関西支部講演会講演論文集
Online ISSN : 2424-2756
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選択された号の論文の166件中1~50を表示しています
  • 古寺 雅晴
    セッションID: 2101
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
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    フィロソフィ懇話会では、石谷が「技術の内的発達法則」の視点から、エネルギー技術の将来は、直接発電が大きな役割を担うのではないかと課題提案したのを受けて、地球温暖化問題へのソリューションと思われる、風力、太陽光、燃料電池など、再生可能エネルギー技術や、二次電池について議論してきた。今回は、究極のエネルギーと目される核融合について、専門ではないが、エネルギー技術者の立場で小調査した結果を述べる。

  • 村上 光功
    セッションID: 2102
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    風力発電は誕生してから僅か130年余りであるが、地球環境問題の解決のための最も有望な手段とされ世界中で拡大の一途を辿っている。短期間のうちに今日の産業展開の要になったのは時宜を得た技術革新が着実に実行されて来たからに他ならず、その流れを調査することこそ将来の更なる発展への布石となると考える。本報では技術革新の醸成、発電容量の推移、社会環境との関連性を歴史的観点から分析・考察した。

  • 望月 拓, 長村 浩亮, 松村 恵理子, 千田 二郎
    セッションID: 2201
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    ディーゼル機関はガソリン機関と比較し,熱効率が優れていることから,存在意義が高く,ディーゼルエンジンの熱効率を向上する研究が活発化している.本研究は,燃料の物理的・化学的性質を利用した燃料設計手法を用い,ディーゼル燃焼に最適な燃料の設計を目的とする.本報では,高沸点および低沸点燃料を任意の割合で混合した二成分混合燃料を使用し,その混合割合が噴霧・燃焼特性に及ぼす影響の実験および解析結果を報告する.

  • 服部 好孝, 松村 恵理子, 千田 二郎
    セッションID: 2202
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    ディーゼル機関は更なる熱効率の向上,低エミッション化が求められている.これらの改善には噴霧の微粒化が不可欠となる.本研究では燃料にCO2ガスを溶解させ,燃料噴射時の減圧に伴うCO2ガスの析出により,噴霧を微粒化させる手法を用いた.本報では,噴霧全域およびノズル近傍拡大撮影を行い,雰囲気温度がCO2ガス溶解燃料の噴霧特性へ与える影響を調査した.その結果,CO2ガスの析出により噴霧特性が変化した.

  • 齋藤 宏樹, 松田 大, 川野 大輔, 松村 恵理子, 千田 二郎
    セッションID: 2203
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    混合燃料の気液平衡や物性値を推定する多成分燃料噴霧モデルは、多成分燃料噴霧の各成分の燃料濃度分布特性を表現することができる。本報では、 WAVE-MTABモデルを分裂モデルに適用し、高噴射圧力条件下での2成分混合燃料の噴霧特性を解析した。その結果、高噴射圧力噴射条件下における2成分混合燃料噴霧の噴霧先端到達距離および各成分の燃料濃度分布を、実験結果と比較して再現することができた。

  • 越川 翔生, 松村 恵理子, 千田 二郎
    セッションID: 2204
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年,地球環境汚染や化石系資源の枯渇などの問題から,バイオディーゼル燃料(BDF)が注目されている.しかし,BDFは燃料物性の違いからエンジン性能に悪影響を及ぼすことが懸念されている.そこで,本研究では従来からBDFとして使用されている脂肪酸メチルエステルの他に,燃料物性が軽油に近い水素化バイオ燃料を使用し,単気筒ディーゼルエンジンに適用した際の燃焼・排気特性について比較し評価した.

  • 遠藤 匠真, 小西 哲弘, 堀部 直人, 石山 拓二, 佐古 孝弘, 鈴木 健太
    セッションID: 2205
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    天然ガスDDF機関は,熱効率向上に有効な低当量比条件において燃焼が不安定になるという課題が指摘されている.しかしこの課題は軽油パイロット噴霧の分布を適正化することで改善できる可能性がある.

    本研究では,天然ガスDDF機関の希薄燃焼におけるパイロット噴射条件と軽油蒸気分布および火炎発達との関係を明らかにすることを目的とし,ボトムビュー方式の急速圧縮膨張装置による高速シャドウグラフ撮影を実施した.

  • 岸野 竜也, 新美 貴仁, 堀部 直人, 石山 拓二, 佐古 孝弘, 鈴木 健太
    セッションID: 2206
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    軽油を着火補助燃料とする天然ガスデュアルフュエル機関の量論比運転では,出力の調整のために吸気圧力を低下させると軽油噴霧が着火しなくなり,低負荷での運転が制限される.本研究では、単気筒試験機関により吸気条件・軽油噴射条件・圧縮比が運転限界に及ぼす影響を調査した.その結果をもとに,着火時期と運転限界,着火時期と雰囲気条件・噴射条件との関係を整理し,パイロット軽油噴霧の着火に必要な条件を明らかにする.

  • 三浦 颯士, 原田 凌弥, 松村 恵理子
    セッションID: 2207
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では,SCRシステムにおいて排気管内インジェクタから噴射される尿素水の噴霧挙動および化学反応により生成されるNH3の生成過程を解明し,それらを高精度に予測できるモデルの構築を目的とする.本報では,尿素の化学反応過程に着目し,従来の数値計算における固体・液体尿素から直接NH3に変換される反応経路に加え,気体尿素の反応経路を加えた新たなモデルを導入し,より実現象に近い数値解析を行った.

  • 下向 直樹, 谷 弘詞, 多川 則男, 小金沢 新治, 呂 仁国
    セッションID: 2401
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年,自動車の安全性向上のため,車両制御システムの研究が行われている.安定した操舵を行うため,タイヤの摩耗状態や路面間との摩擦係数を測定するセンサの開発が求められている.センサをタイヤ内部に設置して使用する場合,高速走行時の非常に大きな加速度にセンサが耐えられなければならない.本研究では,摩擦帯電センサを覆うバックの材料や形状を変更することで,摩擦帯電センサの耐久性向上を試みた.

  • 吉岡 駿, 谷 弘詞, 多川 則男, 小金沢 新治, 呂 仁国
    セッションID: 2402
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年、自動車の安定性を向上させるため、路面状態を走行中に判別できるような車両制御システムの開発が盛んに行われている。その中でもタイヤにセンサを配置するインテリジェントタイヤに注目した。本研究では、配置するセンサをタイヤ内の環境に耐えうる柔軟な構造を持つ、摩擦帯電という現象を利用したセンサとし、タイヤ回転時のセンサ出力の差異による摩擦係数の推定を目的とする。

  • 風間 亮佑, 野村 昌孝
    セッションID: 2403
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    ボルト締結体のゆるみは,部品脱落などの重大事故に繋がる恐れがあるが,その機構については解明されていない部分が多い.また,数値解析を用いた研究については,モデルに強制変位を与え,締め付けを再現した解析が主であり,実際にナットを回転させ,ゆるみ挙動を評価した研究はほとんど行われてこなかった.そこで本研究では,実際にナットを回転させることで締め付けを再現し,ボルト締結体のゆるみについて評価を行った.

  • 濱田 昂幸, 呂 仁国, 谷 弘詞, 多川 則男, 小金沢 新治
    セッションID: 2404
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    EV車の普及に伴い、駆動用モーター付近の軸受内部に電流が通過することによる軸受の早期損傷の発生が懸念されている。本研究では、直流電流を用い、通電電流の大きさや向きが潤滑油の潤滑特性に及ぼす影響を調べた。その中で、通電電流の流れの方向により摩擦係数と摩耗が大きく変化することが分かった。

  • 森本 雅也, 呂 仁国, 谷 弘詞, 多川 則男, 小金沢 新治
    セッションID: 2405
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    過酷な条件下の可動機械部では高性能潤滑油が求められている.熱安定性・化学安定性に優れたフェニルエーテル油が挙げられる.潤滑油の粘度や物性値を調整するために,様々な側鎖が用いられる.本研究では,その側鎖がフェニルエーテル油の潤滑特性やトライボ化学安定性などに及ぼす影響を調べた.

  • 木村 一貴, 中村 守正, 松岡 敬
    セッションID: 2406
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    DLC膜表面の疲労特性の評価を行う為前研究でスライダクランク機構を用いた試験機を製作した.しかし,前試験機では押付けの周波数が低く試験に時間を有することから,より高速で運転可能な試験機を製作する必要がある.本研究では,繰返し押付け試験の高速化を目的として,ボイスコイルモータを用いた新たな繰返し押付け試験機を製作した.そして,製作した試験機を用いてDLC膜を実験に供し生じた圧痕の観察を行った.

  • 黒川 想平, 谷 弘詞, 多川 則男, 小金沢 新治, 呂 仁国
    セッションID: 2407
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    ラマン分光法は微弱なラマン散乱光を検出し,試料中の分子同定が可能な分析手法である.大気中で迅速かつ簡便に測定可能である反面,数nmオーダーの極薄膜には十分な測定感度を有していない.そこで金属微粒子に吸着した分子のラマン散乱強度が著しく増大する,表面増強ラマン散乱(SERS)を利用したプラズモンレンズを開発した.プラズモンレンズを使用し,極薄膜分析のニーズが高いトライボロジー分野での応用を検討した.

  • 原田 泰典, 中嶋 優作, Muhammad Naufal Najihan bin Mohd Dahari
    セッションID: 2501
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では,ショットピーニング(SP)におけるピーニング効果を高める目的で利用されているストレスショットピーニング(SSP)を用い,チタン合金の疲労限度に及ぼす加工条件の影響について調べた.SPは,ばねや歯車等の機械部品の疲労改善のため,広く利用されている表面処理技術である.無数の鋼球を高速度で金属表面に衝突させることによって,材料表面が塑性変形でへこまされ,表面に丸いくぼみを形成する.材料表面の硬さが増し,また表面層に付与された圧縮残留応力によって疲労寿命が改善される.SPによる効果をさらに高める方法として,衝突速度を高めたハードショットピーニング,塑性変形を容易にする温間ショットピーニングやSSP,などがある.SSPの場合,予め引張の付加を行うことで圧縮の残留応力が付与されやすく,コイルばねに対して利用されている.

    本研究では,試験材料としてチタン合金の中で代表的なTi-6Al-4V合金を用い,疲労強度に及ぼすストレス付与の影響について調べた.表面粗さや表面硬さなどの表面特性を調べるため,高さ10mmで直径25mmの円柱状試験片を,また疲労強度を調べるため,直径10mmで長さ100mmの砂時計形状の疲労試験片を,それぞれ準備した.すべての試験片は,SPを施す前に973Kで3.6ksの保持後に空冷処理を行った.SPは,平均直径0.1mmの鋳鋼製微粒子を用い,所定の加工条件で処理した.疲労試験片へのストレス付与は,圧縮コイルばねを用い,495MPaと660MPaの付加応力を施して行った.疲労試験は,回転曲げ試験機を用い,回転速度3150mrp,応力比-1で行った.まず,SPを施した試験片における表面硬さと加工時間の関係について調べた結果,処理前の硬さ343HVに比べて,加工直後に約450HVの増加がみられた.しかし,加工時間が増加しても表面硬さに大きな変化は見られなかった.次に,SPを施した試験片における表面粗さと加工時間の関係について調べた結果,処理前の表面粗さRa1.04に比べて,加工時間10s以上で一定となり,平均粗さは1.4~1.5ミクロンであった.次に,疲労試験を行った結果,SPを施した試験片の場合では疲労限度が大きく改善し,SPを施していない試験片に比べて約600MPaの増加であった.SSPを施した試験片の場合,SPの疲労限度に比べて改善しており,SPなしの試験片に比べて約1GPaの増加であった.以上より,Ti-6Al-4V合金の疲労強度改善に対して,SSPによる加工処理は有効であることがわかった.

  • 原田 泰典, 泉 遥貴, 山本 健心
    セッションID: 2502
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    プレス加工の一つである深絞り加工は,生産工程が少なく,大量生産に向いた加工方法で自動車,航空機の部品や飲料用缶,小型電池のケースなど広い分野で利用されている.最近の容器の多様化に伴って,容器自体の付加価値の向上が強く求められている.そのため,素材の開発とともに加工法の開発が行われており,容器の素材としてチタン材料が注目されている.チタンは軽量かつ高強度,高耐食性など優れた特性を持っており,深絞り性の指標であるr値も高い値を有しており,今後さらなる用途の多様化が期待されている機能性材料である.本研究では,さらなる容器の機能性向上として,機能性材料であるチタン材料を用い,特殊なローラボールダイを用いた深絞り加工を行い,細長いコルゲート容器の成型を試みた.試験材料は純チタン2種の圧延薄板で,金型によって直径85mmのブランクに切り出した.板厚は0.5mmであり,焼付き防止のため大気中で酸化皮膜処理を650℃で1時間施した.深絞り加工は油圧プレス機を用いた.深絞り加工の第1段は12kNのしわ抑え力を加えた通常容器の成形とローラボールダイによるコルゲートの成形を行った.第2段目と第3段目の成形では,第1段および第2段の通常容器を用いた第2段および第3段のコルゲート容器を成形した.潤滑剤は二硫化モリブデン系工作油を用いた.容器の側壁部に波形状の凹凸を再現するため,ダイ肩部に溝をつけ,鋼球を配置した.鋼球直径は5.0~10mmで,材質は軸受鋼SUJ2である.鋼球を配置したローラボールダイを用いて容器側壁部に波形状有する多段チタンコルゲート容器の成形を試みた.その結果,側壁部に凹凸をもつ容器の成形が可能であることがわかった.また,コーナ部や鋼球接触部では板厚は減少し,鋼球直径を小さくするにつれて容器高さは高くなることがわかった.

  • 坂田 裕崇, 羽賀 俊雄
    セッションID: 2503
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    異径双ロールキャスターで鋳造した板にインライン熱間圧延を行い,鋳造時の荷重,圧延温度と圧下率が表面割れの改善,機械的性質に与える影響について調査した.インライン圧延後の板の表面割れは改善した.また,インライン圧延後に焼きなました板の引張強さは冷間圧延後に焼きなました板よりも優れていた.インライン熱間圧延後,冷間圧延し焼きなました板の引張強さは圧延温度が300,350,400,450,500℃では400℃で圧延した場合が最も高かった.

  • 生田 圭亮, 香西 晨人, 羽賀 俊雄
    セッションID: 2504
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    リサイクルアルミニウムは新地金と比べ,靭性などの機械的性質が低下するため,多くは鋳造材で使われ展伸材では一部の材料でしか使われていない.機械的性質が低下する原因は不純物,主にFeを含む粗大な金属間化合物の発生であり,この問題を解決することが出来れば展伸材におけるリサイクルアルミニウムの使用用途を拡大することが出来る.急冷凝固を伴うロールキャスターは組織を微細化させ不純物を無害化することができる方法の一つで,一般的な双ロール法の他に,内部欠陥が発生しにくいが冷却性が劣る単ロール法が存在している.本研究は各鋳造法のFeの無害化における効果の比較を目的として.AC7A合金にFeを添加し,単ロール法と双ロールでのFe量が機械的性質や成形性,異方性などに及ぼす影響の調査を行った.

  • 真弓 敏貴, 中村 守正, 松岡 敬
    セッションID: 2505
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    Diamond-Like Carbon(DLC)膜は高硬度,低摩擦,耐摩耗性など優れた特性を有するアモルファス硬質皮膜である.一方で,ねじや歯車といった,機械部品に用いられる材料は金属から樹脂への代替が検討されている.樹脂の中でもPOMは自己潤滑性に優れている.しかし,POMは熱可塑樹脂で長時間の摩擦により発熱すると硬さやヤング率が低下するという問題も併せ持つ.このような問題を表面処理で解決するべく,POMにDLC膜を形成することを着想した.しかし,POMとDLC膜は共に安定な材料であり,異種材料と密着しにくい.更にPOMにDLC膜を形成した研究は少なく,DLC膜を形成する方法として一般的であるプラズマCVD法を用いて,POMにDLC膜を形成した研究は殆ど行われていない.従ってプラズマCVD法を用いたPOMに対するDLC膜形成法について検討することで,DLC膜形成技術の知見が得られると考えた.しかし,POMに直接DLC膜を形成しようと試みたが,DLC膜を形成することはできなかった.そこでPOM基板にNi中間層を用いることでDLC膜を形成することが可能となった.この要因として,基板の表面自由エネルギーが大きな役割を担っていることが示唆された.

    POMに形成したDLC膜の構造や機械的特性を調査するために,スクラッチ試験,硬さ試験,ラマン分光分析を行った.まず基板表面のイオンエッチングがDLC膜にどのような影響を与えるかを調べるために,エッチング時のバイアス電圧を10,50,100Vと変化させてDLC膜の特性を測定した.その結果,バイアス電圧を上昇させることで臨界荷重は約10mN,硬さは約0.6GPa上昇した.しかし,スクラッチ試験の結果,DLC膜よりも先に中間層であるSiC膜が剥離していることが確認された.そこでSiC層を形成せずにDLC膜を形成したところ,密着力,硬さ共に低下することが確認され,DLC膜を形成するにあたり,SIC層を形成することによりDLC膜の特性が向上することが分かった.

    またイオンエッチング,皮膜形成時のバイアス電圧の影響を調べるために,50,70,90Vと変化させてDLC膜の評価を行ったところ,臨界荷重は約7mN上昇した.

  • 浅野 直人, 野村 昌孝
    セッションID: 2506
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年の半導体デバイス製造では,高性能化による多重積層化によりウエハ表面の研磨技術に用いられるCMP加工が非常に重要となっている.そこで本研究では,CMPパッドコンディショニング工程で用いられるコンディショナ上の砥粒数を限定し,コンディショニング条件を変化させ,パッドコンディショニングの研磨領域を定量的に評価することにより,コンディショナがパッドに与える影響を解明することを目的とする.

  • 徳永 匠真, 伊與田 宗慶
    セッションID: 2507
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年,自動車車体において燃費向上と乗員保護,防錆の観点から亜鉛メッキ高強度鋼板が広く用いられている.しかし,亜鉛メッキ高強度鋼板に抵抗スポット溶接を施工するとLME割れが発生することが報告されている.割れは接合強度低下を招く恐れがあることから抑制する必要があるが詳細な割れメカニズムは検討されていない.そこで,3次元数値シミュレーションを用いて割れの因子となる溶接中の応力・温度に着目し検討を行った.

  • 宮部 成央, 坂口 篤司, 阪山 由衣子, 金森 成志, 浅野 純, 大塚 智弘
    セッションID: 2508
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    新幹線のブレーキディスク用パッドには,開業時から銅焼結のリジッドパッド(Fig.1(a))が用いられてきた.リジッドパッドは高速からの制動時にブレーキディスクがミリオーダーで熱変形すると,パッド面とディスク面とが局部摺動により,スポット状の高温域を生じてディスクき裂の発生やブレーキ性能の低下を招く.新幹線は高速化とブレーキ距離短縮ニーズがあるが,従来のリジッドパッドではこれに対応できなかった.このことから日本製鉄とJR東海では,熱変形したディスクに摩擦材が追従可能なばね構造を有する新型ブレーキパッドの開発に着手し,長期間に及ぶラボ,そしてフィールドテストの結果から改良を重ね,高機能で信頼性の高い新型ブレーキパッド(Fig.1(b)(c))の開発に成功した.

    日本製鉄は新幹線用ブレーキディスク設計メーカであることから,ブレーキの熱変形挙動を詳細に解析することが可能である.これを生かし,ディスク形状に最適化されたばね構造と摩擦材配置のブレーキパッドを検討することができた.具体的にはディスクブレーキ制動時の摩擦によるディスクの温度分布の測定技術開発および測定した温度分布に基づく制動時のディスクの熱変形と連成させたブレーキ制動面圧の解析を実施.これにより制動時の熱変形にも追従して制動面圧を均一化することができ,さらに繰り返しブレーキングで変形が蓄積したディスクに対しても制動初期から後期まで安定して制動面圧を均一化できる等圧構造を有するパッドを開発した.これによって,営業運転速度からの緊急停止や通常運転での減速に必要なブレーキングでの摩擦力は維持しつつ,制動時のディスクの局所的発熱を従来のリジッドパッドよりも100℃以上低減し(Fig.2),ディスクに生じる熱き裂の発生を抑え耐久性を向上した.

    新型ブレーキパッドはばね構造を有するため,当然従来品よりコストUPとなるが,摩擦材1ブロックに対し皿ばね2枚という極めてシンプルな構造を採用することで,コストUPを最小限に抑えている.また省スペースのばね構造を実現したことから,現行車両にも搭載することができ,採用に際し,投資を最小限に抑えることができる.新幹線の高速化に際し,既に現状のリジッドパッドでは適用できない領域に達している.高速化における利用者の利便性改善は言うまでも無く非常に大きい.またブレーキ距離短縮に関しては特に地震時における短縮ニーズが高く,その安全性向上による効果は図ることができないほど大きなものである.

    新型ブレーキパッドは2017年にデビューした東海道新幹線N700A・3次車に採用された.またN700A・3次車だけでなく既存のN700A系車両も随時新型ブレーキパッドへ交換され,最新のN700S系車両にも更なる改良型が継続採用されている.現在では東海道新幹線全ての車両が新型ブレーキパッド搭載車両となっている.

  • 大杉 泰征, 海津 浩一, 日下 正広, 木村 真晃
    セッションID: 2601
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり
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    空孔セルを有するクラッシュボックス側面にテーパを付けることで,荷重の変動を抑えることができたが,中間 部が緻密化していた.衝突エネルギー吸収量を増加させるため,クラッシュボックス上部から圧潰を進行させ変 位量を増やすことを狙いとし,①クラッシュボックスの高さを変更する②テーパの曲率を変更するという2点につ いて検討を行った.空孔セルを有するクラッシュボックス側面にテーパを付けることで,荷重の変動を抑えることができたが,中間 部が緻密化していた.衝突エネルギー吸収量を増加させるため,クラッシュボックス上部から圧潰を進行させ変 位量を増やすことを狙いとし,①クラッシュボックスの高さを変更する②テーパの曲率を変更するという2点につ いて検討を行った..

  • 前田 起樹, 海津 浩一, 日下 正広, 木村 真晃
    セッションID: 2602
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    自動車には交通事故による死傷者を減らすために安全技術が求められており,事故時の安全を確保するために衝撃吸収部材が搭載されている.この衝撃吸収部材が潰れ切るまでの変形量を大きくすることによって従来よりも衝突エネルギー吸収量を増加させるため,折り紙の一種であるミウラ折りを格子状に配したラティス構造体について,支柱の角度や直径を変更して衝撃圧潰解析により比較し,エネルギー吸収性能を検討した.

  • 石川 裕真, 平山 明宏, 中井 賢治, 日下 正広, 木村 真晃, 海津 浩一
    セッションID: 2603
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    BCC,FCC,オクテットトラス,切頂八面体,菱形十二面体の5種類のラティス構造体について衝撃圧潰解析を行い,衝撃吸収部材として適した構造を検討した.さらに,単位格子の大きさや支柱の太さを変化させた際の衝撃吸収特性に与える影響を調べることで,圧潰中の荷重変動が少なく,大きなエネルギー吸収量を持つ構造を検討した.

  • 豊栖 遼, 海津 浩一, 木村 真晃, 日下 正広
    セッションID: 2604
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    スペースデブリの宇宙構造物への衝突に関して,宇宙構造物を防御するために設置される防御バンパーに注目し,防御バンパーをどのようにすればより耐衝撃性能が向上するのかを,三次元SPH解析を用いて検討を行った.

  • 川森 飛翔, 楳田 努, 三村 耕司, 北山 幸司, 桐生 真司, 藤原 義和
    セッションID: 2605
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    工業製品の設計ではCAE解析が行われ,解析精度の向上が求められている.解析に用いる材料モデルは従来は静的な引張試験に基づいて決定されることが多かったが,ひずみ速度依存性を考慮した正確な材料モデルが要求されるようになってきた.本研究では耐衝撃製品に使用される金属材料に対し,広ひずみ速度域の引張試験を行い,ひずみ速度依存性を考慮した材料モデルの構築を行い,簡略化した製品に対し車両との衝突解析を行った.

  • 学高 文超, 新谷 篤彦, 中川 智皓, 伊藤 智博
    セッションID: 2701
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    これまで確率論に基づく耐震性評価は行われており,その中にホワイトノイズの入力による研究は多く存在する.しかしながら,確率論に基づいて非定常地震波を入力波とする検討はあまり行われていない.そこで本研究では,非定常人工地震波を入力したときの確率論に基づく配管系の地震応答の耐震性評価について検討する.配管系はL字型配管系とし,バイリニア特性を有する弾塑性サポートで支持するものとする.運動方程式を導出し,初通過破壊による動的信頼性やサポートのエネルギー吸収割合などの評価指標を用いて,サポートの支持位置による配管系の信頼性の変化の傾向を調べた.また,ホワイトノイズを入力波としたときの応答との比較も行い,それぞれの場合で地震入力エネルギーが大きく発生する場合の弾塑性サポートのエネルギー吸収の傾向が分かった.

  • 森川 建太, 須田 敦, 榎 真一, 飯田 賢一
    セッションID: 2702
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究は,台風を想定した風荷重に対するパイプハウスの強度を数値流体力学(CFD)と有限要素法(FEM)を連成させた解析によって調査する.風圧分布の計算は流体解析ソフトSOLIDWORKS flow simulation 2018によって行う.3Dモデルに対して妻面方向の強風を伴う修正k-ε乱流モデルを用いた風環境での解析を行い,解析結果を応力解析ソフトウェアSOLIDWORKS simulation 2018に出力する.CFD解析の結果を外部荷重としてモデルに適用し,解析を行うことで風荷重が作用した際のパイプハウスの変形を計算する.解析では,一般的に用いられる温室形状に加えて,新たに提案する構造に対しても同様の解析を行い,その結果の比較から提案するパイプハウスの構造的な強度を調べる.CFD解析の結果より,提案モデルでは屋根に作用する負の平均圧力の値を従来モデルの29 %に低減していることがわかった.また,FEM解析の結果より,提案モデルでは屋根部の上方への最大変位は従来モデルの約48 %に,風上肩部の水平変位は従来モデルの約53 %に低減していることが確認できた.これらの結果より,新たに提案した構造は,従来の形状と比較して,桁行方向に垂直な風による変形を屋根上部の負の圧力値を下げることで抑制できるといえる.

  • 中内 一歩, 辻内 伸好, 伊藤 彰人, 房 士傑
    セッションID: 2703
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    厚生労働省の平成28年生活のしづらさなどに関する調査結果によると,上肢の切断や機能障害による上肢不自由者は日本に60万人以上存在する1).上肢である手や指は日常生活において多くの活動に関わる重要な器官であり多くの役割を担っている.そのため上肢不自由者は上肢の機能を補完する補装具を使用する.その中でも義手は上肢不自由者のうち,上肢切断患者が失った手の見栄えや機能を補うために用いられる.義手には主に装飾義手,能動義手,筋電義手がある.装飾義手は人の手のような見た目をしているが,義手の手や指を動かすことは出来ず,義手を用いて作業を行えない.能動義手は機能性に特化しており,義手を操作して作業を行えるが,見栄えが悪く,また,義手の操作に上半身の動き等を対応させているため,使用時に姿勢の制約がある.これらに対して筋電義手は,腕に残存する筋肉が収縮する際に発生する電気信号である筋電(EMG)信号を,皮膚表面に貼付した表面電極より計測し義手の制御に利用することで,見栄えがよく,機能的で姿勢の制約が小さい義手を実現している.これらの利点により,筋電義手は大変注目されており,開発や研究が進められている.

    筋電義手の高機能化に重要な事項として義手の力制御が挙げられる.人が日常生活において握りやつまみの動作を行う際には対象の物体の重さや硬さに応じて指先に加える力を調節している.上肢切断患者が同様の動作を行う場合には義手を用いて指先の力を調節する必要があり,その際には動作時に指先に加わる力を筋電信号に基づいて推定しなければならない.筋電信号に基づいて力の推定を行う研究としては,サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワーク(NN)を適用したものが存在する2),3).しかし,これらの多くは学習に時間を要し,学習結果が収束しない場合や局所解となる場合がある.これに対し,Huangらによって提案されたフィードフォワードニューラルネットワークの学習アルゴリズムの一つであるExtreme Learning Machine(ELM)は従来のフィードフォワードニューラルネットワークとは異なり,入力層への重みとバイアスを調整する必要がなく,入力層への重みとバイアスを任意に選択することで小さな誤差で素早く学習を行うことを可能にしている4)

    本研究ではELMを適用して筋電信号に基づいて指先に加わる力(つまみ動作時のピンチ力)の推定法を提案し,ほかの手法(SVM)を用いたピンチ力推定の結果と比較し,その性能を評価した.性能の評価には3つの指標(二乗平均平方根誤差RMSE,学習時間,推定処理時間)を用いた.

    その結果,推定の誤差RMSEは学習データに対してELMで3.37-4.11[N],SVMで1.70–2.26[N],テストデータに対してELMで3.43-4.73[N],SVMで3.10–3.39[N]であり,すべての被験者の学習データとテストデータの両方に対して,ELM適用時よりもSVM適用時の方がRMSEは小さくなった.

    また,学習時間と推定処理時間はそれぞれELMで7.30×10-2-1.38×10-1[s],4.51×10-3-1.35×10-2[s],SVMで52.47-485.49[s],1.35-18.25[s]となり,すべての被験者においてELMを適用することによりSVMよりも学習,推定ともに短時間で行うことが可能であった.

  • 野橋 健佑, 小金沢 新治, 多川 則男, 谷 弘詞, 呂 仁国
    セッションID: 2704
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    カプセル内視鏡の研究において自走化機構の開発が望まれている。そこで、本研究ではワイヤレス駆動可能な自走化アクチュエータの開発を目的にネオジム磁石とアルミ板に切り込みを入れたものに(A)エノコログサ (ねこじゃらし)と(B)PIフィルムを貼り付けた振動型磁気マイクロマシンを(A)(B)の二つ試作した。3回の繰り返し試行により平均化処理をしたところアルミ板の上を最大で(A)21.6mm/s, (B)5.27mm/sの速度で動いた。試作モデルは摩擦異方性を利用して安定した移動を示ことが確認された。今後はソフトマテリアル上での移動性能を調べる必要がある。

  • 長田 伊織, 北野 敬祐, 伊藤 彰人, 辻内 伸好
    セッションID: 2705
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    人が生活する中で生じる多様な動作の中で手指動作は重要な役割を担う.そこで,開発した慣性センサによる手指動作計測システムを用いて日常動作や器用性の必要な動作を計測し,構築した手指モデルに適用することで手指全体の関節角度を算出した.そして,慣性情報や取得した関節角度を特異値分解することで,器用性に関わる動作の協調性,独立性を判断し巧緻性要素を評価した.

  • 中村 静輝, 速水 隆太郎, 比嘉 昌
    セッションID: 2706
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年,股関節に関節症を罹患する患者が増加している.この治療法の一つとして,股関節を人工股関節に置換する人工股関節全置換術(THA)が行われる.本研究では筋肉の緊張度を手術中に測定する補助機材の製作を目指す.筋肉の緊張度は人体に機材を埋め込み直接測定するしかできない.よって本研究ではTHA手術中に筋肉の緊張度を測定できる無線測定機器のキャリブレーションを行った.

  • 松田 志緒里, 比嘉 昌
    セッションID: 2707
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    リバース型人工肩関節全置換術は2014年に日本で認可されたまだ新しい手術方法である.本研究ではリバース型人工肩関節の装着を想定した筋骨格モデルを作成し,筋骨格コンピューターソフトを用いて通常の肩関節とリバース型人工肩関節にそれぞれかかる関節にかかる力を計算し求める.

  • 藤野 潤, 後藤 晋
    セッションID: 2801
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    乱流中のエネルギーカスケードの物理機構の普遍性や非普遍性を理解するため,基本的な乱流のひとつである「物体の背後に維持される乱流」の直接数値シミュレーションを実行した.物体背後の乱流は,物体からの準周期的な剥離渦を最大スケールの渦とするエネルギーカスケードにより維持されていると考えられる.得られた乱流場を粗視化し,渦の階層を同定することで,そのスケール間のエネルギー伝達を調べた結果を示す.

  • 高瀬 夢人, 岡﨑 友紀, 桑田 祐丞, 須賀 一彦
    セッションID: 2802
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    PIV measurements are performed for turbulent channel flows over rib-roughened permeable walls changing the rib-pitch. In order to understand the combined effects of the wall permeability and roughness on turbulence, the friction coefficient is evaluated and the von Karman constant, the zero-plane displacement and the equivalent roughness height of the logarithmic mean velocity profile are examined. As the wall permeability increases, the difference in values of the friction coefficient decreases despite the structural roughness. For scaling parameters of the logarithmic mean velocity, it is found that the zero-plane displacement is linearly correlated with the equivalent roughness height. We discuss these parameters to estimate the log-law mean velocity from wall properties.

  • 森本 真尋, 岡﨑 友紀, 桑田 祐丞, 須賀 一彦
    セッションID: 2803
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    近年発表された数値的研究で示されたような,主流方向透過率優位な多孔体構造によって乱流抵抗が低減するか否かを,実験的に調べる目的で,主流方向の透過率が垂直方向の透過率の18倍となる非等方性多孔体を制作し,それを底面に持つ発達矩形ダクト乱流の構造をPIV計測した.レイノルズ数5000の条件で計測された断面内の乱流構造から,主流方向透過率優位な多孔体構造と乱流抵抗との関係を議論した.

  • 岡﨑 友紀, 桑田 祐丞, 須賀 一彦
    セッションID: 2804
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    等方および非等方多孔体,表面に構造粗さを有する多孔体界面乱流の平均速度スケーリング則の確立を目標として行ったこれまでの研究1-4)を総括する.等方および非等方多孔体界面乱流の計測によって対数速度分布のパラメータであるゼロ面変位dと粗さスケールhは主流方向の透過率と空隙率に基づく一般化レイノルズ数もしくはポアレイノルズ数と等方および非等方性多孔体界面で良好な相関を示すことを確認した.また多孔体界面で発達するケルビン-ヘルムホルツ(K-H)不安定波の波長は境界層厚さに比例し,発達混合層で確認されているK-H不安定波と同様の傾向を示すことを見出した.つぎに表面に構造粗さを有する多孔体界面乱流の計測によって上述の対数則パラメータがレイノルズ数によらず一定値を示し,粗さの形状や透過率が決まれば一意に決まるパラメータであることが明らかになった.またd, hには強い相関が有り,hと等価砂粒径ksには多孔体のポア径により予測可能なカルマン定数を介して一対一の関係にあることから,d, h, ksのいずれか一つのパラメータがスケーリングできれば総合的なスケーリング則確立の可能性があることを明らかにした.

  • 岡﨑 友紀, 籏福 亘, 桑田 祐丞, 須賀 一彦
    セッションID: 2805
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    筆者らはこれまでの研究で多孔体上における乱流の対数速度分布のパラメータは流体相スケールである空孔径に相関付けられることを報告した.そこで表面のみ開口径を変えることでも同様の傾向が成り立つか検証するため,表面に目の粗さの異なるメッシュを設置した多孔体界面乱流のPIV計測を行った.その結果,対数速度分布のパラメータであるゼロ面変位は多孔体表層の流体相スケールである多孔体のポアサイズとメッシュの開口径の小さい方と,粗さスケールは多孔体の固相スケールとメッシュの線径のうちの大きい方と相関を持つことが分かった.

  • 杉本 春紀, 桑田 祐丞, 須賀 一彦
    セッションID: 2806
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    エンジンシリンダや熱交換器等の工業製品は,内部の温度が一定でなく,それに伴い内部流体の物性値も温度に依存して変化する場合が多い.本研究では,そのような状況下の流れ場を低コストで計算することのできる壁関数モデルの開発に取り組んだ.先行研究の温度依存の粘性変化を表現したRANS用の壁関数を参考に,LESに併用する壁モデルの構築を行い,モデルの妥当性を検討した.

  • 工藤 沙弥, 高垣 直尚, 河南 治, 本田 逸郎
    セッションID: 2807
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    熱伝達性能を向上させるうえで,圧力損失増大の問題は不可分の関係にある.本研究対象のディンプルは,窪みというシンプルな形状であるため,低圧力損失で高伝熱性能が得られることが特徴である.すでに実機にも使用されているが,ディンプルの伝熱効果に関しては未知な部分が多い.高熱伝達を得るためには,Ligraniら1)が行ったようにディンプルの生成する流れ構造を把握することが重要であるが,この評価方法は定性的であるため,他条件との比較を行うのが困難である.本研究はディンプルの基礎研究として,平板上に単一ディンプルを設置し,生成される流れの攪拌作用についてステレオPIVを用いて定量的調査を行った.実験は,バルクRe数=13,000程度の乱流場で行い,3種類のディンプル形状が生成する流れ構造を比較した.その結果,とくに実験ではこれまで未解明であった,ディンプル内部から外部における3軸方向速度成分とレイノルズ応力分布および以下の知見が得られた.円型,楕円型ディンプルの結果は,Acharyaら2)と同様,スパン方向中央軸上のディンプル後縁部を中心にレイノルズ応力分布が最も高くなった.Khooら3)は,この流れの混合現象が後壁に生じる摩擦係数に比例することを示し,これを得るには相応の圧損が生じることを主張した.しかし,本実験において円型以外のディンプル形状の結果を比較したところ,生成される流れの差異がより顕著にみられたのは,中心軸上ではなくスパン方向寄りのディンプル端断面上であり,その発生要因は後壁との衝突に依らないという結果が得られた.下図は,スパン方向中央断面から0.28D(楕円型),0.39D(円型,涙型)離れた断面上のレイノルズ応力分布と時間平均流速を断面上の成分はベクトル,断面法線方向成分はコンター図で示した.(D : dimple print Diameter)円型ディンプルに対し,楕円型,涙型ディンプルは後縁部上から後方へかけて広くレイノルズ応力の分布が確認された.また同じ位置では,平均流速結果からディンプルの後壁に沿って底面垂直方向の速度成分が楕円型に若干,涙型に強くみられ,その付近でスパン方向速度成分の変動もみられた.このベクトルおよびコンターの変化もディンプル後方まで生じたことから,持続性のある3方向成分の流れ構造が楕円型および涙型ディンプルで生成されたといえる.

  • 森 裕樹, 森國 友章, 近藤 俊之, 箕島 弘二
    セッションID: 3101
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    膜厚がサブμmオーダの自立銅薄膜は柱状晶組織を有し,厚さ方向に貫通する疲労損傷の形成が疲労き裂進展に影響を及ぼす.このため,厚さ方向に複数の結晶粒を有する薄膜では,柱状晶組織の場合と異なる疲労き裂進展特性を呈すると考えられる.そこで,本研究では中間層としてnmオーダ厚さの酸化層を導入した自立銅薄膜を作製し,その疲労き裂進展特性とその進展機構を検討した.

  • 森國 友章, 近藤 俊之, 箕島 弘二
    セッションID: 3102
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    膜厚がサブμmオーダーである多結晶金属薄膜は,繰返し負荷によってき裂前方の双晶境界に沿って面外疲労損傷が先行して発生し,それらを経由して疲労き裂が進展する.このように組織に依存した疲労き裂進展を示す金属薄膜の疲労き裂進展の特性と機構に及ぼす結晶粒径の影響に着目して,本研究では結晶粒径を制御した自立銅薄膜を作製し,これに対する疲労き裂進展試験を実施した.

  • 小澤 知之, 高橋 可昌, 小林 大輔
    セッションID: 3103
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    単結晶Ni基超合金に高温大気中で導入したクリープき裂先端をTEM,EDS,EBSD等により詳細に観察した.き裂先端の前方には双晶帯およびこれに沿った微細な析出物が認められ,これが高温酸化を誘発していると見られる.

  • 阪本 和駿, 高橋 可昌, 宅間 正則, 齋藤 賢一, 佐藤 知広
    セッションID: 3104
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    樹脂と金属の接着継ぎ手界面を対象に,クリープに起因する剥離き裂発生強度則を検討した.とくに界面端近傍の特異応力・ひずみ場に着目し,2パラメータ(特異性指数,特異場強さ)クライテリオンを検証した.

  • 和泉 遊以, 田邉 裕貴, 中村 司, 江口 勇気, 曲田 吉史
    セッションID: 3105
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    Sonic-IR法は検査対象に超音波を入力し,欠陥界面同士の擦れ合わせにより生じる摩擦熱を赤外線カメラで検知することで欠陥検出を行う検査法である.本研究では,この方法を利用し,Sonic-IR法によりスポット溶接の健全性評価を行う方法について検討した.ナゲット径の異なる種々のスポット溶接試験片に対してSonic-IR試験を実施し,超音波加振時の溶接部周辺の温度分布と溶接の接合状態との関係を調べた.その結果,超音波加振によって溶接部では円状の発熱が生じ,発熱のピーク間距離からナゲット径の推定が可能であることが示唆された.

  • 安福 弘規, 藤本 岳洋
    セッションID: 3106
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では衝突体先端部の形状や衝突速度,試験片の板厚,衝突位置等の変化が破壊挙動に与える影響を調べることを目的とし,SKD11製の三点曲げ予き裂試験片に衝突体を衝突させる動的破壊実験を行った.動的破壊実験では衝突体の衝突位置(荷重作用点)を試験片中心から偏心させ混合モード下の非直進破壊挙動を観察した.き裂進展現象は高速度カメラとひずみゲージ応答を用いて記録し,各種試験条件ごとに評価を行った.

  • 元林 大昂, 春風 侑哉, 清水 大貴, 塩澤 大輝, 小川 裕樹, 阪上 隆英
    セッションID: 3107
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/02
    会議録・要旨集 認証あり

    鉄道台車枠の重点検査箇所以外の場所に対しても,より高い頻度でき裂検査が行うことができればより有用である.そこでき裂を迅速かつ正確に検出可能な検査方法として,アクティブ温度ギャップ法に着目した.材料を局所的に加熱することで熱の移動を生じさせると,き裂部で大きな温度差が生じる.この温度差を赤外線カメラで計測することでき裂部を検出できる.本手法は,構造物に発生したき裂を面計測で遠隔から迅速に検出することが可能であり,目視検査の代替検査となりうると考えられている.本研究では,鉄道台車枠に発生したき裂の検出性を評価した.初めに検査対象の塗装の影響を検討するため,熱湯滴下による加熱実験および有限要素解析を用いた非定常熱伝導解析を行った.その結果,膜厚が100㎛程度では,表面で計測される熱伝導挙動への塗装の影響が小さいことが分かった.次に鉄道台車に用いられる厚さ9mmのSM490Y材に対して,半楕円き裂を模した各種き裂パラメータを用いることで,本手法によるき裂の検出性を検討した.モデルには加熱源に平行なき裂を用いた.その結果,加熱源に平行なき裂に対して,き裂深さ3mmの半楕円き裂に対しては,き裂端部以外のき裂幅を検知することができ,き裂深さの検出限界は1mm程度であった.温度微分値を用いた2次元画像により,材料表面のき裂形状を特定することが出来た.

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