廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の289件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制
  • 齊藤 由倫, 飯島 明宏, 田子 博
    セッションID: A1-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    生活系ごみの減量化に関して全国では様々な普及啓発施策が行われているが、それらを網羅的に調べ、ごみ減量の直接的、或いは有料化施策等を後押しする間接的な効果を比較分析した事例はこれまでにない 。本研究は、全国の普及啓発施策をそのテキスト情報に着目して網羅的に調べ、ごみ減量効果を実証分析することを最終目標にしている。その前段として、人口とごみ排出原単位の多寡から14市を選定し、それらの一般廃棄物処理実施計画のテキスト分析を試みた。有料化を行っている市では、それ以外の市に比べて多様な施策があることが示され、有料化に対する住民の納得感を普及啓発によって高めようとする政策意図が推察された。また、地域住民をごみ減量化のキーパーソンに位置づけ最大限活用しようとする施策が、有料化の実施有無を問わず、ごみ排出原単位の低い市に共通したのは特徴的であった。即ち、施策の特徴化に対するテキスト分析の有効性が考えられた。

  • 河井 紘輔, 楠部 孝誠, 岡山 朋子
    セッションID: A1-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    山形県長井市では持続可能な農業や土づくりを目的に、生ごみの分別収集が開始され、コンポストセンターで生ごみを処理、製造された堆肥は市内の田畑で利用されている。本研究では、長井市における生ごみ分別収集量の変遷を人口動態の観点から考察することを目的とした。中央地区推計人口は1998年から2017年までの20年間で15.5%減少したのに対し、生ごみ分別収集量は65.1%減少し、生ごみ収集量の減少が際立っていた。仮説のひとつとしては2000年以降の中央地区への転入者の多くは生ごみ分別に参加していない可能性があった。転入者は民営の集合住宅に借家として居住し始める傾向が推察された。転入者の多くが単身者や共働き家庭に該当するのであれば、転入者の多くの生ごみ分別への参加意図は低下すると考えられた。

  • 荒巻 裕二, 岡本 拓郎, 前田 茂行, 鈴木 慎也
    セッションID: A1-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    エアゾール缶類は、火災や爆発の危険性を有しており、自治体によっては分別対象品目としているが、福岡市では不燃ごみとして収集している。本市では、エアゾール缶類は穴をあけて廃棄することとしていたが、穴あけ時の火災事故を防止するため、平成27年12月から穴をあけず中身を使い切ってから廃棄するようにルールを変更した。しかし、穴をあけないことで中にガスが残ったままのエアゾール缶類が家庭から排出される可能性があり、収集車や処理施設での火災事故の一因になると考えられる。今回、不燃ごみ中のエアゾール缶類について、穴あき缶等の排出状態を調査したので、地区特性を踏まえ7年間の推移を報告する。

  • 瀬口 亮子
    セッションID: A1-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ファストフードやコーヒーショップ等で飲み物を購入する際に使用される使い捨てのカップや、イベント会場の飲食ブース等で使用される使い捨ての食器等は、いわゆる「使い捨て品」を象徴するアイテムである。ライフサイクルにおける資源使用量、温室効果ガス排出量等の環境負荷はリユースされるものに比べて極めて高く、特にプラスチック製のものについては、海洋プラスチックごみ問題の観点からも使用削減の必要性が指摘されている。これまで削減のための制度事例は少なかったが、近年注目すべき新たな動きが見られる。本研究はその先行事例として、ドイツ、韓国、フランス、EU、米国バークレー市の制度を取り上げ、現地でのヒアリング、視察、文献調査に基づき、内容を検証しながら、今後の制度づくりの方向性を考察する。

  • 富田 悠貴, 矢野 順也, 浅利 美鈴, 勝見 潤子, 新島 智之, 酒井 伸一
    セッションID: A1-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、家庭ごみ中に含まれるプラスチック製品を中心とした使い捨て製品の品目ごとの量・点数を明らかにすることを目的として家庭ごみの組成調査を行った。調査対象は「使用期間が1カ月以内と思われるもの」とし、商品包装など単体での削減が難しいと思われるものは対象外とした。調査の結果、手さげレジ袋と飲料水のプラボトルが合計で調査対象中の40%の重量を占めた。その他に重量ベースで多くを占める品目には家庭用ラップ、おしぼり・ウェットシート、緩衝材、ティーバッグ・コーヒーバッグなどがあった。また、繊維類として分類されている品目にもマスクなど化石資源を原料とする製品が一定量存在することがわかった。個数ベースで多くを占める品目にはそれらの他に、たばこの吸い殻、飲料のキャップ、ストローなども見られた。本調査の結果を1人当たりの廃棄重量に換算すると年間8.7〜16.8kg/人となった。

  • 花嶋 温子
    セッションID: A1-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    天神祭は大阪で催される大規模な祭で、毎年130万人以上が訪れ多量のごみが排出される。既報のとおり2016年に現状調査を実施し、2017年にこの問題に係わる多様なステークホルダーが集まり「天神祭ごみゼロ大作戦実行委員会」を組織し協働でごみの減量活動を開始した。第3報目の本報は2年目の活動の成果報告である。初年度に比べて、活動区域は川沿いの距離を5倍(4500m)、ボランティアののべ人数も1.8倍(1494人)、エコステーションの数は2.7倍(38カ所)と拡大した。2年目は、エコステーションで7.2tのごみを集めて、その46%を焼却せずにリデュース、リユース、リサイクルすることができた。また、祭全体での廃棄物量は前年に比べて30%減少した。都会で不特定多数が130万人規模で集まる祭においても、エコステーション活動によってごみや資源の回収が可能だということが実証できた。

  • 田畑 智博
    セッションID: A1-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、自然災害による太陽光発電設備の被害の影響を、廃棄物の観点から考察することを目的とする。先ず、我が国における災害事例をレビューし、被害の特徴を考察した。続いて、2018年に発生した実際の災害事例を参考にして、太陽光発電設備の破損に伴う廃棄物の発生量を推計した。 太陽光発電設備由来の廃棄物は、量と質の両面から問題が大きいことから、廃棄物の速やかな回収・リサイクル、適正処理を実施できるルートづくりが急務であることを論じた。

  • 斉藤 美穂, 鈴木 慎也, 立藤 綾子
    セッションID: A1-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    福岡市は事業系ごみ資源化推進ファンドを活用し、平成30年5月に新たに開設された事業系古紙の資源化施設「福岡市リサイクルベース」の建設及び運営支援を行っている。

    福岡市リサイクルベースでは、古紙の資源化未実施の業者をターゲットとして、①古紙の種類に問わず一袋にまとめて排出、②少量排出及び③福岡市の清掃工場処理料金の半額の処理料とする等の古紙排出業者負担や経済負担を軽減する新たな回収方法を行っている。

    福岡市リサイクルベースの利用者を増やし古紙回収量を上げるためには、福岡市リサイクルベースの認知度を上げると共に排出事業者のニーズを捉える必要がある。

    そこで本研究では、福岡市事業系一般廃棄物排出事業者に、古紙分別への取り組みの有無、実施している古紙分別の方法や量、古紙分別の未実施理由、福岡市リサイクルベースの認知の有無や利用可能性等アンケート調査を行った。

A2 住民意識・環境教育
  • 堀 孝弘
    セッションID: A2-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    近年海洋ごみ問題の深刻化や2017年以降の中国をはじめ東南アジア諸国の海外廃プラの禁輸などにより、脱シングルユースプラスチックへの関心が高まっている。ペットボトルについても、廃容器の海外輸出の常態化や河川ごみ調査での放置容器の多さなど、分別の徹底やリサイクルの推進だけでは解決できない問題が見えてきた。

    京都市ごみ減量推進会議は2016年秋から「リーフ茶の普及で、ペットボトルを減らそうキャンペーン」に取り組んでいる。本稿は、2018年以降の市民向け及び学生向け事業で得たアンケート約2,000枚をもとに、性別・年代ごとのペットボトル飲料の利用頻度及びリデュース意識向上の働きかけの成果を報告する。ペットボトルはシングルユースプラスチックの一部だが、これを削減対象とした活動を進めることで、他の様々な脱プラ活動の加速に寄与できる。あわせて、プラスチック多消費社会の見直しに寄与したいと考える。

  • 周 可, 荒巻 俊也, 北脇 秀敏
    セッションID: A2-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    中国の都市部では経済の発展に伴い都市ごみの発生量が急増しており、ごみの排出削減や資源化を図っていくためにごみの分別収集が必要となるが、それを実施していくためには市民の協力が必要である。そこで、本研究では、中国南部湖南省の省都である長沙市の市民を対象として、市民の意識を問うアンケート調査を街頭における面接調査とSNSによる調査の2種類の方法で実施した。SNS調査と街頭調査でそれぞれ235名、117名(合計352名)の有効回答を得た。調査結果を利用して因子分析を実施し、分別への意識に与えている要因について考察を行った。

     その結果、 ごみ問題や分別に対する市民の意識に影響を与える要因は、大きく分けて費用便益や実行可能性、知識、環境問題の認知、社会規範という4つの要因にわけることでき、また実行可能性の認識には費用便益が強く関連していることが示唆された。

  • 小幡 範雄, 土屋 正春, 山口 耕右
    セッションID: A2-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    千里リサイクルプラザ市民研究所は1993年度に設立され、2018年度で25年を迎えることになる。日本で最初に市民研究員制度を設立したのである。当時は市民研究に対する理念は専門研究に対峙するものとして注目も浴びていた。しかし、4半世紀が経過した現在は設立当事と大きく異なってきている。この間の時代変化は大きくごみ分別排出やリサイクルなども市民の間で広く推進されているようにもみえる。しかし、一方で、最近、話題となっているプラスチック汚染の問題もある。本当の意味でのリサイクルは進んでないようにも思われる。

     本稿では、千里リサイクルプラザと同市民研究所の概要と変遷を述べたうえで、ごみ・リサイクルに関わる市民研究活動の実情と問題点を明らかにして、これからの時代にふさわしい市民研究のあり方について若干の提案をしていきたい。

  • 越川 義功, 大野 貴子, 林 文慶, 高山 晴夫, 瀬戸口 正海, 古閑 貴浩, 出納 由美子
    セッションID: A2-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物処理施設では、施設本来の機能である「廃棄物処理」、「資源循環」に加え、地域理解や生活環境の維持につながる「自然環境保全」への取り組みも重要である。さらに、廃棄物処理施設は、地域の児童生徒の「環境学習の機会を提供する場」とする施設でもあり、その地域社会との接点や教育に果たす役割は大きい。本報告では、熊本県公共関与産業廃棄物管理型最終処分場「エコアくまもと」における地域資源を活かした環境教育基盤の整備と運用・その効果について報告する。

  • 鈴木 榮一, 浅利 美鈴
    セッションID: A2-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本発表は、廃棄物処理施設の整備基本計画書や要求水準書から、環境学習機能における設備面(ハード)や運営面(ソフト)を比較することにより、整備プロセスの課題を明らかにし、廃棄物処理施設が地域ニーズや拠点施設への需要に対応できる持続可能な施設へと成長するための方向性を導くことを目的とする研究である。

  • 小山内 詩織, 劉 庭秀, 大窪 和明
    セッションID: A2-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    近年、地球温暖化による気候変動、地震や洪水などの災害発生、廃プラスチックの海洋汚染などが深刻化する状況に伴い、若い世代が環境問題に関心を持ち、これらの問題解決に取り組む若いリーダーを育成するためには、公教育で環境教育を行う必要がある。しかしながら、環境教育に関して知識が不足している教員も多く、教材準備の負担も大きいため、他機関と連携し、協力しながら環境教育に取り組む必要がある。本研究では、仙台市立岡田小学校での廃棄物教育と宮城県白石高等学校でのSDGs教育の事例から、今後の環境教育の新たな取り組みを構築する手がかりを検討した。

  • Dilixiati Dilinazi, Jiang Qiuhui, Nattapon Leeabai , 鈴木 慎也, 高橋 史武
    セッションID: A2-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    日常生活においてゴミの効率的な収集と分類を促進するためには、ゴミ箱は重要な社会的道具である。一般廃棄物は可燃ゴミ、不燃ゴミ、ペットボトルと缶に分けることができる。使用者がゴミ箱を選ぶ時の心理的偏向は、使用者の行動に強い影響を与えていると考えられることから、著者らは市民がゴミ箱のデザイン(特にゴミ箱の色)を選ぶ時に現す偏りに着目し、統計的心理モデルを用いながら研究を行っている。本研究ではWebアンケートを通じて、ゴミ箱の色選好性における構造性について、クラスター分析などの分析結果を報告する。

  • 高橋 朋子, 遠藤 新
    セッションID: A2-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、迷惑施設と捉えられがちな喫煙所が人通りの多い駅前商店街で存続できている要因について考察する。灰皿を設置する商店街の現地踏査を実施した後、灰皿を設置している「A地区の環境を考える会」のメンバーと、中野区都市基盤部担当者にインタビューを実施した。また会が主催する清掃活動への参与を通して、インタビューで得られた結果の検証を行った。A商店会で灰皿が存続する要因として、①顔の見える美化活動をとおした住民間の信頼関係、②区の方針や条例などの関係法令と齟齬がない活動方針、③灰皿を設置した場合としない場合を比較した実績の存在(灰皿を設置する合理的な根拠)、④「環境を考える会」会長のリーダーシップと会員のメンバーシップ、設置場所に関して⑤私有地という個人的活動が成立しやすい場所の存在、が挙げられることが示唆された。

A3 食品ロス
  • 小泉 裕靖, 寺嶋 有史, 飯野 成憲, 辰市 祐久
    セッションID: A3-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    世界全体の資源消費量増加が見込まれる中、国連総会(2015.9)では持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、食品ロス・食品廃棄物の削減が盛り込まれた。日本の食品ロス量は643万t(2016年度)、東京都においても27万t(2012年度)と推計され、削減対策や効果把握に役立つ調査方法の確立が求められている。本研究は、事業系一般廃棄物中の食品ロスについて2つの方法でごみ組成調査を行い、実態把握と調査方法の違いによる組成への影響を分析したものである。その結果、清掃工場への持込の事業系一般廃棄物中の直接廃棄食品は、展開調査では4%、バンカー調査では6%であったこと、調査実施にあたり排出事業者に事前周知をした場合、事業者は直接廃棄食品の排出を控える可能性があること、展開調査に比較し、バンカー調査の方が攪拌による均質化により、ばらつきが小さくなること、などが示唆された。

  • 石村 雄一, 小島 理沙, 石川 雅紀, 松岡 夏子, 菅 幹雄, 大橋 博一, 竹内 憲司, 山口 恵子
    セッションID: A3-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、家庭から排出される食品の廃棄金額について推計するために、神戸市内における677世帯(冬季調査:302世帯、夏季調査:375世帯)を対象とした食品ロスダイアリー調査と、実際の店舗調査を実施した。その結果、食品の廃棄金額は1世帯あたり平均約1,422円/月であることが明らかになった。また、全国推計では年間約9,057億円であることも明らかになった。このことは消費者の購買行動や食品の販売形態に対する政策の必要性を示唆しているものと考えられる。また本研究では食品ロスの処理費用は、年間約565億円であることも明らかとなった。そのため家庭系の食品ロスに対する政策が、自治体の歳出削減にもたらす可能性は大きいと言える。食品ロスの発生が一時的なものではなく、長期的に続くことを踏まえれば、食品ロスの発生抑制に対する政策は、家計支出と財政負担の両方の視点から重要であると考えられる。

  • 栗島 英明, 菱沼 竜男, 大森 玲子
    セッションID: A3-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本報告は、消費者行動由来の食品ロスに対する意識調査の結果について報告を行う。調査では、消費段階での直接的な食品ロスだけでなく、サプライチェーン上において消費者行動由来で間接的に発生する食品ロスも対象とした。調査項目は、食品ロス発生につながる可能性のある行動の実行度、食品ロスに関わる事項の認知度、消費段階で直接的な食品ロスを発生させる行動の認識度、サプライチェーン上で発生する食品ロスにつながる消費者行動の認識度、改善行動の実行可能性、である。

    調査の結果、食品ロスやそれに関連する事項、消費者行動由来の食品ロスについて、多くの回答者が認識し、行動の改善意識も高いことがわかった。一方で、食品ロス発生につながる可能性を認識しつつも、実際には行動を実施していたり、改善が難しいと考えられているものもあった。問題の認識や改善行動の働きかけだけでは、情報提供プログラムとして不十分であることが示唆された。

  • 渡辺 浩平, 岡山 朋子, 山川 肇
    セッションID: A3-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    SDG12.3において半減対象とされる"food waste"に関してはさまざまな定義・解釈があり、その排出実態把握の方法も確立されていない。著者らはこれに関して、国内での先行調査例の検討やヨーロッパの研究者らとの会合を行った。12.3指標の主旨を考慮すると、対象とすべきは可食部のみとし、リサイクル等で有効利用された場合でも廃棄と数えるのが妥当である。また物理的には可食であるが「ふつう食べないところ」や「意図的に除去した部分」は削減取組対象としての優先順位は低く、指標には含まないのが適当であるとした。また、家庭内での食品フローと食品関連行動に注目し、料理の素材、そのまま食べられる調理済み食品、食べ残し、の下位分類を設けることが、各々の発生要因やそれらに対応した発生抑制行動を想起しやすく、取り組みの提案に結び付けやすいと考えられ、その考え方をもとにした食品廃棄物の組成調査の分類区分を提案した。

  • 岡山 朋子, 山川 肇, 渡辺 浩平
    セッションID: A3-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    SDG12.3研究会では、家庭から排出される食品ロスとは、「未利用食品(手付かず食品)」と「食べ残し」であると定義し、その細分類を設定した。この食品ロス分類に基づいて、2018年に東京都X区において、家庭系可燃ごみ細組成調査を夏冬試行した。その結果を報告するとともに、食品ロス実態把握調査としての妥当性を検証する。

    12月調査時の未開封食品の全体に占める割合は2.7%であった。X区のごみ排出実態調査結果を鑑みると実態と大きくはかけ離れていないと言える。12月に実施された京都府精華町のごみ細組成調査結果のうち、肉類などの多量排出サンプルを除いた集計結果と比較すると、X区の12月の結果と近似する。X区の調査結果の妥当性が補完されると考えられる。

    調査時、分類項目について大きな混乱はなかった。分類方法としても一般に理解しやすく、食品ロス削減施策を講じるに際しても有効であると考えられる。

  • 山川 肇, 岡山 朋子, 渡辺 浩平, 小泉 春洋, 齋藤 友宣, 澤田 和郊, 城 洋介
    セッションID: A3-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本稿では、新たに提案した食品廃棄物組成分析手法に基づいて農業地区の組成調査を行うとともに、一時多量排出の食品ロスに注目し、その組成への影響と平均的排出数の推計について検討した。その結果、食品廃棄物中の食品ロスの割合は50.4%で、他自治体の数値と比較して多いが、過去の精華町の農業地区と比較すると同程度であった。一時多量排出の食品ロスとして、多量の自家栽培野菜等が92袋中3袋あり食品廃棄物の6%を占めた。またその他の多量の手つかず食品が入った袋が5袋あり、手つかず食品の約5割を占めた。また質問紙調査により1回の収集日に排出される多量の自家栽培野菜の袋数を推計したところ、6袋と概ね近い値を得た。ただし組成調査のサンプルに含まれていたのは比率的にはその半数で、そのことが前年度調査と比べて自家栽培野菜等の割合が小さいことにつながった可能性が示唆された。

  • 福岡 雅子
    セッションID: A3-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    食品ロスの発生抑制対策で、食品小売店舗において賞味期限や消費期限が近い商品を見切り品として値下げ販売している。見切り品の食品ロス削減効果を確認するため、家庭ごみ袋開袋調査により廃棄される食品容器包装を状態別に計数した。結果を大阪府松原市(人口約12万人)の平成30年度の年間収集量に乗じて廃棄点数を推計すると、同市の家庭ごみ中のプラスチック製食品容器包装は年間で約75百万点となった。そのうち約95%が中身を消費した後に(もしくは中身と分離して)排出され、約5%は未利用の食品を入れて排出されていた。プラスチック製食品容器包装が空で排出された場合は約15%が見切り品、未利用食品を入れて排出された場合は約16%が見切り品であった。これより、見切り品であってもなくても同程度の廃棄を行っていること、食品小売店舗での見切り品の販売は社会全体では食品ロスの発生抑制になることが推定できた。

  • 桐生 侑恵, 松井 康弘, 太田 光一, 岡本 朋樹
    セッションID: A3-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    スーパーマーケット等の小売事業者においては、発注数量から賞味期限・消費期限内の販売数量を引いたものが食品ロスとして廃棄されることになる。日々の販売数量を高精度で予測し、発注数量と販売数量の差を縮小することは食品ロスの削減に直結することから、気象データ・AI(人工知能)を活用した需要予測の高度化が検討されつつある。本研究では、スーパーマーケットで販売される食品のうち、販売数量の日変動が大きく予測が難しいとされるおにぎりに着目し、近年各種予測・分類等への有用性が注目されつつあるDeep Learning(深層学習)を用いて販売数量の予測精度向上に取り組んだので、結果を報告する。

A4 物質フロー分析(1)
  • 佐伯 孝, 藤原 博良, 佐々木 基了
    セッションID: A4-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    産業廃棄物管理票(マニフェスト)に記載されている情報を基に、産業廃棄物の排出場所から処理施設への移動距離を各廃棄物において平均移動距離として算出し、地域における平均移動距離の違いの有無について検討を行った。

    木くず、廃プラスチック類、がれき類について、富山県、静岡県、三重県、大分県における平均移動距離を算出し比較した結果、木くずとがれき類では平均移動距離に大きな差は見られず、廃プラスチック類において、大分県では短く、静岡県、三重県では長くなることが分かった。廃プラスチックでは、再資源化施設の近隣での立地の有無や、排出される廃棄物の性状が平均移動距離に影響を与えていることが原因と考えられた。

  • 藤原 博良, 佐々木 基了, 三浪 純子, 水谷 彼方
    セッションID: A4-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    排出事業者が産業廃棄物を委託処理する際には、都道府県知事等より産業廃棄物処理業の許可を受けた業者に委託して処理しなければならず、許可の有無は排出事業者自らが確認しているが、その確認が不十分である場合等、無許可業者への産業廃棄物の委託等が生じている。

    そこで、三重県が保有する県内の産業廃棄物処理業者の許可情報と、情報処理センターに登録された電子マニフェストデータの整合チェックによる不適正な委託情報の抽出の可能性を検討した。

  • 中西 翔太郎, 高木 重定, 田崎 智宏
    セッションID: A4-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    今後、老朽化した土木建築の解体に伴う土石系の廃棄物が増加する一方で、新規建設需要の低下が予想されていることから、土石系循環資源の再資源化先が不足することが懸念されている。そこで著者らは既報において住宅、工場・倉庫、事務所、土木構造物を対象とした建設時の資材需要、廃棄物排出量、解体時の廃棄物排出量と高炉スラグ、石炭灰、下水汚泥の排出量を推計するサブモデルを組み合わせて、土石系循環資源の需給の大小を比較するモデルを構築した。本発表では、さらに検討を進め、都道府県別の推計を可能としたモデルに改良し、いくつかの対策を導入した対策シナリオでの推計を実施した結果を報告する。

  • 高藪 広隆, 立尾 浩一, 近藤 康之
    セッションID: A4-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、多量の産業廃棄物の発生する事業場を設置している事業者(以下、多量排出事業者)には、産業廃棄物処理計画と実施状況報告の作成および提出が義務付けられている。多量排出事業者による処理計画と実施状況報告は、その対象が日本の全事業者ではない(多量排出事業者に限定される)ものの、事業場レベルのデータが利用できる点で優れていると言えよう。本研究は、公表されている多量排出事業者の処理計画と実施状況報告を収集し、廃棄物排出量等のデータベース(以下、多量排出データ)を作成した。また、産業連関表に対応した部門別・種類別の廃棄物排出量を推計して廃棄物産業連関分析に活用することを目的として、多量排出データの特徴を環境省により推計された「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」と比較して整理した結果を報告する。

  • 中山 裕文, 足達 俊哉, 島岡 隆行
    セッションID: A4-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    今後発生する災害に備えるためには、一般家屋由来の一般廃棄物量だけでなく、社会資本の復旧に由来する産業廃棄物発生量のデータを含め、より包括的な災害廃棄物発生量を推定することが求められる。本研究では、平成28年熊本地震と平成29年7月九州北部豪雨で被災した自治体を対象とし、道路、河川護岸の復旧工事に関するデータを収集し、その結果をもとに社会資本の災害復旧工事に伴う産業廃棄物の発生量を推定し、一般廃棄物発生量との比較、考察を行った。

  • 朝隈 友哉, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
    セッションID: A4-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    循環型社会の形成に向け、都市における詳細な物質ストック分布を時系列で広範囲に渡って把握することが求められる。本研究では、地理情報システム(GIS)による建築物を対象とした年代間の同一性判定を用いることで、東京都市圏における建設資材の偏在性及び動態に関する推計を行なった。

    結果として、東京都市圏全体で2003年から2014年にかけて建設資材蓄積量は1954百万トンから2363百万トンとなり1.21倍増加した。各都道府県で増加率は1.19から1.24であり、建設資材蓄積量と成長率が比例しないことが示された。また、東京都では2009年から2014年にかけて投入量が108百万トン、廃棄量が62.6百万トンであり、建設資材投入量が建設資材廃棄量を上回った。さらに、ストックとフローの関係より、各都市で資材蓄積が行われている一方で、物質代謝の速度が減少していることが明らかとなった。

  • 正木 晃平, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
    セッションID: A4-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    高度経済成長期に蓄積された構造物が老朽化し滞留年数を迎えることによって、今後、建設系副産物の排出量が増大すると予想され、適切に処理するために将来における建設廃棄物排出量の予測が必要となる。本研究では、3次元のGIS(地理情報システム)データに時系列を加えた4d-GISを用いて、奥岡らによる最尤推定法及びモンテカルロシュミレーションにより、各建築物について解体判定を行うことで、将来における建築物副産物の発生量を推計した。対象地域は名古屋市中心部である。詳細地域における地理的条件・社会的条件を考慮した建設副産物発生量の予測を可能とした。結果として、建設副産物発生量は2015-2019年に207.3千トン、2030-2034年に229.5千トンと推計され、緩やかな増加傾向にあった。構造別にみると、木造及び鉄骨造は減少傾向にあり、RC造(鉄筋コンクリート造)は増加傾向にあった。

A5 物質フロー分析(2)
  • 佐々木 基了, 藤原 博良
    セッションID: A5-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    排出事業者が産業廃棄物の処理責任を全うし、適正処理に取り組むためには、それぞれの業種ごとに異なる産業廃棄物の処理の際の留意点を十分に理解することが必要である。

    そこで、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターでは、平成30年度に環境省から委託を受けて、食品関連産業(食品製造業、食品小売業、外食産業等)を対象に、電子マニフェストの活用を含め、排出事業者における産業廃棄物の適正処理に関する取組事例を調査し、排出事業者責任の徹底と産業廃棄物の適正処理に関する体系立った理解や意識の向上を促すことを目的とした業種別事例集を作成した。

    本報告は、業種別事例集作成にあたり実施した、食品関連産業の排出事業者へのヒアリング調査結果をとりまとめ、産業廃棄物適正処理における排出事業者の取組みを参考情報として提供するものである。

  • 田崎 智宏, 稲葉 陸太, 河井 紘輔, 高木 重定, 不破 敦
    セッションID: A5-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、日本の一般廃棄物と産業廃棄物を対象に、循環利用、自然還元、減量化、最終処分の対策階層を考慮した5種類のリサイクル率指標の比較を行った。その結果より、質的側面を評価するリサイクル率指標を開発するうえでは、エネルギー回収の資源代替性と自然還元や脱水等の環境優位性をどのように評価するかが重要であるという示唆を得た。

  • 劉 暁玥, 大窪 和明, 劉 庭秀, 王 爍堯
    セッションID: A5-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    携帯電話は「都市鉱山」の重点回収対象として注目されている。日本は「小型家電リサイクル法」を施行し、より効率的な資源回収を目指している。しかし、リサイクル制度があるにも関わらず、回収目標の達成が難しくなる。一方、通信事業者中心の「モバイル・リサイクル・ネットワーク」の回収量も年々減少し、さらに政府は東京オリンピックの「メダルプロジェクト」を作り、国民に小型家電の回収を促したが、その効果は疑問である。よって、小型家電回収の阻害要因を明らかにすべきである。

     本研究は宮城県を事例に使用済み携帯電話の多様な回収ルートを分析する。各回収主体のインタビュー調査を通じて利害関係者の特徴と思惑を考察した。また、回収された携帯電話の分類・計量実験を通して資源効率性を評価し、回収ルートの違いが使用済み携帯電話の収集と資源回収効率にどのような影響を与えているかを解明した上、小型家電リサイクル制度の改善法を提案する。

  • 稲葉 陸太, 田崎 智宏, 河井 紘輔, 不破 敦, 高木 重定
    セッションID: A5-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    日本全体の物質フロー指標をさらに改善させるには、自治体毎の対策効果を把握しながら追加対策をきめ細やかに設定・実施することが必要である。著者らはこれまで、一般廃棄物処理事業実態調査のデータを活用し、市町村別に施策効果を評価できる一般廃棄物フローの全国モデルを構築してきた。本稿では、同モデルを用いて、既報と同様にBaUと対策の2つのシナリオを設定し、市町村別の一人あたり排出量と循環利用率を推定した。対策シナリオの水準は、今後強化が求められる項目に関しては導入可能な最大値を、それ以外に関しては現在の取組の延長上の値を設定し、既報の設定からは若干の修正を施した。分析にあたっては、4つの人口区分を設定し、前述の物質フロー指標の平均値と分布を求めた。その結果、特に循環利用率に関して多くの自治体において対策シナリオはBaUシナリオを明確に上回る効果を示し、それは人口が少ない区分ほど顕著であった。

  • 大久保 伸, 児塚 美奈, 藤山 淳史, 松本 亨
    セッションID: A5-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、産業廃棄物の適正処理及び循環利用を狭い範囲で実施させる可能性量及びその効果を図ることを目的として、行政が保有する情報やアンケート調査による実態調査結果を活用して、北九州市域外へ搬出して処理されている廃棄物の市域内での処理の可能性量を推計するとともに、市域内移行に伴う影響を二酸化炭素排出量により定量的に評価した。

  • 上鶴 喜貴, 橋本 征二
    セッションID: A5-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    情報通信技術の進歩が目まぐるしく、利便性の向上や課題解決に繋がる技術として期待されている中で、技術の活用により廃棄物管理の効率化や高速化・省力化等が昨今の課題となっている。本研究では、IoT導入による一般廃棄物の収集運搬効率化策を経済面および環境面から評価した。具体的には、京都府舞鶴市内のIoTセンサーを搭載したボックスを対象に、小型家電・ペットボトル・プラ容器包装類3品目の排出状況をモニタリングした。各ボックスの蓄積量が一定量となった時点で複数を同時に回収することにより、収集運搬を効率化する策についてコストとCO2排出量に与える影響を評価した。

  • 山下 奈穂, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
    セッションID: A5-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    間伐材や枝葉・根珠は、低位利用材として潜在需要を有するが、経済統計等の従来の分析によって捉えることが困難である。このような隠れたフローを計測し、効率的な活用システムを構築することは政策的に重要である。本研究では対象地域を日本全国として木質資源量の推計を行った。廃棄物産業連関分析には2000年版の廃棄物産業連関表を応用し、森林・都市動態モデル(Forest and Urban Dynamic Model, FUDM)を用いた推計には林業センサス(2000)の齢級別森林面積をもとに住宅用木材需給の将来変化を踏まえながら未利用資源量の推計を行った。未利用残材量及び炭素蓄積量について、廃棄物産業連関分析では事業系の草・木及びその他の資源量が2,100トン/百万円,炭素蓄積量が2億トン、森林・都市動態モデルでは6億トンの炭素蓄積量が推定され、比較すると4億トン以上の炭素蓄積量の差異が確認された。

A6 国際循環・海外事例
  • 王 柯樺, 中久保 豊彦
    セッションID: A6-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    中国では,多くの省において2015年度時点で衛生処理率は90%を超え,都市生活ごみを衛生的に処理する体制への移行は順調に進んでいる.一方で,処理方式の選択に関しては,埋立方式と焼却方式が混在しており,埋立方式と焼却方式の選択を支援することが求められる.そこで本研究では,埋立方式と焼却方式をエネルギー収支,温室効果ガス排出量の2指標で評価し,脱炭素政策の観点で優位性を論じることを目的とした.埋立方式について,嫌気性埋立に加え,準好気性埋立も解析対象とする.焼却方式について,ごみ質変動を踏まえて補助燃料消費量が推計可能な熱収支解析モデルを開発する.加えて,不燃ごみの分別行動の実施によるごみ組成の変化を踏まえ,焼却炉でのエネルギー収支の改善効果を評価する.最後,「焼却方式・不燃ごみ分別」が優位な技術オプションであると結論付けた.

  • 熊丸 博隆, 竹内 憲司
    セッションID: A6-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    海洋汚染の防止や国内産業の育成などを背景として、2017年12月に中国が廃プラスチックや廃金属、雑誌などの廃棄物の輸入禁止を公表した。日本の再生材料としてマテリアルリサイクルされた廃プラスチックは毎年200万トンに上るが、200万トンのうち8割近くが輸出されており、その大半は中国に向かっている。本研究では、2017年に実施されたこの輸入規制が、その後の日本及び中国のリサイクル市場の余剰にどのような影響を与えたかについて、シンプルな部分均衡分析に基づく定量的評価を行った。分析の結果、日本国内においては輸入規制によりリサイクル市場の消費者余剰がおよそ150億円増加する可能性が示唆された。また中国においては3兆円前後の消費者余剰が減少する可能性があり、これらの事から、中国の輸入規制は日本のように廃棄物を輸出している先進国以上に、中国に対して大きなマイナスの影響を与えることがわかった。

  • 小島 道一
    セッションID: A6-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    海洋プラスチック問題が、国際的に注目されてきている。中国と並んで東南アジアは主要な排出源とみなされている。Jambeck(2015)の推計によれば、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、ミャンマーの6カ国が上位20位に入っている。この6カ国の海ゴミ排出量を合わせると、トップの中国を若干上回ると推計されている。東南アジア諸国の中には、アクション・プランやロードマップを作成し、対策に着手している国がある。本稿では、インドネシア、タイ、マレーシアのプラスチックの発生抑制や資源循環に向けた取り組み、および、廃棄物処理やプラスチックのリサイクルの現状を紹介するとともに、今後の対策の進め方について論じる。

  • 磯部 友護, 川嵜 幹生, 加藤 晃, N.H. Tan, L.N. Cham, N.L. Huong, T.T.V. Nga, N.H. ...
    セッションID: A6-4-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    ベトナムでは急速な経済発展に伴い建設廃棄物が増加しているが,投棄や埋立処理が主でありリサイクルは進んでいない。そこで,本研究ではハノイ市において建設廃棄物の排出状況や処理実態に関する調査を実施した。解体工事を行っている業者へのヒアリング調査から,ベトナムで整備されている分別解体や建設廃棄物リサイクルに関する法令の周知は不十分であることが確認された。市内の解体工事現場での実地調査から,手作業による分別解体と機械解体の併用が一般的であり,金属くずだけでなく一部の混合廃棄物も埋め戻し材として有価取引されていることが明らかとなった。これらのことから,今後は建設廃棄物の流れを明らかにするとともに,分別解体方法などリサイクル推進のためのガイドライン整備が必要であると考えられた。

  • 松井 康弘, 河内 貴史
    セッションID: A6-5-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    ダナン市では、作業管理・収集効率の向上等の目的で収集車両の一部にGPSロガーを搭載し、その走行軌跡に関するデータを常時集積している。本研究では、ダナン市のごみ収集効率の向上に役立つ知見を得ることを目的とし、こうした走行軌跡データを用いて収集効率とその影響要因を検討することとした。また、ダナン市の中心5区において排出されるごみを対象として、本研究で求めた作業原単位を用いて一日の総作業時間を区間推定するとともに、モデルパラメーターの不確実性分析を実施して信頼性を検証した。

B1 廃棄物管理・計画(1)
  • 渡邉 洋一, 山口 純二
    セッションID: B1-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    公益財団法人廃棄物・3R研究財団では、将来の人口減少を見据えた社会コスト縮減と廃棄物エネルギーの回収による低炭素社会実現を目的として、「中小廃棄物処理施設におけるエネルギー回収に関する調査」を実施している。廃棄物エネルギー回収では、生ごみのメタン発酵施設、生ごみと下水汚泥の混合メタン発酵施設および下水汚泥と可燃ごみの混焼施設等の先行事例調査を行った。その結果、ごみ処理施設と下水処理施設が連携することが効果的であると考えられた。

    そこで、廃棄物処理と下水処理の連携の視点から、法律、社会コスト縮減(目標と成果)、技術的課題および廃棄物部門と水部門の関係の4つの項目に分類して行政が留意するべき事項及び取組むべき事項を調査した。更に、先行事例に類似するごみ処理施設と下水処理施設の連携モデルシステム6パターンについて、社会コストの縮減効果や二酸化炭素排出量を推計し、環境性と経済性の評価をした。

  • 杉本 大輔, 高橋 史武
    セッションID: B1-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    廃掃法に定める産業廃棄物の委託基準では、「産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な廃棄物情報を処理業者に提供すること」と定めている。本稿では感染性廃棄物に係わる適正処理に必要な情報の再定義、特化したWDSを再構築する。環境省が提案するWDSは、一定の成分と性状を持つ廃棄物について有効な様式ではあるが、医療機関等より排出される感染性廃棄物は、多種多様な成分と性状で成り立っており、しかも毎回一定ではない現実がある。以上のことから、平成27年に感染性廃棄物に特化したWDSが構築されたものの、今日までの法改正、医療の進歩による新しい医療廃棄物の発生、継続する不適正分別と排出による事故等の事由に依り、当該WDSは陳腐化している事実がある。現在の情勢に合致した内容、なおかつ従来の排出事業者から処理業者への一方向ではなく、双方の情報交換を目的としたWDSへ再構築する必要がある。

  • 張 雨家, 大窪 和明, 劉 庭秀
    セッションID: B1-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    環境啓発キャラクターは、市民に親近感を持たせ、環境意識を高める環境啓発活動の一環として使われており、現在、全国の都道府県と政令都市の半分以上が環境啓発キャラクターを導入している。大半のキャラクターが一般公募によって選ばれており、制作費、広告費が安いことや、ネットの普及により口コミで急速に広がることによって、安価な宣伝費用で大きなPR効果が期待されている。

    本研究の目的は、各自治体の環境啓発キャラクターは導入義務がないにもかかわらず、半数以上の自治体が関連キャラクターを導入していることに注目し、キャラクター導入の廃棄物減量効果がどれだけあるのか、これからの廃棄物減量及びリサイクル政策にキャラクターはどのような役割と果たせるべきかについて分析・考察することである。そこで、20政令指定都市を対象にパネルデータを分析し、各都市の一部属性データとごみ排出量との関係、減量効果を明らかにした。

  • 畢 亦凡, 近藤 加代子, 譚 喬尹
    セッションID: B1-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    循環型社会構築の推進が進んでいる中で、福岡県大木町は2008年に「もったいない宣言を発表し、2015年度のリサイクル率は全国5位の65.3%になった。この意味で循環型社会の先進地と言える。

    大木町が循環型地域づくりに取り組んで住民の意識や行動に一定の成熟があるとして、それはどのような点であるかについては、比較によってより明らかになると考えられる。福岡県みやま市は大木町の近隣自治体であるが、大木町と同じ生ごみとし尿のバイオマス利用システムを2018年から運用を開始した。われわれはみやま市の協力を得て、当該循環システムについて地域説明会が終了して運用開始の直前の時期に市民調査を実施できたので、みやま市を導入期として位置づけ、生ごみの資源循環に取り組む市民行動に対する協力意思とその影響要因について、両者を比較した。

  • 内田 季延
    セッションID: B1-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    日本では、現在も、建材を主として数千万トンのアスベスト(石綿)製品が生活のなかに存在しており、廃棄物としての処理には100年を超す期間を要するとされている。また、アスベスト(石綿)製品を廃棄物として埋め立て処分することは、国内各地に人工的なアスベスト(石綿)鉱山を設けていることにもなる。アスベスト(石綿)製品が生活圏に存在する期間だけでなく、処分したその後も含めて、正しい情報を次世代に伝えていく必要がある。筆者らは,アスベスト(石綿)に関するアンケートと調査を実施し、アスベスト(石綿)という言葉の認知すら十分ではなく、高等教育機関での情報伝達も限られ、特に若年層女性への情報伝達に課題があることが分かった。本稿では、各種情報通信メディア利用に関する調査結果を参考に若年層女性への情報伝達方法について考察する。

B2 廃棄物管理・計画(2)
  • 楠部 孝誠, 河井 紘輔
    セッションID: B2-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では家庭ごみの有料化によって、可燃ごみに含まれる資源ごみであるプラスチックや紙ごみが分別されることによるごみ処理経費の変化を分析するとともに、資源ごみとして分別されている廃プラスチックごみの一部を焼却することによるエネルギー利用の可能性を探る。さらに、今後のプラスチックごみの処理を含めた人口減少社会におけるごみ処理のあり方について検証する。

  • 吉田 綾, 田崎 智宏
    セッションID: B2-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    リサイクル・リユースは、人間活動によって発生する廃棄物由来の環境負荷を低減する手段の一つとして社会に定着してきた。しかし、回収・リサイクル率は向上したものの、リサイクルが免罪符となり大量消費・大量リサイクルになっているという批判もある。他方、第3次循環基本計画では循環の「質」にも着目した取組を国が進めるべきとの考え方が示されたが、具体的にどのような取り組みが質の向上に資するのかについては概念上も十分に整理されていない。そこで本稿では、循環利用に関する新たなタイプの事例を収集し、それぞれの事例の取り組みの内容やどのような質の向上や価値が創出されているかを調査した。収集した50余りの事例を整理したところ、アップサイクル製品加工型,素材再生型,自然還元物利用型,社会貢献型,地域活性化型,オンライン・マーケットプレイス活用型の6つ類型に分類された。

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