日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
Print ISSN : 2186-635X
18 巻
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研究報告
  • 吉田 好子
    2023 年 18 巻 p. 31-38
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/09
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,人工股関節全置換を受けた患者が,退院後日常生活を過ごしてみてどのように思っているのか,また入院中の患者教育がどのように活かされているのかを明らかにし,今後の示唆を得ることである.外傷が要因でなくかつ認知面の低下がない患者6名を対象とし,初回外来受診時に構造化・半構造化インタビューを行った.その結果,脱臼予防や日常生活指導のDVDの視聴,および理学療法士の指導で脱臼予防について意識できているが,退院後役立っていることは各自が退院後の生活を描いて理学療法士に質問した内容であった.また,5名が[日常生活で困りごとや不安がない]と語り,すぐに思いつくような大きな困りごとや不安がなく生活できていることがわかる.しかし詳しく尋ねると【回復に対する前向きな気持ち】【回復への実感が伴えない不安】【指導や自身で工夫したことに対する思い】【回復を実感している現状】【期待通りに回復していない現状】【快適に過ごすための行動】の6つのことが示された.以上のことから,看護師も早期から退院後の生活に関心を持ち,理学療法士と協働して退院支援に繋げていく必要があると考える.

  • 土肥 眞奈, 南﨑 眞綾, 金田 明子, 叶谷 由佳
    2023 年 18 巻 p. 39-46
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/09
    ジャーナル フリー

    本研究は75歳以上の人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty: 以下THA)を受けた高齢者に術後の困難を聴取し,生活の質低下予防につながりうる看護実践への示唆を得ることを目的とした.初回THA実施後の後期高齢者9名に対し術後の初回外来受診時に半構造化面接を行った.対象者属性,退院後からインタビュー時点の生活状況,THA後の困難事象等を尋ね,内容分析を行った.分析の結果【退院後も症状が続くこと】【介護・福祉サービス利用の手続きが必要だったこと】【家庭内で家事役割の分担が必要だったこと】等8カテゴリが生成され,術前に,術後の痛み等の症状によって歩く速度や姿勢が異なる感覚を抱きうることの説明や,退院直後の腫れや痛みによって動作に時間がかかる時期にサービス利用ができるよう必要な申請を行うこと,また家庭内で家事役割の分担をして退院後の生活に備えるよう対応する必要性が示唆された.

実践報告
  • 小川 温子, 佐藤 晶子
    2023 年 18 巻 p. 47-52
    発行日: 2023/02/28
    公開日: 2023/03/09
    ジャーナル フリー

    A病院の旧肩関節鏡視下手術クリニカルパスは術後4週間の入院予定だが,2017年5月から2018年5月の旧パス適応患者40名の平均在院日数は42.5日であった.再断裂への不安,退院後の生活に家族のサポートが得られない,地域の特性上通院手段が乏しいことから,肩外転装具装着期間の入院継続を希望される患者が多かったことがその理由と考えられた.そこで,肩外転装具を装着したままの退院後の生活を見据え,病棟看護師による術後の安静度や退院後の生活に関する入院前オリエンテーションとシャワー浴指導を導入し,入院期間を術後4週間から15日のパスに変更した.その結果,2018年5月から2019年3月の入院前オリエンテーションとシャワー浴指導実施患者12名の平均在院日数は17.3日となった.病棟看護師による入院前からの支援により,患者とその家族は入院前から術後肩外転装具装着による生活を具体的にイメージし,自立に向けたシャワー浴指導と家族のサポート体制等退院後の生活の準備を整えることができ,早期退院につながった.

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