廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の255件中151~200を表示しています
D5 焼却主灰・飛灰
  • 中川 智美, 河岸 孝昌, 櫻井 清之
    セッションID: D5-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    ごみ焼却施設から排出される排ガス中の酸性ガス(HCl、SOx)を除去するために、乾式の場合、煙道に消石灰が噴霧される。この消石灰は反応後、後段の集じん装置で飛灰と共に捕集され廃棄される。捕集された飛灰中には反応生成物のほか、未反応の消石灰が残留しているため、飛灰を循環させる方法や、加湿しながら飛灰を循環する技術が実用化されている。しかし、これらの技術の多くはイニシャルコストが高く、大規模にならないと経済的に優位にはならないという傾向である。そこで、反応性を高めつつ飛灰を循環させ、比較的安価な、薬剤再利用プロセスを考案し、実証試験を行った。その結果、47.5t/dの炉で経済的に成り立つことを確認した。但し、消石灰の種類により削減可能量やLCCは変化する。どの種類の消石灰が有利かの検証は今後の課題である。

  • 為,田 一雄, 東海林 俊吉, 樋口 壯太郎
    セッションID: D5-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    国土が狭く最終処分場立地が困難な我が国では、廃棄物を焼却処理等の中間処理を行い、減容化したのち残渣を埋立処分することを廃棄物処理の基本原則としている。環境省調査によれば平成30年度で一般廃棄物の大半が焼却処理(約76%)されている。この様な状況の中、近年は焼却残渣の埋立比率の増加により、焼却施設の排ガス処理や飛灰安定化に用いられる不溶化剤の影響が浸出水水質に影響している。例えばpHは排ガス処理脱塩剤として用いられる石灰系脱塩剤、CODやT-Nは飛灰不溶化剤として多用されているキレート剤の残留キレートによる影響が顕在化している。このため大阪地区2府4県の焼却施設を対象に、使用薬剤の実態を把握することを目的にアンケート調査を行った。その結果、平成23年度と比較しキレート剤が二硫化炭素等の問題からDTC系からPIP系に移行していること等が現在の焼却施設に関する実態が確認できた。

  • 飯野 成憲, 辰市 祐久, 肴倉 宏史, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 髙地 春菜, 佐藤 研一, 藤川 拓朗
    セッションID: D5-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    近年、欧州や台湾等では物理選別による焼却主灰からの金属回収や、エージング等の改質処理により、焼却主灰の土木資材利用が進んでいる。物理選別による有価/有害金属の回収やエージングは、焼成や溶融等に比べエネルギー使用量やコスト面で有利であり、金属回収後残渣の重金属の含有量低減や溶出抑制により環境負荷を低減させ、土木資材等としての活用が期待される。一方で、生活環境への支障を生じさせないよう、焼却主灰に残留する重金属には留意する必要がある。本研究では、欧州で一般的に活用されている物理選別技術のうち、電磁誘導効果により金属を選別回収する渦電流選別技術を一般廃棄物焼却主灰に適用し、選別条件を変化させた際の金属選別特性を評価した。また、エージング技術として炭酸化処理に着目し、炭酸化の有無による渦電流選別の影響についても評価した。

  • 藤田 尚輝, 熊谷 将吾, 亀田 知人, 齋藤 優子, 吉岡 敏明
    セッションID: D5-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    当研究室では、焼却飛灰からの重金属の除去手法として、飛灰に塩素化剤を添加し金属塩化物として除去する塩化揮発法に着目している。これまで、ポリ塩化ビニル(PVC)を塩素化剤とした飛灰からの重金属除去を検討してきた。一部飛灰において、PVCの熱分解で生じる炭素残渣が鉛および銅の除去を阻害する可能性が示唆された。本研究では、鉛および銅の塩化揮発に及ぼすPVC熱分解残渣の影響を検討し、さらに、PVCと飛灰が接触しないPVC熱分解-塩化揮発の二段プロセスによる鉛および銅の除去効果を検討した。PVCを飛灰に混合することで、鉛および銅の除去率は減少し、銅はPVC熱分解残渣の混合でも除去率が減少した。この結果から、PVCと飛灰を直接接触させるプロセスは鉛および銅の揮発除去を阻害することが確認された。一方、PVCと飛灰が直接接触しない条件で、鉛および銅の除去率が向上することが明らかとなった。

  • 毛 嘉鈺, 塩田 憲司, 日下部 武敏, Zhang Mengmei, 藤森 崇, 大下 和徹, 高岡 昌輝
    セッションID: D5-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    最終処分場の延命及び資源リサイクルの観点から、本研究ではごみ焼却主灰に含まれている鉄系廃棄物を細分類し、ごみに含まれている鉄の由来を調査した。調査結果から、ごみ焼却主灰には約10%-20%の鉄が含まれていた。鉄系廃棄物の種類は83種類あるが、重量分布の上位の11種類のものが全体重量の90%以上を占めていたことから、上流側の分別収集による鉄系廃棄物の分離が可能だと思われる。数的にはねじ類が2055個/t-主灰で、全体数量の59.7%を占めていた。しかし、ねじ類がものの固定、連接に使われ、焼却前の分別は難しいと考えられた。各種類により鉄の濃度はばらつきはあるものの、多くが40-50%程度であり、一定の含有量であることが示唆された。一方で、棒状の鉄系廃棄物は、Cu含有率が高く、別のリサイクルを考える必要がある。

  • 繁泉 恒河, 久保田 洋, 髙地 春菜, 山田 裕己
    セッションID: D5-6-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    焼却飛灰は埋立処分ではキレート等を用いた不溶化処理による安定化が義務付けられているが、有機系キレートが硝化阻害等の影響が指摘されており、添加量も過剰となることがある。そこで薬剤添加量を削減可能な技術として炭酸化処理による重金属等の難溶化に着目し、同一施設から採取日を変えて複数回採取した産業廃棄物由来の飛灰を対象として、飛灰中の元素組成の変動および炭酸化処理によるPbの難溶化について検討した。

    元素組成について、Na、K、Cl、Caの含有量の採取日によるばらつきは小さかった。Pb含有量は採取日によって大きく変動し、ごみ質のPb含有量の変動が影響したことが示唆された。炭酸化処理の結果から、飛灰のpHの低下には飛灰中に存在しCO2と反応するCa量が影響すると推察された。Pbの溶出濃度は飛灰間のばらつきが大きかったが、炭酸化処理後のPb溶出は未処理に対して80〜99.7%まで低下した。

  • 飯野 成憲, 辰市 祐久, 肴倉 宏史
    セッションID: D5-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    欧州や台湾等では物理選別による焼却主灰からの金属回収技術が発展し、エージング等と組み合わせた改質処理が進んでいる。物理選別による焼却主灰からの有価/有害金属の回収はエネルギー使用量やコストを抑制できる可能性があるとともに、金属回収後の残渣の重金属含有量低減や溶出抑制により土木資材等としての活用が期待される。そこで、欧州で一般的に活用されている物理選別技術のうち、比重差により乾式にて金属を選別回収するエアテーブル選別に着目した。都市ごみ焼却施設から排出される焼却主灰は一般的に水冷されるが、実機でのエアテーブル選別では高含水の焼却主灰はデッキ面での固着等のトラブルを引き起こしやすい。そこで本研究では空冷のため乾燥した主灰(乾灰)を使用し、主灰の含水率が金属選別特性に及ぼす影響を評価した。

  • 肴倉 宏史, 飯野 成憲, 中川 美加子, Back Seungki, 植田 健渡, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 髙地 春菜, 佐藤 研一, ...
    セッションID: D5-8-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    筆者らはエージングと物理選別を組み合わせた改質処理が焼却主灰の様々な特性に与える影響について研究を進めている。エージング方法は焼却主灰の含水量を調整して二酸化炭素を含むガスを強制通気する炭酸化であり、物理選別方法は、エアテーブル装置による乾式比重選別、および、渦電流装置による非鉄金属分離である。本稿では、これらの処理を組み合わせることによる、焼却主灰中の重金属含有量等への影響を報告する。

  • 土井 麻記子, 花嶋 孝生, 横山 睦正, 添田 政司, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: D5-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    国土が狭く最終処分場立地が困難な我が国では、廃棄物を焼却処理等の中間処理を行い、減容化したのち残渣を埋立処分することを廃棄物処理の基本原則としている。このため一般廃棄物の大半が焼却処理されている。このため焼却残渣の埋立比率の増加により、焼却施設の排ガス処理脱塩剤や飛灰安定化に用いられる不溶化剤の影響により、最終処分場の安定化が課題となってきている。特に脱塩剤は国内供給が可能で経済的であることから従来から石灰系が用いられている。しかし近年、高pHであることや埋立層内にCa由来のCaCO3層が形成され、通水阻害を起こし、最終処分場の安定化が長期化し、廃棄物処理全体のコストを上昇させている。このような背景下、石灰系、ナトリウム系脱塩剤について20万人規模都市を設定し、FS検討を行ったので報告する。

E1 最終処分場の構造・設計
  • 中村 公亮, Thaweesub Rawit, Sutthasil Noppharit, Chiemchaisri Chart, 石垣 智基
    セッションID: E1-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    熱帯アジア都市では、除じんスクリーンと同様の機能を有する柵型構造物が水路に見られる。雨による増水で水路にある廃棄物が流され、柵型構造物に堆積し、水路の排水能力が低下すると、洪水氾濫が助長される。一方、水路を清掃する人的資源や資金の余裕は小さい。そのため、閉塞の起点となる廃棄物や、排水能力を大きく低下させやすい廃棄物の特徴を明らかにすることで、対策すべき廃棄物を絞り、最小限のコストで洪水氾濫を抑制する必要がある。そこで、熱帯アジア都市の水路で、廃棄物が水流に運ばれ、柵型構造物に堆積し、流れを阻害する状況を数値シミュレーションにより表現した。閉塞の起点となり、排水能力を大きく低下させる廃棄物は、柵型構造物の開口部に比べて大きな寸法と、水より大きな密度を有していた。また、回転しやすい廃棄物は柵型構造物を通過しやすかった。

  • 平田 修, 鈴木 慎也, 柳瀬 龍二
    セッションID: E1-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    埋立処理処分研究部会では、平成14年に部会が提案した廃止基準の調査評価方法1)の更新について議論を進めている。埋立地を廃止する際に重要となる廃棄物の安定化は微生物による有機物分解が進行し浸出水による可溶化や分解ガスが減少することで促進する。今後、埋立地の廃止基準を改定する際に、廃棄物の安定化の進行と廃止基準の各項目の関係性を明らかにしておく事は重要である。本研究では、埋立廃止基準の各項目(埋立地内部温度、浸出水水質、ガス発生量)の関係性と埋立廃棄物の安定化の関係性を把握する事を目的とし検討を行った。その結果、浸出水水質が廃止基準値以下となってもガス発生は継続しており、廃止許可が遅延する要因となる。既存のガス発生量判定基準値を使って本実験槽からの発生量を評価すると廃止許可は得られない。埋立廃棄物のBMP試験を用いる事で廃棄物安定化とメタン発生ポテンシャルの関連性が確認された。

  • 遠藤 清亮, 田口 雅丈, 佐古田 又規
    セッションID: E1-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    丘陵地谷地形に整備した最終処分場埋立地は全7区画のうち今後、廃棄物の埋立を実施する第5区画から第7区画についても、底面部、法面部、直壁部の各遮水施設は力学安定特性と浸出水漏水に対する高い遮水特性を保持することが求められている。中でも底面部は冗長性を考慮し、多重遮水施設の一部分として天然粘土鉱物の一種であるベントナイトを導入するための施工管理規定を整備してベントナイト遮水施設(NB工法)を施工することにした。そこで著者らは、力学特性を把握するための締固試験、簡易支持力測定器、簡易RI水分計等の試験結果を比較し、第6、7区画の次期施工の際に簡易測定器を活用できるように利便性と妥当性を検証した。さらに、遮水特性を把握するための加圧式透水試験を実施し、指標となる漏水通過時間を敷設材料と敷設厚のケースごとに整理してベントナイト砕石の有効性を評価するものとした。

  • 小澤 一喜, 辻本 宏, 古野間 達, 篠原 智志, 吉澤 誠, 小渕 孝晃, 沼野 友伸, 髙秀 賢史, 宮澤 俊介
    セッションID: E1-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    廃棄物処分場の遮水構造は、1)遮水シート+遮水シート、2)遮水シート+土質遮水、3)遮水シート+水密アスファルト、という3種類の組み合わせと各遮水工の性能が基準化されている。基準省令上は、二重遮水とすることで基準に準拠するが、近年、二重遮水に加えて補助遮水工が求められる場合がある。補助遮水工は必ずしも基準省令で規定される遮水工と同等な仕様である必要はないことから施工性や遮水性以外(支持力向上等)の観点からセメント改良土やコンクリート、ジオシンセティッククレイライナー、ベントナイト砕石等が様々な仕様で用いられる。本稿はこのような補助遮水工をベントナイト砕石により施工した事例の報告である。ベントナイト砕石は高価な材料であるため、品質確保と同時に出来形確保によるコスト管理が極めて重要である。ここでは、品質確保・出来形確保のために実施した施工時の留意点や品質向上のために行った工夫を報告する。

  • 小渕 考晃, 吉澤 誠, 篠原 智志, 辻本 宏, 古野間 達, 小澤 一喜, 髙秀 賢史, 宮澤 俊介
    セッションID: E1-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    国内の最終処分場の遮水構造は、遮水シートを敷設する例が多く、斜面部では遮水シートの滑落を防止するため、小段や天端において溝型にコンクリートを埋め込んだ固定工の採用例が多い。これを「拘束式」固定工と呼び、遮水シートに作用する張力により端部が抜け出さないように、コンクリート重量で拘束することを基本としている。

    本報は、最終処分場の建設工事において、従来の溝型の固定工を用いるのではなく、コンクリートの荷重に伴う摩擦抵抗力により、遮水シートを固定する方法を採用した事例を報告するものである。

E2 最終処分場の維持管理・モニタリング
  • 山崎 聡司朗, 香村 一夫
    セッションID: E2-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    近年,レアメタル資源の偏在性と世界的な需要増加に伴いこれらの価格が高騰している.また,資源の寡占化が加速することが予想されるため,資源が逼迫する際に自国で安価な資源を確保することが重要な課題となっている.このようなことから,最終処分場のレアメタル濃集ゾーンを特定し回収すること,即ち「都市鉱山」として利用する方策が提唱されてきた.これまでに廃棄物埋立層内の状態把握には電気探査が有効であること,また最終処分場におけるメタル濃集ゾーンの把握には電気探査IP法が有効との結果が得られている.これらを踏まえ,筆者らは最終処分場埋立層内のレアメタル濃集ゾーン特定に対するIP法の適用に関して探査技術のさらなる向上を目指している.本研究では,試料中の金属含有率,含水率および塩濃度を変化させて比抵抗とPFE値を測定した.その結果,試料中の含水率および塩濃度はIPパラメータに影響を与えることが示唆された.

  • 厳 厚亮, 吉浦 敏幸, 日高 宏樹, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E2-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    国土が狭く新規最終処分場建設が困難な我が国では、これまで最終処分量の減容化技術の開発が行われてきた。その中で、最終処分場容量の約30%を占める覆土材(即日覆土、中間覆土)の代替材として生分解性覆土等の開発が行われ、最終処分場の延命化に対する取り組みが行われてきた。しかし、コスト面から普及していない。我々は、オーストラリアで、鉱山の搬出路等で砂じん防止に用いられている薬剤を最終処分場の覆土材として利用し、経済性に優れた覆土代替材の開発を行っている。今回、基礎研究を行った。その結果、経済性に優れ減溶化、飛散防止の他、浸出水量コントロールが可能であることが分かった。

  • 三浦 拓也, 遠藤 和人, 東海林 俊吉
    セッションID: E2-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    本報では、Ho-CyDTAの調製および海面埋立処分場を想定したバッチ、カラム試験による分配係数の導出など、Hoトレーサーの適用性について室内試験の結果を報告する。試料は、真砂土、O主灰、N飛灰を使用した。バッチ試験の結果、Ho3+、Ho-CyDTAの分配係数は真砂土 < O主灰 < N飛灰の順に大きくなった。N飛灰の分配係数はHo3+の吸着試験を行った場合100290 mL/gであり、Hoをキレート化することにより577 mL/gまで低下せることができた。真砂土やO主灰もHoのキレート化で分配係数を1/281、1/310に下げることができた。カラム試験での分配係数は接触時間、接触面積の影響を受け、バッチ条件よりもさらに低くなった。本報で調製したHo-CyDTAの投入量が1Lの場合、吸着等によるHo濃度の減少が50%であったとしても約20万tの保有水に対してトレーサー試験が可能といえる。

  • 宮田 匡人, 香村 一夫
    セッションID: E2-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    地下水汚染を防止する方策の一つしてPRB工法が実施され、浄化効果の確認には、観測井戸における水質調査の結果が用いられることが多い。しかし観測井戸の設置には費用がかかり、井戸だけでは吸着層の効果を広範囲に知ることは難しい。

    そこで本研究では、吸着層の効果を検討するために比抵抗モニタリングの適用を考えた。比抵抗の変化を用いることで、非破壊で簡便に地下の性状変化の概略を把握できると考えられ、さらに浄化層の効果まで知ることができる。

    以上のことを実証するため、まずカラム実験で汚染溶液をカラム内に流動させながら、カラムの比抵抗と流出溶液の電気伝導度を測定し、検討した。これにより吸着層(活性炭)によるCd吸着が確認され、カラムの比抵抗は増加し、流出溶液の電気伝導度は減少したことが考えられる。

    次に土槽実験ではPRB層を作製し、模擬地下水を再現したことで吸着層の効果を比抵抗でモニタリングした。

  • 石井 一英, 小山 文敬, 阿賀 裕英, 佐藤 昌宏, 落合 知
    セッションID: E2-5-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    最終処分場の長寿命化が進むと老朽化による貯留構造物や遮水工、浸出水処理施設の修繕や改修が必要となるが、それら問題対応の実態は体系的には把握されていない。また、近年の雨の降り方の変化によって生じた問題、特に維持管理上好ましくない内部貯留の実態も明かではない。そこで、本研究の目的を,全国の一般廃棄物最終処分場・産業廃棄物管理型最終処分場を対象に,長寿命化の進行に伴って現在発生している維持管理上の問題の実態とその対応状況を明らかにすることとした。その結果、施設の点検や改修など最終処分場のストックマネジメントの重要性を示す結果が得られた。また近年の雨の降り方の変化に応じた対応を今後行っていく必要があることを示した。

  • 長森 正尚, 大久保 香澄, 森崎 正昭, 古賀 智子, 井上 豪, 石垣 智基, 山田 正人
    セッションID: E2-6-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    平成 10 年以前に供用開始した層厚 50mの産業廃棄物最終処分場において、新規に設置した場内観測井を用いて発生ガスや温度を観測した。管内温度は深度 27.5mで66.8℃に達し、ガス濃度も深度2.5m〜27.5mでメタンが54.7〜57.5%、二酸化炭素が31.0〜41.6%の範囲で高いことから、埋立廃棄物の活性は依然として高いことが分かった。また、ガス濃度の深度別連続観測を実施したが、明確な結果は得られなかった。他方、ガス流量は最大30L/分と大きくなかったが、常に流れ続けており、気象条件の中では風速によるガス流量への影響が見られた。本研究では、幾つかの調査方法で場内観測井を用いて廃棄物層内を調べたが、不明な点も多々あり、今後も継続して調査を続けていきたい。

  • 宇都野 久, 松藤 敏彦
    セッションID: E2-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    埋立地の廃止の基準は①保有水等の水質,②ガス発生,③埋立地内温度であるが,本研究は①に注目した。厳しい自主基準を設けると廃止できない可能性がある。また埋立地内での水位が高いと,廃棄物層内が嫌気的になり安定化に時間がかかる。全国801箇所の処分場を対象にアンケート調査し現状を訪ね,357件の有効回答が得られた。

    BOD,SSの自主基準については,約8割の処分場で法定基準より低く設定している。また,河川放流に適用されないCOD,T-Nの自主基準を設定しているところが,約8割である。浸出水原水濃度/自主基準値を埋立終了後の施設についてみると,基準値を20mg/L未満としている処分場は濃度比2以上の割合が高く,廃止が困難と思われる。また浸出水の水位を測定している処分場は約3割にとどまり,浸出水の滞水に対する意識は高くない。内部貯留は約2割程度であった。

  • 坂本 篤, 和田 崇史, 渡辺 修士, 井塲 道夫, 浜田 利彦, 山崎 将義, 上杉 章雄, 谷澤 房郎, 石井 一英, 海老原 正明
    セッションID: E2-8-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    廃棄物最終処分場は埋立開始から供用期間を経て埋立完了、閉鎖ののち一定期間の維持管理を終え廃止に至る。平成10年6月に施行された「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令の一部を改正する命令」では、最終処分場の構造・維持管理基準の強化、廃止の確認を行うための基準が設定された。近年、最終処分場の廃止事例が増えつつあるが、廃止されないまま存続し続けている施設も見受けられる。著者らは、廃止事例の調査等を実施してきた。しかし、これらの研究成果は必ずしも十分と言えないとともに、早期に廃止された優良な事例のみのデータである。そのため、廃止された事例の最新情報を調査するとともに廃止されていない事例の調査も合わせて行うことが必要である。 本稿では、廃止事例、閉鎖から廃止までの維持管理している最終処分場のアンケートによる実態調査結果の一部を報告する。

  • 中島 秀也, 大久保 英也, 野本 裕, 美斉津 宏史, 古賀 研二
    セッションID: E2-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    大成建設では、最終処分場工事における遮水工等について、施工管理業務の効率化を図るための技術開発を進めてきた。本稿では、このうち、実工事での検証が完了した「ICTを活用した施工管理ツール」及び室内試験で有効性を検証した「遮水シート熱融着部簡易剥離試験機」について、その概要、検証状況及びその結果について報告する。

  • 三橋 実季, 竹崎 聡, 木村 志照, 柴田 健司, 日笠山 徹巳, 西村 正樹
    セッションID: E2-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    近年の遮水工は、遮水シート以外に GCL 等の低透水性資材を併用する事例もあることから、埋立地の遮水性はシートのみでなく、付帯する資材も含めた構造により評価される傾向にあると言える。ここで、遮水シートの上下には、 保護マットとして不織布が敷設される。不織布は水の通過を許容し、遮水性を補完する機能はないが、埋立地の健全 性をより詳細に把握するためには、保護マット(以下、不織布と記す。)の透水性を評価しておくことが重要であると 筆者らは考えている。そこで、本研究では不織布の透水性、特に埋立地の供用期間が長いことを考慮し、長期的な透 水性の変動の評価を行うこととした。本報では、不織布の面内方向の透水性評価法、ならびに長期的な透水性変動の 推定法を明らかにし、透水性の面から保護マットを選定する方法を示す。

  • 中邑 敦博, 猪野 陽佳, 前 英雄, 山口 誠一
    セッションID: E2-11-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    最終処分場では、廃棄物の埋立処分に伴い、硫化水素の発生による周辺環境への悪臭の拡散や死亡事故などが未だに報告されている。これらを解決するため、産業廃棄物を硫化水素発生抑制材として活用し、埋立地からの硫化水素の発生を抑制させる手法に着目した。対象となる産業廃棄物は、県内企業から年間5000トン程、排出される酸化鉄汚泥であり、本研究では、酸化鉄汚泥の硫化水素抑制効果の有無を確認するための基礎実験を行った。石膏粉50g、純水200ml、シード培養液1.0mlを加えた硫化水素発生条件に対し、酸化鉄汚泥を10g以上添加することで、硫化水素の発生が検出限界(0.05ppm)以下に抑えられた。また、充填密度1.09g/cm3の酸化鉄汚泥中を硫化水素が通過することで、50%以上の吸着量を示した。これらの基礎実験により、酸化鉄汚泥の硫化水素抑制材としての実用化の可能性を見出した。

E3 浸出水・発生ガス
  • 好川 拓実, 井上 大介, 池 道彦
    セッションID: E3-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    1,4-ジオキサン(DX)は水環境中における残留性が高く、ヒトへの発がん性が疑われていることから、水環境中への放出に伴うリスクが懸念される。特に、廃棄物最終処分場の浸出水中ではDXの基準値超過事例が報告されており、処理技術の確立が課題となっている。本研究では、環境中で利用可能かつ経済的なDX処理技術として、既設の処理槽に分解菌を導入して処理を行うバイオオーグメンテーションに着目し、DX分解菌Pseudonocardia sp. D17および担体を用いた連続回分試験を実施することで、固定化担体法を活用したバイオオーグメンテーションによるDX処理の可能性について検討した。その結果、担体を含まない試験系では、回分処理の継続に伴い処理性能の悪化が見られたが、担体を投入した試験系では、共存微生物群の存在下においても、D17株が一定の割合で保持され続け、良好なDX分解を維持することができた。

  • 武下 俊宏, 村田 真理
    セッションID: E3-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    副生塩は、純粋なNaClやKClよりH2Sの発生抑制効果が高いことが示され、副生塩に混入するTOC成分(焼却残渣の重金属不溶化剤、有機系キレート剤)が廃石膏のH2S発生抑制に関与していると考えられた。そこで、不溶化剤のH2S発生抑制効果を廃石膏のH2S発生試験により確認した。2種類の有機キレート剤[ジエチルジチオカルバミン酸系薬剤(D剤)とピペラジン系薬剤(P剤)]について試験したところ、D剤は500 mg/L以上、P剤は2500 mg/L以上でH2Sの発生はみられなかった。これらの培養液の細菌叢解析を行ったところ、不溶化剤無添加のBlankでは硫酸還元菌(SRB)が多種検出されたが、D剤500 mg/Lでは2種、P剤2500 mg/Lでは1種のSRBしか検出されなかった。さらに、SRBの存在比はBlankより明らかに小さく、不溶化剤によりSRBの増殖が抑制されていることが確認された。

  • 鈴木 和将, Huynh Quang Huy Viet, 宇田 智紀, 水藤 寛
    セッションID: E3-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    近年、全国各地で頻発する集中豪雨が常態化する中、処分場においても今後適切な設計・管理を行っていく上で、廃棄物層の水分移動現象の把握は、ますます重要な課題となっている。複雑な廃棄物層間隙形状と流体力学的作用は深く関わっているが、その相互作用は十分に解明されていない。そこで、本研究では、間隙形状とそれに寄与する水分移動現象のメカニズムを解明することを目的とした。これまで間隙内流れについて、数値シミュレーションを行い、計算結果は、速度ベクトル又は流線で可視化し流れ解析を行ってきた。本報では、さらに、間隙形状に起因する流れの流体力学的作用の指標であるエネルギー損失を算出し、より詳細な流れ挙動の解析を行うとともに、間隙形状との関係性について考察した。

  • 高橋 惇太, 葛 甬生, 楠本 勝子, 西村 隆司
    セッションID: E3-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
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    近年開発・実用化が進められている嫌気性アンモニア酸化反応による窒素除去は、特にBOD/Nが低い廃水に対し、従来の循環式硝化脱窒法と比べ省エネルギー、低コストな処理であることから、浸出水中のアンモニア性窒素の除去方法として期待されている。本稿では、焼却残渣や汚泥の埋立て処分を中心とする産業廃棄物最終処分場にて2018年度8月から稼働中の、部分亜硝酸化と嫌気性アンモニア酸化から成る2槽型の窒素除去プロセスDENIMOX®について、運転経過を報告する。

     2018年度8月〜2020年度6月までの運転経過により、浸出水のNH4-N濃度の変動や処理水量の増加に対し、部分亜硝酸化、嫌気性アンモニア酸化ともに安定的に維持されていることが確認された。本結果より、浸出水処理において嫌気性アンモニア酸化により安定した窒素除去が可能であることが示された。

  • 花嶋 孝生, 劉 佳星, 内田 正信, 添田 政司, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    焼却処理時に発生する飛灰を埋立処理するために、飛灰に含まれる重金属類溶出の防止の目的でキレート剤による重金属類の不溶化処理が実施される。添加された飛灰中の残留キレートは浸出水中に溶出し、浸出水処理プロセスにおいて硝化阻害を引き起こしたり、CODMn(以下、COD)、T-N濃度が高濃度化することが確認されている。これまでの研究により、残留キレートについてはオゾン酸化処理での除去が可能であることが確認されているが、COD、T-Nについては除去が困難であった。今回、ピペラジン系キレート剤、ジチオカルバミン酸系キレート剤について、塩水にキレート剤を添加した模擬浸出水を逆浸透膜(RO膜)にて分離、除去する実験を行った。結果、残留キレートについては、定量下限値以下に、COD、T-Nについては98%以上の除去に成功した。しかし、本実験では残留水側の物質収支において整合がとれておらず今後の研究を要する。

  • 宮脇 健太郎, 藤田 悠輔, 遠藤 和人, 東海林 俊吉
    セッションID: E3-6-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    海面処分場では焼却残渣などを埋め立てた場合、保有水pHが11以上と高い場合がある。また廃止時にはpH9以下となる必要がある。海面処分場により、浸出水調整等の目的で内水ポンド(残留海水面)を設ける場合がある。内水ポンドにおけるpH低減機構としては,希釈効果と大気中二酸化炭素の中和効果が考えられる。本報告では,内水ポンド模擬実験を実施し,高pHの浸出水を実験水槽に流入させ,大気中CO2による中和能、ポンド表面積の影響について検討した。また,簡易モデルにより、表面CO2吸収フラックスの推定を行った。模擬実験では実処分場条件〜表面積1/8条件で、大気中CO2により、pHは8前後で推移した。また、簡易モデルから、表面フラックスが1.7×10-5 〜1.4×10-4 mol/m2・min程度(標準〜表面積1/8)と推測され、実測値と同程度以下で、十分中和が行われることが示唆された。

  • 松野 晃大, 加藤 晃, 長森 正尚, 川嵜 幹生, 磯部 友護, 川本 健
    セッションID: E3-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    ベトナムは経済・産業の急速な発展に伴い、建設・解体廃棄物(CDW)の量も急速に増加しているものの、そのリサイクル率はわずか1〜2%となっており,適切な処理処分の推進は最も重要な課題の一つとなっている。現在、CDWのほとんどは、汚泥や建設残土だけではなく一般廃棄物とともに処分場に投棄されている。処分場では、廃棄物受け入れの管理が行き届いていないため、有害廃棄物を受け入れてしまう危険性がある。したがって、適切な標準運用手順(SOP)に従って、CDW埋立地の環境汚染ポテンシャルや周辺環境汚染状況を把握することが重要である。さらに、CDW をリサイクル材として利用していくためには、品質管理された安全な製品が要求されるため、それらの安全性の確認が必要となる。そこで建設廃棄物埋立地の周辺への環境影響調査確認と、適切なSOPを作成することを目的とした。

  • 平岡 夏生, 石井 一英, 佐藤 昌宏, 落合 知
    セッションID: E3-8-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    豪雨による浸出水発生量が計画値を超える事例が相次いでいる。豪雨時は埋立層に浸透する水量よりもガス抜き管等を経由する水量が多くなり浸出水が急激に発生すると考えられたため、ガス抜き管を考慮した浸出水発生量予測数値モデルの開発を目的とした。本モデルの特徴は、ガス抜き管等を通り降雨発生直後に増加する早い応答と埋立層内の浸透遅れの影響を受ける遅い応答の両方を考慮したことである。これらを考慮し再現するために、処分場をごみ層・覆土層・ガス抜き管+グリ石層に層分けをし、各層の流出入を計算した。仮想の処分場において、最終処分場計画・設計・管理要領記載の時間遅れを考慮した水収支モデル(既存モデル、ガス抜き管なし)と本モデルを適用し結果を比較した。結果として、既存モデルでは再現できなかった浸出水発生の急激な増加(早い応答)を本モデルでは再現することができた。今後は、実処分場への適用を試みる予定である。

  • 石垣 智基, 成岡 朋弘, 松尾 豊, 小林 結衣, 北村 洋樹, Sutthasil Noppharit, 長森 正尚, 山田 正人
    セッションID: E3-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物最終処分場の長期的なモニタリングは、維持管理の適正さを確認し、生活環境保全のために欠かすことのできない情報を提供するだけでなく、処分場の廃止に向けた基礎的な挙動を評価する上でも重要である。特に埋立地ガスは、悪臭、有害ガスおよび可燃性ガス等が作業環境ならびに周辺環境に及ぼす影響を速やかに排除するとともに、埋立地内部における廃棄物の分解・安定化挙動の予測に寄与するモニタリング情報であると考えられる。本研究では、埋立が終了した安定型最終処分場における埋立地ガスモニタリングの結果を報告する。処分場地表面およびガス観測孔におけるガス発生量および組成に関する知見から、安定化の進行度を評価するとともに、埋立地内部での反応機作に考察を加えた。

  • 内田 正信, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    最終処分場に処分される廃棄物に占める焼却残渣は85%を超えている。飛灰には最終処分場に廃棄する段階において安定化処理が義務づけられており、我が国ではキレート剤等が主流となっている。これまでの研究で、キレート剤は硝化阻害物質であり、有機成分や窒素成分を高濃度に含有し、その成分が長期にわたり溶出することが指摘されている。残留キレートを化学的に酸化分解する手法については、筆者らが促進酸化法やオゾン酸化により分解できることを確認しているが、キレート剤由来のCODや窒素は除去が困難であることが確認されている。今回、浸出水処理で一般的に用いられている活性炭処理について水処理用粒状活性炭2種を用いて吸着実験を実施した結果、キレート由来の成分を処理する場合、石炭系活性炭が有効であることが示唆された。また残留キレートに対する活性炭の吸着平衡には、6hr以上を必要とすることも明らかとなった。

  • 為,田 一雄, 厳 厚亮, 樋口 壯太郎
    セッションID: E3-11-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年、管理型最終処分場においては廃石膏ボードの搬入量が増加しており、廃石膏ボードの埋立はH2Sガスの発生の原因となることや浸出水中に高濃度のSO42-やCa2+が溶出するため、浸出水管理に膜処理を導入している場合には処理阻害要因となる。更にボードに付着している紙の分解等の課題を有している。このため廃石膏ボードの適正な埋立管理方法が求められている。我々は、これまで継続して、層厚及び通気によるH2Sガスの発生抑制と廃石膏ボードからのCOD、SO42-やCa2+等の溶出特性に関して模擬埋立実験を行ってきた。その結果、通気を行うことにより浸出水中のCODに関しては低減効果が認められたが、Ca2+、SO42-について効果は認められず、Ca2+、SO42-については、CODと比較し安定化までに長期間を要することが確認できた。

  • 中山 正与, 矢野 篤男, 山田 一裕, 小浜 暁子, 江成 敬次郎, 佐藤 真哉
    セッションID: E3-12-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    人工湿地は工学的に設計し,製作した湿地を用いた省エネルギー・低コストの水処理技術である。現在,多くの国で人工湿地を用いて生活排水,農業排水,工場排水,道路排水などが処理されている。わが国においても近年,畜産排水処理などの導入が進んでいる。しかし,高濃度の塩分を含んだ処分場浸出水の人工湿地による処理の事例はない。2段式ハイブリッド型人工湿地を用いて高塩分浸出水を処理し,その実験期間1年間の処理特性と蒸発散の処理効率に及ぼす影響を検討した。BOD,COD,TN,NH4-Nの平均除去率は93.8%,59.8%,35.1%,45.7%であった。処理効率の季節変化では気温の低い冬期に低下する傾向がみられ,今後システムの改善の必要があった。人工湿地では高い蒸発散が認められ,水収支から求めた負荷削減率は濃度から求めた除去率より5〜7%高い値を示し,蒸発散は人工湿地の処理効率に大きな影響を与えていた。

E5 有害物質の溶出・除去
  • 德永 太亮, 香村 一夫, 楠原 詩乃, 江 鈺欣
    セッションID: E5-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    【背景】

    主として、Seはトンネル掘削土、F、Bは地下水において基準値を超過する事例があり対策が必要である。そこで本研究では火山灰土壌である鹿沼土に着目した。鹿沼土とMgOの混合試料に水を加え、一定時間静置すると陰イオン吸着能をもつハイドロタルサイト(HT)が生成する。本研究ではこのように生成した試料を用いて実験を行った。

    【方法】

    鹿沼土とMgOを10:0〜6:4の重量割合で混合し、水中で日数を変えて静置させた。静置後、風乾した試料を供試試料とし、内部標準法を用いたHTの半定量とSe(Ⅳ)、Se(Ⅵ)、F、Bの吸着試験を行った。

    【結果】

    静置日数7日以上の試料では、鹿沼土:MgO=8:2の場合、HTを最も生成した。吸着試験について、Se(Ⅳ)は鹿沼土、Se(Ⅵ)はHTの吸着能が優勢であった。Fは低pHでは鹿沼土、高pHではMgOの吸着能が優勢であった。Bは高pHでは鹿沼土の吸着能が優勢であった。

  • 髙地 春菜, 久保田 洋, 繁泉 恒河, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 肴倉 宏文, 飯野 成憲, Back Seungki, ...
    セッションID: E5-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    一般廃棄物焼却主灰の安定化処理に関して、CO2による炭酸化はPb溶出抑制への効果が報告されている。エアテーブル等の物理選別による有価金属の回収も欧州を中心に行われている。本研究では、焼却主灰の土木資材化を目的として、炭酸化と各物理選別法(エアテーブルと渦電流)を組み合わせた処理が重金属の溶出特性へ与える影響を調査した。各処理灰について、環告13号溶出試験および屋内小型ライシメーター試験によって得られた検液のPb、Cr(Ⅵ)、B濃度を測定した。その結果、炭酸化によるPb溶出抑制やCr(Ⅵ)溶出促進が確認されたが、物理選別によるPb、Cr(Ⅵ)溶出の顕著な差は見られなかった。一方、Bは選別後に炭酸化した処理区において、処理順が逆の処理区と比べ溶出液および浸出水濃度が低くなることが明らかになった。また溶出液や浸出水のPb、Cr(Ⅵ)、B濃度について選別方法の違いによる明確な差は認められなかった。

  • 北村 洋樹, 井上 豪, 成岡 朋弘, 立野 雄也, 石垣 智基, 長森 正尚, 山田 正人
    セッションID: E5-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、産業廃棄物最終処分場から採取したボーリング掘削コア試料を蛍光X線分析(XRF)、溶出試験、X線回折分析(XRD)に供し、鉱物組成の違いが重金属溶出性に与える影響について検討した。その結果、シュウ酸カルシウムやpyriteなどの特定の鉱物が存在することによって、コア試料中に含有する重金属の溶出性が高まってしまう可能性があることを見出した。

  • 須藤 れな, 亀田 知人, 熊谷 将吾, 長洲 亮佑, 横塚 享, 田部 智保, 齋藤 優子, 吉岡 敏明
    セッションID: E5-4-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    トンネル・ダム工事などに伴い、土壌汚染対策法により定められた基準値である150 mg/kgを超える鉛を含む土壌が掘削される場合がある。浄化処理は、処理が不十分であると周囲の土壌や地下水を汚染する可能性がある一方で、適切な処理を行うことにより土壌を再生できる手法である。キレート剤は重金属と安定な錯体を形成するため、浄化処理における有効な抽出剤として期待される。また当研究室では、小体積のイオン会合体相へ水相中のSr2+及びCs+を抽出することに成功している。この手法を応用して溶出した鉛を濃縮することでスラッジ減容化が期待される。本研究では、抽出剤としてキレート剤を用いることで汚染土壌から鉛を除去し、捕捉した鉛を小体積のイオン会合体相へ抽出することによるスラッジ減容化を目指している。この一連のプロセスのうち、汚染土壌からの鉛除去に着目し、鉛除去に及ぼすキレート剤の影響について検討した。

  • 石森 洋行, 石垣 智基, 肴倉 宥史, 新井 裕之, 遠藤 和人, 山田 正人
    セッションID: E5-5-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    遮断型処分場の雨水等遮断機能が劣化・損傷を受けた場合、有害化学物質の環境放出が懸念される。鉄筋コンクリートの経年的な劣化による施設内へ水の緩慢な侵入と地震等による大規模な破壊による急速な侵入が想定され、それぞれ特別管理廃棄物からの溶出は濃度平衡と溶出速度に支配される。外界への放出濃度は特別管理廃棄物埋立層からのフラックスによって決まるので、雨水浸透速度に応じて異なる溶出挙動をいかに正確に予測するのかが、長期的な環境安全性評価に必要な要素となる。

    本研究では、実際の遮断型処分場で採集したばいじんと汚泥2種類について、異なる通水速度を与えたカラム溶出試験を実施することで、特別管理廃棄物からの溶出挙動に及ぼす影響を調べるとともに、その挙動をバッチ溶出試験の結果を用いた数値解析によって予測し得るのかどうかを検討した。

  • 日下部 一, 黄 仁姫, 松尾 孝之, 東條 安匡, 松藤 敏彦
    セッションID: E5-6-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    焼却主灰の分析を行った先行研究において,可溶性金属と考えられているNa, Cl, K等の溶出率が非常に低いことがわかった。その原因の一つとして主灰の水冷後の炭酸化が挙げられ,生成したカルサイト(CaCO3)が主灰粒子を被覆し,塩類や重金属類の不溶化を引き起こしていると考えられた。仮説を検証するために,本研究では,告示13号溶出試験に加え,pH依存性試験,900℃加熱後の溶出試験を行い,溶出率の変化を調べた。しかし,Ca,ICの溶出率はpH依存性を示したことに対し,Na, K, Clの溶出率はpHに依存せずほぼ一定でお互いに溶出挙動が異なっており,炭酸化が直接的な原因とは言えない結果となった。一方,主灰の900℃加熱前後の溶出試験結果を比較すると,Na, K, Clにおいて加熱灰の溶出濃度が加熱前の約10%まで低下するなど,焼却過程における主灰の溶融度合が塩類の溶出に大きく影響していると推察された。

  • 鈴木 拓也, 笠井 勇佑, 小泉 あかね, 福士 憲一
    セッションID: E5-7-P
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    現在、廃棄物不法投棄現場において有害物質による地盤・地下水汚染が問題となっている。本研究で対象とする青森・岩手県境産廃不法投棄現場跡地においても1,4-ジオキサンが現場全域の地下水から高濃度で検出されているため、平成27年9月より揚水浄化法(地下水の洗い出し)による1,4-ジオキサンの浄化事業を実施している。しかし、火山灰質粘性土や凝灰角礫岩により構成されている難透水性地盤では、揚水浄化による浄化は容易でないことがわかった。このため、難透水性地盤に適用可能な原位置浄化技術を構築する必要がある。本研究では、環境修復技術として地盤加温-吸引浄化法に着目し、本技術の浄化条件と1,4-ジオキサンの除去性について知見を得ることを目的に基礎的な検討を行った。

  • 横井 理南, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦, 黄 仁姫, 山田 正人
    セッションID: E5-8-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    遮断型処分場は半永久的に有害廃棄物に含まれる有害物を適切に貯留し、外部への放出を防ぐことが求められる。長期的な観点からは、構造物の劣化や災害のリスク等も考えられるが、そのような事象においても有害物の放出は避けなければならない。遮断型処分場への搬入物について調査した先行研究では、搬入物のなかでも溶融炉で使用される耐火レンガが多いことがわかった。六価クロムが判定基準を超えるからである。そこで、本研究では、六価クロムが溶出する耐火レンガを対象に風化加速試験を実施し、遮断型処分場内の環境条件がクロムの溶出挙動に与える影響を検討した。その結果、湿潤条件では、六価クロムの溶出が大きく低下することを確認した。

  • 劉 佳星, 重松 幹二, 為,田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E5-9-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    飛灰は特別管理一般廃棄物であるためPb等の溶出防止のため有機キレート剤処理を中心とした不溶化処理が行われている。しかし、有機系キレート剤により安定化した飛灰を埋立処分すると、残留キレートにより、浸出水中の窒素やCOD濃度が上昇し、浸出水処理に支障を来す。このため、有機キレートに替わる新しい飛灰安定化方法が求められている。これまで、我々は無機系安定化剤に変えることにより、環境負荷低減が可能であることを提案してきたり。しかし、有機系キレート剤と比較し無機系安定化剤は添加量が多く経済的なデメリットが考えられる。今回無機リン系薬剤の添加量を減少させるため市販塩酸を用いてpHおよびCaCO3調整を行い、添加率を減少させる研究開発を行い。この結果をスケールアップした模擬埋立実験を行ったので報告する

  • 花木 陽人, 武村 直幸, 日高 典哉, 森田 俊成, 大山 将, 吉岡 由郎
    セッションID: E5-10-W
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    滋賀県栗東市の旧RD 最終処分場における不適正処理事案二次対策工事において、底面粘土層の修復等のために掘削した廃棄物土は、現場に設置した選別処理施設により廃棄物と選別土に選別し、選別土は場内埋戻しに利用した。廃棄物土の選別時には、選別助剤として高分子系改質剤を添加・混合することで、選別しやすい状態に改質を行った。高分子系改質剤の廃棄物土に対する添加量は、土質を目視確認することで経験的に決定した。本稿では、高分子系改質剤の適正な添加量を定量的に算出することを目的として、改質剤添加量や廃棄物土の含水率および選別後の各品目の容積割合について長期的にデータ収集し、それらの相関関係について統計解析手法により考察した。

F1 有害性化合物・金属
  • 福田 敦輝, 中山 裕文, 島岡 隆行
    セッションID: F1-1-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    プラスチックごみのうち大きさが5mm以下のものをマイクロプラスチック(MPs)と呼び、世界各地の海域でその存在が確認されている。化学繊維製品からは、マイクロプラスチック・ファイバー(MFs)と呼ばれる細かいプラスチックが発生することが知られており、海岸で見つかるMPsの8割以上がMFsであったとの報告もある。土木分野に目を向けると、防草シート、遮光性保護マット等で大量に使用される不織布は化学繊維で製造されており、屋外設置されたものが多い。屋外設置された不織布は紫外線により劣化し、MFsが抜け落ち降雨などにより河川、海洋中へ流出するものと考えられる。MFsの発生ポテンシャルの評価に関する研究は十分ではないことから、本研究では不織布の劣化に伴う、抜け落ちたMFsの定量方法について検討を行った。

  • 小柴 絢一郎, 平井 康宏, 酒井 伸一
    セッションID: F1-2-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    国内でのポリ塩化ビフェニル(以下、PCB)の排出量を1950年から2030年まで推定した。PCB製品のライフサイクル全体での排出量に加え、熱工程や顔料中への非意図的生成も排出源として考慮した。PCBの規制以前は、PCB生産時等の工場排水や感圧紙等の開放系製品からの揮発が中心的な排出源であった。PCBの規制に伴い排出量は急激に減少し、その後も環境漏出が抑制等により排出量は減少傾向にある。PCB分解処理事業が進行するにつれ、2010年頃から排出量の減少傾向が再び大きくなると推定された。分解処理完了後は、熱工程による非意図的生成や一部残存する開放系製品からの揮発が中心的な排出源となることが推察できる。また、環境中PCB濃度推定の結果、大気中濃度推定値は実測値の範囲にほぼ収まったが、水質中濃度は過小に推定された。以上から、未知発生源の存在や環境動態モデルに関する問題があることが示唆された。

  • 渡辺 信久
    セッションID: F1-3-O
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/30
    会議録・要旨集 フリー

    廃棄物燃焼における塩素の挙動について、塩化水素ガスの発生、金属塩化物の生成、dioxins類等の有機塩素化合物の生成など多く研究されてきた。これらの現象は「塩素化(chlorination)」であり、その活性すなわち仮想的なCl2分圧の議論に帰着する。にもかかわらず、Cl2の検出例が少ない理由は検出法の困難さにある。この研究では米国EPA Method 26Aを基にCl2(g)と還元剤の接触後の滞留時間を延長して、filterでmistも併せて捕集する方法を開発した。HCl(g)とCl2(g)を別々に発生させて適用したところ、分別定量が可能であることが明らかとなった。

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