日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
Print ISSN : 2186-635X
8 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 平塚 知子, 原 祥子
    2013 年 8 巻 p. 24-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,変形性膝関節症と診断された高齢者が人工膝関節全置換術を受けるという意思決定をするま でのプロセスを明らかにすることであり,人工膝関節全置換術を受けた高齢者17名に半構成的面接を行った. M-GTAを用いて分析を行った結果,手術決断に関する意思決定プロセスにおいて20の概念が生成され, 8つ のカテゴリーヘ統合された. 高齢者は[痛みのある生活に立ち向かう】【手術を現実的に考える】【手術への思いが揺れ動く】という過程を 経て[手術を決断せざるを得ない]状況を迎える. しかし, 【手術を決断せざるを得ない】状況から【手術への決 断】までには2つの方向性があり,直ちに【手術への決断lへ結びつくプロセスと, 【手術を受けようとする自分 を具体的に想像する】【手術決断をするための準備】【手術への気持ちが前へ進む】の経過をたどったうえで[手 術への決断lを行うというプロセスがあることが明らかになった. 高齢者の自己決断を支える看護師の役割として, それまで歩んできた意思決定のプロセスを承認し,高齢者の努力や強さを支えることが重要であると考えられた.
  • 上杉 裕子, 藤田 君支, 中村 宣雄, 柿本 明博, 黒田 良祐, 西井 孝, 菅野 伸彦
    2013 年 8 巻 p. 33-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では人工膝関節置換(TKA)患者評価尺度であるOxfordKnee Score (OKS) 日本語版を開発し,その信 頼性・妥当性を縦断的調査により検証することを目的とした. 原作者より翻訳許可を得て,バックトランスレーションの手法により, OKS日本語版を開発した. TKA患者の 術前と術後12か月にOKS日本語版,健康関連QOL尺度SF-36v2を用いて調査を行った.48名より結果が得られ, 年齢層が42~89歳と幅広いため, 74歳以下27名(男性9名,女性18名:平均年齢68.2歳), 75歳以上21名(男 性3名,女性18名:平均年齢79.2歳)の2群に分け,検討を行った.OKS日本語版の術前のクロンバックa係 数は術前0.915/0.927, 術後0.923/0.888と, 信頼性が認められた.効果景から74歳以下では膝関節に特化した OKSに, より尺度としての鋭敏性が認められた. OKS日本語版とSF-36v2との相関では,「身体機能」や「日常役割機能(身体)・( 精神)」, 「体の痛み」などにおいて, 術前:ー0.612-0.855, 術後:ー0.535-0.819の高い相関が示され,併存妥当性が確認された. 以上により, OKS日本語版は信頼性・妥当性が認められ,今後,本尺度を用いて,患者の痛みを把握し,困難 な日常生活動作を明らかにすることにより,看護介入の検討の示唆となると考える.
  • 患者背景の違いによる比較
    谷村 千華
    2013 年 8 巻 p. 40-47
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:本研究は,変形性膝関節症(膝OA)患者の生活上の困難の実態を明らかにすることを目的とした. 方法:分析対象は一次性膝OA患者422名である.調査内容は,変形性膝関節症患者生活上の困難尺度,年齢, 性別,職業,サポート人数,家族構成,居住環境,併存疾患の有無, BMI,膝OAの罹患期間,治療内容,機能 障害である. 結果:患者背景の違いによる患者の生活上の困難の特徴について以下の結果が得られた.男性よりも女性,家 族と暮らしている者よりも一人暮らしの者が生活上の困難を感じている傾向にあった.生活環境においては,坂 道や階段,段差が多い地域居住環境にある者,農業を営んでいる者は生活上の困難を強く感じている傾向にあっ た.膝OAの状況においては,機能障害,症状を抱えている者は生活上の困難を強く感じている傾向にあった. 結論:看護者は,膝OA患者が感じている困難を把握し,患者個々の生活上の困難の程度やその関連要因に応 じた看護援助を提供していくことが重要である.
  • 渡部 節子, 武田 宜子, 高島 尚美
    2013 年 8 巻 p. 48-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2020/05/14
    ジャーナル オープンアクセス
    人工股関節全置換術は, 1970年に我が国に導入されて以来手術後に深部感染を起こすと難治性となり,インプ ラントを抜去せざるを得ないことが多く,生じる機能障害が大きいため手術部位感染予防を目的に術前に厳重な 皮膚処置が行われてきたしかし,その方法はいずれもCDCの「手術部位感染予防ガイドライン」と乖離してい るだけでなく患者への負担が大きい.そこで,これまで踏襲されてきた厳重な術前皮膚処置方法を再考するため の示唆を得るために我が国で初めての人工股関節全置換術の術前皮膚処置方法の実態を全国調査し,その結果の 一部を2009年に本誌で報告した.今回は術前皮岡処置方法の根拠と感染管理システムとの関連を明らかにした. 除毛方法に関しては除毛の実施や剃刀の使用率において医師の指示群がガイドライン群と比較して有意に高かっ た.皮膚消毒に関しては病棟でのブラシの使用率.消毒頻度・不適切な消毒薬の濃度の使用率において医師の指 示群がガイドライン群と比較して高い傾向にあったが,いずれも医師の指示群とガイドライン群間に有意差はな かった.術前皮膚処置方法と感染管理システムとの関連はなく,人工股関節全置換術の術前皮膚処置方法は手術 に関わる医師集団によって決定されているものと推察された.
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