廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中51~100を表示しています
A7 LCA・低炭素社会
  • 金 相烈, 加々見 祐佳
    セッションID: A7-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では、全国の一般廃棄物焼却施設を対象に、廃棄物の焼却生成ガスに由来するCO2の他に、上記に述べた2つの要素である「発電」と「余熱利用」を考慮して、焼却施設から排出される実質的な温室効果ガス(CO2)の排出量を評価した。
    その結果、焼却施設からのCO2の排出量は、発電を考慮すると55%、余熱利用を考慮すると30%の削減の効果があった。(石炭火力による換算)。
    また、廃棄物発電は比較的使用開始年度が新しい焼却施設で行われると高効率でCO2を削減できることから、古い焼却施設の建て替える際に、温室効果削減の対策として一定規模(年間7万ト以上)であれば発電施設をもつ焼却施設が有効であり、余熱利用に関しては、施設の規模や使用開始年度よりは、各施設の稼働開始時の余熱利用計画に大きく影響を受けることが分かった。
  • 佐々木 嶺, 中尾 彰文, 吉田 登, 佐藤 涼祐, 岩本 淳, 松井 翔太, 四條 雅之
    セッションID: A7-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    近年,低炭素社会に向け,地域の木材資源を有効活用する木質バイオマス発電が注目されている.2015年にFITが改正され未利用間伐材を利用した発電出力2,000 [kW]未満の発電を対象に,40 [円/kWh]のプレミア単価が設定され,小規模分散の木質バイオマス発電の導入を支援する制度が整った.小規模木質バイオマス発電では事業性を高めるため熱電併給システムを導入することが課題である.近年,少数ではあるが,欧州型の小規模熱電併給システムを国内で実現しようとする先進事例が存在する.本研究では,和歌山県内の山間部や農山漁村などに多く存在する施設園芸を対象として,木質バイオマスを利用した小規模ガス化熱電併給システムを導入する際の事業性を分析する.特に小規模木質ガス化で重要となる木質燃料乾燥等の取り扱いを含め,事業性に影響を及ぼす要因を抽出することを目的とする.
A8 食品ロス
  • 藤倉 まなみ, 大和 妃香里, 福岡 雅子
    セッションID: A8-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    SNSに写真を掲載することを目的に「インスタ映え」する料理を注文し、それを食べ残すことにより、食品ロスが増加しているかどうかを明らかにするため、Webを利用したアンケート調査を実施した。その結果、外食時に料理を撮影し、かつSNSに掲載した経験があるのは、全数の38%で、SNS利用者の半数以上と考えられた。料理写真のSNS掲載の経験がある者は、写真映え等を意識した注文を行っており、「メガ盛り注文」「共有のための注文」「いいね注文」の経験者は、そのような注文をした時に、撮影やSNS掲載をしないグループよりも有意に食べ残し頻度が大きかった。また、同一回答者でみても、普段よりもそのような注文をした時の方が有意に食べ残し頻度が大きかった。SNSの利用率は今なお増加傾向にあるため、今後SNSへの掲載に起因する食べ残しは増加する可能性がある。
  • 野々村 真希
    セッションID: A8-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    家庭の食品ロスの中で調理時のロスは大きな割合を占める。本研究は調理時のロスの実態や原因となる事情・消費者意識を詳細に探ることを課題とし、消費者の調理行動観察調査およびインタビュー調査を実施した。日本食品標準成分表に記載されている廃棄部位や廃棄率を用いて調査結果を分析し、調理ロス量を算出した結果、調理ロスのうち大きな割合を占めるのは、たまねぎ表層・頭部・底盤部付近などの「不可食部付近の可食部」や、にんじん表層など「人・場合によって除去されることがある可食部」、そして「劣化部分」の除去であることが明らかになった。不可食部付近の可食部や人・場合によって除去される可食部は、特段の理由なく無意識的に除去される場合もあったが、食感が悪い、土がついている、農薬が心配、調理や洗浄の手間を省きたい、見た目を良くしたいなどの意識や、適当な除去の技術や知識の不足から除去される場合もあることが特定された。
  • 渡辺 浩平, 岡山 朋子, 山川 肇
    セッションID: A8-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    国連持続的開発目標(SDG)12.3は世界的に流通・消費段階での"food waste"を半減することをかかげている。しかし食品廃棄・ロスについては様々な定義が錯綜しており、国際的に確立された計量方法も存在しない。指標の設定のしかたによってリサイクルに重点を置くのか、発生抑制に重点を置くのか等、政策方向がかわってくる。ここではFAO, UK-WRAP, EU-FUSIONS等における解釈を紹介する。どの発生段階や処分先を対象とするのか、可食部・非可食部の区別の有無や線引きのしかたなどが、主な相違点である。日本語の「食品ロス」と、食料生産・加工段階での廃棄を指す "food loss" の国際的に主流な解釈とどう折り合いをつけるのか、今後どう進めていくべきか等について、参加者のみなさまと意見交換ができればさいわいです。
  • 島野 侑加, 柳川 立樹, 矢野 順也, 浅利 美鈴, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: A8-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    国際的に食品廃棄の目標が設定され、日本でも食品ロス削減にむけて取り組みが進められている。そこで消費者が発生抑制行動を実践することによる食品ロス削減の可能性について把握することが重要である。2016年3月に消費者を対象とした食品ロスに関する取り組みについてネットアンケート調査(有効回答数2,312人)をした。28%の回答者が最近1ヶ月に廃棄経験があり、廃棄者の50%が野菜・果物類の廃棄をしていた。発生抑制行動について尋ねたところ、実践していない発生抑制行動の今後の実践可能性は日常的な在庫状況の確認などが高かった。今後の実践可能性の回答選択肢に5段階の重み付けをして平均すると、今後の実践率の向上ポテンシャルは内食保存の際に調理日の記載などが高いことが明らかとなった。さまざまな発生抑制行動についてどのように発生抑制効果を高めるか検討し、消費者が意識して実践できる環境づくりが必要である。
  • 山川 肇, 澤田 和郊, 城 洋介, 小泉 春洋, 齋藤 友宣, 岡山 朋子, 渡辺 浩平
    セッションID: A8-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    直接廃棄/手つかず食品の定義・分類について検討した。その結果、1)いくつかのやや異なる定義があり微妙な差があること、2)分類する際に必要と考えられる基準が必ずしも明記されていないこと、などが明らかとなった。また自家栽培野菜等の区別の必要性を指摘した。その上で、京都府精華町における食品ロスのごみ組成調査に基づいて手つかず食品における①全量残存と②50%~全量残存の比率を比較し、①全量残存が14%~23.5%、②50%~全量残存が5%前後となったこと、農村地区において自家栽培野菜等の比率は、自家栽培野菜等を含まない厨芥類に対して夏季2割弱、冬季1割強となり、無視できない可能性があることを示した。
  • 岡山 朋子, 澤橋 俊充
    セッションID: A8-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究では、食品ロスが発生する現場として学生食堂(以下、学食)に着目し、大正大学の学食の食品ロスについて発生量など実態を把握した上で、食品ロス削減につながる方法を検討し、それを「食品ロス削減キャンペーン」として実施し、食品ロス削減効果を検証した。

    利用者による食べ残し、特に野菜、ご飯、そしてラーメンなどのトッピングの食べ残しを減らすことを目的に、キャンペーンを企画した。具体的には、全体としては声かけとPOP、ポスターで啓発し、個別にはドレシングの種類を増やし、ご飯は「小盛り」と「無し」、トッピングも「無し」の食券を配布して注文時に利用してもらった。このキャンペーンの結果、1人当たりの食べ残し量は、通常時は平均4.8gであったが、キャンペーン中は平均2.1gであり、半減以上の削減効果が認められた。
  • 福岡 雅子
    セッションID: A8-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    個人業主による飲食店は、多くの直営店や加盟店で構成される外食チェーン店と異なり、店主や少数の料理人の裁量で食品廃棄物や食品ロスが管理されていると考えられる。

    そこで、個人業主が経営し地域住民を顧客にする飲食店における食品廃棄物や食品ロスの実態を把握するために、筆者の所属大学が立地する大阪市旭区内の飲食店の協力を得て、排出されたごみの組成調査及び販売量のモニター調査を実施した。近隣住民の日常的な買い物や飲食に利用される地元密着型の店舗が主体となった商店街に立地する飲食店7店舗を対象に調査をした結果、当該店舗では食品ロスの発生が抑制されていることが実測できた。
A9 国際循環・海外調査
  • 佐々木 創
    セッションID: A9-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本報告ではタイにおける中国廃棄物原料輸入規制の影響を貿易統計にて整理し、貿易特化係数が変動している廃プラやアルミくずは、タイ国内のリサイクル産業の内需とは別の国際的な要因に影響を受けており、特に2018年に入り中国への輸出が困難になった廃プラの輸入量の変化を確認した。相次ぐ密輸や不適正輸入に対して、所管官庁では港湾におけるコンテナの開封検査やリサイクル工場の査察が実施している。今後の対策として、短期的にはX線検査場における全量検査、長期的にはE-wasteや廃プラの全面輸入禁止などが検討されている。しかし、全面輸入禁止は、現在、適正に廃プラやE-wasteの輸入許可を取得しリサイクルしている企業の事業機会を奪うこととなる。適正な国際資源循環を制御するだけなく、これと並行し適正なタイ国内のリサイクル市場の創出する政策が合わせて必要と考えられる。
  • 寺園 淳, 小口 正弘, 佐野 翔一, 不破 敦
    セッションID: A9-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    有害性や資源性を有する廃棄物の越境移動に関して、国際的にバーゼル条約や各国の関連法で規制がなされてきた。近年は電気電子機器廃棄物の越境移動防止の取組みに関心が集まっていたことに加えて、循環資源の輸入大国であった中国において2017年以降に輸入規制の強化が相次いで発表されたことで世界に大きな影響を与えている。一方、国内においては、2017年における廃棄物処理法及びバーゼル法の改正によって、鉛バッテリーや雑品スクラップなどの不適正な輸出の防止ととともに、電子部品スクラップなどの循環資源の輸入手続き緩和が行われることになった。本事例研究では、鉛バッテリーを含む電池スクラップ、及び電子部品スクラップを事例として、国内や海外の現状を理解する基礎データを得るとともに、トレーサビリティの確保を含む国内対策の効果や課題を把握することを目的として、越境移動量の把握方法や管理のあり方を検討する。
  • 小寺 正明
    セッションID: A9-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    上海では、ビデオを使い模範的なごみの分別指導方法をボランティアリーダーに示すとともに、ボランティアが朝晩ごみ箱の横に立って、ごみ分別を指導している。更に、毎朝ごみを分別した人にはスマートフォンを使ってポイントを付与し、ソックスなどのものと交換することができる。4年ぐらい指導を続けないと、ごみ分別が定着しない。

     これに対し、東京の区部では、ごみ分別表やごみ分別ハンドブックを作って、全戸配布し、区役所職員によるごみ分別の説明会を各地区で行い、指導している。このような指導で、住民はおおむねごみ分別をしている。

    上海市政府では、地元の大学とNGOに、上海と東京のごみ分別指導について、比較検討することを依頼している。

     しかし、上海と東京では住民の性格や習慣に大きな違いがあるため、東京の区部のごみ分別指導をそのまま上海で採用しても、役に立つとは考えにくい。上海市は中国国内の成功事例を参考にすべきだと考える。
  • 吉田 充夫
    セッションID: A9-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    開発途上国における廃棄物管理事業の組織および制度・社会システムのレベルのキャパシティを評価するため4つの段階評価指標を設定した。この指標をアフリカの開発途上国に適用した結果、組織、財政、廃棄物管理データ集約状況は全て経済開発の進展と正の相関を示し、経済開発支援と不可分の連携のもとで取り組む必要があることを示唆するのに対し、法制度・政策の整備状況は経済開発に余り影響されないことが明らかとなった。このことは、廃棄物管理を実行していくための法制度面での整備には、独自の協力・支援の取り組みを要することを示唆している。
  • 董 雪晨, 胡 毓瑜, 三好 恵真子
    セッションID: A9-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、中国の家電廃棄物回収システムにおけるインフォーマルセクターがどのように回収ネットワークを形成してきたか、さらにどの意義を持っているかを調査・分析した。また、インフォーマルセクターがまだ主流である地方都市に着目し、鶴崗市で現地調査を行った。その結果、インフォーマルセクターは引取りサービスの柔軟性というメリットを有し、特に中国の社会的、文化的背景の中で、近隣関係などを通じた排出者との確たる人脈構築も見られた。さらに、アンケート調査結果から、個人回収者による回収が多く占めているという現状を明らかにした。よって、インフォーマルセクターは特に地方都市において効率的な回収、中古家電のリユースへの貢献という点を一定程度評価すべきであると考えられる。今後地方都市では制度実効に限界があるため、インフォーマルセクターの能力を生かすことはむしろ現実的なアプローチであると示唆された。
  • 土村 萌, 浅利 美鈴, 築地 淳, 酒井 伸一, ホール ビッキー
    セッションID: A9-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    大洋州島嶼国では、都市での人口増加やライフスタイルの変化によりごみの多様化・大量化が深刻な問題となっている。特にプラスチックごみは海洋に投棄されると、サンゴ礁やマングローブ、漁業、海洋生物などの自然環境に影響を与える可能性がある。そこで、本研究ではサモアの家庭を対象にプラスチック製容器包装の消費と廃棄に関するアンケート調査を行うことによって、サモアにおける家庭の不適正管理プラスチック製容器包装排出量を推定した。その結果、不適正管理排出量は年間約670トンと推定され、特に屋外使用やポイ捨てが比較的高い割合でされるPETボトルやお菓子の袋、レジ袋には注意が必要であるということが分かった。また、不適正管理プラスチックごみ排出量は、都市よりも農漁村のほうが一人当たり年間で約1.3 kg大きいことが分かり、ごみ回収が十分でない農漁村でのプラスチックごみ適正管理も重要であることが示唆された。
  • 小谷 倫加恵, 清野 昭則, 石井 明男, ゴサイ アマダド, ディセルモ セビット, ガマルディン モガ
    セッションID: A9-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    2012年以降、南スーダン共和国の首都ジュバ市で実施された廃棄物管理プロジェクトの実践例から、被援助国のオーナーシップ醸成プロセスを検証した。

     特徴的な3つの活動は、①隣国スーダンへのスタディツアーを通じた相互交流と研鑽、②我が国の経験から学ぶ変革期の廃棄物管理のあり方に関する講義、③ジュバ市廃棄物管理の将来像を探るためのパイロット事業の実践、である。

     これらの活動から、ジュバ市清掃関係者が①廃棄物管理の理想のあり方を知り、②自国の現状とのギャップ(課題)を客観的に認識できるようになり、③組織化や相互に学び合う仲間の存在によって議論や実践が促され、④清掃行政の意義や目的に深く共感したところで、⑤実現可能な改善策が提示されたことにより、⑥自らが主体的に問題を解決していく自覚が生まれ、⑦具体的なアクションや成果につながった、と観察された。
A10 ごみ文化・歴史
  • 山崎 達雄
    セッションID: A10-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    明治33年に公布された「汚物掃除法」は、土地の所有者等や市に、汚物の掃除、清潔の保持を義務付けました。しかし、、汚物を掃除し、処分すれば足りるという考え方で、屎尿の処理実態についていえば、近世社会と大きく変わりはありませんでした。
    これに対して、「汚物掃除法」を改正して、昭和29年に制定された「清掃法」は、「汚物を衛生的に処理し」、「生活環境を清潔」にすることにより、「公衆衛生の向上を図ること」を目的(第1条)とし、市町村に①清掃思想の普及、②職員の資質の向上、③施設の整備と作業方法の改善を図り、④清掃事業の効率的な運営を求めるもので(第2条)、はじめて汚物を科学的に処理する立場に立脚したものです。
    京都市は、法の施行にあわせて「清掃条例」を制定していますが、注目すべきことは、京都大学等にごみの堆肥化等の研究を委託していることです。「清掃法」施行当時の京都のごみ処理状況も含めて報告したい。
  • 星野 高徳
    セッションID: A10-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    本研究の課題は、屎尿処理を改善する際に重要な論点になった肥料問題と衛生問題に注目し、行政や公衆衛生の研究者が、肥料の確保を重視する農村と衛生面の改善を重視する都市の双方にいかに配慮したのかを検討することにより、戦後日本における屎尿処理の特徴を明らかにすることである。
    戦後になると、大都市を中心に下水道の建設が推進されることになったが、人口に対する普及率は低く、都市の屎尿処理は依然として農村還元処分や海洋投棄に依存せざるを得なかった。公共下水道の整備には多額の費用を要することから、戦後の日本では、農村部で厚生省式改良便所と糞尿分離式改良便所を使用した農村還元処分の継続が模索され、都市部では浄化槽による下水処理化が目指された。しかし、いずれも財政面、衛生面の限界を抱えていたことから、急速には普及せず、海洋投棄などの非衛生的な処理が残存することになったのである。
  • 稲村 光郎
    セッションID: A10-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    汚物掃除法は「業態上多量の汚物」を市の処理義務外にできる規定(1935)を設け、また市の法解釈による不燃物排除も慣習化していた。また東京都は戦争直後に日排出量10㎏以上の排出者には自己処理を規定した。その一方、京都市の事例でみると戦前でも事業系廃棄物が収集量の30~40%を占めていた。清掃法(1954)は、大量汚物と特殊汚物を市の処理責務から外すことが出来ると規定しながら、その基本的な責務は市にあるとした。しかし、実際の市町村に大量、特殊汚物を処理する余裕はなく、1967年に潜在していた多量の産業廃棄物が「発見」されると、一転して排出者責任が主張された。これを受けた新法は旧法との継続性等が重視され、排出者責任の原則にもかかわらず産業廃棄物の仕分けはその出自だけに拠るのでなく、清掃法でいう大量、特殊の内容を具体化し組み合わせ、旧来の枠組みと併存させた。
  • 溝入 茂
    セッションID: A10-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    新聞社説を素材に戦後のごみ処理の流れを見た。全国紙4紙の1949年以降の社説合計16万件のうち廃棄物に関するものは400件余あった。政治、外交の社説が多い中でこれが多いか少ないかは判断できないが、社説の掲載傾向はごみ関連記事の出現数とほぼ一致していた。新聞社ごとの論調の違いは一部を除いてほぼなく、その均一さが逆にごみ問題のむつかしさを反映しているといえる。
  • 長岡 耕平, 小谷 倫加恵, 石井 明男
    セッションID: A10-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    明治から昭和30年にかけて、我が国では衛生水準の向上に重点を置いた施策や施設整備が実施された。し尿処理においては昭和初期に綾瀬作業所が建設されているが、綾瀬作業所の建設された背景、設備構成について確認を行い、し尿処理技術の発展における綾瀬作業所の位置づけ及びその後の展開を確認した。
  • 中川 和郎
    セッションID: A10-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    八王子市は、人口約56万人で東京都下の多摩地域で最大の自治体である。1917年(大正6年)に市制施行され、2017年(平成29年)に100年を迎えた。また、2015年(平成27年)4月に東京都下で初の中核市となった。その中で、八王子市は、明治期から第二次世界大戦前までの織物業を中心にした産業発展期、戦後からは東京のベッドタウン化による人口急増期で、廃棄物の排出量が急増し、廃棄物を適性に処理していくために、中間処理施設及び最終処分場の確保に追われていた。そして、様々な方法で知恵を出しながらも先進的な廃棄物政策を打ち出してきた。そこで、本稿では、明治期からバブル期までの八王子市の清掃事業の変遷について取り上げ、その時代で繰り広げられた清掃事業について発表していきたい。
A11 災害廃棄物処理計画(1)
  • 近藤 義大, 中川 隆司
    セッションID: A11-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    三重県では、今後30年以内の南海トラフ地震発生の緊迫性が高まっており、災害廃棄物処理を含む減災に向けた取組は喫緊の課題である。そこで、災害廃棄物処理に精通した「スペシャリスト人材」を育成するための研修事業や、災害廃棄物処理に関する各種応援協定締結団体との情報交換・図上演習、市町災害廃棄物処理計画策定支援を通して、平時の備えを進めている。スペシャリスト人材育成講座は平成30年度で3年目となり、これまでに育成した人材は、地域の指導的な立場で実際の災害廃棄物対応にあたっている。今後は、これまでの受講者に研修の成果や実際に経験した災害対応を伝える場を設けることで、これまでの受講者の能力の向上や、受講者同士の人的ネットワークの構築を図り、県計画の実効性の向上を目指していく。
  • 平山 修久, 永田 尚人, 上村 俊一, 河田 惠昭
    セッションID: A11-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、災害廃棄物処理業務に係るリソースに着目し、災害廃棄物処理期間と総合建設業者の災害対応リソースとの関係を明らかにし、南海トラフ巨大地震での災害廃棄物処理期間が最悪ケースで約20年となることを示した。そのうえで、南海トラフ巨大地震の国難を克服するためには、災害廃棄物処理計画策定などの対策のみでは不十分であり、徹底的な災害廃棄物の減量を進めることが必要不可欠であることを示し得た。
  • 多島 良, 大迫 政浩
    セッションID: A11-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、自治体担当職員が自らの組織の災害レジリエンスを評価するためのWeb評価ツールとして「廃棄物処理システム災害レジリエンス評価ツール」(以下、評価ツール)を研修の中で試行し、Learning(学習)やBehavior(行動変容)への観点からその効果を明らかにすることを目的とした。三重県が平成30年度に実施した「災害廃棄物スペシャリスト人材育成講座」の1コマにおいて、評価ツールを活用した自己評価とその内容をふまえた行動計画を作成する研修を実施し、その中で得たアンケート調査結果や観察結果から効果を分析した。その結果、評価ツールを活用した研修には、学習効果と行動変容の効果があり、その際、個人で使用するだけでなく、研修という形で複数人で評価を完成させること効果を高める可能性が示唆された。
  • 石川 湧裕, 水谷 一平, 立尾 浩一, 橋本 征二
    セッションID: A11-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    2011年3月に発生した東日本大震災においては、膨大な災害廃棄物の問題が浮き彫りとなったが、近年発生すると予想されている南海トラフ巨大地震の災害廃棄物量は、最大で東日本大震災の約11倍と推計されている。災害廃棄物の迅速な処理に必要不可欠なのが、災害廃棄物を一時的に保管する仮置場の確保である。本研究では、南海トラフ巨大地震によって災害廃棄物が発生すると想定され、現状の処理能力ではその処理に1年以上を要する府県を対象に利用可能面積の推計を行った。その結果、各府県それぞれ大小はあるが、全体的に都市公園と耕作放棄地の利用可能面積が大きく推計された。なお、本推計結果はポテンシャル量であり、実際の利用可能性については個別具体的に検討していく必要がある。
  • 太田 智大, 平山 修久, 亀田 一平
    セッションID: A11-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    災害廃棄物処理計画における重要項目の一つに仮置場用地の確保があり、仮置場用地確保の事前検討として、必要仮置場面積を算定する必要がある。現在、算定手法は、災害廃棄物対策指針での手法が用いられることが多いが、当該手法は、仮置場への搬入、仮置場からの搬出など災害廃棄物の収集運搬について考慮がなされておらず、また、仮置場に係る先行研究においても、仮置場のマネジメントに関する検討等はほとんどなされていない。このため本研究では、南海トラフ巨大地震におけるH市を対象とし、仮置場確保と災害廃棄物の収集運搬を統合的に検討するツールとして、仮置場の確保面積、収集運搬効率を考慮した災害廃棄物処理フローモデルを構築し、仮置場の確保面積、収集運搬効率および処理期間における関係性を評価した。その結果、災害廃棄物処理において、仮置場の確保のみならず、収集運搬の確保、処理・再生利用などの出口の確保が重要であると指摘した。
  • 森 朋子, 多島 良, 浅利 美鈴
    セッションID: A11-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、災害廃棄物対策に向けた学会の支援体制を構築する第一歩として、専門家に期待される災害廃棄物対策への支援の全体像を整理するとともに、この整理を基にした学会員へのアンケート調査を通して、学会による効果的な支援のあり方について検討することを目的とした。専門家による支援項目整理の結果、平時は①国・自治体による事前対策への支援と②支援者の育成・レベルアップのための活動、災害時は③国・自治体による災害廃棄物処理の支援と④現場支援者への後方支援の4つの支援内容に分けることができた。また学会員へのアンケート調査の結果、災害時の現地での支援については、学会員に対して知見共有や情報提供等のサポートがあれば支援可能となる項目が多く見られたほか、現地で支援する学会員を通して、学会の有する幅広い専門的な知見を被災地に提供するバックアップシステムの必要性が示唆された。
A12 災害廃棄物処理計画(2)
  • 亀田 一平, 平山 修久
    セッションID: A12-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    著者らはこれまでに、災害廃棄物対策の強化は自治体職員における当事者意識が重要であると仮定し、自治体職員を対象としたアンケート調査により、自治体職員における災害廃棄物対策への当事者意識に係る7つの潜在的因子 (「災害対応業務に係る効力感因子」、「処理計画の策定 (改定)に係る関心因子」、「市民の安全・安心に係る当事者意識因子」、「生活環境保全に係る知識因子」、「地域コミュニティへの参加因子」、「日頃のごみの分別因子」および「職場の地域特性因子」)を抽出した。そこで本稿では、因子間の相関を明らかにすることを目的に、7つの潜在的因子についての要因分析を行った。その結果、「市民の安全・安心に係る当事者意識因子」からみると、「処理計画の策定 (改定)に係る関心因子」あるいは「職場の地域特性因子」の因子得点が高い自治体職員は、「市民の安全・安心に係る当事者意識因子」の因子得点が高くなる傾向にあるといえた。
  • 舟山 重則, 石坂 広徳, 入野 智樹, 水野 芳男
    セッションID: A12-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    熊本地震では、多くの家屋が全壊又は一部損壊により解体を余儀なくされたことから、解体に伴う大量の災害廃棄物が発生した。この災害廃棄物を処理するため、熊本県は二次仮置場を設け、県内7市町村(益城町、西原村、南阿蘇村、嘉島町、御船町、甲佐町、宇土市)から発生した木くず、混合廃棄物、廃瓦、コンクリートガラ等の災害廃棄物の一部を受け入れた。筆者らはこの二次仮置場における災害廃棄物処理の運営管理に関与し多くの課題に直面したが、本報では二次仮置場に持ち込まれた災害廃棄物の処理量の管理について報告する。
  • 浅利 美鈴, 奥田 哲士, 切川 卓也, 酒井 伸一
    セッションID: A12-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    被災した住民の方々(災害廃棄物を出したことのある人)を対象に、発災後の災害廃棄物に関する行動や評価の実態を把握するアンケート調査を実施した。結果、精神的なダメージを受けながらも、提示された分別に従おうとするスタンスが伺えた。他方、分別方法の提示はうまくいっているとは言えず、誤解も多い可能性が高いことがわかった。災害時の分別等に関する情報入手においては、コミュニティ(自治会や隣人付き合い)が重要であり、今後、平時のコミュニティ維持・再生も大変重要な側面となると考えられた。
  • 花木 陽人, 西村 良平, 吉岡 由郎, 大山 将, 角矢 佳浩, 南京 秀己
    セッションID: A12-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    平成28年熊本地震により、熊本市内で発生する被災家屋解体廃棄物(以下、解体廃棄物)を含む災害廃棄物総量は平成29年3月時点で約148万tと推計された。これらの解体廃棄物は、解体現場から市内6ヶ所の仮置場へと搬入し、適切な中間処理工程を経て、熊本県内を始めとした全国の最終処分施設もしくはリサイクル施設へ搬出された。鴻池組を含む連合体は市内6ヶ所の仮置場を管理・運営するにあたり、仮置場周辺の環境対策に配慮を行いつつ、解体廃棄物を適正かつ、円滑・迅速にリサイクルするための処理体系を確立し、平成30年5月末時点で処理予定数量83万tに対して約97.5万tの処理を終了した。処理量のうちリサイクルされたものは約73.7万tであり、リサイクル率は約75.6%となった。
  • 水谷 聡, 貫上 佳則
    セッションID: A12-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    震災時に事業所からの化学物質の漏洩による事故や環境汚染が懸念され,災害計画を立てる上でも,化学物質の漏洩の可能性を予測することが必要である。事業所が使用している化学物質の種類と量については,PRTR法によりある程度の情報が公開されているが,そこで公開されているのは,購入量や排出量,移動量のみであり,震災時に重要となる事業所内での保管量については不明である。本研究では,大阪府の化学物質管理制度で化学物質の取扱量が把握されていることに着目し,PRTR制度での排出移動量と事業所の取扱量との関係を調べることで,化学物質の保管量を推定する方法について検討した。両者の比は,業種や化学物質によってさまざまな値を示し,中には1000倍を超えるようなケースも見られた。
  • 水原 詞治, 奥田 哲士, 片岡 蘭人, 矢野 順也, 平井 康宏, 浅利 美鈴
    セッションID: A12-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、激甚災害が頻発しており、災害時に、危険性・有害性の高い物品が不適切に排出されると、二次災害等の発生するリスクが高くなるが、被災者は災害により心身ともに余裕が無いため、有害物や危険物の分別が日常に比べて不適切になる可能性がある。余裕のあるボランティアを活用することで、災害廃棄物の適正廃棄が可能になると考えられる。そこで本研究では、災害廃棄物の適正廃棄に関わるボランティア活動の効果を検証する基礎的知見として、災害廃棄物の排出に関するボランティア活動の内容を調査した。その結果、ボランティア活動について、情報の入手は可能であるが、得られた情報から誤った認識をしている可能性がみられ、内容や伝達方法の精度を高めることがボランティアの適切な活用に大きく影響してくると考えられた。
  • 山田 正人, 落合 知, 古田 秀雄, 五十嵐 知宏
    セッションID: A12-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    常時の一般廃棄物や産業廃棄物、また災害廃棄物の処理において、混合状態の廃棄物から後段の処理・処分に不適なものを取り除いたり、再生利用できるものを回収するために、選別という工程が用いられる。機械を用いた選別に加えて、精度を向上させるために、人の手による選別は依然として多用されている。しかし、手選別は現場経験的な技術であり、所要の混合廃棄物の性状や量に対して、目的とする回収量と品質を得るために必要な人数や時間、展開場の広さや明るさ、ベルトコンベヤの色やスピードなどの仕様は明らかではない。

    本研究では、選別速度と選別精度の低下に影響する因子について実験的に検討した。

    選別対象物の混合比率の多さが選別対象物の選別速度と選別精度に影響すること、また、選別対象物の明度差は選別速度には影響しないが、選別精度に影響することが明らかになった。
B1 自動車・電池の資源化
  • 阿部 新
    セッションID: B1-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    日本では抹消登録台数の20%から25%が中古車として輸出されていると言われるが、それは乗用車、貨物車、バスの合計数であり、車種別や排気量別など細分化されたものについては知られていない。関連産業にとって車種別に捉えることは重要であるが、2つの中古車輸出関連統計(貿易統計、輸出抹消登録台数)があり、どちらの統計を用いるべきかという課題がある。このような背景の下、本研究では乗用車、貨物車について小型車、普通車に車種を細分化し、中古車輸出関連統計の比較を行う。比較の結果、乗用車については、小型車は貿易統計のほうが大きく、普通車は輸出抹消登録台数のほうが大きいことがわかった。また、貨物車については乗用車と全く逆の結果となった。これらを受け、道路運送車両法の規定から、車種別に抹消登録台数における中古車輸出台数の割合を示す場合は、輸出抹消登録台数を用いることが望ましいことなどが示された。
  • 木村 眞実, 名波 和幸
    セッションID: B1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,廃車由来の樹脂をマテリアルとして再資源化を行う工程において,とりわけ異物除去を対象として検討すべき課題を明らかにし,課題解決に向けた継続的な活動方法とその効果を,リサーチサイトにおける実証事業から明らかにする.
  • 竹本 智典, 花田 隆, 岡村 聰一郎, 石田 泰之
    セッションID: B1-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    自動車シュレッダーダスト中の金、銀、銅などの有用金属は、樹脂や繊維と複雑に絡み合っており、現状の選別処理では、分離回収できず、未利用となっている。
    この課題解決のため、また樹脂等の石炭代替燃料化を省エネルギーで実現するため、低温加熱脆化技術の適用を検討した。また、加熱後の脆化物から、効率的に有用金属を回収するため、実機規模の装置を用いて破砕・選別技術を検討した。
    その結果、残存熱量が多く、易粉砕性が良好な加熱脆化技術、粒度調整能力や金属に対する堅牢性を有した破砕技術、有用金属を高効率で回収できる選別技術であることを確認した。
  • 中村 充志, 竹本 智典, 石田 泰之, 花田 隆, 境 健一郎
    セッションID: B1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    今後、使用済車載リチウムイオン電池(以下、LIB)が大量に発生することが予想されており、リサイクル技術の開発が求められている。LIBを安全に処理することができ、レアメタルやベースメタルなどの金属資源を効率的に回収して、資源循環できるリサイクルシステムを開発してきた。本リサイクルシステムは、焙焼技術を活用する点が特徴であり、焙焼炉をセメント製造設備に隣接させることによって、焙焼時に発生する排ガスのセメント製造設備での低コスト無害化処理、セメント製造設備の排熱の利用が可能になる。また、金属を酸化・溶融しないように焙焼温度を制御することで、金属資源を高効率に回収できる。金属資源回収後の残渣は、セメント工場の原燃料としてリサイクルすることで,LIBの100%リサイクルが可能となる。本報告ではセメント製造設備に、実際に隣接させた焙焼炉を用いて実業に近い状況で実証し、資源回収した結果について報告する。
  • 多田 晃久, 武正 圭史, 中島 教夫, 西川 千尋
    セッションID: B1-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    現在において車載用バッテリー用途などへのリチウムイオン二次電池(以下、LIBという)需要が増加する一方で、今後廃棄の増加が予測されており適正処理及び再資源化の体制構築は喫緊の課題である。リチウムをはじめ、コバルト、ニッケル等の有価金属が含まれており再資源化を求められる一方、その取扱いにあたっては発火や感電の恐れもあり注意を要する。

    そこで、我々は既設の廃棄物処理施設を利用しながら人の手を介することなく熱処理を加え、さらに熱処理後物を破砕選別するプロセスを付加することで、安全かつ経済的にLIBを適正処理、資源回収できるプロセスを開発した。資源回収はアルミニウム、鉄、銅、及びコバルトやニッケル、リチウムを含む残渣に分別され、製錬原料等に利用できる品質であることが確認できた。現在は、リチウムなどを電池素材に直接利用できるような資源回収の高度化にも取り組んでいる。
  • 山田 悠人, 葛原 俊介, 工藤 克之
    セッションID: B1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    廃電気・電子機器(WEEE)は鉱石よりも高い資源価値を有するため、リサイクルが積極的に行われている。基板からの金属回収の前処理として加熱処理が行われる。この時、難燃剤由来の臭素および雰囲気の酸素が金属の化学形態に影響を及ぼし、回収率の低下を招く場合もある。また、加熱処理時に有害な有機化合物の発生が懸念されているが、詳細は明らかでない。本研究では、WEEEの加熱処理時における有機化合物の発生挙動の把握および加熱処理時における金属の化学形態について知見を得ることを目的とした。試料であるPCメモリを粒径250 μm以下に粉砕し、20分間のプレスで得られた顆粒試料を加熱試験のサンプルとした。温度・時間・雰囲気ガスをパラメータにして実験を行った。試験後の残渣試料と捕集瓶で回収した発生ガスを分析対象として、残渣試料から金属の形態観察と定量分析、回収したガス中の有機化合物の定性・定量分析を行った。
  • 中澤 亮二
    セッションID: B1-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    我々はこれまで、リン吸着用ガラス発泡体の製造方法の開発と、これを用いたリン吸着による水質浄化と回収リンの肥料での再資源化を組み合わせたリン再循環利用システムを提案してきた。しかしながら、ガラス発泡体のリン吸着機構については不明な点が多く、さらなるリン吸着能の向上のためには、この点を明らかにしておく必要がある。本報告では、ガラス発泡体のリン吸着機構を解明するため、吸着等温線を作成し、その反応様式の解析を行った。その結果、ガラス発泡体のリン吸着反応はLangmuirの吸着等温式に適合したことから、その表面における単分子層吸着であることが示唆された。反応速度モデルについては、粒子内拡散モデルがもっとも適合することが示唆された。以上の結果から、ガラス発泡体のリン吸着機構について議論した。
  • 木村 眞実, 阿部 新
    セッションID: B1-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,ヒアリング調査を主体として,データからは把握できない中古二輪車のフローを明らかにし,中古二輪車関連産業における経営システムの発展段階を,4輪車や他地域と比較検討することで理論化できればと考えている.とりわけ,本稿では,国内における関連産業のうち,二輪車販売店,オークション会場を対象として,日本国内におけるフローを明確にすることを目的とする.以下では,ヒアリング調査からの回答を整理し,そこから得られた知見をまとめていく.
B2 建設廃棄物・副産物の資源化
  • 鴇田 稔, 野口 真一, 中村 吉男, 北辻 政文
    セッションID: B2-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    コンクリート塊はこれまで主に再生砕石にリサイクルされてきたが,大都市圏では再生砕石の滞留が顕在化してきている.一方,良質なコンクリート用骨材も,年々その確保が困難になってきている.このような背景を踏まえて着目されたのが,コンクリート塊を再生骨材としてリサイクルする方法である.長年にわたる技術開発の結果,天然骨材と同等の品質を有する再生骨材を製造する技術が確立されたことを受け,再生骨材に関するJISが制定された.しかし,再生骨材製造過程で副次的に微粉末が発生し,その利用用途が確立されていないため,現状では廃棄物として処分せざるを得ず,再生骨材の利用状況は低迷している.本研究では再生骨材の活用促進を目的として,再資源化率が低迷している建設汚泥等の安定処理材としての微粉末の適用性について検討した.その結果,泥土に一定量以上の微粉末を添加することで第2種処理土に改良できることを確認した.
  • 恩田 紘樹, 牛木 龍二, 鈴木 崇, 杉山 乃祐, 佐藤 和則
    セッションID: B2-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    サイディングには強度補強や軽量化、保水性の向上といった機能性付与を目的に様々な有機物が含まれることから、サイディング廃材の再生利用は難しく、産業廃棄物として処分されているのが現状である。そこで本研究では、窯業系サイディング廃材を空気雰囲気下、530℃で熱処理したところ、有機物が除去されるとともに、セメント水和物(CSH)やCa(OH)2の脱水が進行した。さらに熱処理した窯業系サイディング廃材(熱処理サイディング)に水を添加して硬化したところ、CSHおよびCa(OH)2の脱水が進行した熱処理サイディングほど3点曲げ強度は大きくなった。このことから、熱処理サイディングへの水添加により硬化したのは、脱水されたCSHやCaOが再水和したためと考えられた。
  • 小島 淳一, 中村 吉男, 遠藤 和人, 西川 美穂
    セッションID: B2-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    石膏ボードは,その優れた性能から建築物の内装材として生産使用されているが,その一方で老朽化した建物等の解体工事に伴い発生する廃石膏ボードの排出量は増加の一途をたどっている. 廃石膏ボードは,中間処理を経て再生石膏粉として再資源化されるが,そのリサイクル率は低迷しており更なる再生利用の拡大が喫緊の課題となっている.リサイクル材としての再生石膏粉の要求品質は利用用途に応じて異なり,時勢と受け入れ先の要求にも依存し,焼成処理により製造される再生石膏粉は石膏の形態(半水,無水)に関する品質保証が求められる.本研究は,再生石膏粉の化合水分量と密度を指標とした再生石膏粉の形態評価を提案するものであり,具体的には,X線回折により再生石膏粉の相転移の状態を調べ,再生石膏粉の化合水分量および密度の合成値を理論的に求めて実験値と比較することにより再生石膏粉の形態について議論するものである.
  • 松田 愛礼, 松橋 宏明, 遠藤 和人
    セッションID: B2-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    石膏ボードは、多くの建築物で使用されており、年間生産量が約400 万トン程度となっている。その一方で、解体
    工事や新築工事などから廃棄物となって排出される廃石膏ボードは、約110 万トン程度と推計され、多くの石膏ボ
    ードが、現存の建築物にストックされていると考えられる。
    建築物にストックされている石膏ボードは、近い将来に迎える建築物等の建て替え、修繕等により廃棄物として大
    量に発生することが予測されている。廃石膏ボードのリサイクル推進の検討においては、廃石膏ボードの処理フロ
    ー実態の把握が大前提であるが、環境省が実施した平成21年度推計以降、実施されていない。そこで、最新の処理
    フローの推計をアンケート調査によって実施した。
  • 三上 貴士, 高濱 繁盛
    セッションID: B2-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年,再生骨材等をはじめとするリサイクル製品の主要な利用先である道路工事などの土木工事の減少によりリサイクル製品の需給バランスに乖離が生じていることが指摘されている。特にコンクリート塊等の建設系廃棄物は,戦後の経済成長期に建設された建築物等が老朽化し建替時期を迎え,今後排出量が増加すると見込まれ,リサイクル製品の利用先の確保が資源循環型社会の構築において極めて重要である。本報では,今後のリサイクル製品の利用拡大に向けた検討を行うにあたって,リサイクル製品の需給バランスや地域別での偏在状況の現状を明らかにし,持続可能なリサイクル製品の利用促進に向けた方向性について考察を行った。
  • 小野 瑞世, 伊藤 洋, 山田 百合子
    セッションID: B2-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    汚泥のリサイクルや処分の前処理で乾燥処理が必要である。現在、こうした乾燥処理ではプラント処理(フィルタ ープレス、炉乾燥など)や天日乾燥といった方法が用いられているが、それぞれ高コストや広大な敷地面積が必要で あるなどといった課題が挙げられる。一方で近年、地球温暖化抑制のための CO2 削減や化石燃料の消費を抑制するた め、自然エネルギーの活用が急務となっている。 本研究では、汚泥乾燥のプロセスにおいて省エネルギー化を図るため、太陽熱を最大限に活用して汚泥の乾燥を促 進するシステムを提案し、基礎的な実験を行い、本システムの乾燥過程について検討を行った。
  • 三浦 真一, 遠藤 和人
    セッションID: B2-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らはこれまでの研究において、廃石膏ボードと接触する浸透水を高アルカリ性にすることによって硫化水素ガスの発生を抑制することを試みた。しかし、廃石膏ボード単体埋立てを対象とする場合、初期pHがアルカリ性であっても、通水や微生物反応、炭酸化等の影響によってpHが低下する可能性が観察された。本検討では、廃石膏ボードに含まれる有機物(デンプン)のpHを上昇させてアルカリ化し、その後pHを低下させた場合、どのようなメカニズムで硫化水素ガス発生に影響があるかを調査した。
    結果、デンプン溶液をNaOHでアルカリ処理した場合には硫化水素ガスの発生が抑制され、中和してもその抑制能力は維持されていた。一方で、再生石膏粉の抽出液をアルカリ化して、再び中和しても硫化水素ガスが発生した。この原因は、廃石膏ボードの中には多種のデンプンおよび糖類が含まれ、糖塩基性反応の影響がないもがあると推定される。
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