廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第24回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の379件中251~300を表示しています
D2  最終処分場の維持管理/モニタリング
  • 田中 宏和, 椿 雅俊, 磯部 友護, 大石 修, 藤井 直幸, 大家 清紀, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山田 正人, 香村 一夫
    セッションID: D2-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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     揚水した浸出水を埋立地に返送循環する方法に着目し、太陽光エネルギーとエアリフトポンプを用いた小規模実験システムを構築して連続運転試験を行った。その結果、断続的に浸出水を揚水し、100m以上導水することに成功した。また、揚水は井戸周辺の保有水を移動させて塩類洗い出しを促進させる効果があるが、その効果は浸透水量の影響を受けることが示唆された。さらに、比抵抗探査から揚水部と給水部周辺下層の塩類洗い出しが確認されたが、一様ではなく偏りがみられた。本実験により揚水返送循環方式は局所的な安定化促進手法として一定の効果が確認された。
  • 柳瀬 龍二, 平田 修, 松藤 康司, 小山田 謙二, 梶原 宏, 丹生 和則
    セッションID: D2-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    残渣物主体の埋立地の早期安定化の評価手法は現在検討中であり、同時に埋立跡地異様においても大きな課題となっている。本報では埋立が終了した残渣物主体の埋立地にボーリング孔を設置し、埋立地の物理的性状や埋立廃棄物の溶出試験結果と保有水等を調査し、埋立特性を比較検討した結果を以下にまとめた。①埋立廃棄物の組成は埋立時と20年後でも大きな変化が認められない、②埋立地盤は廃棄物層の含水率が低く、非常に締まった状態で透水係数も小さい傾向にあった、③保有水と埋立廃棄物の溶出試験から両者の水質は比較的類似した傾向を示し、汚濁物が下層部へ浸透流下し、嫌気的な部位で水質が悪化する傾向にあった。
  • 小山 研也, 櫻間 俊典, 若林 恭子, 大森 雅史, 伊藤 貴宏, 横瀬 隆司, 田中 宏和, 香村 一夫
    セッションID: D2-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    最終処分場の埋立層内に滞留・濃集しているメタル類の位置をピンポイントで特定して回収し、再利用可能な状態で備蓄することができれば、将来資源が逼迫した際に有益である。層内を効率的に把握する手法としては電気探査が有効であり、特に比抵抗法とIP(強制分極)法を併用することでメタル類の濃集ゾーンを特定できる可能性がある。本研究では実際の最終処分場において探査実験をおこなっている。探査結果の信頼性を検討するため、ボーリングコア試料に対して、サンプルホルダーを用いて深度別の比抵抗および充電率を、また蛍光X線分析により金属含有率を測定した。その結果、比抵抗および充電率の深度別の傾向は現場における探査結果と一致した。また金属含有率の深度別のトレンドがFeと類似する元素が存在することが判明した。また測定した充電率とFe含有率との間には一定の関連性が認められた。
  • 大石 修, 田中 宏和, 磯部 友護
    セッションID: D2-7Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    電磁探査の結果から強いスポット箇所を掘削したところ埋設物が発見され、見かけ電気伝導度と見かけ磁化率の応答の違いは埋設物の電磁気的違いに起因することが推測された。
    これまで最終処分場の安定化をテーマとして比抵抗探査などの他手法と組み合わせて探査を行ってきたが、掘削深さが1~2m程度であること、廃棄物の質的変成による応答の違いよりも異物の存在検知に特出していることから不法投棄現場や浅層での金属探知などにおいて大きく貢献できることが考えられる。
  • 宮原 哲也, 中山 裕文, 島岡 隆行, 高山 裕明, 上田 祐一, 山下 修一, 八村 智明, 永岡 修一
    セッションID: D2-8Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    地上観測が難しい広域の最終処分場において面的情報取得など,モニタリングを効率的に実施する手段として,上空からのリモートセンシング技術の適用が期待されている.本研究では温度分布の計測を実施すべく,小型サーモグラフィー装置(以下,サーモグラフィーという)を搭載可能なシステムを開発した.このシステムを用いて,最終処分場における埋立地表面熱分布計測を試みた結果,裸地や植生の違いや埋立物の安定化の状況の差等,埋立地表面に現れた情報を温度の差として明瞭に捉えることができた.また,計測に要した時間は約1時間10分と短時間であった.これらの結果から,最終処分場の安定化評価や火災の監視などの面的モニタリングを迅速かつ効率的に実施する手法として本システムが有効であることが明らかとなった.
  • 高田 康平, 片岡 咲恵, 奥野 愛実, 田中 宏和, 香村 一夫
    セッションID: D2-9Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    埋立層中のメタル類に焦点をあて、メタルの種類や量、それらの化学的・鉱物的形態を把握し、さらに、メタルが層内に賦存する状況について解明することを目的とし実験を行った。 その結果、深度に伴う重金属類濃度トレンドにおいてCu、Zn、Pbの3元素はそれぞれ類似したトレンドを有することが分かった。また、ある深度で含有濃度ピークの一致する元素が存在することが判明した。 廃棄物の模擬埋立カラム内における性状変化の結果からCr、Ti、Vは埋立層内において長期間安定した形態を維持し、その場に留まることが推察される。一方、Cu、Mn、Ni、Pb、Znにおいては嫌気性条件下で易溶性画分は減少する傾向にあり、好気性条件下で易溶性画分は増加する傾向にあることが分かった。 埋立前の焼却灰とボーリング掘削コア試料における形態を比較すると、浅い層では多くの元素が埋立前の同様な易溶性、深い層では難溶性を示す画分の割合が多くなっていた。
  • 中村 愛, 松藤 康司, 立藤 綾子, 中村 光宏
    セッションID: D2-10Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    本研究では,最終処分場の最終目標である土壌還元状態を,焼却残渣を生物が生育できる土壌用物質に改変することと位置づけ,土壌還元化を促進させる方法として微生物の餌となる有機物の埋立層への添加に着目し,堆肥を覆土材として適用することの有用性について検討を行っている.

    過去の研究で,BOD成分量の多い堆肥を覆土材として用いることで,焼却残渣の土壌還元化の第一段階である浸出水の中性化に効果があり,その中性化促進機構は,堆肥中の有機物の分解によって発生したCO2と,焼却灰中のCa2+の反応であると予測されている.本研究では,陽イオン,陰イオンの浸出傾向とpHの関係を調査し,pH低下に寄与するイオン種について検討した.その結果,CO2だけでなく,堆肥中に含まれるSO42- やアンモニアの酸化生成物であるNO3-等の酸性イオンも焼却残渣の中和に寄与することが確認された.
D3  埋立ガス・浸出水
  • 北﨑  俊平, 朝倉 宏
    セッションID: D3-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    現在、国内の最終処分場の中には、高濃度の硫化水素が発生したことが原因の死亡事故も報告されている。最終処分場内での硫化水素発生要因は、嫌気的条件下での硫酸還元菌による硫酸塩の還元反応である。硫化水素発生を抑制する方法としては、通気用パイプの打設や、鉄イオンを含んだ覆土があるが、それぞれ、コスト高、対処療法で根本的な対策法ではないと懸念されている。一方、安価な硝酸塩を添加する方法は硝化脱窒を優位にすることで、硫酸還元菌による反応を抑制することが知られており、根本的な対策法の一つになり得ると考えられる。そこで本研究では、硝酸塩添加による硫化水素発生抑制の最適条件探索に先立ち、硫酸塩還元菌の活動により硫化水素が発生する系と、硝酸脱窒菌によって硝酸塩が脱窒される系を作成し、それぞれの制御法を確立させ、高濃度の硫化水素を発生する最終処分場の再現と硝化脱窒の安定的な運転を行うことを目的とする。
  • 藤原 尚洋, 関戸 知雄, 米田 和晃, 土手 裕, 鈴木 祥広, 稲垣 仁根, 森田 哲夫
    セッションID: D3-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    近年、大量の家畜が埋却される事例が増加し、埋却地周辺環境における環境汚染物質の発生や影響が懸念されているが、研究事例は多くない。
    本研究は、模擬家畜を用いて、殺処分により埋却処分された家畜から発生するガス量や濃度を推定することで、ガスとして放出されていく炭素割合を計算した(RUN1)。また、埋却初期に発生する悪臭物質の種類と量を推定した(RUN2)。
    RUN1の結果より、埋却後22か月経過した模擬家畜試料からのガス化炭素量は、埋却直後を模擬した家畜試料の約半分に減少した。模擬家畜中炭素ガス化率は非常に低く、地中で嫌気状態に保たれている埋却された家畜は、降雨による洗い出しがなければ、多くの有機物が残留している可能性がある。
    RUN2より、ガス量は、埋却直後から約2週間で急激なガス発生があり、悪臭成分の濃度は環境基準値よりも非常に高いため、埋却直後の悪臭対策技術の開発が必要である。
  • 平田 修, 松藤 康司, 立藤 綾子, 柳瀬 龍二
    セッションID: D3-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    本研究では、埋立廃棄物の分解に伴う「液相分配量」の予測式として「単位体積当たりの累積浸出水量」を変数とした自然対数式を用いること、及び埋立構造の違いを炭酸ガスメタン比を基に可溶化期間を推定することを提案し、その妥当性について検討した。その結果、好気割合の推定方法に改良の必要性があるものの、本予測モデルによって、液相への分配量を推定できることがわかった。本研究で提案した予測モデルの予測値を用いて、埋立構造別の溶出率を算出すると、準好気性槽は嫌気性槽に比べ38%~56%の炭素溶出削減効果が見込まれる結果となった。今回提案した「液相への分配量予測モデル」によって、降水量の多いアジア地域における埋立地から有機汚濁物質の浸出水への流出量を推定できたことは、埋立地からの温室効果ガスの発生量の予測精度の向上に貢献するものと考えられる。
  • 田村 典敏, 岩川 博章, 石田 泰之
    セッションID: D3-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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     ごみの焼却処理の推進により上昇してきた焼却灰中のカルシウム濃度は、埋立処分後において浸出水処理施設内にカルシウムスケールの付着トラブルを誘発させてきた。対策は浸出水からカルシウムを取り除く方法が用いられているが、高額な薬剤費を必要とするため事業者に大きな負担となっている。当社では新しくイオン交換樹脂を用いたカルシウム分離技術を開発したことから、浸出水からのカルシウム除去方法として適用できないか検討を開始した。イオン交換樹脂を用いた方法は、薬剤を用いないため大幅な維持管理費用の低減が可能となる。
     本報告では、最終処分場にパイロットスケールの装置を設置して、実際の浸出水を用いた実証試験を行ったので報告する。
  • 間宮 尚, 塩山 欣春, 鬼木 剛一, 若林 秀樹, 小澤 一喜, 西村 正夫, 福井 久智
    セッションID: D3-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    処分場運営時のエネルギーは大半が浸出水処理に費やされている。特に逆浸透膜や電気透析後の残液である濃縮水の乾燥では、専らボイラーで発生させた水蒸気の熱エネルギーが膨大に投入されており、処理の簡素化、具体的には省エネルギーが求められている。近年、ヒートポンプを用いた熱エネルギー回収型の水蒸気圧縮が注目されており、これを浸出水濃縮液処理に適用した場合の効果について試算する。また、濃縮水は塩水であるので、実験室レベルで濃縮時の乾燥効率(乾燥時間)を調べた結果と合わせて、省エネルギーの可能性について報告する。
  • 渡辺 信久
    セッションID: D3-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    pH 7,9,10,12の水を2000~3000 ppmvのCO2を含む空気と接触させ、気相中のCO2濃度の低下と、水中CO2量の増加を調べた。液性がアルカリ性(pH 12)の場合のCO2フラックスは、初期には、1~2 mol m-2 min-1であった。pH 9~10では同0.2~0.8であった。pH 7では吸収されなかった。
  • 志水 信弘, 平川 周作, 鳥羽 峰樹, 池浦 太荘, 桜木 建治, 大久保 彰人
    セッションID: D3-7Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    廃プラスチック由来の有機物による硫化水素発生機構を解明するため、培養試験と有機物の成分分析により硫化水素発生に関わる成分を検討した。 廃プラスチックの抽出有機物を用いた実験では、木質と同程度の硫化物イオンが発生する場合もあり、培養開始から42~56日目頃にほぼ最大濃度(9.3~49.0 mg/L)になった。この時に、親水性有機物と硫化物イオンの変化量に正の相関関係(R2=0.779)があり,硫酸塩還元菌は親水性有機物を利用している可能性が高かった。また、硫酸塩還元反応に関与した有機物量は,ほぼ親水性有機物量に相当しており,親水性有機物が制限因子として重要であった。
  • 辰市 祐久, 飯野 成憲, 茂木 敏, 加藤 正広
    セッションID: D3-8Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    昨年にアナモックス菌を用いた脱窒素反応が埋立地浸出水を使って起こることを発表したので、脱窒素反応の前段階となる亜硝酸型の硝化について浸出水を用いて実験した。浸出水で馴致の結果、アンモニア性窒素300mg/L中200mg/Lが亜硝酸性窒素となり、容積負荷として200g/d.m3を示した。また、アナモックス反応の実験では、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素の比が1:1.3からずれて原水が供給された場合、濃度の高い成分が残留して流出していた。
  • 甲斐 穂高, 森 美由貴, 中道 隆広, 竹下 哲史, 石橋 康弘
    セッションID: D3-9Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    筆者らは、臭化ナトリウム水溶液から臭素酸を含む電解水が製造できる装置の開発と、臭素酸電解水の殺菌能力や様々な化学的性質を明らかにすること目的として、研究を行っている。筆者らの開発した電解槽で生成した臭素酸電解水では、大腸菌(E .coli)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、緑膿菌(P.aeruginosa)、枯草菌(B.subtilis)に対して、臭素酸濃度4~8mg/lで全ての菌種における完全な殺菌が確認でき、次亜塩素酸電解水よりも強力な殺菌効果を有していることが明らかになった。しかしながら、臭素酸電解水中からブロモホルムをはじめとする3種類のトリハロメタン類がごく微量検出されたため、可能な限りトリハロメタン類が生成されない電解水製造装置の開発を進めていく。
  • 雷 ギ, 宋 雨霖, 樋口 壯太郎, 米村 孝介
    セッションID: D3-10Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     焼却炉やリサイクルセンターなど中間処理施設の導入により我が国の一般廃棄物の埋立物は焼却残渣と破砕不燃残渣が中心になった。その中で焼却残渣の埋立特性に関する研究は数多くあるが、破砕不燃残渣の埋立特性に関する研究はほとんどないのが現状である。本研究は破砕不燃残渣の埋立特性を把握することを目的として行った。
  • 樺山 翔拓, 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: D3-11Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     研究の目的は宮崎県の口蹄疫対策マニュアルの埋却方法でのアンモニアガスの破過時間を予測し、埋却方法を評価することである。そのためには実験で、土壌とおが粉のアンモニア吸着性能、吸着速度、埋却資材内のガス分散のパラメータを得る必要がある
    アンモニアの吸着等温線は乾燥、湿潤ともにFreudlich型になることがわかった。土壌のみを埋却材とした場合、おが粉と土壌を組み合わせた場合それぞれのアンモニアが検出される時間は吸着実験、拡散実験、吸着速度を求める実験で得られたパラメータを用いて予測した、おが粉と土壌の場合は土壌のみと比べて約8割の時間でアンモニアが検出された。しかし、土壌とおが粉を組み合わせた場合のアンモニアの検出時間は、約16年後になることがわかった。したがって、おが粉を投入しても埋却に必要な3年を超えることがわかった。
  • 尾形  有香, 石垣 智基, 蛯江 美孝, 神保 有亮, Noppharit Sutthasil, Chart Chiemchaisri ...
    セッションID: D3-12Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    アジア都市域では、経済発展に伴い廃棄物の発生の増加と質の多様化が進んでいることから、包括的な廃棄物の処理・管理が急務となっている。それらを遂行するにあたり、適正な浸出水処理の開発が必要であると認識されている。
    アジアに適した浸出水処理システムの1つとして、人工湿地が挙げられる。人工湿地とは、汚水処理を目的として人工的に構築された湿地であり、自然浄化メカニズムにより水質浄化を行うものである。人工湿地は、低コスト・低エネルギー型消費の処理法であるとともに、維持管理が容易であることが利点である。しかしながら、アジアの処分場浸出水の処理目的として人工湿地が導入された例は少ない。
    これらのことから、本研究では、タイ王国ノンタブリ廃棄物埋立地において人工湿地による浸出水処理実験を行い、設計および運転因子を得るとともに、その処理性能の評価を通じて、持続可能な浸出水管理を提案することを目的とする。
D4  不法投棄/土壌・地下水汚染 1
  • 片山 和俊, 山脇 敦, 新妻 弘章, 小野 明
    セッションID: D4-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     産業廃棄物の不法投棄は、国、行政、産業界、処理業界の取り組みにより、近年減少している。しかし、排出事業者等による小規模不法投棄は依然発生しており、廃棄物種類別では、建設系廃棄物が従来同様60~80%を占めている。建設系廃棄物の不法投棄の発生要因や対策のあり方を探ることを目的に、小規模業者等の建設現場従事者を対象に、法制度の認知状況や廃棄物の取り扱い状況に関するアンケート調査を行い、282人から回答を得た。その結果、小規模建設業者の現場従事者に廃棄物処理法等の廃棄物の取り扱いに関する情報がほとんど伝わっていないことや、法制度を知らない中で不適切な処理が行われている状況にあることが分かった。末端の建設従事者への適正な廃棄物処理方法や廃棄物の発生抑制、リサイクル等についての情報伝達や法制度周知が極めて重要になっている。
  • 山脇 敦, 島岡 隆行, 大嶺 聖, 勝見 武, 川嵜 幹生, 土居 洋一, 柴 暁利, 川井 晴至, 坂口 伸也, 小原 孝之
    セッションID: D4-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     堆積廃棄物の斜面安定性については、経験的に急勾配で安定することが知られているが、その試験・評価方法は確立されていない状況にある。そのようななかで、わが国の不法投棄等現場の堆積廃棄物の斜面安定性評価に適する強度試験法や解析法について、土質力学をベースに、国内外9現場での強度実験等により研究した。その結果、強度試験法として不法投棄等現場用に改良・開発した一面せん断試験、引張試験や安息角試験が、解析法として引張抵抗を考慮した評価式が、それぞれ現場の斜面安定性を良く表すことが分かった。
     わが国の不法投棄等現場の堆積廃棄物は、大小重軽の廃棄物が良く混じり合っていること等によって高い摩擦抵抗を有するとともに、繊維状物等により発現される特有の引張抵抗により、通常の土地盤に比べ非常に高い斜面安定性を示す。
  • 土居 洋一, 山脇 敦, 川嵜 幹生
    セッションID: D4-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    不法投棄現場等では堆積廃棄物が急勾配で盛り立てられており,これら廃棄物の安定性評価は土砂と同じような基準で検討している。ここでは,簡易な法面安定性評価の手法として,安息角試験を用いる方法を実施した。

    国内外九箇所の不法投棄現場等で実施した結果,廃棄物で1.0~1.5m程度の山を作ることにより安定的な勾配を示す限界安息角を得ることができた。この値は、現場の安定している斜面勾配とほぼ同様であり,更に同時に実施した現場一面せん断試験による摩擦抵抗角(φ)とほぼ一致していることから,安息角試験で現場の斜面安定勾配を知り,廃棄物のφを簡易的に知ることができることが理解された。

    また、安息角の決定要素として,廃棄物組成の相違が大きく関与していることがわかった。廃棄物層ではがら等の大型物による噛み合わせ効果と,繊維状物,シート状物による粘着抵抗(引張抵抗)が安息角を大きくする要素と考えられることがわかった。
  • 大嶺 聖, 山脇 敦, 土居 洋一, 川嵜 幹生
    セッションID: D4-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物地盤の強度を評価するための試験として一面せん断試験があるが,廃棄物の種類によっては供試体の整形などに時間がかかる。また,対象地においても場所によって廃棄物の種類や組成が異なることがあるため,原位置強度を簡便に推定するための試験が求められている。 現場強度の推定を行うための新たな試験法として現場土圧試験の適用性を検討する。現場土圧試験では,根入れ深さを変えて,3個以上の受働土圧を測定することにより,強度定数である粘着力と内部摩擦角の概算値が算定される。  
    現場試験の結果から,本手法が廃棄物地盤の強度の概算値を求めるための方法として有効であることがわかった。
  • 川井 晴至, 島岡 隆行, 坂口 伸也, 山脇 敦
    セッションID: D4-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    傾斜地上に堆積した軟プラスティックを含む廃棄物埋立地盤を模擬した大型土槽中に、ひずみゲージを貼付けた軟プラスティックを埋設し、土槽内の湿潤状態における埋立廃棄物の応力変化に伴う軟プラスティックの挙動を明らかにすることを試みた。その結果、廃棄物埋立地盤中の軟プラスティックは、上載荷重による圧縮に伴い、伸びることにより発生する張力によって土粒子を拘束し、充填試料の変形を抑制するような挙動を示すことが明らかとなった。
  • 山脇 敦, 島岡 隆行, 大嶺 聖, 勝見 武, 川嵜 幹生, 土居 洋一, 柴 暁利, 川井 晴至, 坂口 伸也, 小原 孝之
    セッションID: D4-6Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     産業廃棄物の不法投棄等現場では、不法投棄等の行為者により急勾配に盛り立てられることが多く、斜面崩壊のおそれを指摘されることが少なくない。しかし、国内の不法投棄等現場で実際に大規模な斜面崩壊を確認しているのは、傾斜地上の投棄事案で、大雨後に斜面上を廃棄物層が一体的にすべり落ちた事例1件のみである。このようななかで本研究は、国内21の斜面崩壊のおそれが指摘された現場の状況調査、国内外での崩壊事例調査、現場での大規模な載荷・崩壊実験等により、わが国の不法投棄等現場で留意する必要がある斜面崩壊パターンについて研究した。わが国の不法投棄現場の堆積廃棄物等は非常に高いせん断抵抗を有することから、平地での堆積事例では大規模崩壊は発生しにくい。一方で、傾斜地上の投棄の場合には、廃棄物層と地山との境界部でのすべりや地山側での崩壊の危険があり、こうした斜面崩壊に特に留意する必要があることが分かった。
D5  不法投棄/土壌・地下水汚染 2
  • 瀬尾 英孝, 島岡 隆行, 八村 智明, 宮原 哲也, 永岡 修一
    セッションID: D5-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    今回対象としている産廃処分場では埋立当初、公共用水路に構造耐力について検討されていない蓋をし、簡易な構造の水路管を設置した上で遮水シートを敷設し廃棄物を埋立てたため、廃棄物が及ぼす荷重等により水路及び遮水シートが破損し、埋立地の陥没及び油類を含む廃棄物そのものが下流に流出する等、生活環境保全上の支障のおそれが認められた。この地下用水路及び遮水工の破損に伴う、廃棄物及び浸出液や油類の流出等による地下水への影響等、生活環境保全上の支障を明らかにすべく、現況把握調査・解析手法を検討した結果、以下のことが明らかとなった。 (1)地下水や保有水等を対象としたイオン分析によるシュティフダイアグラムを用いた解析は、処分場からの浸出水漏水の有無を判断するに大変有効な手法である。 (2) 物理探査手法の一つである電気検層は、最終処分場の地下水観測を適切に実施する帯水層調査手法として有効であろうと考えられる。
  • 瀬尾 英孝, 島岡 隆行, 八村 智明, 宮原 哲也, 永岡 修一
    セッションID: D5-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
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    本報告が対象としているのは、「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法によって生活環境保全上の支障またはそのおそれが認められる産業廃廃棄物最終処分場として、大臣同意を平成25年4月に受けた、いわゆる不法投棄事案である。 埋立当初、公共用水路に構造耐力について検討されていない蓋をしただけの水路管を設置した上で、遮水シートを敷設し廃棄物を埋立てたため、廃棄物が及ぼす荷重等により用水路及び遮水シートが破損し、埋立地の陥没及び油類を含む廃棄物そのものが下流に流出する等、生活環境保全上の支障のおそれが認められている。当該処分場を監督する自治体は調査方針の一つとして、埋立地全体の概要を把握する上で、点的ではなく、面的な現況把握手法として物理探査手法を用いることを検討した結果、表面波探査、二次元比抵抗探査、及び漏水検知探査の特徴及び特性を捉えることが出来た。
  • 瀬尾 英孝, 島岡 隆行, 八村 智明, 松本 謙二, 宮原 哲也
    セッションID: D5-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    本トレーサ調査は,管理型処分場の地下(遮水シート下)にある水路の蓋の崩壊は管内カメラで確認されたものの,シートそのものの破損による保有水等の流出について,直接的に証明する手法として各種トレーサ手法を研究し,現地で実験的に実施した.その結果,塩水トレーサ調査については,最終処分場おける保有水流出の有無を確認する手法として有効性であることが確認された.なお,当該地区のように陸域に位置する最終処分場においてはトレーサ物質として,塩水が有効であったものの,海浜部や海面に設置された処分場では,周辺に塩分が多く存在するため、この手法の利用は困難となる.このため,将来的には塩水を用いたトレーサ調査が実施できないような場合を踏まえ,手法および有効性の高いトレーサ物質の研究を継続する予定である.
  • 石井 淳, 五井 直人, 小野 雄策
    セッションID: D5-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    建築物解体時に発生する廃棄物には多量の廃石膏ボード類が含まれており,これらは通常埋立処分される.さらに,毎年建設廃棄物の不法投棄も後を絶たない.これらの現場では,高濃度の硫化水素が発生しており,もう一度原点に返り硫化水素ガスの防止対策を考える必要がある. そこで本研究では,最終処分場から採取した汚泥と石膏ボードの原料である石膏,糊,厚紙を嫌気性培養し,硫酸塩還元菌とこれらの原料との反応により発生する硫化水素ガスの気層中への放出量を解析・評価した.研究の結果,廃石膏ボード類が埋め立てられた際,厚紙が最も硫化水素ガス発生に関与している可能性が高いことが示唆された.
  • 中村 謙吾, 保高 徹生, 三浦 俊彦, 井出 一貴, 西田 憲司
    セッションID: D5-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    建設現場で発生する自然由来の重金属を含有する土壌の取り扱いは汚染土壌の処理や建設発生土の有効利用の観点から社会的に大きな課題である。重金属類を含有する土壌を適切に管理するためには、土壌からの重金属類の長期的な溶出特性の把握が必要である。本研究では、堆積層の硬質粘土中のヒ素を対象として、粒径別にシリアルバッチ試験、酸/アルカリ溶出試験及び逐次抽出試験を適用し、一般環境下において溶出しうるヒ素の最大量(以下、可能最大溶出量という)を推定した。  シリアルバッチ試験の結果、液j固比10でのヒ素の溶出量は粒径に大きく依存し、1回の溶出量は液固比の増加に伴い漸減することが確認された。また、各種溶出試験から推定された可能最大溶出率から、当該土壌からのヒ素の可能最大溶出量は、粒径31.5-50.0mmの試料で最大2.1%程度、粒径<2mmの試料で最大10.5%程度であることが確認された。
D6  放射性物質・重金属の挙動/処理技術 1
  • 土手 裕, 関戸 知雄, 落合 勇太
    セッションID: D6-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    焼却灰中のセシウム存在形態を知ることは、セシウムを含む焼却灰を最終処分場で管理する上で重要である。本研究では安定セシウムを人工的に添加した廃棄物を焼却して得られた焼却主灰を用いて逐次抽出を行い、焼却主灰中のセシウムの存在形態の推定を試みた。逐次抽出実験の結果、水溶性セシウムを除くと、難溶解態セシウムの割合は平均で73%であった。難溶解態の割合は、廃棄物の種類、一次空気比、ケイ酸添加に影響を受け、二次空気比、廃棄物に含まれるセシウム化合物の種類には影響を受けなかった。ケイ酸を添加することで難溶解態の割合が大きくなることから、土壌を多く含む廃棄物の焼却は焼却灰からのセシウム溶出を抑制すると考えられた。
  • 東條 安匡, 岩本 早織, 松尾 孝之, 松藤 敏彦, 黄 仁姫, 島岡 隆行
    セッションID: D6-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、Csを含有する焼却主灰を、埋立地内で起こりうる風化変質を加速する条件下に暴露し、焼却灰の変質とCsの溶出挙動を追跡した。風化加速条件として、ブランク(窒素雰囲気下)、乾燥/湿潤、凍結/融解、CO2ガス暴露の4条件を設定した。Csの溶出は、ブランクでは変化しなかった。CO2暴露系では急激な溶出量の減少がみられ、2週でほぼ検出限界に達した。XRDによる分析からcalciteの生成が確認され、それが焼却灰を覆うことでCsの溶出が抑制されたと考えられる。乾燥/湿潤系、凍結/融解系では初期に溶出量の増加が見られたものの、次第に両系ともに減少傾向に転じ、最終的にブランクよりも少ない溶出量となった。溶出量の減少しは、乾燥及び凍結時に試料が大気条件下に曝されたために炭酸化が生じ、CO2暴露系と同様の現象が起こったためと考えられた。
  • 岩本 敬弘, 藤川 宗治, 河野 孝志
    セッションID: D6-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    ごみ焼却処理施設から発生した焼却飛灰中の放射性セシウムを効率的に分離濃縮し、かつ放射性物質を含む最終排出物を大幅に減容化できる処理システムを開発した。本システムでは、飛灰を水で洗浄して放射性セシウムを抽出し、クラウンエーテルを担体に担持した分子認識吸着剤を用いて洗浄水から放射性セシウムを分離除去する。飛灰洗浄水にはセシウムの他にナトリウム、カリウムが高濃度で含まれているが、本吸着剤はセシウム選択性が高いため、ゼオライトを用いた場合と比較して5倍以上のセシウムを処理できた。その上、本吸着剤は繰返し使用することができるため、放射性物質を含む最終排出物が処理前の焼却飛灰の100分の1以下に減容化される。さらに、本システムで濃縮したセシウム液をゼオライトで処理した場合、本システムを用いない場合と比較して200倍以上のセシウムを処理できる。
  • 小竹 茂夫, 日笠山 徹巳, 三浦 俊彦, 高田 尚哉
    セッションID: D6-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
     福島第一原子力発電所事故を原因として発生した指定廃棄物の基準(8,000Bq/kg)を超える焼却飛灰の特徴として、①高い放射能濃度、②水への高い溶出性が指摘されている。本技術では、フレキシブルコンテナバッグに充填した状態で、焼却飛灰の洗浄から搬出まで行うことができる飛灰の造粒固化洗浄技術を開発し、実規模実証試験によりその効果を確認した。
     通常の飛灰洗浄技術は、焼却飛灰と水を混合し、撹拌洗浄によりスラリー化することで放射性セシウムを水に溶出させ、洗浄後の灰をフィルタープレス等を用いて脱水ケーキの形で回収するが、本技術では飛灰にセメント等を添加し製造した粒径φ1~9.5mmの造粒固化飛灰を水切りフレコンに充填し、カラム式の通水洗浄により洗浄する。濁水を発生させることなく、体積比20倍程度の水を通水することで洗浄が終了し、長期溶出も抑えられることを確認した。
  • 市川 恒樹, 山田 一夫, 大迫 政浩
    セッションID: D6-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    福島第一原発の周辺で発生した焼却飛灰には水溶性の放射性セシウムが含まれているため,飛灰の吸水によって放射性セシウムの漏出が生じる恐れがある。漏出を阻止するにはセシウム吸着剤を飛灰に添加すればよいが,飛灰には水酸化カルシウムや塩化カルシウム,塩化ナトリウム,塩化カリウムが多量に含まれるため,ゼオライトやプルシアンブルーなどは使えなかった。我々はフェロシアン化ニッケルがこのような 条件下でも選択的にセシウムを吸着することを見出した。放射性セシウムの漏出防止に必要な量は,飛灰1トン当たり数十グラムでよい。
  • 市川 恒樹, 山田 一夫, 大迫 政浩
    セッションID: D6-6Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    福島第一原発の周辺で発生した焼却飛灰には水溶性の放射性セシウムが含まれているため,飛灰の吸水によって放射性セシウムが漏出する恐れがある。このため飛灰は水の浸入を防止できる建造物中に長期間保存する必要があるが,飛灰には潮解性の塩化カルシウムも多量に含まれているため,これが湿気を吸収して溶液となって流れだし,放射性セシウムの漏出を引き起こす可能性がある。塩化カルシウムを含む飛灰の加湿実験を行ったところ,1)吸水量は時間の平方根に比例して増大すること。2)溶液の漏出は飛灰中の空隙が吸湿で生じた溶液で満たされた時点で生じること。3)Csの漏出に要する時間は貯蔵されている飛灰の高さの二乗に比例して長くなることが分かった。
  • 加藤 顕, 日笠山 徹巳, 小竹 茂夫, 石田 道彦, 高橋 真一, 鍋嶋 靖浩
    セッションID: D6-7Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
      放射性セシウム濃度8,000~100,000Bq/kgの焼却灰等(指定廃棄物)は、既設の管理型処分場に埋立処分する際、焼却灰等をセメント固化し、雨水の侵入を防止する隔離層(透水係数1×10-6cm/s以下、厚さ30cm程度以上)で周囲を覆って埋立てる方針が環境省から示されている。
      雨水の侵入を防止する隔離層を構築する方法として、ベントナイトなどを重機で締め固める方法があり、既に実施されている。この方法に対して、流動性のある遮水材を布製型枠に充填することで、容易に隔離層を構築できる新たな技術を開発した。本技術の実証試験を実施し、遮水性と施工性を検証したので報告する。
  • 木下 亮, 東條 安匡, 松尾 孝之, 黄 仁姫, 松藤 敏彦, 島岡 隆行
    セッションID: D6-8Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    焼却主灰中の難溶性態Csの存在形態を明らかにし、溶出挙動が何に支配されるのかを明らかにするために、本研究では、Csを高濃度に含有する焼却主灰を対象にpH依存試験、粒径別の存在量把握、粒径別のpH依存試験を実施した。pH依存試験ではpHを1.9から10.8まで変化させた。難溶性態Csの溶出はpH依存性を示し、pHの低下に伴いSiやAlとともに溶出濃度が上昇した。これはガラス状非晶質のマトリクス内、あるいはアルミノシリケートとして存在する難溶性態Csが強酸に冒されたためだと考えられる。ただし、溶出濃度の増大した低pHは実際の焼却灰では生じ難く、埋め立て後長期間経過した灰でもpHは8.5程度とされる。こうした範囲での難溶性態Csの溶出は存在量の2~3%とわずかに過ぎない。一方、粒径ごとの難溶性態Csの分布や、溶出挙動の違いは確認されなかった。
  • 釜田 陽介, 寶正 史樹, 吉岡 洋仁, 上林 史朗, 阿部 清一
    セッションID: D6-9Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    溶融技術は様々な除染廃棄物からCsを分離させることが可能である。しかし、塩素含有濃度が低い下水汚泥や土壌を対象とする場合は、塩素化源となる薬剤(揮散促進剤)を重量ベースで数十%程度添加する必要があるため、それらの処理においては、安価な薬剤の選択が求められる。通常、揮散促進剤としてCaCl2を添加するが、その半分以上はHClとなって排ガスに移行し、排ガス処理過程においてアルカリ中和される。そこで、本報では、アルカリ中和により生成した溶融飛灰を揮散促進剤として循環利用することを目的とし、テストプラントで実証試験を行った。その結果、溶融飛灰中のCaCl2は市販試薬と同等レベルのCs揮散効果を有しており、揮散促進剤としての循環利用が可能であること、溶融飛灰はINPUTに対して63%のClを保有しており、CaCl2試薬の最大6割程度を代替可能であること、が分かった。
  • 久保田 洋, 山田 裕己, 木村 健一, 野口 俊太郎
    セッションID: D6-10Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    福島県などの焼却施設では原子力発電所事故に由来する放射性セシウム含有量やその溶出性の高さが問題となり、焼却飛灰を最終処分場へ埋め立てることができない問題が生じている。この問題に対して本研究では飛灰の洗浄に着目し、後段の廃水処理を考慮した廃水量を極力抑えた洗浄技術の検討を行った。試験は円筒型カラム(φ104×400、800mmH)を用い、上部から給水、下部から通気を行う方法で実施した。処理区は散水強度、通気有無、充填高さ、粒径による放射性セシウムの洗い出し効果について評価を行った。試験の結果、散水・通気法により廃水量を抑えながら(液固比約0.5)飛灰中の放射性セシウムを洗い出すことは十分可能であることが確認された。対象飛灰量に応じて散水強度を設定することにより、飛灰量増加に対応できることも確認された。また通気を行うことによりセシウムの浸出水あたりの溶出量増加の可能性が示唆された。
  • 岩鼻 雄基, 小池 裕也, 中村 利廣
    セッションID: D6-11Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    2012年1-12月に採集された都市ごみ焼却飛灰のモニタリングと改定13号試験を行い、放射性Csの溶出量を定量した。焼却灰から溶出した放射性Csの土壌へ吸着量を推定するため、安定Csを添加した模擬溶出液を用いていくつかの土壌・鉱物試料への吸着量を算出した。
    モニタリングの結果134Cs,137Csの放射能濃度は若干の変動があるもののほぼ一定の範囲内の変動に収束しており、この変動はフォールアウトに起因すると考えられる。
    模擬溶出液中のCs+の各吸着剤への吸着量を算出した結果、五斗蒔粘土、水簸土壌では上澄み液中からCs+が検出しなかった。今回の吸着量を137Csの放射能に換算すると 8,000 Bq ≒ 2.5 ngであるので、1.4 gの五斗蒔粘土を用いた場合、8,000 Bq kg-1である都市ごみ焼却灰1,000 kgから流出した放射性Csを全量吸着することが可能であることが示された。
  • 西岡 洋, 井上 達央, 福室 直樹, 小舟 正文, 田路 順一郎
    セッションID: D6-12Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    海水中でのセシウムイオンの吸着率とハンドリング性の向上を目的として磁性吸着材を合成した。本吸着材は単斜晶トバモライトを主成分とするケイ酸カルシウム系結晶であり、層間のサイトにおいてセシウムイオンを吸着する。海水中のセシウムイオン濃度を10mg/Lとした場合、30分程度で80%以上の吸着率を示した。本吸着材の陽イオン交換容量(CEC)は214cmol(+)/kgであり、天然ゼオライトよりも高い値を示した。本吸着材の水熱合成時にマグネタイトなどの磁性体を共存させることにより、簡単な操作で磁性を付与することができた。
  • 鳥海 信弘, 下田 宏治, 宮脇 健太郎
    セッションID: D6-13Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    樹皮を煮出したセシウム溶液をプルシアンブルー坦持吸着シートを透過させてセシウムの吸着量を測定する。透過時間は3秒から6秒程度と極めて短時間の接触である。この透過作業を5回繰り返し、その都度のセシウム濃度を測定し透過回数ーセシウム濃度、累計透過時間ーセシウム濃度のグラフを作成し吸着シートの吸着特性を考察した。その結果接触時間とセシウム吸着量は相関性が認められた。
  • 下田 宏治, 鳥海 信弘, 宮脇 健太郎
    セッションID: D6-14Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    汚染土壌の放射性セシウムは一般的には土壌に強固に吸着し長期的には移動しない特性に注目し、本実験をおこなった。
     現在のフレキシブルコンテナバックは、防水型と透水型に分かれている。防水型は、全て水分を抱え込んでいるため、放射性物質の拡散防止となるが、破壊、悪臭等、中間貯蔵までの課題があり、とりわけ減容化が大きな課題とされている。一方透水型は、水分が外に出るため減容化は可能であるが、放射性廃棄物の拡散対策が課題とされている。この透水型の特徴を利用して内袋を具備し、内袋により放射性廃棄物を吸着させることで、拡散防止と減容化対策を実現することが出来る可能性を確認した。
  • 小山田 昂平, 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: D6-15Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    2011年の福島第一原子力発電所の事故以来、市民のセシウムに対しての不安感が高まっている。焼却灰からの放射性物質の溶出特性を知ることで、埋立処分場の周辺住民との十分なリスクコミュニケーションを図ることを可能にすることが求められている。本研究では、焼却灰と安定セシウム溶液を用いて、温度、pH、共存塩の条件を変化させた振とう実験によってセシウムの焼却灰への吸着特性について調べた。その結果、温度が高ければセシウムの分配係数は低くなることが分かった。pHが酸性から中性になるにしたがって分配係数は上昇し、pH8程度で最大になり、アルカリ域でまた下がることが分かった。K、Na濃度が高いほど分配係数が低くなるということが分かった。実際の焼却灰埋立処分場ではK濃度が1000mg/L、Na濃度が5000mg/L程度になることもあるため、焼却灰の吸着能は著しく低くなってしまう可能性がある。
  • 中村 尊郁, 高岡 昌輝, 大下 和徹, 塩田 憲司
    セッションID: D6-16Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではアルカリ活性剤の濃度、ジオポリマーの養生条件を変化させて実験を行い、作成したジオポリマーをX線吸収微細構造分析(XAFS)分析することで、ジオポリマー化の形成条件とセシウムの化学形態変化の関係を明らかにし、不溶化メカニズムを解明することを目的とした。本論文では溶出率の高い条件・低い条件に着目し考察を行った。XAFS分析では、標準試薬、CsCl、Cs2CO3添加の試薬添加飛灰、それぞれ溶出率が低い条件、高い条件のEXAFS振動を比較した。CsClや試薬添加飛灰からは明確にジオポリマーのEXAFS振動は変化し、溶出率の高いものはCsHCO3へ、低いものはポルックス石へと変化していると推測された。したがってCsはポルックス石の形態で不溶化されることが明らかとなり、不溶化処理機構の一端が解明できた。
  • 伊藤 翼, 宮脇 健太郎
    セッションID: D6-17Poster2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では様々な用途で使用される形状・特性の異なる各種吸着材の安定セシウムを用いた吸着能力の把握、および環境条件(今回は、Na,K,Caなどの塩)の変化による吸着量の変化を確認する試験を行った。
    吸着材として、ベントナイト、ゼオライト、高吸水膨潤性繊維などを用い、安定セシウム1000ug/Lの溶液で吸着試験を行い、吸着等温線、分配係数を把握した。いずれの吸着材も80%以上の吸着率を示した。なお、塩濃度の影響は、すべての吸着材で見られた。
  • 内田 貴浩, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎, 加藤 隆也
    セッションID: D6-18Poster1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    埋立地内におけるセシウムの挙動を把握するため、処分場を模擬したライシメーターを使用し、安定セシウムを指標に浸出水のモニタリングを行った。その結果、安定セシウムとClの溶出には相関関係があり、浸出水中のCl確認のモニタリングにより、セシウムの濃度を予測を行える可能性が示唆された。
D7  放射性物質・重金属の挙動/処理技術 2
  • 弘末 文紀, 斉藤 栄一, 中島 貴弘, 坂本 守, 島岡 隆行
    セッションID: D7-1
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    除染作業で収集された草本類等の可燃物は、焼却により減容・無機化することが有効である。ただし、焼却により発生する焼却灰(飛灰・主灰)には、放射性セシウムが高濃度に濃縮されるため、より安全な取扱いが求められる。この高濃度に汚染された焼却灰に、少量の水、固化材を添加し、高周波の外部振動で密実に固化する特殊技術「超流体工法」を適用した。その結果、①汚染焼却残渣を容積で概ね30%減容できること、②所定の強度を有する固化体を製造でき十数段の積上げ保管が可能になること、③遮水性に優れる固化体が得られること等が分かった。また、実証工事を実施し、同技術で実物大の模擬固化体を製造できることも確認した。汚染焼却灰に同技術を適用することにより、中間貯蔵施設や最終処分施設の限られた空間を有効に利用することが可能になる。
  • 本間 健一, 田中 宜久, 岡村 聰一郎, 石田 泰之, 高野 博幸, 山本 博英, 宮内 千里, 後藤 菊次
    セッションID: D7-2
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/21
    会議録・要旨集 フリー
    放射性セシウムで汚染された廃棄物・土壌を熱処理して、放射性セシウムを除去する技術(乾式Cs除去技術)の開発を行なっている。平成24年度は熱処理により浄化された生成物(浄化処理物と称す)の各種土工資材としての適用性を評価することを目的に、実規模レベルの設備を用いて浄化処理物を製造し、品質評価を行なった。出発原料として粘土粉末(非汚染)および下水汚泥の利用を想定し、粘土にリン・鉄・クロムを添加したものを用いた。これに高性能反応促進剤を添加し、放射性セシウム濃度を確実にクリアランスレベル(100Bq/kg) 以下にできる条件で浄化処理物を製造した。得られた浄化処理物の品質評価試験を行なった結果、重金属溶出量は基準値を満足し、かつ盛土・路盤材・コンクリート骨材としての各種基準にすべて合致し、土工資材として使用できることを実証できた。
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