日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
選択された号の論文の145件中101~145を表示しています
IV. 皮膚真菌症
  • 北村 真人, 田中 俊宏, 田中 壮一, 堤 寛
    セッションID: P-71
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    80代、女性。水疱性類天疱瘡にてPSL7.5mg内服中。老人保健施設に居住しており、近所にハトが多数いる。2ヶ月前より右眼の下と外側に、中央に痂皮、排膿を伴う結節が出現。右眼の下の結節からの皮膚生検では真皮全層に炎症細胞浸潤と円形の菌要素を多数認め、一部は巨細胞に取り込まれていた。菌要素はPAS染色、Grocott染色、Cryptococcus neoformans抗原染色陽性、Candida albicans抗原染色陰性、その周囲の空隙はAlcian blue染色陽性。培養でも血液寒天培地、クローム寒天培地にて白色のコロニーを形成し、Cryptococcusと同定した。胸部X線上病変は指摘されず、皮膚限局型クリプトコッカス症と診断した。フルコナゾール:100mg/dayの内服にて右眼の下の結節は治癒したが、外側の結節は著変なかったため皮膚生検を施行。HE染色、PAS染色にて上記と同様の所見が得られた。そのため、フルコナゾール内服を続行し、右眼外側の結節も治癒した。
  • 高原 正和, 辻 学, 上ノ土 武, 松田 哲男, 古江 増隆
    セッションID: P-72
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    67歳、女性。重症筋無力症のためプレドニゾロン15mg、タクロリムス2mg内服中であった。3-4年前から四肢、躯幹に痒みを伴う紅斑が多発してきたため、2005年10月、当科初診し、体部白癬と診断した。真菌培養ではTrichophyton rubrumと同定された。テルビナフィン外用薬を処方されたが、その後は通院せずしばらく放置していたところ2006年6月頃から左下腿前面に紅色腫瘤を形成し、集簇性に多発、増大し、排膿、面靤、痂皮を伴うようになった。右外果部、右母趾、左中趾にも紅色の結節、腫瘤が出現してきたため、2006年近医皮膚科を受診し、有棘細胞癌を疑われ当科を紹介された。直接鏡検では痂皮、面靤内の角質に菌糸が認められた。皮膚生検からの病理組織像では表皮の偽癌性増殖、真皮内には巨細胞を伴う肉芽腫を形成していた。多数の菌糸、胞子が真皮内に認められ、これらはPASおよびグロコット染色に陽性であった。生検組織、痂皮、角質からの真菌培養でTrichophyton rubrumが分離された。トリコフィチン反応は陰性、カンジダ、トリコフィトン抗原RASTは陰性、血中β‐Dグルカンは196 pg/mlと高値であった。以上の所見からTrichophyton rubrumによる白癬菌性肉芽腫と診断し、テルビナフィン125mgの内服を開始した。
  • 金子 健彦, 近藤 亨子, 槇村 浩一
    セッションID: P-73
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    症例1:50歳女性。初診の4週前にアメリカンショートヘアをペットとして購入。その当初よりネコに脱毛あり。初診1週間より右手背に環状紅斑が出現し,徐々に拡大するため当科を初診。直接鏡検陽性。巨大培養では短絨毛状黄白色の集落を形成し、スライドカルチャーでは紡錘形で6~10個の房室を有する大分生子と分枝した菌糸を多数認め,Microsporum canisと同定。ヘアブラシ法にてネコを擦過したところ,同様の培養結果を得た。テルビナフィンクリーム外用2ヶ月後に紅斑は消失。
    症例2:52歳女性。躯幹四肢に多数の環状紅斑認めたため当科を初診。直接鏡検陽性。培養所見よりM. canisと同定。飼いネコには明らかな病変を認めなかったが,ヘアブラシ法による培養にて同様の所見を得た。病変部とネコより得られた分離株を用いてITS1領域の塩基配列を決定し,データベースと照合したところ,両株の塩基配列は完全に一致し,Arthroderma otae ITS1 genotyep4 に相当した。
  • 楊 秀敏, 杉田 隆, 比留間 政太郎, 池田 志斈
    セッションID: P-74
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    患者:36歳、男、革靴製造業。10ヶ月前より鼻閉が生じ、7ヶ月前より鼻背部に発赤・腫脹する。現症:右鼻腔より下鼻甲介に腫脹を認め、鼻全体より頬部、上口唇にかけて高度の腫脹と変形を認める。血液・生化学的検査は正常、頭部X 線検査で骨に異常無く、CT検査では、上額部、鼻腔の炎症性変化で、endoscopeの検査で腫瘍性病変はなかった。病理組織検査所見:慢性好酸性肉芽腫病変がみられ、PAS染色で菌要素は、紅色に染まり,多核巨細胞内に貧食された菌糸が認められ、菌要素の周囲にエオジン好性物質の沈着(Splendore-Hoeppli 現象)が観察された。真菌学的検査:生検組織をSDAとPDA培地に接種し、集落は最初クリーム状を呈し、時間とともに周辺に放射状に広がり、表面は白色粉末状を呈する。培養の検鏡で球形の胞子嚢形成がみられ、一部に乳頭状の突起をみる。また、冠状の胞子も見られ、電子顕微鏡でも同様の構造が観察された。rDNAの塩基配列分析の結果は完全にConidiobolus coronatusと一致した。分離菌は、形態学と分子生物学的検査でConidiobolus coronatusと同定された。治療:itraconazoleを 12か月間用い、完全に治癒した。考案:Conidiobolus coronatusによるEntomophthoromycosis は、鼻粘膜下の肉芽腫性病変であり、アフリカ、インド、中南米などの熱帯、亜熱帯地方に生じる真菌症である。(共同研究者)李亜弟、周小謙、王毓新、耿素英、劉紅綱、楊慶文、魯辛辛
  • 楊 秀敏, 菅波 盛雄, 白木 祐美, 杉田 隆, 比留間 政太郎, 池田 志斈
    セッションID: P-75
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    はじめに:T. tonsurans感染症は、欧米における頭部白癬の主要起因菌であり、日本においても、その流行が確認されている。われわれは既に、rRNA-VIRR領域の遺伝子多型の研究で、本菌は7型に分類されること,日本で流行している菌は、2型であることを報告した(Microbiol Immunol 50, 57, 2006)。今回は日本人柔道選手が対戦する可能性のある外国人選手を対象として、ブラシ検査を行い、分離された菌の遺伝子多型について分析した。対象と方法:1.外国人チーム来日(T大学、23名)、2.指導者講習会(K館、43名)、3.National team合宿(To大、29名、K大学、19名、ニュージーランド、25名)、4.試合(柔道アジア選手権・タシュケント、58名)などで行った。方法は、調査用紙に年齢・性・国籍・タムシの既往などを記入後、ヘアブラシ検査を行った。結果:調査人数合計は、197名、国籍31カ国、うち陽性者は、10名(5.1%)であった。分離された菌の遺伝子型は、1、2、4、7型の4型に分類された。考案:現在、分離された菌の由来について検討中であるが、いままで日本の格闘技選手の間で流行していた菌は2型のみであったが、今後は、数種類の遺伝子多型を示すT. tonsurans が輸入される危険性があると考えられた。
  • 小室 陽子, 池谷 田鶴子, 池田 志斈
    セッションID: P-76
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    49歳、女、保育士。特に自覚する外傷の既往はない。2006年4月頃から左膝部に腫瘤が出現し徐々に拡大、表面に膿疱を認めるようになったため、11月に当科を受診した。初診時、左膝中央に表面に膿疱・痂皮が付着する径約60mm大の硬結を認めた。皮膚生検では、真皮全層に好中球主体の膿瘍が形成されており、グラム染色にて菌体を認めた。培養からNocardia brasiliensisが同定されたため、限局型皮膚ノカルジア症と診断した。塩酸ミノサイクリンを5ヶ月間内服したところ、腫瘤の縮小は認めたが完治にいたらなかった。そのため外科的治療も考慮しつつレボフロキサシン内服に変更し治療を継続している。
  • 常深 祐一郎, 玉城 善史郎
    セッションID: P-77
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    26歳男性。幼少時より体幹四肢に角化性丘疹が多発し、臨床像と病理組織所見よりダリエ病と診断した。経過中間擦部を中心に体幹、四肢にびらんが多発し、発熱もみられた。びらんよりCandida albicansと数種の細菌を検出したが、抗生剤およびエトレチナート増量は無効で、イトラコナゾール内服が著効した。抗生剤を中止し、エトレチナート減量したが、イトラコナゾールを週に1回200mg/dayを定期的に間歇内服することで増悪はみられず、この症例ではC. albicansが増悪因子となっていると考えた。また、長期に内服しているが有害事象もみられていない。根本的な治療法のないダリエ病の治療において、悪化因子を同定することは重要であるが、カンジダも念頭に置く必要がある。そして、その際カンジダによいMICを示すイトラコナゾールは有用な治療法になりうる。
  • 田邉 洋, 河崎 昌子, 安澤 数史, 望月 隆, 石倉 直敬
    セッションID: P-78
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】某高校柔道部のT. tonsurans集団感染に対してルリコナゾール液単純塗布による予防効果を検証する。【対象石川県某高校柔道部(部員24名)【方法】対象全員に、柔道の練習や試合直前にルリコナゾール液を約1ヶ月間毎日1回頭部全体に塗布させた。その間計4回7件のブラシ検査を施行した。ブラシ検査の時期は、初回はルリコナゾール未使用時。2回目はその1週間後。3回目は開始2週後の練習前、塗布後、練習後。4回目は対外試合後の合同練習前と練習後の4回7件である。【結果】1,初回ブラシ検査陽性者は24名中7名であった。2,ルリコナゾール液を塗布後3時間の練習後のブラシ検査は全員が陰性であった。3,ルリコナゾール塗布期間中に行われた対外試合後陽性者数は増加した。4,持続感染者3名はルリコナゾール塗布期間中もブラシ検査は陽性が持続した。【結語】ルリコナゾール単純塗布は,T. tonsurans集団感染に対し、一昨年施行したケトコナゾール液の予防的塗布に比較して、塗布集団内での付着予防効果は見られた。しかし、再発予防や治療効果は期待できない。また数回の治療後も再発を繰り返す持続感染者が存在した。今後の方策としては、組織的に大規模に数回のブラシ検査を施行し,持続感染者を検出し彼らを確実に内服治療に導き、また多数が接触する試合や練習では事前に参加者全員に抗真菌剤外用を行うことが、本症の蔓延を防ぐ一つの方法と考えた。
  • 野村 昌代, 青山 裕美, 山中 新也, 北島 康雄
    セッションID: P-79
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    77才女性 69才時に非ホジキンリンパ腫を発症し、化学療法により加療されており、現在ステロイド(PSL5mg)内服中。2007年6月13日にムカデ咬症の治療目的で当科初診した際に、右手背にうずら卵大の結節を指摘された。合併症に慢性心不全と腎不全。現症:右手背に半ドーム状の結節が2個あり、結節の辺縁は堤防状に隆起し表皮を通して青色から黒褐色の皮下腫瘍を透見し一部で表皮は乳頭腫状に増殖していた。結節の中央は潰瘍化し血痂と痂皮を付着していた。結節の周囲に紅斑を伴っていた。リンパ腫の皮膚転移と上皮系の腫瘍を疑い生検したところ組織内に褐色の菌糸を多数認めたため深在性真菌症を疑い、診断と治療を兼ねて一方の結節を全摘した。病理組織所見:表皮の擬癌性増殖と表皮直下から皮下組織に至る肉芽腫性増殖を認め、巨細胞や組織中に多数の褐色菌糸、円形細胞、Sclerotic cellを認めた。真菌培養:組織片のより黒緑色ビロード状のコロニーの産生を認めた。現在菌種を同定中である。臨床、病理および培養所見よりクロモミコーシスを考え、イトラコナゾール(100mg)内服とカイロによる温熱療法を施行中である。
  • 山中 新也, 青山 裕美, 市來 善郎, 北島 康雄, 楊 美雪, 西村 和子
    セッションID: P-80
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    74歳女性。既往歴特記すべきことなし。2006年12月左前腕を古い物干竿で過って数回擦過し、びらんとなったが放置していた。同部が湿潤した局面となったため近医を受診し、クラビット内服、イソジン消毒で治療されたが病変は隆起拡大したため、2007年4月5日平野総合病院を受診した。初診時、左前腕伸側に痂皮と点状のびらんを伴う4x4cmの紅色隆起性局面を認めた。病理組織検査では表皮のpseudo-epitheliomatousな増殖と真皮内にリンパ球、好中球、組織球の稠密な浸潤を認めたが、PAS染色等でも明らかな菌要素は確認出来なかった。再度皮膚生検を行ない組織の真菌培養を行なったところ、黒褐色絨毛状の分離株はrRNA遺伝子のITS、D1D2ではA.alternataA.tenuissimaからなるクラスターに入ったが、形態学的にはA.alternataであった。ヨウ化カリウム1.5g/日内服は効果なかったが、イトラコナゾール100mg/日内服で皮疹は縮小、表面のびらんは上皮化してきた。2006年までの皮膚アルテルナリア症本邦報告例は17例にすぎず、しかもステロイド内服などによる免疫抑制状態ではない症例は稀と思われたため報告する。
  • 木森 久人, 山本 健, 大島 朋子, 中川 洋一, 前田 伸子, 森戸 光彦
    セッションID: P-81
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【緒言】口腔の萎縮性カンジダ症の診断は、臨床所見に加えて培養検査を併用して行うのが一般的である。しかし、カンジダは口腔常在性があるため、培養で検出することだけでカンジダ症と診断することはできない。一方、培養検査の検体採取はリンス法とスワブ法がある。スワブ法はリンス法の結果とよく相関し、また簡便なため有用である。そこで今回、スワブ法の真菌培養検査結果と、口腔の自・他覚的臨床所見との関連性について検討した。【方法】鶴見大学歯学部附属病院ドライマウス外来を訪れた92名を対象とし、スワブ法によって舌背から採取した検体をCHROMagar®培地で48時間培養した培地上のコロニー数をカンジダ数とした。自覚症状と他覚的徴候を評価し、それらの所見の有無とカンジダ数の関連性を分析した。【結果】自・他覚所見の因子分析では口腔粘膜萎縮徴候(舌痛、口角びらん、舌乳頭萎縮)、口腔乾燥徴候(舌、口蓋ならびに頬粘膜の発赤と乾燥)、口腔乾燥症状(口が乾く、のどが渇く、口がネバネバする)、味覚異常症状(味がおかしい、苦味を感じる、舌亀裂、口が乾く)の4つに分類された。このうち、カンジダ数は口腔粘膜萎縮徴候との関連が強く、カンジダ数のcut off値を29に設定した場合の感度、特異度は61.5%と58.7%であった。【結論】カンジダ症診断の補助として、スワブ法による培養検査の有用性が示され、cut off値の設定は診断基準に適用できる可能性が示唆された。
  • 法木 左近, 石田 久哉, 梶谷 和生
    セッションID: P-82
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【緒言】我々は今まで、白癬菌に対するモノクローナル抗体を作製し(第47回日本医真菌学会総会.)、それを用いたサンドイッチELISA法が足白癬や爪白癬の診断に対して有用であることを報告してきた(第48回日本医真菌学会総会)。今回、この抗白癬菌モノクローナル抗体を用いて、イムノクロマトグラフィー法によるテストストリップを試作し、爪白癬診断について検討したので報告する。【テストストリップの作製】抗体をニトロセルロースシートに線状に固相化し、抗体固相化支持体とした。金コロイド標識した二次抗体をガラス繊維不織布に含浸させ金コロイド標識物保持担体とした。抗体固相化支持体の下端部に金コロイド標識物保持担体を重ね、上端には液体吸収用担体を重ねて、テストストリップを作製した。【対象】爪白癬と診断された20例と健常人ボランティア17例とから採取された爪を試料とした。試料を、300μlの滅菌水の入ったエッペンドルフに入れ、10分間沸湯水中で加熱した。自然冷却後、上清120μlをテストストリップに添加し、5分後に判定した。【結果と結語】爪白癬患者爪は、20例中19例で陽性。健常人ボランティア爪では、17例中1例で陽性であったが、この1例はKOH検鏡法で白癬菌が検出された。このイムノクロマトグラフィー法による爪白癬診断は、手技が簡単で短時間で結果がでるため有用な方法と考えられた。
  • 佐藤 友隆, 高柳 淳, 永尾 圭介, 戸松 宣博, 福井 寿文, 川口 正浩, 工藤 純, 天谷 雅行, 山本 伸子, 清水 信義
    セッションID: P-83(SIV-4)
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    爪真菌症の診断ではKOH法で菌の存在を確認した上で培養法による同定を行うが培養成功率は低く迅速性を欠く点が問題である。目的: DNAチップを用い、多菌種を網羅的に早期診断するシステムを開発し、臨床評価を行う。方法:菌種ごとにITS領域に特異的なオリゴDNAプローブを基板に固定した真菌24種の同定用DNAチップを開発した。独自のビーズ破砕法で調製した真菌DNAを鋳型としITS1&ITS4プライマーペアによるPCRを行い、蛍光標識したのちハイブリダイゼーションを行った。標準株および臨床分離株40株、KOH検査陽性の爪97検体を得て、培養とDNAチップ検査を施行し結果を比較した。結果:塩基配列を確認した臨床分離株40株に対するチップ検査の結果は40/40(100%)一致した。爪検体では培養陽性が31検体(32%)に留まったのに対し、チップ検査で同定できた比率は91/97(94%)であった。チップ検査の結果は検体由来の培養株の塩基配列と29/31(94%)一致した。チップで判定された菌種は9種であり、重複感染が疑われる例も含まれた。結論:培養率の低い感染症を診断するモデルとして、爪真菌症で分離される真菌24菌種を同定できるDNAチップを開発し得た。チップ検査による菌種同定率は培養法を大きく上回り、迅速性も踏まえ本システムは臨床に大きく貢献できる診断法として期待される。
  • 奥田 長三郎, 伊藤 雅章
    セッションID: P-84
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    〔緒言〕英国皮膚科学会のガイドライン(2003年度版)によれば、爪白癬治療における第一選択はテルビナフィン“250mg/日”の連続投与(原法)である。我々はこれまでに、第一選択とはされないテルビナフィンの間歇投与が実際には十分有効であることを、部位別・病型別の検討で明らかにした(日皮会誌117(10)、2007)。今回、同様に第一選択とはされないが実際に行われている“125mg/日”の連続投与(変法)の有効性が原法と同等であるか否かについて検討した。
    〔対象と方法〕爪白癬の病型は「特殊病変」(側縁型、縦線型、くさび型、空洞型)と「通常病変」(それ以外の病型)に大別し、対象爪の選択基準は「混濁比が5以上である趾爪の中から、部位では第1趾を、病型では特殊病変を、それぞれ優先」とした。患者を対象爪の部位・病型に基づいて分類し、登録順に、250mg群と125mg群に交互に割り付けた。そして前者にはテルビナフィン250mg/日を12週間、後者には同125mg/日を24週間、いずれも連続投与した。その後は、4週間ごとにフォローアップを行った。
    〔結果〕52週後、250mg群(n=161)の治癒率は、1趾・通常病変で79%、1趾・特殊病変で77%、2~5趾・通常病変で100%、2~5趾・特殊病変で94%であった。一方、125mg群(n=161)の治癒率は、それぞれ72%、83%、91%、100%であった。これらの治癒率の、投与方法、部位、病型の違いに基づく差異を統計学的に検証した。
  • 奥 幸夫, 高橋 尚道, 横山 耕治
    セッションID: P-85
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】我々はT.rubrumに対するliranaftate(LNF)の殺菌活性を他の外用抗真菌薬と比較検討し、LNFの活性が最も強かったことを既に本学会で報告した。今回、さらに試験菌株数を増やすと共に、他の菌種についても検討したので報告する。
    【方法】試験菌はT.rubrum, T.mentagrophytesおよび M.gypseumを用いた。対照薬はluliconazole(LLCZ), ketoconazole(KCZ)およびamorolfine hydrochloride(AMO)を用いた。まず12ウェルマルチプレートにてサブロー・デキストロース(SD)ブロスを用いた液体法でMICを測定し、培養7日目および14日目にMIC値以上のウェル中ブロス0.1mlを採取し、薬剤不活化剤(卵黄レシチン1%+Tween80 0.7%)添加SD寒天培地平板上に塗り広げMCCを測定した。またSDブロスでのtime-kill curve法によっても殺菌活性を検討した。
    【結果および考察】T.rubrum 6株に対するMIC値はLLCZが最も小さい値を示し、次いでLNF、AMO、KCZの順となった。一方、MCC値においてはLNFが最も小さく、AMO、LLCZ、KCZの順であった。
    LNFの殺菌活性の強さはtime-kill curve法の検討からも確認され、各薬剤とも菌株によって活性の差が認められたものの、LNFが最も早期に生菌数を測定限界以下に低下させた。
    また皮膚糸状菌に対する殺菌活性は各薬剤とも菌種によっても差が認められ、T.rubrumに対する活性はT.mentagrophytesおよびM.gypseumより弱かった。これらの結果からT.rubrumは殺菌し難いと考えられた。
  • 南條 育子, 古賀 裕康, 槇村 浩一, 坪井 良治
    セッションID: P-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】Malassezia restrictaは脂漏性皮膚炎患者から優位に検出されることから,本疾患の原因に大きく関ると考えられている.本研究では,外用抗真菌薬ルリコナゾール(LLCZ)のM. restrictaに対するin vitro抗真菌活性を調べ,本薬の脂漏性皮膚炎に対する適応の可能性を検討した.尚、本菌種は脂質要求性で脂質添加培地を要するため,添加脂質による薬剤不活化の影響の低い培地を選択して試験を行った.【方法】M. restricta臨床分離株(10株)およびM. pachydermatis保存株(1株)を用いた.薬剤はLLCZおよびケトコナゾール(KCZ)を使用し,それらの最小発育阻止濃度(MIC)を寒天平板希釈法で測定した.【結果および考察】(1)試験培地:非脂質要求性であるM. pachydermatisを用いて検討した.Yeast Malt寒天培地にolive oil (10%)を添加あるいは非添加の条件で薬剤の活性を比較したところ,いずれの薬剤においても脂質添加による不活化がみられ,影響はLLCZで強かった.そこで脂質組成の異なる各種培地を比較し,影響の低いLeeming and Notman Agar改変培地(milk非添加)を選択した.(2)抗真菌活性:LLCZの M. restricta(10株)に対するMIC90は,0.008μg/mL(範囲:0.004-0.016μg/mL)であった.その活性は現在脂漏性皮膚炎に適応されているKCZの活性(MIC90:0.016μg/mL, 範囲:0.008-0.016μg/mL)とほぼ同等と考えられ,LLCZの脂漏性皮膚炎に対する治療効果が期待された.
  • 古賀 裕康, 南條 育子, 槇村 浩一, 坪井 良治
    セッションID: P-87
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】Malassezia restrictaは脂漏性皮膚炎の原因に大きく関ると考えられるが,動物における検証は未だなされていない.本研究ではM. restrictaをモルモット皮膚に感染させることで脂漏性皮膚炎と類似した病態が形成されることを確認し,それをモデルとして1%ルリコナゾールクリーム(1%LLCZ)および2%ケトコナゾールクリーム(2%KCZ)の治療効果を検討した.【方法】M. restricta臨床分離株をm-LN液体培地に懸濁(0.4g/mL)させ,モルモット背部皮膚2箇所(φ2cm)に各0.2 mLずつ7日間塗布接種した.皮膚症状を観察し,接種開始14および21日後に病理組織学的検査(H.E染色およびPAS染色)を行った.治療効果試験では,菌接種終了翌日から薬剤0.1mLを3日間塗布し,皮膚症状の観察と投薬終了5日後の病理組織学的検査を行った.【結果および考察】感染局所皮膚では,菌接種4~5日後に紅斑および丘疹が観察され,その後顕著な鱗屑・痂皮を伴って10~14日前後に極期となった.病理組織学的には表皮の角質増殖,表皮肥厚および海綿状態が認められ,真皮には炎症性細胞浸潤と毛細血管拡張を認めた.菌は酵母状で角層表層部に分布した.この様な脂漏性皮膚炎と類似した病態モデルに対して, 1%LLCZおよび2%KCZはいずれも皮膚症状を有意に改善した(投薬終了5日後).病理組織学的検査においても1%LLCZおよび2%KCZは感染菌量を有意に減少させ, これら外用抗真菌薬の治療効果が確認された
  • 佐藤 公美子, 海老原 睦仁, 槇村 浩一, 安部 茂, 坪井 良治
    セッションID: P-88(SIV-5)
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    東京医大病院を受診した鏡検陽性の爪白癬患者73名の爪甲病変から真菌由来DNAを抽出し,nested PCR法により菌の検出並びに同定を行った。PCRには,28SrRNA遺伝子の塩基配列から設計した真菌共通のプライマーと菌種特異的プライマーを用いた。また,この方法を用いて爪白癬に対する内服治療前後の爪甲内病変中の真菌由来DNAの有無を比較した。30サイクルのfirst PCR陽性率は61.6%(45/73例),nested PCRによる皮膚糸状菌共通DNA陽性率は84.9%(62/73例),Trichophyton- rubrumは80.8%(59/73例), Trichophyton-mentagrophytesは13.6%(10/73例),Aspergillus spp.は21.9%(16/73例),Candida-albicansは13.6%(10/73例)であった。また,塩酸テルビナフィンとイトラコナゾール内服投与後の真菌由来DNAの有無を4例で検討した。この結果,投与後PCRが陰性になった症例が2例あり,これらの症例では爪甲に白濁病変がわずかに残っていた。以上の結果より,PCR法は爪白癬の爪甲病変から菌の検出が可能であり,内服治療後の早期治癒判定に有用であることが示唆された。
  • 畑 康樹, 佐藤 友隆, 山本 尚緒, 仲 弥, 天谷 雅行
    セッションID: P-89
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    爪白癬を対象とした経口抗真菌薬の臨床試験は多数行われているが、報告された治癒率には大きな差がみられる。これは重症度の異なる症例を一つの試験に組み込み、患者背景別に検討されていないことが原因と考えられる。爪白癬の治療に影響すると考えられる因子としては楔形・空洞形成・著しい肥厚といった形状、爪の伸びる速度、爪への薬剤移行、原因菌種、基礎疾患の有無、SCIO値などがあげられる。今回済生会神奈川県病院において我々はイトラコナゾールのパルス療法を本調査における標準の抗真菌剤の内服治療法とし、治癒する群としない群とで事前に治療抵抗性を示す因子を察知できるかどうかを検討してみた。解析できた2群の比較においては事前に治療抵抗性を示す因子としてあげられた諸因子は治癒した群と増悪した群とで有意な差を認めなかった。内服終了後3ヶ月から6ヶ月の間に、両群において治癒過程に開きが生じること、増悪群に内服終了3ないし6ヶ月後の爪中濃度が上昇しない傾向が認められた。以上の結果を踏まえ、慶応義塾大学真菌外来における爪白癬患者の治療成績に関わる因子についてもレトロスペクティブな検討を加えて発表する。
  • 杉田 隆, 白木 祐美, 高畑 ゆみ子, 楊 秀敏, 武藤 正彦, 比留間 政太郎
    セッションID: P-90
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【はじめに】爪白癬患者の爪サンプルの培養陽性率は決して高くないことから、これにわかる方法として、PCRによる起因菌検出法がいくつか報告されている。この度は、さらに定量的に起因菌を検出する方法としてreal-time PCR検出法を開発した。【材料および方法】 1. KOH直接鏡検により確定診断された爪白癬患者の病変部から爪サンプルを採取し、液体窒素で凍結後、オートミルを用いて爪を粉状に破砕した。2. Trichophyton rubrum および T. mentagrophytes検出用probe作製のために当該菌種のrRNA遺伝子中のIGS領域のDNA塩基配列を決定した。【結果および考察】1. 本法の定量限界は10 copyであり、当該菌種以外の真菌/細菌由来DNAを用いて特異性を確認した。2. 50サンプル中、47サンプルが T. rubrum あるいは T. mentagrophytes として定量的に検出できた。本法はconventional PCRよりも高感度であり、かつ定量も可能であることからその有用性は高いと考えられる。
V. その他一般
  • 山口 正視, 大楠 美佐子, 川本 進
    セッションID: P-91
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    ヒトの身体を構成する細胞の数は約60兆、脳細胞の数は150億であるといわれている。しかし、例えば一個の酵母細胞に何個のリボソームが存在するのか、また、小胞体はどれだけの体積を占め、どのように分布しているのかなどは、どの教科書にも載っていない。「ストラクトーム」とは、structure と -ome から成る造語であり、電子顕微鏡レベルにおける細胞の定量的、三次元的全構造情報を意味する新しい概念である[1]。我々は、すでに、病原黒色酵母エクソフィアラを材料として、細胞の定量的、三次元的解析を行い、いくつかの新しい情報を得ており、たとえば、リボソームは一細胞中に20万個、小胞体はわずかに0.2%の体積を占めるにすぎないことがわかった[2]。本研究では、サッカロミセス細胞を、急速凍結・置換固定法により、樹脂に包埋し、連続超薄切片法により、すべての細胞成分のストラクトーム解析を目指す。材料は、酵母Saccharomyces cerevisiae のゲノム解析に用いられたS288C株を用いた。謝辞:S288C株を提供してくださった水野貴之博士に心から感謝する。会員外共同研究者:岡田 仁。文献 1) Yamaguchi M: Structome of Exophiala yeast cells determined by freeze-substitution and serial ultrathin sectioning electron microscopy. Current Trends in Microbiology 2: 1-12, 2006. 2) Biswas SK, et al: J Electron Microsc 52: 133-143, 2003.
  • 大楠 美佐子, 高木 大輔, 清水 公徳, 藤井 貴明, 川本 進
    セッションID: P-92
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Cryptococcus neoformansは、免疫力の衰えたAIDS患者や、癌患者などに肺炎や髄膜炎など日和見感染症を引き起こす病原性酵母として知られている。本菌は細胞壁周囲に莢膜を持ち、この莢膜はメラニンとともに、主要な病原因子の一つと考えられている。今回我々は、比較的莢膜の薄い数株の親株から莢膜の厚い株を分離し、それぞれの諸性状の比較およびマウスへの接種試験を行ったので報告する。 親株となる株からPDA培地を用いて、光沢の強いコロニーをそれぞれ単コロニー分離した。PDB液体培地にて培養後、莢膜の厚さの計測を行い、これらの細胞が明らかに厚い莢膜を持つことを確認した。同様にして3株の親株から莢膜の厚い株を得た。これらの株について倍数化時間、メラニン合成能、フルコナゾールおよびフルシトシン感受性を調べた。また、このうち2株についてマウス接種試験を行った。 その結果、倍数化時間は莢膜の厚い株の方が親株に比べ、長い傾向が認められた。またメラニン合成能、薬剤感受性について有意な差は認められなかった。マウス接種試験では、初期接種菌濃度が高い場合には生存日数に差は認められなかった。しかし、菌濃度を低くした場合、莢膜の厚い株を接種したマウスの生存日数は有意に長かった。感染したマウスの脳中のC. neoformansを顕微鏡で観察したところ、莢膜の厚い株を接種したマウスには、巨大化した菌と、その大部分を占める大きな液胞が認められた。
  • 岩口 伸一, 鈴木 孝仁
    セッションID: P-93
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    不完全真菌Candida tropicalis (C. tropicalis)はグルコースを炭素源とする合成液体培地にエタノールを2.5%添加すると多細胞性の菌糸型増殖を示す。本研究では液体培養で経時的に生理的及び形態的な細胞の変化として追跡することができるC. tropicalis,Pk233株を用いて、菌糸形成に関与すると予想されるMAPキナーゼをコードする遺伝子の単離を行った。Candida albicansのMAPキナーゼCek1、Saccharomyces cerevisiaeのMAPキナーゼKss1、Fus3の3つのMAPキナーゼで高度に保存されたアミノ酸配列を選定してデザインした縮重プライマーを用いてPCRを行い、CEK1遺伝子と高い相同性を示すクローンを得た。このクローンをもとにCEK1ホモログ遺伝子全長のクローニングを行った結果、Cek1とアミノ酸配列全体で80%の相同性を示し、構造的にも活性中心にTEYのアミノ酸モチーフをもつことがわかった。そこで、C. tropicalisにおけるCEK1ホモログという意味でCtEK1と命名した。次にC. tropicalisでの菌糸形成におけるCtek1の関与を明らかにするために遺伝子破壊を行った。その結果、菌糸誘導条件であるエタノールを添加した培地において短い菌糸の形成は見られたが、その後の菌糸伸長を維持できなかった。さらに、CtEK1野性株では菌糸伸長の時期にリン酸化が生じており、Ctek1が菌糸伸長の維持に関わっていることが示唆された。
  • 梶原 将, 大浦 隆宏
    セッションID: P-94
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    GPIアンカーはタンパク質が細胞膜に結合するために必要な物質であり、多くの生物の増殖や維持に必須である。GPIアンカー合成酵素の1つMannose-ethanolamine phosphotransferase遺伝子(MCD4)は、出芽酵母ではその欠損が致死となるが、哺乳類の細胞におけるMCD4相同遺伝子欠損は致命的なものではないことが報告されていることから、抗真菌剤の標的遺伝子となりうる可能性がある。そこで本研究では、出芽酵母と動物で基質特異性が異なるMCD4遺伝子に注目し、C. albicansのホモログ遺伝子を特定し、その酵素機能を確かめるとともに、C. albicansでのMCD4欠損の致死性等を解析した。出芽酵母のMCD4遺伝子と最も相同性が高いC. albicansorf19.5244を分離して出芽酵母mcd4株に導入した結果、この株の致死性を相補することが分かり、orf19.5244は出芽酵母MCD4と同等の機能を有するCa-MCD4遺伝子であることが示唆された。次に、マルトース誘導条件下で片方のMCD4のみを発現するC. albicans株等を作製し、発現抑制時における表現型を比較解析した。その結果、Ca-MCD4対立遺伝子の1つを破壊しただけでも増殖抑制がみられ、非誘導条件下ではより一層の増殖抑制が起きることが分かった。またCFWに感受性を示す等の形質も見られることから、Ca-MCD4C. albicansの増殖に必須の遺伝子であると考えられた。 [会員外共同研究者 岩波 昇(東工大院・生命理工)]
  • ジャンタチャイ ウィーラポン, 大浦 隆宏, 村山 〓明, 梶原 将
    セッションID: P-95
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Malassezia yeasts are cutaneous microflora commonly found in animals and human and sometimes cause various opportunistic skin diseases. As most of Malassezia species are lipid-dependent, lipolytic enzymes are necessary for them to obtain lipids from the environment and then lipase and phospholipase which degrade neutral lipids and phospholipids, respectively, are thought to play an important role for growth and pathogenicity of Malassezia. Here we investigated a common culture condition for several Malassezia spp. and these secretory lipase and phospholipase activities comparably. Interestingly, lipase and phospholipase activities in M. globosa strains revealed the highest values in the lipid-dependent Malassezia spp.. M. globosa also showed higher activities of these lipolytic enzymes than M. pachydermatis known to possess high phospholipase activity. From these results, it was supposed that secretory lipase and phospholipase activities relate to the dominant survival of M. globosa found in many patients.
  • 大浦 隆宏, 梶原 将
    セッションID: P-96
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Glycosylceramide (GlcCer) is present in almost all of eukaryotic organisms. Its ceramide backbone usually carries some functional groups such as hydroxy group, double bond, and methyl branch at aliphatic carbon atoms. Many yeast species such as Candida albicans possess a fungal-specific GlcCer which consists of long chain fatty acid and (4E, 8E)-9-methylsphinga-4, 8-dienine as ceramide. On the other hand, a budding yeast Saccharomyces cerevisiae, which has been studied by a lot of basic researcher, is not capable of synthesizing GlcCer, so that the functional and physiological roles of this sphingolipid in many fungi has been little known. To investigate the necessity of fungal-specific GlcCer for growth and cell differentiation of C. albicans, we have identified a functional sphingolipid Δ8-desaturase gene (SLD) and constructed sld disruptant in this yeast. From the analysis of sld disruptant, this disruption caused to decrease in the elongation of hypha during the induction of hyphal growth. This result suggested that introduction a double bond at the Δ8 position of sphingoidbase included in GlcCer has indirectly some relationship with the morphological change of C. albicans.
  • ヴィルトゥダゾ エリック, 川本 進, 大楠 美佐子, 青木 茂治, 竹尾 漢治
    セッションID: P-97
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Our group has reported the unique cell cycle pattern of Cryptococcus neoformans, different from that of the model budding yeast Saccharomyces cerevisiae. To clarify the cell cycle mechanisms, homologues of cell cycle control genes in C. neoformans were cloned. We have previously reported the cloning of the CDC28/Cdc2 homologue, CnCdk1 and three Cdk1 cyclin homologues: two B-type G2/M cyclins and a single G1 cyclin, CnCln1. Further search of the C. neoformans genome database however did not yield additional ORFs with G1 cyclin similarities. Sequence analysis and comparison with other cyclin sequences showed that CnCln1 possesses the typical amino acid residues conserved among G1 cyclins. Complementation test in a triple G1 cyclin mutant showed that CnCln1 can perform G1 functions in S. cerevisiae. We also attempted and succeeded, in obtaining a deletion mutant of CnCln1 by biolistic transformation. G1 cyclin deletion in C. neoformans resulted to abnormally enlarged cells, delayed growth and subsequent hyphal formation, indicating a role for CnCln1 in morphogenesis; but apparently is not essential, pointing out to the existence of bypass mechanisms to replace its functions.
  • 清水 公徳, 李 皓曼, 渡辺 哲, 亀井 克彦, 山口 正視, 川本 進
    セッションID: P-98
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    酵母からヒトに至る真核生物では,DNA二重鎖切断は主として非相同末端結合(non-homologous end-joining; NHEJ)と相同組換え(homologous recombination; HR)によって修復される。ところが,ヒト病原性酵母Cryptococcus neoformansでは,NHEJによる遺伝子修復機構により,標的とする遺伝子の相同組換え(遺伝子ターゲッティング)による遺伝子破壊操作が困難であることが問題となっていた。そこで本研究では,C. neoformans lig4遺伝子ホモログ(Lig4)の遺伝子破壊株の作製と相同組換え効率の向上を目的として実験を行った。まず,C. neoformansゲノムデータベースよりlig4遺伝子ホモログの塩基配列を検索し,RACE法により構造を解析した。cDNA配列と染色体DNA配列の比較により,本菌のLig4遺伝子は25個のイントロンを含み1123アミノ酸をコードすることが推定された。続いて,本菌の野生型株B4500(血清型D)およびB4500株由来のウラシル要求性株TAD1を用いてLig4破壊株の作製を行った。Lig4遺伝子の上流および下流それぞれ約1kbの領域とnourseothricin(NAT)耐性遺伝子NATRをPCRにより結合し,遺伝子銃を用いて形質転換を行った。得られたNAT耐性株の遺伝子型を検定したところ,相同組換え効率はいずれも3%程度であったが,目的の遺伝子型(ΔLig4)をもつものが得られた。得られたLig4破壊株について相同組換え効率,相同組換えに必要な相同領域サイズなどについて報告する予定である。
  • 村山 〓明, 山口 正視, 川本 進, 新見 昌一, 梶原 将
    セッションID: P-99
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脂肪酸は細胞膜の主たる構成要素である。大部分の真菌は、脂肪酸不飽和化酵素(FAD)を複数有し、多価不飽和脂肪酸(PFA)を産生するが、Saccharomyces cerevisiae 等一部例外もある。ヒトもFADを持たず、必須脂肪酸として摂取する。Candida albicansでは、酵母形から菌糸形への形態変化に伴い、不飽和脂肪酸が増加することが知られている。われわれはC. albicansの2つのFAD遺伝子(CaFAD2、CaFAD3)の同定、破壊に成功した(Microbiology. 152:1551, 2006)。CaFADsの機能を明確にする目的で、破壊株の表現型と転写レベルでの変化を解析した。
    【方法】電子顕微鏡観察を含む形態変化等の表現型を解析した。トランスクリプトームはC. albicansの6,165遺伝子搭載のアレイで解析した。その発現変化は、real-time PCR法で確認した。
    【結果および考察】PIによる核染色で、破壊株の蛍光強度は相補株の約3分の1であった。また、走査型電顕像で表面のしわが多い像がみられた。CaFAD2破壊株のアレイ解析のt検定で4倍以上の変化のあった15遺伝子、多重検定で1.5倍以上の変化のあった34遺伝子を、real-time PCRで確認した。ギ酸脱水素酵素、カタラーゼ、菌糸形成に関わる転写因子EFG1など、13の遺伝子の発現が低下していた。EFG1破壊株を低酸素条件下で長期培養するとPFAの量が低下しているとの報告がある。CaFADsは、低酸素下などのストレス条件下で機能していることが示唆される。
  • 小笠原 綾子, 渡部 俊彦, 三上 健, 松本 達二
    セッションID: P-100
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    今回我々は、C. albicansのエネルギー産生経路が培地のpHに影響を受けることを見出したことからその解析を行った。C. albicansはpH7では好気的、嫌気的環境下で共に増殖することができるが、pH4、嫌気的条件では増殖できず、菌体内ATPも減少した。C. albicansのATP産生経路として呼吸鎖と解糖系が知られているが、通常、嫌気的条件ではC. albicansの呼吸鎖は阻害され、嫌気的解糖系の働きでC. albicansはATPを産生し増殖する。そこで、嫌気的解糖系の酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のADH1mRNA発現を指標として、異なるpH条件下でのC. albicansの解糖系の働きを測定した。pH7、嫌気的条件ではADH1mRNAの発現は増加したのに対し、pH4ではその発現が抑制されていた。2,4-DNP(酸化的リン酸化阻害剤)を好気的条件化でC. albicansに作用させたところ、pH4では菌の増殖、菌体内ATP量、ADH1mRNAの発現が抑制されたが、pH7条件下ではこれらの働きは抑制されなかった。以上の結果から、C. albicansは呼吸鎖の酸化的リン酸化によるATP産生を抑制する条件下ではpH4で嫌気的解糖系も阻害されることが明らかになった。
  • 落合 恵理, 亀井 克彦, 佐藤 綾香, 渡辺 哲, 永吉 優, 豊留 孝仁, 渋谷 和俊
    セッションID: P-101
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    我々はこれまでに黒色真菌Stachybotrys chartarum の胞子を経気管的反復投与したマウスで肺高血圧症が惹起されることを確認してきた。そこで今回は、本病変の形成機序を解明する一助として、本菌胞子のメタノール処理が肺動脈病変形成に及ぼす影響を検討した。S. chartarum (IFM53637)をPDA培地にて25℃で3週間培養した胞子を用いた。この胞子をメタノールまたは蒸留水に浸漬した後、蒸留水で洗浄し、胞子のCFUがそれぞれ0、66であることを確認した。これらの胞子を用いて胞子懸濁液を作製し、1×104 spores/mouse を2週間に3回の頻度で経気管的にddYマウスに反復投与した。投与を計6回行い、投与終了後7日目の肺、肝、腎、脾について病理組織学的検討を行うとともに、臓器重量、右室/(左室+隔壁)重量比を調べた。その結果、蒸留水に浸漬した胞子を投与した場合では10匹中6匹のマウスで肺動脈壁の肥厚が認められたが、メタノール処理をした胞子を投与した場合にはこのような肺動脈病変は形成されなかった。臓器重量および右室/(左室+隔壁)重量比に有意差はなかった。以上の結果から、肺動脈病変の形成にはメタノール処理によって胞子から除去される物質が関与する可能性などが考えられた。これらについては現在検討を行っている。
  • 大隅 尊史, 丸山 治彦, 加納 塁, 伊藤 隆晶, 松原 靖, 小野崎 正修, 長谷川 篤彦
    セッションID: P-102
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年Prototheca zopfiiによる乳房炎の集団発症が増加傾向にあり問題視されている。しかしながら本菌の病原性や疫学に関してはほとんど検討されておらず、診断法および効果的な予防法や治療法は確立されていない。今回、乳房炎および牛舎環境からProtothecaを分離し、生化学性状や遺伝子型について検討した。検討した株は、慢性乳房炎の乳汁から分離した株(54株)と牛舎環境からの分離株(13株)で、全ての株で形態学および生化学的性状はP. zopfiiと一致した。次に、26S rDNAを解析し系統樹を作成したところ、分離株は大きく2つの遺伝子型に分かれ、それらはRoeslerらの提唱しているgenotype1および2に相当すると考えられた。また、遺伝子型特異的PCR法およびPCR-RFLP法でも両者を区別できることが確認できた。それによると今回検査した乳房炎の分離株はすべてgenotype2であり、環境分離株はほとんどがgenotype1であった。今後さらに環境中からProtothecaの分離を行い、牛舎環境中で乳房炎の原因と考えられるP. zopfii genotype2が高率に分離される場所を特定し、感染経路を明らかにする必要があると考えられた。
  • 宮城 秀樹, 細川 篤, 上里 博
    セッションID: P-103
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    症例:60歳、男性。
    初診:平成19年3月20日。
    家族歴及び既往歴:特記すべきことなし。
    現病歴:平成18年2月頃より鼻閉が生じ、近医耳鼻咽喉科で治療を受けたが症状は改善しなかった。平成18年11月胸部に紅斑が出現し、近医皮膚科で治療を受けるも皮疹は改善せず、増数・拡大した。HTLV-1抗体価高値のため成人T細胞性白血病(ATLL)が疑われ当科に紹介された。
    現症、検査および経過:体幹と下肢に、爪甲大までの不整形、軽度の浸潤を触れる紅斑がびまん性に認められた。皮膚病理組織所見とサザンブロット法よりATLLと診断した。その後、CT検査で左上顎洞内に炎症及び真菌塊様の陰影が認められた。当院耳鼻咽喉科で両側副鼻腔開窓・病的粘膜除去術が施行された。左上顎洞には灰黒色の固形物が充満し、病理組織検査で多数の真菌要素が認められた。しかし、真菌培養は行われなかった。
    菌学的所見:隔壁を有し分岐する菌糸と球状の胞子様真菌要素はヘマトキシリンに淡染し Aspergillus.sp などが疑われた。パラフィン包埋組織標本を材料とした分子生物学的手法による起因菌の同定中である。
    治療:上顎洞の洗浄とイトリゾール(100mg/日)内服で経過観察中である。
  • 小野崎 正修, 鈴木 基文, 槙村 浩一
    セッションID: P-104
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Proptotheca zopfii は、葉緑素を持たない藻類であるが、ヒトや犬・牛において全身または、局所に感染し、真菌症類似のprptotecosis (プロトテカ症)を引き起こすことが知られている。本藻は治療に難渋し、産業上問題となる牛乳房炎の原因となるのみならず、ヒト、イヌ等においても重篤な深部皮膚感染症を生じる。本症の治療においては、早期の診断と有効な抗真菌薬の選択が重要であるが、従来の分離同定技術は迅速性ならびに信頼性の点で問題があった。本研究では、P .zopfii に特異的なPCR系の開発を試みた。プライマーは、DDBJ/EMBL/GenBankに登録のあるChlorella 属及びProptotheca 属のSSU領域塩基配列のアライメントより、P .zopfii に特異的な18PZF1と18PZR1を作成した。また、nested PCRを行う目的で、その領域の外側にO18SF1とO18SR1を設計した。これらPCRの特異性は、Chlorella(V-12)1株,及び、JCM(理研)で保管されているP .zopfii 10株,P .wicherhamjii 4株,P .stagnora 1株、また、Candida属4種4株(TIMM)による計8菌種20株をコロニーPCRにより確認した。領域O18S F1とO18SR1を用いた結果では、すべてが551bpの目的増幅産物を得て、さらに18PZ F1と18PZR1によるnested PCRをおこなった結果、P .zopfii 10株のみから233bpの目的増幅産物を確認した。本nestedPCRシステムはProptotheca zopfii の同定において迅速性と特異性が高く、その有用性が確認できた。
  • 丸山 奈保, 滝沢 登志雄, 久島 達也, 石橋 弘子, 井上 重治, 安部 茂
    セッションID: P-105
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    膣カンジダ症は発症頻度の高い感染症でありながら、一部では抗真菌剤だけで解決できない場合も多い。本症にアロマセラピーとして植物精油が経験的に用いられているが、有効性を得る最適な投与法に関する研究は少ない。ここでは、膣カンジダ症マウスモデルを用いその検討を行った。
    【方法】
    実験1.C.albicans TIMM2640を、エストラジオールを投与したBALB/cマウスに接種し、翌日より植物精油を3日間連続膣内投与後、4日目に菌を回収した。一部のコントロールマウスでは、投与6時間後に膣の洗浄操作を加えた。
    実験2.菌接種48時間後に膣を洗浄後、ゼラニウム油及び主成分であるゲラニオールを膣内投与し、投与6、24、96時間後に菌の回収・洗浄を行った。
    【結果と考察】
    1.クロトリマゾールでは効果が認められたが、ゼラニウム油、ティートリー油などの植物精油では、生菌数の低下は認められなかった。ただし、膣洗浄により生菌数の有意な低下が認められた。
    2.植物精油投与96時間後にはゲラニオール1%で生菌数の有意な減少が、ゼラニウム油1%で減少傾向が見られた。
    すでに、ゼラニウム油及びゲラニオールはin vitroC.albicansの菌糸形発育を阻止し、基材への付着性を低下させることを明らかにしている。以上より、これらは、膣洗浄との適切な組み合わせにより、膣カンジダ症に有効性を示しうると考えられる。
  • 渡部 俊彦, 小牧 奈未, 小笠原 綾子, 三上 健, 佐藤 則文, 松本 達二
    セッションID: P-106
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】Hinokitiol はヒバ等から抽出される精油成分で、抗菌活性を示す事が報告されているが、C. albicans に対する作用は明らかにされていない。本研究では、Hinokitiol の C. albicans に対する抗菌効果と作用メカニズムについて解析を行ったので報告する。【方法】C. albicans NIH-A207株と Hinokitiol を RPMI1640 培地中で培養し、ATP 産生量、mRNA 発現量等を検討した。【結果・考察】】C. albicans 増殖は、Hinokitiol 存在下で抑制された。C. albicans の Hinokitiol 感受性が、嫌気的条件下で低下する事から、Hinokitiol が好気的呼吸経路に抑制的に作用する可能性が示唆された。しかし、ヒノキチオール処理した C. albicans では、菌体内 ATP が枯渇しておらず、Hinokitiol の増殖抑制効果が、ATP 産生機能の阻害によらないと示唆された。また、電子伝達系が RAS 遺伝子の発現を制御している事や、この RAS タンパクが、細胞増殖に関わるアデニルサイクラーゼの発現を制御している事等が、既に報告されていることから、Hinokitiol は、アデニルサイクラーゼの発現に対して抑制的に作用していることが予想された。そこで、リアルタイム PCR によって、アデニルサイクラーゼ mRNA 発現に及ぼす Hinokitiol の影響を検討したところ、Hinokitiol は、アデニルサイクラーゼmRNA の発現を抑制することが明らかとなり、この作用が、C. albicans の増殖を抑制する要因でと考えられた。
  • 石橋 弘子, 丸山 奈保, 滝沢 登志雄, 安部 茂
    セッションID: P-107
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    ICRマウスを用いて口腔、食道等のカンジダ症モデルができることを報告してきた。それらと対応させて、本マウス系統で膣カンジダ症モデルの作製を試みている。すでにICRマウスはEstradiol感受性の低さ等が指摘されているが、各種易感染状態を誘導することにより、モデルの確率を目指した。
    ICRマウスの膣スメアを作製し、観察した。Candida albicans TIMM2640浮遊液を、経口用ゾンデを用いて膣内に接種した。なおEstradiolは感染前3日と感染後1日に投与した。易感染性を誘導しうる各種薬剤の処置を加え、主として感染後4日に膣内の生菌数を調べた。
    膣スメア像より、Estradiol (0.5mg)を投与すると、投与後2~3日で角化細胞が出現し、それが持続することがわかった。なお、一部のマウスでは角化細胞が確認されない個体もいた。BALB/cマウスでは、あらかじめシクロホスファミド (50mg/kg)を投与すると、膣洗浄液中のIgA量が低下し、感染後の膣内Candida生菌数の増加が認められたので、その条件に従いICRマウスで検討した。感染後4日の膣内生菌数は、あらかじめシクロホスファミドまたはプレドニゾロン (100mg/kg)を投与したマウスでは増加する傾向が認められ、約105個に達した。しかしながらBALB/cマウスを用いた場合の生菌数には至らなかった。
  • 伊藤 槙, 槇村 浩一, 安部 茂
    セッションID: P-108
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】今後本格的な利用が期待される宇宙ステーション(ISS)において、ISS内の微生物叢を排除することは困難であり、宇宙環境固有の様々なストレスにさらされた乗員の健康障害が危惧されている。本研究では、宇宙空間における人工的空間内において日和見感染起因源として問題となるヒト常在微生物がいかなる挙動を示しうるかを明らかにすべく、2 軸3 次元クリノスタットを用いた模擬的微小重力環境下におけるC. albicans TIMM1768の発育観察と、作用機構の異なる4 種類の抗真菌剤に対する薬剤感受性の変化を観察した。【方法】NCCLS M27-Aに基づき、MOPsを含むRPMI 1640培地(pH 7.0)にて異なる培養条件下、C.albicans TIMM1768のE-testを実施した。薬剤はアンフォテリシンB(AP)、5-FC(FC)、フルコナゾール(FL)、カスポファンギン(CS)〔AB BIODISK〕を使用した。培養は、微小重力を再現するクリノスタットでの回転培養と静置にて行った。測定は3回実施した。【結果】いずれの薬剤においても微小重力環境下と静置条件による、感受性の有意差は検出されなかった。AP、FCにおいては微小重力下において感受性が下がる傾向がみられた。
  • 佐藤 一朗, 槇村 浩一, 山田 剛, 西山 彌生, 安部 茂
    セッションID: P-109
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    【目的】 国際宇宙ステーション(ISS)はヒトが滞在可能な施設であるため、ヒト常在微生物をはじめとするさまざまな微生物が生存している。ISSでは地上の都市部と同様の微生物叢が存在し、感染やアレルギーが報告されている。したがって、綿密な環境および体内外における微生物の汚染状況調査が必要となる。そのためにISS内で実施できる簡便な真菌検出方法とその感度を検討した。【材料および方法】 Candida albicans TIMM1768をモデル真菌として供試した。サブローデキストロース平板培地に形成させたコロニーを採取し、大塚生理食塩液で洗浄・懸濁した酵母形細胞を供試した。細胞壁成分であるβ-グルカン、菌体内成分であるATPそれぞれの濃度を市販のキットを用いて細胞密度ごとに測定した。【結果および考察】 酵母形C. albicansの段階希釈液においてβ-グルカン、ATPそれぞれの測定値はともに菌密度と高い相関が認められた。検出限界(cells ml-1)はβ-グルカンが105、ATPが102であった。測定に必要な時間はβ-グルカンがおよそ2時間、ATPがおよそ5分であり短時間で高感度に測定することができた。これらを測定することによって環境中の真菌の汚染状況を把握することが可能となったが、簡便に測定するためにさらなる改良が見込まれる。(会員外共同研究者:石原由美子)
  • 槇村 浩一, 佐藤 一朗, 安部 茂
    セッションID: P-110
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    (1-3)-β-D-グルカン(以下、BG)は、接合菌を除く大部分の真菌において細胞壁の主要骨格を形成する多糖であるため、無菌的検体からBGを定量的に検出することによって内臓真菌症のスクリーニングが可能となる。BG検出系としては、我が国において研究・開発された各社キットが利用可能であるが、これら商業化されたキットによって検出されるBG値が菌の発育上如何なる挙動を示すかは、明らかにされていなかった。そこで、本研究では、合成液体培地上においてCandida albicans 菌体より培地中に拡散するBGをβ-グルカンテスト・ワコーを用いて経時的に検出した。その結果、BGの培地中拡散量は経時的に増加したが、その反応量は菌液そのもの方が、菌体上清に比較して多かった。また、菌液そのものと菌体上清を各々4℃にて保存した場合、上清に対するBG検出量に変化は認めなかったが、菌液に対するBG検出量は明らかに低下した。これは、BGに対する消化酵素が菌体表面に露出していることを示す。また、煮沸あるいはエタノールによって菌体を失活させた後、合成培地中で終夜培養を行った場合であっても、培地中にBGの拡散は認められなかった。これより、死菌体からBGが拡散することは無いことが示唆された。これらin vitro実験系の解析によって、血清診断法としての定量的BG検出系による検出値と病態との関連を考察することが可能となろう。
  • 石原 克人, 槇村 浩一, 佐藤 一朗, 杉田 隆, 安部 茂
    セッションID: P-111
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    Filobasidiella neoformans var. bacillisporaは、臨床的に無性世代名;Cryptococcus neoformans var. gattiiとしてよく知られている熱帯型クリプトコックス症起因菌である。本症の臨床像は本邦で通常診られるF. neoformans var. neoformansによるクリプトコックス症と似ているが、より長期の抗真菌化学療法を要し、また中枢神経傷害を残しやすいとされている。従来、F. neoformans var. bacillisporaは国内からの分離例はなく、感染例は海外から輸入真菌症として持ち込まれたと考えられるものが報告されているに過ぎなかった。しかし、輸入動物から本菌が分離される例が報告されたことから、我が国に於いても輸入真菌症としての本菌感染症の管理が必要となった。しかし、これら血清型別に必須となる因子抗体はすでに発売を中止していることから、これに代わる、迅速・簡便な型別法が求められていた。本報では、核リボソーム遺伝子ならびにCAP59遺伝子PCR産物の熱解離曲線を解析し、従来の5型に対応する血清型の識別が可能にした。本法を用いた国内における保護動物の本菌保菌状況検査の結果を併せて報告する。
  • 上野 将明, 小笠原 綾子, 渡部 俊彦, 三上 健, 松本 達二
    セッションID: P-112
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】C. albicans は、宿主の免疫機能のバランスが崩れると発症する日和見感染原因菌である。本菌は酵母形と菌糸形の二相性を示すがこの形態変化が病原性に関与していることが明らかにされている。今回、Menadione(Vitamin K3)と形態の関係を検討したところC. albicans の増殖抑制が認められた。Menadioneによる増殖抑制は菌体内Reactive oxygen species (ROS) の増加に起因することが知られているがこのROS産生能と増殖メカニズムとの関連を解析したので報告する。【方法】真菌:C. albicans NIH-A207株、ミトコンドリア内Complex Ι 欠損株であるJM02株及びその親株であるBWP07株をサブロー培地で24時間前培養したものを実験に使用した。増殖速度:C. albicans にMenadioneを添加し、菌量を吸光度620nmで測定した。菌体内ROSの測定:Menadioneで処理したC. albicans の菌体内ROS量をPeroxiDetect Kitを用いて測定した。【結果・考察】C. albicans にMenadioneを添加して培養するとNIH A-207、BWP07株においては増殖が抑制された。Menadione はC. albicans NIH A-207、BWP07株のROS産生を増加したがJM02株のROS産生は増加しなかった。またMenadione 未処理下でのJM02株がNIH A-207、BWP07株と比較して低い値を示した。以上の結果からMenadioneのROS産生シグナルは、ミトコンドリア内Complex Ι - CoQ 間に作用し菌体内ROS量を増加させることで増殖抑制効果を引き起こすことが示唆された。
  • 倉内 寿孝, 上野 将明, 小笠原 綾子, 渡部 俊彦, 三上 健, 山口 正視, 知花 博治, 松本 達二
    セッションID: P-113
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、カンジダ症において増加傾向を示すCandida glabrataは既存の抗真菌剤に耐性を示すなど、その生態において不明な点が多い。今回、我々は、呼吸メカニズムの解明を目的として実験を行ったところ、亜硫酸ナトリウムがC. glabrata細胞を肥大させることを見出し、このメカニズム解析を行った。【方法】使用菌株:C. glabrata ATCC2001株をサブロー培地で24時間前培養したものを実験に使用した。細胞肥大の確認:亜硫酸ナトリウム処理したC. glabrataを培養し、形態を確認した。増殖速度の測定:C. glabrataに亜硫酸ナトリウムを添加し菌数を吸光度620nmで測定した。嫌気条件下での細胞肥大の確認:C. glabrataをアネロパック(三菱ガス化学株式会社)を用いて培養し形態を確認した。細胞肥大と硫酸イオンの関係性:硫酸ナトリウム処理したC. glabrataを培養し形態を確認した。【結果・考察】C. glabrataに亜硫酸ナトリウムを添加し培養することで、細胞の肥大化が確認された。さらに、増殖速度を測定したところ亜硫酸ナトリウム添加群の増殖速度は減少していた。他の嫌気条件での細胞肥大を観察する目的でアネロパックを用いて培養し観察行ったところ細胞の肥大は認められず、また硫酸ナトリウムによる細胞の肥大も確認されなかった。これらのことから亜硫酸ナトリウムはC. glabrataの増殖や形態変化に関わるシグナルに影響することが明らかになった。
  • 村瀬 香奈, 飴野 彩, 清水 舞, 前田 学, 岩田 仁, 永井 美貴, 中谷 明美
    セッションID: P-114
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
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    症例1: 57歳男。会社員。2005年5月初診。イトラコナゾール200mg/日パルス7日間内服終了後,翌日に咽頭部違和感と全身に多形紅斑が出現。粘膜疹なし。WBC 13,900/mm3,好酸球 4%,CRP 0.21 mg/dl,IgE 68 IU/ml,肝機能障害なし。病理組織像では真皮の毛細血管周囲に好酸球やリンパ球の浸潤を認めた。PSL30mg/日内服により1週間程度で皮疹は軽快した。DLST,スクラッチテスト,パッチテストは陰性。スクラッチパッチテスト(1,5,10,20%ワセリン希釈)で陽性。症例2: 28歳女。主婦。2007年6月初診。イトラコナゾール400mg/日パルス内服6日目に腹部に掻痒を伴う地図状の紅斑が出現。粘膜疹なし。WBC 3,600/mm3,好酸球5%,CRP 0.14 mg/dl,IgE 60.6 IU/ml,肝機能障害なし。病理組織像は真皮の毛細血管周囲にリンパ球を主とした炎症細胞浸潤を認めた。抗アレルギー剤内服にて1週間程度で皮疹は軽快した。DLST,スクラッチテスト,パッチテスト,スクラッチパッチテスト施行中。
  • Moo Kyu Suh, Gyoung Yim Ha
    セッションID: P-115
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/08/08
    会議録・要旨集 フリー
    We report a case of kerion celsi caused by Trichophyton(T.) tonsurans in a 14-year-old student of one middle school wrestling team. The lesion was manifested by 6.5 x 5.0 x 1.0 cm sized, markedly inflammatory, swollen, boggy plaque exuding pus on the scalp for 1 month. Culture from a scalp lesion of patient on Sabouraud dextrose agar showed T. tonsurans.
    The patient was treated with 250mg of terbinafine daily for 12 weeks and short term therapy of low dose of prednisolone. Skin lesions were completely cured and recurrence is not observed to date.
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