人工湿地は工学的に設計し,製作した湿地を用いた省エネルギー・低コストの水処理技術である。現在,多くの国で人工湿地を用いて生活排水,農業排水,工場排水,道路排水などが処理されている。わが国においても近年,畜産排水処理などの導入が進んでいる。しかし,高濃度の塩分を含んだ処分場浸出水の人工湿地による処理の事例はない。2段式ハイブリッド型人工湿地を用いて高塩分浸出水を処理し,その実験期間1年間の処理特性と蒸発散の処理効率に及ぼす影響を検討した。BOD,COD,TN,NH4-Nの平均除去率は93.8%,59.8%,35.1%,45.7%であった。処理効率の季節変化では気温の低い冬期に低下する傾向がみられ,今後システムの改善の必要があった。人工湿地では高い蒸発散が認められ,水収支から求めた負荷削減率は濃度から求めた除去率より5〜7%高い値を示し,蒸発散は人工湿地の処理効率に大きな影響を与えていた。
抄録全体を表示