廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中51~100を表示しています
A8 LCA・低炭素社会
  • 佐々木 由佳, 橋本 征二
    セッションID: A8-5_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    A市のプラスチック製容器包装とペットボトルの収集形態の変更に伴う収集・処理の効率化の状況について、収集運搬と中間処理の工程のうち、収集運搬工程を対象に検討を行った。収集形態の変更前後の収集運搬に関わるデータを比較し、”収集量あたりの収集作業時間”、“収集量あたりの収集作業距離”、“収集量あたりの人工”の観点から、効率化が図られたのかどうかを検証した。検証の結果、プラスチック製容器包装とペットボトルを別々に収集していた時に比べ、両者を同時に収集した時の方が、効率化が図られていることが分かった。効率化の評価方法としては、その他にも収集に用いられる車両台数やエネルギー消費量の増減等があることから、今後はこれらの観点からも検証を行っていく。
  • 中田 健斗, 足立 裕紀, 松井 康弘, 吉野 榮一, 鶴田 祥一郎
    セッションID: A8-6_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    国の定める第四次環境基本計画・第三次循環型社会形成推進基本計画においては、2Rの推進を重点課題として位置づけており、今後各地域で社会実験的な2Rの取り組みを実践し、試行錯誤しながら成功事例を蓄積し、これを社会に広げていくことが必要である。
    本事業では、リユースの認知度のさらなる向上を図ることを狙い、岡山県産フルーツのトップブランドである「清水白桃」の果汁を使用して市民への訴求力の高い飲料を開発・販売した。リユースの環境負荷削減効果についての市民の理解を促進するため、温室効果ガスの排出量をCO2に換算して「見える化」(表示)する仕組みであるCFPマークを取得したリユースびんを使用した。開発した飲料は預り金を上乗せ(50円デポジット)して販売しており、リユースの普及啓発に努めるとともに、ヒアリング調査等を通じてリユースびんに関する認知・態度、普及・回収を推進する上での課題を明らかにした。
  • 佐伯 孝
    セッションID: A8-7_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    産業廃棄物の中間処理施設を対象に処理施設稼働に必要なエネルギーや処理施設の維持管理に必要な費用等について調査を行い、産業廃棄物の中間処理時に排出される環境負荷量と施設の維持管理時に排出される環境負荷量について施設設置の経過年数の影響について評価を行った。結果の一例として、設置して10年未満の施設では1年に1回のメンテナンスを行っている施設が多くなっていることが分かる。年数の経過に従い、半年に1回が多くなり、さらに毎月、毎週が多くなる傾向が見られた。
  • 中尾 彰文, 山本 祐吾, 吉田 登
    セッションID: A8-8_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,人口減少社会における地方都市の汚泥処理で重要となる将来の施設整備計画として,施設の統廃合や燃料転換技術の導入,清掃工場でのごみ・汚泥混焼技術の導入に関するシナリオを構築した.和歌山市を対象とし,汚泥処理の集約化や現有焼却炉代替の高温焼却および燃料転換技術の導入に加え,清掃工場でのごみ・汚泥の混合処理による環境負荷量の削減効果をシナリオ別に評価した.その結果,GHG排出抑制を図るとき集約化に加え燃料転換技術の導入が有効であり,将来も下水道整備が進展する地方都市においては中長期の視点に立った整備計画の立案が重要であることが示された.将来の下水汚泥・ごみ発生量は,下水道整備計画の変更.社会情勢の変化,廃棄物処理政策の見直しなどにより変化するものの,清掃工場への汚泥焼却の移管シナリオは,燃料転換技術の導入が困難な状況の場合,検討する価値があることが確認された.
  • 奥田 拓也, 吉田 登
    セッションID: A8-9_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では,全国の下水処理施設が産業施設とごみ焼却施設と連携した場合の利用先を考慮したエネルギー回収可能量について基礎的な分析を行った.産業施設ではセメント工場,石炭火力発電所,製紙工場において石炭代替燃料を利用,ごみ焼却施設では混焼による焼却排熱発電を用いたエネルギー回収を想定した結果,両施設ともに距離ベースと発熱量ベースで連携の可能性が示され,産業施設側で3,800TJ/年,ごみ焼却施設側では1,600TJ/年のエネルギー回収が可能であると推計された.
  • 尾崎 平, 盛岡 通
    セッションID: A8-10_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ごみ焼却施設の更新時期を踏まえたごみ焼却施設間の連携を取り上げた。具体的には、今後、数年間は人口の増加の続き、その後、緩やかに人口が減少する都市部と既に人口減が始まっており、今後ますます人口が減少する農村部の両者の多様な地域特性を持つ兵庫県を対象に、各地区単位内でのごみ焼却施設の再編・連携による効果を定量的に評価した。具体的な連携方策として、現状の基礎自治体毎に焼却施設を保有し、更新する場合(連携なし)と、その他プラを分別し、広域連携で地域内に2施設以上は担保しつつ、連携を進める場合(連携(1))、その他プラを分別せず、より広域連携を進め、発電によるエネルギー回収を積極的に進める場合(連携(2))の二酸化炭素排出量、コストについて比較した。
A9 海外のごみ処理
  • 渡辺 浩平, 岡山 朋子, 荒木 徹也, カディジャ シティ, プリジョノ ジプトヘリジャント, リム クリスティーナ, マテオ・バビアーノ ...
    セッションID: A9-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    日本、フィリピン、マレーシア、インドネシアの研究者がグループを組み、各国の首都圏における廃棄物管理の実態調査を行った。この一連の調査の中で遭遇した様々なリサイクルの態様について紹介する。 最終処分場スカベンジャー、 ジャンクショップ 、 ウェイストバンク、集団回収・チャリティー回収など、各地での社会経済的条件に合わせた動機付けをもとに様々な態様のリサイクルが行われていることがうかがえた。
  • 久保田 利恵子, 山田 正人, 橘 治国
    セッションID: A9-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    パランカラヤ市は中央カリマンタン州の州都であり、232万人の人口を抱える都市である。人口は2010年以降約3%前後の伸び率で増加している。市周辺は熱帯雨林で囲まれていることから、不法投棄による周辺自然環境への影響や、カハヤン川の氾濫による廃棄物管理への影響が懸念されている。人口増加と都市化により、廃棄物の発生量は今後増加することが考えられ、廃棄物排出を減らすと共に、資源化を図ることで最終処分量を削減することが廃棄物管理にとっての課題である。一方、パランカラヤ市の都市ごみ管理研究はこれまで存在せず、都市ごみ発生量に関する公式な経年統計データも存在しないことから、廃棄物処理の状況を正しく理解することは難しく、廃棄物管理に関する施策を評価することが難しい。本研究では、パランカラヤ市の廃棄物管理および資源回収に関する実態調査を実施し、明らかになった都市ごみ及び有価物回収ストリームについて報告する。
  • 佐々木 俊介, 渡辺 浩平, 荒木 徹也
    セッションID: A9-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、スカベンジャーたちの社会経済や社会文化、生計活動を詳細に明らかにした上で、廃棄物処理行政におけるウェイスト・ピッキングの役割や可能性について検討することにある。主要な研究結果は次の通りである。ウェイスト・ピッカー・グループは収集対象とする廃棄物のタイプに基づきUmum系とBorongan系とに分けることができる。また、多くの場合、ウェイスト・ピッカーたちは、有価物の種類によって売却先を変えている。ソフト・プラスチックの場合、ウェイスト・ピッカーがボスに売却した量の70%程度は不純物となっている。有価物の売却から得られる収入は法定最低賃金と同水準だが、借金の返済を考慮すると下回る。ウェイスト・ピッキングは、スカベンジャーたちに生計手段を提供し、リサイクルへの貢献も認められる。より効果的な廃棄物処理にはウェイスト・ピッカーの積極的な活動も視野に入れることが望ましい。
  • 大迫 正弘, 石井 明男
    セッションID: A9-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    開発途上国では、収集・運搬・処理・処分の中で、収集・運搬が廃棄物管理の最優先事項になっている。しかし、収集・運搬は、社会のハード面とソフト面が複雑に入り組んだ地域社会において実行されるため、個々の地域の状況に応じて対応する必要があり、汎用性の高い改善モデルが見出されていない。本稿では、バングラデシュのダッカ市にて実施された「ダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクト」で開発されたWBA(Ward-Based Approach)をもとに、収集・運搬改善に関する5つのコンポーネントをまとめた地域的統合化モデルの構築を試みる。
  • 坂井 友里江, Feauini Veikoso Laumanu, Mele Finau
    セッションID: A9-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    大洋州島嶼国の離島では財政的・人的・技術的な制約により、行政機関が適切なごみ収集サービスを提供するのが困難な場合が多い。トンガ国ババウ島で実施したパイロットプロジェクトの結果、家庭から排出される厨芥ごみの量が少なく、コミュニティ組織のヒエラルキーが維持され、住民の結束力と地域社会への奉仕精神が高い地域では、コミュニティによるごみ収集が有効であることが確認できた。一方、ごみ収集実施の可否はコミュニティの裁量に左右されやすく、とくに運営面での事業の継続性に懸念が残った。確実なごみ収集の促進に向けて、コミュニティの主体性を尊重しつつ、費用対効果の高いごみ収集実施に向けた助言やきめ細かなフォローアップを行うことが必要である。行政は、野焼きや不法投棄に対する規制を強化し、住民への継続的な意識啓発を通じて適切なごみ排出を促すとともに、助成制度等を構築し財政面でバックアップしていくことが求められる。
  • 村上(鈴木) 理映
    セッションID: A9-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    台湾では、処理業者が不適正処理によって資源を採取しており、環境が悪化した。そこで政府は、適正リサイクルを推進するために、1998 年から家電を含む様々な品目を対象として、政府が生産者から「基金」を徴収し、それを原資として、政府が認証した適正な処理業者に補助金を支給するリサイクル制度を導入した。このような背景から、台湾のリサイクル制度の特徴は、処理業者への管理規制を徐々に厳しくすることであり、リサイクル産業の促進ではなかった。にもかかわらず、制度に参入する業者は徐々に増加していった。
    一方で、生産者には、基金の支払いだけでなく環境適合設計が期待されるようになった。消費者は使用済家電を制度内に排出されることが期待されるようになった。販売店には、電子マニフェストの記入が求められるようになった。
    このように、徐々に関係する主体をリサイクル制度に取り込む台湾の方法は、他の途上国の参照になるであろう。
  • 関戸 知雄, 松山 あゆみ, プラヨゴ トリ・ブディ, メイディアナ クリスティア, 土手 裕
    セッションID: A9-7_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年,東南アジアでは,主に家庭系のごみ中の資源回収を目的としたWaste Bank(ごみ銀行)の導入が報告されている。市民等が資源ごみをごみ銀行のオフィスに持ち込み,その代金を銀行のように預金できるシステムである。本研究では,インドネシア・マラン市におけるごみ銀行(BSM)に参加する世帯にアンケート調査およびごみ組成調査を実施し,BSMでの活動に対する負担度を明らかにすること,世帯での資源ごみ分別率を明らかにすることで,効果的なごみ銀行実施のための施策提案を行うことを目的とした。アンケート調査結果では,分別カテゴリーの多さに対して困難さを感じる世帯が多いことが分かった。BSM参加世帯のごみ組成や資源ごみの分別率を推定できたが,調査対象世帯がBSMの活動に活発な世帯に偏っていた可能性があり,今後はBSMに参加していない世帯との比較や活動に不活発な世帯に対する調査を行っていく予定である。
A10 ごみ文化・歴史
A11 災害廃棄物処理計画
  • 多島 良, 平山 修久, 大迫 政浩
    セッションID: A11-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、災害廃棄物処理計画の策定現場において指摘されている策定阻害要因を整理し、今後の策定促進に向けた取り組みの展望を示すことを目的とした。このため、災害廃棄物処理計画に係る現行の概念整理を示したうえで、2015年6月現在で取り組みが特に進んでいるA県においてヒアリング調査、参与観察により災害廃棄物処理計画の策定を阻害する要因に関する担当者の認識を調査し、政策実施論の観点から分析した。結果、処理計画と実行計画の位置づけの整理不足、策定主体の能力・リソースの不足、処理計画の法的位置づけと横断性が計画策定を阻害していることを指摘した。
  • 春日井 忍, 藤田 修造, 中川 和也
    セッションID: A11-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     三重県においては、南海トラフ地震発生の緊迫性が高く、東日本大震災以上の被害がいつ発生するかもしれないという状況に直面している。災害廃棄物は、一過性とはいえ膨大な量が発生するため、可能な限り迅速かつ適切に処理を行う必要があるものの、平常時の廃棄物とは組成が異なり、これまで培ってきた廃棄物のリサイクル技術をそのまま適用することが困難であることなどから、その処理にあたっては、特有の課題・問題を解決しながら進めていく必要がある。このため、三重県では、東日本大震災や紀伊半島大水害から得られた知見をふまえ、平成27年3月に「三重県災害廃棄物処理計画」を策定した。また、県計画の実効性を高めるため、市町や関係団体等を含めた研修や人材育成を行うなど、総合的な災害廃棄物対策を進めていくこととしている。
  • 平山 修久, 永田 尚人, 吉田 寛, 大迫 政浩, 河田 惠昭
    セッションID: A11-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,家屋解体に伴うがれき処理における建築物の調査,権利関係整理,家屋解体,災害廃棄物処理という対応業務に係る処理期間について,それらの対応リソースの観点から検討した。その結果,想定されている首都直下地震時においては,災害廃棄物処理のみならず,建築物の調査,権利関係整理,家屋解体等の災害対応業務に係る期間についても考慮することが重要であり,これらの業務を迅速かつ円滑に実施するための他部局との連携や木造密集地域やオフィス街などの地域の特性に応じた制度を検討することが必要不可欠であるといえた。
  • 岡山 朋子, 加藤 篤
    セッションID: A11-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    東日本大震災においては、道路啓開に時間を要し、支援物資の配送も遅れ、従って避難所等における仮設トイレの調達にも被災自治体は数日を要した。 そこで岡山は、そのような自治体の仮設トイレの調達状況を明らかにすることを目的に、(NPO)日本トイレ研究所の協力を得て、2012年2月(調査期間2月9日-29日)に岩手県・宮城県・福島県の42自治体を対象に、仮設トイレの調達に関するアンケート調査を実施し、32自治体から回答を得た(有効回答は30)。本稿では、このアンケート調査結果について報告するとともに、大規模災害時において、自治体が仮設トイレの確保にどのような努力を行ったのか、さらに仮設トイレにはどのような課題があったのかを明らかにする。
  • 橘 敏明, 深田 雅史, 大山 将, 林 篤嗣, 奥田 学
    セッションID: A11-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    平成26 年8 月19 日からの広島市における記録的豪雨により、広島市内各所が斜面崩壊等の災害による多大な被害を被った。これらの地区では土石流によって58 万トン(推定)という膨大な量の災害廃棄物が発生したが、復旧・復興に向けた取組の支障となるため、迅速に災害現場から撤去され、1 次仮置場に搬出された。この市内9 か所の1 次仮置場に仮置きされた災害廃棄物は、広島市南区出島地区に設置した中間処理施設に運搬し、選別や破砕等の中間処理を行い可能な限り再生している。この災害廃棄物の選別等の過程で発見された物品「思い出の品」は、極力持ち主に返却できるよう「思い出の品預かり所」を設置して管理している。本報告では、災害廃棄物の選別過程で発見された物品「思い出の品」の管理方法について紹介した。
  • 森 朋子, 夏目 吉行, 高田 光康, 平山 修久, 多島 良, 川畑 隆常, 大迫 政浩
    セッションID: A11-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    自治体職員を対象とした災害廃棄物分野の研修では,職員が定期的に異動することから,参加者間で知見や経験に差が生じやすい。また,単に知識を習得するだけでなく,研修を通して災害廃棄物業務に対する当事者意識を醸成することや,関係主体間における人的ネットワークを構築することが重要である。本稿ではこれらの特徴を踏まえ,筆者らがこれまで設計や運営に携わったワークショップという参加型の研修実績をもとに,ワークショップの事前準備,議論方法の設計,事後の取りまとめにおいて留意すべき要点や,今後に向けた課題を考察した。
  • 岡 重男, 梅田 佳暉
    セッションID: A11-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    災害廃棄物処理計画の策定では、一般廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設、道路情報、避難場所、仮設置き場可能場所の把握等、広域の状況を適切に把握、整理する必要がある。様々な地理空間情報を重ね合わせて表現することができるGISを活用し情報を整理し、各種情報を地理的に視覚化することで、関係者が地域の状況を直感的に理解できることが期待される。そこで本研究では、地理空間オープンデータ及びオープンソ-スGISを活用した災害廃棄物処理計画策定の効率性と実用性を検証するため、①災害廃棄物処理計画策定に活用できる地理空間オープンデータの調査、②オープンソースGISを用いた地理空間情報の情報処理について検討した。その結果、インターネット地図サービス等への適用可能なデータに変換することにより、災害廃棄物処理計画策定において、時間的・経済的コストに優れた計画策定が可能になることが示唆された。
  • 木村 恭子, 中山 裕文, 島岡 隆行
    セッションID: A11-8_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    わが国では、今後の人口減少に伴い、一般廃棄物発生量は減少することが見込まれている。一方、近未来に起こり得る災害によって、瞬時に大量の災害廃棄物が発生する恐れがあり、災害廃棄物の広域処理についても検討する必要がある。そこで本研究では、宮崎県各市町村のパネルデータを用い、廃棄物処理に関する情報と、人口密度や処理施設との位置関係などの社会データとの関係から得られる経験式による廃棄物処理費用の将来予測モデルを構築し、今後の人口減少や災害発生に対応した廃棄物処理システムの最適化について検討した。その結果、複数市町村での広域処理を考慮した廃棄物処理費用を計算することが可能となった。また広域化を行うと、廃棄物処理施設のイニシャルコストを抑制することができるが、更新時期が異なる組合同士が広域化を行う場合は、使用開始時期の違いによりイニシャルコストの負担が一方の組合に偏る恐れがあることが示唆された。
  • 中久保 豊彦, 伊川 純慶, 東海 明宏
    セッションID: A11-9_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    災害廃棄物(可燃系廃棄物)の焼却(減容・減量化)の迅速化に向け,一般廃棄物処理事業による広域連携,産業廃棄物処理事業との処理連携が着目されている。本研究では近畿圏を対象とし,①ごみ焼却施設が将来保有する処理能力を踏まえた圏域レベルでの広域連携効果,②災害に備えごみ焼却炉の処理能力に10%の余剰性を持たせる設計指針改定の効果,を分析対象とした。対策効果は,事業コストによる評価に基づき費用対効果の観点から評価した。近畿圏の直下型地震を対象とし,一般廃棄物処理事業,産業廃棄物処理事業による広域連携の有効性を定量的に示した。なお,ごみ焼却施設の設計指針を改定し,施設更新時の処理能力設計に予備容量率10%を設ける施策については,本研究での解析条件下では費用対効果の低い施策であることが示唆された。
  • 丹治 三則
    セッションID: A11-10_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、宮城県沿岸に設置された二次仮置場の設置から閉鎖に至るまでの過程での運営課題を分析し今後の知見として整理した。その結果、第1に、港湾地区の土地活用は、廃棄物の搬入・搬出の容易性や広域処理の選択肢に決定的な影響をもたらす。地方港湾レベルであっても土地の貸借条件を事前に調整することで、活用する方策を検討することが望まれる。第2に、ブロック内で複数の自治体が協力して処理する場合、平時からの廃棄物処理等の事業における連携が不可欠である。第3に、産業セクターとの連携のためには、土地活用条件の調整に加えて、廃棄物の受け入れ条件等の詰めと、逆算した災害時の分別計画の立案が不可欠である。このような知見は、エコタウン事業等で資源循環計画の経験知のある行政担当者、民間業者に集中している。南海トラフ地域での、平時での資源循環計画の推進による、経験的知見の醸成が期待される。
  • 山田 正人, 落合 知, 古田 秀雄, 五十嵐 知宏, 種浦 圭輔
    セッションID: A11-11_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    東日本大震災によって発生した災害廃棄物の処理では、地方自治体が処理の主体となり、決められた期限内での処分が求められ、一般廃棄物の処理に則った可燃物と不燃物への破砕選別と焼却処理を主体とした処理システムが採用された。 しかし、再生利用を主な出口とした産業廃棄物の処理技術の導入が進まず、災害廃棄物の復旧や復興のための資材等への活用が阻まれた。 今後の大規模災害の備えとして、災害廃棄物処理と復旧・復興を連携させるような災害廃棄物処理システムを確立するため、本研究では、ベルトコンベアにおける手選別について,現地試験を行って選別効率に関する諸条件を検討した。 試験の結果、作業人数と総選別量には明確な関係はなかったが、選別する品目を分担すると個々の品目の一人あたりの回収量が低下することが示唆された。
  • 川畑 隆常, 高田 光康, 平山 修久, 多島 良, 大迫 政浩, 夏目 吉行, 森 朋子
    セッションID: A11-12_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    国立環境研究所では平成26年5月「災害廃棄物情報プラットフォーム」を開設、大規模な自然災害発生の切迫性が指摘される中、膨大な量が生じる恐れのある災害廃棄物の処理に対し平時から備えるため、自治体による災害廃棄物処理計画策定の参考として頂けるよう、情報提供を行なってきたところである。本稿では運用開始後に行ってきた情報提供の内容を整理した。運用面での課題としてサイトへのアクセス数の向上、広報等によるターゲットへのアプローチ、検索性やアクセス性の向上を挙げた。今後の取組みとしては、当プラットフォームが災害廃棄物分野における研修の情報ハブとして機能していくこと、災害廃棄物やその処理に関し、基礎的知識や情報についてWeb上で学習することが可能となるe-Learning機能などの拡充も必要であると考えている。
  • 蔡 佩宜, 田畑 智博, 白川 博章
    セッションID: A11-13_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、災害廃棄物の広域処理に対する理解や抵抗感といった住民の意識に関する基礎的な知見を得るため、住民を対象としてインターネット調査を行うとともに、クロス分析やテキストマイニングを用いて災害廃棄物の広域処理に関するキーワード間およびキーワードと他の要素との関連性を分析する。また、分析を通じて、災害廃棄物の受け入れ賛否に関する意思に、どのような要因が影響しているのかを明らかにする。
B1 家電等のリサイクル
  • 松尾 雄一, 井関 康人
    セッションID: B1-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    当社では、“循環型社会の形成”に向けて、製品の3R推進、資源投入量削減、ゼロエミッションに取り組んでいる。特に、使用済み家電混合リサイクルプラスチックについては、年間約15,000トンの処理能力を有するポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)の自動選別ラインを、関係会社である㈱グリーンサイクルシステムズに導入し、新規の家電製品に適用する“家電製品から家電製品への自己循環”を実現した。リサイクルプラスチックの適用量拡大には、外装部品への適用が必要となり、特に、白物家電製品への自己循環が望まれている。本報告では、リサイクルABSを用いて、白物家電製品の外装部品に必要な外観を得るために、色彩選別による濃色フレークの除去や乾式摩擦研磨による表面汚れの除去を行い、得られた成形品の外観を評価して、淡色系意匠性部品への適用の可能性を検討した。
  • 大渡 俊典, 土谷 光重, 古賀 博昭, 江口 正章, 木下 朋行
    セッションID: B1-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    平成25年4月に、有用金属の回収を目的とした「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が施行されたことに伴い、家庭から排出される使用済小型電子機器等(小型家電)の回収のための検討・体制整備・取組等を各地方自治体の判断において実施しているところである。
    環境省では、小型家電回収の取組の拡大を図るため、小型家電を効率的に回収する方法を検討することを目的とした実証事業を公募しており、認定を受けた地方自治体では、小型家電の回収を試行的に実施するとともに、その成果を活用して、その後本格的な取組を開始している。
    本報告では、平成25~26年度にかけて九州管内で認定を受けた市町村において行われた実証事業の実施結果から、各回収方法における特徴や、回収時の課題等を取りまとめ、各自治体が今後より効果的・効率的に小型家電の回収を進めていくための方策について検討を行った。
  • 望月 啓介, 野中 研一, 北島 保彦
    セッションID: B1-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     福岡市において,不燃ごみは,資源化センターまたは埋立場に搬入されるが,これまで鉄・アルミ以外の金属は回収されずに埋立処分されていた。当研究所では以前から非鉄金属の回収・再資源化のモデル事業に取り組んできており,その成果と今後の金属資源回収の方向性について検討した。
     資源化センター等にて粗大ごみ・自己搬入ごみとして搬入される不燃ごみの中から雑電線や端子屑などを回収・再資源化するモデル事業を実施し,平成22~26年度までの総回収量は85,894kgになった。また,本モデル事業に付随して,資源化センター等での非鉄金属搬入状況調査や小型家電製品の解体による金属の回収を行った。
     今後は,回収ボックスを用いた小型家電製品の回収に重点を置く中で,本モデル事業は回収品目を検討して継続するが,家庭ごみ中の小型家電製品の回収に関しては,ボックスの周知・利用の啓発を行うなど回収量の増加を図る必要性がある。
  • 松永 恵里, 三輪 貴志, 高橋 和枝, 新井 啓之, 澤田 孝
    セッションID: B1-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    電子基板には貴重な資源が含まれており、リサイクルの高度化のためには、微量な含有資源量の把握が必要である。そこで、筆者らは、資源量を簡便に推定する方法として、電子基板に搭載されている部品の含有資源量データベースを作成し、対象とする部品の搭載数と含有資源量から、基板全体の含有資源量を推定する方法を検討している。今回、将来的にプロセスの自動化が可能な画像処理技術を用いた電子基板の検出・識別技術について、経済性が高い金を高濃度で含むICを事例として検討したので報告する。まず、画像処理技術を電子基板上の部品検出に適用するためにアルゴリズムを検討した結果、IC特有の特徴(色、形状等)から、基板上でICを高精度に検出できる方法を見出した。さらに、含有資源量データベースと参照するため、複数の識別方法を検討した結果、未知のICであっても比較的特徴の近いICのグループに分類可能な方法を確立した。
  • 田村 典敏, 本多 威暁, 重原 智明, 境 健一郎, 花田 隆, 石田 泰之, 武田 隼一
    セッションID: B1-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    電気自動車の普及とともに多量の排出が予想されている使用済リチウムイオン電池について、適正なリサイクルを行うための技術開発を開始した。全国から個別小ロットの使用済リチウムイオン電池を効率的に回収するシステムを構築し、焙焼、破砕、選別操作をすることで銅、アルミ、鉄、コバルトを安全にリサイクルする。
    個別小ロットの電池の回収は、松田産業株式会社の小口廃棄物回収事業で築いた実績を活用する。選別後に発生する残渣は太平洋セメント株式会社のセメント工場で原燃料としてリサイクルすることで100%リサイクル可能なシステムを達成する。
    実証試験は処理能力が1日当たり3トンの焙焼設備と1日当たり8トンの選別設備を設置することで行い、進捗は実用化試験に移行できる段階まで進めることができた。
    2020年以降の電気自動車の普及加速に対応した最適システムの構築を進めることで、適切な資源循環を行っていきたいと考える。
  • 藤森 崇, 吉川 達也, 高岡 昌輝
    セッションID: B1-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、余剰ブラウン管が大量発生し、高濃度に含有している鉛(Pb)を除去し無害化する処理が必要である。また、代替として流通している液晶ディスプレイには、消泡剤としてヒ素(As)またはアンチモン(Sb)が含まれる。先行研究では、ガラス製品中Pb, As, Sbを除去する方法として塩化揮発法を適用し、揮発除去および溶出抑制効果が認められた。他方、有害性が懸念される臭素化難燃剤のひとつであるテトラブロモビスフェノールA(TBBPA)を臭化剤として利用した臭化揮発効果の報告がある。また、都市ごみ焼却飛灰は、一般的に高濃度で塩素を含有しているが、塩化剤としての適用研究例は見当たらない。本研究では、TBBPAおよび焼却飛灰の臭化剤、塩化剤としてのガラス製品中Pb, As, Sbへの適用可能性を実験的に検討することを目的とした。同時に、揮発処理後ガラス製品残渣からの溶出特性評価も実施した。
  • 寺園 淳, 小口 正弘, 葛原 俊介, 秋元 裕太
    セッションID: B1-7_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    リチウムイオン電池の有害特性については必ずしも明確になっていないと考える。 本研究では小型二次電池であるリチウムイオン電池を取り上げ、金属含有量の分析結果を報告する。今回の分析対象としたリチウムイオン電池4点では、電池本体からはPbは検出されなかったものの、付属しているハンダや基板からPbが検出された。小型電気電子機器のリチウムイオン電池は電池本体以外に基板や配線のハンダ部分から構成されており、Pbは本体以外の部分における含有が疑われる。アジア諸国などでも電気電子機器の普及に伴うリチウムイオン電池などの廃電池類が増加しているとみられるため、それらの国際的な管理のあり方を検討する必要がある。
B2 自動車リサイクル
  • 李 莎, 一久保 晶, 小野田 弘士, 永田 勝也
    セッションID: B2-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の逼迫や鉄スクラップ価格の低迷による使用済自動車の処理における逆有償化に伴い,わが国では2005年に使用済自動車のリサイクル・適正処理を図ることを目的とした自動車リサイクル法が本格施行された。 このなかで,ASR,エアバック,フロンの3品目は指定回収品目に指定され,自動車ユーザーから徴収したリサイクル料金による処理がされているところであり,適正処理・リサイクル率の向上とともに,その費用低減が求められている。 しかし,自動車リサイクル法が施行されてから現在に至るまで,その改善効果を時系列的に評価した例は少ない。本研究では,社会コストミニマムかつ高度な自動車リサイクルシステムの構築に向け,ASRを中心とした指定3品目について,処理技術や経済性といった再資源化環境の変遷を辿り,自動車リサイクルにおける現状を明らかにすることを目的としている。
  • 矢野 順也, Xu Guochang, 酒井 伸一
    セッションID: B2-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、車種や世代の違いを念頭に置き、ELV中の資源性物質や有害物質の含有状況を明らかにすることを目的に、ELVの解体調査とその回収サンプルの化学分析を行った。対象車種は従来車として普通乗用車2台、軽自動車2台を対象とし、さらに、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)を次世代車として選択した。その結果、例えば電子基板は、高級車を除く従来車は740-1,000 g/台、高級車は4,100 g/台となった。対して、HEVやEVはそれぞれ3,800 g/台、7,900 g/台であった。ELVの解体段階において、電子基板の多くが集中している「内装フロント」から回収することが効率的であると示唆された。ELV1台当たりの各元素含有量としては、従来車とHEVを比較した際に大きな違いが確認された元素は、国家備蓄レアメタルのCo、Ni、レアアースのY、La、Ce、Pr、Nd、Dyであった。
  • 木村 眞実, 外川 健一, 劉 庭秀, 岸本 孝根
    セッションID: B2-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、マテリアルフローコスト会計(MFCA)を静脈産業の生産プロセスへ適用することで、静脈産業が「負の製品」を「正の製品」に転換させ、アウトプットすることによって、産業全体の「負の製品」の削減に貢献しうることを、理論と実証データから明らかにすることを目的とする。
    具体的には、使用済自動車(ELV)のフローを物量情報と金額情報で見える化し、より一層の資源の有効利用の可能性を示す。
    まず、原則的なMFCAの考え方を説明し、静脈産業におけるMFCAの考え方について述べる。次に、資源の有効利用を提案する静脈産業の「提案型MFCA」を樹脂を対象として作成し、マテリアル・リサイクルのさらなる可能性を示す。そして、樹脂の回収によってシュレッダー原料の重量中の廃棄物分が下がることから、シュレッダー原料売却時のダスト引きの割合と売却価格の見直し案を示し、マテリアル・リサイクルへのインセンティブを示す。
  • 阿部 新
    セッションID: B2-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    新興国・途上国で使用済自動車の発生量の増大が想定される。日本では1970年前後にシュレッダー技術が導入され,自動車の大量処理時代となった。 その中で日本の静脈産業は集約化または系列化されず,今日のように自動車解体業者とシュレッダー業者が共存する方向を選択した。しかし,1970年前後のシュレッダー会社設立の段階では,自動車解体業者を介せず直接使用済自動車を引き取ろうとする動きがあった。また,解体業者を経由するとしても,これらをグループ化をすることで安定的に集荷する方向を検討した。しかし,結果的にグループ外の解体業者にも流れ,流通をコントロールすることはできなかった。その理由は,日本の解体業者が中古部品を回収することで,資源回収目的の事業者よりも高く使用済自動車を仕入れたからにある。この点は,現在の新興国・途上国においては異なるものと考えられる。
  • 劉 庭秀, 外川 健一, 木村 眞実, 浅妻 裕, 岸本 孝根
    セッションID: B2-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    韓国は2008年1月から自動車リサイクル制度が本格施行された。しかし、自動車リサイクルに必要な設備や関連インフラ整備が遅れ、リサイクル費用負担や責任の所在が明確ではなかったにも関わらず、法律によりかなり厳密なモニタリングが求められているため、本格施行7年目を迎えている現時点でも正常な制度運用が難しい状況である。環境部を中心に自動車リサイクルのモニタリング事業を実施して一定の成果を示したり、大型自動車リサイクル工場設立されたり、拡大生産者責任制度を強化しようとする動きなど様々な変化が起きている。現状では一連のリサイクルプロセスの中で最も負担が重いのは解体業者である。事前回収・再資源化が必要な品目のリサイクルを徹底した場合はインセンティブを与えるとともに、メーカー主導のリサイクル制度運用ではなく、生産者責任原則の徹底とともにリサイクル現場の努力と成果を制度改善に反映することが重要である。
B3 建設廃棄物・無機性廃棄物の資源化
  • 田島 孝敏, 井出 一貴, 千野 裕之, 熊谷 祐一
    セッションID: B3-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    石炭灰は年間約1,200万トン排出され、主にセメント原料等に利用されている。セメント分野以外での利用を促進するため、石炭灰をセメント等で不溶化して、これを天然土砂の代替材として盛土材に活用することを考えた。室内試験と屋外曝露試験によって石炭灰に含まれる重金属等の溶出特性を調べた結果、次のことが明らかになった。1) 気中で1年間養生した石炭灰改良材の重金属類の溶出量は土壌環境基準未満で安定的に推移した。2) 石炭灰改良材の表面に覆土を施すと、表面水のpH上昇と中性化の進行が抑制された。以上より、石炭灰改良材は長期安定性を有し、盛土材として利用する場合は覆土が環境安全性の確保に有効であると判断される。
  • 三上 貴士, 縄田 大輔, 井上 陽仁, 肴倉 宏史
    セッションID: B3-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    現在,最終処分場の延命化を目的に様々な方法の焼却残渣リサイクルが行われている。本調査では,様々な焼却残渣リサイクル施設の中で,焼却残渣中の異物を除去し,粒度調整及び添加剤との混合により,建設材料としてリサイクルしている施設に着目し,その実態を把握した。特に,焼却残渣の受入基準や製品品質基準等における環境面での実態について詳細に把握した。その結果,受入基準や品質基準に明確な規定がないことから,施設で試行錯誤が行われている現状が確認された。また,焼却残渣を使用した製品の販路の確保が難しいこと等が課題として挙げられた。統一した管理基準の明確化や販路が確保できる仕組みを構築することが望まれており,焼却残渣リサイクルの更なる推進と建設材料としての環境安全性の確保の両立が可能になると考えられた。
  • 蓬田 篤史, 小野 裕介, 上川路 宏, 小野田 弘士
    セッションID: B3-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    中間処理は,社会インフラとしての適正な廃棄物処理システムには必要不可欠なプロセスであり,廃棄物の適正処理を推進し,リサイクル率の向上をはじめとする環境負荷の低減を図るうえで重要な位置を占めている.産業廃棄物処理業者の評価に関する仕組みは,国の行っている優良産廃処理業者認定制度をはじめ,いくつかの自治体が独自に制定,運用がされている.しかし,業者間の比較や格付けを行うための制度ではないため,業務精度の向上や環境負荷の低減など,社会的企業価値の増進に向けて業者間の競争を促す仕組みになっていない.一方で,排出事業者が産業廃棄物の処理委託に当たって行う業者評価については,現状では客観的な評価方法は確立しておらず,主観的な評価に留まっている現状がある.そこで,著者らは建設廃棄物等を対象とし,利害関係者の共通認識の下で適切に中間処理業者の評価を行う仕組みを構築する評価基準の構築について検討を行った.
  • 武下 俊宏, 村田 真理, 内田 雅也
    セッションID: B3-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    石膏紙を硫化水素発生源とする嫌気培養に溶解ダストを添加して硫化水素発生抑制効果を確認したところ、溶解ダストに硫化水素ガスの発生も硫化物の生成も共に抑制する効果が確認された。溶解ダスト添加による培養環境の変化を調べたところ、有機酸や水素の生成に差異が認められ、溶解ダスト添加試料で亜鉛イオンの増加が確認された。酸化還元電位は溶解ダスト添加試料で無添加試料より低い値に達しており、硫化水素発生条件となる嫌気性の培養条件となっていた。一方、溶解ダスト添加による細菌叢の変化を調べたところ、溶解ダスト添加試料では硫酸還元菌の増殖が認められなかった。以上の結果から、培養中に生じた亜鉛イオンにより硫酸還元菌の増殖が抑制され,硫化水素の発生が停止することが明らかとなった。
  • 岡本 直樹, 市野 良一, 神本 祐樹
    セッションID: B3-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    現在、化学的に合成された窒素肥料が農作物の栽培に使用されている。窒素肥料は主に塩化アンモニウムが使用されている。このアンモニウムイオンは土壌中で酸化され硝酸イオンとなり、雨などで土壌を浸透して地下水に流入する。その結果、地下水中の硝酸イオン濃度の上昇が問題となり、地下水からの硝酸イオンの除去が必要とされている。硝酸イオンの除去法にはいくつかあるが、コストなどの問題がある。そこで安価に合成できる無機吸着材である層状複水酸化物に注目した。 層状複水酸化物(LDH)は層状構造をしており、層間に陰イオンを保持している。この陰イオンとのイオン交換によって目的陰イオンを除去することができる。また、LDH焼成物は層間に陰イオンを取り込むことで層状構造を再生する特徴を持つ。本研究ではこの特徴に注目し、Mg-Fe系LDHの作製方法の検討及びLDH焼成物を用いた硝酸イオンの吸着除去について調査を行った。
  • 滝本 太郎, 堀井 安雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: B3-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    浸出水の脱塩処理において、その処理プロセスから排出される脱塩濃縮水または乾燥塩(以下、「副生塩」)の処理に苦慮している自治体は多い。この副生塩は、適切な処理、再利用の方法が確立されていないのが現状である。副生塩の再利用方法の一つとして、滅菌剤への利用の研究が行われている。滅菌剤の生成方法には無隔膜法と隔膜法の2つの電気分解法がある。現状は、前処理が容易な無隔膜法が実用的に先行しているが、有効塩素濃度が低い(0.5%程度)という課題がある。一方、隔膜法は電解槽内のイオン交換膜が閉塞しやすく連続運転できない課題があったが、筆者らはそれらの改善を行い、滅菌剤(エコ次亜塩素酸ソーダ)生成に関して、長時間の連続運転に成功したので、その成果を報告する。
  • 藤田 礼寿, 内田 正信, 樋口 壯太郎
    セッションID: B3-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    石炭灰を石灰、ドロマイト、高炉セメント等の溶出防止剤を用いて不溶化基礎実験を行った。その結果石灰単独で10%を添加することにより、ホウ素、フッ素、ヒ素等を土壌汚染対策法基準値以下にすることができた。
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