夏型過敏性肺炎は
Trichosporon属の真菌が原因抗原で,小児例は少ない.今回,抗
Trichosporon asahii (
T. asahii)抗体陽性が判明した家族内発症の夏型過敏性肺炎の小児例を経験したので報告する.症例は9歳の男児である.8月頃から咳嗽と倦怠感があった.近医で喘鳴を指摘され,気管支喘息の診断で吸入ステロイド・月2刺激薬配合剤を含めた治療がなされた.しかし,症状が改善せず,当院を受診した.問診によって前年に母親が夏型過敏性肺炎を発症していたことが判明し,患児も母と同様に抗
T. asahii抗体が陽性であった.夏型過敏性肺炎の暫定診断で抗原からの隔離と加療目的で入院した.胸部CT検査では両肺野全体にびまん性のすりガラス影を認め,呼吸機能検査では拘束性肺障害の所見で,酸素投与,プレドニゾロンの投与を要した.症状と胸部の画像所見が改善し,自宅の清掃が行われた後に自宅に退院した.しかし,退院後の外来で間質性肺炎マーカー値の再上昇と胸部X線検査で肺野のすりガラス陰影の増強を認めた.疾患の再燃,環境誘発試験陽性と判断し,夏型過敏性肺炎と確定診断した.再入院後,プレドニゾロンが再投与され,その間に業者による自宅の清掃が行われた.自宅へ退院後,3年以上再発していない.
T. asahiiが原因の夏型過敏性肺炎のうち,家族内発症を認めた小児の報告は少ない.そのため,診断困難例が存在する可能性がある.しかし,家族内発症がある場合は,診断の契機になるため,家族歴の問診は重要である.夏型過敏性肺炎は転居を要し,環境調整に難渋する例もある.抗原回避に際して転居困難な事例では,業者の介入も考慮した徹底的な清掃を要する.
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