流通研究
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21 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
投稿論文
  • 宮井 弘之, 西尾 チヅル
    原稿種別: 投稿論文
    2018 年 21 巻 3 号 p. 1-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/17
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    「おもてなし」という概念は諸外国からも日本特有のものとして注目されている。しかし,マーケティングや消費者行動研究の観点から,「おもてなし」という概念を学術的に検討した研究の蓄積は少ない。そこで,本稿では,「おもてなし」を,消費者行動の観点から分析する。特に,ゲストである自分自身を喜ばせ,満足してもらおうという意図を持つホストに招かれるサービス消費行動を「おもてなし消費」と呼び,ゲスト側の消費者によるおもてなし消費への満足構造を分析した。分析から,飲食店側のマーケターは自社のサービス品質だけではなく,顧客間の相互作用についても適切に介入を行うことで顧客満足度向上に寄与できることを示唆した。

  • 西本 章宏, 勝又 壮太郎
    原稿種別: 投稿論文
    2018 年 21 巻 3 号 p. 15-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/17
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    本研究の目的は,コンジョイントデザインを用いた消費者のWillingness to Pay(支払意向額)測定方法を比較し,予測精度が高いWTP測定方法を特定することである。本研究では,分析対象として,コンビニエンスストアでの昼食の購買状況を設定し,調査対象者に対して,コンジョイントデザインを用いた4つのWTP測定方法(自由回答方式,第一価格オークション,ヴィックリー・オークション,BDM方式)を試みている。その後,調査対象者には,実際にコンビニで昼食を購入してもらい,そのレシートデータを提供してもらっている。そして,本研究では,WTP測定方法において想定されるバイアスを考慮したモデルによって,各測定方法におけるWTPを算出し,最も予測精度が高いWTP測定方法は自由回答方式であることが明らかになった。

  • 石田 大典
    原稿種別: 投稿論文
    2018 年 21 巻 3 号 p. 27-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/17
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    電子付録

    過去に取り組まれてきた市場志向研究において,3つのタイプの市場志向(先行型,反応型,萌芽型)がイノベーションや新製品パフォーマンスへ及ぼす影響については十分に議論されてきたが,そのメカニズムについては必ずしも明らかにされていない。そこで本研究では,製品開発チームの学習プロセスに着目し,市場志向と新製品パフォーマンスを結び付ける媒介要因として検討した。日本の上場製造業企業から得られたサンプルを基に分析を行ったところ,先行型市場志向と反応型市場志向は製品開発チームの市場学習を促進させ,萌芽型市場志向は製品開発チームのアンラーニングを促進させていた。また,製品開発チームの市場学習は新製品優位性を高め,結果として新製品パフォーマンスを高めていた。一方,アンラーニングはマーケティング創造性を高めていたが,マーケティング創造性は新製品パフォーマンスへは結びついていなかった。

  • 井原 基
    原稿種別: 投稿論文
    2018 年 21 巻 3 号 p. 43-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/17
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    2010年代のアジアにおける小売近代化は,新興国の地場系チェーンストアの台頭や電子商取引の発展により,かつてよりも複雑な様相を見せている。このような新しい流通環境のもとで採るべき流通チャネル戦略について,本稿では花王のタイ,インドネシア,中国子会社の事例研究を通じて考察した。その結果,チャネルの統合度と幅広さのバランスが依然として重要であり,花王は日本国内では販社制により両者のバランスの取れたチャネルを構築することができたが,アジアでの販社に類似する小売直取引チャネルでは,幅広い卸の参加を巻き込んだプロセスがなかったため,店舗数の幅広さに欠けるチャネルとなっていたことを明らかにした。ただし,モダントレード化の一層の進展によって統合型チャネルの欠点は補われる可能性があり,また,トラディショナルトレードの取引先開拓の上で販売管理技術の標準化が有効性を持つという示唆も得られた。

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