本研究の目的は,大腿骨近位部骨折術後高齢者における居宅での生活様相を明らかにすることである.データ収集方法は大腿骨近位部骨折術後で居宅での生活が1ヵ月経過した高齢者に対し半構造化面接を実施した.分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,9名の研究参加者を得た.分析の結果,19個の概念が生成され,7つのカテゴリーに分類された.大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は『自由を手に入れる』一方で,『想定外の現実』に直面し,次第に『生活環境の狭小化』状況にあった.そんな中,徐々に『老いと折り合う』ことで,居宅で暮らす自分を客観視するようになっていた.そして,大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は,『前向きな依存』と『無理のない自律』の二方向で生活の再構築を始めつつあった.また,一度骨折を経験した高齢者は退院後,『脳裏によぎる再転倒』を抱えながら生活していた.
【目的】筋骨格筋シミュレーションソフトを用いて肩腱板断裂モデルを作成し,装具を外した際の援助を模した肢位の修復腱にかかる力学的ストレスを推定した.【方法】ソフトはAnyBody Modeling Systemを用いた.アウトカムは,棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋・三角筋・僧帽筋の腱張力とした.援助を模した肢位は援助肢位(2肢位),援助部位(3箇所),援助部位に与えた力(4つ)および肩関節モデル(3つ)の全72パターンとした.【結果】棘上筋は,援助量の増加にて腱張力が減少した.棘上筋の援助量は,上肢重量の約半分で概ね最小化した.棘下筋の援助部位は,尺骨遠位端の支持にて腱張力が減少した.棘下筋の援助量は,尺骨遠位端に約1/3または尺骨遠位端と肘頭に上肢重量の約半分の援助量で腱張力を概ね最小化できるが,肘頭に対する援助量を増しても腱張力の減少に限りがあった.【考察】上肢重量と援助の方向から肩関節のモーメントを想定することで,修復腱の腱張力を推定することが可能であった.援助者は,自身の前腕全体を使って患者の腕を援助することで,棘上筋と棘下筋断裂の修復術後に対応することが可能である.
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