに関する主観的評価も効果があることが明らかになった。
  • 中谷 隼, 石野 隆之, 栗栖 聖, 花木 啓祐
    セッションID: A3-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    定量的な環境情報の提供が消費者の購買行動およびリサイクル行動に与える影響を解析し,リサイクル行動の促進可能性を検討した。ケーススタディとして,仮想的な弁当チェーン店におけるプラスチック製の弁当容器へのカーボンラベルの表示と容器の店頭回収システムを想定し,環境情報の提供や容器返却に対する消費者選好を,オンラインアンケートによる選択型コンジョイント分析を用いて定量的に評価した。また,コンジョイント分析の評価結果をもとに,容器へのカーボンラベルの表示や,容器返却によるカーボンフットプリントの減少の情報提供,容器返却への経済的インセンティブの付与(容器のデポジット)が,弁当の購入割合や容器の返却意思に与える影響をシミュレーションした。特に,容器を返却した場合と返却しなかった場合のカーボンフットプリントを併記することによって,消費者の自主的なリサイクル行動を促進する可能性について検討した。
  • 篠木 幹子, 阿部 晃士
    セッションID: P2-A3-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    環境教育は子どもたちのごみ分別行動にどのような影響を与えるのだろうか。また、環境教育の種類によって実際の行動に対する影響は異なるのだろうか。本研究では、学校で実施される環境教育と家庭内で実施される環境教育の効果に着目し、それらの要因が生徒のごみ分別行動にどのような影響を与えるのかを、熊本県水俣市の全中学校の中学3年生とその保護者を対象に実施した調査データをもとに探索的に検討した。分析から、授業の中の環境教育や保護者が家庭内で行っていると考えている環境教育は、現時点では生徒のごみ分別行動に対してほとんど効果をもたないことが明らかになった。これに対して、授業以外の活動や生徒自身の家庭内における環境問題への取り組みといった生徒の自発的な行動が、ごみの分別行動に影響を与えることが示された。
  • 白川 まりな, 占部 武生, 石垣 智基
    セッションID: P2-A3-8
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    エコ活動の実践に当たって時間的、金銭的、資源・エネルギー的なコストが発生し、その負担は個人のものとなっている。そこで、負担を伴いながらも実施されているエコ活動に関する意識と行動の関連性について調査した。 調査方法としては、インターネット及び対面式のアンケート調査を行い、SPSSを用いた解析を行った。結果としては、なんらかの負担を背負った善意ベースのエコ活動だけでなく、社会的風潮の中にエコ活動の実践に対する価値や意義を出すことで行動の奨励へと繋ながっていることが推測された。また、節約や省エネなど、金銭的な還元が関連するエコ活動への意識は高かった。また、更に支払意志額を用いて分別行動に対して金銭的価値を付加し、分別行動を評価するツールを作成した。
A4  廃棄物行政
  • 大沼 進, 森 康浩, 白 晶
    セッションID: A4-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    多くの自治体は,ごみ有料化や分別・収集区分の変更などによりごみ減量の成果を上げてきている。しかし,これらを通じてリデュースやリユース行動に繋がっているかどうかを検討した研究は少ない。本研究では,札幌市におけるごみ・資源回収ルール変更を題材とし,回収ルールの変更が上流の2R活動にもさかのぼって効果があるかどうかについて,社会的ネットワークの観点から検討した。札幌市在住者1500名を対象にした無作為抽出によるアンケート調査を実施し,53%の回収率を得た。その結果,ごみ排出行動や集団資源回収などは町内ネットワークが,リユース行動は町外ネットワークが関連していた。店頭回収というリサイクル行動は,町内・町外両方のネットワークが関連していた。地域内外のネットワークが,ごみ排出行動から2R行動へと繋がる可能性について議論した。
  • 花嶋 温子
    セッションID: A4-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会形成の基盤となる市民意識の形成に焼却工場の見学が果たしてきた役割は大きい。昨年実施した焼却施設への全数調査によると、全見学者数は少なくとも年間128万人にのぼる。同じ調査で、約5%の施設において見学時の説明の外部委託がはじまっていることが明らかになった。委託先は、市民ボランティア、NPO、指定管理者(NPOや企業)など様々である。本論では、焼却施設等(リサイクル施設を含む)の説明にあたっている構成員に、非構造化インタビューを実施し、施設見学の変化の構造をモデル化した。インタビュー対象は、自治体職員1名、自治体が主として経費削減を目的としている委託先NPOの職員1名、自治体が民間のノウハウを活用しようとしている指定管理者の職員1名、地域の産官学が一体となってNPOを立ち上げて指定管理を受託している組織の職員1名の計4人とした。
  • 田崎 智宏, 東條 なお子
    セッションID: A4-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    米国カリフォルニア州におけるカーペット・スチュワードシップ・プログラムと建設解体廃棄物制度を事例調査した。その結果、前述の2つの制度は、いずれも州当局の関与が限定的で、リサイクルや廃棄物処理の実施主体により近い主体により多くの裁量を委ねた制度と理解することができた。さらに、行政関与の程度について考察を行い、リサイクル・廃棄物管理の中心的実施主体として生産者と自治体を想定して、それぞれの行政関与の程度の違いによる類型を提示し、それらの特徴・得失を考察した。行政関与で生産者の責務が大きくなるとは限らないことや、自由裁量による柔軟性と行政関与の負担軽減という利点を確保しつつ有効性を確保できるかの検討課題があることを確認した。
  • 山本 耕平
    セッションID: A4-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は環境省の平成22年度循環型社会形成推進科学研究費補助金による「アジア諸国等への日本の3R体験の移転促進に関する研究」の一環として行ったケーススタディのうち、NGOによる取り組み事例(沖縄リサイクル運動市民の会)がベトナムの小都市ホイアンで実施している草の根技術協力事業-について考察したものである。事業の成果として_丸1_レジ袋の削減、_丸2_家庭でのコンポストの普及、_丸3_3R教育が進んでいる。3Rガバナンス確立のためには公的機関だけでなく市民組織や事業者などの民間の人材育成も重要な課題であり、行政職員だけでなく、現業部門、事業者、市民リーダー、リサイクル業者など、多様なステークホルダーに対してそれぞれの経験を伝えていくことが求められる。
  • 松藤 敏彦, 吉田 英樹
    セッションID: A4-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    旭川市では平成12年,北海道公害審査会へ新規一般廃棄物最終処分場建設に対する建設差し止め請求が行われた。その後協議ののち,平成15年に新規処分場の環境保全に係る協定書が締結され,また旧処分場の周辺地域に係る環境保全のため処分場監視委員会が設置された。この全国に例のない監視委員会では,委員との勉強会,現地視察,他施設の見学や,異常発生時の連絡体制,情報の公開など,さまざまな取り組みを行ってきたが,その概要を報告する。
A5  廃棄物管理/計画
  • 橋本 治, 三橋 博巳
    セッションID: A5-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
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    廃棄物保有エネルギーの有効利用は、発電とともに熱利用が有効な手段となる。熱利用には、市街地での工場立地が必要となるが、市街地への工場立地は課題が多い。本論は、工場立地の指標として地価を取り上げ、高密度市街地や住宅地に立地する工場の地価変化を調査し、工場立地と地価の関係を考察し、工場立地の可能性を検討した。
  • 水田 和真, 武甕 孝雄, 高田 晴夫, 建部 実, 五反田 英雄, 富澤 康雄, 山口 良弘, 今木 博久, 勝見 武, 嘉門 雅史
    セッションID: A5-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    工事現場で多量に発生する建設廃棄物運搬では効率よく、確実に受渡確認する方法が課題であった。主に、産業廃棄物管理票(マニフェスト)が使用されるが、記入漏れ、改ざん、なりすまし、紛失の問題も発生している。新たな電子マニフェストの認証の仕組みとして、有料道路で使用されるETC(Electronic Toll Collection,電子料金収受システム)の無線通信を活用して、運搬車両の認証情報を電子マニフェストと連動する仕組みを開発した。車両認証の完全自動化とデータの管理のリアルタイム化が可能となり、これまでの電子マニフェストシステムの課題であった廃棄物とマニフェスト情報の流れの不一致や操作ミスを解決することができた。平成23年2月より大和川線シールド再生活用事業で、ETCを活用した電子マニフェストシステムの導入を行い、阪神高速大和川線のシールド工事で発生したシールド発生土の運搬管理を行っている
  • 高野 聡, 関 悠一郎, 切川 卓也, 永田 勝也
    セッションID: A5-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    循環型社会構築の中で重要な役割を占める廃棄物処理・リサイクル関連施設において廃棄物の多様化や新技術の適用などの理由から事故が多発している.そこで,全国の静脈施設より事故・トラブル・ヒヤリハット事例を収集するとともに独自に決定したフォーマットに従いデータベース化した全国版の事故・トラブル・ヒヤリハット事例データベース(ATHDB-all)を出発点に静脈施設の安全・安心対応システムの高度化を目指していく.個別の施設においては,ヒヤリハット事例等を収集する情報取得支援ツールの検討を行うとともに,このツールによって収集したデータを施設においてすぐに活用できるような仕組みを構築する.また,収集したデータは事故等の推論法の検討や安全性評価システムの開発など新たなATHDBの分析方法の検討をしていく.また,安全教育プログラムの高度化を図り,施設の必要性に応じたプログラムをできるだけ素早くフィードバックする手法を検討していく.
  • 戸敷 浩介
    セッションID: A5-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    小規模な自治体でも自区内処理原則のために小規模焼却施設を保有していることが多い。しかし、ダイオキシン類発生メカニズムを考慮すれば大規模焼却施設が望ましく、リサイクル率の向上や高齢化社会の進展により可燃ごみの減少も予想されるため、将来は近隣自治体とともに大規模焼却施設に集約べきだろう。 本研究では地理情報システムを用いて可燃ごみに関する町丁目レベルのデータベースを構築した。更に静岡市の隣にある志太地域の焼却施設の老朽化に着目し、志太地域の可燃ごみを静岡市の焼却施設に搬入した場合のエネルギー収支及び二酸化炭素排出量について推計した。  その結果、ごみ収集車の走行距離が延伸するため軽油消費量と二酸化炭素排出量は増加するが、廃棄物発電によるエネルギー回収量や焼却施設の稼働率が向上した。本研究の結果から大規模焼却施設への集約は自治体の自区内処理よりもエネルギー収支や温暖化防止の面で優れていると考えられる。
  • 濱田 智史, マッド レジャブ シティ ノルバイズラ, 藤原 健史
    セッションID: A5-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    マレーシアのプトラジャヤは、首都機能移転に伴って近年急速に発展してきた新都市であり、政府はプトラジャヤを環境分野においても中心に位置づけようと計画している。そのため、首都機能移転が完了する2025年を目標年に低炭素化と廃棄物量削減の計画を策定することとなった。計画では2025年の廃棄物処理の目標を、_丸1_最終処分量を予測値の50%に減らすこと、並びに_丸2_予測される温室効果ガス量を、収集輸送や処理処分の方法を変えることで50%まで減らすこととした。ここで、収集輸送から発生する温室効果ガス量は、目標を達成するための廃棄物処理シナリオに依存して変化する。そこで本研究では、廃棄物処理シナリオに沿った複数の廃棄物収集輸送シナリオを設定し、GISを用いてシナリオごとの収集輸送経路を求めて、発生するCO2排出量と必要コストを推計する。そして、シナリオ間で結果を比較・評価することで、CO2排出量を低減できる収集輸送方法を提案する。
A6  ごみフロー・物質フロー
  • 小野 恭子
    セッションID: A6-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物焼却施設(MSWI)は,特に沸点の低い鉛やカドミウム(Cd)などに関して大気への発生源となりうることが知られている.本研究では,そのリスクやリスク削減対策の効果を定量的に論じることを最終的な目的として,MSWIからのCdの排出量の経年変化を用途ごとに推定した.大気排出量は1973年をピークに,その後急激に減少しているという結果になった.排出量に対して寄与の大きい用途は,顔料,塩ビ安定剤であり,ニッケルカドミウム電池の寄与は寄与はそれと比較すると小さいという結果が得られた.このことは今後の発生源対策に示唆を与えるものと考えられる.
  • 布施 正暁, 恒見 清孝
    セッションID: A6-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    錫、鉛で構成される鉛はんだは電気・電子製品の接合材料として幅広く利用されてきた。近年、鉛の有害性が問題となる中で、欧州WEEE/RoHSへの対応もあり、わが国でも鉛はんだから鉛フリーはんだへの代替が進んでいる。一般的な鉛フリーはんだは鉛の代わりに錫だけでなく銀、銅を使うため、それらの適切な資源管理が求められる。ライフサイクルアセスメント、マテリアルフロー分析によって、有害性と資源性の視点から鉛フリーはんだの評価が行われている1-3)。これらの取組みは鉛はんだと鉛フリーはんだの製品間比較が主目的であり、社会における鉛はんだから鉛フリーはんだへの代替状況を評価したものではない。そこで、本稿は鉛はんだから鉛フリーはんだへの代替状況を有害性と資源性の視点から評価した。具体的には、2000年から2020年を対象に、現在進行する鉛フリーはんだに代替するシナリオ(代替有りシナリオ)とそのような代替が行われない仮想的なシナリオ(代替無しシナリオ)を作成した。両シナリオにおける、鉛はんだと鉛フリーはんだを構成する錫、鉛、銀、銅のマテリアルフロー分析を実施し、鉛フリーはんだ代替がマテリアルフローに与える影響を定量化した。
  • 浅利 美鈴, 山下 真貴子, 酒井 伸一
    セッションID: A6-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    家庭系有害製品/家庭系有害廃棄物(HHW)の家庭内の保有及び廃棄の動態を明らかにすることで、製品の適正な3Rや3C(Clean, Cycle and Control)システムの在り方を検討するための基礎的知見を得ることを目的に、実態把握のための家庭訪問調査を試みた。その結果、家庭による差があるものの、保有されているHHWの量及び保有形態(退蔵や使用中など)が明らかになった。また、水銀製品については、世帯当たり約1gの水銀が存在し、そのうちの3割程度は退蔵(不使用)であることがわかった。これに全国世帯数をかけると46トンとなり、国内の水銀需用量(約10トン)の5倍近い値となることがわかった。
  • 稲葉 陸太, 松橋 啓介, 柚山 義人, 岡本 誠一郎, 伊藤 幸男, 栗島 英明
    セッションID: A6-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    バイオマス利用の効果として、地球温暖化の抑制や化石資源の代替に加えて地域活性化が期待される。著者らは、バイオマス利用による地域活性化の効果の定量的分析と、その戦略立案手法の確立を最終的な目的としている。本報告では、様々なバイオマスの利用事例における地域活性化の要因を抽出した結果と、それを踏まえた因果関係の明確化の結果を紹介する。まず、農業系バイオマス、下水汚泥、および木質系バイオマスの利用事例における地域活性化要因を検討・抽出した。つぎに、バイオマスの利用と地域活性化の因果関係を明確化するためにKJ法を参考にしたワークショップを実施した。ワークショップで得られた因果関係の図式をみると、3箇所で因果関係のループが形成されていることが分かった。2つ以上のループに関わる要素は「地域経済」「定住人口確保」「住民満足度向上」であり、地域活性化を考える上で特に重要な評価軸として捉えることができる。
  • 矢羽田 聡彦, 川鍋 良治, 加藤 隆也, 為田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: P2-A6-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    焼却残渣主体の廃棄物管理方法をとる日本にとって、循環型社会形成の阻害要因の一つに副生塩の問題がある。副生塩とは、焼却施設の洗煙排水や最終処分場の浸出水を脱塩処理した際に発生する処理残渣であり、主な発生要因として、熱回収施設におけるHClガスの高度処理設備、最終処分場における脱塩処理設備導入が挙げられる。この副生塩は高濃度で水環境中に溶出すると生態系や農産物に影響を与える。水処理施設内で高度処理され取り除かれているが、処理コストが高くなること等が原因でリサイクルシステムが構築されておらず、現状では最終処分場で保管または埋立られている。そのため低コストな副生塩リサイクルシステムの構築が求められている。 本研究では塩の物質収支を求め、環境中への排出量を推計、副生塩を生じる各施設にアンケート調査を実施し、処理処分の実態把握を行うことを目的としている。今回、その研究の報告を行う。
  • 菅原 聖史, 榊原 知也, 村上 進亮, 山冨 二郎
    セッションID: P2-A6-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    先進国から途上国へのE-wasteの輸出に関して、輸出先で適正な処理が担保されず潜在汚染性が顕在化する問題や、再利用不可能な廃棄物が中古名目で輸出される問題などが生じている。これらは不透明な資源循環ルートへE-wasteが流れることで引き起こされる問題であり、適切な資源循環を確立するには国内外における制度設計が必要である。一方、この分野は未だ実態の把握そのものを研究対象とする段階にあり、例えば施策の効果を定量的に分析する研究はあまり行われていない。そこで本研究ではマルチエージェントシミュレーションを用い、家電リサイクルのフローを再現した上で、施策の効果を定量的に検証することを目的とした。特に家電エコポイント制度が消費者の廃棄行動のフォーマル化に貢献することを定量的に示すことができたこと、また試行的とは言え市中回収業者をモデルに含めることでシステムの枠組の外のフローをモデル化した点は本研究の大きな成果と考える。
A7  LCA・低炭素社会
  • 中村 拓哉, 永田 勝也, 切川 卓也, 築山 亮
    セッションID: A7-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    日本が抱える環境問題のひとつとして, 国内最大級の産業廃棄物の不法投棄事件といわれる豊島問題がある.この不法投棄問題を巡って, 1990 年代に入ってから, 豊島住民と香川県の間で調停がなされ, 豊島の処分地周辺の将来までにわたる環境保全の万全を期すとともに, 問題を早期解決するという2 つの観点から中間合意がなされた. これにより, 「香川県豊島廃棄物等処理技術検討委員会」が設置され, 本格的な廃棄物処理作業が始まった. 豊島廃棄物等処理事業(以下, 豊島事業という)は, 国や香川県, 豊島住民等のステークホルダーが共に参加・協働し, 新たな関係や価値観を創って問題を解決するという「共創」の理念のもとに進められている. 本研究では, 事業の可視化・定量評価および視覚的に理解しやすい情報共有手法の構築をめざし,GPS 測量による処分場の3D モデル化による事業の進捗状況の可視化と, 豊島事業の環境性・経済性の定量評価を行った.
  • 鳥居 雅隆, 成田 暢彦, 小川 克郎
    セッションID: A7-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,都市ごみ処理に投入されるエネルギーや排出される環境負荷物質について環境側面から定量的に評価することを目的に,愛知県名古屋市における一般廃棄物処理システムを対象に,LCA手法により現行システムの環境負荷を定量的に評価した。なお,環境影響領域には,地球温暖化と埋立地消費とし,温室効果ガス(GHG)排出量と埋立量の2つをパラメーターとして,都市ごみ処理システムの評価を行った。分析の結果,現行のごみ処理システム全体におけるGHG排出量は125.6kg-CO2eq/t,埋立量は107.5kg-埋立/tであった。このうち,中間処理工程(焼却プロセス)における環境負荷が高く,GHG排出量は約9割,埋立量は約8割であり,全体に占める割合が高いことを示した。また,大規模施設におけるごみ発電により74.2 kg-CO2eq/tのGHG削減効果が期待できる。今後の課題として,環境負荷だけではなくリスクや経済面なども考慮し,総合的にごみ処理システムを評価する必要がある。
  • 樽田 泰宜, 中森 義輝
    セッションID: A7-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    平成17年に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定された.同総合戦略を受けて,全国の市町村では「バイオマスタウン構想」というプロジェクトを公表している.この同構想は,総合戦略が掲げる1.地球温暖化の防止,2.戦略的産業の育成,3.農山漁村の活性化,4.循環型社会の構築,という目標を達成するための具体的な行動計画である.本研究では,石川県の加賀市が公表している加賀市バイオマスタウン構想に注目をして温室効果ガスの排出量を定量化する.研究では特に,厨芥堆肥化事業とバイオディーゼル燃料化事業に注目をした.本研究により,地域で実施されるバイオマスタウン構想の環境性が明らかとなった.これは,バイオマスタウン構想の事例研究や定量分析の発展に資するものである.
  • 伊藤 由宣, 永田 勝也
    セッションID: A7-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    本稿の目的は、近年の不確実性時代において高パフォーマンスを志向する企業の環境戦略の中でも、特に資源循環の評価に着目し、実証的に分析することから企業価値創造の源泉の特性を明らかにすることである。 環境規制が技術革新を刺激し企業競争力が高まるというポーター仮説については、既に国内外でさまざまな実証がなされてきているが、ここでは2005年から2010年までの国内製造業を対象とした環境経営度調査と上場企業の財務データを用い、資源循環に関する評価パフォーマンスと財務パフォーマンスの関係をさまざまな切り口で分析し、各企業の動向や類型からモデル化に向けての基礎理論の把握と追試による仮説の再検証を試みている。 ここで明らかにされた傾向分析の結果は、現在目指すべきサステナブル社会における企業の位置づけをより明確にしていく為の基本情報の一部を補完するという意味で有用なものであると考えられる。
  • 中西 修司, 吉田 登
    セッションID: A7-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
     近年わが国では、これまで減量化やマテリアルとしての再資源化を優先してきた下水汚泥に対して、エネルギー資源としての利活用が推進されてきた。しかし、個々の技術の比較や地域での需給バランスに関する検討は十分ではない。そこで、本研究では、炭化、造粒乾燥、熱分解ガス化の各汚泥燃料化技術のエネルギー及びCO2収支について、消化工程の有無を含めて評価した。さらに造粒乾燥技術を例にとり、近畿地方の石炭火力発電所への適用を想定した場合の需給バランス及びエネルギー、CO2、経済収支について評価を行った。分析の結果、各燃料化技術のエネルギー及びCO2収支はいずれも従来の焼却よりもよい値となったが、収支がプラスになったものは造粒乾燥と熱分解ガス化であった。また、石炭への現状許容されている混入割合では、汚泥燃料の供給量は石炭火力での需要量を十分賄える一方、輸送を含む経済収支ではバランスしない場合が多いことが分かった。
  • 中村 悠, 山川 肇
    セッションID: A7-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    近年、食の安心・安全への関心の高まり、利便性などにより、食材の宅配が伸びており、これを環境の観点から考える。本研究では食品の宅配事業に注目し、宅配事業と店舗販売における環境負荷をLCA により定量的に評価、比較した。その結果、宅配事業は店舗販売に比べ、大気圏排出物質量が少ないことがわかった。
  • 中山 伸吾, 川本 克也
    セッションID: P1-A7-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物等の処理を取り巻く環境はここ10年程度の間に大きく変化し、安全・安心な処理はもちろんのこと、これらからいかにエネルギーを回収し低炭素社会及び循環型社会の形成等に寄与できるかに注目が集まっている。エネルギー回収技術の例としては、熱回収施設、メタン発酵施設、バイオマス発電施設、燃料化施設等があり、処理対象物や発生量、地域特性等により様々な実施形態が見られる。また、海外においても同様の技術開発が進んでいる。 本研究においては、国内を中心に海外も視野に入れ、廃棄物等からのエネルギー回収技術を調査した結果を報告するとともに、技術導入への課題及び将来展望について考察する。
A8  海外調査
  • 吉田 充夫
    セッションID: A8-1
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    イラクの廃棄物処理体制の復興の現状と課題は以下の8点にまとめられる。1)収集運搬能力は都市によって差があるものの、全体として民間委託が進みつつあり行政の契約管理能力強化が課題である。2)バグダッド及び、キルクーク、エルビル、ドゥホークといった北部都市で衛生埋立処分場建設が進んでいるが、他都市はオープンダンプの状況である。3)焼却を含め中間処理は行なわれていず、今後計画が必要となっている。4)中央政府レベルでの国家廃棄物管理計画は策定されているが、県や自治体レベルで具体化されていない。5)産業廃棄物の分割管理を含む行政当局のエンフォースメント能力強化が課題である。6)医療廃棄物処理の技術改善が求められている。7)県及び地方自治体の行政組織は一応確立しているが、廃棄物処理実施機関の人材に不十分な面が多く、今後人材育成が必要である。8)市民参加や市民協力、環境教育は今後の課題である。
  • 青木 一誠, 吉田 充夫
    セッションID: A8-2
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    2010年にアフリカ4か国(チュニジア、セネガル、エチオピア、ルワンダ)についての廃棄物管理に関する実態調査を行った。調査結果によると、これら4か国について、経済成長レベル(GNI)が高いと廃棄物の収集率が向上する傾向にあることが確認された。ただし、都市の社会的規範や民間連携のあり方が収集率の変動要因として認められた。また、人口規模が大きい都市ほど、一定の廃棄物管理事業がなされている傾向が確認された。経済成長レベルが高くないアフリカ諸国においては、対処能力に不十分さが認められ、また、資金面の制約もあり、適切な廃棄物管理はなされていない。特に人口規模の大きくない都市では、深刻な状況も見受けられる。廃棄物管理に係る課題は、公衆衛生面にも直結するものであるため、今後アフリカにおいては、経済成長レベル、人口規模に応じた廃棄物管理への対処能力強化支援が必要である。
  • 熊谷 とも絵, 北脇 秀敏
    セッションID: A8-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
     本研究は、多くの発展途上国で後回しにされがちな身近な美化を含む廃棄物処理事業に取り組む事により、その本来の成果だけでなく波及的に治安改善効果もある事を示す。それにより、廃棄物処理事業へのモチベーションを高める事に意義がある。  筆者は青年海外協力隊員としてラテンアメリカの2国で廃棄物処理プロジェクトに携わった。これらの国々では政治的・経済的な理由で地域の治安が悪化すると、環境問題への取り組みは疎かになる。そこで『割れた窓ガラス理論)』を応用して地域の美化に取り組むことにより治安を改善したいくつかの例を知った。そこで本研究は、この理論を応用し、路上投げ棄てごみ(ポイ棄て)量の多い地域の治安は悪く(犯罪発生率が高い)、投げ棄てごみ量の少ない地域の治安は良い(犯罪発生率が低い)、という仮説を、エクアドル共和国にて調査した。
  • 佐々木 創
    セッションID: A8-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/07
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、タイのアマタナコーン工業団地を事例に産業分類、産業廃棄物の分類、産業廃棄物の処理方法の分類を整理した上で、日本の産業分類別の副産物(産業廃棄物・有価発生物)発生状況調査の定義に当てはめて、「有価物発生量」、「中間処理量」、「直接埋立量」を把握した。その上で、タイの産業廃棄物処理・リサイクルにおける課題を導出し、日本の静脈産業にとってビジネスチャンスについて考察した。
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