廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の289件中201~250を表示しています
E2 最終処分場の維持管理・モニタリング
E3 浸出水・発生ガス(1)
  • 豊久 志朗, 後藤 勝郎, 二見 公之, 平野 豊, 森岡 あゆみ, 八木 弓博, 長野 修治, 樋口 壮太郎
    セッションID: E3-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    我が国の最終処分場は自然の浄化機能とその分解メカニズムを利用する、バイオリアクター型の準好気性埋立構造を基本としている。準好気性埋埋立は、有機物の分解により埋立地からの悪臭の発生を抑制し、良好な浸出水を得ることができ、最終処分場の運営に有効であるとともに、早期安定化に有効な技術である。しかし、埋立廃棄物の種類や量によっては、ガス抜管から硫化水素およびメタンが発生する。我々は、これを抑制する新たな手法として、ガス抜管へ浸出水を供給することによる知見を得たので、報告する。

  • 石井 一英, 阿賀 裕英
    セッションID: E3-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、稼働中のクローズドシステム処分場11施設の散水状況と浸出水質の関係性をまとめた。特に、液固比とCOD、窒素、塩化物イオン濃度の関係性を整理し、安定化に向けたモニタリングについて考察を加えた。

  • 尾形 有香, 石垣 智基, 蛯江 美孝, Sutthasil Noppharit, Witthayaphirom Chayanid, Chi ...
    セッションID: E3-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    当研究グループでは、人工湿地を活用した浸出水管理の適用性評価を実施している。一般的に、人工湿地は、栄養塩類や易分解性有機物の除去に適用されてきたが、タイの現場実証試験において、難分解性画分を多く含む浸出水中のCODCrの除去が可能であることを確認した。本研究では、5年間にわたる人工湿地における浸出水中のCODCrの除去特性について評価した。人工湿地によって、5年間、継続的にCODCrを44-75%除去でき、時間経過とともにCODCrの除去性能の向上が確認された。植栽密度や植物体上部の枯死に関わらず、CODCr除去性能を維持できることを確認した。また、CODCr除去作用は、微生物代謝が主要な作用であることが示唆された。人工湿地によって、浸出水中の難分解性有機物を中長期的に除去できる特性は、埋立終了後も含めた長期的な浸出水管理への適用可能性を示すものである。

  • 為田 一雄, 宋 雨霖, 内田 正信, 花嶋 孝生, 厳 厚亮, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    我が国では埋立処分される廃棄物に占める焼却残渣の割合が大きく、浸出水水質への影響については脱塩剤や飛灰の不溶化剤に起因すると言われている。これまでの研究では、脱塩剤、不溶化剤の組み合わせでは脱塩剤の種類にかかわらず不溶化剤を用いるとCOD、T-N濃度が高濃度化することを確認している。また、高反応型石灰に含まれるTOCの溶出が要因であるとしている。しかし、浸出水水質への脱塩剤と不溶化剤の影響度合いについて明らかなっていない。今回の研究では、脱塩剤及び不溶化剤の成分分析を行い、更に廃棄物1t当たり浸出水への影響要因の検討を行った。その結果、PIP系では全ての脱塩剤でPIP系が大きく、リン系ではCODに関しては不溶化剤が、T-Nに関しては脱塩剤が大きいことが確認でき、リン系のT-N以外は浸出水水質への影響要因としては、不溶化剤が大きいことが確認できた。

  • 花嶋 孝生, 宋 雨霖, 為田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    一般廃棄物最終処分場に埋立処分される廃棄物の内、焼却残渣の浸出水水質への影響については焼却排ガス処理に用いられる脱塩剤や飛灰の安定化処理に使用される不溶化剤に起因すると言われている。脱塩剤、不溶化剤の組み合わせでは脱塩剤の種類にかかわらずキレート剤を用いるとCODMn、T-N濃度が高濃度化する。これらの背景下、脱塩剤(高反応型石灰)及び不溶化剤(PIP系キレート剤)の組み合わせによる埋立模擬実験の長期モニタリング結果から、CODとT-Nに着目し、脱塩剤、不溶化剤が浸出水に与える影響について比較検討を行った。結果として、高反応石灰とPIP系キレート剤が浸出水水質に与える影響は双方ともあると考えられるが、高反応石灰は初期濃度に影響が高く、長期的に見るとPIP系キレートによる影響が大きいと示唆された。

  • 鈴木 和将, Huynh Quang Huy Viet, 宇田 智紀, 水藤 寛
    セッションID: E3-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究は、埋立地における浸出水・ガスの正確な予測制御の実現を目的とし、埋立層間隙構造と流体との関係を解明する。近年、形の記述に関して、Topological Data Analysis(TDA)という新たなデータ解析手法が開発され、様々な分野への応用が進められている。本研究では、TDAを間隙構造解析に適用し、これまで従来法では特徴づけができなかった間隙構造の定量化を試みた。具体的には、パーシステントホモロジーを用いて、間隙構造の定量化及び特徴的な空洞の情報を抽出し、幾何構造と流体挙動の指標であると透水係数等との相関を調べた。

E4 浸出水・発生ガス(2)
  • 酒井 隆彬, 灘 重樹, 尾形 有香
    セッションID: E4-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本調査では、旧長尾山処分場(兵庫県神戸市北区)において、浸出水処理施設の内、更新が必要な一部設備を人工湿地に代替出来ないか検討したものである。人工湿地は、処理面積の確保が必要であるが、本処分場は山間に位置し、人工湿地の設置に利用可能な面積に制限があることから、既設浸出水処理施設で前処理を行うことで、現在国内で実験が行われている埋立処分場浸出水を対象とした人工湿地の水面積負荷と比較して、負荷量を一桁高く設定して、調査を行った。その結果、人工湿地処理水は浸出水処理施設処理水と比較しても水質に大きな違いは見られず、目的の効果が確認できた。さらに、想定より高濃度の汚水が流入した場合でも、通常時と除去率に大差はなかったことから、水質的には、人工湿地で一部施設の代替が出来る可能性が高いことが確認できた。

  • 山脇 敦, 土居 洋一, 青澤 裕章, 小林 優子, 円子 聖
    セッションID: E4-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    産業廃棄物安定型最終処分場等での埋め立ては、ダンプトラックから投下された後、層厚10cm程度になるように重機で締固められながら行われるため、10cm程度以上のプラスチック等は主に水平方向に堆積する。このため、地盤中での雨水の流下はプラスチック等により阻害され、水は複雑に屈曲したプラスチック等の凹部に貯留される(既往研究で確認)。また、こうした堆積形態から、水の流れに異方性があることも推測される。本研究では、水の流れの異方性に着目して、土槽(1m3)を用いた浸透実験を行って、水の流れの異方性の確認や水質に与える影響を調べ、廃棄物地盤中の水の流れに顕著な異方性があることを確認した。こうした地盤中では、水は水平方向よりも鉛直方向の方が流れにくいことが示唆され、処分場の設計、維持管理にあたっても埋立廃棄物のサイズを小さくする等により鉛直方向に水を流れやすくする工夫が必要であると考えられる。

  • 平田 修, 藤冨 友祐, 立藤 綾子, 鈴木 慎也, 柳瀬 龍二
    セッションID: E4-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    筆者らは埋立地からの温室効果ガス発生量を予測する手法について大型埋立実験槽の実験結果を用いて検討しており、これまでに、埋立ガスの発生が活性化する前の可溶化期間における浸出水への炭素溶出量の予測式の提案を行った。埋立地からの温室効果ガス排出量の予測式としてはIPCCの提唱するFODモデルが用いられており、その式の一部に炭素排出量の予測式が含まれている。本検討では、嫌気性埋立構造を用いた大型埋立実験槽の結果を用いて①ガス化期間におけるガス化量と溶出量の経時変化の確認、②可溶化期間と炭素溶出量を考慮した改訂FODモデルと実測値の比較、③埋立地からの炭素排出量予測精度の評価、を行った。その結果、①埋立地からの発生炭素量の予測には廃棄物分解を可溶化期とガス化期に分けて検討する必要、②ガス化期間における炭素排出量は可溶化の期間と排出炭素量を考慮した改訂FODモデルで予測が可能である事が明らかとなった

  • 武下 俊宏, 村田 真理, 中村 浩
    セッションID: E4-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物から回収される副生塩等の塩類を廃石膏のH2S抑制に利用可能か検討した。また、H2Sの発生が抑制される塩濃度においても廃石膏の生物学的安定化が起こりうるか確認した。廃石膏試料を用いた嫌気培養実験の結果、CaCl2-4%、KCl- 6%、NaCl-7%、副生塩-5%の塩濃度において、H2Sの発生は確認されなくなった。培養液の細菌叢解析の結果から、これらの塩濃度において硫酸還元菌の生育が抑制されていることが確認された。しかし、微生物の活動を示すCO2の発生やTOCの増加等の現象も確認された。そこで、廃石膏試料にCaCl2-4%水溶液を加える嫌気培養を塩水を一月毎に3回入替えて行ったところ、その後の試料はH2S発生条件においてもH2Sを発生させることはなかった。

  • 田村 浩人, Ho Nhut Linh, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    セッションID: E4-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    現在、日本では気候変動の影響により豪雨が頻発し、将来的にも増加が見込まれている。このため最終処分場では極端豪雨を想定した調整池及び浸出水処理施設の設計や、環境保全のための最終処分場の極端豪雨対策が求められる。そのためには、極端豪雨時の浸出水水質の挙動及び水質の予測が必要となる。本研究では極端豪雨時に発生する浸出水の水質に及ぼす影響を評価することを目的に一般廃棄物焼却灰充填カラムによる散水実験を行った。平均降雨を模した散水と豪雨を模した散水を行うことで極端豪雨による影響を評価した。豪雨によってカラム内の保水量や水分移動現象などに違いが出ることで、浸出水の水質に影響を及ぼすということが把握でき、散水強度が大きいほどその影響は大きいとわかった。

  • 長森 正尚, 川嵜 幹夫, 長谷 隆仁, 磯部 友護, 鈴木 和将
    セッションID: E4-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    埋立廃棄物は、雨水浸透による有機物の分解や浸出水への化学物質の洗い出しにより徐々に安定化する。空気侵入が増えれば、好気性分解の促進により埋立廃棄物が短期間で安定化する可能性がある。本研究では、管理型最終処分場の一区画で中間覆土を砕石に変えた実証試験を約1年間実施した。砕石層は、単粒砕石S40をガス抜き管間の全長31m、幅1.5m、深さ0.5mに敷き詰め、砕石層中央に直径200mmの有孔管を設置した。対照区で雨季に層内が嫌気性雰囲気になり、メタン及び硫化水素ガスが発生しアンモニアイオン濃度が上昇した。砕石区で同様の現象がみられなかったが、雨水の浸透量が対照区より少なかったためと考えられる。なお、乾季になると両区画とも好気的な雰囲気であった。準好気性埋立の第1層は、集排水管が直下にあることに加えて、表層からの空気の侵入も容易であり、過剰の浸透水がなければ好気的な雰囲気になると考えられた。

E5 有害物質の挙動・跡地利用
  • 小堀 満代, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦
    セッションID: E5-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    アルミノ珪酸塩(微斜長石、もしくは長石合成材料)は加熱条件下でCsCl中のCsを捕捉し、難溶性態化する。しかし、飛灰が共存することでその捕捉効率は大幅に低下する。本研究では、飛灰中のアルカリ元素がCsの捕捉阻害を引き起こしていると仮定し、阻害に寄与する元素の明確化、化合形態の影響、阻害を回避する手段の確立を目的に検討を行った。結果として、アルミノ珪酸塩によるCsの捕捉を主に阻害しているのは飛灰中のCaであり、阻害するCaの化合物はCaCl2であることが判明した。Caの形態をCaCl2からCaCO3に変化させる前処理を実施した結果、Csの捕捉率は改善した。但し、飛灰量が増えると捕捉率は再度低下する傾向を示し、他のアルカリ元素の増大が影響していることが伺われた。

  • 肴倉 宏史, 三浦 俊彦, 小竹 茂夫, 森下 智貴, 諸冨 鉄之助
    セッションID: E5-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物や建設資材には、焼却灰やセメント系改良土など、浸出水のpHがアルカリ性を呈するものが多い。浸出水を系外に排出する際は、環境保全上支障のない範囲にpHを調整する必要がある。ここで、焼却灰の溶出試験後の溶出液は、ろ過直後はpH 12以上のアルカリ性を呈する場合が多いが、ろ液をそのまま放置しておくと大気中のCO2を吸収し炭酸カルシウムCaCO3の白色沈殿を生成させながらpHが次第に低下する。この現象を利用して、アルカリ性を呈している浸出水のpHを十分に低下させることができれば、コスト上も合理的に、生物・生態系への影響を緩和できる可能性がある。そこで本研究では、焼却灰溶出液が大気中のCO2によって中和される際のメカニズム、ならびに大気平衡状態に到達した時のpH値の予測計算方法について考察した。

  • 田中 裕一, 加島 史浩, 鵜飼 亮行, 宮脇 健太郎
    セッションID: E5-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    海面処分場を早期に安定化する方法として、廃棄物層に二酸化炭素を含む気体を供給する方法が考えられる。そこで、焼却灰を充填した小型カラムと大型カラムに二酸化炭素を含む気体をカラム下方から供給し、保有水や焼却灰のpHが12から9前後まで低下することを確認した。また、処理により鉛の溶出量が低下することを確認した。

  • 前田 拓磨, 島岡 隆行, 小宮 哲平, 中山 裕文, 渡辺 修士, 平尾 隆行, 竹本 誠, 鵜飼 亮行, 加島 史浩, 前田 直也
    セッションID: E5-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    海面処分場では埋め立てた廃棄物の安定化に時間を要し、維持管理のコストの増加及び円滑な土地利用の障害となっており、早期安定化のための対策が必要なっている。焼却灰は粒径の小さいものが汚濁成分を多く含むことが知られており、焼却灰から細粒子区分(粒径0.425mm以下)を除去して海面処分を行うことにより、早期安定化が期待される。本研究では、開水路分級に着目し、開水路分級実証実験を実施した。その結果、投入焼却灰のうち細粒子区分の約6割を除去できた。開水路内における焼却灰の沈降速度は理論値よりも遅く、分級対象粒径(粒径0.425mm)の沈降速度はアレンの式の約8割であった。また、堆積灰より流出灰の方が汚濁成分量が多いことが確認され、開水路分級による安定化促進効果が期待された。

  • 納庄 一希, 山崎 智弘, 高井 敦史, 勝見 武
    セッションID: E5-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    全国の主に都市圏に整備されている管理型廃棄物海面処分場では、埋立進捗に伴い処分場内保有水のpHが上昇している。この原因は埋立廃棄物に含まれる消石灰などが保有水中に水酸基を放出するためである。廃棄物埋立終了後、廃棄物の間隙を浸透した浸出水は、集水して基準を適合するよう処理した後に外海に放水しているが、その実施期間が長期化することが課題となっている。著者らは、埋立過程において経済的な対策を施すことで、埋立廃棄物の間隙水pHを低減させ、埋立完了後の水処理期間を短縮することを検討している。アルカリ化した保有水を中和する手法のひとつとして、大気中からの二酸化炭素の溶解が挙げられる。本研究では、別途の対策でpHが10以下となった保有水を対象とし、アルカリ化させた海水への大気中CO2の溶解実験を行い、pHごとのCO2の溶解量から溶解フラックスとみかけのヘンリー定数を評価した。

  • 劉 佳星, 樋口 壯太郎
    セッションID: E5-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却残渣中には、大量の塩素が残存している、最終処分場では浸出水中の塩化物イオン濃度が高まり、浸出水処理施設の適正稼働に支障をきたす事例等が生じている。その対策のために脱塩処理を行うと副生塩が発生する。また、飛灰は特別管理一般廃棄物であるためPb等の溶出防止のためキレート剤処理を中心とした不溶化処理が行われている。しかし、キレート剤により不溶化された飛灰を埋立処分すると、残留キレートにより、浸出水中の窒素やCOD濃度が上昇し、浸出水処理に支障を来す。このため、我々は無機系薬剤に変えることにより、これらの問題を解決できることを確認している。しかし、キレート剤と比較し無機系薬剤は添加量が多く経済的なデメリットが考えられる。今回副生塩から生成させた「エコ酸」と無機リン系薬剤を用い、添加率を低減させるための基礎的実験を行ったので報告する。

  • 吉井 清隆, 長尾 有記
    セッションID: E5-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    国内での石炭灰発生量は年々増加傾向である一方で、その用途は約8割がセメント・土木分野、残り大半が埋立であり、前者は消費減少傾向、後者は用地逼迫傾向にある。中でもセメント需要の低下においては、石炭灰だけでなくセメント製造時に使用される様々な廃棄物の用途先にも今後問題となることが予想される。このような廃棄物利用には、多種多様の有害元素が含まれているため、それらの除去又は溶出抑制が必須であり、我々は、昨年の第29回廃棄物資源循環学会で石炭灰と汚泥等の廃棄物との混焼により、環告第46号及び耐酸性100年試験でも、これら有害元素の溶出量が基準以下となることを報告した。今回は汚泥等の廃棄物がどのように有害元素の不溶化に寄与しているかを探る中で、燐及びCaが重要な役割を果たしていることを見出した。

    以上現在開発中の廃棄物を活用した石炭灰からの規制対象元素の溶出抑制の新たな可能性について報告を行う。

  • 池田 泰良, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦, 山田 正人
    セッションID: E5-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    遮断型処分場で処分される特定有害廃棄物の一種であるばいじんを対象に、処分場内雰囲気が重金属類の溶出特性に与える影響を風化加速試験から検討した。粒子表面に吸着水が存在する湿潤な環境では、主要な成分の内、Cd、Pb、Mn、Znの溶出濃度の減少が確認された。一方で乾燥かつCO2が飽和した環境では溶出濃度の増大が認められた。前者の現象は粒子表面吸着水を介した水酸化物の生成、後者は気相CO2のFe3O4及びZnOへの吸着の影響であると考えられたが、いずれについてもさらなる科学的な検証が必要である。本研究で得られた知見は遮断型処分場に処分される有害廃棄物からの重金属溶出が時間経過と共に変化する可能性を示すものである。

  • 宮脇 健太郎, 疋田 修平, 田中 裕一, 加島 史浩, 鵜飼 亮行
    セッションID: E5-9-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    被覆型最終処分場は、雨水が入らないため、一般的には安定化のため人工散水が実施される。焼却残渣はアルカリ性物質が多く含み、長期にわたり廃棄物層pHは高い値を示すことが多い。長期的な浸出水管理の観点からは、廃棄物層についてpH10程度まで低下することが望ましい。本研究では、カラムに充填した焼却灰層への散水・大気通気を繰り返し、廃棄物層pH低下の面から安定化促進の効果について実験的に検討を行った。通水L/S4程度、通気1000時間(6L/min)程度で、カラムの浸出水pHは初期12.5から10.5まで低下した。また、通気試験後の充填焼却灰の溶出試験では、焼却灰pHは散水のみ12と比べ10前後まで低下した。本実験条件では、通気により早期に浸出水pHおよび廃棄物層pH(溶出試験pH)を低下できることが確認された。また、流出CO2を指標として、廃棄物層中和の程度について把握できることが示唆された。

  • 坂本 篤, 和田 崇史, 渡辺 修士, 井塲 道夫, 浜田 利彦, 山崎 将義, 上杉 章雄, 谷澤 房郎, 石井 一英, 海老原 正明
    セッションID: E5-10-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物最終処分場は埋立開始から供用期間を経て埋立完了、閉鎖ののち一定期間の維持管理を終え廃止に至る。監督部署である都道府県や保健所政令市(政令指定都市、中核市および政令で定める市は地域特性を考慮して廃止基準を運用している。現在、廃止基準が設定されてから約20年が経ち、徐々に廃止された最終処分場が増えつつある。また、最終処分場の閉鎖や廃止後に跡地を利用することによって土地の有効活用が期待できる。しかしながら、監督部署の廃止基準の運用状況や跡地利用の状況に関する情報はほとんどない。本稿では、監督部署の廃止基準の運用状況や跡地利用の状況に関するアンケート調査結果の一部について報告する。

  • 髙地 春菜, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 佐藤 研一, 肴倉 宏史
    セッションID: E5-11-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    昨今、最終処分場の残余容量不足を背景に、環境負荷が小さい焼却残渣改質技術の開発が渇望されている。通気による焼却灰の炭酸化処理は、Pbの溶出抑制や塩類溶出促進による焼却灰の長期安定化への寄与が期待されるが、有害物質として規制される六価クロムの溶出促進が報告されており、注意が必要である。本研究では、一般に酸化還元電位の増加に伴い三価クロムから六価クロムに酸化されることから、酸化還元電位に注目し、炭酸化前後における焼却主灰の特性およびその溶出傾向について調査した。全国の一般廃棄物焼却施設から採取した6種の焼却主灰について、円筒型のカラムを用いて、CO2通気による炭酸化試験を行った結果、炭酸化の進行に応じて溶出液の酸化還元電位は上昇していた。一方で、炭酸化による酸化還元電位の上昇と六価クロムの溶出促進に相関関係が得られたのは1種のみにとどまり、灰種による溶出傾向の違いが確認された。

  • 北村 洋樹, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E5-12-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究では、最終処分場から採取したコア試料に生息する尿素加水分解細菌の生息状況を把握するとともに、その尿素加水分解活性を評価した。その結果、尿素加水分解能力を有する細菌は最終処分場内には普遍的に存在しており、長期的な時間軸で重金属の生物学的鉱物化が生じる可能性が示唆された。

  • 曽我 孝彰, 黄 仁姫, 松藤 敏彦, 松尾 孝之, 東條 安匡
    セッションID: E5-13-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却により発生した飛灰と主灰のうち,飛灰は特別管理一般廃棄物に該当するため,キレート処理などにより重金属に対して不溶化処理を行うことが義務付けられている。一方,主灰についても鉛の有害性判定基準である溶出濃度0.3mg/Lを超えるものがある。本研究では主灰を対象とし,灰の組成から,鉛溶出量への影響因子と鉛溶出量の関係を明らかにすることを目的とした。

     鉛含有量は試料間に大きな差はなかったが,溶出濃度にばらつきが見られた。鉛は両性金属であるため,高pH域で溶出濃度が高く,pHと酸化カルシウム量との間に正の相関が見られた。主灰の水冷時に酸化カルシウムは水和反応により水酸化カルシウムとなり,ピット保管時に大気中の二酸化炭素によって炭酸化が起こる。この炭酸化によりpHが減少するため,ピット保管時の炭酸化の進行度により,鉛の溶出濃度に差が生じると考えられる。

  • 土手 裕, 関戸 知雄
    セッションID: E5-14-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    飛灰をセメント固化することによる塩類溶出抑制技術の開発を目的として,セメント固化体の比表面積と固化体重量当たり溶出量の関係を明らかにするために,一辺の長さが異なる3種類の立方体供試体を作成しタンクリーチング試験を行った.その結果,比表面積が小さくなるにつれて無次元累積溶出量は減少しており,比表面積を小さくすることで塩類の溶出を抑制できた.今回用いたモデルは6cm以上の供試体の溶出現象をよく表現できると言えた。しかし、枯渇条件に近づくと計算値の方が実測値よりも大きくなる傾向が見られた。

  • 石森 洋行, 遠藤 和人, 肴倉 宥史
    セッションID: E5-15-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却灰やスラグ等の循環資材を土質系材料としての有効利用を考える場合、循環資材に含まれる化学物質の溶出や拡散が懸念されるので、その環境安全性評価に必要な化学物質の長期溶出挙動を予測できる数理モデルが求められている。実際の現場で用いられる循環資材からの溶出を考える場合、その間隙を流れるみず道の影響は特に重要な因子であり、みず道は水分と試料の接触面積を制限し溶出量を少なくする、みず道には流れが集中するため溶出した化学物質の移動が促進される等、従来研究のようなビーカー試験では解明できない重要な現象であるので、本研究ではカラム溶出試験やX線CT、数値解析を通じて、みず道を考慮した物質動態モデルを構築した。

  • 鈴木 拓也, 伝法 魁茅, 渡邉 秀生, 福士 憲一
    セッションID: E5-16-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    現在、産業廃棄物不法投棄現場において有害物質による地盤・地下水汚染が問題となっている。当該現場(青森県側)では、揚水浄化法(汚染地下水の洗い出し)により1,4-ジオキサン汚染地下水の浄化を実施しているが、難透水性地盤では、1,4-ジオキサン濃度は横這い傾向であり揚水浄化による浄化は容易でない。本研究では,揚水浄化および集水井戸による浄化効果を検証するため水質モニタリングを行うとともに1,4-ジオキサンに汚染された難透水性地盤を対象とした原位置環境修復技術に関する基礎的検討を行った。

F1 廃石綿・感染性廃棄物・除染廃棄物
  • 古川 和邦
    セッションID: F1-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    福島第一原子力発電所の貯蔵汚染水などの汚染水に対し、完全蒸発乾燥処理を行い規制値以下として大気放出しゼロ排水化する技術を研究し、さらに短期間に大量処理可能なプロセスと装置を研究した。その研究開発状況を発表する。 筆者は噴霧乾燥技術を1985年以来研究してきてそれを発展させ、1997年より「ダイオキシン対策焼却炉排ガス瞬間冷却技術」を研究開発した。さらに噴霧乾燥による排水の無排水化技術を研究して、2017年に「火力発電所やボイラーの脱硫排水噴霧乾燥技術」を研究開発した。

    本稿では、その火力発電所やボイラーの脱硫排水噴霧乾燥技術の研究開発状況と、2019年より開始した福島第一原子力発電所の貯蔵汚染水処理の研究について発表する。

  • 田端 正明, 上田 晋也
    セッションID: F1-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄建材中のアスベスト(クリソタイル)の色素染色によって迅速で簡単な検出法を確立した.災害現場で採取した建材を1~2 mmの大きさに砕き,蟻酸で汚れを除去した。数粒をホットプレートで5分間乾燥後,陽イオン性色素と陰イオン性色素で染色し,実体顕微鏡(x45倍)で観察した。建材素材は陽イオン性色素(メチレンブルー等)で容易に染色された。一方,建材中のアスベストは95%以上がクリソタイルであり陰イオン性色素(エリスロシン等)で染色された。クロシドライトとアモサイトはエリスロシンで染色されず,メチレンブルーで青色に染色された。銅クルロフィリンでは建材全体が薄緑色になり、エリスロシンを添加するとクリソタイルはピンクに染まった。染色後の色調と形状の違いにより建材中のクリソタイルを建材素材及びクロシドライトとアモサイトと区別できた。ガラスウール,シリコンウール,ロックウールは染色されなかった。

  • 須藤 れな, 熊谷 将吾, 齋藤 優子, 亀田 知人, 吉岡 敏明
    セッションID: F1-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    福島第一原発では地下水の流入により汚染水が発生しているため、90Srおよび137Csを高濃度で含む汚染水の浄化処理が続いている。現在、ゼオライト等の吸着剤による処理が行われているが、水処理二次廃棄物が大量に発生するため二次廃棄物の発生量の少ない技術が求められている。そこで本研究は、Cs+およびSr2+の錯形成物質としてそれぞれテトラフェニルホウ酸(TPB)およびDicyclohexano-18-crown-6(DCH18C6)を選択し、Cs+およびSr2+をベンゼトニウムおよびp-トルエンスルホン酸からなるイオン会合体相へ同時に抽出するプロセスを検討した。本検討条件の中では、錯形成物質としてTPBおよびDCH18C6を10倍量添加した場合に、小体積のイオン会合体相へ、より多くのSr2+およびCs+を同時に抽出できることが明らかとなった。

  • 辻井 張希, 中村 祐太, 塩田 憲司, 日下部 武敏, 藤森 崇, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: F1-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    放射性物質に汚染された廃棄物の減容化処理により発生する焼却残渣の処分において、セメント固化に代わる新しい固化技術としてジオポリマーが注目され、Cs溶出率の低い固化処理法が開発されている。しかし、その不溶化機構は完全には解明されておらず、Csが不溶性のポルサイトの形で固定化されている可能性や、溶出試験の際にサンプルから一旦溶出したCsが吸着されて固定化されている可能性がある。本研究では、ジオポリマーによるCs不溶化機構の解明を目的とし、CsCl溶液および競合元素を多く含んだ飛灰洗浄摸擬溶液に対してCs吸着試験行い、吸着によるCs不溶化の寄与を調査した。吸着試験で得られた吸着等温式を使用して、飛灰使用ジオポリマーの溶出試験結果から、吸着による不溶化は材料中Cs量の約2.3%と算出できた。このことから、先行研究の知見を考慮すると、不溶化の主な機構Cs化合物のポルサイト化であることが確認された。

  • 土谷 悠真, 平井 康宏, 浅利 美鈴, 酒井 伸一
    セッションID: F1-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    現在、日本国内では石綿の使用が禁止されているが、石綿含有建材は未だ建築物内に残存している。

     本研究では、住宅解体と屋根交換をモデル化することで、化粧スレート中の石綿ストック量の推移を推定した。住宅解体・屋根交換が行われる確率と経過年の関係や、交換の際の屋根材選択を表したベイズ統計モデルのパラメータを、アンケート調査の結果から推定した。推定結果を用いて、スレート中の石綿ストック量・排出量の推移を推定した。

     推定の結果、石綿ストック量は2059年には約17万トンにまで減少すると予測され、そのうち金属屋根が上から被せられたものが約3割を占めると推定された。石綿排出量は2030年にピークに達し、その後減少を続けると推定された。そのうち、金属で覆われたスレートからの石綿排出量は年々増加し、2059年には全体の約25%を占めると推定された。

     推定結果より、屋根交換にも注目することの重要性が明らかとなった。

  • 小田 ちなみ, 倉橋 健介, 吉原 静恵, 徳本 勇人
    セッションID: F1-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    C. elegansはアンフィド感覚ニューロンが光を感知して負の走光性を有し、微生物を捕食する。生物処理に用いる微生物の回収は、多大なコストがかかる。そこで、C. elegansによる微生物捕食を利用した除染プロセスの構築を検討した。まず、CsClを含有する微生物をC. elegansに給餌し、培地表面積当たりの線虫増殖数を特定した。次に、C. elegansを散布した赤玉土に青色光を照射し、光忌避したC. elegans を回収率として算出し、12時間で回収率が56.2%に達することを見出した。線虫による137Cs回収量は既に確認しており、本研究により、青色光照射下のC. elegansによるCsClと137Cs回収量との相関係数を推算できた。従って、137Cs汚染土壌の表面積測定により、137Cs回収量を想定することが可能となり、様々な放射線量の汚染土壌に対し、線虫による除染化の検討が容易となった。

  • 山田 航平, 倉橋 健介, 星 英之, 吉原 静恵, 徳本 勇人
    セッションID: F1-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    重金属含有のバイオマスを嫌気発酵分解する際に、重金属を含有した微生物の集塊である発酵汚泥から重金属を除染する必要がある。そこで、発酵汚泥に線虫を播種し、微生物が吸収した重金属を線虫体内に移行できるのかどうか、プロセス化に向けた検討を行った。対象の重金属には、カドミウム(Cd)を用いた。天然環境から採取した線虫にCd含有の汚泥培養液を給餌した結果、良好な増殖が見られ、採取した線虫群はCd耐性を有する可能性が示唆された。また、線虫の18S rRNAの塩基配列をアライメントし、解析対象の標的配列を決定した。さらに、5種類の典型種の配列を用いて、系統樹比較を実施し、線虫種の同定法を確立した。加えて、モデル線虫の亜種で、集団行動をする変異株では、同様の検討で、Cd回収量が増加することを見出した。以上より、重金属耐性と回収に優れた線虫を探索し、プロセス化線虫による発酵汚泥の除染が可能であると推察される。

F2 有害性有機化合物・金属
  • 野間 淳一, 髙木 和広, 栢岡 理
    セッションID: F2-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    低濃度PCBは主に焼却処理によって処分されているが,PCB濃度に比して多大な費用を要している.そこで,本研究では,常温・常圧における分解法の一つであるゼロ価鉄ナノ粒子(以下 NZVI)を用いたPCBの脱塩素化分解法に着目した.本法は常温,常圧下でPCBを脱塩素分解し,さらに,有害な副産物を生成することがないなど,優れた技術であるにもかかわらず未だ実用化には至っていない.著者らが既往の文献に従ってPCBの脱塩素分解を試みたところ,下記の2つの課題が障害になっていると考えられた.1つは,水溶液中で合成したNZVIは急速に酸化し,その還元力を失うために長期に亘ってPCBを脱塩素分解することが困難なことである.もう一つは,油が混入した場合,分解率が著しく低下することである.本研究ではこれらの課題を解決し,本法を実用化することを目的とした.

  • 藤森 崇, 小倉 正裕, 江口 哲史, 西田 崇矩, 高岡 昌輝
    セッションID: F2-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    金属ナトリウム分散体法は、金属ナトリウム(Na)の微粒子を油中に分散した金属Na分散体により有機塩素化合物を脱塩素化し、無害化する技術である。短鎖塩素化パラフィン類(SCCPs)は、主に金属加工油剤やプラスチックやゴムの難燃剤として使用されてきたが、近年、POPs条約において附属書A(廃絶)の対象となり、今後その適切な無害化処理が要求される。本研究では、比較的低温で、かつ、水素供与体により反応過程における重合副生物の生成を抑制できる金属Na分散体法である「SP法」によるラボスケールでのSCCPs処理実験を実施し、同法による処理効果を検討した。

  • 西田 崇矩, 藤森 崇, 三宅 祐一, 王 斉, 江口 哲史, 高岡 昌輝
    セッションID: F2-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    2017年ジュネーブにて、ストックホルム条約(POPs条約)の第8回締約国会議が開催され、短鎖塩素化パラフィン(以下SCCPs)が同条約の附属書A(廃絶)に追加されることが決定し、SCCPsの製造・使用が禁止された。管状炉を用いた850℃でのSCCPs燃焼試験を行い、分解率を算出した。しかし、クリーンアップが適切でない点、SCCPs分析の定量下限値が高い点から、バーゼル条約の技術ガイドラインの定める分解率(99.999%)の検討が出来ない点等、分析における問題点が解消されないままであった。また、燃焼条件においても、燃焼試験で多量の未燃分が発生する点、設定温度でのSCCPs試料の滞留時間が制御できない点等、問題点があった。本研究では、設定温度での試料滞留時間が制御可能な炉を用いて燃焼条件の問題点を改善と、分析方法の改善で、バーゼル条約の技術ガイドラインの定める分解率を評価可能にした。

  • 山田 加奈子, 熊谷 将吾, 白鳥 寿一, 渡辺 壱, 亀田 知人, 齋藤 優子, 吉岡 敏明
    セッションID: F2-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入により太陽光パネルの導入量は急激に増加した。しかし、先行した住宅用FITの買取期間は終了を迎えるものもあり、今後はパネルの廃棄にも配慮が必要となる。よって、廃棄予測のためにもパネルの寿命や劣化度合いを知ることが重要となる。本研究では、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA) 封止材を用いた加速劣化試験を実施し、紫外線照射中に発生するガスの分析、劣化後試料のキャラクタリゼーションおよび熱分解を行いEVAの劣化挙動を検討した。本研究の結果より、紫外線照射中に生じる光酸化反応による揮発生成物の同定が可能となった。また、EVAの光酸化反応によってラクトンおよびケトンが主に形成されること、劣化によりエチレン主鎖が切断されEVAが低分子量化することが示唆された。また、劣化度の違いによる熱分解特性の変化も明らかとなった。

  • 高見 侑佑, 藤森 崇, 向井 康太, 西田 崇矩, 三宅 祐一, 王 斉, 高岡 昌輝
    セッションID: F2-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    臭素系難燃剤等として使用されているデカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)は国内および国際的に規制されているが、過去の製品等として残存しており,分解処理が必要とされている。しかし、現在BDE-209の熱分解処理に関する研究は十分な知見が蓄積されていない。 本研究では、未燃分が発生する不完全燃焼系とそれが発生しない完全燃焼系の2通りの燃焼炉において熱分解試験を行い、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)を用いた定量・定性分析によって、分解副生成物を含めた総合的な熱処理技術を評価することを目的とした。結果として、十分な滞留時間の元でBDE-209を850℃、空気雰囲気下で熱分解した場合、バーゼルガイドラインの基準(DE>99.999%、DRE>99.9999%)を達成でき、分解副生成物としてPBDEs,PBDFsおよび臭素系有機化合物が同定された。

  • 岩田 直樹, 本田 聖人, 中井 勉, 井上 毅, 高菅 卓三, 野馬 幸生
    セッションID: F2-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    我が国のインフラは高度経済成長期に作られた物が多く、老朽化対策が喫緊の課題である。ただし、建築当時(S40年代)の塗装が残っている場合があり、それにはPCBや鉛などの有害物質が含まれている恐れがある。環境省から「高濃度ポリ塩化ビフェニル含有塗膜調査実施要領(初版)」が示され、塗膜の含有量調査が行われている。今回は、調査橋梁における塗膜中のPCB汚染実態を架設年代と比較して報告を行う。その結果、PCB廃棄物として考えられる0.5 mg/kgに近い濃度の橋梁は、全体の34%が該当すると判明したため、調査では精度の高い測定が求められる。また、高濃度PCB廃棄物は1963〜1970年架設の橋梁で、低濃度PCB廃棄物は1926〜1982年架設の橋梁で確認された。このことから発生するPCB廃棄物は、膨大であることが予想される。

  • 杉田 創, 小熊 輝美, 張 銘, 原 淳子, 川辺 能成
    セッションID: F2-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    汚染水からのヒ素除去やヒ素汚染土壌の不溶化を目的としたヒ素吸着材として、マグネシウム(Mg)系及びカルシウム(Ca)系吸着材が期待されている。しかしながら、ヒ素汚染水中にケイ酸が共存している場合、Mg系吸着材に関しては、そのヒ素吸着能がケイ酸によって著しく低下させることが既往の研究によって報告されており、Ca系吸着材に関しても同様のヒ素吸着能の低下が懸念された。そこで、本研究では、Ca系吸着材(酸化カルシウムCaO及び水酸化カルシウムCa(OH)2)を対象とし、模擬ヒ素汚染水としてケイ酸を共存させたヒ酸溶液を用いたヒ酸除去試験を実施し、Ca系吸着材のヒ酸吸着能に及ぼすケイ酸の影響を実験的に検討した。その結果、ケイ酸の存在はCa系吸着材のヒ素吸着能を向上させることが明らかになった。

  • 三宅 祥太, 寺田 和宏, 河合 功治
    セッションID: F2-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    排水中の有害元素、特にホウ素除去を目的として新規処理薬剤を合成し、性能を評価した。合成した処理薬剤は様々な元素を吸着可能であり、特に銅、亜鉛、ホウ素に対して優れた吸着性能を持つ。ホウ素吸着性能に関しては、類似のグルカミン誘導体や既存のホウ素吸着樹脂よりも高い性能を有している。また、亜鉛など金属イオン存在下でもホウ素吸着能力は高いまま維持され、同時に金属イオン吸着能も見られた。

  • 青木 一将, 橋本 征二
    セッションID: F2-9-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    我が国では2015年に「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」が制定され、環境省は水銀マテリアルフローを作成したが、現状の課題として、フロー全体で物質収支が保たれていない、ストックの把握が不十分等の問題点が挙げられる。本稿では、環境省の水銀マテリアルフローについて、筆者らが同定した物質収支の不整合のいくつかを対象に、その改善策を検討した。具体的には環境省が作成した2014年の水銀マテリアルフローを40程度の工程・財からなる投入産出表で表記し、各工程の物質収支および各財の需給の物質収支を確認し、物質収支差(投入—産出)が1t-Hg以上となる工程のいくつかについてその原因と改善案を検討した。結果として不整合の原因には投入・産出の未計上が多く考えられた。特に一次製鉄の分野では集塵機による排出低減効果が計上されておらず、これを推計し収支差を改善した。

  • 唐 誠浩, 渡辺 信久
    セッションID: F2-10-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    今回の実験では、不活性ガスと二重石英管を使い、CO排出量は0.02%に安定し、都市ごみのCOの排出量の限界と相当した。そして、燃焼に乱れにより有機ハロゲンの有機残存率を9~13%ほど低減した。しかし、全体的な捕集率は100%ではないため、今後、実験装置の改良や温度、ガス条件の検討が必要である。

  • 高橋 史武
    セッションID: F2-11-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    水銀は環境毒性の高さから世界的にその使用を制限されつつあり、使用後に回収された余剰水銀を埋立処分する必要性が生じつつある。水俣病を通して水銀はその毒性の高さが良く知られており、水銀を取り扱う施設(水銀の安定化処理施設や長期保管施設など)はNIMBY(Not in my backyard)対象となることが予想される。これらの施設に対して住民合意を形成することは大きな困難を伴うと考えられ、嫌悪感が大きいほどその困難性も増すと予想される。そこで、水銀に対してどのくらい強い嫌悪感を人々が有しているか、一対比較法を用いて定量的に評価した。

F3 無害化処理・検査法
  • 蒔田 るみ, 香村 一夫
    セッションID: F3-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    循環型社会形成推進基本法等が施行される以前に埋立が行われた最終処分場の層内には,多種多様な金属類が残存・濃集しているものと推測される.これらを「都市鉱山」として捉え,賦存している有用金属類を回収・備蓄できれば,資源逼迫の際に有効な対策となりうる.

    埋立層内の有用金属の濃集ゾーンを特定し,経済的に回収を行う際には,まず層内の金属の溶出・移動のしやすさを把握することが重要となる.埋立方式の異なる2種類の産業廃棄物処分場に含まれる埋立焼却灰中の金属の形態を,Tessierの逐次抽出法と改良BCR逐次抽出法により分画した結果,アルミニウムや大部分の重金属・レアメタル類については難溶性の画分に分画された.また,銅は処分場間で大きく異なる分画を示した.2種の逐次抽出法を比較すると,Tessierの方法ではFe-Mn酸化物画分および有機物画分が多く抽出され,BCR法では残留物画分が多く抽出された.

  • 野道 武志, Saffarzadeh Amirhomayoun, Nag Mitali, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    セッションID: F3-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    我が国では年間4,317万tの一般廃棄物が排出された。3,294万tの一般廃棄物が焼却され年間305万tの焼却残渣が排出されている。飛灰には鉛が含まれており、既存の処理方法では、高コスト、埋立体積が大きくなりすぎるなど様々な問題点がある。また、我が国では2016年に730万tの魚介類が供給されており、毎年多くの魚滓が発生し、再利用または廃棄物として処分されている。。魚骨の主成分であるヒドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3 (OH))は、Pbと反応し、難溶性の塩を形成することが知られている。飛灰中のPbの安定化に、魚滓由来のヒドロキシアパタイトが有用であることは示されているが、埋立判定基準を下回るほどの効果は得られていなかった。安定化処理における静置時間や液固比、魚骨材の種類を検討した。結論として、長い反応時間、低いL/Sは飛灰中の鉛の安定化に効果的であった。

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