日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
Print ISSN : 2186-635X
最新号
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原著
  • 北澤 友美
    2021 年 16 巻 p. 15-23
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    本研究は,大学生アスリートがスポーツ外傷・障害により手術を受け,競技復帰した適応過程を明らかにすることで,必要な看護支援について検討することを目的とし,大学生アスリートを対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析を行った.分析の結果11個のカテゴリーが導かれた.スポーツ外傷・障害により手術を受け競技復帰した大学生アスリートの適応過程は自覚症状と競技継続による葛藤と対処行動を繰り返す中で次第に手術の選択に至り,術後は身体症状を受け入れ,生活との調和を図りながら競技復帰を目指し,受傷経験を通して成長を遂げていく適応過程だった.すべてのプロセスにおいてアントラージュから支えを得る一方で忖度をしながら影響を受けていた.大学生アスリートは全人的苦痛を感じるが,それらを乗り越えることで全人的な成長を遂げる可能性を有していた.アントラージュの存在は期待の増進に繋がる一方で,混乱を招きかねない.看護職者には潜在的ニーズを察知するための関わりと大学生アスリートの持つ強みを強化する支援が求められる.

研究報告
  • 𡈽谷 僚太郎, 西村 直子
    2021 年 16 巻 p. 24-30
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,腰椎手術を受けた65歳以上の患者を対象に退院後の転倒・転落の発生件数と転倒・転落が発生しやすい時期,場所,発生原因について調査することである.調査は郵送法による無記名自記式質問紙調査とし,175名の有効回答が得られた.退院後に転倒・転落があった患者は72名(41.1%)であった.屋内での転倒・転落は59件で,多かった場所はリビング16件,多かった発生原因は足を引っ掛け躓きによる転倒・転落が20件であった.屋外での転倒・転落は33件で,多かった場所は歩道10件,多かった発生原因は歩道を歩行中に転倒10件であった.発生件数が多かった時期は退院後1年(19件),退院後1ヶ月(15件)であった.本研究で,65歳以上の腰椎術後患者は地域在住高齢者よりも転倒・転落が発生する可能性が高いことが明らかとなった.また,転倒・転落が発生しやすい時期,場所,発生原因が本研究によって示された.しかし本研究は,1施設の患者を対象とした調査であり,地域性も踏まえたデータを調査していくことも今後の課題である.

  • 烏山 昌起, 河上 淳一, 松尾 福美
    2021 年 16 巻 p. 31-36
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    【目的】肩関節周囲炎患者を対象にパンフレットを用いた就寝指導の効果を検討した.【方法】対象はパンフレットによる就寝指導を実施した21名のうち,アンケートが回収できた14名を対象とした.初回来院時に対象者へ夜間痛の有無,夜間痛出現肢位,夜間痛の程度,夜間覚醒回数,熟睡感を調査した.その後,患者指導用のパンフレットを用いて就寝指導を実施した.内容は,各姿勢における肩関節の安静肢位と使用物品(タオル・クッション・枕)を記載している.介入後の変化はアンケートにより調査した.対象者は介入当日に指導内容を実施し,翌朝に夜間痛の程度,夜間覚醒回数,熟睡感を記載した.【結果】受診前の夜間痛出現率は,患側下側臥位が78.5%と最も高かった.夜間痛の程度,夜間覚醒回数,熟睡感は,指導前と比べて指導後は有意に改善した(全てP<0.05).夜間痛と熟睡感の変化量においては,有意な負相関を認めた(r=−0.55,P<0.05).【考察】症状の改善は,肩峰下圧が高まりにくい姿勢で就寝し,肩関節の安静肢位を保てたことが要因と推測する.【結論】就寝指導パンフレットの介入は即時効果が期待され,良好な睡眠を提供するアプローチとなる可能性が示唆された.

  • 柴田 有里香, 村川 桂子, 西田 和美
    2021 年 16 巻 p. 37-43
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    当センターで頚椎手術後に使用していた高さが均一な枕は,頚部の安静保持と側臥位時の高さ調整のために砂嚢を併用していた.砂嚢は衛生面やスタッフの労力などの管理面で問題があったため,単独でも頚部の安定性が維持できる新たな頚椎枕を設計・作成した.具体的には,側臥位時に側頭部を置く左右区画と仰臥位時に後頭部を置く中央区画の三つの区画に分かれた枕とした.導入に際しては圧測定器や質問紙調査によるスタッフへの予備試験を行い,導入後の評価に際しては術後出血量や神経症状悪化の有無などの臨床データを調査し,さらに患者およびスタッフへの質問紙調査も行った.これらの結果,新頚椎枕はサイズ感や体圧面で安全性を損なわず,かつ患者の術後経過へ悪影響を及ぼすことなく導入することができた.新頚椎枕は術後の創痛や安静を強いられる苦痛などを軽減・消失させるものではないが,砂嚢を併用する症例がなくなったことで,スタッフの砂嚢運搬労力の軽減,ポジショニングの時間短縮を図ることができたとともに,衛生面の改善にもつながった.

実践報告
  • 船越 美香
    2021 年 16 巻 p. 44-49
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折を起こし,寝たきりや術後せん妄,認知症の発症につながることもある.今回入院中に認知症の症状が強くなり,自宅に帰りたいと希望した患者の看護をした.術前は疼痛コントロールと廃用症候群予防に努め,術後は早期離床,認知症ケアやアクティビティに参加できるようにした.患者の意思を尊重し,無理に在宅介護を勧めず,意思決定を急かさないように家族の思いを傾聴した.家族が患者と共に自宅で過ごすことを選択し,介護サービスを調整して,患者の希望した自宅退院ができた.退院支援には,看護師が入院時から退院支援のアセスメントの視点を持ち,患者・家族の意思決定を確認しながら,主体的に多職種と,地域の中での支援体制を整える連携や,患者・家族の不安を軽減するための退院指導をする必要がある.またファシリテーターの役割や,退院調整でのリーダーシップも求められ,認知症ケアを行いながら,患者のQOLが低下しないような幅広い知識・技術が必要である.

資料
  • 土肥 眞奈, 渡邊 洋美, 佐藤 里奈, 叶谷 由佳
    2021 年 16 巻 p. 50-55
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    本研究では日常生活における身体運動と高齢期における嚥下機能の関連について調査した文献をもとに,高齢期の嚥下機能を維持するために医療従事者が取り組むべき課題を明らかにすることを目的とした.

    PubMedでは「deglutition」「physical activity」「aged」,医学中央雑誌においては,「嚥下」「身体運動」「高齢者」の検索キーワードを用いて文献を検索し,対象となった6件をもとに考察を行った.

    その結果,6件の文献のうち5件で身体運動と舌圧,嚥下に関連する筋力を含む嚥下機能の間に有意な関連を認めた.高齢者の運動習慣の獲得を目指した働きかけとして,身体運動を増加させる機会の提供やそれにつながる詳細な身体機能の評価実施,また若年期から定期的な運動習慣を確立できるよう取り組むことが課題であり,ソーシャルネットワークサービス等にて情報発信をしていくことが重要と考える.

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