昭和医科大学雑誌
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最新号
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原著
  • 小澤 由季子, 加賀美 芳和, 小林 玲, 村上 幸三, 加藤 正子, 新谷 暁史, 西村 恵美, 今井 敦, 新城 秀典, 宮浦 和徳, ...
    2025 年85 巻6 号 p. 457-463
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    皮膚浸潤が著明な乳癌に対して,疼痛・病巣部からの浸出液漏出・悪臭の軽減のために緩和的放射線治療が重要な選択肢の1つとなり得る.当院では症候性乳癌原発巣に対し,長期予後が見込める場合は局所制御効果の向上が期待できる,緩和照射としては多い放射線線量で照射を行っている.しかし,患者の予後が短い場合には,治療による負担を最小限に抑え,患者の生活の質(Quality of life;QOL)を維持することが重要となるため,処方線量,治療期間などの治療方針決定には適切な予後予測が重要である.予後予測に有用とされるグラスゴー予後スコア(Glasgow Prognostic Score;GPS)が,局所制御効果の向上が期待できる線量で緩和的放射線治療を行った症候性乳癌患者において有効であるか後方視的に検討した.対象は,GPS算出可能な45Gy/15回/3週~60Gy/20回/4週の症候性乳癌原発巣への緩和的放射線治療を施行した30例で,年齢の中央値は63歳,PSは0-2が24例,3,4が6例,病理診断は全例浸潤性乳管癌であった.GPSは,血清アルブミン(Alb)≧3.5mg/dlかつC反応性蛋白(CRP)≦1.0mg/dlを0,Alb<3.5mg/dlかつCRP>1.0mg/dlを2,これら以外を1とした.GPS別の生存期間の比較,生存期間の予後予測因子を単変量,多変量解析で検討した.GPS 0群はGPS 1・2群と比較し有意に生存期間が長く(p=0.043),単変量解析にてGPS(0 vs 1・2)のみ生存期間との関連を認めた.多変量解析においてもGPSのハザード比は3.030(95%信頼区間:1.087-9.762,p=0.042)であった.GPSは症候性乳癌原発巣に対する緩和的放射線治療における適切な処方線量・治療期間を選択する一助となる予後予測因子として,有用である可能性が示された.
  • 宮田 剛成, 青木 啓一郎, 関 雅良, 渡邉 真理奈
    2025 年85 巻6 号 p. 464-473
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,急性期病院に入院した脳卒中患者を対象に,離床センサーの設置に影響を与える因子を明らかにすることを目的とした.令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間にA病院の脳神経内科および脳神経外科に入院した患者295例のうち,適格基準を満たした183例を対象とした.離床センサーの使用の有無により2群に分け,年齢,性別,疾患名,在院日数,帰結先,既往歴,National Institute of Health Stroke Scale (NIHSS),Barthel Index (BI),Mini-Mental State Examination (MMSE),転倒転落アセスメントスコアシートを収集した.統計解析は,2群間の比較はWilcoxonの順位和検定,Fisherの正確確率検定を,離床センサー設置に影響を与える因子の検討には多重共線性に配慮し相関関係を確認したうえでロジスティック回帰分析を実施した.183例のうち,離床センサーを使用したのは59例であった.2群間の比較では,年齢,糖尿病の有無,MMSE,BI,転倒転落アセスメントスコアシート,帰結先で有意差を認め(p<0.05),ロジスティック回帰分析の結果,離床センサーの設置に影響を及ぼす因子として,年齢,MMSE,糖尿病の有無が抽出された.高齢者,認知機能の低い患者,糖尿病患者は離床センサー設置の可能性が上がることから,転倒リスクが高いことが示唆された.また,本研究では帰結先の関連は明確に示されなかったが,リハビリテーションの進行度に応じた離床センサーの使用の適宜見直しが望ましいと考えられる.特に心身機能の変化を適切に評価し,環境を調整することで,他の転倒予防策と組み合わせた効果的な安全対策を講じるとともに,活動量を考慮した離床センサーの導入を検討することが期待される.今後は,抽出された因子を活用した設置判断や使用継続の可否を多職種で共有・再評価する体制の整備や患者の状態の多角的な評価の実施が望まれる.
症例報告
  • 島田 麻衣, 寺田 知正, 松山 大輝, 白井 まどか, 江畑 晶夫, 長谷部 義幸, 宮沢 篤生, 水野 克己
    2025 年85 巻6 号 p. 474-478
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    間葉性異形成胎盤(PMD)は稀な疾患で児の主な合併症としては早産,胎児発育不全,子宮内胎児死亡,Beckwith-Wiedemann syndromeがあげられるが,児の血液学的異常や肝腫瘍の合併も報告されている.本症例は出生前からPMDの指摘があり在胎33週5日に胎児機能不全のため帝王切開で出生した.早産児,低出生体重児のためNICUに入院し,入院時の血液検査で総ビリルビン値8.7mg/dlと早発黄疸を認めたため強化光線療法を開始した.その後も総ビリルビンの上昇を認めたが最終的に強化光線療法2方向の治療で黄疸のコントロールが可能であった.また,児は出生時にヘモグロビン10.6g/dlと貧血を認め,他血液所見と胎盤病理所見とあわせてPMDによる溶血性貧血を疑った.そのため本症例の早発黄疸はPMDによる溶血に伴う早発黄疸と診断した.PMDを有する母体から出生した児での早発黄疸の報告は今までにない.PMDを有する母体から出生した児の黄疸の重症化にも注意が必要である.
  • 伊従 朱音, 江畑 晶夫, 野口 悠太郎, 寺田 知正, 長谷部 義幸, 宮沢 篤生, 水野 克己
    2025 年85 巻6 号 p. 479-484
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    症例は日齢3の女児で,在胎40週2日,体重3,264g,経腟分娩で出生した.発熱,けいれんを主訴に当院NICUに転院搬送され精査を行なった.各種検査を行い,炎症反応高値,髄液細胞数増加などから細菌性髄膜炎を疑い,抗菌薬加療を開始した.髄液培養でB群溶血性連鎖球菌(Group B streptococcus:以下GBS)が検出され,GBSによる髄膜炎と診断した.加療開始後に一度解熱したが,日齢12に再発熱し,頭部MRI検査で脳膿瘍・脳室炎の合併を認めた.抗菌薬は髄液検査,血液検査,頭部MRI検査を参考に,6週間抗菌薬を投与し治療に成功した.新生児細菌性髄膜炎は神経学的後遺症の可能性が高く,早期治療介入だけでなく,再燃を防ぐことも重要である.髄膜炎に脳室炎や脳膿瘍を合併した症例の既報では治療期間にかなり幅があり,参考となる例に乏しく,効果判定の明確な基準はないため治療期間の決定に苦慮することがある.本症例では画像所見で脳室炎・脳膿瘍の所見が消失したため,6週間で抗菌薬を中止し,その後の再燃はなかった.脳室炎・脳膿瘍合併例は治療期間の決定は困難であるが,児や家族への負担を考慮した適切な治療期間の設定には,頭部MRI検査所見も一助となると考える.
  • 岩堀 真紀, 松橋 一彦, 浅山 真史, 唐渡 諒, 伊田 夏海, 長谷川 真, 阿部 祥英
    2025 年85 巻6 号 p. 485-492
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    夏型過敏性肺炎はTrichosporon属の真菌が原因抗原で,小児例は少ない.今回,抗Trichosporon asahiiT. asahii)抗体陽性が判明した家族内発症の夏型過敏性肺炎の小児例を経験したので報告する.症例は9歳の男児である.8月頃から咳嗽と倦怠感があった.近医で喘鳴を指摘され,気管支喘息の診断で吸入ステロイド・月2刺激薬配合剤を含めた治療がなされた.しかし,症状が改善せず,当院を受診した.問診によって前年に母親が夏型過敏性肺炎を発症していたことが判明し,患児も母と同様に抗T. asahii抗体が陽性であった.夏型過敏性肺炎の暫定診断で抗原からの隔離と加療目的で入院した.胸部CT検査では両肺野全体にびまん性のすりガラス影を認め,呼吸機能検査では拘束性肺障害の所見で,酸素投与,プレドニゾロンの投与を要した.症状と胸部の画像所見が改善し,自宅の清掃が行われた後に自宅に退院した.しかし,退院後の外来で間質性肺炎マーカー値の再上昇と胸部X線検査で肺野のすりガラス陰影の増強を認めた.疾患の再燃,環境誘発試験陽性と判断し,夏型過敏性肺炎と確定診断した.再入院後,プレドニゾロンが再投与され,その間に業者による自宅の清掃が行われた.自宅へ退院後,3年以上再発していない.T. asahiiが原因の夏型過敏性肺炎のうち,家族内発症を認めた小児の報告は少ない.そのため,診断困難例が存在する可能性がある.しかし,家族内発症がある場合は,診断の契機になるため,家族歴の問診は重要である.夏型過敏性肺炎は転居を要し,環境調整に難渋する例もある.抗原回避に際して転居困難な事例では,業者の介入も考慮した徹底的な清掃を要する.
  • 宮﨑 友晃, 松本 啓, 寺戸 成美, 青木 崇吾, 竹島 亜希子
    2025 年85 巻6 号 p. 493-498
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎の新規治療薬として2021年9月に補体C5a受容体阻害薬であるアバコパンが承認された.しかし既存の臨床試験では免疫抑制薬であるリツキシマブかシクロフォスファミドのどちらか併用が行われており,併用を行わなかった報告は極めて少ない.今回私達は91歳女性の顕微鏡的多発血管炎患者に対してアバコパン・プレドニゾロン併用療法を施行し,従来の治療法よりもプレドニゾロン必要量を著明に減少させ,免疫抑制薬の併用も行わずに腎機能や尿所見の経時的な改善を認めたため報告する.
講演
資料
  • 佐藤 敦, 太田 真隆, 永坂 玲央, 熊谷 尚, 神原 雅典
    2025 年85 巻6 号 p. 530-535
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    2021年東京2020オリンピックにおいてジャマイカチームの日本国内での正式なメディカルサポートとして医師,理学療法士,柔整士,通訳,調整員から成る6名のチームでサポートを行い大会中の選手,チームへの医療サポートの重要性を実感した.翌2022年日本医師会よりスポーツと医療との連携を促進するなどの提言が掲げられ,ますますその重要性が高まっている.そこで医療チームとして選手,チームをサポートできるように2022年医師,歯科医師,薬剤師,理学療法士,作業療法士,看護師,栄養士,メンタルトレーナーから成る医療チームMEDiSPORTSを立ち上げた.1チームをサポートする事はもちろん,大会において医療ブースを設置し,参加チーム全体に対する医療ケアを行い少しでも多くの選手,チームに貢献できるよう活動を広げている.そこで今回われわれが取り組んでいるスポーツと医療の連携強化に対する取り組みを報告する.
  • —4分割法を用いた学修プログラムの実践—
    佐口 健一, 大久保 茂子, 加藤 里奈, 三橋 幸聖, 田中 佐知子, 剣持 幸代, 榎田 めぐみ
    2025 年85 巻6 号 p. 536-544
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/14
    ジャーナル フリー
    本学では医系総合大学の特色を活かしたチーム医療教育の一環として,臨床倫理を考える教育プログラムを医学部,歯学部,薬学部,保健医療学部の1年次より行っているが,医療の知識や経験の乏しい1年次の学生が本プログラムの取り組みについてどの様な自己評価を行っているか調べることを目的とした.2021年度に「在宅医療を支えるNBMと倫理 TBL Ⅰ」を履修した後の実施後アンケートに回答した学生のデータを調査対象とした.Jonsenらの4分割法の活用,協働/チームワーク,責任/役割,コミュニケーション,チーム医療学修の充実感,更なる学習への動機付けに対して,90%以上の学生が肯定的な自己評価をしていた.臨床の知識や経験の乏しい1年次学生においても,臨床倫理に関して十分に議論ができる事が分かった.また,4分割法と動画教材を用いた学修プログラムの実施や,全寮制教育を経験することも,多学部間で臨床倫理を考える教育の効果を高める事が示唆された.
第410回昭和医科大学学士会例会(歯学部会主催)
第411回昭和医科大学学士会例会(医学部会主催)
第412回昭和医科大学学士会例会(保健医療学部会主催)
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