廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中201~250を表示しています
D1 最終処分場の構造・設計
  • 小澤 一喜, 石田 貴顕, 加藤 政彦, 辻本 宏, 正岡 祐一, 若林 秀樹, 長 尚弥, 西岡 和紀
    セッションID: D1-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場は、採石跡地の窪地を利用した埋立容量約42万m3 の「覆蓋型・無放流型」のクローズド処分場である。当該施設では、遮水工の構造や施工について、以下のような課題があった。(1)底盤に盛土を行い、盛土上に遮水工を構築するが、処分場供用時の盛土の沈下による遮水工の破損が懸念される、(2)底盤は、二重遮水シートとベントナイト混合土による三重遮水構造となっており、遮水シートの破損時には、ベントナイト混合土と浸出水が接触するため、ベントナイト混合土には、浸出水の接触により性能が変化しないという化学的耐久性が要求されるⅰ)、(3) 漏水リスクと覆蓋施設建設コストの低減を目的に配置を決定した中柱は法面を斜めに貫通するため、接続部の遮水構造が複雑な形状となる、というものである。本報は、これらの課題を解決するために検討した対策とその結果について報告するものである。
  • 島岡 隆行, 小宮 哲平, 中山 裕文, 弘末 文紀, 秋田 宏行, 笠 博義, 三反畑 勇
    セッションID: D1-6_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    本研究は、焼却残渣(焼却灰及び飛灰)の性状を利用した新しい処分システムの構築を目的とする。具体的には、セメント等を添加して焼却残渣を高周波振動を用いる超流体工法で固化しながら固化盤を形成していくことにより、①最終処分場の耐震性を向上させ、②埋立容量の消費を抑制し、③雨水浸透を排除し、有害物質の溶出量を低減させ、その結果として④埋立地を延命化するとともに、⑤閉鎖から廃止までの期間の短縮により、維持管理費用を低減させ、⑥跡地を早期にかつ高度に利用できる、新しい処分システム「廃棄物固化式処分システム」を構築することである。
D2 埋立地しゃ水
  • 宇佐見 貞彦, 日野林 譲二, 柴田 健司
    セッションID: D2-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    最終処分場では、浸出水の浸透拡散を防止するために、遮水工としてベントナイト混合土(BMS)が広く利用されている。本論文では、層厚を実サイズの50cmとして、そのうえに保護土を敷設することで含水比が締固め時から大きく変化しないようにした屋外模型BMS遮水工にたいして、局所沈下深さとジオネットの有無を変えた沈下実験を行った結果に対して、梁モデル等を用いて許容たわみ量等を解析した。
    この結果、実験では第2層まで層間剥離したことと実験時のたわみ量を勘案すると、層間剥離が生じやすい状態(通常の施工)において、15cm層厚のBMS層の許容せん断応力30kN/m2、許容曲げ応力200kN/m2、許容たわみ率は0.4%程度と考えられた。また、基盤の沈下が想定される地盤にBMS層を施工する場合は、できるだけ1層で施工することが強度面からは有利であると考えられた。   
  • 中山 裕文, 島岡 隆行, 小宮 哲平, 作左部 公紀
    セッションID: D2-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    遮水シートの接合には、熱融着接合が用いられる。接合に際し、融着面に十分な熱が供給されていないと接合不良となる。このため、接合部の表面温度を指標とした遮水シート接合部の合否判定が可能である。遮水シート接合時の接合部表面温度と、合否判定の基準となる閾値温度を比較し、接合部の表面温度が閾値温度よりも高ければ、接合部は所定の強度を有すると判定され、逆であれば接合不良と判定される。閾値温度の推定には、異なる気温や接合速度等の条件下で多数の実験を行い、接合部表面温度と剥離強度の関係を表す経験式を導出する必要がある。接合時の遮水シートの伝熱挙動をモデル化し、計算によって合否判定のための閾値温度を導出することができれば、実験を省略できるため、遮水シート接合検査への本手法の適用性がより高まる。本研究では、熱融着接合における接合部断面の伝熱現象をモデル化し、接合部合否判定のための閾値温度を計算により求めた。
  • 柴田 健司, 日笠山 徹巳, 小竹 茂夫, 小林 剛
    セッションID: D2-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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     漏洩電流式漏水検知システムは、格子状に配置された点電極を用いて、各格子点の電界の変化率(電流電極の位置を変えて複数のデータを取得)と、処分場内の比抵抗値(単位体積あたりの抵抗、電流の流れにくさ)の変化率を測定し、それらの結果から各電極近傍の遮水シートを貫いて流れる電流量を計算・評価して、漏水箇所の有無や位置を評価するシステムである。
      一般的な最終処分場の2重遮水シート工は、5層(不織布・上層遮水シート・不織布・下層遮水シート・不織布)構造で成り立っているが、著者らは、この遮水構造に本検知システムを適用し、実際の処分場で想定される廃棄物荷重を載荷したときに、2枚の遮水シート間に存在する本検知システムの電極が、遮水シートに与える変形等の影響について試験を行った。本稿はこの試験結果について報告する。
  • 小竹 茂夫, 日笠山 徹巳, 柴田 健司, 三浦 俊彦
    セッションID: D2-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    土質遮水層は、廃棄物最終処分場の遮水構造のほか、福島県に計画中の中間貯蔵施設にも適用が検討されている。土質遮水層には浸出水の遮水機能とともに放射性セシウムの吸着機能も期待されている。また、近年、自然由来の重金属等を含むトンネル掘削ズリ等の処理が課題とされ、経済的で環境負荷の少ない措置として遮水工封じ込め等が採用される事例が多い。この場合は、遮水機能とともに重金属等の吸着機能が期待されている。
    そこで、土質遮水層を構成するベントナイトにゼオライトや重金属等吸着材を混合することにより、放射性セシウムや重金属等の吸着機能を有する土質遮水層の確立を目指した。
    今回、ベントナイトと各吸着材の混合による吸着性能の変化とベントナイトの膨潤力への影響を把握する室内試験を実施したため報告する。
  • 関 眞一, 伊藤 良治
    セッションID: D2-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    急勾配岩盤斜面を有する管理型最終処分場の建設に際し、液状吹付け遮水シートを用いて遮水工を構築した。液状吹付け遮水シートは、モルタル吹付けされた岩盤斜面に、ポリウレタンを主原料とする材料を吹き付けて遮水工を構築するもので、密着性の高い、シームレスな遮水シートを形成できる。本報文では、施工方法、品質管理方法、管理結果等について報告している。
  • 柴崎 孝広, 佐古田 又規, 成島 誠一, 大野 文雄, 新井 靖典
    セッションID: D2-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    産業廃棄物の安定型最終処分場には、安定5品目を含む、性状の安定した廃棄物が埋立てられるため、浸出水の漏洩防止を目的とした遮水工の設置義務は無いが、現実には、分別が出来ない混合物や、許可品目以外の廃棄物を安定型処分場に埋立て、周辺環境に影響を及ぼしている事例が散見される。群馬県では「群馬県廃棄物処理施設の構造及び維持管理等に関する基準」を平成25年3月に改正し、安定型処分場においても埋立地底面に厚さ150mm以上のベントナイト等による不透水性の構造を設置することを義務づけた。ベントナイト原鉱を破砕、分級した砕石状のベントナイトを敷均し、転圧する事により、土質遮水層を構築するナチュラルブランケット工法が群馬県内の安定型処分場の埋立地底面の不透水性の構造として採用された。  本論では、本処分場の構造について概説するとともに、ナチュラルブランケット工法の具体的な施工事例について報告する。
D3 化学物質の溶出と挙動
  • 三井 清志, 伊藤 洋, 河内 大輔, 前村 昌幸
    セッションID: D3-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    産業廃棄物の海面埋立処分場が末期を迎え、陸域化した区域が日々増加し水面は減少している状況である。その中で残水面として保有する余水の水質は、今後、水質悪化等が懸念される。また陸域化部の増加の影響で、埋立処分された廃棄物の中で特に、焼却残渣等には昜溶解性物質である塩化物イオンが多く含まれるとされており、浸出水中の濃度上昇によって、円滑な排水処理および埋立管理を行う上で支障となる可能性がある。そこで、排水処理に与える負荷低減のため、浸出水中の塩化物イオン濃度の低減させるための、埋立方法に関する検討を行うものである。本報告では、高塩化物イオン含有廃棄物に、透水性の異なる廃棄物を被覆する埋立構造について現地試験盛土を築造し、実降雨での浸出水量と水質について調べ、廃棄物による被覆での雨水排除は難しく、被覆の効果として溶出ピーク量の低減と溶出の時間遅れのなどの効果があることが分かった。
  • 趙 偉, 伊藤 洋, 三井 清志
    セッションID: D3-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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      産業廃棄物の最終処分を行っている海面埋立における現状は残水面が減少しつつあり、水面より陸上化した区域が増加しているところである。水質管理では、海面埋立では安定しているが、今後陸域の増加によって易溶解性イオンを多量含まれた産業廃棄物から特に易溶解性塩化物イオンの溶出が懸念される 。  本実験では、陸域化した盛土埋立からの浸出水の塩化物イオン量を低減させることを目的とし、透水係数の異なる産業廃棄物の多層埋立を想定した鉛直降雨浸透実験を行い、その実験結果について報告する。
  • 内田 正信, 陳 睿明, 樋口 壯太郎, 為田 一雄, 宋 雨霖
    セッションID: D3-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    近年、埋立廃棄物に占める焼却残渣は年々増加の一途をたどっている。この様な背景の中、焼却施設から発生するばいじん(以下、飛灰)は特別管理一般廃棄物に指定されており、定められた中間処理が義務づけられており、薬剤処理(その他の方法との併用を含む)が全体の7割を占め、有機系キレート剤による処理が主流となっている。浸出水処理プロセスにおいては、硝化阻害やCOD除去率の低下など様々な支障が顕在化してきており、近年、飛灰の無害化処理に伴い使用されるキレート剤の影響であることが分かってきた。これまでに、キレート剤が硝化阻害等の水処理に与える影響について把握するため、硝化阻害実験、浸出水に含まれる未反応キレート剤等の無害化処理等について報告した。本報告では、硝化阻害作用が疑われる有機系キレート剤について、浸出水中に含まれる未反応キレート剤等の長期的な挙動について報告する。
  • 渡辺 信久, 竹峰 秀祐, 山本 勝也, 羽賀 雄紀
    セッションID: D3-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    最終処分場浸出余水で検出されるPFOAなどの有機フッ素化合物(PFCs)は、一定の効率で、粒状活性炭(GAC)で吸着される。GACの吸着性能が劣化した後、GACは熱処理によって再生賦活されるが、その際にPFCsが無機化しているのか、あるいは、有機状態で残留しているのかを調べるため、N2雰囲気でGACに吸着保持されたPFCsを700 oCで熱処理し、残渣中の無機F(F-イオン)と短鎖PFCsを含めた有機Fを調べた。試薬状よりもGACに吸着させた状態のほうが、無機Fの回収率が高かった。PFOAに比べて、PFHxAやPFOSの方が、無機化されやすかった。しかし、まだ、収率は十分ではなく、揮発性有機フッ素(VOF)の存在を調べる必要がある。
  • 橋本 扶美, 有島 由紀子, 高梨 啓和, 中島 常憲, 大木 章, 上田 岳彦, 門川 淳一, 宮本 信一, 石川 英律
    セッションID: D3-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    一般的に、埋立地浸出水などの環境サンプル中には、多種多様な物質が含まれている。どの様な物質が含まれているかを明らかにすることは、埋立地立地地域の周辺住民との良好なリスクコミュニケーションの確立、高効率な浸出水処理技術の開発などに資することができるため、有用と考えられる。そこで本研究では、近年の質量分析の進歩を活用して、環境サンプル中に含まれる物質の探索技術を検討した。
  • 崎田 省吾, 西本 潤, 西村 和之
    セッションID: D3-6_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    埋立完了後2年が経過した海面処分場余水池水を対象として,2011年9月(秋季)および同11~12月(冬季)にそれぞれ1カ月程度,余水池の底部におけるpH, DO,および水温を連続測定した。冬季では水温の方が気温より2~10℃高かったため,余水池内では対流が生じていたことが示唆された。DOは秋~冬季までほぼゼロであった。次に,サンプリングした底泥を用いて嫌気性バッチ試験を実施した。実験開始後,すべての条件でDOが減少した。溶媒は余水池水の方が,また,温度は30℃の方が早く減少した。特に,現場に近い条件(液固比5, 余水池水溶媒,30℃)では,実験開始3日後でほぼゼロとなった。バッチ実験の結果から,簡易なモデルを用いて余水池の酸素要求量を算出した。その結果,余水地の夏季におけるDO濃度を維持するためには,DO供給量は約434(g/d)程度必要であることが分かった。
  • 繁泉 恒河, 久保田 洋, 山田 裕己, 野口 俊太郎
    セッションID: D3-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    焼却灰の資源化・安定化技術として水洗やウェザリングが提案されているが、廃水量の多さ、処理期間が長いなどの課題から、さらなる効率化が求められている。本研究では安定化の指標として有機物および鉛に着目し、極少水量(液固比0.5)の間欠散水・通気処理における焼却灰からの有機物・鉛の溶出挙動に散水期間と通気が及ぼす影響を検討した。
    実験の結果から、焼却灰の種類に関わらず、Pb、TOC共に1日で散水処理を行うよりも40-50日で行う処理区で環告13号法での溶出値が減少した。散水期間40-50日かつ通気を行う処理区の方が、Pbの炭酸化による溶出抑制効果が高く、TOCの水への溶解に加えて有機物の分解により溶出が抑制されることが示唆された。したがって、極少水量の間欠散水処理では散水期間が1日よりも40-50日で通気の効果が高く発揮され、PbおよびTOCの溶出が抑制されることが示唆された。
  • 成岡 朋弘, 門木 秀幸, 中島 和希, 縄田 大輔, 井上 陽仁, 上田 智幸, 肴倉 宏史
    セッションID: D3-8_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    焼却灰のエージングの効果を検証するため、試験規模をスケールアップさせた最終処分場埋立地における実証試験を行った。その結果、焼却灰のJLT13による溶出量は、エージングによって速やかに基準をクリアした。JLT13による溶出量基準はリサクル事業者の受入基準とされているため、エージングによって焼却灰をリサイクルできる状態に処理できることが示された。さらに、JLT46による溶出量についても、散水することによって100日程度エージングにより基準値をクリアした。JLT46による溶出量基準は再生製品の環境安全性の指標とされることから、エージングによってリサイクルされた際の安全性も担保できることが示された。
  • 石森 洋行, 伊藤 隆志, 遠藤 和人
    セッションID: D3-9_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    本研究では、廃棄コンクリートから粒径の異なる4種類の供試体を作製しシリアルバッチ試験を行うことで、長期溶出量に及ぼす粒径の影響を調べ、またこうした固型化物からの化学物質の溶出挙動が拡散に支配されると仮定した場合の理論的に導いた溶出量との違いを明らかにすることで、粒径の異なる試料間における溶出量の換算方法を検討した。
  • 陳 睿明, 呂 航, 内田 正信, 宋 雨霖, 樋口 壯太郎
    セッションID: D3-10_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物焼却施設で乾式ナトリウム排ガス処理に伴い排出される飛灰及び主灰を用いて、有機系キレート剤(ピペラジン系)および無機系キレート剤(リン系)を添加処理した飛灰と主灰で埋立地を模擬したライシメータを使用し、COD、窒素、キレート剤成分等の溶出挙動についてモニタリングと検討をおこなった。
  • 高橋 史武
    セッションID: D3-11_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    水銀は環境毒性の高さから世界的にその使用を制限されつつあり、使用後に回収された余剰水銀を近い将来、埋立処分する必要性が生じつつある。埋立処分による環境リスクは、水銀の溶出から環境中の移動、最終的な人体への曝露をモデル化することで計算できる。しかしモデルパラメータは数桁オーダーの変動幅を持つため、妥当なパラメータ値を設定することは困難であり、計算された環境リスクの信頼性を損ねている。本研究では、パラメータ値が対数正規分布に従うとして最尤法によりその平均と分散を求め、再離散化させた後に、すべてのパラメータ値の組み合わせにおいて水銀摂取量を水銀環境動態モデルから求めた。一週間あたりの水銀摂取量は0.096 pgから56 gと非常に幅広い範囲で計算され、中央値で0.11 μgであった。本研究の条件では、50.3%の確率で水銀摂取量は耐用摂取量を超えると評価された。
  • 佐藤 昌宏, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山田 正人, 大迫 政浩, 岡 かおる
    セッションID: D3-12_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    水銀廃棄物の環境上適正な処分に向け、処分方法の確立が求められている。そこで本研究では埋立層内環境において金属水銀の安定化・固型化物からの水銀の放出挙動を明らかにすることを目的とし、金属水銀を硫化した後、硫黄ポリマーや低アルカリセメントを用いて固型化した供試体を用いて模擬カラム試験を実施した。その結果、累積浸透水量が461~511 mmでは、供試体から浸出水および気相に放出される水銀量は同程度であったが、供試体内の水銀量に対し極わずかであった。本試験で模擬した埋立条件においては、黒色硫化水銀の固型化による水銀の移動抑制効果が確認された。
D4 埋立地浸出水
  • 鈴木 和将, 水藤  寛
    セッションID: D4-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    本研究は、埋立処分場内部のような不均質な場において、間隙内部流体の流れを精度よく予測することができる数値解析手法を開発することを目的として、まず、マイクロフォーカスX線CTスキャナと画像処理ソフトウェアを用いて、処分場内部構造のモデル化を行った。さらに、そのモデル化した流れ場における流れの現象のモデルとしてNavier-Stokes方程式を取り上げ、数値シミュレーションを行い、検討を行った。
  • 花木 陽人, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    セッションID: D4-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物層の間隙に存在する流動域と非流動域の間では拡散作用を駆動力とした溶質移動が生じていると考えられるがこれらを定量的に評価する手法は十分に確立されておらず、特に廃棄物層における溶質移動のモデル式を考えた場合に必要になる物質交換係数の定量にはカラム通水試験を実施する必要があり、多くの時間を必要とする現状がある。本研究ではより簡便な物質交換係数の定量方法を提案することを目的とし、提案する定量方法内の各過程における目的値の定量方法について検討した。まず、カラム通水試験の結果と二層モデルの計算値を近似した結果、物質交換係数を定量することができ、本研究の実験範囲においては焼却灰充填層の充填密度の増加及び最大粒径の減少に伴い、物質交換係数は増加することが示された。さらに、焼却灰充填層のX線CT画像の解析により、間隙における流動域及び非流動域の3次元分布を得ることができた。
  • 野村 弘, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦
    セッションID: D4-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    乾燥地域では、蒸発が降水量を卓越する。そのため、浸出水の生成源は主に廃棄物によって持ち込まれる水分である。これは浸出水生成がやがて停止すること、埋立地内の廃棄物が次第に乾燥していく可能性を示唆している。本研究では、埋立地のマクロ水分収支モデルを用い、また乾燥気候下の気象データを用いて、浸出水が発生する期間を予測することを試みた。ケッペンの気候区分により乾燥気候を4区分し、それぞれの区分に該当する気象観測点を選択した。各地域に仮想の埋立地を想定し、水分収支計算を20年間実施した。その結果、浸出水は、廃棄物が埋め立てられている期間のみ発生し、降水の多くは蒸発により失われた。廃棄物の埋め立てが終了すると、浸出水は発生しなかった。この結果は計算対象とした全ての地域で共通であった。埋立地内の水分量も埋立が完了すると次第に減少する傾向を呈し、やがて層内が乾燥する可能性が示された。
  • 間宮 尚, 岡部 元宣, 土井 潤一, 志水 俊也
    セッションID: D4-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    最終処分場に対する要求水準の高度化にともなって、浸出水処理においても膜技術や透析技術を駆使した塩回収が志向されている。浸出水に含まれる物質は多様であるが、例えば、大半を占める塩分に着目した場合、和すか数%の塩分を含水率10%以下の状態にて分離するという工程が極めてエネルギーインテンシブであるという認識は十分には共有されていない。最終処分場の運転費の中では浸出水処理費が大半を占め、膜処理の場合、膜処理自体よりその後段の濃縮・乾燥処理に要する燃料費が大きい。最終処分場に与えられたエミッション低減というタスクを遂行する上で、低炭素も同時に志向する必要があると考え、高効率の濃縮・乾燥工程の開発を試みたのでその概要を報告する。
  • 為田 一雄, 内田 正信, 樋口 壯太郎
    セッションID: D4-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場への埋立廃棄物に占める焼却残渣の比率は約80%を超えるようになった。これに伴い、浸出水処理プロセスにおいて硝化阻害やCOD除去率の低下など様々な支障が顕在化してきている。この原因は従来、高濃度無機塩類による影響と考えられていたが、最近、飛灰の無害化処理に伴い使用されるキレート剤の影響であることが分かってきた。これらは埋立処分後の浸漬状態で高濃度かつ長期間にわたり溶出してくるため、浸出水処理の維持管理や廃止遅延等の支障を来たすことになる。今回の実験では、埋立処分後のキレート処理飛灰に由来する浸出水水質への影響を確認するために、ライシメーターによる実験を行った。その結果、ピペラジン系についてはキレート処理飛灰由来の高濃度CODMn溶出が確認でき、ジエチル系については、キレート剤由来のCODMn溶出が何らかの影響により抑制されていることが確認できた。
  • 矢吹 芳教, 小野 純子, 小西 弘和
    セッションID: D4-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    1,4-ジオキサン含有浸透水が流入する、廃棄物最終処分場内の処理施設の曝気槽に浸漬した流動担体を用いて、1,4-ジオキサン除去試験を実施した結果、流動担体に付着している微生物により1,4-ジオキサンが除去されることが明らかになった。揮散による除去率は30℃>20℃の順に高く、10℃ではほとんど濃度の低下は見られなかった。微生物および揮散による除去率は30℃>20℃>10℃の順に高く、温度が高いほど処理が効率的に進むことが示唆された。一方で低温条件下(10℃)でも72時間で50%程度の除去率が得られており、水温の低下する冬期にも微生物処理が適用できる可能性が示唆された。
  • 辰市 祐久, 飯野 成憲, 茂木 敏, 寺嶋 有史
    セッションID: D4-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
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    昨年のアナモックス菌を用いた脱窒素反応では水温をアナモックス菌が活発に活動する30℃に設定していたが、海面埋立地からでる浸出水は冬期には導水溝、集水池、調整池を通る間に水温が低下する恐れがある。このため、水温を5℃ずつ15℃まで下げたときの脱窒素反応速度を測定した。又、埋立地内にベンチスケールの硝化脱窒素装置を設置し、浸出水中の窒素成分の硝化反応及び脱窒素反応を測定したところ、冬季の水温13℃程度では両反応とも停止していた。
  • 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: D4-8_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、埋立層の中間覆土として高炉スラグを用いて、処分場廃止後に飛灰から溶出する鉛を不溶化することを想定し、スラグの吸着剤としての利用可能性について、以下のことを明らかにした。 ①蒸留水を用いた場合、pH8-13でスラグによる鉛除去はヘンリー型の吸着等温線を適用でき、未洗浄スラグでpH11でKdは最大値をとり5,600(L/kg)で、洗浄スラグではpH10で最大値をとり2,100(L/kg)であった。 ②廃止後に想定される浸出水のpH8でのKdは高い値であることから、廃止後の中間覆土で十分な吸着性能が期待できる。 ③高炉スラグによる鉛除去メカニズムは、スラグ溶出物と鉛による沈殿ではなく、イオン交換による吸着であると考えられた。 ④実飛灰から溶出した陽イオンが鉛吸着を妨害した可能性が考えられた。
  • 宮本 尚季, 武下 俊宏, 樋口 壮太郎
    セッションID: D4-9_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    浸出水中のカルシウムイオンは機器へのスケール生成や膜処理時の膜閉塞等の支障をもたらす。このため一般的にはライムソーダ法により処理されるが生成汚泥が多い欠点がある。また処理性能は処理水100mg/L程度が限界である。本研究では発生汚泥量が少なく、高度にカルシウムイオンの除去ができる方法を開発するため、シュウ酸を用いて処理水10mg/L以下を目標に研究を行った。その結果、ライムソーダ法で処理した原水80mg/Lに対してシュウ酸添加により10mg/L以下にすることができた。
  • 尾形 有香, 石垣 智基, 蛯江 美孝, Sutthasil Noppharit, Witthayaphirom Chayanid , Ch ...
    セッションID: D4-10_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    東南アジア諸国の多くでは、廃棄物埋立地浸出水の処理を貯留池による自然蒸発・浄化に依存しているのが現状である。雨季における大量の降雨により、貯留池の容量を超える浸出水が発生し、浸出水の系外漏出による周辺地域への環境汚染が懸念されていることから、適正な浸出水の管理が急務となっている。当該地域の浸出水管理方法の1つとして、水質浄化と水量削減の両方が期待される人工湿地の適用が有望であると考えられるが、東南アジア諸国における適用例は極めて少ない。一方、廃棄物埋立地浸出水の管理において、窒素が長期的に残存することが世界的な課題として認識されている。特に有機態窒素は生物学的処理において除去が困難であることから、排水処理において課題となっている。よって、本研究では、長期の浸出水処理を対象とした人工湿地の適用性を評価するため、人工湿地による廃棄物埋立地浸出水中の窒素の除去特特性を明らかとした。
D5 最終処分場の維持管理・モニタリング
  • 山中 稔, 島岡 隆行, 瀬尾 英孝, 八村 智明, 永岡 修一
    セッションID: D5-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    現在設置されている廃棄物最終処分場においては、廃棄物処理法に基づく構造基準や維持管理基準を遵守することで、埋立処分された廃棄物量や面的な廃棄物層厚を概ね把握することが可能である。しかしながら、処分場の設置が基準制定前である場合、過去の施工記録の不備や基礎地盤の沈下変形等により、埋立廃棄物の正確な総量が不明な場合がある。そういった場合でも、底面遮水工設置深度までのボーリング調査を実施することは基本的に避けるべきである。そこで本研究では、ボーリング調査に代わる非破壊を原則とした新たな調査手法として、実際の最終処分場埋立地において実施した表面波探査と常時微動測定の解析結果を用い、1/4波長則から廃棄物層厚を推定する手法の妥当性評価を検討した。その結果、対象とした埋立地において遮水シートの計画標高と1/4波長則により算出した廃棄物下面標高の間には、正の相関があることが明らかとなった。
  • 古賀 大三郎, 鵜飼 亮行, 宮脇 健太郎
    セッションID: D5-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     被覆型処分場では、供給水量をコントロールすることが可能であり、適切な埋立・散水計画による安定化促進など健全な運営が可能になると考えられている。特に、埋立廃棄物の浸出水水質の変化傾向は液固比で予測される。
     これまでにも安定化に関する実験的検討として埋立廃棄物からの浸出水の水質変化を計測する実験がなされているが、実際の埋立管理を念頭に置いた検討である廃棄物の積み増しを考慮した実験やその結果を液固比で評価した例は多くない。また、安定化の判断が浸出水によって行われることから、浸出水水質に関するデータは多いが、埋立地内部の水質を連続的に測定している検討例も少ない。
     我々は、一般廃棄物の最終処分場を対象に、埋立方法や散水条件が埋立地の安定化に与える影響を把握し、安定化傾向を予測するモデル化することを目的としている。本報告では、カラムを用いた基礎実験について述べる。
  • 樋口 壯太郎, 長野 修治, 室井 治, 豊久 志朗, 中熊 道人, 八木 弓博
    セッションID: D5-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    我が国の最終処分場は自然の浄化機能とその分解メカニズムを利用する、バイオリアクター型の準好気性埋立構造を基本としている。しかし焼却残渣を中心に埋立処分する一般廃棄物最終処分場においては高アルカリ、高塩類環境下で埋立初期から中期にはバイオリアクターは十分に機能しない。一方、管理型最終処分場においては埋立廃棄物の種類にもよるがバイオリアクターは機能することが多い。ところで我が国の多くの最終処分場は準好気性埋立構造を謳っているが、その効果を検証した事例は少ない。今回、埋立を開始して10年、現在も稼働中の管理型最終処分場を対象に、機能検査を行った。その中で準好気性埋立構造の中心的役割を果たす集水管検査および空気量測定を行い通気、通水効果の確認を行ったので報告する。
  • 大野 彰久, 伊藤 智祥, 樋口 壯太郎
    セッションID: D5-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    現在、松山市では、2003年に供用開始した一般廃棄物最終処分場の延命化に取り組んでおり、これまでに埋立物の再資源化や受入基準の厳格化等の施策により、大幅な延命化が見込まれている。しかし、浸出水中の塩類が当初想定していたものよりも高濃度化して溶出し、浸出水処理施設の能力が大幅に低下している。その理由としては、焼却灰以外の埋立物が減少したことで埋立物全体に占める焼却灰の割合が増加したことや、焼却施設での塩化水素対策で焼却飛灰中の塩素含有量が増加したことなどが考えられる。現在、この課題を解決するために浸出水脱塩処理施設を改良し、脱塩処理能力の増強を図るとともに、発生する副生塩から消毒剤を製造し、下水道終末処理場で消毒剤として活用する計画としている。本稿では、副生塩の有効利用の取り組みについて記述する。
  • 柳瀬 龍二, 海老原 正人, 杉田 昭義, 松藤 康司, 香川 智紀
    セッションID: D5-5_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物最終処分場の廃止は法的に「廃止基準」を満足する必要がある。主な廃止基準は①浸出水又は浸透水の良質化、②ガスの発生状況、③廃棄物層内の温度等がある。本報では安定型処分場において約11年間に亘って温度センサーを用いて廃棄物層内の温度測定を連続的に実施し、廃棄物層内温度が埋立廃棄物の種類や埋立状況、埋立深さ及び外気温等の影響をどのように受けながら挙動を示すのか長期実測データをもとに検討した。その結果、安定型処分場では①埋立初期に一時的に温度上昇が認められるが、2年目以降は温度が低下する傾向を示した。②廃棄物層温度は上昇速度が0.037℃/月/m、下降速度が0.009℃/月/mであった。廃棄物層厚が10m前後までは外気温の影響を受ける傾向にあった。これらの調査結果をもとに、当該処分場に温度に関する廃止基準を適用すると「同処分場の廃止に関する基準の中で、温度に関する条件は満足する」と判断できた。
  • 田中 宏和, 山﨑 慶子, 荻野 賢治, 大家 清紀, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山田 正人, 香村 一夫
    セッションID: D5-6_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
     埋立時期が異なる隣接した管理型最終処分場に設置した観測井内部に滞留したガス濃度を携帯型ガス濃度測定機でモニタリングした。その結果、保有水水位が低いときにメタンと二酸化炭素濃度が高濃度で検出され、酸素濃度が低下する傾向が確認された。これは、有機物分解で生成したガスが保有水水位以下に気泡状で存在し、水位低下によって大気中に放出されるメカニズムが考えられた。さらに、検出された二酸化炭素濃度は埋立終了から長期間が経過した区画の方が高い傾向があり、このことは廃棄物埋立層内部の雰囲気が安定化により、次第に嫌気性から好気性に移行して、好気性分解が進行しやすくなっているためと考えられた。
  • 瀧中 英仁, 高田 康平, 田中 宏和, 香村 一夫
    セッションID: D5-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    2000年に循環型社会構築に向けたリサイクル関連法が整備され,これらの法律によって自動車や家電製品,ガラスやプラスチック等のリサイクルの体制が整えられた。しかし,リサイクルに関する法適用以前の処分場では,廃棄物のほとんどは適切な中間処理をされず,直接もしくは焼却施設を経由して最終処分場に埋め立てられていた。そのため,リサイクルに関する法律が適用以前の処分場には多種多様なメタル類が混入していると考えられる。一方,そのような埋立層内から排出されている浸出水からは金属類がほぼ検出されないことから,処分場埋立層内に金属類が残存・濃集している可能性が推測される。 本研究では北陸地方に位置する産業廃棄物処分場に焦点をあて,その埋立層内の金属含有濃度や化学組成,賦存形態を明らかにした。最終的には様々な処分場で集積したデータに基づいて最終処分場の「都市鉱山」としての価値を評価することを目的としている。
D6 埋立地早期安定化・跡地利用
  • 中村 愛, 立藤 綾子, 松藤 康司, 中村 光宏, 赤司 岳也
    セッションID: D6-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    焼却灰主体の埋立地は高アルカリ性、高塩のために生物がほとんど生育できず、最終処分場が目指す安定化の最終段階である、生物生産可能な「土壌還元化」状態に到達するまで長期間かかると予想される。その理由として、焼却灰中のCa²⁺やAl³⁺が水和物を形成し、焼却灰への水の浸透性が低下するため、「土壌還元化」のプロセスの第一段階である「塩類の洗い出し」が阻害されると予測した。

    本研究では、焼却灰中の塩類の洗い出しを促進する埋立前処理方法として、1)養生固化させた後の焼却灰の破砕処理と2)焼却灰と破砕不燃残渣の混合処理を提案し、その有効性を評価した。

    その結果、いずれの前処理方法も焼却灰の固化体のサイズを小さくし、水の浸透性を上昇させることから、塩類の洗い出しの促進手法として有効であること、その効果は破砕処理の方が破砕不燃残渣との混合処理に比べ、約2.5倍高いことが分かった。
  • 纐纈 卓也, 宮澤 俊介, 川鍋 良治, 佐湖 俊之, 樋口 壯太郎
    セッションID: D6-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、最終処分場に埋立処分される破砕不燃残渣を、埋め立てる前に洗浄することで、埋立地を早期安定化させる技術の開発を目的として、破砕不燃残渣を浸漬洗浄し、その洗浄効果を検証するための実験(以下、「洗浄実験」という。)と埋立模擬実験(以下、「ライシメーター実験」という。)を行う。本報告では実験結果の第一報として、破砕不燃残渣の洗浄実験結果とライシメーター実験の途中経過について報告する。
  • 小楠 裕也, 梶野 友貴, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    セッションID: D6-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    海面処分場では有機物の分解や汚濁成分の洗い出し速度が遅く早期安定化が懸案事項となっている。また、焼却灰は粒径が小さいほど汚濁成分を多く含んでいることが分かっており、細粒子区分を除去することにより汚濁成分の海水への流出が軽減できることが予測される。本研究では2か所の清掃工場の焼却灰を用いて海面処分場を模擬したカラム沈降実験を行い細粒子区分除去後の焼却灰の海中での堆積状況や細粒子区分の除去が海水に与える影響、各焼却灰の細粒子区分除去の影響による差について検討した。  実験の結果、細粒子区分の除去により焼却灰投入後の海水のpHが減少した。また、TOCに関しては一方の灰では細粒子区分の除去によりTOCの濃度が減少することが確認されたが、他方ではほぼ同じ値を示していた。細粒子区分を除去することで焼却灰投入後の海水のpHが改善された。このことより、細粒分除去は海面処分場の早期安定化技術の一つとして期待される。
  • 村川 大亮, 小宮 哲平, 中山 裕文, 島岡 隆行, 弘末 文紀, 秋田 宏行, 笠 博義, 三反畑 勇
    セッションID: D6-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    管理型処分場へ搬入される廃棄物の約8割は焼却残渣であり、処分場閉鎖後は、長期にわたり浸出水の処理が必要となるため、処分場の維持管理コストおよび跡地利用の遅延が課題となっている。このような現状に加え、今後発生が予測される巨大地震に耐えうる新しい最終処分システムの整備や災害廃棄物処理の迅速化のための埋立容量の確保が求められている。筆者らは、石炭灰固化技術(超流体化工法)を応用し、焼却残渣(焼却灰及び飛灰)に水・セメントを混合したものに高周波振動を与えて流体化・固化することにより、①処分場の耐震性の向上、②埋立廃棄物の減容化、③有害物質溶出抑制、④早期安定化による維持管理コストの低減、⑤跡地の高度利用を図れる新しい処分場「廃棄物固化式処分システム」の構築を目指している。本研究では、初期段階として焼却灰・飛灰固化体の強度特性及び環境安全性について試験を行い調査した。
  • 佐湖 俊之, 樋口 壯太郎, 山城 匡, 雷 曦
    セッションID: D6-5_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、我が国で埋立られる廃棄物は焼却残渣主体となっており、これにより高濃度無機塩類対策が埋立地管理上の重要な課題となっている。本研究では低コストで効率の良い埋立前処理方法及び、処分場の早期安定化の方法を検討した。実験方法は、焼却残渣を用いて①埋立前処理として浸漬洗浄した廃棄物を埋立高さ別(0.5m、1.0m、2.0m)に直径150mmのライシメータ―へ充填し浸出水のモニタリングを行った。②塩素の溶出抑制を目的として焼却飛灰及び溶融飛灰の固化方法の検討及び浸漬実験を実施した。①では、浸出水ピーク値においてCl-が未洗浄2mの13%に対し洗浄2mでは2%と、洗浄による洗い出しの効果が確認された。②では、乾燥加熱(250℃,18h)後の焼却飛灰において水(30%)添加し手で成形し、24h自然放置後に高硬度の固化物ができ溶出抑制効果も確認された。これらの結果より、今後は埋立前処理を組み合わせることによって早期安定化の実現へと繋がることが示唆された。
D7 不法投棄・地下水汚染防止
  • 西入 佳奈子, 香村 一夫
    セッションID: D7-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    地球上に存在する水は97.5%が海水であり、残りの淡水の中でも人間が使用することができる地下水は僅かである。地下水は貴重な水資源であるが、いま乾燥地域では地下水の塩水化が問題となっている。塩水化は地下水が多量に蒸発することで起こり、地下水の塩分濃度が高くなることから、農業用水としての利用が厳しくなっている。本研究では、塩水化した地下水を農業用水として使用できるまで低塩分化する、簡易的かつ低コストな脱塩技術の開発を目指した。そこで、世界中に存在している火山灰土壌の有するイオン吸着能力に着目した。火山灰土壌は重金属イオン等を吸着する能力があることが知られている。この吸着能を利用し、火山灰土壌へ塩分を吸着する技術開発である。土壌の塩分吸着能を高めるため、土壌に無機酸化物を加えた混合吸着材を作製し,人工海水を用いた塩分吸着試験を行った。さらに、その混合吸着材の塩分吸着機構解明の実験を行なった。
  • 持田 喬太, 鶴田 正樹, 香村 一夫
    セッションID: D7-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    日本は多くの火山を有する火山国である。したがって、火山性の堆積物が日本各地に分布している。この火山性の堆積物が風化し生成された土壌は火山灰土壌と呼ばれる。火山灰土壌は、含まれる腐植や粘土鉱物により、イオン吸着能をもつことが知られている。これらの腐植や粘土鉱物それぞれに対する研究は盛んに行われているが、火山灰土壌そのものに対する吸着能についての研究はあまり行われていない。
    本研究では、鹿児島県に分布する火山灰土壌の環境浄化資材としての活用を考える上で必要となる、イオン吸着能の解明を目的とする。加えて、イオン吸着能がどのような土壌の性質に起因するかを検討する。
     以上を目的とし、以下の実験を行った。 ①バッチ試験による重金属吸着量の測定 ②C-Nコーダーによる含有炭素量の測定 ③粉末X線回折分析による含有結晶性粘土鉱物の同定  ④選択溶解法によるアロフェン・イモゴライトの定量
  • 山田 百合子, 伊藤 洋, 河村 豊, 大石 徹
    セッションID: D7-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー


    現在、ブラウン管テレビに使用されるファンネルガラスは、水平リサイクルが困難な状況になりつつあり、その多くが国内に保管されている。ファンネルガラスに約20%含まれる鉛は、本来X線の吸収性能を高めることを目的として含有させているが、処分する際には有害重金属含有物であり、鉛の溶出値が基準値(第二溶出基準等)を満たしているかどうかを確認する必要がある。 著者らは、ファンネルガラスの特徴を活かした一つの利用方法として、開発中の放射性物質含有土壌・廃棄物の保管技術である“多機能盛土”の放射線遮蔽材の一部として適用することを考えた。その際、放射線の遮蔽効率の改善とは別に鉛の溶出による二次汚染の可能性が懸念され、著者らはファンネルガラスを対象として、鉛溶出を抑制する方法について室内実験および暴露実験を行った。 
  • 山脇 敦, 土居 洋一, 川嵜 幹生, 小林 優子
    セッションID: D7-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー


    未利用廃棄物地盤の有効利用の促進は平地が乏しいわが国では各方面で期待されている。一方で,プラスチック等の繊維状物等を含む廃棄物地盤については,力学的挙動が通常の土地盤とは大きく異なり,跡地利用のための力学評価法は確立されていない。本稿では,基本的な力学特性のうち,沈下と水挙動に関して,現場及び室内実験を行ってその特性について考察した。

    中部地方の安定型処分場での実験等の結果,当該地盤は,1)沈下は埋立初期の沈下が大きく下層側でより進む,2)水(雨水)により沈下が生じる,3)地盤中の空隙が大きいことから排水性が極めて高い,4)地盤中のプラスチック等の表面等に一定の保水能がある,5)保水能は廃棄物サイズに関係し得る,との実験結果が得られた。また,このような空隙の大きい廃棄物地盤では,水は土地盤のように特定の水みちを流下するのではなく,当初から存在する大きな空隙を伝わって流下することが窺えた。
  • 西村 良平, 長坂 典昭, 伊藤 明, 大山 将, 脇阪 拓彰, 武村 直幸
    セッションID: D7-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、民間の不適正産業廃棄物安定型最終処分場において、行政代執行により特別措置法に基づく特定支障除去等を実施する現場で実施した。研究対象となる掘り起こし廃棄物土は、支障除去等に必要な措置の1つである汚染浸透水の浸透防止を実施するため、浸透水が地下水へ漏洩している箇所を一旦掘削したものである。掘削された 廃棄物土は、処分場内に設置した選別施設で廃棄物を除去して選別土として埋め戻すため、高精度の分別が必要であった。そこで、掘削された廃棄物土から廃棄物を高精度に分別する方法に関して、分別の前処理に使用する選別助剤の選定とその適用試験を実施した。その結果、低含水から高含水まで幅広い範囲で効果を発揮し、かつ液体のため粉じん発生がない高分子系(液体)が、本工事の選別助剤として有効で、さらに、含水率が20%を超える場合は、前処理として廃棄物土を適切に乾燥させる必要のあることが分った。
  • 吉田 英樹
    セッションID: D7-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    2011年3月11日に発生した東日本大震災後、災害廃棄物仮置場にて廃棄物の自然発火による火災が東北地方各地で問題となっていた。今後も大規模な災害により発生した災害廃棄物を管理する上で火災防止が強く求められる。本研究では岩手県の災害廃棄物一次及び二次仮置場を対象として、堆積廃棄物層内の温度・ガス成分の他に表面温度を測定して、火災発生に繋がる可能性のある初期の温度上昇現象、及び温度上昇低減のための掘削作業の効果について検討した。その結果、サーモグラフィー及びポータブルガス測定器による現場調査の有効性、さらに温度とガス成分の相関関係より災害廃棄物仮置場堆積廃棄物層内の初期の温度上昇現象が好気性微生物反応によるものであると推定されることを明らかにした。また温度上昇低減のための仮置場堆積廃棄物を条件によっては掘削作業により温度低下が図れることを明らかにした。
  • 黒川 諒悟, 香村 一夫
    セッションID: D7-7_Poster1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では様々な特徴をもつ火山灰土壌に対してホウ素吸着能を評価するため、pHを変化させてバッチ試験を行った。また、試料の荷電特性の理解を目的として、陽イオン・陰イオン交換容量の測定を行った。その結果、ほう素吸着量は、すべての試料においてpH5~8で上昇、pH8~9で最大、pH9~11で減少を示した。これは、酸性~弱アルカリ性においてほう素が非解離の状態で存在すること、また、陰イオン交換容量がpH上昇に伴って減少することに起因すると判明した。また、ホウ素の吸着量はアロフェン・イモゴライト含有量とやや相関が見られたことから、アロフェン・イモゴライト由来の正荷電にほう素が吸着している可能性が示された。以上より、火山灰土壌をほう素吸着材としいて用いる場合、適切な火山灰土壌を選定し、適切な条件のもとで利用する必要がある。
     
  • 伊藤 靜, 島岡 隆行, 岩堀 惠祐, 小野 雄策
    セッションID: D7-8_Poster2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/20
    会議録・要旨集 フリー
    2004年11月、静岡県沼津市で大規模な産業廃棄物不法投棄事案が発覚した。この不法投棄は、約3.6haにわたる山林に主に廃プラスチック類や木くず、紙くずなどの産業廃棄物約23万㎥が埋め立てられたものである。本県は、学識経験者による支障評価・対策検討委員会から不法投棄現場の一部に崩落の恐れがあると提言を受け、行政代執行により当該現場の産業廃棄物約13,000㎥を除去の上斜面安定化工事等を実施し、2014年2月に当該工事は完了した。 行政代執行では、支障除去のため必要な量のみの廃棄物撤去を行ったことから、当該現場には引き続き廃棄物が残存している。そこで、残存する廃棄物による周辺環境への影響を評価するため、学識経験者による「モニタリング検討委員会」を設置し、モニタリングを行っている。今回、本県によるモニタリングの方法及びその結果等について報告する。
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