廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の310件中201~250を表示しています
D1 最終処分場の構造・設計
  • 柴田 健司, 日笠山 徹巳, 杉江 茂彦, 鈴木 和明, 松尾 晃治
    セッションID: D1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    汚染した地下水が、敷地内から周辺地盤に拡散するのを防止するために、敷地周辺に鉛直遮水壁を設置する対策がある。本報告は、汚染地下水の敷地外流出を防止するために、効果的な鉛直遮水壁の設置位置に加え、不連続位置からの地下水流出や敷地内地下水位上昇を防止するための揚水井戸による対策を併せて、解析的に検討したものである。土壌汚染対策法では、汚染の除去等の措置の一つとして揚水施設による地下水汚染の拡大の防止があり、調査・措置ガイドラインにおいて揚水井戸と遮水壁を併用する場合の考え方が示されている。本検討は、この考え方を現場に適用する際、揚水井戸や鉛直遮水壁の効率的な配置に関する資料となりうるものである。
  • 為田 一雄, 樋口 壯太郎, 李 桐
    セッションID: D1-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    最終処分場の浸出水処理施設の計画設計において設計条件として検討されてきた項目としては、浸出水処理施設規模と浸出水原水水質設定のみであった。浸出水処理施設規模の検討は、これまで過去15年程度の気象データのみを使用した出し入れ計算によるものである。更に、浸出水原水水質の設定は科学的根拠に欠けており、特にCl-濃度の設定は他都市の先例に基づき設定しているのが実情である。これまで、従来の浸出水処理施設規模算定手法に、埋立形状、埋立順序等によって計画原水水質設定が可能な埋立セルモデルを併用し、最適な浸出水処理施設規模及びCl-計画原水水質の設定を行うことができた。今回は、埋立セルモデルにおいて埋立形状及び埋立順序を数ケース設定し、Cl-ピーク濃度に与える影響を確認した。その結果、薄層埋立、或いは積増し段数の低減、希釈領域の確保によりCl-ピーク濃度の低減化が可能であることが確認できた。
  • 汐見 不二雄, 和泉 裕一, 谷口 貞広, 島岡 隆行, 真鍋 毅, 白鳥 隆明
    セッションID: D1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    松山市は、民間の不適正な管理型最終処分場において、行政代執行により支障除去対策工事を実施している。当該工事は、埋立地を囲い込むように鉛直遮水壁を設置したうえで、上面にキャッピングを行い、埋立地内に浸透する雨量を抑制しながら、鉛直遮水壁内に廃棄物を封じ込める計画である。当初、このキャッピングは土質材料を使用することとしていたが、工事期間中、埋立地を覆っていた仮設の遮水シートに穴をあけて、土質材の代わりに活用することとしたので、その事例を紹介する。
  • 山崎 智弘, 角田 紘子
    セッションID: D1-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    アスファルトマスチックは、管理型海面最終処分場の遮水護岸に用いられる変形追随性遮水材である。その圧縮強度は「配合」とともに「温度」「偏荷重」「ひずみ速度」の影響を受ける。季節ごとに繰り返し変化する環境温度により強度低下した同材量の、その変位量と強度の関係を考察するために、三軸試験装置を用いた繰り返し三軸実験を実施した。供試体にひずみ5%ごと3回に分けて変位したところ、中断時には一旦強度低下するものの、再載荷後にすぐに強度が復元した。また載荷面を広くすると強度低下し、また砂量が少ない配合では側圧上昇により強度増加する結果が得られた。またX線によるCTスキャンによりアスファルトマスチック内部の粒子分布を可視化した。これらの結果は、護岸断面にアスファルトマスチックを用いる際の配合や強度設定など設計上配慮しなければならない事項であることを提起した。
  • 柳瀬 龍二, 松藤 康司, 津城 真司, 高木 洋
    セッションID: D1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    残渣物主体の埋立地の早期安定化の遅延を解決するため、埋立地をより好気的環境下で、浸出水の早期排除と廃棄物の分解促進による埋立地の安定化手法として、新しい埋立手法「好気性領域拡大型準好気性埋立構造」を提案し、基本的考え方とその効果を検証のため、埋立地内に大型埋立実験槽を設置し、埋立廃棄物が焼却残渣単独の場合と残渣物主体の場合を想定し、従来型の準好気性埋立構造に対する提案型の埋立構造の効果を比較検討した結果について報告する。270日間に亘る埋立実験結果から、従来型よりも提案型の埋立構造の方が有機物の分解が促進され、同時に埋立地内部がより好気的環境になっていることが想定された。
D2 埋立ガス・浸出水
  • 武下 俊宏, 村田 真理
    セッションID: D2-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    廃石膏ボードの硫化水素抑制方法として精製塩や廃棄物由来の副生塩の利用を検討した。精製塩として試薬(特級)のCaCl2、KCl、NaClを、副生塩として廃棄物由来の未利用塩を準備し、これらを純水に溶解させて濃度調製(w/w%)した塩水を、廃石膏ボードから回収された石膏粉に添加して硫酸還元菌の嫌気培養を行い、塩濃度と発生する硫化水素濃度の関係を調査した。実験の結果、CaCl2では4%以上、KClでは6%以上、NaClでは7%以上、副生塩では5%以上の塩濃度で硫化水素の発生が完全に抑制されることを確認した。さらに、CO2の発生状況や培養液のTOC変化から、硫化水素の発生が完全に抑制される塩濃度においても有機物の微生物分解が進行している可能性が示された。特にCaCl2はカビの増殖を促進することが確認された。元々塩濃度が高い被覆型処分場や海面埋立処分場の硫化水素対策に活用できる可能性が考えられた。
  • 厳 厚亮, 劉 佳星, 石橋 稔, 野口 紳一, 森薗 孝介, 呂 航, 徐 子洋, 樋口 壯太郎
    セッションID: D2-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    廃石膏ボードの埋立は硫化水素ガスの発生原因となることや浸出水中に高濃度の硫酸イオンやカルシウムイオンが溶出するため、浸出水処理に膜処理を採用している場合には処理阻害要因となる。さらに廃石膏ボードに付着した紙の分解を行い、埋立層の安定化方法等が課題となっている。このため廃石膏ボードの適正埋立管理方法の開発が求められている。今回、硫化水素ガスの発生抑制と廃石膏ボードからの硫酸イオン等の浸出特性の把握による浸出水管理および廃石膏ボードの早期安定化を目的に実証実験を行った。その結果、埋立処分された廃石膏ボードからの硫酸イオン等の浸出特性を把握することができ、また、埋立層内に空気を注入することにより有機物分解が促進されることが明らかとなった。更に、廃石膏ボードと飛灰の混合埋立により、硫化水素ガスの発生抑制効果が確認できたので報告する。
  • 鈴木 和将, Huynh Quang Huy Viet, 宇田 智紀, 水藤 寛
    セッションID: D2-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    近年、計算機の高速化・大容量化によって発展した数値流体力学は、測定や理論解析が困難な複雑な流れ現象の理解やモデル化に貢献している。廃棄物の分野においても、埋立地からの浸出水やガス量を予測し制御することは、埋立地の設計・管理における最重要課題の一つであり、これら流れ現象の解明やモデル化にとって数値シミュレーション又は数値計算は有用なツールとなる。我々はこれまで、廃棄物最終処分場内部の水やガスの流れ問題の高品質な計算スキームの開発を目的として、数値流体解析による検討を行ってきた。本研究では、さらに流体力学特性として新たに壁面せん断応力等を追加し、流れの力学的性質と流動挙動を調べ、間隙構造と流れの関係解明を試みる。
  • 伊藤 智祥, 大西 昭寿, 樋口 壯太郎
    セッションID: D2-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    松山市は,運営する一般廃棄物最終処分場「横谷埋立センター」の浸出水処理工程で発生する副生塩から消毒剤となるエコ次亜を生成し,下水処理場で従来の市販消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムの代替品として有効利用する,日本初の塩類リサイクルシステム「松山方式」を構築した。エコ次亜は,浸出水処理工程で発生する副生塩から生成することから,下水処理場で消毒剤として使用するに際し,品質の確保が求められる。本演題では,エコ次亜の品質を確保するために,一定濃度範囲の塩化物イオンやカルシウムイオンなどの浸出水を取水している取り組みを紹介する。
  • 瀬戸口 正海, 古閑 貴浩, 大田 政史, 牛木 裕, 小澤 実, 浦津 栄一, 末吉 大吉
    セッションID: D2-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    平成28年4月に発生した熊本地震では、県内各地で甚大な被害が生じた。発災後、熊本県災害廃棄物処理実行計画にて、2年以内の災害廃棄物処理の終了を目標に進められ、平成30年3月末にほぼ終了した。
    平成27年10月に竣工した熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場(エコアくまもと)は、発災2週間後から災害廃棄物の受入れを開始し、平成30年3月末までにほぼ終えることができた。今回、受入廃棄物の種類の変化に合わせて、早期安定化の視点で埋立方法や埋立場所を適宜検討したり、廃棄物を有効利用したりすることで、浸出水水質の悪化や有害ガスの発生を防止でき、低コストで埋立地内の廃棄物中の有機物の分解を促進する環境を構築できた。
    第1報にてクローズドシステム(CS)処分場における大規模災害廃棄物の受入対応等について報告した。本報では、災害廃棄物の受入による最終処分場への影響(浸出水、埋立ガスの状況等)を報告する。
  • 三木 公輔, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    セッションID: D2-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    最終処分場は廃止までに長期間を要しており、廃止の阻害要因として、排水基準を上回る浸出水中のCOD及び窒素の長期に亘る流出が挙げられる。一方、様々な分野でウルトラファインバブル(以下、UFBと記す。)の応用技術開発が進められている。UFBとは気泡径が1μm以下の気泡であり、様々な特性を有している。既往研究にて、埋立廃棄物を模擬したカラムにO2UFB水を散水することで、埋立廃棄物からのTOC及びT-Nの浸出が促進されることが示されたが、現象解明には至っていない。本研究では、その現象を解明するためにガラス瓶に焼却灰とUFB水を入れ、混合・密閉し実験を行った。よって、浸出水にUFB を連続的に供給し、水質の変化を測定した。結果、UFBの存在や高濃度な溶存酸素が有機物分解促進効果に影響していると示唆された。
  • 辰市 祐久, 飯野 成憲, 寺嶋 有史, 小泉 裕靖
    セッションID: D2-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    これまでのアナモックス反応を用いる硝化脱窒素処理では、硝化槽でNH4-Nを半分程度NO2-Nに酸化し、脱窒素槽でNH4-NとNO2-NからN2を生成するものであったが、この2段階の操作を単一槽内で反応させる実験を行った。昨年度は円筒形の水槽中に担体を入れて行ったが、今回は直方体の中に仕切り板を置き、担体で好気性の領域と嫌気性の領域を形成することによって、硝化脱窒素が同時に行われた。浸出水を用いてNH4-N300mg/ℓの脱窒素処理を行った結果、窒素の除去率は80%を超えたが、供給水量が少ないため窒素の除去速度としては37g/d・m3であった。
  • 矢吹 芳教, 吉田 弦, 大福 高史
    セッションID: D2-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処分場から採取した微生物を用いて、廃棄物処分場排出水中を用いて1,4-ジオキサン除去実験を連続運転で実施した結果、前処理により易分解性有機物濃度を低下させた試験区で1,4-ジオキサン除去率が上昇した。一方で、グルコースを添加し易分解性有機物の濃度を高くした試験区では、対照区と比較して1,4-ジオキサン除去率に有意な違いは見られなかった。これらの結果から、易分解性有機物が一定濃度(今回の実験ではBOD 20 mg/L程度)以上含有する排水中では、微生物による1,4-ジオキサン除去率が低下することが示唆され、微生物により効率的に1,4-ジオキサンを除去するためには、前処理によって易分解性有機物濃度が低下させることが有効であると示唆された。
D3 重金属の流出抑制・回収
  • 蒔田 るみ, 香村 一夫
    セッションID: D3-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    循環型社会形成推進基本法などが施行される以前に埋め立てられた廃棄物には,多種多様な金属類が含まれていると推測される.しかし,最終処分場から排出される浸出水には,金属類がほとんど含まれていない.従って,廃棄物埋立層内には金属類が残存・濃集しているものと考えられる.そこで、埋立層に賦存するレアメタル等の有用金属類を回収・備蓄することができれば,国内で資源が逼迫した際の有効な対策となりうる.
     廃棄物埋立層内の金属濃度は一般的な鉱床に比べて低いことから,資源的価値を高めるために現位置での濃縮が重要となる.本研究では,産業廃棄物最終処分場の埋立物を対象とし,重液選鉱・浮遊選鉱によって金属類の濃縮を試みた.その結果,高比重の重液を用いた選鉱で重金属の濃縮が認められ,浮遊選鉱ではレアメタル類等の濃縮が示された.以上より,埋立廃棄物を資源化する際にこれらの物理選鉱が有用であることが示唆された.
  • 于 斯夫, 李 桐, 宋 雨霖, 内田 正信, 為田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: D3-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    最近、一般廃棄物最終処分場においては埋立ごみに占める、焼却残渣の比率が75%を超えている。焼却残渣の20~30%(重量比)を占める飛灰は特別管理一般廃棄物であるため、鉛等の溶出防止のため、安定化処理が義務付けられている。その中で有機キレートによる安定化処理が最も多く実施されている。有機キレート剤には硫黄、窒素、有機物が高濃度に含有しており、重金属類不溶化のために過剰に添加された余剰キレートが、浸出水中に残留キレートとして存在し、窒素、COD濃度を上昇させ、浸出水処理に支障を来すようになっている。このため、キレート添加前飛灰を用いて、0.1%単位でキレート剤を添加し、キレート添加飛灰の溶出試験を行い、残留キレートの影響を実験的に確認したので報告する。
  • 松田 貴, 鈴木 慎也, 立藤 綾子
    セッションID: D3-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    廃棄物処理法による焼却飛灰の無害化処理の中でキレート剤を用いた薬剤処理は、重金属の不溶化効果が高く、処理工程が簡単であることから、採用割合が高い。しかし、この処理を行った後、一定期間放置すると、Pb が溶出することが報告されている。その要因として、Alを含有するキレート処理飛灰からPbの溶出が見られたことから、Alの水和反応によって発生したH2が金属キレート化合物を還元し、Pbの溶出が起きると推測される。そこで、本研究では、金属キレート化合物がH2によって還元され重金属が脱離するのか確認するために、アルカリ溶液下でCu及びPbキレート化合物をAlと反応させ、Cu及びPbの脱離を確認した。その結果、Cu及びPbキレート化合物がH2によって還元され,金属の脱離が起きており、Alのアルカリ水和反応によって金属キレート化合物の還元脱離起きることが、Pbの溶出原因であることが明らかになった。
  • 宋 雨霖, 于 斯夫, 内田 正信, 為田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: D3-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    我が国では焼却炉の普及により最終処分される廃棄物の大半を焼却残渣が占めるようになった。この結果、最終処分場では様々な課題が生じてきた。例えば①浸出水の高濃度無機塩類化による脱塩処理、これに伴い発生する副生塩の適正処分問題、②排ガス処理に用いられる石灰に起因するカルシウム汚泥の大量発生、③飛灰安定化処理に使用される有機キレート剤に起因する硝化阻害等があげられる。このため、浸出水管理が困難となり埋立地の安定化が遅れる原因となっている。脱塩剤、飛灰安定化剤の異なる模擬埋立槽を設置し、浸出水の長期挙動モニタリングを行い、知見を得たので報告する。
  • 吉井 清隆, 長尾 有記
    セッションID: D3-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    国内石炭灰発生量は年々増加傾向であるものの、その用途は、約8割がセメント・土木分野、残り大半が埋立であり、前者は消費減少傾向、後者は用地逼迫傾向にあるため新たな大量消費先が求められている。ところが石炭灰利用には、コスト以外に高い安全性も必要であり、これが用途拡大の阻害要因の1つになっている。この安全性においては、石炭灰を水抽出した環告第46号試験がしばしば引用されている。石炭灰においてこの試験法で全ての有害元素が基準値以下となるのは希であり、石炭灰有効活用には、これら有害元素の安価な除去又は溶出抑制技術が必須である。我々はこの課題に対してコストダウンの点から溶出抑制剤として廃棄物を使用し、石炭灰と熱処理することで先の環告第46号試験以外に、土壌環境センターから提案されている耐酸性100年試験2)でも問題ないことを確認した。
  • 長尾 有記, 吉井 清隆
    セッションID: D3-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、石炭灰処理に関するリスクの増大が懸念されており、新たな大量消費先の確保/有効活用策の具体化が急務である。石炭灰を利用するためには環告第46号における規制対象元素の溶出量基準値を満足する必要があるが、原灰の状態で満足する場合はまれであり、使用する際にはこれらの溶出を抑制、もしくはこれらを除去する技術確立が必要である。同時に、規制対象元素が長期的に溶出しないことを担保することも必要であり、そのためにはメカニズム解析を行ない、長期的に安定なのかどうかを判断することも必要である。本研究ではこの、溶出抑制がなされた状態が長期的に安定なのかどうかを判断すること、に資するための解析/解析技術の確立、およびそれらを石炭灰中規制対象元素の溶出/溶出抑制メカニズム解析に活かすことを目的とし、石炭灰に含まれる主構成元素に加えて、特に、規制対象元素の状態を把握し、基礎物性を明らかにすることを試みた。
  • 花嶋 孝生, 添田 誠司, 横山 睦正, 樋口 壮太郎
    セッションID: D3-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
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    焼却施設の普及および排ガス処理設備の高度化により、焼却残渣中の塩類が増加している。焼却残渣は埋立処分されると、浸出水中のCl濃度が上昇するため、脱塩処理を組み込む施設が増えている。しかし脱塩処理を行うと濃縮塩として副生塩が発生する。副生塩は乾燥させたのちフレコンパックに充填され、埋立処分されている。そこで今後の副生塩のリサイクルシステム構築のための基礎資料とするため一般廃棄物焼却施設から発生する副生塩の発生量について推計した。その結果ごみ焼却に伴う副生塩の総排出量はCl換算量で焼却残渣として147千 t/年と推定される。この内、大気中に5.0千t/年、下水道放流21千t/年(96t/日)埋立処分量は121千t/年となり、多量のClが埋立処分されていることが分かった。
D4 埋立地モニタリング
  • 田中 宏和, 中村 大充, 矢吹 芳教, 長森 正尚, 尾形 有香, 石垣 智基, 遠藤 和人, 山田 正人
    セッションID: D4-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場の深層部における調査手法として、観測井を用いる方法は安価で特殊な機器や技能を必要とせず、経年変化を観測できるなどのメリットもある。しかしながら、その作業手順は標準化されておらず、不確定な要素が多い。そこで、本研究では3本の観測井について、水深による滞留水水質の変化や、水中ポンプを用いた揚水水質の経時変化を調査した。観測井内の水温、EC、pH、濁度およびORPは水深により異なった。また、揚水の水温、EC、pHおよびDOも揚水開始からの時間により異なり、特に揚水開始から10分間の変化は大きかった。このような結果から、観測井滞留水の採水において、完全に安定した水質の試料を採取することは難しく、現実的には10分間程度の捨て水を行った後に採取した試料を、その観測井の代表とみなして分析評価することが適当と考えられた。
  • 松尾 豊, 吉原 司, 嵯峨 友樹, 江角 敏明, 加藤 季晋, 野尻 由香里, 長岡 克朗, 神谷 宏, 神門 利之, 大城 等
    セッションID: D4-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、島根県内の廃棄物最終処分場の浸出水原水について、採水して水質分析(有機体炭素、各態窒素等)を行って現況を把握し、さらにその推移を追跡して、有機物分解の進捗状況の評価やその要因(処分場内の嫌気・好気状態等)の推定や、埋立管理状況(埋立物の性状、埋立工法等)の浸出水への影響について解析を行い、埋立終了処分場の安定化の判断や廃止時期の予測等に活用できるようなデータの蓄積、埋立工法等の改良につなげることを目的に、平成29年度からまず3年間の研究として開始した。
    平成29年度は、一般廃棄物最終処分場7処分場(埋立中や埋立終了など複数区画あるものを含む)を選定し、管理自治体等の調査同意を得て調査研究を行ったところ、中でも有機キレート剤により処理した焼却飛灰を主に埋立処分している処分場の浸出水原水において特徴的な結果が得られたことから報告する。
  • 猿渡 武, 小宮 哲平, 中山 裕文, 島岡 隆行, 三反畑 勇, 青木 貴均, 秋田 宏行, 西尾 竜文, 弘末 文紀
    セッションID: D4-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    我が国の一般廃棄物最終処分場における埋立廃棄物の約 8 割が焼却残渣(焼却灰及び飛灰)である現状1)を踏まえ、著者らは焼却残渣の特性を生かしつつ、埋立地の環境安全性の向上、早期安定化、埋立容量の消費の抑制を図ることが可能な「廃棄物固化式処分システム」2)の構築を目指している。本研究では一般廃棄物焼却残渣固化式処分場の埋立特性(水収支及び環境安全性)を明らかにすることを目的に、固化式処分の実施工を模擬して作製した固化式処分埋立模型槽において降水量、表流水量、浸出水量の観測、ならびに表流水及び浸出水の水質の把握を行った。
  • 磯部 友護, 竹丸 裕一朗, 濱 友紀, 雨宮 裕
    セッションID: D4-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物最終処分場では埋立量の漸減だけでなく焼却残渣のリサイクル等により埋立廃棄物の質・量が変化してきている。本研究ではこのような最終処分場での安定化挙動を空間的かつ非破壊的に把握することを目的とし,比抵抗探査によるモニタリングを実施している。本稿では比抵抗モニタリングの結果と,ボーリングコア試料の物性値測定結果との比較結果を行った。本調査により,焼却残渣と不燃残渣の埋立割合に伴う飽和度や間隙率といった物性値の相違は,比抵抗構造に影響しており,比抵抗モニタリングを用いたにおける最終処分場の安定化挙動を把握する上での有用な情報となることが示された。
  • 岡本 侃大, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦
    セッションID: D4-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    乾燥地域の埋立地における廃棄物の乾燥化メカニズムを明らかにすることを目的に,土壌層における物質移動理論を用いて水分・熱同時移動モデルを構築し,数値解析を行った。同時に,室内実験によって廃棄物の不飽和水分移動特性およびモデルの妥当性評価を行った。その結果として,①粗大間隙を有する廃棄物においても物質内部に存在する微細な間隙を介して液状水移動が生じること,②モデルは廃棄物の乾燥過程を大まかに再現可能であること,③乾燥地域の埋立地において,廃棄物の乾燥は,30年経過後も埋立地表面付近までしか及ばないこと,④廃棄物の乾燥速度は,廃棄物の乾燥が埋立地内部に及ぶにつれて遅くなることを明らかにした。さらに,廃棄物の水分特性曲線を,0%付近から50%までに及ぶ広い含水率範囲で測定した。
D5 埋立地早期安定化・跡地利用
  • 遠藤 和人, 宮脇 健太郎, 東海林 俊吉
    セッションID: D5-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    海面処分場の浸出水は高アルカリ性を呈している場合が多いが、内水ポンドを通過するとpHは減少することが観察されている。内水ポンドは浸出水集排水管に分類される残余海水面であるが、水質調整、特にpHの低減という機能を有している。内水ポンドでpHが低減する一つの要因として、大気中の二酸化炭素が吸収され、炭酸化に寄与していると仮定した。実際の内水ポンドにチャンバーを浮かべ、閉鎖空間を水面につくり、その閉鎖空間の二酸化炭素の減少をモニタリングすることで内水ポンドへの二酸化炭素吸収フラックスとして計算した。その結果、2~9×10-6 mol m-2 min-1となることがわかった。
  • 石井 一英
    セッションID: D5-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    1998年にクローズドシステム処分場(以下、CS処分場)が建設されてから久しい。その間、廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領2010改訂版(以下、計画・設計・管理要領)には、散水量及び浸出水処理施設規模の設計に液固比の考え方が提示されている。しかしながら、実施設での浸出水質と液固比が必ずしも計画・設計・管理要領通りではないという報告もあり、観測値に基づくCS処分場の散水制御方法が求められている。本研究では、既報告のモデルよりCS処分場の散水制御のためのモデル化について考察するとともに、1つの解析例を示した。
  • 鵜飼 亮行, 古賀 大三郎, 加島 史浩, 宮脇 健太郎
    セッションID: D5-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    クローズドシステム処分場は、散水のコントロールなど適切な管理方法により早期安定化が期待できる一方で、適切でない管理方法をとった場合、安定化が長期化することも懸念される。そのため、埋立管理を視点とした処分場の安定化に関する数値的な予測手法とその最適化は検討すべき課題である。

    著者らはこれまで、カラム実験結果の結果を基にした処分場安定化モデルを構築し、埋立手順や散水方法による安定化傾向の変化について検討している。しかしながら、埋立手順と散水方法に限ってみても一概にどの方法が良いとは言い難いく、また管理方法は自由度が高く関係する要素も煩雑であり、その最適化は難しい。この課題に対し、処分場の安定化モデルに対して、基礎的な人工知能モデルを適用し、埋立管理手法の最適化を試みた。規則的な埋立方法と人工知能モデルによる結果を比較することで、埋立管理の工夫により安定化傾向の改善が期待できることが分かった。
  • 小竹 茂夫, 日笠山 徹巳, 柴田 健司, 三浦 俊彦
    セッションID: D5-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場では、自然の降雨や大気を利用して、エージングによる鉛の不溶化や重金属類、塩類の洗い出し促進を行う埋立方法が提案されている。この一つの方法として、廃棄物埋立面上で一定時間仮置き養生をした後、改めて締固めを行う方法が考えられる。一方、焼却施設から搬出後、日数が経過していない焼却灰を締固めると、埋立地盤が高密度化するとともに、数か月かけて透水性が低下する可能性がある。廃棄物の埋立方法を選択するうえで、飛灰・主灰の混合や仮置き養生の有無が廃棄物埋立後の透水性、通気性に与える影響を把握する必要がある。
     そこで、主灰、飛灰および混合灰について、焼却施設搬出直後に締固めた場合と、90日間養生後にときほぐして締め固めた場合とで、その後の廃棄物埋立地盤の強度および透水性の経時変化にどのような違いが出るかを室内試験にて調査した。締固め密度は異なる2種類について比較した。
  • 立藤 綾子, 平田 修, 松藤 康司
    セッションID: D5-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、基質利用試験により求めた埋立後27年を経過した焼却残渣と土壌の微生物群集構造を比較するとともに、焼却残渣中で生残した土壌細菌の群集構造について調査し、土壌還元の初期から最終段階までのすべての段階を評価できる指標として、生残性試験と群集構造解析の組み合わせの有効性について検討した。

    その結果、①塩類や有害物質の洗出しの進行及び細菌の栄養源の蓄積によって、土壌細菌の生残率は上昇すること、②覆土材等に生育する植物遺体が栄養源の供給に寄与していること、③生残率が同じであっても、基質利用性が異なることから、生き残っている細菌の種類が異なる可能性が高いこと等が明らかになった。

    以上の結果から、焼却残渣が土壌還元できる状態に達したかどうかを評価する指標として、土壌細菌の生残率と基質利用性に基づく細菌群集解析の組み合わせが有効であることがわかった。
  • 平田 修, 立藤 綾子, 柳瀬 龍二, 鈴木 慎也, 松藤 康司
    セッションID: D5-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    最終処分場から発生する環境負荷は経時的に減衰し、省令の示す物理化学的な安定化指標を用いて処分場の廃止、さらに維持管理の停止が判断される。しかし、微生物の生育阻害物質がある場合、生物活性が低下するため環境負荷物質の放出は抑制され、見掛けの安定化状態を表す。筆者らは、埋立構造が埋立初期の微生物機能に与える影響から、より好気的な環境ほど微生物の基質利用性が高い事を明らかにした。今回は廃棄物の分解プロセスが異なる時期の微生物群集、及びその多様性を明らかにし、廃棄物の物理化学的安定化指標とそれらとの関係性について調査した。その結果、微生物数や炭素基質利用特性が埋立構造ごとに異なる要因として、埋立構造の違いが廃棄物の分解プロセスの移行時期や安定化進行度に影響を与える事が明らかとなった。さらに、浸出水の水質と微生物特性を比較する事で埋立廃棄物分解の進行状況及び生育阻害について評価できることが示唆された。
  • 宮脇 健太郎, 山田 剛司, 遠藤 和人, 東海林 俊吉
    セッションID: D5-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    海面処分場では、保有水pHが高い場合があり、高pHの浸出水が長期流出することが懸念される。また内水ポンド(余水、調整池ともいわれる。)では、浸出水の希釈および大気中CO2による中和が生じていると考えられる。本報告では、実験室にて実処分場の1/250スケールで、ポンドへ浸出水が流入する状況を模擬した試験を行った。今回行った実験条件では、中和に必要なCO2吸収フラックスは低く、大気中CO2吸収が十分であり、pH11の模擬浸出水を流入させた模擬ポンドのpHは上昇しなかった。また、簡易モデルについて検討し、中和に必要なCO2吸収フラックスの算出を試みた。実験結果から、今回の手法によりポンドでの大気中CO2吸収によるpH低減効果の推定の可能を示した。
  • 久保田 洋, 繁泉 恒河, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 佐藤 研一, 肴倉 宏史
    セッションID: D5-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    一般廃棄物由来の焼却主灰の早期安定化を目的として、筆者らはこれまで散水・通気処理により焼却主灰の溶出特性へ与える影響について評価し、その効果について報告を行った。本研究ではさらなる処理期間の短縮を目指し、散水処理と炭酸ガスを用いた通気処理(促進炭酸化)について検討を行った。促進炭酸化処理の試験として、CO2の供給量、供給するCO2濃度について、それぞれ処理区を設けたカラム試験を行い、焼却主灰中の塩類と重金属類の挙動について調査を行った。処理後の焼却主灰の溶出液濃度から、本試験ではCO2供給量が29g/kgDW時に、溶出液中のpH、Pbの低下が見られた。NaはCO2供給量の影響は受けずほぼ一定であり、Clは供給量の増加と共に溶出液中濃度も増加した。CO2濃度10%まで希釈した処理区でも100%処理区と同様に、Pb, Caの低下が確認された。
D6 土壌・地下水汚染
  • 奥村 拓也, 久田 一輝, 矢吹 芳教, 吉田 弦, 井上 大介, 池 道彦
    セッションID: D6-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、廃棄物最終処分場浸出水中に生息する土着微生物を活用した1,4-ジオキサン (DX) 汚染の浄化技術の確立に向け、DX分解菌の集積について検討した。DX分解がエーテル結合を開裂する特殊な分解経路で行われることに着目して選定した6種類の炭素源を用いて集積を試みた結果、DXおよびテトラヒドロフラン (THF) を用いた集積系においてDX分解能が確認された。また、DXおよびTHFを用いた集積による微生物叢の変化を調査した結果、集積後の微生物叢は炭素源により異なっており、THF集積系ではDX集積系よりもDX分解関与遺伝子として知られるthm/dxm遺伝子の集積度の高いことが確認された。本研究の結果から、DXだけでなくTHFによっても浸出水中の土着DX分解菌を集積可能であるが、優占化するDX分解菌は炭素源によって異なることが明らかになった。
  • 浅川 翔太, 田村 和広, 田中 宏幸, 桂 敦也, 佐藤 匠, 芦田 茂
    セッションID: D6-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    バイオレメディエーションは揮発性有機塩素化合物(VOC)による汚染土壌に用いられ、低コスト・低環境負荷技術として普及が期待されている。当社は、バイオレメディエーションに用いる浄化促進剤として、大豆たんぱくの製造時に発生する大豆ホエーを利用したバイオレメディエーション技術を開発した。大豆ホエーには糖質やたんぱく質、ミネラル等が豊富に含まれており、また、従来の薬剤と比較して低コストである。本研究はVOC汚染地下水を対象とし、現場における大豆ホエーのバイオレメディエーション効果の把握を目的として実施した。大豆ホエー溶液をVOC汚染された帯水層へ注入した結果、地下水中のVOC濃度の減少と土壌汚染対策法に係る基準値への適合、VOCを分解する細菌群の増加、TOCの増加及びORPの減少が確認された。以上の結果より、現場において、大豆ホエーが環境基準を満たす水準でVOCの浄化を促進することが確認された。
  • 増木 拓海, 香村 一夫
    セッションID: D6-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、人間活動による地下水の硝酸態窒素汚染が深刻化している。平成11年に当時の環境庁が、硝酸態窒素を地下水の環境基準項目に追加して以降、この種の地下水汚染が全国的に顕在化し、現在では地下水の環境基準超過率が最も高い項目となっている。本研究では、わが国に広く分布する火山灰土壌に着目し、低コストかつ簡便な硝酸態窒素吸着剤の開発を目指した。火山灰土壌は重金属等をイオン吸着する能力をもつことが知られている。本研究では吸着能をさらに高める目的で酸化マグネシウム(MgO)を混合し試験を行った。先の研究で、火山灰土壌を風乾させず、かつMgOと混合した後に十分時間をかけて静置した混合試料において、層状複水酸化物(LDH)が生成し、NO3-吸着能を有することが判明した(増木ほか、2017)。本稿では試料中の火山灰土壌・水・MgOの比率を変化させ、NO3-吸着能を評価した結果について述べる。
  • 岩崎 航也, 増木 拓海, 香村 一夫
    セッションID: D6-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    日本は多くの火山を有する国として知られており、火山性の堆積物が風化作用を受けて生成した火山灰土壌が全国に分布している。また、火山灰土壌中に含まれる腐植や粘土鉱物はイオン吸着能をもつことから、低コストかつ低環境負荷の環境浄化資材としての活用が期待されている。本研究では、鳥取県の大山周辺の火山灰土壌に着目した。この火山周辺には火山灰土壌が広く分布しており、それらが有する重金属吸着能及び含有物質について解明することを主目的とした。また、全国各地の火山灰土壌が有する重金属吸着能のデータベース化に向けて東北、阿蘇、シラスの試料についても検討を行っている。先行研究のデータに基づいて、重金属吸着量が高く、吸着因子(腐植、ハロイサイト、非晶質粘土鉱物)にそれぞれ富む試料を選別し、それらの有する陽イオン交換容量(CEC)を測定し、検討を行った。
  • 吉 俊輔, 友口 勝
    セッションID: D6-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    土壌汚染対策法において、重金属類汚染土壌を処理し、産物を浄化土として有効活用をはかる上で、浄化対象となる物質を様々な手法で抽出除去することが求められる。土壌溶出量基準をわずかに超過するような低濃度の重金類汚染土壌の処理方法として、土壌に鉄粉を混合し、土壌中の保持水に溶解した重金属イオンを鉄粉に吸着させた後、これを磁性分離することで、非磁着物を浄化土として得る処理方法について検討を進めてきた。本技術は、土対法上の浄化-抽出法として認められ、複数の汚染土壌処理許可施設において導入、実処理展開がなされている。新たに水銀汚染土壌への適用性を評価すべく、抽出媒体である鉄粉による水銀吸着能の評価ならびに実汚染土壌試料を用い乾式磁力選別処理を机上にて行ったため、結果を報告する。
  • 小川 熟人, 水沼 丈也, 笠利 実希, 小池 裕也
    セッションID: D6-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    焼却飛灰を安全に処理するためには焼却飛灰から環境水への放射性セシウムの溶出を抑制する必要がある。試料の表面を修飾処理できる防水剤による撥水処理は、簡易に施せる不溶化方法であり、焼却飛灰にフッ素樹脂やシリコン樹脂などの防水剤を塗布することで、体積増加なく簡易に水溶性物質の溶出を抑制できると考えられる。本研究では、放射性セシウムを実際に含有する都市ごみ焼却飛灰にフッ素樹脂やシリコン樹脂などの防水剤を塗布し、溶出試験を施すことで、その溶出抑制効果を調査した。5 種類の撥水剤溶液に含浸して撥水処理した都市ごみ焼却飛灰からの137Cs の溶出率は、オレイン酸で最大の溶出抑制効果が得られた。また、新規防水剤として用いたイオン液体についても抑制効果が確認できたため、さらに有効な物質の合成を進める。
  • 笠利 実希, 藤井 健悟, 大渕 敦司, 小川 熟人, 小池 裕也
    セッションID: D6-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    焼却飛灰中放射性セシウムの不溶化処理については様々な研究がある。その中でもジオポリマー固化処理は低環境負荷な処理として注目されており、様々な廃棄物に適用され、抑制機構などの調査がされている。しかし、ジオポリマー固化の際に混合するアルミノケイ酸塩(フィラー)に関する研究は少ない。そこで、本研究では種々の土壌をフィラーの原料物質の一つとして用い、低環境負荷な不溶化処理として土壌混合ジオポリマー固化処理による放射性セシウムの溶出抑制を検討した。五種類の土壌を用いて作製した土壌混合ジオポリマー固化体に対し、X 線回折法による結晶分析を行い結晶構造の観点からその溶出特性や安定性を検討した。溶出抑制効果が大きかった土壌混合ジオポリマーの X 線回折図形からハイドロガーネットの生成が確認できたため、ハイドロガーネットを生成し易いアルミニウム量が多いフィラーが土壌混合ジオポリマー固化には適している可能性がある。
E1 水銀・石綿・除染廃棄物
  • 上西 隆太, 日下部 武敏, 塩田 憲司, 藤森 崇, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: E1-1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    平成29年8月「水銀に関する水俣条約」が発効され、同年10月「廃棄物処理法施行令」が施行された。これにより廃金属水銀およびその化合物を埋め立て処分する際において中間処理として硫化・固型化処理を施すことが義務付けられることとなった。本研究では廃金属水銀の固型化技術について、既存の改質硫黄固型化に加えて、新たな樹脂系固型化剤としてエポキシ樹脂を用いた固型化技術の開発を目的とした。エポキシ樹脂は主剤と硬化剤の反応により形成される熱硬化性樹脂の一つである。本研究の成果により、エポキシ樹脂固化体は一度に多くの硫化水銀を配合し固型化が可能であり、既存方法(改質硫黄固型化)と比較した際、固型化処理時における作業環境下の水銀濃度が低く、種々の評価試験の基準値を十分に満たすことが明らかとなった。したがって、エポキシ樹脂を固型化剤として用いる新たな固型化技術として十分適用可能であると考えられる。
  • 岡本 尚機, 田中 俊行, 明賀 利光, 飯塚 和広, 松原 雄平
    セッションID: E1-2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    25%回収硫酸系溶剤を用いて無害化のコストを下げ、ハイスピードミルにより微細粒子化を溶剤処理前工程として導入することにより、飛躍的に無害化処理時間を短縮できた。対象アスベスト含有物は、吹付用綿状白石綿、吹付用綿状茶石綿および吹付用綿状青石綿とスレート白石綿である。
  • 平井 康宏, 一島 冴宇, 矢野 順也, 浅利 美鈴, 酒井 伸一
    セッションID: E1-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    石綿含有建材のストック量および解体に伴う廃棄物量の推移を推定した。対象建材はレベル3建材とし、建物用途別×築年別の床面積あたり石綿含有建材使用原単位と、建築物ストック統計および建築物残存率関数を用いて推定した。2013年のストック量(石綿換算)は、工場・倉庫で主に使われるスレート波板と住宅用化粧スレートが大半を占め、計391万トンと推定された。2013年の廃棄量は6万トン強であり2030年ごろの8万トン弱をピークとして、2050年に6万トン程度と推移し、2063年にストック量は61万トンに減少すると予測された。
    戸建て住宅屋根の交換・修理に関するネットアンケート調査により、スレート屋根では築後10年ごろから毎年7%前後の住宅で修理が実施され、その内容は築後20年程度までは再塗装など屋根材の廃棄を伴わず、築後35年にかけて葺き替えの割合が高まり屋根材の廃棄比率が高くなることを明らかにした。
  • 中村 祐太, 塩田 憲司, 大下 和徹, 藤森 崇, 高岡 昌輝
    セッションID: E1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    福島県内の除染活動に伴う土壌・廃棄物は非常に多く発生しており、これらに対して中間貯蔵施設において一層の減容化処理が求められ、焼成処理や溶融処理が検討されてきた。このような高度減容化施設では濃縮したセシウム(Cs)塩が排出され、溶出性の高いCs塩に対する対応が最終的に必要となる。放射性Csを対象とした場合、セメント固化では溶出率は高く、不溶化が不十分であることから、新たな固化処理としてジオポリマーによる固化処理法が研究されている。本研究では、中間貯蔵施設における除染廃棄物の減容化事業により発生する高濃度にCsを含有した飛灰に対してジオポリマー固化処理を行い、Csをより溶出性の低い安定した状態で固定化処理することを目的とした。結果として、ジオポリマー固化処理によってCs溶出率は10%以下に抑えられ、高濃度にCsを含有した飛灰を溶出性の低い状態で安定的に処理することが可能であると考えられた。
  • 河﨑 祐真, 塩田 憲司, 日下部 武敏, 藤森 崇, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: E1-5
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    有害な重金属を含むごみ焼却飛灰や、放射性物質で汚染された焼却残渣が発生していることから、有害金属等をより安定的に固定化する方法が求められている。本研究ではジオポリマー固化に注目し、コスト、他廃棄物のリサイクルといった観点から、ジオポリマーに必須のアルミノケイ酸塩の代替材としてごみ焼却主灰の適用性を検討することを目的とした。ごみ焼却主灰を用いて固化体を作製し、溶出試験、蛍光X線回折、一軸圧縮強度試験、NMR分析により各種有害金属の挙動、固定化機構を調べた。メタカオリンの代替材として主灰を50%用い、105℃養生した固化体では、Pbを含む測定したすべての元素で溶出基準を下回り、XRD分析では非晶質構造と思われるハローが見られ、NMR分析でもケイ酸鎖中Siの一部がAlに置換されたアルミノケイ酸鎖が形成されていることが示唆された。一軸圧縮強度試験では環告5号に定められる0.98MPaを超えた。
  • 北村 洋樹, 尾形 有香, 永元 加奈美, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    水俣条約の発効に伴い、廃水銀および廃水銀等を処分する場合には、硫化・固型化することが義務付けられた。しかし、最終処分後における改質硫黄水銀固型化物(以下、固型化物)の微生物反応による劣化が懸念されている。本研究では、pHの変化が固型化物からの水銀溶出挙動に与える影響を調査するため、酸性条件下においてpH依存性試験を実施した。本研究では、pH 2.0 - 3.0の硫酸イオンの共存下において溶存態水銀濃度が著しく増加した。これは、硫黄酸化細菌の存在条件下において固型化物の安定性が低下するだけではなく、水銀の溶出が促進される可能性を示唆している。また、pH 1.0の強酸性条件下では、pH 2.0と比較して、硫化水銀の溶解抑制が生じる可能性が併せて示唆された。
  • 尾形 有香, 井上 大介, 清 和成, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E1-7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    異なる条件(水銀埋設の有無、硫酸還元雰囲気)の実最終処分場および固型化物の単独埋立を模擬したカラム試験の試料を対象とし、水銀メチル化遺伝子hgcABの存在について調査した。hgcAB遺伝子は、処分場において普遍的に存在しないが、一部の試料において、水銀廃棄物の埋設に関わらずその存在が確認された。hgcAB遺伝子濃度と試料の水銀濃度との間に有意な関係性は認められなかった。処分場より分離した硫酸還元菌の25%がhgcAB遺伝子を保有していたことから、硫酸還元菌の生育抑止は、処分場における水銀メチル化のリスク低減において重要であると考えられる。カラム試験試料中からはhgcAB遺伝子は検出されなかったことから、有機物との混合埋立や硫酸還元雰囲気を避けることによって、水銀メチル化が抑制されることが推測された。本解析ツールは、水銀廃棄物の埋立場所の選定や埋立後のモニタリング等への活用が期待される。
  • 緑川 拓也, 大岡 幸裕, 加藤 正敏
    セッションID: E1-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    クレハ環境ウェステックいわきでは、排出水中の水銀濃度が水質汚濁防止法に定められている総水銀排水基準0.005mg/L以下であることを確認するために、連続測定装置による監視と「排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法」による定期的な監視を行っている。前報では、連続測定装置を使用した水銀分析において、排水中に共存するヨウ化物イオンによる妨害が見られたため、連続測定装置の測定法を酸性還元気化法からアルカリ性還元気化法へ換装したところ、ヨウ化物イオンの妨害を受けることなく測定できたことを報告した。しかし、この分析法は、公定法準拠ではないこと、水酸化ナトリウム溶液による薬傷リスクに加え、水銀の定量値が安定しないなどの理由から新たな酸性還元気化法への換装が求められていた。本稿では、ヨウ化物イオン存在下での酸性還元法準拠による水銀分析について報告する。
  • 宮原 睦, 日下部 武敏, 藤森 崇, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: E1-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    「水銀に関する水俣条約」の発効を受け、昨年10月から廃金属水銀等の処理方法として、精製・硫化・固型化が義務付けられることとなった。本研究では、ヘッドスペース試験について基礎的な実験を行い、ヘッドスペース試験を廃金属水銀等の処理物質について大気安定性を評価する手法として確立させることを目的とした。本実験では、遊星ボールミルで作成した二種類の硫化水銀を混合させたものについて、試料量、湿度、温度の三つのパラメータを変化させヘッドスペース試験を行い、各パラメータの影響を考察した。その結果、試料量については相関なし、湿度については湿度上昇に伴い測定値のばらつきが大きくなり値はわずかに増加、温度については上昇に伴い測定値も増加、といった傾向が見られた。また、FactSageによる計算も加えて行った結果、測定値と計算値の定性的な傾向の一致が確認でき、各パラメータの影響について一定の裏付けが得られた。
  • 高橋 史武, Tshumah-Mutingwende Rosamond
    セッションID: E1-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/03
    会議録・要旨集 フリー
    水銀は環境毒性の高さから世界的にその使用を制限されつつあり、使用後に回収された余剰水銀を埋立処分する必要性が生じつつある。埋立処分による環境リスクは、水銀の溶出から環境中の移動、最終的な人体への曝露をモデル化することで計算できる。しかしモデルパラメータは数桁オーダーの変動幅を持つため、妥当なパラメータ値を設定することは困難であり、計算された環境リスクの信頼性を損ねている。本研究では、湖沼の物理的条件(水体積と底質厚さ)が水銀曝露量に与える影響を評価した。水体積は大きな影響を与えないが、底質厚さは水銀流入量と同程度の影響を与えた。
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